説明

車内忘れ物管理システム、車載装置及び端末装置

【課題】 車内の見える場所、見えない場所にかかわらず、車内に存在する全ての忘れ物を把握することができる「車内忘れ物管理システム、車載装置及び端末装置」を提供すること。
【解決手段】 端末装置と無線通信可能に接続された車載装置において、端末装置から車内忘れ物の検索要求の指示を受信したときに(S1)、IDリーダを起動させて(S2)車内に存在するIDタグ付き商品を検索し(S3)、メモリ部に格納されている情報(車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行単位毎に車内に存在する商品のIDタグ情報)と照合して(S4)、該照合に基づいた検索結果を端末装置に送信する(S6,S8)。この場合、今回の走行の期間中に追加されたIDタグ付き商品があった場合に当該商品のみを抽出し、該抽出した商品に関する情報を検索結果として送信する(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内に存在する忘れ物を管理するための技術に係り、より詳細には、車両が自宅を出てから帰ってくるまでの間に車内に持ち込んだ物品(例えば、買物で購入した商品等)を車内に置き忘れたかどうかを管理するのに有用な車内忘れ物管理システム、該システムを構成する車載装置及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な車載用ナビゲーション装置には、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するCPU、地図データを格納したCD−ROMやDVD−ROM等の記憶装置、LCDモニタ等のディスプレイ装置、自車の現在位置を検出するためのGPS受信機、自車の進行方位や走行速度等を検出するためのジャイロや車速センサ等が設けられている。そして、CPUにより、自車の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、この地図データに基づいて自車位置の周囲の地図画像をディスプレイ装置の画面に描画すると共に、自車の現在位置を指示する自車位置マークを画面に重ね合わせて表示し、自車の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定して自車位置マークを移動させたりして、自車が現在何処を走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
また、車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能(経路誘導機能)が搭載されている。この経路誘導機能によれば、CPUにより、地図データを用いて出発地(典型的には自車の現在位置)から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って探索し、探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に(例えば、色を変えたり、線幅を太くして)表示したり、また自車が誘導経路上で進路を変更すべき交差点に所定距離内に近づいたとき、地図画像上にその交差点の拡大図(交差点での進行方向を示す矢印等を含む)を表示したりすることで、目的地に向けた最適な経路をユーザが把握できるようになっている。
【0004】
また、このようなナビゲーション装置を搭載した車両には、運転者を含めて搭乗者が楽しめるように各種オーディオ機器が搭載されており、特に、高級大型車両には、各座席毎にそれぞれCDプレーヤやラジオ受信機等から出力されるオーディオ情報、テレビやDVD等から出力される映像情報等のエンターテイメントを享受できるようにした高価なシステム(リヤ・エンターテイメント・システムともいう。)が搭載されている。
【0005】
このため、最近では、かかる高価な車載機器を盗難から防止するための手段として車室内にカメラを設置し、そのカメラで撮像した車内映像を、無線通信を利用して遠隔地から携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants) 等の端末装置により確認できるようにした技術が実用化されつつある。この技術によれば、盗難防止以外にも、車内に存在する物品を管理することにも役立てることができる。例えば、当該車両に乗って買物に出かけて家に帰ったときに、車から降りた後で忘れ物に気づいた場合でも、携帯電話の画面に車内映像を表示させることで、その忘れ物の有無を確認することが可能である。
【0006】
かかる従来技術に関連する技術としては、例えば、特許文献1に記載されるように、自由に移動する個人の携帯する物品や、所定空間における物品の管理を行えるようにしたものがある。
【特許文献1】特開2002−163301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように従来の技術では、ナビゲーション装置や各種オーディオ機器等を搭載した車両にカメラを設置し、そのカメラで撮像した車内映像を携帯電話等の画面に映し出すことで、盗難防止以外にも、車内の忘れ物の確認に役立てることが可能であった。
【0008】
しかしながら、この方法はあくまでカメラが撮像した車内映像(画像)を確認することを前提としているため、車から降りて家に帰った後に、買ったはずの商品(例えば、調味料)が見当たらない場合や車内に置き忘れた可能性がある場合など、忘れ物に気づいたときに、その忘れ物が車内のカメラから見える場所にあれば画像で確認することは可能であるが、その忘れ物がカメラから見えない場所にあった場合(例えば、走行中の振動によって買物袋から調味料が転げ出して座席の下に入り込んでしまったような場合)には、画像で確認することができない。
【0009】
このため、果してその商品を本当に買ったのかどうか(買い忘れていないかどうか)、あるいは別の場所に置き忘れたのかどうかを確認することができず、また、本当は家まで持ってきているのに(別の荷物の中に紛れ込んでいて)、それに気づかないで車の所に確認に戻ってしまうといった課題があった。
【0010】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、車内の見える場所、見えない場所にかかわらず、車内に存在する全ての忘れ物を把握することができる車内忘れ物管理システム、車載装置及び端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、昨今のユビキタス社会化の進展に伴い、生活環境における主な物品(一般小売店で売られる商品等)には予めその物品が何であるかを判断できる識別情報(ID:Identification)がタグの形で貼り付けられ、又は埋め込まれていることを前提としている。このIDタグとしては、例えばRFID(Radio Frequency ID)があり、RFIDタグに付与されている情報(ID情報)は、これに対応するRFIDリーダ(RFID読み取り装置)により読み取ることができる。現状の技術では、RFID読み取り装置から1〜2m程度の範囲内に存在するIDタグを読みとることが可能であり、車載用に適用するには十分である。
【0012】
これに鑑み、上記の従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置と、該車載装置に無線通信可能に接続された端末装置とを備え、前記車載装置が、IDタグ付きの物品に対し非接触で当該ID情報を読み取り可能なID読み取り部と、前記車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に車内に存在するIDタグ付きの物品に関する情報を逐次格納するメモリ部と、前記ID読み取り部及びメモリ部に動作可能に接続された制御部とを有し、前記制御部は、前記端末装置から忘れ物検索要求の指示を受信したときに、前記ID読み取り部を起動させて車内に存在するIDタグ付きの全物品を検索し、該検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報を照合して、該照合に基づいた検索結果を前記端末装置に送信することを特徴とする車内忘れ物管理システムが提供される。
【0013】
本発明に係る車内忘れ物管理システムによれば、車内の見える場所、見えない場所にかかわらず、車内に存在していればその物品のID情報がID読み取り部によって読み取られ(検索され)、その検索された全ID情報(物品)とメモリ部に格納されているID情報(物品)との照合に基づいた検索結果が端末装置に送信されるようになっている。
【0014】
これによって、端末装置側では、その検索結果から車内に存在する全ての忘れ物を把握することができ、また、物品に付されたID情報から当該物品が何であるかを知ることができる。つまり、車内に存在する全ての忘れ物を遠隔地(端末装置)から確認することが可能となる。
【0015】
この場合、その照合結果に基づいて両者(検索された全物品とメモリ部に格納されている情報(物品))の間に差分があったときは、検索結果として、今回の走行の期間中に追加された物品(ID)に関する情報のみを通知することができ、一方、両者の間に差分が無かったときは、検索結果として、今回の走行中での忘れ物は無かった旨を通知することができる。
【0016】
また、本発明の変形形態によれば、車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置と、該車載装置に無線通信可能に接続された端末装置とを備え、前記車載装置が、IDタグ付きの物品に対し非接触で当該ID情報を読み取り可能なID読み取り部と、前記車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に車内に存在するIDタグ付きの物品に関する情報を逐次格納するメモリ部と、地図情報を格納した地図データベースと、自車の現在位置を検出するGPS受信機と、前記ID読み取り部、メモリ部、地図データベース及びGPS受信機に動作可能に接続された制御部とを有し、前記制御部は、前記車両が自宅を出てから帰ってきたことを検出したときに、前記ID読み取り部を起動させて車内に存在するIDタグ付きの全物品を検索し、該検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報を照合して、該照合に基づいた検索結果を前記端末装置に送信することを特徴とする車内忘れ物管理システムが提供される。
【0017】
上記の基本形態に係る車内忘れ物管理システムでは、端末装置からの「忘れ物検索要求の指示」をトリガとして車内のIDタグ付き物品の検索を行うようにしているが、この変形形態に係る車内忘れ物管理システムでは、「車両が自宅に帰ってきたことの検出」をトリガとして車内のIDタグ付き物品の検索を行うようにしている。この後の処理については、上記の基本形態に係るシステムの場合と基本的に同じである。
【0018】
また、本発明の他の形態によれば、車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置であって、IDタグ付きの物品に対し非接触で当該ID情報を読み取り可能なID読み取り部と、前記車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に車内に存在するIDタグ付きの物品に関する情報を逐次格納するメモリ部と、前記ID読み取り部及びメモリ部に動作可能に接続された制御部とを有し、前記制御部は、外部から忘れ物検索要求の指示を受信したときに、前記ID読み取り部を起動させて車内に存在するIDタグ付きの全物品を検索し、該検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報を照合して、該照合に基づいた検索結果を外部に出力することを特徴とする車載装置が提供される。
【0019】
また、この車載装置の変形形態によれば、車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置であって、IDタグ付きの物品に対し非接触で当該ID情報を読み取り可能なID読み取り部と、前記車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に車内に存在するIDタグ付きの物品に関する情報を逐次格納するメモリ部と、地図情報を格納した地図データベースと、自車の現在位置を検出するGPS受信機と、前記ID読み取り部、メモリ部、地図データベース及びGPS受信機に動作可能に接続された制御部とを有し、前記制御部は、前記車両が自宅を出てから帰ってきたことを検出したときに、前記ID読み取り部を起動させて車内に存在するIDタグ付きの全物品を検索し、該検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報を照合して、該照合に基づいた検索結果を外部に出力することを特徴とする車載装置が提供される。
【0020】
さらに、本発明の他の形態によれば、車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置に無線通信可能に接続された端末装置であって、ユーザ指示を入力する操作部と、画面を備えた表示部と、前記操作部及び表示部に動作可能に接続された制御部とを有し、前記制御部は、前記操作部からのユーザ指示に基づいて前記車載装置に対し車内の忘れ物の検索を要求する旨の指示を送信し、該指示に応答して前記車載装置から送信された検索結果を前記表示部の画面上に表示させることを特徴とする端末装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係る車内忘れ物管理システムの構成をブロック図の形態で概略的に示したものである。
【0023】
本実施形態に係る車内忘れ物管理システム50は、図1に示すように車載装置10と、端末装置30とが無線通信により相互に接続されて構成されている。本実施形態では、車載装置10としてナビゲーション装置を、端末装置30として携帯電話をそれぞれ使用した場合を例にとっている。
【0024】
先ず、車載装置(ナビゲーション装置)10において、11は各縮尺レベル(1/12500、1/25000、1/50000等)に応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られた地図データを格納した地図データベースを示し、その記憶媒体として、例えばHDDを使用している。地図データには、表示用の道路データ、経路探索用の道路データ、各種施設(コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファミリーレストラン等)に関するデータなどが含まれており、各データは、経緯度で表現された点(ノード)の座標集合で表されている。
【0025】
12はユーザが指示する情報を入力するための操作部を示し、例えば、リモコン送信器の形態を有している。特に図示はしないが、このリモコン送信器には、後述する表示部の画面上の各種メニュー、各種項目等を選択したり、選択したメニュー等を実行させるための各種操作ボタン、ジョイスティックなどが適宜設けられている。また、13はGPS衛星から送られてくるGPS信号に基づいて自車の現在位置の経度及び緯度を検出するGPS受信機、14は車両走行状態を検出するための車両センサを示し、自車の進行方位を検出するためのジャイロ等の角度センサ、一定の走行距離毎にパルスを発生する車速センサ等からなる。また、15は後述する制御部によって探索された誘導経路の出発地(典型的には自車位置)から目的地までの全てのノード(経緯度で表現された点の座標)に関するデータを格納しておくための誘導経路記憶部を示す。
【0026】
16はマイクロコンピュータ等により構成された制御部を示し、基本的には、GPS受信機13から出力される信号に基づいて自車の現在位置を検出したり、車両センサ14から出力される信号に基づいて自車の方位や走行速度を算出したり、地図データベース11から読み出した地図データを用いて設定された探索条件で出発地(自車位置)から目的地までの誘導経路を探索するなど、ナビゲーションに係る種々の処理を実行する。さらに制御部16は、本発明に関連する処理として、後述するように端末装置30側と協働して車内忘れ物の検索及びその検索結果の通知に係る処理を制御する機能を有している。
【0027】
17は制御部16からの制御に基づいてナビゲーションに係る案内情報(自車の現在位置の周囲の地図、出発地から目的地までの誘導経路、自車の現在位置を示すマーク等)を画面上に表示するLCDモニタ等からなる表示部、18は制御部16からの制御に基づいて上記のナビゲーションに係る案内情報を音声出力するスピーカを示す。また、19は制御部16からの制御に基づきアンテナを介して外部(この場合、端末装置30)と無線通信するための携帯電話、車載電話等の通信部を示す。
【0028】
20は車内に存在する商品1に付されているIDタグ1aの情報を非接触で読み取るためのIDリーダ(ID読み取り装置)を示し、概ね1〜2m程度の範囲内に存在するIDタグを読みとることが可能なものである。従って、車内に持ち込まれたIDタグ付き商品は、すべてIDリーダ20によって検索することができる。このIDリーダ20は、制御部16により起動されると1〜2mの範囲内に電波を放射し、この範囲内に存在する商品1に付されているIDタグ1a(コイルもしくはアンテナ)がこの放射電波に応答して電波を返信し、この返信された電波(IDタグ情報)を検出することで、当該商品1が何であるかを判断することができる。また、21は車内に存在するIDタグ付き商品1のIDタグ情報を格納しておくためのIDタグ情報格納部を示し、後述するように、制御部16からの制御に基づいて本装置(ナビゲーション装置)10を搭載した車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎にIDタグ情報を逐次格納するものである。
【0029】
また、後述するように必要に応じて、車両が自宅を出たかどうか、また自宅に帰ってきたかどうかを判断するための手段として、少なくとも運転者を映すことができるように車内の適当な場所に車内カメラ22(図中、破線で表示)を設置したり、ドア開閉信号及びエンジン起動/停止信号を適宜利用するようにしてもよい。
【0030】
一方、端末装置(携帯電話)30は、制御部31と、制御部31からの制御に基づきアンテナを介して外部(この場合、車載装置10)と無線通信するための通信部32と、操作部33と、表示部34と、スピーカ35とを備えている。制御部31は、同様にマイクロコンピュータ等により構成され、本発明に関連する処理として、後述するように車載装置(ナビゲーション装置)10側と協働して車内忘れ物の検索要求及びそれに応答して通知される検索結果の表示等に係る処理を制御する機能を有している。
【0031】
また、操作部33には、表示部34の画面上の各種メニューや項目等を選択したり、選択したメニュー等を実行させるための各種操作ボタンが適宜設けられており、本発明に関連するものとして、後述するように車内忘れ物の検索を要求する旨の指示を入力するための操作ボタンが設けられている。また、表示部34はLCD等からなり、この表示部34の画面には、制御部31からの制御に基づいて各種の情報が表示され、本発明に関連するものとして、後述するように車内忘れ物の検索結果を指示する情報が表示される。また、スピーカ35からは、制御部31からの制御に基づいて各種の情報が音声出力され、本発明に関連するものとして、後述するように車内忘れ物の検索結果が音声出力される。
【0032】
本実施形態に係る車内忘れ物管理システム50においては、後述するように、IDタグ情報格納部21に格納されるIDタグ情報(すなわち、車内に持ち込まれたが置き忘れられたIDタグ付き商品:忘れ物)を、車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に管理するようにしたことを特徴とする。従って、例えば買物等のために、車に乗った時点で、前回以前の走行の期間中にIDリーダ20によって既に検索済みの車内に存在するIDタグ付き商品については、今回の走行中にIDリーダ20によって検索されたとしても、検索結果の通知の対象から外すようにしている。つまり、IDリーダ20によって検索されたIDタグ付きの全商品のうち、今回の走行の期間中(車で自宅を出てから帰ってくるまでの間)に追加された商品のみを「検索結果」として端末装置30に通知するようにしている。
【0033】
以下、本実施形態に係る車内忘れ物管理システム50(図1)において車載装置(ナビゲーション装置)10と端末装置(携帯電話)30が協働して行う車内忘れ物の検索及びその検索結果の通知に係る処理について、その処理フローの一例を示す図2と共に、この処理フローを補足説明するための画面表示例を示した図3及び図4を参照しながら説明する。
【0034】
先ず、前提条件として、IDタグ情報格納部21には、前回までの走行の期間中に既にIDリーダ20によって検索済みの車内に存在する幾つかの商品のID情報が格納されているものとする。そして、今回、車に乗って買物に出かけ、幾つかのIDタグ付き商品を購入し(車内に持ち込み)、家に帰って車から降りたものとする。
【0035】
このような状況下で、最初のステップS1では(端末装置30側)、操作部33からのユーザ指示に基づいて制御部31により、通信部32を介して車載装置10側に対し、車内の忘れ物の検索を要求する旨の指令を送信する。
【0036】
次のステップS2では(車載装置10側)、制御部16において、端末装置30から送信されてきた「忘れ物検索要求」の指令を通信部19を介して受信し、この指令に応答してIDリーダ20を起動させる。
【0037】
次のステップS3では(車載装置10側)、制御部16により起動されたIDリーダ20が、車内に存在するIDタグ付きの全商品を検索する(つまり、全商品のID情報を読み取る)。検索された商品には、前提条件において言及したように、前回までの走行の期間中にIDリーダ20によって既に検索済みの商品も含まれている。
【0038】
次のステップS4では(車載装置10側)、制御部16において、IDリーダ20により検索された車内に存在するIDタグ付きの全商品(ID情報)と、メモリ部(IDタグ情報格納部21)に格納されているID情報を比較照合する。
【0039】
次のステップS5では(車載装置10側)、制御部16において、前のステップでの照合結果に基づいて、IDリーダ20により検索されたIDタグ付きの全商品のうち、今回の走行の期間中に追加されたIDタグ付き商品がある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS6に進み、判定結果がNOの場合にはステップS8に進む。
【0040】
ステップS6では(車載装置10側)、制御部16において、IDリーダ20により検索されたIDタグ付きの全商品(ID情報)のなかから、今回新たに追加された商品(ID情報)のみを抽出し、その抽出した当該商品に関する情報(商品名や、場合によってはインターネット経由で取得した当該商品の写真等)を、通信部19を介して端末装置30に送信する。つまり、端末装置30からの「忘れ物検索要求」に対する「検索結果」を通知する。
【0041】
次のステップS7では(車載装置10側)、今回の走行の期間中に新たなIDタグ情報が追加されているので、制御部16からの制御に基づいてメモリ部(IDタグ情報格納部21)に、その追加された商品のIDタグ情報を格納する。そして、車載装置10側の処理フローは「終了」となる。
【0042】
一方、ステップS8では(車載装置10側)、今回の走行の期間中に追加されたIDタグ付き商品が無いため、その旨を指示する情報(例えば、「今回の外出での忘れ物はありません。」といったようなメッセージ)を、制御部16からの制御に基づき通信部19を介して端末装置30に送信する。つまり、ステップS6の場合と同様に、「検索結果」を通知する。そして、車載装置10側の処理フローは「終了」となる。
【0043】
最後のステップS9では(端末装置30側)、制御部31において、車載装置10から送信されてきた「検索結果」を指示する情報を通信部32を介して受信し、その検索結果を表示部34の画面に表示する。この場合、表示態様は2種類ある。
【0044】
一方の表示態様は、ステップS6の処理に基づいた検索結果(今回追加されたIDタグ付き商品があった場合)である。例えば、図3の画面表示例に示すように、携帯電話30の表示部34の画面40に、検索結果を指示する情報41(破線で囲んだ部分)を表示する。図示の例では、「車内に忘れ物があります。1.調味料(胡椒)、2.ティッシュペーパー」のメッセージが表示されている。
【0045】
もう一方の表示態様は、ステップS8の処理に基づく検索結果(今回追加されたIDタグ付き商品が無かった場合)である。例えば、図4の画面表示例に示すように、携帯電話30の表示部34の画面40に、検索結果を指示する情報42(破線で囲んだ部分)を表示する。図示の例では、「今回の外出での忘れ物はありません。」のメッセージが表示されている。
【0046】
なお、「忘れ物検索結果」を表示部34の画面40に表示する代わりに、制御部31からの制御に基づいてスピーカ35から音声出力させるようにしてもよい。
【0047】
このようにして「忘れ物検索結果」を画面40に表示し、あるいはスピーカ35から音声出力させた後、端末装置(携帯電話)30側の処理フローは「終了」となる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る車内忘れ物管理システム50によれば、車載装置10側において、車内の見える場所、見えない場所にかかわらず、車内に存在していればそのIDタグ付き商品1のID情報がIDリーダ20により読み取られ(検索され)、その検索された全ID情報(商品)とIDタグ情報格納部21に格納されているID情報(商品)との比較照合に基づいて、その検索結果を端末装置30に通知するようにしている。
【0049】
これによって、端末装置30側では、その通知された検索結果から車内に存在する全ての忘れ物を把握することができ、また、その商品(忘れ物)に付されたID情報から当該商品が何であるかを知ることができる(図3参照)。つまり、車内に存在する全ての忘れ物を車両の外部(遠隔地)から確認することができる。
【0050】
この場合、車載装置10側での照合結果に基づいて、検索された全ID情報とIDタグ情報格納部21に格納されているID情報との間に差分があったときは、今回の走行の期間中に追加された商品に関する情報のみを通知することができ(ステップS6)、一方、検索された全ID情報とIDタグ情報格納部21に格納されているID情報との間に差分が無かったときは、その旨を指示する情報(今回の走行中での忘れ物は無かった旨)を通知することができる(ステップS8)。
【0051】
上述した実施形態では、図2の処理フローに例示したように、端末装置30からの「忘れ物検索要求」をトリガとして車載装置10のIDリーダ20を起動させ、車内に存在するIDタグ付きの全商品1を検索してその結果を端末装置30側に通知する場合を例にとって説明したが、本発明の要旨からも明らかなように、検索を開始してその結果を通知するためのトリガとなる条件はこれに限定されないことはもちろんである。
【0052】
例えば、車載装置10側において、車両が自宅を出たことを検出し、さらに自宅を出てから帰ってきたことを検出し、その「帰ってきたことの検出」をトリガとして、その時点で車内に存在するIDタグ付きの全商品を検索するようにしてもよい。
【0053】
この場合、車両が自宅を出たかどうか、また自宅に帰ってきたかどうかの判断は、例えば、地図データベース11から得られる地図情報と、GPS受信機13の出力信号から得られる自車位置の情報と、車内の適当な場所に設置されるカメラ(図1に破線で示す車内カメラ22)で撮像される車内映像と、ドア開閉信号もしくはエンジン起動/停止信号、又は両信号の組合せとに基づいて、行うことができる。すなわち、制御部16により、地図情報を参照して自車位置が自宅の位置にあることを検出し、さらにドア開閉信号もしくはエンジン起動信号を検出すると共に、車内カメラ22で撮像される車内映像に運転者が映っていることを検出したときに、自宅を出たものと判断することができる。同様に、地図情報を参照して自車位置が自宅の位置にあることを検出し、さらにエンジン停止信号もしくはドア開閉信号を検出すると共に、車内カメラ22で撮像される車内映像に運転者が映っていないことを検出したときに、自宅に帰ってきたものと判断することができる。そして、この「帰ってきたことの検出」をトリガとして、制御部16からの制御に基づきIDリーダ20を起動させて、車内に存在するIDタグ付きの全商品を検索する(ステップS3)。後は、ステップS4以降で行った処理と基本的に同じである。
【0054】
また、上述した実施形態では、車内忘れ物管理システム50を構成する端末装置30が携帯電話(図3、図4)の場合を例にとって説明したが、この携帯電話の代わりに、無線LANに接続する機能を備えた通信装置やPDAなどの端末装置を用いてもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る車内忘れ物管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1のシステムにおいて車載装置(ナビゲーション装置)と端末装置(携帯電話)が協働して行う車内忘れ物の検索及びその検索結果の通知に係る処理の一例を示すフロー図である。
【図3】検索結果の表示に係る画面表示例(その1)を示す図である。
【図4】検索結果の表示に係る画面表示例(その2)を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…IDタグ付き商品(物品)、
1a…IDタグ、
10…ナビゲーション装置(車載装置)、
11…地図データベース、
12,33…操作部、
13…GPS受信機、
16,31…制御部、
17,34…表示部、
18,35…スピーカ、
19,32…通信部、
20…IDリーダ(ID読み取り部)、
21…IDタグ情報格納部(メモリ部)、
22…車内カメラ(撮像手段)、
30…携帯電話(端末装置)、
40…表示画面、
41,42…検索結果を指示する情報、
50…車内忘れ物管理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置と、該車載装置に無線通信可能に接続された端末装置とを備え、
前記車載装置が、IDタグ付きの物品に対し非接触で当該ID情報を読み取り可能なID読み取り部と、前記車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に車内に存在するIDタグ付きの物品に関する情報を逐次格納するメモリ部と、前記ID読み取り部及びメモリ部に動作可能に接続された制御部とを有し、
前記制御部は、前記端末装置から忘れ物検索要求の指示を受信したときに、前記ID読み取り部を起動させて車内に存在するIDタグ付きの全物品を検索し、該検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報を照合して、該照合に基づいた検索結果を前記端末装置に送信することを特徴とする車内忘れ物管理システム。
【請求項2】
車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置と、該車載装置に無線通信可能に接続された端末装置とを備え、
前記車載装置が、IDタグ付きの物品に対し非接触で当該ID情報を読み取り可能なID読み取り部と、前記車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に車内に存在するIDタグ付きの物品に関する情報を逐次格納するメモリ部と、地図情報を格納した地図データベースと、自車の現在位置を検出するGPS受信機と、前記ID読み取り部、メモリ部、地図データベース及びGPS受信機に動作可能に接続された制御部とを有し、
前記制御部は、前記車両が自宅を出てから帰ってきたことを検出したときに、前記ID読み取り部を起動させて車内に存在するIDタグ付きの全物品を検索し、該検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報を照合して、該照合に基づいた検索結果を前記端末装置に送信することを特徴とする車内忘れ物管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報との照合に基づいて、今回の走行の期間中に追加されたIDタグ付きの物品があった場合に当該物品のみを抽出し、該抽出した物品に関する情報を検索結果として前記端末装置に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の車内忘れ物管理システム。
【請求項4】
前記端末装置は、前記忘れ物検索要求の指示を入力する操作部と、前記車載装置から送信された前記検索結果を画面上に表示する表示部とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車内忘れ物管理システム。
【請求項5】
前記端末装置は、前記車載装置から送信された前記検索結果を音声出力するスピーカを更に有することを特徴とする請求項4に記載の車内忘れ物管理システム。
【請求項6】
車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置であって、
IDタグ付きの物品に対し非接触で当該ID情報を読み取り可能なID読み取り部と、 前記車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に車内に存在するIDタグ付きの物品に関する情報を逐次格納するメモリ部と、
前記ID読み取り部及びメモリ部に動作可能に接続された制御部とを有し、
前記制御部は、外部から忘れ物検索要求の指示を受信したときに、前記ID読み取り部を起動させて車内に存在するIDタグ付きの全物品を検索し、該検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報を照合して、該照合に基づいた検索結果を外部に出力することを特徴とする車載装置。
【請求項7】
車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置であって、
IDタグ付きの物品に対し非接触で当該ID情報を読み取り可能なID読み取り部と、 前記車両が自宅を出てから帰ってくるまでの1回の走行の単位毎に車内に存在するIDタグ付きの物品に関する情報を逐次格納するメモリ部と、
地図情報を格納した地図データベースと、
自車の現在位置を検出するGPS受信機と、
前記ID読み取り部、メモリ部、地図データベース及びGPS受信機に動作可能に接続された制御部とを有し、
前記制御部は、前記車両が自宅を出てから帰ってきたことを検出したときに、前記ID読み取り部を起動させて車内に存在するIDタグ付きの全物品を検索し、該検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報を照合して、該照合に基づいた検索結果を外部に出力することを特徴とする車載装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記検索した全物品と前記メモリ部に格納されている情報との照合に基づいて、今回の走行の期間中に追加されたIDタグ付きの物品があった場合に当該物品のみを抽出し、該抽出した物品に関する情報を検索結果として外部に出力することを特徴とする請求項6又は7に記載の車載装置。
【請求項9】
車内を撮像する撮像手段を更に有し、
前記制御部は、前記地図情報を参照して前記自車の現在位置が自宅の位置にあることを検出し、さらにエンジン停止信号もしくはドア開閉信号を検出すると共に、前記撮像手段により撮像された車内映像に運転者が映っていないことを検出したときに、前記車両は自宅に帰ってきたものと判断することを特徴とする請求項7に記載の車載装置。
【請求項10】
外部の端末装置に無線通信可能に接続されることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の車載装置。
【請求項11】
車両に搭載されたナビゲーション機能を備えた車載装置に無線通信可能に接続された端末装置であって、
ユーザ指示を入力する操作部と、
画面を備えた表示部と、
前記操作部及び表示部に動作可能に接続された制御部とを有し、
前記制御部は、前記操作部からのユーザ指示に基づいて前記車載装置に対し車内の忘れ物の検索を要求する旨の指示を送信し、該指示に応答して前記車載装置から送信された検索結果を前記表示部の画面上に表示させることを特徴とする端末装置。
【請求項12】
前記検索結果を音声出力するスピーカを更に有することを特徴とする請求項11に記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−301909(P2006−301909A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122105(P2005−122105)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】