説明

車載型健康管理装置

【課題】 自動車の乗車中であっても血圧及び体脂肪を容易に測定できる車載型健康管理装置を提供する。
【解決手段】 自動車のステアリングホイール20にセンシングユニット11,12をそれぞれ配設する。各センシングユニット11,12は、被検者の手から脈波を測定するための脈波センシング部と、身体のインピーダンスを測定するためのインピーダンスセンシング部とを備えている。被検者の左手を一方のセンシングユニット11に、右手を他方のセンシングユニット12にそれぞれ接触させて血圧及び体脂肪を同時に測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧計としての機能と体脂肪計としての機能とを搭載した健康管理装置であって、自動車への乗車中であっても簡単に測定動作を行うことが可能な車載型健康管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成人病を予防する上で日々の健康管理(高血圧や肥満の予防)が重要であることが知られている。そのために、定期的に血圧や体脂肪率の測定が行われており、近年では、一般家庭向けの電動式血圧計や体脂肪計が普及してきている。
【0003】
これまでの一般的な血圧計は、腕帯(カフ)を備えており、このカフを被検者の上腕または手首に巻いた状態で、このカフに空気を加圧充填して血圧測定を行っている(例えば下記の特許文献1参照)。
【0004】
しかし、これまでの血圧計では、カフを巻く煩わしさや、カフに空気を加圧充填した際の圧迫による違和感や、人目が気になる等といった課題があった。
【0005】
この課題を解決するものとして、身体の2箇所以上の部位の脈波を測定し、第1の脈波を基準として、第2の脈波までの時間差を求め、その値から血圧値が算出できる技術が下記の特許文献2に開示されている。
【0006】
一方、成人病予防の指標として近年注目されている体脂肪率を測定する体脂肪計(例えば下記の特許文献3参照)は、被検者が外部から接触できる複数の電極を備え、これら電極への被検者の接触によって身体のインピーダンスが測定できるようになっている。また、この測定されたインピーダンスから体脂肪率を演算するための演算式が記憶されている。そして、体脂肪測定時には、被検者がその個人の身体データとして、身長、体重、性別、年齢等を入力し、その後、上記インピーダンスの測定動作を行い、これら身体データ及び身体のインピーダンスに基づく演算処理によって体脂肪率が求められるようになっている。
【特許文献1】特開2002−51993号公報
【特許文献2】特開2000−107141号公報
【特許文献3】特開2002−159461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これまで、血圧計及び体脂肪計はそれぞれ個別の装置として構成されていた。このため、血圧測定と体脂肪測定とは、別々の装置によって個別に行う必要があり、測定作業が煩雑であるばかりでなく、測定に要する時間を長く要してしまう。特に、自動車の運転中に血圧や体脂肪率を測定することは殆ど不可能であり、この測定は自動車を停車させた状態でなければ行うことができなかった。このため、自動車の運転に従事している者にとっては任意の時間に血圧や体脂肪率を測定するといったことはできなかった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車への乗車中(例えば運転中)であっても血圧及び体脂肪を容易に測定できる車載型健康管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、自動車のステアリングホイールやシフトレバーや座席に血圧計としての機能と体脂肪計としての機能を搭載している。これにより、運転者や同乗者が自然な姿勢で、血圧や体脂肪率を測定していることを意識することなく、これらの測定ができる。また、この測定結果を利用して、被検者が運転可能な体調にあるかを判断したり、快適な室内空間を実現するための環境調整をしたりもできる。
【0010】
−解決手段−
具体的に、本発明は、発光素子及び受光素子により構成される複数の脈波センシング部と、身体のインピーダンスを測定するための複数のインピーダンスセンシング部と、上記複数の脈波センシング部からの脈波信号を受け、2箇所以上で検出される脈波の時間差から血圧値を求める血圧測定手段と、上記各インピーダンスセンシング部間のインピーダンス値及び予め入力された身体データから体脂肪率を演算する体脂肪率演算手段とを、自動車の車室内装備品に組み込んだ構成としている。
【0011】
この特定事項によれば、自動車の運転者や同乗者が、車室内装備品に組み込まれた健康管理装置に接触することで、一つの脈波センシング部の受光素子によって得られた脈波信号と、他の一つの脈波センシング部の受光素子によって得られた脈波信号とを血圧測定手段が受信し、これら脈波の時間差から血圧値が求められる。一方、各インピーダンスセンシング部間のインピーダンス値及び被検者の体重、身長、年齢、性別等といったデータに基づいて体脂肪率演算手段が体脂肪率を演算する。このようにして、自動車の乗車中であっても健康管理装置によって血圧及び体脂肪を同時に測定することができる。
【0012】
具体的な上記自動車の車室内装備品としては、ステアリングホイールやシフトレバーや座席が掲げられる。
【0013】
本解決手段において、発光素子の発光波長及び受光素子の感度波長として780〜1000nmである近赤外線領域を使用したり、360〜660nmを使用することが掲げられる。
【0014】
また、上記一つの脈波センシング部と一つのインピーダンスセンシング部とは身体の同一箇所をセンシングするように一体化されている。
【0015】
また、発光素子及び受光素子の一対をIrDAの発光素子及び受光素子と併用させることにより、従来の通信機能としての構成をそのまま使用して血圧測定機能を搭載することが可能になる。
【0016】
この場合、測定結果である血圧値及び体脂肪率の情報をIrDAによって外部装置に送信したり、または外部装置から被検者の身体データを取得可能な構成としてもよい。これによれば、外部装置に血圧値及び体脂肪率の情報を記憶させておくことができ、また、この外部装置に記憶させておいた被検者の身体データを呼び出すことにより、測定の度に身体データを入力するといった手間を省くことができる。
【0017】
更に、上記車載型健康管理装置には血糖値センサを搭載してもよい。この場合の血糖値センサとしては、化学式検出方法によって血糖値を測定するものや、光学式検出方法によって血糖値を測定するものが掲げられる。
【0018】
上述した測定結果を反映させる動作としては、測定結果に基づいて被検者が自動車の運転が可能な体調にあるか否かを判定し、その判定結果を通知するもの、測定結果に基づいて自動車の空気調和装置の設定風量や設定温度を調整するもの、測定結果に基づいて自動車の音響機器の音量を調整するものが掲げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、自動車の運転中等に血圧や体脂肪率を測定することが可能になり、利便性が向上する。また、測定結果に応じて空調状態や音響状態を調整することにより、車室内に快適な環境を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明は、自動車の車室内装備品としてのステアリングホイールやシフトレバーやシート(座席)を利用して車載型健康管理装置を構成した場合について説明する。
【0021】
−車載型健康管理装置の基本システム構成−
車載型健康管理装置の具体構成(ステアリングホイール等に一体的に組み込んだ構成)を説明する前に、血圧測定及び体脂肪測定を行うための基本システム構成について図1の測定ブロック図を用いて説明する。
【0022】
この図1に示すように、本車載型健康管理装置は、左手から脈波を測定するための第1脈波センシング部2、右手から脈波を測定するための第2脈波センシング部3を備えている。
【0023】
上記第1脈波センシング部2は、第1発光素子2A及び第1受光素子2Bを備えている一方、上記第2脈波センシング部3は、第2発光素子3A及び第2受光素子3Bを備えている。また、上記第1受光素子2B及び第2受光素子3Bそれぞれで得られた脈波信号を受信する血圧値計測部7が備えられている。
【0024】
この構成により、上記第1受光素子2Bによって得られた左手の脈波信号と、第2受光素子3Bによって得られた右手の脈波信号とが血圧値計測部7に送信され、この血圧値計測部7において血圧値が測定される。つまり、2つの部位による脈波(脈拍)の時間差によって求められる脈波伝播時間を求めることによって、この脈波伝播時間に相関関係のある血圧値を知ることができる。尚、血管の脈拍をセンシングするためには、血管中の血液の動きを検知する必要があり、例えば、血液中に含まれている赤血球中の酸化ヘモグロビンの吸収光スペクトル特性を利用し、ある特定の波長の光を照射すると酸化ヘモグロビンの吸収によって反射光量が減少する、という特性を利用してセンシングを行うようにしている。
【0025】
また、本車載型健康管理装置は、第1インピーダンスセンシング部4及び第2インピーダンスセンシング部5を備えている。第1インピーダンスセンシング部4は、左手が接触するものであって、電流印加用電極4Aと電圧検知用電極4Bとを備えている。一方、第2インピーダンスセンシング部5は、右手が接触するものであって、上記第1インピーダンスセンシング部4と同様に、電流印加用電極5Aと電圧検知用電極5Bとを備えている。更に、被検者の体重、身長、年齢、性別等のデータの直接入力またはこれらデータの受信(後述する外部装置30からの受信)が可能な数値入力部9が備えられている。
【0026】
この構成により、各インピーダンスセンシング部4,5によって測定された身体のインピーダンス値と、数値入力部9から入力された(または数値入力部9が受信した)、被検者の体重、身長、年齢、性別等のデータとが体脂肪率計測部6に送信され、この体脂肪率計測部6において体脂肪率が算出される構成となっている。
【0027】
このようにして求められた血圧値及び体脂肪率の情報は表示部8に送信され、この表示部8において被検者に視認可能に表示または、この表示部8から外部装置30への情報通信によってこの外部装置30の表示画面に表示されるようになっている。
【0028】
ここで、上記第1及び第2の脈波センシング部2,3の第1及び第2の発光素子2A,3Aの発光波長として近赤外領域である780〜1000nmを使い、第1と第2の受光素子2B,3Bの感度波長として同じく近赤外領域である780〜1000nmを使っている。
【0029】
また、これに代えて、上記第1及び第2の脈波センシング部2,3の第1及び第2の発光素子2A、3Aの発光波長として360〜660nmを使い、第1と第2の受光素子2B,3Bの感度波長として360〜660nmを使ってもよい。これは、血液中の酸化ヘモグロビンの吸収光特性上、360〜660nmの波長成分光の吸収が高いという特性を利用するものである。
【0030】
−センシング部の構成説明−
次に、上記各脈波センシング部2,3及び各インピーダンスセンシング部4,5の具体構成について説明する。左手用の第1脈波センシング部2及び第1インピーダンスセンシング部4は一体化されて第1センシングユニット11として構成されており、同様に、右手用の第2脈波センシング部3及び第2インピーダンスセンシング部5は一体化されて第2センシングユニット12として構成されている。各センシングユニット11,12は共に同一構成である。このため、ここでは一方(左手用)の第1センシングユニット11を代表して説明する。
【0031】
図2は、第1センシングユニット11を示しており、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。これら図に示すように、上記第1脈波センシング部2と第1インピーダンスセンシング部4とが一体化されて第1センシングユニット11が構成されており、人体の一部(手の指等)の同一箇所で脈波センシングとインピーダンスセンシングとが可能な構成となっている。詳しくは、第1センシングユニット11は正面視が略楕円形状を成し、その中央部に形成された凹部内に第1発光素子2A及び第1受光素子2Bが収容されている。また、電流印加用電極4A及び電圧検知用電極4Bはそれぞれ第1センシングユニット11の表面に設けられている。尚、第2センシングユニット12も同様の構成となっている。
【0032】
−ステアリングホイールへの組み込み状態−
次に、上述した基本システム構成を備えた車載型健康管理装置がステアリングホイールへ組み込まれた場合の構成及び測定動作について説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図3は、第1実施形態に係るステアリングホイール20及びこのステアリングホイール20に組み込まれた車載型健康管理装置との間で通信が可能な外部装置30(例えば携帯電話機)を示している。
【0034】
この図3に示すように、ステアリングホイール20上において運転者が把持する部分に各センシングユニット11,12がそれぞれ配設されている。具体的には、ステアリングホイール20の正面視において左下部分(所謂8時の位置)に第1センシングユニット11が、またステアリングホイール20の正面視において右下部分(所謂4時の位置)に第2センシングユニット12がそれぞれ埋め込まれている。
【0035】
また、上記各センシングユニット11,12のうち一方のセンシングユニット(例えば第2センシングユニット12)の第2発光素子3Aは、赤外線通信素子であるIrDA(Infrared Data Association)により構成されており、測定された血圧値及び体脂肪率の情報がこのIrDAによる赤外線通信によって外部装置30に送信されるようになっている。このため、外部装置30にも赤外線通信用のIrDA31が備えられている。更に、この外部装置30には、血圧や体脂肪率を計測する上で必要となる情報を記憶しており、この情報を車載型健康管理装置に送信するようにもなっている。この送信情報としては、被検者の体重、身長、年齢、性別、リファレンス血圧等である。
【0036】
自動車の運転中には、運転者は第1センシングユニット11に左手が接触し、且つ第2センシングユニット12に右手が接触している。これにより、第1センシングユニット11の第1受光素子2Bによって得られた左手の脈波信号と、第2センシングユニット12の第2受光素子3Bによって得られた右手の脈波信号とが血圧値計測部7に送信されて血圧値が測定される。また、第1センシングユニット11の第1インピーダンスセンシング部4と第2センシングユニット12の第2インピーダンスセンシング部5との間で測定された身体のインピーダンス値と、数値入力部9から入力された(または外部装置30から受信した)、被検者の体重、身長、年齢、性別等のデータとが体脂肪率計測部6に送信され、この体脂肪率計測部6において体脂肪率が算出される。このようにして求められた血圧値及び体脂肪率の情報が外部装置30に送信され、この外部装置30に備えられた表示パネル32上に表示されるとともに、上記情報が記憶される。また、上記血圧値及び体脂肪率の値は、車室内のインストルメントパネル上にも表示される。
【0037】
(第2実施形態)
本形態は、上述した第1実施形態の構成に加えて、シフトレバーにもセンシングユニットを備えさせたものである。つまり、図4に示すように、ステアリングホイール20に備えられた第1及び第2のセンシングユニット11,12に加えて、シフトレバー40の把持部41に第3のセンシングユニット13を埋め込んだ構成としている。この第3センシングユニット13の構成は、上述した第1実施形態における第1センシングユニット11と略同一であるのでここでの説明は省略する。
【0038】
本形態の構成において、自動車の運転中には、運転者は第1センシングユニット11に左手が接触し且つ第2センシングユニット12に右手が接触する運転姿勢、または、シフトレバー40に左手が接触し且つ第2センシングユニット12に右手が接触する運転姿勢となる。
【0039】
前者の運転姿勢の場合には、上述した第1実施形態の場合と同様にして血圧値及び体脂肪率が測定される。
【0040】
一方、後者の運転姿勢の場合には、第3センシングユニット13の受光素子によって得られた左手の脈波信号と、第2センシングユニット12の第2受光素子3Bによって得られた右手の脈波信号とが血圧値計測部7に送信されて血圧値が測定される。また、第3センシングユニット13のインピーダンスセンシング部と第2センシングユニット12の第2インピーダンスセンシング部5との間で測定された身体のインピーダンス値と、数値入力部9から入力された(または外部装置30から受信した)、被検者の体重、身長、年齢、性別等のデータとが体脂肪率計測部6に送信され、この体脂肪率計測部6において体脂肪率が算出される。このようにして求められた血圧値及び体脂肪率の情報が外部装置30に送信され、この外部装置30に備えられた表示パネル32上に表示されるとともに、上記情報が記憶される。また、上記血圧値及び体脂肪率の値は、車室内のインストルメントパネル上にも表示される。
【0041】
(第3実施形態)
本形態は、上述した第2実施形態の構成に加えて、各センシングユニット11,12,13に血糖値センサを備えさせ、これによって血圧値、体脂肪率、血糖値を測定可能な構成としたものである。
【0042】
図5に示すように、本形態の構成では、測定された血圧値、体脂肪率、血糖値の情報が外部装置30に送信され、この外部装置30に備えられた表示パネル32上に表示されるとともに、上記情報が記憶される。また、上記血圧値、体脂肪率、血糖値は、車室内のインストルメントパネル50上にも表示される。
【0043】
尚、本実施形態における血糖値センサとしては、周知の化学式血糖値センサであってもよいし光学式血糖値センサであってもよい。
【0044】
−シートへの組み込み状態−
(第4実施形態)
次に、上述した基本システム構成を備えた車載型健康管理装置が車室内のシート(座席)に組み込まれた場合の構成及び測定動作について説明する。
【0045】
図6は、本第4実施形態に係るシート60を示している。
【0046】
この図6に示すように、シート60に備えられた左右のアームレスト61,62のうち左手用アームレスト61に第1センシングユニット11が、また、右手用アームレスト62に第2センシングユニット12がそれぞれ埋め込まれている。これらセンシングユニット11,12の埋め込み位置は、シート60に着座して各アームレスト61,62上に腕を置いた場合に、掌や指先が触れる位置に設定されている。
【0047】
また、本形態の場合にも各センシングユニット11,12のうち一方のセンシングユニット(例えば第2センシングユニット12)の第2発光素子3Aは、赤外線通信素子であるIrDAにより構成されており、測定された血圧値及び体脂肪率の情報がこのIrDAによる赤外線通信によって図示しない外部装置に送信されるようになっている。この外部装置は上述した各実施形態のものと同じであるのでここでの説明は省略する。
【0048】
自動車の乗員がシート60に着座し各アームレスト61,62上に腕を置いた状態では、第1センシングユニット11に左手が接触し、且つ第2センシングユニット12に右手が接触する。これにより、第1センシングユニット11の第1受光素子2Bによって得られた左手の脈波信号と、第2センシングユニット12の第2受光素子3Bによって得られた右手の脈波信号とが血圧値計測部7に送信されて血圧値が測定される。また、第1センシングユニット11の第1インピーダンスセンシング部4と第2センシングユニット12の第2インピーダンスセンシング部5との間で測定された身体のインピーダンス値と、数値入力部9から入力された(または外部装置30から受信した)、被検者の体重、身長、年齢、性別等のデータとが体脂肪率計測部6に送信され、この体脂肪率計測部6において体脂肪率が算出される。このようにして求められた血圧値及び体脂肪率の情報が外部装置30に送信され、この外部装置30に備えられた表示パネル32上に表示されるとともに、上記情報が記憶される。また、上記血圧値及び体脂肪率の値は、車室内のインストルメントパネル上にも表示される。
【0049】
尚、本実施形態に係るシートは、運転席、助手席、後部座席の何れにも適用可能である。
【0050】
−測定値に基づく自動車の対応動作−
上述した各実施形態のものは、測定結果を表示するするのみであったが、以下の各実施形態は、この測定値に基づき、それに対応した動作を自動車が行うものである。
【0051】
(第5実施形態)
本形態では、測定値に基づいて被検者が自動車の運転が可能な体調にあるか否かを判定し、その判定結果を通知するようにしたものである。
【0052】
具体的には、例えば、測定値に基づき、被検者は眠くなっているか否か、脈拍が通常よりも極端に速くなっているか否か、血圧が通常よりも極端に高くなっているか否か、糖尿病による意識が混濁し意識不明になる状況であるか否かといったことを判断し、それに応じて、インストルメントパネル上に「危険」等の文字表示を行うようになっている。また、音声による報知を行ってもよい。これら制御動作は、車載型健康管理装置に備えられた図示しない通知手段によって実行される。また、被検者が自動車の運転が可能な体調ではないにも拘わらず自動車の運転が行われる状況では、自動車を自動停止させるようにしてもよい。
【0053】
(第6実施形態)
本形態では、測定値に基づいて空気調和装置の設定風量や設定温度等を調整するようにしたものである。
【0054】
具体的には、例えば、空気調和装置の温度、風量、風向、湿度等を調整するものであって、運転者の血圧が高くなった場合には、この運転者に対する吹き出し風量を多くし且つ吹き出し温度を低く設定するなどといった調整を行う。例えば、上述した第4実施形態に係るシート60を、運転席、助手席、後部座席のそれぞれに使用した場合には、乗員それぞれの体調に応じた空調状態を個別設定することが可能になる。これら制御動作は、車載型健康管理装置に備えられた図示しない空調制御手段によって実行される。
【0055】
(第7実施形態)
本形態では、測定値に基づいて音響機器の音量を調整するようにしたものである。
【0056】
具体的には、例えば、運転者の血圧を測定している場合に、運転者が眠くなっていると判断した場合には音響機器の音量を増大させるようにしている。
【0057】
また、上述した第4実施形態に係るシート60を、運転席、助手席、後部座席のそれぞれに使用した場合において、運転者以外の乗員が眠くなっていると判断した場合には、その乗員の着座位置に近いスピーカからの音量を小さくすることも可能である。これら制御動作は、車載型健康管理装置に備えられた図示しない音響制御手段によって実行される。
【0058】
尚、上述した各実施形態では、ステアリングホイール20に第1及び第2のセンシングユニット11,12を1個ずつ配置していたが、それぞれを複数個配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】血圧測定及び体脂肪測定を行うための基本システム構成を示す測定ブロック図である。
【図2】センシングユニットを示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】第1実施形態に係るステアリングホイール及び外部装置を示す図である。
【図4】第2実施形態に係るステアリングホイール、シフトレバー及び外部装置を示す図である。
【図5】第3実施形態に係るステアリングホイール、シフトレバー及び外部装置を示す図である。
【図6】第4実施形態に係るシートを示す図である。
【符号の説明】
【0060】
2 第1脈波センシング部
2A 第1発光素子
2B 第1受光素子
3 第2脈波センシング部
3A 第2発光素子
3B 第2受光素子
4 第1インピーダンスセンシング部
5 第2インピーダンスセンシング部
6 体脂肪率計測部(体脂肪率演算手段)
7 血圧値計測部(血圧測定手段)
8 表示部
20 ステアリングホイール
40 シフトレバー
60 シート(座席)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子及び受光素子により構成される複数の脈波センシング部と、
身体のインピーダンスを測定するための複数のインピーダンスセンシング部と、
上記複数の脈波センシング部からの脈波信号を受け、2箇所以上で検出される脈波の時間差から血圧値を求める血圧測定手段と、
上記各インピーダンスセンシング部間のインピーダンス値及び予め入力された身体データから体脂肪率を演算する体脂肪率演算手段とが、自動車の車室内装備品に組み込まれた構成となっていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の車載型健康管理装置において、
上記自動車の車室内装備品は、ステアリングホイールであることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項3】
上記請求項1記載の車載型健康管理装置において、
上記自動車の車室内装備品は、シフトレバーであることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項4】
上記請求項1記載の車載型健康管理装置において、
上記自動車の車室内装備品は座席であることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項5】
上記請求項1〜4のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
発光素子の発光波長及び受光素子の感度波長が780〜1000nmである近赤外線領域を使用する構成となっていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項6】
上記請求項1〜4のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
発光素子の発光波長及び受光素子の感度波長として360〜660nmを使用する構成となっていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項7】
上記請求項1〜6のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
一つの脈波センシング部と一つのインピーダンスセンシング部とは身体の同一箇所をセンシングするように一体化されて構成されていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項8】
上記請求項1〜7のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
発光素子及び受光素子の一対をIrDAの受光素子や発光素子と併用した構成となっていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項9】
上記請求項1〜8のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
測定結果である血圧値及び体脂肪率の情報をIrDAによって外部装置に送信したり、または外部装置から被検者の身体データを取得可能な構成とされていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項10】
上記請求項1〜9のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
血糖値センサも備えていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項11】
上記請求項10記載の車載型健康管理装置において、
血糖値センサは化学式検出方法によって血糖値を測定する構成となっていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項12】
上記請求項11記載の車載型健康管理装置において、
血糖値センサは光学式検出方法によって血糖値を測定する構成となっていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項13】
上記請求項1〜12のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
測定結果に基づいて、被検者が自動車の運転が可能な体調にあるか否かを判定し、その判定結果を通知する通知手段を備えていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項14】
上記請求項1〜13のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
測定結果に基づいて、自動車の空気調和装置の設定風量や設定温度を調整する空調制御手段を備えていることを特徴とする車載型健康管理装置。
【請求項15】
上記請求項1〜14のうち何れか一つに記載の車載型健康管理装置において、
測定結果に基づいて、自動車の音響機器の音量を調整する音響制御手段を備えていることを特徴とする車載型健康管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−26211(P2006−26211A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211587(P2004−211587)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】