説明

車載機器用支持具

【課題】車載機器の設置高さを低く抑えることができる車載機器用支持具を提供する
【解決手段】樹脂製の台座部11と、その台座部に取り付けられたゴム製のボール保持部12と、そのボール保持部に連携される取付部材13と、を備える。台座部は、ベース部14と、そのベース部の上面側に突出して設けられた中空のケース部を有する。ケース部は、前面に開口部15bを有する。ボール保持部12は、ケース部に収納されると共に、開口部15bに対向する部位に開口する球面状の凹部を有する。取付部材13に設けたボール部13aを凹部に挿入してボールジョイントを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器を車両のダッシュボード等の取付面上に設置するための車載機器用支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載機器の多くは、運転者が操作する都合からダッシュボード上に固定する配置を採ることが多い。例えばGPS受信機などの表示パネルを有する車載機器では、運転者の操作性はもちろん、視認性も良好に得るため、ダッシュボードの上面で運転の妨げにならない位置を選ぶことになる。そして、車載機器の向きを調整したいという要請があり、姿勢の変更可能な車載機器用支持具を介して車載機器をダッシュボード上等に設置することがある。
【0003】
この車載機器用支持具の一例としては、例えば図1に示すように、ダッシュボードに取り付ける台座部1と、その台座部1の上面に回転可能に取り付けられ、車載機器3を取り付けるための取付部材2と、を備えたものがある。この支持具の台座部1は、ゴム製であり、平板状の基板部の上面に、球面状の凹部1aを設けている。一方、取付部材2は、その下面に凹部1aに符合するボール部2aを備え、そのボール部2aを凹部1a内に装着する。この取付部材2は、プラスチック等の比較的剛性(台座部1に比べて)のある樹脂等で形成される。よって、ボール部2aを凹部1aの上方開口部に接触させると共に下方に向けて付勢すると、ゴム製の台座部1は、弾性変形により凹部1aの上方開口部が広がりボール部2aが凹部1a内に挿入される。挿入後は、凹部1aの上方開口部は狭まり、不用意にボール部2aが凹部1aから離脱するのは抑制される。また、ボール部2aと凹部1aとでボールジョイントを構成する。これにより、取付部材2ひいてはその取付部材2に固定される車載機器3が、台座部1に対して所定角度範囲内で回転し、所望の姿勢にすることができる。そして、ボール部2aと凹部1a間に生じる摩擦力等により、係る所望の姿勢を保持することができる。この種の支持具は、例えば特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−179152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1から明らかなように、取付部材2のボール部2aは、車載機器3よりも下方に突出し、台座部1の凹部1a内に収納される構成を採るため、ボール部2aを支持する機構が車載機器3の下方に存在することになり、車載機器3の設置位置が高くなる。さらに、台座部1はゴムで構成しているため、あまり薄いと車載機器3の重さに耐えられなくなることから、ある程度の厚みを増す必要がある。そうすると、さらに車載機器3の設置位置が高くなる。また、昨今の表示部の大型化に伴う車載機器3の重量の増加に伴い、係る問題は顕著になる。そして、設置位置が高くなると、運転中の運転者の視界に入りやすくなる。
【0006】
よって、車載機器3の設置高さを低くしたいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る車載機器用支持具は、(1)台座部と、 その台座部に取り付けられたボール保持部と、そのボール保持部に連携される取付部材と、を備え、前記台座部は硬質部材で形成すると共に、前記ボール保持部は軟質部材で形成し、 前記台座部は、ベース部と、そのベース部の上面側に突出して設けられた中空のケース部と、を有し、前記ケース部は、前面に開口部を有し、前記ボール保持部は、前記ケース部に収納されると共に、前記開口部に対向する部位に開口する球面状の凹部を有し、前記取付部材に設けたボール部を前記凹部に挿入してボールジョイントを構成するようにした。ボールジョイントを構成する一方のボール保持部は、前面に開口部を有することから、取付部材のボール部とボール部保持部を車載機器の後方に位置させることができる。よって、車載機器用支持具に装着した車載機器の設置位置を低く抑えることができる。さらに、台座部は硬質部材で形成されるため、ベース部等を薄型にしても強度が確保できる。ボール保持部を構成する軟質部材は、台座部の材質に比べて相対的に軟質であることを意味する。そして、取付部材のボール部と共にボールジョイントを構成するという要件があるため、ボール部が凹部内で所定角度範囲内で回転可能とすると共に、任意の位置でその姿勢をとどめることができるようになっている必要はある。よって、軟質部材とは言っても、車載機器を連結した取付部材を保持するだけの強度は必要となるのはもちろんである。また、ボール保持部を肉厚にして強度を持たせても、車載機器の位置が高くなることはなく、低い位置を保持できる。また、設置状態では、運転者から見てボール保持部は車載機器の後側に位置して隠れているので、仮にボール保持部の高さや前後方向の厚みを増したとしても、目障りになることはない。そして、そのようにボール保持部の寸法形状を適宜大きくすることで、安定して保持することができる。よって、ボール保持部の寸法形状を適宜に設定することで、車載機器を取り付けた状態でも重心を車載機器用支持具の中心に近づけたり、凹部内等に位置させたりすることができ、車載機器を安定して保持することができる。
【0008】
(2)前記台座部は、樹脂製であり、前記ボール保持部はゴム製とすることができる。従来のこの種のボールジョイントを用いた支持具は、通常、台座部側を全てゴムで構成しているため、台座部が全体的に肉厚になり、存在感が増すが、ボール保持部のみをゴム製とし、台座部は樹脂で構成することで台座部を肉薄でスマートにすることができると共に、樹脂であるので、見た目もきれいな加工をすることができる。よって、ダッシュボード等の上に設置した場合でも、一つのインテリアともなり得る。そして、ボール保持部はゴム製とすることで、取付部材のボール部を容易に任意の角度位置で保持することができる。
【0009】
(3)前記台座部には、前記ボール保持部の前面下方部位に接触するリブを設けるとよい。ボール保持部は、前面側に凹部が開口し、そこにボール部が挿入されることから、車載機器を取り付けた状態では重心が凹部よりも前に行き、ボール保持部も前方に倒れ込む方向に付勢されるが、リブによりその倒れ込みを確実に抑止できる。
【0010】
(4)前記ケース部は、下方が開口されているとよい。ボール保持部を装着が容易に行えると共に、台座部をダッシュボード等に設置した状態ではその下方の開口部位は閉塞されるので、ボール保持部が下方に離脱することが抑制できる。
【0011】
(5)(4)の発明を前提とし、前記ケース部は、前記ボール保持部の上面・側面・後面を覆うものとすることができる。そのようにすると、ボール保持部の周囲が覆われるので、ボール保持部をさらに安定して保持することができると共に、台座部の表面もきれいに加工・装飾等することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、車載機器の設置高さを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来例を示す図である。
【図2】(a)は本発明の好適な一実施形態を示す使用状態を示す正面図であり、(b)はB−B線矢視断面図である。
【図3】(a)は台座部及びボール保持部を示す斜視図であり、(b)は台座部を示す斜視図である。
【図4】台座部及びボール保持部を示す分解斜視図である。
【図5】(a)は台座部及びボール保持部を示す正面図であり、(b)はC−C線矢視断面図である。
【図6】(a)は台座部及びボール保持部を示す底面図であり、(b)はD−D線矢視断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図2以降に示すように、本実施形態の車載機器用支持具10は、車両のダッシュボード等の取付面の上に車載機器5を設置するためのもので、取付面上に置かれる台座部11と、その台座部11に取り付けられたボール保持部12と、ボール保持部12に連携される取付部材13と、を備えている。この取付部材13の先端に車載機器5を取り付ける。
【0015】
台座部11は、扁平な矩形状のベース部14と、そのベース部14の上面に突出する中空のカバー部15とを備えている。ベース部14の下面は、凹所14aが形成され、その凹所14a内に、図示省略するゲル状の粘着シートや、両面接着テープその他の接着部材を取り付ける。この接着部材を利用してダッシュボード等の所定位置に台座部11を固定することができる。そして、この台座部11は、合成樹脂による一体成形により形成しているため、ベース部14が薄くても、ある程度の剛性が発揮する。
【0016】
カバー部15は、ベース部14の上面の後方側半分のエリアに設けられ、その前面14aに円形の開口部15bを形成している。また、カバー15の下方は開口しており、その下方の内面左右所定位置に爪部16を設けている。
【0017】
ボール保持部12は、ゴム製で、その外形状は、カバー部15の内形状に符合するようになり、図4に示すように、カバー部15の下方開口部位から挿入する。ボール保持部12は、前面に略球状の凹部12aを備えている。この凹部12aは、図2,図3等に示すように、ボール保持部12をカバー部15内に装着した状態では、カバー部15の開口部15bに対向し、外部に露出する。そして、開口部15bの開口部の直径の方が、凹部12aの前面の開口部位の直径よりも長くしている。これにより、カバー部15の開口部15bの方が広くなり、ボール保持部12の前方突出部12dの前面12d′の一部が開口部15bから外部に露出する。
【0018】
また、ボール保持部12の左右両側面の下方には、突部12bが設けられている。図6に示すように、ボール保持部12をカバー部15内に挿入した際に、この突部12bと爪部16とが掛かり合い、ボール保持部12の離脱が抑止される。
【0019】
さらに、ベース部14のカバー部15に望む部位には、リブ17を設けている。このリブ17を設けることで、ベース部14の強度が増し、ベース部14が薄くても、折れ曲がるのが抑止される。さらに、このリブ17は、本実施形態では、ボール保持部12の前面12cの下方部位に接触し、ボール保持部12を前面側からも規制する(前に傾くのを抑制する)機能を備えている。
【0020】
取付部材13は、その後ろ面にボール部13aを備え、前面側が車載機器5に対する取付部13bとなる。ボール部13aの半径は、ボール保持部12の凹部12aの半径とほぼ等しいか若干大きくしている。また、取付部材13は、樹脂などの比較的剛性の高い(ボール保持部12を構成するゴムに比べて)ものを用いている。これにより、ボール部13aを押し込むことができる。この押し込みに伴いボール部13aは、一旦ゴム製のボール保持部12の開口部位を広げながら内部に進入し、ボール部13aが凹部12a内に入り込むと、所定角度範囲内で回転が可能となる。さらに、ボール部13aの半径の方をボール保持部12の凹部12aの半径よりも一回り大きくしていたため、凹部12aに挿入されたボール部13aは凹部12aを押し広げようとする力が働き、その半力を受けるので、ボール部13aは凹部12a内で任意の角度位置でとどまることができる。
【0021】
本実施形態では、ボール部13aを支持する機構が、車載機器5の後方に位置するのでの、全体的に高さを低くすることができる。つまり、車載機器5とダッシュボード等の取付面との隙間を少なくすることができる。
【0022】
本実施形態では、カバー部15の下方を開口し、ボール保持部12をその下方から装着するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、カバー部15の後方側から装着しても良い。なお、実施形態のように、下方から装着するようにすると、後方側も含めてカバー部15で覆われるので、ボール保持部12をしっかりと保持することができる。
【符号の説明】
【0023】
10 車載機器用支持具
11 台座部
12 ボール保持部
12a 凹部
13 取付部材
14 ベース部
15 ケース部
15b 開口部
17 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座部と、車載機器に取り付けられる取付部材が、ボールジョイントを介して連携される車載機器用支持具であって、
前記ボールジョイントは、前記台座部の後方側に配置したことを特徴とする車載機器用支持具。
【請求項2】
前記ボールジョイントは、前記取付部材に設けられたボール部と、そのボール部を保持するボール保持部とを備え、
前記ボール保持部は、前記台座部の後方側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の車載機器用支持具。
【請求項3】
前記取付部材は、前記車載機器の後面より後方に向けて突出するように取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の車載機器用支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−100101(P2013−100101A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−11086(P2013−11086)
【出願日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【分割の表示】特願2009−274267(P2009−274267)の分割
【原出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】