説明

軌条のジャッキアップ装置

【課題】 軌条直下の狭い隙間を利用して、簡単かつ確実に軌条をジャッキアップできる装置を提供する。
【解決手段】 軌条Rの下側に配置した装置基板1の前記軌条Rを介する一端に立設した係止片2を前記軌条Rの脚座部Rbに係止する。そして、ジャッキ装置12で持ち上げる他の一端側に受圧ブロック5を係離自在に組付け、該受圧ブロック5に設けた入隅部8と前記レール頭部Ra下面の入隅部8´との間にターンバックル装置9を傾斜させて介装する。また、ターンバックル装置9の一方の進退杆9aの先端の押圧片10を一方の前記入隅部8に、他方の進退杆9a´の先端の押圧片10´を他方の前記入隅部8´にそれぞれ圧接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の軌条の道床工事の際に行う軌条のジャッキアップ装置に関するものである。
【背景技術および課題】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、コンクリート体上に枕木を載置して軌条を支持させるようにした鉄道用の軌道が、近年多々用いられるようになっている。
【0003】
該軌道は、コンクリート体と軌条との間の隙間が狭いので、道床補修など軌条をジャッキアップしなければならないときは、軌条と枕木を分離させる等の煩雑な作業を必要としている。
【0004】
本発明は、斯様な常況を勘案し、軌条直下の狭い隙間を利用して、簡単かつ確実に机上をジャッキアップできる装置を提供すべく創案したものである(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−261901号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
軌条の下側に配置した装置基板の前記軌条を介する一端に立設した係止片を前記軌条の脚座部に係止し、ジャッキ装置で持ち上げる他の一端側に受圧ブロックを係離自在に組付け、該受圧ブロックに設けた入隅部と前記レール頭部下面の入隅部との間にターンバックル装置を傾斜させて介装し、該ターンバックル装置の一方の進退杆の先端の押圧片を一方の前記入隅部は、他方の進退杆の先端の押圧片を他方の前記入隅部にそれぞれ圧接した、構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、軌条直下のわずかな隙間を利用してジャッキアップ装置を簡単に得られ、従って、軌条直下が砕石である場合は勿論、容易に取り除きが困難なコンクリート体の場合にも適用することができ実用的である。
【0008】
また、軌条との組付けにおいても、耐荷重性の劣る装置基板をターンバックル装置が補強して耐荷重性の優れたジャッキアップ装置を提供できる。
【実施例】
【0009】
図面は本発明に係る軌条のジャッキアップ装置の一実施例を示し、図1は一部を省略して示した平面図、図2は図1の一部拡大図、図3は図2の正面図である。
【0010】
実施例の鉄道軌道は、コンクリート製の所謂ラダー枕木S上に沿って載置した軌条Rを締結装置tで締結し、前記枕木Sを砕石より成る道床bで支持させて構成したものである。
【0011】
なお、締結装置tで軌条Rは枕木Sに締結した結果、該締結装置tの基盤t´は軌条Rと枕木Sとの間に介在され、軌条Rと枕木Sとの間には基盤t´をスペーサとする隙間aが形成されている。
【0012】
また、図1の図面上、軌条Rに対してそれぞれ一対の、本発明に係るジャッキ装置Aを配して軌条Rのジャッキアップ操作を行うようにしてあるが、各ジャッキアップ装置Aは同時に操作する必要はない。すなわち、単一なジャッキアップ装置Aを用いて軌条Rを部分的にジャッキアップ操作をしても不都合はない。
【0013】
図中、1は装置基板で、装置基板1は長方形状の鋼板体で成り、その長手方向の一端に係止片2を立設し、他の一端側に方形状の組付け窓口3を設けて構成したものである。
【0014】
前記係止片2は、鋼製のブロック体を前記鋼板体に熔接して構成したもので、前記窓口3側の片面下部を切欠して前記軌条Rの脚座部Rbの係合切欠4を構成する。
【0015】
前記組付け窓口3は、該窓口3を利用して組付けた受圧ブロック5が基板1の一端側に設けた前記係止片2と相対するようにして、前記の通り、基板1の他の一端側に設けたものである。
【0016】
装置基板1は、前記隙間aを通じて軌条Rの内側から外側に前記窓口3側の一端側を配し、他の二端側の係止片2部の係合切欠4に軌条Rの脚座部Rbを係合するようにして軌条Rと枕木Sとの間に介在させて配置してある。
【0017】
この装置基板1に前記窓口3を利用して組付けた受圧ブロック5は、直方体状のブロック主体5aの、前記係止片2側の片面の上下方向の中間部に受圧部片5bを、該受圧部片5b側の片面の下端に組付け部片5cをそれぞれ水平方向にして突設して構成するもので、ブロック主体5aとこれに連続する組付け部片5cは前記窓口3の横幅より狭くして前記窓口3に挿通できるようにしてあり、また、窓口3の前記横幅に対する縦幅より、ブロック主体5aの板厚と、受圧部片5bの主体5aからの突出量(幅)との総和の方を大きく(長く)し、ブロック主体5aからの受圧部片5bの突出位置(前記上下方向の中間部)は、前記基板1と組付け部片5cのそれぞれの板厚の総和分とほぼ一致する、ブロック主体5a下端から離開した位置にしてある。
【0018】
受圧ブロック5は、装置基板1の上面側から前記窓口3を通じて組付け部片5cを装置基板1の下面に重ね合わせたもので、この受圧ブロック5のブロック主体5aを重圧部片5bとが成す入隅部8にターンバックル装置9の一方の押圧片10を係止し、他ターンバックル装置9の他方の押圧片10´は前記軌条Rの頭部Ra直下の入隅部8´に係止させてある。
【0019】
ターンバックル装置9は、ターンバックル9aに一対の進退杆9b,9b´を螺合して構成し、ターンバックル9aの一端より突出する一方の進退杆9bの先端に柱体状の前記押圧片10を、他端より突出する他方の進退杆9b´の先端に同じく柱体状の前記押圧片10´をそれぞれ設け、押圧片10,10´を、装置基板1側に組合わせた受圧ブロック5又は軌条Rに前記の通り係止するように構成したものである。
【0020】
なお、図中12は操作レバー12aを操作することにより受支片12bが上下に移動するようにしたジャッキで、このジャッキ12は前記道床b上に載置し、受支片12bを装置基板1の下面側に重ね合わせた受圧ブロック5の組付け部片5c直下に配置して実施例装置を構成する。
【0021】
しかして、装置基板1の組付け窓口3側の端部を隙間aを通じて軌条Rの内側から外側に配しつつ、基板1に設けた係止片2で構成する係合切欠4を軌条Rの脚座部Rbに係合させて装置基板1を軌条Rの下側に配置し、この配置した状態で装置基板1に前記組付け窓口3を利用して組付けた受圧ブロック5の入隅部8と軌条R側の入隅部8´との間にターンバックル装置9を介在させてターンバックル9aを操作すると、各進退杆9b,9b´はバックル9aより突出し、進退杆9b,9b´の先端に備えた押圧片10,10´は前記入隅部8又は8´に圧接し、この結果、装置基板1に設けた係止片2は軌条Rに脚座部Rbにおいて係止し、装置基板1とタンーンバックル装置9は軌条Rに一体的に組付けられることになる。
【0022】
この状態で、ジャッキ12の受支片12bを上昇させると、ジャッキ12による枕木Sを含めた軌条Rを持ち上げようとする力は、装置基板1のみならずターンバックル装置9を通じて机上R側に伝達されるから、机上Rは部分的に上昇され、枕木Sと道床bとの間に適宜の空間が形成され、例えば、該空間に新砕石を充填する等の道床b補修工事を行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一部を省略して示した平面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】図2の正面図。
【符号の説明】
【0024】
1 装置基板
2 係止片
5 受圧ブロック
8,8´ 入隅部
9 ターンバックル装置
9a,9a´ 進退杆
10,10´ 押圧片
R 軌条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌条の下側に配置した装置基板の前記軌条を介する一端に立設した係止片を前記軌条の脚座部に係止し、ジャッキ装置で持ち上げる他の一端側に受圧ブロックを係離自在に組付け、該受圧ブロックに設けた入隅部と前記レール頭部下面の入隅部との間にターンバックル装置を傾斜させて介装し、該ターンバックル装置の一方の進退杆の先端の押圧片を一方の前記入隅部は、他方の進退杆の先端の押圧片を他方の前記入隅部にそれぞれ圧接した、軌条のジャッキアップ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−132043(P2007−132043A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324812(P2005−324812)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(391030125)保線機器整備株式会社 (39)
【Fターム(参考)】