説明

農園芸用クリップ

【課題】支柱等として使用される農園芸用の棒材に被覆材を強固に固定できながら、被覆材を損傷することなく簡易に着脱可能な農園芸用クリップを提供する。
【解決手段】円筒状を呈する筒状挾持部15の対向する両側部分に摘み片20,20が突設されており、両摘み片20,20を内向きに摘むことにより、挾持筒部15の先端の開口部16を拡開できる。又、一方の摘み片の後側部分をなす摘み片部19の内面に、挾持筒部15の軸線と略直交する面内で回動可能に突っ張りロック片26が連結されている。又、他方の挾持片20の後側部分をなす挾持片部19の内面に、突っ張りロック片の先端係合部29と着脱可能に係合し得る係合凹部31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱や横架材等として使用される農園芸用の棒材に、雨除け等を形成するフイルムやシート、或いは、蔓性植物を這わせたり防風、防鳥等のために用いられるネット等としての被覆材を固定するために用いられる農園芸用クリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば図23に示すような雨除けaを構成するために、枠体bの支柱cや横架材dにフイルムやシート等の被覆材eを取り付ける際、或いは、きゅうり等の蔓性植物を這わせるに際して枠体の支柱や横架材等にネットを固定する際、更には、防風や防鳥等の目的で支柱や横架材にネットを固定する際には、パッカーfが多用されている。
【0003】
該パッカーは、特開2003−116365号公報や実開昭55−919号公報が開示するように、軸線方向に切欠溝が設けられた断面が略C字状の筒体として構成され、全体が合成樹脂で一体に形成されており、適宜、弾力性を有するC字状金属リングがパッカーの周方向に沿って嵌着されることにより補強されていた。そして前記切欠溝が、樹脂の弾性やC字状金属リングの弾性に逆らって拡開し得ると共に、弾性的な縮径作用によって前記被覆材を支柱等に強固に固定するものであった。
【0004】
かかる構成のパッカーを用いて被覆材を例えば支柱に固定するに際しては、該被覆材を支柱に被せて後、該パッカーの前記切欠溝を前記被覆材を介在させて支柱に当てがい、該パッカーの前記切欠溝との対向側を支柱に向けて強く押圧する。これにより、該切欠溝がパッカーの強い弾性に逆らって無理に拡開せしめられ、該パッカーの内部に前記支柱が嵌入し、該パッカーの弾力性に伴う強力な縮径作用によって被覆材を支柱に強固に固定できた。
【0005】
しかしながら該パッカーを用いて被覆材を支柱等に固定する際、前記のように、切欠溝を無理に拡開させて支柱等をパッカーの内部に嵌入させるため、前記被覆材が部分的に引き伸ばされて破れる恐れがあった。特に、前記支柱等の外面に、長さ方向に突起が不連続状態に設けられてなる不連続突起列が配置されているときは(図1〜2参照)、シート等の被覆材が前記突起部分で擦れて無理矢理引き伸ばされるために被覆材が破れることが多かった。
【0006】
又、雨除け等の使用時期が終わった後にパッカーを取り外す際は、前記切欠溝をパッカーの強い弾力性に逆らって拡開させなければならないために、該パッカーを取り外しにくい問題もあった。
【0007】
このような従来のパッカーの問題点に鑑み、被覆材を支柱等に固定する際、その着脱作業を簡易に且つ、固定する被覆材を損傷しないようにせんとして、特開2002−17176号公報が開示する農園芸用クリップが提案されている。該農園芸用クリップは、軸方向に開口した筒状の挾持部をバネ性を付与して形成すると共に、該挾持部の各開口端部から後方に、挾持部の一部が支点となるように摘み片を夫々延設した構成を有していた。そして前記摘み片を内向きに摘むことにより、前記挾持部の一部を支点として前記開口を広く開くことができ、該開いた開口から支柱等の対象物を筒状物の内部に嵌め入むことができると共に、前記摘み片を開放して挾持部を復帰させることにより、バネ性を以って対象物を挾持部に挾持できる構成のものであった。
【0008】
しかしながら、かかる農園芸用クリップは、前記挾持部のバネ性のみによる挾持作用によって被覆材を支柱等に固定せんとするものであったため、被覆材を支柱等に強固に固定できない問題があった。
【特許文献1】特開2003−116365号公報(3頁、図2)
【特許文献2】実開昭55−919号公報(1頁、図2)
【特許文献3】特開2002−17176号公報(第2−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、支柱や横架材等として使用される農園芸用の棒材に被覆材を強固に固定できながら、該被覆材を損傷することなく簡易に着脱可能な農園芸用クリップの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る農園芸用クリップは、支柱や横架材等として使用される農園芸用の棒材に被覆材を固定するために用いられる農園芸用クリップであって、該被覆材を介在させて前記棒材を挾持できる筒状挾持部を具え、該筒状挾持部は、前端が軸線方向に開口し且つ開口部が弾性的に拡開し得る筒状を呈し、該筒状挾持部の対向する両側部分に後方に向けて摘み片が突設されており、該両摘み片を内向きに摘むことにより前記開口部を拡開でき、又、一方の摘み片に、前記挾持筒部の軸線と略直交する面内で回動可能に突っ張りロック片が連結されると共に、他方の挾持片の内面には、該突っ張りロック片の先端係合部と着脱可能に係合し得る係合凹部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る農園芸用クリップのより具体的な態様は、支柱や横架材等として使用される農園芸用の棒材に被覆材を固定するために用いられる農園芸用クリップであって、該被覆材を介在させて前記棒材を挾持できる筒状挾持部を具え、該筒状挾持部は、前端が軸線方向に開口し且つ開口部が弾性的に拡開し得る筒状を呈し、該筒状挾持部の対向する両側部分に後方に向けて摘み片が突設されており、該両摘み片を内向きに摘むことにより前記開口部を拡開でき、又、一方の摘み片の内面に、前記挾持筒部の軸線と略直交する面内で回動可能に突っ張りロック片が連結されると共に、他方の挾持片の内面には、該突っ張りロック片の先端係合部と着脱可能に係合し得る係合凹部が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
前記各農園芸用クリップにおいて、前記筒状挾持部は、前端が軸線方向に開口し且つ開口部が弾性的に拡開し得る円筒状を呈したものとして構成するのがよい。
【0013】
又、前記各農園芸用クリップにおいて、前記突っ張りロック片の先端部を円弧面に形成すると共に、前記係合凹部を前記先端部と面接触し得る円弧面に形成するのがよい。より好ましくは、前記突っ張りロック片の先端部を円弧面に形成すると共に、前記係合凹部を、前記他方の摘み片の内面に、前後方向で複数連設されたものとし、隣り合う係合凹部の接続部分を円弧状突面に形成するのがよい。更に好ましくは、前記突っ張りロック片の先端部を円弧面に形成すると共に、前記係合凹部を、前記他方の摘み片の内面に、前後方向で複数連設されたものとし、隣り合う係合凹部の接続部分を円弧状突面に形成し、且つ、前記筒状挾持部の中心を通る前後方向の直線に対する各係合凹部の底部の位置を、より後側に存する係合凹部の底部ほど前記直線から離れている如く構成するのがよい。又、前記各農園芸用クリップにおいて、前記突っ張りロック片の両端部分を、前記摘み片の両端縁から外方に突出せしめられた指掛け突出部とするのがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る農園芸用クリップは、開口部が弾性的に拡開し得る筒状挾持部の対向する両側部分に後方に向けて摘み片が突設されると共に、一方の摘み片に、前記挾持筒部の軸線と略直交する面内で回動可能に突っ張りロック片が設けられ、且つ他方の挾持片の内面に、該突っ張りロック片の先端係合部と着脱可能に係合し得る係合凹部が設けられた構成を有する。
かかることから本発明によるときは、突っ張りロック片の先端係合部と係合凹部との係合が解除された状態で両摘み片を内向きに摘むことにより、前記筒状挾持部の開口部を容易に拡開させることができ、従って、被覆材を損傷することなく、該筒状挾持部の内部に農園芸用の棒材を被覆材と共に容易に嵌め入れることができる。その後、突っ張りロック片の先端係合部を係合凹部と係合させることによって、両摘み片の後側部分(摘み片部)を強制的に拡開でき、それに伴い前記筒状挾持部を縮径できることから、被覆材を前記棒材に強固に固定することができる。そして、先端係合部と係合凹部との係合状態を解除して前記摘み片を内向きに摘むことにより筒状挾持部を拡開させ得ることから、農園芸用クリップを前記棒材から取り外すのが容易である。
このように本発明によるときは、農園芸用の棒材に対する被覆材の固定を該被覆材を損傷することなく強固に行うことができ、該固定状態を維持できると共に、必要に応じて該固定状態を容易に解除できる。
【0015】
(2) 前記係合凹部を、挾持片の内面に、前後方向で複数連設する構成を採用したときは、より前側に存する係合凹部に突っ張りロック片の先端係合部を係合させることにより両摘み片部をより大きく拡開させ得ることから、これに伴い、前記筒状挾持部をより縮径させることができる。従って、農園芸用の棒材の径に応じて、被覆材の固定をより適切に行うことができる。
【0016】
(3) 特に前記係合凹部を、摘み片部の内面に複数連設すると共に、前記突っ張りロック片の先端係合部及び前記係合凹部を円弧面に形成し、且つ、隣り合う係合凹部の接続部分を円弧状突面として形成した場合は、前記突っ張りロック片を前方に向けて押圧することにより、より前側の係合凹部に先端係合部を係合させるのが容易となる。又、突っ張りロック片に後側への押圧力を加えることによって先端係合部と係合凹部との係合状態を容易に解除できる。
特に、前記筒状挾持部の中心を通る前後方向の直線に対する各係合凹部の底部の位置が、より後側に存する係合部の底部ほど前記直線から離れているように構成したときは、前記係合状態の解除をより円滑に行うことができる。
【0017】
(4) 特に、突っ張りロック片の両端部分を摘み片の両端縁から外方に突出させて指掛け突出部を設けた場合は、該突っ張りロック片に指先を掛けて後方に引っ張ることによって、突っ張りロック片の先端係合部と係合凹部との係合状態を解除し易い利点がある。
【実施例1】
【0018】
図1〜2において本発明に係る農園芸用クリップ1は、例えば図3に示すような雨除け2を構成するに際し、その枠体3の支柱5a又は横架材5bとしての棒材5に、例えばビニールシート6aとしての被覆材6を固定するために用いられるものであって、全体が合成樹脂で一体に形成されている。
【0019】
前記雨除け2は、図3に示すように、上側部分が逆U字状に屈曲した円形パイプ状の逆U字形の前記支柱5aの複数本、例えば3本を、一方向に所要間隔を置いて並設すると共に、並設された支柱5aの上端部7及びその両側部9,9を円形パイプ状の前記横架材5bで連結することによって形成した前記枠体3の上側部分10にビニールシート6aを被せ、該ビニールシート6aを、前記農園芸用クリップ1を用いて支柱5aと横架材5bに固定して構成される。なお本実施例においては、前記支柱5a及び横架材5bの外面11,11に、図1〜2に示すように、長さ方向に突起12が不連続状態に設けられてなる不連続突起列13の4列が、周方向に等間隔で設けられている。
【0020】
該農園芸用クリップ1の具体的な構成は、図4〜6に示すように、例えばポリエチレン等の合成樹脂を用いて一体に形成されており、前記被覆材6を介在させて前記棒材5を挾持できる筒状挾持部15を具えている。該筒状挾持部15は、前端が軸線方向に開口し且つ開口部16が樹脂の弾力性によって弾性的に拡開し得る筒状(本実施例においては円筒状)を呈しており、該開口部16の両側縁部16a,16aは断面円形に形成され、該開口部16の開口幅L1は、前記筒状挾持部15の内径L2よりも稍小さく形成されている。例えば、前記筒状挾持部15の長さは約37mmに設定されると共に、その内径L2は約21mmに設定され、開口幅L1は約15mmに設定されている。
【0021】
又、図5〜6に示すように、前記筒状挾持部15の対向する両側部分17,17の外面に、後方に向けて突設され且つ後側部分20a,20aをなす摘み片部19,19が外向きに緩く湾曲した摘み片20,20が設けられており、該摘み片20,20の外面には滑り止め突部18が並設されている。本実施例においては、該摘み片部19,19は摘み片20,20の前側部分20b,20bに比して稍細幅(約20mmの幅)に形成されており、該両摘み片部19,19を内向きに摘むことにより前記開口部16を、前記筒状挾持部15の弾性に逆らって拡開でき、この拡開により、例えば図7に示すように、前記棒材5を前記被覆材6と共に前記筒状挾持部15の内部21に無理なく嵌入させ得る。
【0022】
又、一方の摘み片部19aの内面14の後端側には、図5〜6、図8に示すように、薄肉の屈曲部23を介して、前記筒状挾持部15の軸線方向に長く且つ、指掛け突出部22,22となる両端部分26a,26bが前記摘み片部19の両端縁(図5、図8においては上下端縁)24,25から外方に(上下に)稍突出する矩形板状を呈する突っ張りロック片26が連結されている。前記指掛け突出部22,22の突出長さは、例えば約2.5mmに設定される。
【0023】
そして、前記突っ張りロック片26の先端中央部分には、先端面27が半円弧面を呈する先端係合部29が突設されている。
【0024】
又他方の摘み片部19bの内面30には、図6、図9に示すように、前記先端係合部29と着脱可能に係合し得る係合凹部31が前後方向に3列に連なる如く設けられている。該係合凹部31は、本実施例においては、前記先端係合部29の半円弧面の先端面27と嵌まり合う円弧面33を有し且つ左右端が開放した溝状に形成されており、隣り合う係合凹部31,31の接続部分は円弧状突面35として形成されている。そして、後端に位置する係合凹部31aの後縁36には、後方に向けて外方(他方の摘み片部19bの外面側)に傾斜する傾斜面37が連設されている。又、前端に位置する係合凹部31bの前側の壁面部39は内方に稍高く形成されており、該壁面部39が図12に示すように前記先端係合部29の前側の面40に当接することによって、前記突っ張りロック片26が前方に外れないようになされている。
【0025】
そして、前記先端係合部29が前記後端の係合凹部31aと係合した状態(以下第1係合状態という)で、図10に示すように、前記矩形板状を呈する突っ張りロック片26が、前記開口部16の両側の前端41,41を結んだ直線Lと略平行するようになされている。該第1係合状態においては、図6に示す自由状態にある両摘み片部19,19が稍拡開した状態となる。これに伴い、前記筒状挾持部15の径が、自由状態におけるよりも縮径する。
【0026】
又、前記先端係合部29が中間の係合凹部31cと係合した状態(以下第2係合状態という)においては、図11に示すように、前記突っ張りロック片26が、その先端42が基端43よりも前に位置する傾斜状態を呈し、この状態で、両摘み片部19,19が前記第1係合状態におけるよりも更に拡開状態となる。これに伴い、前記筒状挾持部15の径が、前記第1係合状態におけるよりも縮径する。
【0027】
又、前記先端係合部29が前端の係合凹部31bと係合した状態(以下第3係合状態という)においては、図12に示すように、前記突っ張りロック片26が、その先端42が基端43よりも更に前に位置する傾斜状態を呈し、この状態で、両摘み片部19,19が前記第2係合状態におけるよりも更に拡開状態となる。これに伴い、前記筒状挾持部15の径が、前記第2係合状態におけるよりも縮径する。
【0028】
前記棒材5の直径や被覆材6の肉厚に応じて所要の係合凹部31を選択し、前記第1〜3の何れかの係合状態とする。
【0029】
本実施例においては前記のように、各係合凹部31a,31b,31cが円弧面として形成されると共に、後端の係合凹部31aの後縁36には外方に傾斜する傾斜面37が連設され、且つ、隣り合う係合凹部相互が前記円弧状突面35で接続されていることから、前記先端係合部29を、前記後端の係合凹部31bに係合した第1係合状態(図10)から中間の係合凹部31cに係合した第2係合状態(図11)とし、更に、前端の係合凹部31bと係合した第3係合状態(図12)とする一連の動作(前記突っ張りロック片26を前方に傾動させる動作)は、前記突っ張りロック片26の後面45を前方に向けて押圧することにより、前記屈曲部23の屈曲を伴って、両摘み片部19,19を弾性的に拡開させながら無理なく容易に行うことができる。
【0030】
そして前記第1、第2、第3の各係合状態においては、前記筒状挾持部15が前記棒材5を弾性挾持することに伴う反力によって、前記両摘み片部19,19を内側に閉じさせようとする力が作用するため、結果的に、両摘み片部19,19間に介在されている前記突っ張りロック片26が突っ張り状態になる。従って、前記先端係合部29が前記係合凹部31から外れる恐れがない。
【0031】
図13〜14,図4は、前記構成の農園芸用クリップ1を用いて、ビニールシートとしての被覆材6を前記支柱5aや横架材5bに固定する工程を、該支柱5aに固定する場合に代表させて説明するものである。先ず図13に示すように、支柱5aの外面を前記被覆材6で覆い、前記突っ張りロック片26が前記後端の係合凹部31aの後方に外れた状態で、前記摘み片部19,19を内向きに摘む。これにより、前記筒状挾持部15の弾性に逆らって該筒状挾持部15の径が大きくなり、前記開口部16が前記棒材5の直径よりも大きく拡開される。このようにして後、図14に示すように、被覆材6で覆われた支柱5aを該筒状挾持部15の内部21に嵌め入れる。その後、両摘み片部19,19を開放すれば、前記筒状挾持部15が、弾性で当初の状態に戻る。本実施例においては、該筒状挾持部15が前記支柱5aを一応挾持した状態となる。
【0032】
その後、前記屈曲部23を屈曲させながら前記突っ張りロック片26を前方に傾動させ、図4、図1に示すように、その先端係合部29を例えば中間の係合凹部31cと係合させる。これにより両摘み片部19,19が外方に拡開し、それに伴い前記筒状挾持部15が縮径し、その結果、該筒状挾持部15の筒状の内周面(円筒状の内周面)45に前記支柱5aと前記被覆材(ビニールシート)6とが同時に強く挾持されることになり被覆材6が支柱5aに強固に固定される。なお該支柱5aの径がより大径である場合は、先端係合部29を後端の係合凹部31aに係合させることがある。逆に、該支柱5aの径がより小径である場合は、先端係合部29を前端の係合凹部31bに係合させることがある。
【0033】
前記雨除け等の使用時期が終わった後は、前記被覆材6を前記枠体3から取り外すのであるが、その際は、図15に示すように、両摘み片部19,19間に突っ張り状態で介在されている前記突っ張りロック片26の前記指掛け突出部22に指先38を引っ掛けて該突っ張りロック片26を後方(図15に示す矢印方向)に引っ張る。本実施例においては、隣り合う係合凹部の接続部分が円弧状突面30として形成されており、且つ図16に示す自由状態において、前記筒状挾持部15の中心Oを通る前後方向の直線Aに対する各係合凹部31b,31c,31aの底部44の位置が、より後側に存する係合凹部の底部44ほど前記直線からAから離れている(外側に位置している)ことから、前記のように突っ張りロック片26を後方に引っ張ることにより、両摘み片部19,19の弾性的な拡開を伴いながら、前記先端係合部29が後端の係合凹部31aの後側に無理なく外れる。この状態で両摘み片部19,19を内向きに摘むことにより、前記筒状挾持部15が図17に示すように開き、その開口部16を通して前記支柱5a及び前記被覆材6を筒状挾持部15から取り外すことができる。
【実施例2】
【0034】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0035】
(1) 図18〜19は、本発明に係る農園芸用クリップ1の他の実施例を示すものであり、突っ張りロック片26が別体に形成され、該突っ張りロック片26が一方の摘み片部19aに装着されることによって所要の農園芸用クリップ1が構成されている。
そのために、前記突っ張りロック片26の基端縁に該基端縁の長さ方向に延長する如く、薄肉の屈曲部23を介して柱状(例えば円柱状)連結部46を設けると共に、一方の摘み片部19aの内面側に、図19に示すように、その両側端(図19においては上下端)で開口47,47する、入口49が幅狭の連結孔(例えば円形状連結孔)50を設ける。そして前記柱状連結部46を前記連結孔50にその一端側から圧入状態に挿入することにより、前記屈曲部23で回動可能に突っ張りロック片26が設けられた農園芸用クリップ1が構成される。なお、前記以外の構成は前記実施例におけると同様であり、同様構成部分には同一の符号が付されている。そして該農園芸用クリップ1は、前記実施例におけると同様の機能を発揮する。図20は、突っ張りロック片26の先端係合部29が後端の係合凹部31aと係合した第1係合状態を示し、図21は、前記先端係合部29が中間の係合凹部31cに係合した第2係合状態を示し、又図22は、前記先端係合部29が前端の係合凹部31bと係合した第3係合状態を示す。なお、前記のように圧入する代わりに、柱状連結部46を前記連結孔50に挿入した後、両者を接着してもよい。
【0036】
(2) 前記突っ張りロック片26の先端係合部29と、前記係合凹部31との係合状態は、前記のように、該先端係合部29を円弧面に形成すると共に前記係合凹部31を該先端係合部29と面接触し得る円弧面に形成することの他、該先端係合部29と係合凹部31とを、両摘み片部19,19間の間隔を弾性的に拡開させながら該先端係合部29と該係合凹部31とを係合させることができ、且つ両者の係合を解除できる限り、先端係合部29を円弧面に形成し且つ係合凹部31を円弧面に形成することは必須ではなく、三角形状面等の凹凸係合であってもよい。
【0037】
(3) 前記筒状挾持部15は、開口部16が弾性的に拡開し得る筒状を呈するものであれば、必ずしも円筒状をなすものには特定されない。
【0038】
(4) 前記係合凹部31の個数は、前記した3個の他、2個等の複数個に設定されることがあり、又、1個であることもある。
【0039】
(5) 前記被覆材6には、きゅうり等の蔓性植物を這わせるに際して枠体の支柱や横架材等に被せられるネットや、防風や防鳥等の目的で支柱や横架材取付けられるネットも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る農園芸用クリップをその使用状態で示す斜視図である。
【図2】本発明に係る農園芸用クリップをその使用状態で示す斜視図である。
【図3】本発明に係る農園芸用クリップを用いて構成された雨除けを示す斜視図である。
【図4】農園芸用クリップを用いて被覆材を棒材に固定した状態を示す平面図である。
【図5】農園芸用クリップを、突っ張りロック片の係合が解除された状態で示す斜視図である。
【図6】その平面図である。
【図7】両摘み片を内向きに摘まんで開口部を拡開させ、被覆材で覆われた支柱を筒状挾持部の内部に嵌め入れた状態を示す平面図である。
【図8】農園芸用クリップの背面図である。
【図9】他方の摘み片部の内面に設けられた係合凹部を示す斜視図である。
【図10】突っ張りロック片の先端係合部が後端の係合凹部と係合した第1係合状態を示す平面図である。
【図11】突っ張りロック片の先端係合部が中間の係合凹部と係合した第2係合状態を示す平面図である。
【図12】突っ張りロック片の先端係合部が前端の係合凹部と係合した第3係合状態を示す平面図である。
【図13】摘み片部を内向きに摘まんで開口部を拡開させた状態を示す平面図である。
【図14】被覆材で覆われた支柱を筒状挾持部の内部に嵌め入れて両摘み片部を開放した状態を示す平面図である。
【図15】突っ張りロック片の係合を解除する作業行程を示す斜視図である。
【図16】3つの係合凹部の位置関係を説明する説明図である。
【図17】支柱及び被覆材を筒状挾持部から取り外すに際して、筒状挾持部を拡開した状態を示す平面図である。
【図18】農園芸用クリップの他の実施例を示す斜視図である。
【図19】摘み片部の内面側に設けられた円形状連結孔に突っ張りロック片の円柱状連結部を圧入する行程を説明する斜視図である。
【図20】その農園芸用クリップにおいて、突っ張りロック片を後端の係合凹部と係合させた第1係合状態を示す平面図である。
【図21】その農園芸用クリップにおいて、突っ張りロック片を中間の係合凹部と係合させた第2係合状態を示す平面図である。
【図22】その農園芸用クリップにおいて、突っ張りロック片を前端の係合凹部と係合させた第3係合状態を示す平面図である。
【図23】パッカーを用いて被覆材を枠体に固定してなる従来の雨除けを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 農園芸用クリップ
5 棒材
6 被覆材
12 突起
13 不連続突起列
15 筒状挾持部
16 開口部
19 摘み片部
20 摘み片
21 筒状挾持部の内部
22 指掛け突出部
23 屈曲部
26 突っ張りロック片
29 先端係合部
31 係合凹部
46 柱状連結部
47 開口
49 入口
50 連結孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱や横架材等として使用される農園芸用の棒材に被覆材を固定するために用いられる農園芸用クリップであって、該被覆材を介在させて前記棒材を挾持できる筒状挾持部を具え、該筒状挾持部は、前端が軸線方向に開口し且つ開口部が弾性的に拡開し得る筒状を呈し、該筒状挾持部の対向する両側部分に後方に向けて摘み片が突設されており、該両摘み片を内向きに摘むことにより前記開口部を拡開でき、又、一方の摘み片に、前記挾持筒部の軸線と略直交する面内で回動可能に突っ張りロック片が連結されると共に、他方の挾持片の内面には、該突っ張りロック片の先端係合部と着脱可能に係合し得る係合凹部が設けられていることを特徴とする農園芸用クリップ。
【請求項2】
支柱や横架材等として使用される農園芸用の棒材に被覆材を固定するために用いられる農園芸用クリップであって、該被覆材を介在させて前記棒材を挾持できる筒状挾持部を具え、該筒状挾持部は、前端が軸線方向に開口し且つ開口部が弾性的に拡開し得る筒状を呈し、該筒状挾持部の対向する両側部分に後方に向けて摘み片が突設されており、該両摘み片を内向きに摘むことにより前記開口部を拡開でき、又、一方の摘み片の内面に、前記挾持筒部の軸線と略直交する面内で回動可能に突っ張りロック片が連結されると共に、他方の挾持片の内面には、該突っ張りロック片の先端係合部と着脱可能に係合し得る係合凹部が設けられていることを特徴とする農園芸用クリップ。
【請求項3】
前記筒状挾持部は、前端が軸線方向に開口し且つ開口部が弾性的に拡開し得る円筒状を呈することを特徴とする請求項1又は2記載の農園芸用クリップ。
【請求項4】
前記突っ張りロック片の先端部が円弧面に形成されると共に、前記係合凹部は前記先端部と面接触し得る円弧面に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の農園芸用クリップ。
【請求項5】
前記突っ張りロック片の先端部が円弧面に形成されると共に、前記係合凹部は、前記他方の摘み片の内面に、前後方向で複数連設されており、隣り合う係合凹部の接続部分は円弧状突面に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の農園芸用クリップ。
【請求項6】
前記突っ張りロック片の先端部が円弧面に形成されると共に、前記係合凹部は、前記他方の摘み片の内面に、前後方向で複数連設され、隣り合う係合凹部の接続部分は円弧状突面に形成されており、且つ、前記筒状挾持部の中心を通る前後方向の直線に対する各係合凹部の底部の位置が、より後側に存する係合凹部の底部ほど前記直線から離れていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の農園芸用クリップ。
【請求項7】
前記突っ張りロック片の両端部分は、前記摘み片の両端縁から外方に突出せしめられて指掛け突出部とされていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の農園芸用クリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−149331(P2006−149331A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348467(P2004−348467)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(392003225)第一ビニール株式会社 (27)
【Fターム(参考)】