説明

近接場光デバイス

【課題】近接場光デバイスにおいて、エネルギー効率を高める。
【解決手段】近接場光デバイスは、基板(12)上に配置されており、量子ドット(16)を含み、基板により導かれる入射光をエネルギー源として量子ドットの光発生作用により近接場光(18)を発生可能な量子ドット層(13、14、15)を備える。近接場光デバイスは更に、量子ドット層上に配置されており、量子ドット層で発生された近接場光をエネルギー源として近接場光(65)を発生可能且つ外部へ出力可能な出力端(17)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、HAMR(熱アシスト磁気記録: Heat Assisted Magnetic Recording)、SNOM(走査型近接場光学顕微鏡:Scanning Near Field Optical Microscope)等の近接場光の微小スポットを利用する近接場光デバイス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体微細加工技術の進歩により、量子力学的効果を利用し、単一電子を制御することにより電子の粒子性を極限まで利用するナノスケールの量子ドットが注目されている。たとえば、量子ドットのサイズを適切に制御する製造方法(特許文献1参照)、および、積層された量子ドットを利用した近接場集光器が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−231601号公報
【特許文献2】特開2006−080459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術にある近接場光デバイスでは、入射光が近接場光に変換する割合(エネルギー効率)を向上させることが困難であるといった課題が発生する。
【0005】
本発明は、例えば上記課題に鑑みてなされたものであり、エネルギー効率を高めることができる近接場光デバイスおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>
本発明の第1の近接場光デバイスは上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に配置されており、第1量子ドットを含み、前記基板により導かれる入射光をエネルギー源として前記第1量子ドットの光発生作用により第1近接場光を発生可能な量子ドット層と、前記量子ドット層上に配置されており、第2量子ドットを含み、前記量子ドット層で発生された前記第1近接場光をエネルギー源として前記第2量子ドットの光発生作用により第2近接場光を発生可能且つ外部へ出力可能な出力端とを備える。
【0007】
第1の近接場光デバイスによれば、その動作時には、基板により入射光が、量子ドット層へと導かれる。ここに「基板」に関し、例えば透明基板である基板本体により、入射光が(例えば基板の鉛直方向に)導かれてもよい。或いは、基板に設けられた導光路、導波路、グレーチング等の光学部材により、入射光が(例えば基板に沿った方向に)導かれた後に、角度を変えられてもよい。
【0008】
量子ドット層では、この入射光がエネルギー源とされて、第1量子ドットの光発生作用により第1近接場光が発生される。ここに第1量子ドットの「光発生作用」とは、近接場光発生作用(言い換えれば「量子力学的効果或いは作用」)の意味である。
【0009】
更に、出力端では、この近接場光がエネルギー源とされて、第2量子ドットの光発生作用により第2近接場光が発生され、外部へと出力される。ここに第2量子ドットの「光発生作用」とは、近接場光発生作用の意味である。また「外部」とは、典型的には、近接配置された記録媒体の表面や、出力用導波路の入力端などである。出力端からは、このような外部に対し、近接場光が出力される。
【0010】
本願発明者の研究によれば、第1の近接場光デバイスの如く「第2量子ドット」を含んでなる出力端を用いると、単なる金属端からなる出力端を用いる場合に比べて、第1量子ドットで発生された近接場光が出力端を介して外部へ出力されるまでの間におけるエネルギー効率が顕著に改善されることが判明している。即ち、本発明によれば、近接場光デバイスにおけるエネルギー効率を、「第2量子ドット」等の作用により顕著に高められる。
<2>
本発明の第2の近接場光デバイスは上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に配置されており、量子ドットを含み、前記基板により導かれる入射光をエネルギー源として前記量子ドットの光発生作用により近接場光を発生可能な量子ドット層と、前記量子ドット層上に配置されており、前記量子ドット層で発生された前記近接場光を外部へ出力可能な出力端と、前記基板と前記量子ドット層との間に配置されており、前記導かれた入射光のエネルギーを前記量子ドット層及び前記出力端の少なくとも一つへ向けて集中させるエネルギー集中層とを備える。
【0011】
第2の近接場光デバイスによれば、その動作時には、基板により入射光が、量子ドット層へと導かれる。ここに「基板」に関し、例えば透明基板である基板本体により、入射光が(例えば基板の鉛直方向に)導かれてもよい。或いは、基板に設けられた導光路、導波路、グレーチング等の光学部材により、入射光が(例えば基板に沿った方向に)導かれた後に、角度を変えられてもよい。
【0012】
量子ドット層では、この入射光がエネルギー源とされて、量子ドットの光発生作用により近接場光が発生される。ここに量子ドットの「光発生作用」とは、近接場光発生作用の意味である。
【0013】
ここで特に、基板と量子ドット層との間に配置されたエネルギー集中層によって、基板により導かれた入射光のエネルギーが、量子ドット層及び出力端の少なくとも一つへ向けて集中される。
【0014】
更に、出力端では、この近接場光が外部へと出力される。ここに「外部」とは、典型的には、近接配置された記録媒体の表面や、出力用導波路の入力端などである。また「出力端」は、金属端でもよいし、例えば他の量子ドットを含む非金属端でもよい。
【0015】
従って、仮にエネルギー集中層が存在しない場合と比較すると、量子ドット層或いは出力端に向けて集中されることなく素通り或いは発散してしまうであろう、入射光成分或いは入射光に係るエネルギー成分が、顕著に減ぜられる。ここに「エネルギー集中層」は、例えば、平面内において、金属部と非金属部とがエネルギーを出力端へ集中する所定パターン或いは所定平面パターンを有するアンテナ層から構成される。このようなパターンとしては、アンテナの技術分野における電磁波を所望箇所に集中させるために用いられる周知の又は既存の各種パターンを採用可能である。
【0016】
このように本発明によれば、近接場光デバイスにおけるエネルギー効率を、「エネルギー集中層」等の作用により顕著に高められる。
<3>
本発明の第3の近接場光デバイスは上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に配置されており、前記基板により導かれる入射光をエネルギー源として近接場光を発生可能であると共に、該発生された近接場光を前記基板と反対側を向く出力端から外部へ出力可能な近接場光発生部とを備え、前記近接場光発生部は、保護層と前記保護層内に離散的に配置されており量子ドットとして各々機能する複数の金属ナノ粒子とを含み、前記保護層には、その外観形状において、前記基板側から前記出力端側に向かうに連れて幅が狭くなるようにテーパが設けられている。
【0017】
第3の近接場光デバイスによれば、その動作時には、基板により入射光が、近接場光発生部へと導かれる。ここに「基板」に関し、例えば透明基板である基板本体により、入射光が(例えば基板の鉛直方向に)導かれてもよい。或いは、基板に設けられた導光路、導波路、グレーチング等の光学部材により、入射光が(例えば基板に沿った方向に)導かれた後に、角度を変えられてもよい。
【0018】
ここで特に、近接場光発生部は、例えばシリケートガラスなどを含んでなる保護層内に、量子ドットとして各々機能する複数の金属ナノ粒子が離散的に配置されてなる。金属ナノ粒子では、入射光がエネルギー源とされて、量子ドットとしての近接場光発生作用により近接場光が発生される。
【0019】
例えば、保護層内には、単位体積(1立方μm)当たり13万個(20nm微粒子20nm間隔)〜160万個(5nm微粒子5nm間隔)の金属ナノ粒子が3次元的に散布されてもよい。このようにすると、効率的な近接場光の伝播ができる。
【0020】
更に、内部にこのように金属ナノ粒子が離散的に配置された保護層には、その外観形状において、基板側から前記出力端側に向かうに連れて幅が狭くなるように、即ち外部へ向けて尖るように、テーパが設けられている。即ち、保護層の外観形状は、典型的には、円錐台状、角錐台状、土手状などとなる。
【0021】
すると、基板と反対側を向く出力端では、このように複数の金属ナノ粒子から発生された近接場光が外部へと出力される。ここに「外部」とは、典型的には、近接配置された記録媒体の表面や、出力用導波路の入力端などである。また「出力端」は、金属端でもよいし、例えば他の量子ドットを含む非金属端でもよい。更に「出力端」は、近接場光発生部の幅細の先端部位に、保護層とは別に金属端、量子ドット等が取り付けられて構成されてもよい。或いは、保護層における幅細の先端部位がそのまま出力端として機能してもよい。いずれの場合にも、その根元に比べて細く尖った出力端の先端側からは、基板を背にして基板と反対側にある外部へ向けて、近接場光が出力される。
【0022】
本願発明者の研究によれば、第2の近接場光デバイスの如く「保護層内に離散的に配置された金属ナノ粒子」を含んでなると共に「テーパ」を有する近接場光発生部を用いると、単なる量子ドットやテーパがない形状を用いる場合に比べて、近接場光発生部で発生された近接場光が出力端を介して外部へ出力されるまでの間におけるエネルギー効率が顕著に改善されることが判明している。即ち、本発明によれば、近接場光デバイスにおけるエネルギー効率を、「保護層内に離散的に配置された金属ナノ粒子」及び「テーパ」等の作用により顕著に高められる。
<4>
本発明の第4の近接場光デバイスは上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に配置されており、前記基板により導かれる入射光をエネルギー源として近接場光を発生可能であると共に、該発生された近接場光を前記基板と反対側を向く出力端から外部へ出力可能な近接場光発生部と、前記基板と前記近接場光発生部との間に配置されており、前記導かれた入射光を前記基板側から前記近接場光発生部側へ向けて透過すると共に、前記近接場光発生部で発生された前記近接場光を前記近接場光発生部側へ向けて反射する反射層とを備える。
【0023】
第4の近接場光デバイスによれば、その動作時には、基板により入射光が、近接場光発生部へと導かれる。ここに「基板」に関し、例えば透明基板である基板本体により、入射光が(例えば基板の鉛直方向に)導かれてもよい。或いは、基板に設けられた導光路、導波路、グレーチング等の光学部材により、入射光が(例えば基板に沿った方向に)導かれた後に、角度を変えられてもよい。
【0024】
すると、基板と反対側を向く出力端では、近接場光発生部で発生された近接場光が外部へと出力される。ここに「近接場光発生部」は典型的には、量子ドットを含んでなり近接場光発生作用により近接場光を発生させる部分である。「外部」とは、典型的には、近接配置された記録媒体の表面や、出力用導波路の入力端などである。また「出力端」は、金属端でもよいし、例えば他の量子ドットを含む非金属端でもよい。
【0025】
ここで特に、基板と近接場光発生部との間には反射層が配置されている。ここに「反射層」とは、誘電体ミラーなど、周波数依存性或いは波長依存性を有し、選択的に反射したり透過したりする反射層或いは半透過反射層である。入射光の波長或いは周波数に関して、基板側から近接場光発生部側へ向けて透過する際の反射層の透過率は、その逆である近接場光発生部側から基板側へ向けて透過する際の透過率よりも高く、例えば、50%以上の値である。更に、近接場光の波長或いは周波数に関して、近接場光を近接場光発生部側へ向けて反射する際の反射層の反射率は、入射光を基板側へ向けて反射する際の反射率或いは仮想的に近接場光を基板側へ向けて反射する際のよりも高く、例えば、50%以上の値である。
【0026】
よって、基板により導かれた入射光は、基板と近接場光発生部との間に配置された反射層によって、基板側から近接場光発生部側へ向けて透過される。即ち、近接場光発生部では、近接場光を発生させるに必要なエネルギーを、反射層を介して入射される入射光から得ることができる。他方、近接場光発生部で発生され(出力端側に直接進もうとする成分ではなくて)基板側に戻ろうとする成分は、基板と近接場光発生部との間に配置された反射層によって、近接場光発生部側へ向けて反射される。即ち、基板側に戻ろうとする成分についても、反射層における反射作用によって、出力端側に進もうとする成分に多少なりとも変えることが可能となる。
【0027】
従って、仮に反射層が存在しない場合と比較すると、基板側に戻ってしまう或いは出力端から(外部へ向けて出力されずに)発散してしまうことになる、近接場光成分が、顕著に減ぜられる。このように本発明によれば、近接場光デバイスにおけるエネルギー効率を、「反射層」等の作用により顕著に高められる。
【0028】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る近接場光デバイスの概略構造を示す、図式的な断面図である。
【図2】第1実施形態に係る近接場光デバイスの変形例を示す、図1と同趣旨の図である。
【図3】第2実施形態に係る近接場光デバイスの概略構造を示す、斜視図(図3(a))及び断面図(図3(b))である。
【図4】第2実施形態に係るアンテナ層の各種パターンを示す、図式的な平面図(図4(a)〜図4(f))である。
【図5】第3実施形態に係る近接場光デバイスの概略構造を示す、図式的な断面図である。
【図6】第3実施形態に係る近接場光デバイスの製造工程を示す、工程図である。
【図7】第3実施形態に係る近接場光デバイスの変形例を示す、図5と同趣旨の図である。
【図8】第4実施形態に係る近接場光デバイスの概略構造を示す、斜視図(図8(a))及び断面図(図8(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の近接場光デバイスに係る実施形態を、図面に基づいて説明する。尚、以下の図では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0031】
<第1実施形態>
本発明の近接場光デバイスに係る第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。まず、本発明を適用した量子ドットを利用した図1の近接場光デバイスについて説明する。近接場光デバイスは、近接場光発生部1を有し、図1に示すように、光源11、GaAs基板12、GaAsバッファ層13、InAs層14、GaAs層15、InAs量子ドット16、及び金属端17から構成されている。
【0032】
本実施形態は、本発明に係る第1の近接場光デバイスの実施形態であり、「GaAs基板12」が本発明に係る「基板」の一例を構成し、「InAs量子ドット16」が本発明に係る「第1量子ドット」の一例を構成し、「GaAsバッファ層13、InAs層14、GaAs層15及びInAs量子ドット16」が本発明に係る「量子ドット層」の一例を構成している。
【0033】
光源11とGaAs基板12は図1では接合されているが、離間していてもよい。光源11はLED(Light Emitting Diode)であってもよいし、半導体レーザ、面発光レーザでもよい。GaAs基板12は光源11からの入射光が透過する厚さに設計されている。金属端17は、近接場光のエネルギーを効率よく吸収できるエネルギーバンドを持つ金属(例えば金(Au))が好ましいが、それに限ることなく、金(Au)以外の金属でも良い。また各種の半導体でもかまわない。図1に示す量子ドット構造は、例えば特開2009−231601号公報に記載されている方法で製造される。
【0034】
尚、図1の近接場光デバイスの例では、GaAsやInAsを用いたが、これらの材料に限らず、CuCl、GaNまたはZnOなど透光性のある量子ドットとして機能する材料を用いることができる。
【0035】
次に、図1の近接場光デバイス1が光源11からの入射光のエネルギーを移動させる方法について説明する。光源11からの入射光はGaAs基板12、GaAsバッファ層13、InAs層14を透過し、InAs量子ドット15に到達し、InAs量子ドット15の周囲に近接場光18が発生する。発生した近接場光18のエネルギーは金属端17に移動し近接場光65となる。金属端17に移動した近接場光65は、対象物である記録媒体601と金属端17との距離が近接場相互作用を引き起こす距離(例えば20nm(ナノメートル)以下)であるとき、金属端17から記録媒体601の表面における、微小スポットを構成する金属領域603a、603b、603c、…(図1の状態では、金属領域603a)に近接場光65が移動する(すなわちエネルギーが移動する)。微小スポットを構成する金属領域603a、603b、603c、…は、光の回折限界より小さいナノオーダーのスポットである。
【0036】
記録媒体601が磁気記録媒体であるならば、微小スポットを構成する金属領域603a、603b、603c、…に、熱などのエネルギーが照射されることになり、昇温する領域を小さくすることができ、小さい面積(体積)の磁気記録ビッドを形成することができる。
【0037】
光源11のON/OFFを制御部70にて制御することにより、金属端17から金属領域603a、603b、603c、…へのエネルギー移動を制御する。これにより、例えば磁気記録ビットの記録を行う。
【0038】
記録媒体601は非金属領域602と島状に離散した金属領域603a〜603cから構成されている。非金属領域602は樹脂やガラスなどから構成され、近接場光発生部1の金属端17と一体となって近接場光を発生しない材料から構成される。金属領域603a、603b、603c、…は、近接場光発生部1の金属端17と一体となって近接場光を発生する金(Au)などの金属を含んだ磁性体である。各々の金属領域603a、603b、603c、…は非金属領域602で隔離されている。また非金属領域602は非金属だけでなく、近接場光発生部1の金属端17と一体となって近接場光を発生しない非磁性体で構成してもよい。
【0039】
このように構成された近接場光デバイスにより記録媒体601に情報を記録する場合、近接場光発生部1の先端の金属端17と記録媒体601の間の距離を所定距離以下(例えば20nm以下)に保ち、制御部70により光源11をONとする。入射光によりInAs量子ドット16に近接場光18が発生し、近接場光18のエネルギーは金属端17に移動する。そして、金属端17と記録媒体601の金属領域603aと取り囲むように近接場光65が発生する。金属端17と金属領域603aとが一体となり近接場光65が発生する。近接場光65のエネルギーにより、金属領域603a自体(金属領域603aとその周辺)が発熱する。すると金属領域603aの保持力が下がり図示せぬ記録ヘッドにより派生する磁界に応じて磁気記録を行うことが可能となる。
【0040】
図2は、図1に示した第1実施形態の変形例であり、図1では出力端17が金属であったものが図2では出力端を量子ドット17dにしたものである。量子ドット17dは、InAs量子ドット16と同様に製造される。即ち、量子ドット17dは、例えば、InAs量子ドット等として構成される。
【0041】
本変形例は、本発明に係る第1の近接場光デバイスの他の実施形態であり、「量子ドット17d」が本発明に係る「第2量子ドット」の一例を構成している。
【0042】
本変形例によれば、このように構成された近接場光デバイスにより記録媒体601に情報を記録する場合、出力端を構成する量子ドット17dでは、本発明に係る「第1近接場光」の一例である近接場光18がエネルギー源とされて、光発生作用(即ち「量子力学的効果」)により、本発明に係る「第2近接場光」の一例である近接場光65が発生される。更に、この近接場光65は、本発明に係る「外部」の一例である記録媒体601へと出力される。
【0043】
本願発明者の研究によれば、図2の変形例の如く量子ドット17dを含んでなる出力端を用いると、図1の実施形態の如く単なる金属端17からなる出力端を用いる場合に比べて、InAs量子ドット16で発生された近接場光18が出力端を介して近接場光65として記録媒体601へ出力されるまでの間におけるエネルギー効率が顕著に改善されることが判明している。即ち、本変形例によれば、近接場光デバイスにおけるエネルギー効率を、量子ドット17の作用により顕著に高められ、図1の実施形態の場合よりも、エネルギー効率の観点からは顕著に有利となる。
【0044】
これに対し図1の実施形態の場合、出力端を単に金属端17から構成すればよいので、図2の変形例の場合と比べて、その製造を比較的容易とすることも可能となる。
【0045】
以上詳細に説明したように第1実施形態或いはその変形例によれば、主に金属端17或いは量子ドット17dの作用により、エネルギー効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0046】
<第2実施形態>
本発明の近接場光デバイスに係る第2実施形態を、図3及び図4を参照して説明する。第2実施形態では、近接場光デバイスの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図3を参照して説明する。
【0047】
図3(a)は、本実施形態に係る近接場光デバイスの斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A´線断面図である。
【0048】
図3において、近接場光デバイス100は、光源20と、該光源20の上に積層された透明基板21と、該透明基板21の上に積層された近接場光発生部1と、該近接場光発生部1の周囲を囲うと共に透明基板21の上面を覆うアンテナ層22とを備えて構成されている。
【0049】
本実施形態は、本発明に係る第2の近接場光デバイスの実施形態であり、アンテナ層22が本発明に係る「エネルギー集中層」の一例を構成している。
【0050】
光源20には、例えばLED(Light Emitting Diode)、半導体レーザ、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発行レーザ)、有機EL等を適用可能である。透明基板21は、光源20から出射された光のうち、近接場光発生部1を適切に動作可能な光を少なくとも透過させることが可能な基板であればよく、例えばガラス基板等の高光透過率を有する基板に限られない。
【0051】
図3の、近接場発生部1は、図1で説明した近接場デバイス1のGaAs基板12〜金属端17までを含むものとして表現している。なお、出力端については、図2の変形例の如く(金属端17ではなく)量子ドット17dから構成されてもよい。
【0052】
ここで、本願発明者の研究によれば、以下の事項が判明している。即ち、光源20から出射される光が透明基板21の上面(即ち、透明基板21とアンテナ層22との境界面)に形成されるスポットの径は、仮にレンズ等により集光されたとしても、数百nm〜数μm(μメートル)である。他方、近接場光発生部1の大きさ(即ち、平面視した場合における一片の長さ)は、数十nm〜数百nmである。すると、光源20から出射された光のうち近接場光発生部1に入射しない光が、該近接場光発生部1の周囲から漏れ出る可能性がある。しかるに本実施形態では、透明基板21の上面にアンテナ層22を設け、入射光のエネルギーをアンテナによる吸収し近接場発生部に集中させることができる。
【0053】
図4(a)〜(f)は、アンテナ層22のバリエーションを示す
これら各図において、アンテナ層22は、金属部分22a及び非金属部分22bが、所定の平面パターンをなすように構成されている。金属部分22aは、例えば、Au、Ag、Al等の金属から構成されている。非金属部分22bは、例えば、ガリウム砒素シリコン等の半導体から構成されている。金属部分22aの厚みについては、例えば50nmであり、非金属部分22bの厚みについても、例えば50nmである。これらにより、二種類の材料部分を含んでなるアンテナ層22は、例えば厚み味50nmの平坦且つ均一の厚みを有する層として構成される。
【0054】
なおこれら各図において、近接場光発生部1の大きさ(即ち、平面視した場合における一片の長さ)は、例えば数十nm〜数百nmであり、金属端17の大きさ(即ち、平面視した場合における一片の長さ)は、近接場光発生部1よりも小さい例えば数nm〜数十nmである。これに対し、アンテナ層22の大きさ(即ち、平面視した場合における一片の長さ)は、例えば数μmのオーダであり、近接場光発生部1や金属端17と比べて、遥かに大きい。
【0055】
具体的には、図4(a)は、概ね2本の対角線を境界線として、交互に約半分(図中上下を占める2つの領域)を金属部分22aとし且つ残余部分を非金属部分22bとしたパターンである。図4(b)は、概ね2本の対角線を境界線として、交互に約半分(図中左右を占める2つの領域)を金属部分22aとし且つ残余部分を非金属部分22bとしたパターンである。図4(c)は、近接場光発生部1を囲む円内を非金属部分22bとし且つ残余部分を金属部分22aとしたパターンである。図4(d)は、同心円状に交互に、金属部分22aと非金属部分22bとをレイアウトしたパターンである。図4(d)は、環状に金属部分22aを配置し且つ残余部分を非金属部分22bとしたパターンである。図4(f)は、斜め上下左右に細く伸びる星状に非金属部分22bをレイアウトし且つ残余部分を金属部分22aとしたパターンである。
【0056】
本願発明者の研究によれば、これら各図に示すパターンは、いずれも電波受信用のアンテナにて電波のエネルギーを中央寄りに集中させるパターンとして既存のものであるが、本実施形態における近接場光18を発生させるための入射光のエネルギーを、アンテナ層22上で平面視した場合における近接場光発生部1の中央寄り位置(即ち、平面視しての最中央位置としての金属端17の位置)に向けて集中するパターンとしても応用可能である。理論的には、電磁波の一種である光(ここでは入射光)は、ナノオーダである近接場光発生部1に向けて、アンテナ層22の平面に沿った電磁波成分に変換されて、中央寄りに集中される。
【0057】
また、図4の例では透明基板21と近接場発生部1との間にアンテナ層22を設けた例を示したが、これに限らず、透明基板21の内部、あるいは近接場発生部1のGaAs基板12〜量子ドット層(出力端17の下の部分)の部分に形成するようにしてもよい。
【0058】
以上詳細に説明したように第2実施形態によれば、主にアンテナ層22の作用により、エネルギー効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0059】
<第3実施形態>
本発明の近接場光デバイスに係る第3実施形態を、図5を参照して説明する。
【0060】
図5は、図1と同趣旨の、本実施形態に係る近接場光デバイスの概略構造を示す図である。図5において、近接場光デバイス300は、透明基板であるガラス基板30と、該ガラス基板30の上に形成された、複数の金属ナノ粒子31が保護層32に含有された順テーパ形状からなるテーパ部34を備えて構成されている。
【0061】
本実施形態は、本発明に係る第3の近接場光デバイスの実施形態であり、テーパ部34が本発明に係る「近接場光発生部」の一例を構成している。
【0062】
図5に示すように、テーパ部近34は、例えばシリケートガラスなどを含んでなる保護層32内に、量子ドットとして各々機能する多数の金属ナノ粒子31が離散的に配置されてなる。金属ナノ粒子31では、入射光がエネルギー源とされて、量子力学的効果により近接場光18が、テーパ部34の先端にて発生される。
【0063】
例えば、保護層32内には、単位体積(1立方μm)当たり13万個(20nm微粒子20nm間隔)〜160万個(5nm微粒子5nm間隔)の金属ナノ粒子が3次元的に散布されてもよい。このようにすると、効率的な近接場光の伝播ができ。或いは、単位面積当たり(具体的には1μm四方辺り)200〜800個の金属ナノ粒子が2次元的に散布されたものが、該2次元の面の方線方向に複数積層される形で構成されてもよい。
【0064】
金属ナノ粒子31は、例えば直径10〜50nm程度の粒子でも構成することができ、金属ナノ粒子31間には、同程度のオーダの隙間が存在する。テーパ部34の高さは、例えば数十〜数百nm程度であり、金属ナノ粒子31の直径と比べて十分に大きい。テーパ部34の根元における幅は、例えば100nmであり、順テーパがつけられることで幅狭に形成された先端における幅は、例えば、20〜30nm程度である。テーパ部34の全体形状は、3次元的に見て、円錐台や角錐台(典型的には四角錐台)やいずれかの方向に長手状に伸びる土手型などの形状である。
【0065】
テーパ部34の先端(図5中で上端)には、金属端17(図1参照)や量子ドット17b(図2参照)などの出力端が別途設けられてもよい。或いは、例えば、テーパ部34における先端が十分に(具体的には、近接場光18を記録媒体側に伝えるのに十分に)幅狭に突出して構成されるならば、そのような先端における突出部或いは突起部が、そのまま出力端として用いられてもよい。このように構成すると、近接場光18がそのまま記録媒体601(図1及び図2参照)に出力されることも可能となる。いずれの場合にも、その根元に比べて細く尖ったテーパ部34の先端側からは、ガラス基板30を背にしてガラス基板30と反対側(図5中上側)にある外部へ向けて、近接場光18が出力される。
【0066】
本願発明者の研究によれば、以上のように構成すると、テーパ部34内における金属ナノ粒子31における量子力学的効果が相互に作用しあうことで、入射光のエネルギーをテーパ部34全体に分散している金属ナノ粒子31を介して極めて効率よくテーパ34の先端に集中させることができる。この結果、高エネルギー効率にて入射光から近接場光18を発生できる。特に、図5に示した如き、順テーパが設けられていない場合や、金属ナノ粒子31ではなく単なる量子ドット16(図1参照)を利用する場合に比べて、テーパ部34で発生された近接場光が外部へ出力されるまでの間におけるエネルギー効率が顕著に改善されることが判明している。
【0067】
ここで図6を参照して、以上のように構成された第3実施形態の製造方法について説明を加える。ここに図6は、図5の近接場光デバイス300を、ガラス基板上に形成するプレーナプロセスを工程S1〜S6まで順を追って示す工程図である。
【0068】
図6に示すように先ず、工程S1において、ガラス基板30が切り出されることになるガラス基板301が用意される。ガラス基板301は、ガラス基板30を多数含む大盤サイズであり、以降に示す工程S2〜S6により、図5に示す如き近接場光デバイス300が、同時に多数形成されることになる。
【0069】
続いて工程S2において、金属ナノ粒子31が所定濃度で概ね一様に散布されている、保護膜32の前躯体である(即ち液体状態にある)シリケートガラス302が、ガラス基板301上にスピンコートされる。ここでの膜厚は、例えば、テーパ部34の高さと同程度の数十から数百nmとなるように、スピンコートが行われる。
【0070】
続いて工程S3において、シリケートガラス302に対して、所定の焼成温度にてアニール処理が施され、シリコン酸化膜303の状態とされる。即ち、テーパ部34の高さと同程度の数十から数百nmとなると共に、内部に金属ナノ粒子31が所定濃度で概ね一様に離散的に配置されたシリコン酸化膜303が生成される。
【0071】
続いて工程S4において、シリコン酸化膜303上に、これをフォトリソグラフィ及びエッチング処理を施すためのレジスト304がコートされる。なお、メタルマスクによるリフトオフを用いることも可能である。
【0072】
続いて工程S5において、レジスト304に対して、ドライエッチング若しくはウエットエッチングを施すことで、又はイオントリミングを施すことにより、テーパ部34を形成すべき微小領域にレジスト305を残し、焼成処理を施す。
【0073】
続いて工程S6において、パターンニングされた後に焼き固められたレジスト305を介して、シリコン酸化膜303に対して、ドライエッチング若しくはウエットエッチング等を施すことで、テーパ部34を形成する。この際、エッチングの時間管理により、テーパ部34における順テーパの程度(即ちどの程度斜めになるのか)を調整することも可能である。このようにフォトリソグラフィ及びエッチング処理を用いることで、レジスト305に対応する領域に、メサ構造体であると共に順テーパが設けられたテーパ部34が形成される。
【0074】
その後、ガラス基板301の切断処理等が行われ、図5に示した如き内部に多数の金属ナノ粒子31が離散的に配置されたテーパ部34が、ガラス基板30上に形成された近接場光デバイス300が完成される。
【0075】
次に図7を参照して変形例について説明を加える。
【0076】
図7において、変形例に係る近接場光デバイス350の場合、入射光がガラス基板30の上面に設けられた導波路354を介して、ガラス基板30の平面に沿って入射される。更に、導波路354で導かれた入射光は、グレーチングによって、テーパ部34側(図7中上側)に曲げられることにより、テーパ部34から見る限りにおいて図5の場合と同様の鉛直方向上向き(図中下側から上側に向っての)入射光として入射される。その他の構成及び動作については、図5に示した第3実施形態の場合と同様である。なお、グレーチングに代えて、散乱板を用いることも可能である。
【0077】
このように変形例の場合、入射光の光路の自由度が増し、光源の種類や光学設計の自由度等が格段に増すので、実践上大変有利である。
【0078】
以上詳細に説明したように第3実施形態及びその変形例によれば、主に金属ナノ粒子31が散布された保護層32からなるテーパ部34を採用することにより、エネルギー効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0079】
<第4実施形態>
本発明の近接場光デバイスに係る第4実施形態を、図8を参照して説明する。
【0080】
図8(a)は、本実施形態に係る近接場光デバイスの斜視図であり、図8(b)は、図3(a)のA−A´線断面図である。
【0081】
図8において、近接場光デバイス400は、光源40と、該光源40の上に積層された透明基板41と、該透明基板41の上に積層された近接場光発生部1と、透明基板41上で平面視して近接場光発生部1の周囲を囲うと共に、透明基板41の上面全域を覆う反射層42と、を備えて構成されている。
【0082】
本実施形態は、本発明に係る第4の近接場光デバイスの実施形態であり、反射層42が本発明に係る、基板側からの入射光を選択的に透過すると共に近接場光発生部側からの光を選択的に反射する「反射層」の一例を構成している。
【0083】
光源20には、例えばLED(Light Emitting Diode)、半導体レーザ、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発行レーザ)、有機EL等を適用可能である。透明基板21は、光源20から出射された光のうち、近接場光発生部1を適切に動作可能な光を少なくとも透過させることが可能な基板であればよく、例えばガラス基板等の高光透過率を有する基板に限られない。
【0084】
図8の、近接場発生部1は、図1で説明した近接場デバイス1のGaAs基板12〜金属端17までを含むものとして表現している。なお、出力端については、図2の変形例の如く(金属端17ではなく)量子ドット17dから構成されてもよい。
【0085】
反射層42は、屈折率の相異なる誘電体薄膜が積層されてなる誘電体ミラーなど、周波数依存性或いは波長依存性を有し、選択的に反射したり透過したりする反射層或いは半透過反射層である。透明基板41側からの入射光の波長或いは周波数に関して、透明基板41側から近接場光発生部1側(即ち図8中で上側)へ向けて透過する際の反射層の透過率は、その逆である近接場光発生部1側から透明基板41側(即ち図8中下側)へ向けて透過する際の透過率よりも高く、例えば、50%以上の値である。入射光の利用効率の観点から言えば、ここでの透過率の値は、高ければ高い程よい。
【0086】
更に、近接場光の波長或いは周波数に関して、近接場光を近接場光発生部1側(即ち図8中上側)へ向けて反射する際の反射層42の反射率は、入射光を透明基板41側(即ち図8中下側)へ向けて反射する際の反射率或いは仮想的に入射光に代えて近接場光を透明基板41側から入射させた場合における透明基板41側へ向けて反射する際のよりも高く、例えば、50%以上の値である。近接場光の利用効率の観点から言えば、ここでの反射率の値は、高ければ高い程よい。
【0087】
よって、透明基板41により導かれた入射光は、透明基板41と近接場光発生部1との間に配置された反射層42によって、透明基板41側から近接場光発生部1側へ向けて透過される。即ち、近接場光発生部1では、近接場光を発生させるに必要なエネルギーを、反射層42を透過して入射される入射光から得ることができる。
【0088】
他方、近接場光発生部1で発生され(出力端側に直接進もうとする成分ではなくて)透明基板41側に戻ろうとする成分は、透明基板41と近接場光発生部1との間に配置された反射層42における反射作用によって、近接場光発生部1側へ向けて反射される。即ち、透明基板41側に戻ろうとする(即ち図8中下側へ向う)成分についても、反射層42における反射作用によって、出力端側に進もうとする(即ち図8中上側へ向う)成分に変えることが可能となる。
【0089】
従って、仮に反射層42が存在しない場合と比較すると、透明基板41側に戻ってしまう或いは出力端から(外部へ向けて出力されずに)発散してしまうことになる、近接場光成分が、顕著に減ぜられる。
【0090】
以上詳細に説明したように第4実施形態によれば、主に反射層42を採用することにより、エネルギー効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0091】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う近接場光デバイス及びその製造方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…近接場光発生部、11…光源、12…透明基板、13…GaAsバッファ層、14…InAs層、15…GaAs層、16…InAs量子ドット、17…金属端、17b…量子ドット、20…光源、21…透明基板、22…アンテナ層、31…金属ナノ粒子、32…保護層、34…テーパ部、30…ガラス基板、35…導波路、36…グレーチング、40…光源、41…透明基板、42…反射層、100…近接場光デバイス、300…近接場光デバイス、350…近接場光デバイス、400…近接場光デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置されており、第1量子ドットを含み、前記基板により導かれる入射光をエネルギー源として前記第1量子ドットの光発生作用により第1近接場光を発生可能な量子ドット層と、
前記量子ドット層上に配置されており、第2量子ドットを含み、前記量子ドット層で発生された前記第1近接場光をエネルギー源として前記第2量子ドットの光発生作用により第2近接場光を発生可能且つ外部へ出力可能な出力端と
を備えることを特徴とする近接場光デバイス。
【請求項2】
基板と、
前記基板上に配置されており、量子ドットを含み、前記基板により導かれる入射光をエネルギー源として前記量子ドットの光発生作用により近接場光を発生可能な量子ドット層と、
前記量子ドット層上に配置されており、前記量子ドット層で発生された前記近接場光を外部へ出力可能な出力端と、
前記基板と前記量子ドット層との間に配置されており、前記導かれた入射光のエネルギーを前記量子ドット層及び前記出力端の少なくとも一つへ向けて集中させるエネルギー集中層と
を備えることを特徴とする近接場光デバイス。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に配置されており、前記基板により導かれる入射光をエネルギー源として近接場光を発生可能であると共に、該発生された近接場光を前記基板と反対側を向く出力端から外部へ出力可能な近接場光発生部と
を備え、
前記近接場光発生部は、保護層と前記保護層内に離散的に配置されており量子ドットとして各々機能する複数の金属ナノ粒子とを含み、
前記保護層には、その外観形状において、前記基板側から前記出力端側に向かうに連れて幅が狭くなるようにテーパが設けられている
ことを特徴とする近接場光デバイス。
【請求項4】
基板と、
前記基板上に配置されており、前記基板により導かれる入射光をエネルギー源として近接場光を発生可能であると共に、該発生された近接場光を前記基板と反対側を向く出力端から外部へ出力可能な近接場光発生部と、
前記基板と前記近接場光発生部との間に配置されており、前記導かれた入射光を前記基板側から前記近接場光発生部側へ向けて透過すると共に、前記近接場光発生部で発生された前記近接場光を前記近接場光発生部側へ向けて反射する反射層と
を備えることを特徴とする近接場光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−38227(P2013−38227A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173113(P2011−173113)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(503213291)パイオニア・マイクロ・テクノロジー株式会社 (25)
【Fターム(参考)】