説明

透明バリア積層体及び画像表示装置

【課題】水蒸気透過度を低く抑え、かつ、剥離強度も優れる透明バリア積層体及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の透明バリア積層体に対応する第1の積層体2は、アクリル系共重合体(A)及び架橋剤(B)を含有する粘着組成物からなる粘着層を介して、2つの透明バリアフィルムが積層される。アクリル系共重合体(A)は、炭素数8以上15以下の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル24.9〜75質量%と、脂環構造を有する(メタ)アクリレート24.9〜75質量%と、官能基含有アクリルモノマー0.1〜10質量%とを含有し、かつ、上記粘着層25μmあたりの水蒸気透過度は、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて100g/m・day以下である。また、本発明の画像表示装置1は、上記第1の積層体2がディスプレイの表面側に配置されており、上記第1の積層体2の端面2aが封止未処理である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明バリア積層体及び画像表示装置に関する。より詳しくは、端面からその内部に向けて水蒸気が入ることを防ぐために用いられる透明バリア積層体及びこの透明バリア積層体をディスプレイの表面に設けた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイの表面パネル部材としてはガラス板が用いられていた。しかし、近年、ノートパソコン、電子書籍等の電子モバイルが普及し、操作性等の観点から、薄型化、軽量化、耐久性が要請されている。この要請に応じるため、表面パネル部材のフィルム化が進んでいる。
【0003】
一方、ディスプレイを構成する有機EL等の表示素子は、水蒸気によって劣化することが知られている。このため、表面パネル部材をフィルム化する場合には、ガラスに近い高度の水蒸気バリアが求められる。このような水蒸気バリアフィルムとして、例えば、透明フィルムにシリカ等の無機酸化物を蒸着した透明バリアフィルムを、複数枚張り合わせた透明バリア積層体が知られている。この場合、透明バリアフィルム同士の貼り合わせには、粘着剤や接着剤が用いられる。このような透明バリア積層体においては積層面に垂直方向の一般的な水蒸気バリア性は非常に高い。
【0004】
透明バリアフィルム同士の貼り合わせには、アクリル粘着剤が広く用いられている。しかしながら、従来のアクリル粘着剤は水蒸気バリア性が低いため、積層面と平行な面、すなわち粘着層の端面側からの水蒸気浸入を考慮する必要がある。具体的には、粘着層端面からの水蒸気浸入の後、蒸着面を超えて水蒸気透過する経路によって素子側に水蒸気が浸入し、上記の表示素子や回路等が劣化する原因となる。このように、高水蒸気バリア領域では、粘着層端面からの水蒸気浸入の影響が大きくなるので、複数枚のバリアフィルムを積層しても、粘着層の存在によってある程度以上のバリア性が得られないという問題がある。このため、透明バリア積層フィルムと表示素子とを含むディスプレイは、その周囲に露出する端面を覆うように封止剤による外枠が外周に通常設けられている。しかし、外枠はディスプレイの製造工程の複雑化及び製造コストの増大につながる。この外枠を不要とするためには、粘着剤そのものの水蒸気透過度を低減して端面からの水蒸気浸入を防止することが求められる。一方で、水蒸気透過度を低減しようとすると、透明バリア積層体の層間の剥離強度が低くなる傾向にある。そのため、外枠を不要とするためには、粘着剤そのものの水蒸気透過度を低減と、透明バリア積層体の層間の剥離強度を高くすることとの両方が要求される。
【0005】
ところで、アクリル粘着剤に含まれるアクリル系共重合体の構成単位の種類及び割合を工夫したものの例として、アルキル基の炭素数が8〜20のアクリレートモノマー(a1)に由来する構成単位(a1′)を29.9〜55質量%、シクロヘキシルアクリレート等から選ばれる少なくとも一つの脂環式モノマー(a2)に由来する構成単位(a2′)を50〜70質量%、及び官能基含有モノマー(a3)に由来する構成単位(a3′)を0.1〜10質量%含むアクリル系共重合体(A)と、架橋剤(B)とを含む粘着剤からなる層を基材の片面又は両面に有する粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−180283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の粘着シートは、特に表面極性が低い被着体であるプラスチックパネルと粘着剤との界面で発泡が生じることを抑止するためのものであり、粘着剤層そのものの水蒸気透過度を抑制した水蒸気バリア積層体に関する開示はない。
【0008】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、一般に広く用いられるアクリル粘着剤という制約の下、アクリル系共重合体に用いる構成単位の種類及び割合を調整することで、水蒸気透過度を更に低く抑え、かつ、剥離強度も優れる透明バリア積層体及び画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリル系共重合体に用いる構成単位の種類及び割合を適宜調整し、粘着層25μmあたりの水蒸気透過度を、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて100g/m・day以下にすることで、水蒸気透過度を更に低く抑えるとともに、剥離強度も優れることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に本発明は以下のものを提供する。
【0010】
(1)本発明は、下記アクリル系共重合体(A)及び架橋剤(B)を含有する粘着組成物からなる粘着層を介して、少なくとも第1の透明バリアフィルムと第2の透明バリアフィルムとが積層されており、前記粘着層25μmあたりの水蒸気透過度が、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて100g/m・day以下である透明バリア積層体である。
アクリル系共重合体(A)は、少なくとも次の成分(a1)、(a2)及び(a3)を共重合してなる共重合体であり、成分(a1)は、炭素数8以上15以下の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの24.9〜75質量%であり、成分(a2)は、脂環構造を有する(メタ)アクリレートの24.9〜75質量%であり、成分(a3)は、官能基含有アクリルモノマーの0.1〜10質量%である。
【0011】
(2)また、本発明は、前記成分(a1)が、炭素数8以上15以下のメタクリル酸アルキルエステルを含有する(1)記載の透明バリア積層体である。
【0012】
(3)また、本発明は、前記成分(a1)が、炭素数10以上15以下の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである(1)記載の透明バリア積層体である。
【0013】
(4)また、本発明は、前記成分(a2)が、脂環構造を有するメタクリレートを含有する(1)から(3)記載の透明バリア積層体である。
【0014】
(5)また、本発明は、前記成分(a2)が45〜70質量%であり、前記水蒸気透過度が、50g/m・day以下である(1)から(4)いずれか記載の透明バリア積層体である。
【0015】
(6)また、本発明は、前記アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が400,000から700,000である(1)から(5)いずれか記載の透明バリア積層体である。
【0016】
(7)また、本発明は、前記第1の透明バリアフィルムと第2の透明バリアフィルムがそれぞれ、透明無機酸化物蒸着フィルムであり、それぞれの透明無機酸化物蒸着フィルムの水蒸気透過度が、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて1g/m・day未満である(1)から(6)いずれか記載の透明バリア積層体である。
【0017】
(8)また、本発明は、(1)から(7)いずれか記載の透明バリア積層体が、少なくともディスプレイの表面側に配置されており、前記透明バリア積層体の端面が封止未処理である画像表示装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来の透明バリア積層体に比べ、水蒸気透過度を更に低く抑え、剥離強度も優れる透明バリア積層体が提供されるとともに、この透明バリア積層体を用いた画像表示装置も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る画像表示装置に配置する積層体の概略断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0021】
[透明バリア積層体]
本発明の透明バリア積層体は、アクリル系共重合体(A)及び架橋剤(B)を含有する粘着組成物からなる粘着層を介して、少なくとも第1の透明バリアフィルムと第2の透明バリアフィルムとが積層されており、アクリル系共重合体(A)は、少なくとも成分(a1)として、炭素数8以上15以下の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを24.9〜75質量%、成分(a2)として、エステル基として脂肪族環構造を有する脂環式の(メタ)アクリル酸エステルである、脂環構造を有する(メタ)アクリレートを24.9〜75質量%及び成分(a3)として、官能基含有アクリルモノマーを0.1〜10質量%を共重合してなり、上記粘着層25μmあたりの水蒸気透過度が、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて100g/m・day以下であることを特徴とする。なお、本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートであることを意味する。
【0022】
本発明の透明バリア積層体では、アクリル系共重合体に用いる構成単位の種類及び割合を適宜調整し、粘着層25μmあたりの水蒸気透過度を100g/m・day以下にした点に特徴がある。本発明の透明バリア積層体によれば、従来の透明バリア積層体に比べ、水蒸気透過度を低く抑えるとともに、剥離強度も優れる。その結果、本発明の透明バリア積層体を電子モバイル等のディスプレイの表面に表面パネル部材として設けても、粘着層の端面から電子モバイルの内部に水蒸気が浸入し、表示素子や回路に支障をきたすことを防ぐことできる。以下、本発明の透明バリア積層体について、具体的に説明する。
【0023】
<アクリル系共重合体(A)>
本発明の透明バリア積層体は、粘着組成物からなる粘着層を介して、少なくとも第1の透明バリアフィルムと第2の透明バリアフィルムとが積層されており、粘着組成物は、アクリル系共重合体(A)及び架橋剤(B)を含有する。このうち、アクリル系共重合体(A)は、水蒸気バリア性及び粘着性が高いことを特徴とし、少なくとも成分(a1):炭素数8以上15以下の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、成分(a2):脂環構造を有する(メタ)アクリレート及び成分(a3):官能基含有アクリルモノマーを共重合してなる。
【0024】
成分(a1)の鎖状アルキル基は、炭素数が8以上15以下であり、脂肪族環又は芳香族環のいずれも有しないものであれば、直鎖状であっても分枝状であってもよいが、炭素数が10以上15以下であり、脂肪族環又は芳香族環のいずれも有しない直鎖状アルキル基を有すること又は炭素数8以上15以下のメタクリル酸アルキルエステルを有することが好適であり、これらは、成分(a1)に対して50%以上の割合で使用することが好適である。鎖状アルキル基の炭素数は、水蒸気透過度及び透明バリア積層体にした際の剥離強度と関係があり、側鎖の炭素数が大きいほど水蒸気バリア性が高い(水蒸気透過度が低い)一方、粘着性が低下する傾向にある。これらのことから、炭素数が8未満であると、水蒸気バリア性が低下するので好ましくない。また、炭素数が15を超えると透明バリア積層体にした際の剥離強度(接着強度)が低下するので好ましくない。
【0025】
成分(a1)の割合は、アクリル系共重合体(A)の総質量に対して24.9〜75質量%であることが好適であり、より好ましくは29.5〜54.5質量%である。成分(a1)の割合が24.9質量%よりも低いと、透明バリア積層体にした際の剥離強度(接着強度)が低下するので好ましくない。成分(a1)の割合が75質量%よりも高いと、水蒸気透過度が高くなるので好ましくない。
【0026】
成分(a1)の例として、例えば、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが挙げられ、好ましくはラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートが挙げられる。
【0027】
成分(a2)は脂環構造を有する(メタ)アクリレートであり、適量であれば水蒸気バリア性の向上に寄与するとともに、剥離強度の低下を最低限に抑えることができる。成分(a2)の例として、例えばシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートが挙げられ、シクロヘキシルメタクリレートがより好適であり、(a2)中50%以上の割合で使用することが好ましい。成分(a2)の割合は、アクリル系共重合体(A)の総質量に対して24.9〜75質量%であればよいが、45〜70質量%であることが好適である。成分(a2)の割合が24.9質量%よりも低いと、水蒸気バリア性が低下するので好ましくない。成分(a2)の割合が75質量%よりも高いと、他の成分(a1)、(a3)が不足するとともに剥離強度が低下するので好ましくない。
【0028】
成分(a3)は、架橋剤(B)と反応する官能基をその分子構造中に含み、他の成分(a1)及び(a2)と共重合することが可能なアクリルモノマーである。
【0029】
成分(a3)に含まれる官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミド基又はN置換アミド基等であることが好適である。これらの基を含むものとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN置換アミド基含有モノマーが挙げられる。中でも、カルボキシル基を含むことが好ましい。さらに、架橋剤(B)としてイソシアネートを使用する場合には水酸基を併用して使用することが好ましい。
【0030】
成分(a3)の割合は、アクリル系共重合体(A)の総質量に対して0.1〜10質量%であることが好適である。成分(a3)の割合が0.1質量%よりも低いと、アクリル系共重合体(A)に架橋剤(B)を適切に架橋させることができない結果、凝集力が低下するため、好ましくない。成分(a3)の割合が10質量%よりも高いと、粘着組成物の極性が大きくなり、極性の低い透明バリアフィルムを貼り付ける際、粘着力が不足し、ハガレが生じる点から好ましくない。また、水蒸気透過度が高くなる点でも好ましくない。
【0031】
なお、アクリル系共重合体(A)は、上記必須共重合成分以外に、例えば酢酸ビニル等の他の共重合モノマー成分を共重合していてもよい。
【0032】
アクリル系共重合体(A)は、上記成分(a1)、(a2)及び(a3)と必要に応じて他の成分を共重合させることにより製造される。この共重合に当たっての重合方法は、特に限定はされないが、ポリマー設計の容易さの点でラジカル重合が好ましく、界面活性剤の混入等を考慮すると溶液重合が特に好ましい。一例を挙げれば、トルエンやキシレンのような炭化水素系や酢酸エチルのようなエステル系の有機溶媒中に成分(a1)、(a2)及び(a3)を溶解し、続いて、成分(a1)、(a2)及び(a3)を溶解した有機溶媒に重合開始剤を混合して還流状態で50〜90℃程度で、3〜20時間程度加熱すればよい。重合開始剤の例として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル又は過酸化ベンゾイルが挙げられる。
【0033】
重合後のアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、200,000〜700,000の範囲であることが好適である。重量平均分子量が200,000未満であると、凝集力が低下し、粘着性能を損なうために好ましくない。重量平均分子量が700,000を超えると、高粘度化し作業性を損なうため好ましくない。
【0034】
また、重合後のアクリル系共重合体(A)のガラス転移温度Tgは、−50〜50℃であることが好適であり、−30〜40℃であることがより好適である。
【0035】
<架橋剤(B)>
架橋剤(B)は、上記成分(a3)の有する官能基と反応又は相互作用する化合物である。架橋剤(B)としては、粘着組成物に気泡が発生することや、透明バリアフィルムの剥がれが生じることを抑制できる点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート又はアジリジン系架橋剤が挙げられ、粘着組成物に生じる気泡を抑制できる点でイソシアネート系硬化剤、またはエポキシ系硬化剤が好適である。
【0036】
イソシアネート系架橋剤は、その分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネートモノマーや、それらをトリメチロールプロパン等の2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物ないしイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物等が挙げられる。また、公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等にイソシアネート化合物を付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等も挙げられる。
【0037】
エポキシ系架橋剤は、その分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、具体的には、ビスフェノールAエピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。また、金属キレート化合物としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、ジルコニウム等の多価金属塩がアセチルアセトンに配位した化合物、同じ多価金属塩がアセト酢酸エチルに配位した化合物等が挙げられる。
【0038】
アジリジン系架橋剤は、その分子中に2以上のアジリジン基を有する化合物であり、具体的には、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、N,N′−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
【0039】
<粘着組成物の調製>
粘着組成物の調製は、上記アクリル系共重合体(A)及び架橋剤(B)を常法に従って混合することにより行われる。その他添加剤を本願発明の効果を損なわない範囲で添加することが出来る。添加剤としては、例えば、粘着付与剤(タッキファイヤー)として用いられる石油樹脂等が挙げられる。
【0040】
架橋剤(B)の量も、特に制約されるものではないが、アクリル系共重合体(A)の質量に対し、0.01〜20質量%であることが好適である。架橋剤(B)がイソシアネート系架橋剤である場合は、アクリル系共重合体(A)の質量に対し、0.1〜20質量%であることがより好適である。架橋剤(B)の含有量が0.1質量%未満であると、凝集力が低下して高温時の耐久性が悪化するため、好ましくない。また、架橋剤(B)の含有量が20質量%を超えると、硬化後に十分な粘着力が得られず、耐久性が悪化するため、好ましくない。架橋剤(B)がエポキシ系架橋剤である場合は、アクリル系共重合体(A)の質量に対し、0.01〜5質量%であることがより好適である。架橋剤(B)の含有量が0.01質量%未満であると、凝集力が低下して高温時の耐久性が悪化するため、好ましくない。また、架橋剤(B)の含有量が5質量%を超えると、硬化後に十分な粘着力が得られず、耐久性が悪化するため、好ましくない。
【0041】
<水蒸気バリア性>
上記の粘着組成物は、粘着層25μmあたりの水蒸気透過度が、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて100g/m・day未満であり、より好ましくは50g以下である。粘着層25μmあたりとは、他の厚さで測った場合であっても水蒸気透過度が厚さに反比例することから25μmあたりに換算した値を採用できることを意味する。この点において単位厚さあたりの水蒸気透過度は材料に固有の物性である。なお、粘着層の水蒸気透過度は、粘着層単独フィルムをろ紙等の測定値に影響しない支持基材に挟んで測定すればよい。
【0042】
<粘着フィルム>
本発明の粘着組成物は、後述するように2以上のフィルム間の層間粘着剤として積層する際の便宜のために、従来公知の方法で保護フィルム(剥離シート)上に粘着層として形成される。上記保護フィルムの市販品としてはシリコーン等で易剥離処理されているものを用いることができ、例えば、SP−PET−01及びSP−PET−03(いずれも東セロ社製)等が好適である。
【0043】
粘着層の厚みは、特に限定されるものではなく、用途に応じて、適宜選択することができる。通常、10〜30μmであり、好ましくは15〜25μmである。厚みが10μm未満であると、十分な接着強度が得られない場合があり、30μmを超えると、端部からの水分の侵入が増加するため、好ましくない。
【0044】
粘着層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記アクリル系共重合体(A)と、上記架橋剤(B)と、を有機溶剤に溶解又は分散させることにより、粘着層形成用塗工液を得る。次いで、該塗工液を、剥離可能な保護フィルムの剥離処理面上にアプリケータ等により全面塗工し、粘着層を形成する。その後、該粘着層を乾燥させ、剥離可能な保護フィルム(剥離シート)をラミネートすることにより、粘着層を形成することができる。有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、これらの混合溶液等を好適に使用することができる。上記塗工液を、剥離可能な保護フィルム層上に塗工する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法、コンマコート法等が挙げられる。
【0045】
[積層体]
本発明の積層体は、第1の透明バリアフィルムと第2の透明バリアフィルムが、上記粘着組成物からなる粘着層を介して積層されている粘着積層体層を含むものであれば足りる。すなわち、この2層の粘着積層体層を基本構成として更に他の層が積層されていてもよい。
【0046】
ここで、本発明における透明バリアフィルムとは、単独フィルムでのJIS K7361法によるヘーズ値が5.0%以下、かつ、水蒸気透過度が、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて1g/m・day未満であることを意味する。具体的には、シリカやアルミナ等の無機酸化物をPET等の透明基材フィルム上に従来公知の蒸着法等によって薄膜形成してなる無機酸化物蒸着フィルムが例示できる。
【0047】
積層方法は、例えば、第1の透明バリアフィルムと、上記の粘着フィルムとを、粘着層を介するように重ねて圧着することで粘着層が第1の透明バリアフィルム側に転写される。その後に転写された粘着層上に更に第2の透明バリアフィルムを圧着すればよい。
【0048】
[画像表示装置]
本発明の積層体を構成する粘着層は、被着体に対して良好な接着性及び密着性を示すのみならず、端面からの水蒸気透過度を低く抑えることができるので、積層体の辺に沿って封止剤による枠を設けることなく、画像表示装置の一例である、携帯電話、電子書籍等の小型電子モバイルのディスプレイの表面側に本発明の積層体を適用できる。
【0049】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置1の概略断面図である。画像表示装置1は、第1の積層体2と、第2の積層体3と、これら第1の積層体2及び第2の積層体3により囲まれた収納部4とにより構成される。収納部4には、ディスプレイ素子5が収納されている。ディスプレイ素子5は、ディスプレイを駆動する駆動電極6と、電界の印加により移動する粒子を分散媒中に分散させて封入したマイクロカプセルからなる表示体7と、ITO膜がPETフィルム上に形成されているITO−PETフィルム8とにより構成され、これらは、第2の積層体3から第1の積層体2に向けて積層されている。
【0050】
この画像表示装置1においては、少なくとも第1の積層体2が本発明の透明な積層体で構成されている。第1の積層体2は、ディスプレイの表面側から見て手前に配置され、略水平な形状を有する。一方、第2の積層体3は、ディスプレイの表面側から見て奥に配置され、収納部4の形状に沿って曲がった形状を有する。第1の積層体2と第2の積層体3の周縁部が水蒸気バリア性を有する材料で接合されている。
【0051】
この画像表示装置1においては、第1の積層体2の端面2aが露出しており、枠体等の封止処理が行なわれていない。このように、本発明においては、粘着層の水蒸気バリア性に優れるため、枠体や封止材等による積層体の端面封止処理が不要であることから、画像表示装置の構造を簡略化することができる。なお、本発明における積層体の端面が封止未処理とは、積層体の端面が露出しているものはもちろん、実質的に水蒸気バリア確保のための封止処理をしていない態様をすべて含む意味である。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
【0053】
【表1】

【0054】
<実施例1>
攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた反応装置に、成分(a1)として2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)29質量部を、成分(a2)としてシクロヘキシルアクリレート(CHA)69質量部を、成分(a3)としてアクリル酸(AA)1.5質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.5質量部を入れ、これらを溶媒であるトルエン130質量部に溶解させた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1質量部を更に加え、窒素ガス気流中、68℃で8時間重合を行うことで、アクリル系共重合体(A)を得た。得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−15℃であった。
【0055】
そして、アクリル系共重合体(A)の固形分100質量部に対して架橋剤(B)としてL−45(綜研化学社製)0.5質量部を更に加え、透明な塗工液を得た。
【0056】
その後、剥離可能な保護フィルム層である中剥離シート(商品名:SP−PET−03,片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されてなるポリエステルフィルム、膜厚:38μm、東セロ社製)の剥離処理面上に、乾燥後の膜厚が15μm及び25μmとなるように上記塗工液をアプリケータにより全面塗工した後、乾燥オーブンにより120℃で2分間乾燥させた。次いで、剥離可能な保護フィルム層である軽剥離シート(商品名:SP−PET−01、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されてなるポリエステルフィルム、膜厚:38μm、東セロ社製)とラミネートし、実施例1の粘着フィルムを得た。
【0057】
<実施例2>
成分(a1)としての2EHAの割合が49質量部であり、成分(a2)としてのCHAの割合が49質量部であること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例2の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−33℃であった。
【0058】
<実施例3>
成分(a1)としての2EHAの割合が69質量部であり、成分(a2)としてのCHAの割合が29質量部であること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例3の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−48℃であった。
【0059】
<実施例4>
成分(a1)としての2EHAの割合が49質量部であること、及び成分(a2)として、CHAの代わりにCHMAが49質量部用いられていること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例4の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−18℃であった。
【0060】
<実施例5>
成分(a1)として、2EHAの代わりにLMAが49質量部用いられていること、及び成分(a2)としてのCHAの割合が49質量部であること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例5の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−30℃であった。
【0061】
<実施例6>
成分(a1)として、2EHAの代わりにLAが49質量部用いられていること、及び成分(a2)としてのCHAの割合が49質量部であること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例6の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは16℃であった。
【0062】
<実施例7>
成分(a1)として、2EHAの代わりにLAが49質量部用いられていること、及び成分(a2)としてのCHAの代わりにCHMAが49質量部用いられていること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例7の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは39℃であった。
【0063】
<実施例8>
成分(a1)として、2EHAの代わりにLMAが49質量部用いられていること、及び成分(a2)としてのCHAの代わりにCHMAが49質量部用いられていること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例8の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−14℃であった。
【0064】
<比較例1>
成分(a1)の代わりに、炭素数が4である鎖状アルキル基を有するBAが98質量部用いられていること、及び成分(a2)が加えられていないこと以外は、実施例1と同様の方法にて比較例1の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−48℃であった。
【0065】
<比較例2>
成分(a1)としての2EHAの割合が98質量部であること、及び成分(a2)が加えられていないこと以外は、実施例1と同様の方法にて比較例2の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−68℃であった。
【0066】
<比較例3>
成分(a1)として、2EHAの代わりにLMAが98質量部用いられていること、及び成分(a2)が加えられていないこと以外は、実施例1と同様の方法にて比較例3の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−65℃であった。
【0067】
<比較例4>
成分(a1)が加えられていないこと、及び成分(a2)としてのCHAの割合が98質量部であること以外は、実施例1と同様の方法にて比較例4の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは16℃であった。
【0068】
<比較例5>
成分(a1)が加えられていないこと、及び成分(a2)として、CHAの代わりにCHMAが98質量部用いられていること以外は、実施例1と同様の方法にて比較例5の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは66℃であった。
【0069】
<比較例6>
成分(a1)の代わりに、BAが49質量部用いられていること、及び成分(a2)としてのCHAの割合が49質量部であること以外は、実施例1と同様の方法にて比較例6の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは−20℃であった。
【0070】
<比較例7>
成分(a1)が加えられていないこと、及び成分(a2)として、CHAの代わりにLAが98質量部用いられていること以外は、実施例1と同様の方法にて比較例7の粘着フィルムを得た。なお、得られたアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万であり、ガラス転移温度Tgは16℃であった。
【0071】
実施例及び比較例の粘着フィルムの軽剥離シートを剥がして、粘着層面を厚さ12μmの片面コロナ処理PETフィルム(商品名:E5100、東洋紡社製)のコロナ面側と積層し、幅45mmの2kgローラーで圧着後、中剥離シートを剥離して粘着層をPETフィルム側に転写してPET12μm(コロナ面)/粘着層15μmor25μmを形成した。その後、粘着層上に同じPETフィルムのコロナ面を積層して同様に圧着し、PET12μm(コロナ面)/粘着層15μmor25μm/(コロナ面)PET12μmの積層体を作成した。
【0072】
また、実施例及び比較例の粘着フィルムの軽剥離シートを剥がして、粘着層面を厚さ12μの片面シリカ蒸着処理PETフィルム(商品名:IB−PET−PXB、大日本印刷社製、水蒸気透過度0.1g/m・day)のアルミナ蒸着面側と積層し、幅45mmの2kgローラーで圧着後、中剥離シートを剥離して粘着層をPETフィルム側に転写してPET12μm(無機物蒸着面)/粘着層15μmを形成した。その後、粘着層上に同じPETフィルムの無機物蒸着面を積層して同様に圧着し、PET12μm(無機物蒸着面)/粘着層15μm/(無機物蒸着面)PET12μmのバリア積層体を作成した。
【0073】
[水蒸気透過度の評価]
水蒸気透過度の評価は、JIS K7129A法にしたがって行った。粘着層25μmの上記実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた粘着フィルムを両剥離シートから剥離して粘着層25μmをろ紙に挟んで測定に供した。試験はJIS K7129A法、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定機L80−5000(PBI Dansensor社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。単位はg/m・dayであり、100g/(m・day)未満を“○”とし、100g/(m・day)以上を“×”とした。
【0074】
なお、端面からの水蒸気透過度の直接測定は困難であるが、上記のように、水蒸気透過度は組成物に固有の物性であるため、通常の水蒸気透過度が低ければ端面からの水蒸気透過度も低いということが言える。このため、通常の水蒸気透過度の相対比較を以って端面水蒸気透過度の議論をすることに問題はない。
【0075】
[T字剥離強度の評価]
T字剥離強度の評価は、180度T字剥離試験にしたがって行った。上記実施例1〜5及び比較例1〜6で得られた粘着剤を用い、PET12μm(コロナ面)/粘着層15μm/(コロナ面)PET12μmの積層体を作成し、長さ100mm、幅15mmに切断し、試験片を作成し、T字となるように引張り試験機(商品名:テンシロンRTF−1150H、エーアンドディー社製)で引っ張り(速度:50mm/min、剥離角:180°)、そのときの強度をT字剥離強度とした。結果を表2に示す。単位はN/15mm。2N/15mm以上を“○”とし、2N/15mm未満を“×”とした。
【0076】
【表2】

【0077】
アクリル系共重合体(A)及び架橋剤(B)を含有する粘着組成物からなる粘着層を介して、少なくとも第1の透明バリアフィルムと第2の透明バリアフィルムとが積層されており、アクリル系共重合体(A)が、成分(a1)として炭素数8以上15以下の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを24.9〜75質量%含有し、成分(a2)としてシクロヘキシル(メタ)アクリレートを24.9〜75質量%含有し、成分(a3)として官能基含有アクリルモノマーを0.1〜10質量%含有する透明バリア積層体(実施例1〜5)は、いずれも良好な水蒸気透過度及びT字剥離強度を示した。本発明においては、粘着層が15μm以上であって、PETフィルム貼り合わせ時の180度T字剥離試験における剥離強度が、2N/15mm以上が得られる。
【0078】
一方、成分(a1)として、炭素数が8以下であるBA又は2EHAを用いた場合、成分(a2)を加えないと、十分なT字剥離強度を確保できても、水蒸気透過度を十分に抑制できない場合があることが確認された(比較例1及び2)。また、成分(a1)として、アルキル基の炭素数が12であるラウリルメタクリレートを用いた場合、成分(a2)を加えないと、水蒸気透過度を十分に抑制できても、十分なT字剥離強度を確保できず、初期の粘着性が劣る場合や、その後の剥がれを生じる場合等があることが確認された(比較例3)。また、成分(a1)を加えないと、水蒸気透過度を十分に抑制できても、十分なT字剥離強度を確保できず、初期の粘着性が劣る場合や、その後の剥がれを生じる場合等があることが確認された(比較例4及び5)。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいて、鎖状アルキル基の炭素数を8未満にすると、成分(a2)及び(a3)を適切に加えたとしても、水蒸気透過度を十分に抑制できない場合があることが確認された(比較例6)。
【符号の説明】
【0079】
1 画像表示装置
2 第1の積層体
3 第2の積層体
4 収納部
5 ディスプレイ素子
6 駆動電極
7 表示体
8 ITO−PETフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記アクリル系共重合体(A)及び架橋剤(B)を含有する粘着組成物からなる粘着層を介して、少なくとも第1の透明バリアフィルムと第2の透明バリアフィルムとが積層されており、
前記粘着層25μmあたりの水蒸気透過度が、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて100g/m・day以下である透明バリア積層体。
アクリル系共重合体(A):少なくとも次の成分(a1)、(a2)及び(a3)を共重合してなる共重合体
成分(a1):炭素数8以上15以下の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの24.9〜75質量%
成分(a2):脂環構造を有する(メタ)アクリレートの24.9〜75質量%
成分(a3):官能基含有アクリルモノマーの0.1〜10質量%
【請求項2】
前記成分(a1)が、炭素数8以上15以下のメタクリル酸アルキルエステルを含有する請求項1記載の透明バリア積層体。
【請求項3】
前記成分(a1)が、炭素数10以上15以下の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである請求項1記載の透明バリア積層体。
【請求項4】
前記成分(a2)が、脂環構造を有するメタクリレートを含有する請求項1から請求項3いずれか記載の透明バリア積層体。
【請求項5】
前記成分(a2)が45〜70質量%であり、前記水蒸気透過度が、50g/m・day以下である請求項1から4いずれか記載の透明バリア積層体。
【請求項6】
前記アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が400,000から700,000である請求項1から5いずれか記載の透明バリア積層体。
【請求項7】
前記第1の透明バリアフィルムと第2の透明バリアフィルムがそれぞれ、透明無機酸化物蒸着フィルムであり、それぞれの透明無機酸化物蒸着フィルムの水蒸気透過度が、JIS K7129A法、40℃×90%RHにおいて1g/m・day未満である請求項1から6いずれか記載の透明バリア積層体。
【請求項8】
請求項1から7いずれか記載の透明バリア積層体が、少なくともディスプレイの表面側に配置されており、前記透明バリア積層体の端面が封止未処理である画像表示装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−78890(P2013−78890A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220029(P2011−220029)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】