説明

透明被膜形成用塗料および透明被膜付基材

【課題】基材との密着性、耐擦傷性、膜硬度等に優れるとともに、帯電防止性能、透明性、ヘーズ等に優れた透明被膜形成用塗料を提供する。
【解決手段】導電性酸化物微粒子とマトリックス形成成分と溶媒とからなる透明被膜形成塗料であって、マトリックス形成成分がグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコール系アクリレート樹脂(B)とからなることを特徴とする透明被膜形成塗料。前記非グリコール系アクリレート樹脂(B)が、非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)と、非グリコール系3官能アクリレート樹脂、非グリコール系4官能アクリレート樹脂および非グリコール系6官能アクリレート樹脂から選ばれる1種以上の非グリコール系アクリレート樹脂(B2)との混合物からなり、非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)が固形分として5〜50重量%の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材との密着性、耐擦傷性、膜硬度等に優れるとともに、帯電防止性能、透明性、ヘーズ等に優れた透明被膜形成用塗料および透明被膜付基材とに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の耐擦傷性を向上させるため、基材表面にハードコート膜を形成することが知られており、このようなハードコート膜として有機樹脂膜あるいは無機膜をガラスやプラスチック等の表面に形成することが行われている。さらに、有機樹脂膜あるいは無機膜中に樹脂粒子あるいはシリカ等の無機粒子を配合してさらに基材との密着性、耐擦傷性等を向上させることが行われている。
【0003】
また、表示装置等の基材に帯電防止性能、電磁波遮蔽性能を付与するために金属微粒子、導電性の酸化物微粒子を含む導電性被膜を基材表面に形成することも行われている(特許文献1:特開2003−105268号公報)。このとき、導電性の酸化物微粒子として、酸化錫、F、SbまたはPをドープした酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFをドープした酸化インジウム、5酸化アンチモン、低次酸化チタン等を用いることが開示されている。
【0004】
本願発明者らは、ハードコート膜自体に帯電防止性能を付与するために五酸化アンチモン微粒子を配合したハードコート膜を開示している(特許文献2:特開2004−50810号公報)。さらに、鎖状五酸化アンチモン微粒子を透明被膜に配合することで、透明被膜に帯電防止性能を付与することも提案している(特許文献3:特開2005−139026公報)。
【0005】
前記した従来の導電性被膜あるいはハードコート膜等の透明被膜には、前記導電性微粒子のバインダーあるいはマトリックス成分として、有機珪素化合物の加水分解重縮合物であるシリコーン系マトリックス成分、あるいは、有機樹脂系マトリックス成分として、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの塗料用樹脂が用いられている。
【特許文献1】特開2003−105268号公報
【特許文献2】特開2004−50810号公報
【特許文献3】特開2005−139026公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、導電性の高い金属微粒子を透明被膜に用いた場合は、特に膜厚の場合着色が顕著になる問題があった。
また、前記導電性の酸化物微粒子を用いた場合、帯電防止性能を向上させるために、例えば、被膜中の導電性酸化物微粒子の含有量を多くすれば膜の強度、基材との密着性等が不充分となる場合があり、また、この場合、用途によって膜厚を厚くすると着色する問題があった。さらに、五酸化アンチモン微粒子、あるいは酸化錫微粒子を用いた場合、得られるハードコート膜、透明被膜の表面抵抗値が比較的高く、このため帯電防止性能が不充分であり、このため、導電性の高い、Sbをドープした酸化錫(ATO)あるいはSnをドープした酸化インジウム(ITO)を配合して用いると、膜厚が0.5μm以上の透明被膜では着色する問題が発生し、また、着色した透明被膜付基材を用いた表示装置では、例えば、外観が問題になるほか、読み込み、書き込みを阻害するという新たな問題点もあ
った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような状況の下、導電性酸化物微粒子を使用する場合に生じる問題を解消すべく鋭意検討した結果、マトリックス成分として、グリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリ
コール系アクリレート樹脂(B)とを所定比で混合して用いると、透明性および導電性が著
しく向上することを見いだして本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の構成は以下の通りである。
[1]導電性酸化物微粒子とマトリックス形成成分と溶媒とからなる透明被膜形成塗料であ
って、
マトリックス形成成分がグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコール系アクリレ
ート樹脂(B)とからなり、
マトリックス形成成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が、固形分とし
て10〜80重量%の範囲にある透明被膜形成塗料。
[2]前記非グリコール系アクリレート樹脂(B)が、
非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)と、非グリコール系3官能アクリレート樹脂、非グリコール系4官能アクリレート樹脂および非グリコール系6官能アクリレート樹脂から選ばれる1種以上の非グリコール系アクリレート樹脂(B2)との混合物からなり、
非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)
が固形分として5〜50重量%の範囲にある[1]の透明被膜形成塗料
[3]前記導電性酸化物微粒子が、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化イン
ジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、5酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上である[1]または[2]の透明被膜形成塗料。
[4]前記導電性酸化物微粒子の平均粒子径が、5〜200nmの範囲にある[1]〜[3]の透
明被膜形成塗料。
【0009】
[5]塗料中の前記導電性酸化物微粒子の固形分濃度が0.5〜40重量%の範囲にあり、
前記マトリックス形成成分の固形分濃度が1〜45重量%の範囲にあり、
塗料中の全固形分濃度が5〜50重量%の範囲にある[1]〜[4]の透明被膜形成塗料。
[6]基材と、該基材上に形成された透明被膜とからなり、
該透明被膜が導電性酸化物微粒子とマトリックス成分とを含み、
マトリックス成分がグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコール系アクリレート
樹脂(B)とからなり、
マトリックス成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が固形分として10
〜80重量%の範囲にある透明被膜付基材。
[7]前記非グリコール系アクリレート樹脂(B)が、非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)と、非グリコール系3官能アクリレート樹脂、非グリコール系4官能アクリレート樹脂および非グリコール系6官能アクリレート樹脂から選ばれる1種以上の非グリコール系アクリレート樹脂(B2)との混合物からなり、
非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)
が固形分として5〜50重量%の範囲にある[6]の透明被膜付基材。
[8]前記導電性酸化物微粒子が酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジ
ウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、5酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上である[6]または[7]の透明被膜付基材。
[9]前記導電性酸化物微粒子の平均粒子径が5〜200nmの範囲にある[6]〜[8]の透明
被膜付基材。
[10]前記導電性酸化物微粒子の透明被膜中の含有量が固形分として10〜80重量%の範囲にある[6]〜[9]の透明被膜付基材。
[11]透明被膜の膜厚が30nm〜20μmの範囲にある[6]〜[10]の透明被膜付基材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明被膜の膜厚によらず、基材との密着性、耐擦傷性、硬度、透明性等に優れるとともに帯電防止性能、経済性等に優れた透明被膜を形成することができる。
たとえば、透明被膜の膜厚が概ね30〜300nmの場合では、表示装置等に有用な帯電防止性能、経済性等に優れた透明被膜付基材を提供することができる。また、透明被膜の膜厚が0.3〜20μmの厚さになっても、着色することなく、耐擦傷性、帯電防止性能に優れたハードコート膜付基材を提供することができる。また、特定のマトリックスと導電性酸化物微粒子とを組合わせているので、透明性および導電性が向上し、表示装置等に用いた場合、耐擦傷性、帯電防止性能等に加えて着色することもなく、透明性が高く、読込性、書込性に優れた表示装置等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明に係る透明被膜形成用塗料について説明する。
[透明被膜形成用塗料]
本発明に係る透明被膜形成用塗料は、導電性酸化物微粒子とマトリックス形成成分と溶媒とからなる。
導電性酸化物微粒子
導電性酸化物微粒子は従来公知の導電性酸化物微粒子を用いることでき、例えば、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタン等の導電性酸化物微粒子から選ばれる1種または2種以上は好適に用いることができる。
【0012】
これらの導電性酸化物微粒子は導電性が高く、透明被膜に配合すると、透明被膜に帯電防止性能を付与できる。
導電性酸化物微粒子の平均粒子径は5〜200nm、さらには10〜100nmの範囲にあることが好ましい。
【0013】
なお、導電性酸化物微粒子が小さすぎると、透明被膜形成用塗料中で粒子が凝集しやすくなったり、粒界抵抗が大きくなったりするため、得られる透明被膜の帯電防止性能が不充分となる場合がある。導電性酸化物微粒子が大きすぎると、得られる透明被膜の透明性が低下したり、ヘーズが高くなる場合があり、さらには、透明被膜中で導電パスを形成しにくく、帯電防止性能が不充分となる場合がある。
【0014】
本発明で用いる導電性酸化物微粒子は、加水分解性有機ケイ素化合物および/または界面活性剤により表面処理されたものであってもよい。
加水分解性有機珪素化合物としては、下記式(1)で表される有機珪素化合物が用いられ
る。またかかる加水分解性有機珪素化合物にはシランカップリング剤も含まれる。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシ
シラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β-グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメト
キシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラ
ン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラ
ン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、
メチルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0015】
これらのなかでも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4官能有機珪素化合物は他の有機珪素化合物を使用する場合に比べて帯電防止性能が高くなる傾向にあり、好適に用いることができる。その理由は明確ではないが、珪素に直接結合した炭化水素基がないために、導電性酸化物微粒子の導電性を阻害しないためによりものと考えられる。
【0016】
有機珪素化合物による導電性酸化物微粒子の表面処理量は、導電性酸化物微粒子の平均粒子径によっても異なるが、有機珪素化合物と導電性酸化物微粒子との重量比(有機珪素化合物の固形分重量/導電性酸化物微粒子の固形分重量)が0.2以下、好ましくは0.1以下にあることが望ましい。なお、下限は特に制限されないが、表面処理する場合、前記重量比の下限が0.01以上、好ましくは0.02以上あればよい。
【0017】
表面処理量は、マトリックス形成成分、溶媒への均一な分散性が得られる範囲でできるだけ少ない処理量とすることがことが好ましい。
前記重量比が大きすぎると、導電性酸化物微粒子の表面が有機珪素化合物で厚く被覆されるようになり、導電性酸化物微粒子自体の導電性が低下し、帯電防止性能が不充分となる場合がある。
【0018】
表面処理は、例えば、導電性酸化物微粒子のアルコール分散液に前記した有機珪素化合物を所定量加え、これに水を加え、必要に応じて有機珪素化合物の加水分解用触媒として酸またはアルカリを加えて有機珪素化合物を加水分解する等従来公知の方法を採用することができる。
【0019】
また、前記した導電性酸化物微粒子は、上記有機珪素化合物の代りに、あるいは、有機珪素化合物とともに、陰イオン界面活性剤および/または非イオン界面活性剤で表面処理されていてもよい。
【0020】
界面活性剤としては、プロピレングリコールステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、イソステアリル
グリセリルエーテル、モノラウリル酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノリルフェノールホスフェート、ポリオキシエチレンノリルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリエキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム等の陰イオン性界面活性剤等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
界面活性剤による表面処理は、例えば、導電性酸化物微粒子分散液に前記界面活性剤を添加し、所望量を吸着あるいは結合させることによって調製することができる。
このときの、界面活性剤による導電性酸化物微粒子の表面処理量は、導電性酸化物微粒子の平均粒子径によっても異なるが、界面活性剤と導電性酸化物微粒子との重量比(界面活性剤の重量/導電性酸化物微粒子の固形分としての重量)は0.01〜0.2さらには0.02〜0.1の範囲にあることが好ましい。
【0022】
前記重量比が大きすぎると、導電性酸化物微粒子の表面が界面活性剤で厚く被覆されるようになり、導電性酸化物微粒子自体の導電性が低下し、帯電防止性能が不充分となる場合がある。
マトリックス形成成分
本発明に用いるマトリックス形成成分はグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコ
ール系アクリレート樹脂(B)とからなっている。マトリックス形成成分は。上記アクリレ
ート樹脂(A)および(B)の未硬化物であり、重合反応前のものである。
グリコール系アクリレート樹脂(A)
グリコール系アクリレート樹脂(A)としては、ポリエチレングリコールジアクリレート
、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート等およびこれらの混合物が挙げられる。グリコール系アクリレート樹脂(A)を配合することで、
その理由は明確でないものの、導電性を向上させる効果がある。
【0023】
マトリックス形成成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量は、固形分換算
で、10〜80重量%、さらには20〜60重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス形成成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が少ないと、導電性向上
効果が不充分となり、得られる透明被膜の帯電防止性能が不充分となる場合がある。マトリックス形成成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が多すぎると、膜が基
材との密着性、耐擦傷性が不充分となる場合がある。
非グリコール系アクリレート樹脂(B)
非グリコール系アクリレート樹脂(B)としては、1,4−ブタンジオールジメタクレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクレート、1,9−ノナンジオールジメタクレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2ヒドロキシ
−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート、1,9−ノナンジオールジアクレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、2-ヒドロキシ−3-アクリロイロキシプロピルメタクレート等の非グリコール系2
官能アクリレート樹脂、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等の3官能(ウレタン)アクリレート樹脂、ペンタエリストールテトラアクリレート等の4官能アクリレート樹脂、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート等の6官能アクリレート樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
非グリコール系アクリレート樹脂(B)を配合することで、その理由は明確でないものの
、カーリング防止性や、密着性、耐擦傷性を向上する効果がある。
一方、マトリックス形成成分中の非グリコール系アクリレート樹脂(B)の含有量が固形
分として20〜90重量%、さらには40〜80重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス形成成分中の非グリコール系アクリレート樹脂(B)の含有量が少ないと、基材
などとの密着性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
【0025】
マトリックス形成成分中の非グリコール系アクリレート樹脂(B)の含有量が多すぎると
、グリコール系アクリレート樹脂(A)が少なくなるために導電性向上効果が不充分となり
、得られる透明被膜の帯電防止性能が不充分となる場合がある
本発明では、非グリコール系アクリレート樹脂(B)が、非グリコール系2官能アクリレ
ート樹脂(B1)と、非グリコール系3官能アクリレート樹脂、非グリコール系4官能アクリレート樹脂および非グリコール系6官能アクリレート樹脂から選ばれる1種以上の非グリコール系多官能アクリレート樹脂(B2)との混合物からなる。
【0026】
非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)を含むことで、膜の収縮が抑えられ、透明被膜付基材のカーリングや基材との密着性低下が抑制できる。また、非グリコール系多官能アクリレート樹脂(B2)を含むことで、基材との密着性、耐擦傷性等を高めることができる。
【0027】
非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)
が固形分として5〜50重量%、さらには10〜40重量%の範囲にあることが好ましい。非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)の含有量が少ないと、膜の収縮が大きく得られる透明被膜付基材がカーリングしたり、基材との密着性が不充分となる場合がある。非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)の含有量が多すぎると、被膜の硬化が不充分となったり、基材との密着性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
【0028】
また、非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系多官能アクリレート樹
脂(B2)の含有量は固形分として50〜95重量%、さらには60〜90重量%の範囲にあることが好ましい。
【0029】
非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系多官能アクリレート樹脂(B2)
の含有量が少ないと、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。非グリコール系多官能アクリレート樹脂(B2)の含有量が多すぎると、膜の収縮が大きく得られる透明被膜付基材がカーリングしたり、基材との密着性が不充分となる場合がある。
重合開始剤
本発明では、上記導電性酸化物微粒子およびマトリックス形成成分とともに、重合開始剤が含まれていても良い。重合開始剤としては、公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,4-トリメチル-ペン
チルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-メチル-2-メチル-フェニル-プロパン-1-ケ
トン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどが挙げられる。また、光増感剤、安定剤、助剤などが含まれていても良い。
溶媒
本発明に用いる溶媒としては前記マトリックス形成成分、必要に応じて添加される重合開始剤などを溶解あるいは分散できるとともにPドープ酸化錫微粒子を均一に分散することができる従来公知の溶媒を用いることができる。
【0030】
具体的には、水;メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプルピル、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プルピレングリコールものエチルエーテルなどのエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールものアセタートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トルエン等極性溶媒が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
塗料組成
本発明に係る透明被膜形成用塗料中の導電性酸化物微粒子の固形分濃度は0.5〜40重量%、さらには1〜30重量%の範囲にあることが好ましい。導電性酸化物微粒子の固形分濃度が低すぎると、透明被膜中の導電性酸化物微粒子の含有量が少なくなり、充分な帯電防止性能が得られない場合がある。また導電性酸化物微粒子の固形分濃度が高すぎても、透明被膜中の導電性酸化物微粒子の含有量が多くなり、マトリックス成分が少ないために耐擦傷性が不充分となる場合がある。
【0031】
透明被膜形成用塗料中のマトリックス形成成分の濃度は、固形分としての1〜45重量%、さらには2〜30重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス形成成分の濃度が低すぎると、透明被膜中の導電性酸化物微粒子の含有量が多くなり過ぎ、基材との密着性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。マトリックス形成成分の濃度が高すぎると、透明被膜中の導電性酸化物微粒子の含有量が少なくなり、充分な帯電防止性能が得られない場合がある。
【0032】
塗料中の導電性酸化物微粒子とマトリックス形成成分との重量比は、導電性、密着性、透明性などを鑑み適宜選択されるが、通常(微粒子:マトリックス形成成分)重量比が10:90〜80:20、好ましくは20:80〜70:30の範囲にあることが望ましい。
【0033】
透明被膜形成用塗料の全固形分濃度(導電性酸化物微粒子、マトリックス形成成分、そ
の他の成分)は5〜50重量%、さらには10〜45重量%の範囲にあることが好ましい

【0034】
透明被膜形成用塗料の全固形分濃度が少なければ、1回の塗布で膜厚が所望の厚さの透明被膜を得ることが困難な場合があり、繰り返し塗布、乾燥を繰り返すと、得られる透明被膜の硬度や耐擦傷性が不充分となったり、ヘーズあるいは外観が悪くなったり、生産性低下する問題がある。透明被膜形成用塗料の全固形分濃度が多すぎれば、塗料の粘度が高くなり、塗布性が低下したり、得られる透明被膜のヘーズが高くなったり、表面粗さが大
きくなり耐擦傷性が不充分となる場合がある。
【0035】
このような透明被膜形成塗料を用いた透明被膜の形成方法は、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。
【0036】
得られた透明被膜付基材の透明被膜の膜厚は、30nm〜20μmの範囲にあることが好ましい。表面抵抗値が105〜1012Ω/□の範囲にあることが好ましい。表面抵抗値
は、導電性酸化物微粒子の量を調整することによって、適宜調整することができる。
【0037】
つぎに、本発明に係る透明被膜付基材について説明する。
[透明被膜付基材]
本発明に係る透明被膜付基材は、基材と、基材上に形成された透明被膜とからなる。
基材
本発明に用いる基材としては、公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等があげられる。中でも樹脂系基材は好適に用いることができる。
透明被膜
透明被膜は、導電性酸化物微粒子とマトリックス成分とを含み、マトリックス成分がグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコール系アクリレート樹脂(B)とからなり、マトリックス成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が固形分として10〜80
重量%の範囲にある。
(i)導電性酸化物微粒子
導電性酸化物微粒子は前記した通りである。導電性酸化物微粒子の透明被膜中の含有量は固形分として10〜80重量%、さらには20〜70重量%の範囲にあることが好ましい。
【0038】
透明被膜中の導電性酸化物微粒子の含有量が少なければ、充分な帯電防止性能が得られない場合がある。導電性酸化物微粒子の含有量が多すぎると、透明被膜のヘーズ、透明性が悪くなる場合があり、また、マトリックス成分が少ないために耐擦傷性が具充分となる場合がある。
(ii)マトリックス成分
本発明に用いるマトリックス成分はグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコール
系アクリレート樹脂(B)とからなる。マトリックス成分は透明被膜中に、20〜90重量%、
さらには30〜80重量%の範囲で含まれている。かかるマトリックス成分としては前記したマトリックス形成成分から誘導されるものであり、通常前記マトリックス形成成分の硬化物や重合物である。
【0039】
透明被膜中のマトリックス成分の含有量がすくなすぎると、基材との密着性等が不充分となり、また、導電性酸化物微粒子の含有量が多すぎて耐擦傷性が低下したり、ヘーズ、透明性が不充分となる場合がある。透明被膜中のマトリックス成分の含有量が多すぎても、充分な帯電防止性能が得られない場合がある。
【0040】
また、マトリックス中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が固形分として1
0〜80重量%、さらには20〜60重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が少ないと、導電性向上効果が不充
分となり、帯電防止性能が不充分となる場合がある。グリコール系アクリレート樹脂(A)
の含有量が多すぎると、基材との密着性、耐擦傷性が不充分となる場合がある。
【0041】
一方、マトリックス成分中の非グリコール系アクリレート樹脂(B)の含有量は、固形分
として20〜90重量%、さらには40〜80重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス成分中の非グリコール系アクリレート樹脂(B)の含有量が少なすぎると、基材と
の密着性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。また、非グリコール系アクリレート樹脂(B)の含有量が多すぎるとグリコール系アクリレート樹脂(A)が少なくなるために導電性向上効果が不充分となり、得られる透明被膜の帯電防止性能が不充分となる場合がある。
【0042】
本発明では、非グリコール系アクリレート樹脂(B)が、非グリコール系2官能アクリレ
ート樹脂(B1)と、非グリコール系3官能アクリレート樹脂、非グリコール系4官能アクリレート樹脂および非グリコール系6官能アクリレート樹脂から選ばれる1種以上の非グリコール系多官能アクリレート樹脂(B2)との混合物からなり、非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)が固形分として5〜50重量%
、さらには10〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
【0043】
非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)が少なければ、膜の収縮が大きく得られる透明被膜付基材がカーリングしたり、基材との密着性が不充分となる場合がある。非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)が多すぎると、被膜が硬化が不充分となったり、基材との密着性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
【0044】
また、非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系多官能アクリレート樹
脂(B2)の含有量は固形分として50〜95重量%、さらには60〜90重量%の範囲にあることが好ましい。非グリコール系多官能アクリレート樹脂(B2)が少ないと、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。非グリコール系多官能アクリレート樹脂(B2)が多すぎても、膜の収縮が大きく得られる透明被膜付基材がカーリングしたり、基材との密着性が不充分となる場合がある。
【0045】
透明被膜には、上記の成分の他に、低屈折材料(シリカやフッ化マグネシウム)など、重合時に使用された重合開始剤、安定剤等が含まれていてもよい。
基材上に形成される透明被膜の膜厚は30nm〜20μmの範囲にあることが好ましい。
【0046】
30nm〜300nmの膜厚の範囲にある透明被膜の場合は、前記導電性酸化物微粒子が酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上が好ましい。この場合、透明被膜の膜厚が30nm未満の場合は、充分な耐擦傷性、帯電防止性能が得られない場合がある。透明被膜の膜厚が300nmを越えると、導電性酸化物微粒子としてSbがドープされた酸化錫(ATO)、Snがドーピングされた酸化インジウム(ITO)を用いた場合、粒子の導電性が高く帯電防止性能には優れるものの、着色する問題があり、表示装置に用いた場合は、読込、書込不良となる場合がある。この場合のさらに好ましい透明被膜の膜厚は50〜200nmの範囲である。
【0047】
また、0.3〜20μmの膜厚の範囲にある透明被膜の場合は、前記同様に酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上の導電性酸化物微粒子を用いることができる。特に、Sbがドープされた酸化錫(ATO)、Snがドーピングされた酸化インジウム(ITO)を用いる場合は着色することなく、充分な帯電防止性能が得られる程度に透明被膜中の導電性酸化物微粒子の含有量を少なく使用することが好ましく、具体的には1〜30重量%、さらには2〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
【0048】
本発明では、マトリックス成分に導電性が向上するグリコール系アクリレート樹脂(A)
を用いるので、着色性のATO、ITO粒子などの導電性酸化物微粒子の含有量を少なくしても、透明性に優れ、帯電防止性能、耐擦傷性等に優れた透明被膜を得ることができる。具体的には10〜30重量%、さらには15〜25重量%の範囲にしても、優れた導電性、耐擦傷性、透明性が高く(着色性の少ない)透明被膜を形成でき、従来より使用量を低減することもできる。
【0049】
透明被膜の膜厚が薄すぎると、着色の問題はないものの粒子の導電性が不充分なために帯電防止性能が不充分となり、透明被膜の膜厚が厚すぎると、膜の収縮によりカーリングを生じたり、基材との密着性が不充分となる場合がある。この場合のさらに好ましい膜厚は0.5〜10μmの範囲である。
【0050】
また、本発明に係る透明被膜の表面抵抗値は105〜1012Ω/□、さらには105〜1010Ω/□の範囲にあることが好ましい。
透明被膜の表面抵抗値が105Ω/□未満のものは得ることが困難であり、1012Ω/
□を越えると帯電防止性能が不充分となる。
【0051】
このような透明被膜は、上記の透明被膜成形用塗布液を基材表面に塗布した後、加熱(乾燥)し、樹脂硬化を行うことで作製できる。
本発明の透明被膜付基材には、透明被膜上に反射防止膜が設けられていてもよい。
【0052】
反射防止膜
本発明に用いる反射防止膜としては、反射防止性能を有していれば特に制限はなく従来公知の反射防止膜を用いることができる。具体的には、前記透明被膜よりも屈折率が低いものであれば反射防止性能を具備している。
【0053】
このような反射防止膜は、反射防止膜形成用マトリックスと、必要に応じて低屈折率成分とからなっている。
反射防止膜形成用マトリックスとは、反射防止膜を形成しうる成分であり、基材との密着性や硬度および塗工性等の点から選択して用いることができる。具体的には、前記透明被膜と同様のマトリックス成分を使用することができる。
【0054】
また、マトリックス成分として有機珪素化合物の加水分解物を用いることも可能である。
具体的には、たとえば、アルコキシシランとアルコールの混合液に、水および触媒としての酸またはアルカリを加えることにより、アルコキシシランの部分加水分解物が好適に使用される。
【0055】
有機珪素化合物としては、一般式RnSi(OR')4-n[R、R':アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、等の炭化水素基、n=0,1,2,または3]で表されるアルコキシシランを用いることができる。特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
【0056】
任意で含まれていてもよい低屈折率成分としては、CaF2、NaF、NaAlF6、MgF等の低屈折率物質の他、シリカ系粒子(シリカ粒子、シリカ中空粒子、シリカ・アルミナ複合酸化物粒子)、多孔質シリカ系粒子等が挙げられる。
【0057】
たとえば、本願出願人の出願による特開平7−133105号公報に開示した多孔性の
無機酸化物微粒子の表面をシリカで被覆した複合酸化物微粒子を用いると屈折率が低く反射防止性能に優れた反射防止膜を得ることができる。
【0058】
反射防止膜中の低屈折率成分の含有量は90重量%以下、さらには50重量%以下であることが好ましい。低屈折率成分の含有量が、多すぎると、被膜の強度や低下したり、透明被膜との密着性が不足することがある。
【0059】
反射防止膜の厚さは50〜300nm、さらには80〜200nmの範囲にあることが好ましい。この範囲にあると、膜の強度が高く、反射防止性能等にも優れた反射防止膜を形成できる。
【0060】
このような反射防止膜の屈折率は、低屈折率成分と樹脂等マトリックスとの混合比率および使用する樹脂等の屈折率によっても異なるが、通常1.28〜1.50の範囲にあることが好ましい。反射防止膜の屈折率が1.50を越えると基材の屈折率にもよるが、反射防止性能が不充分となることがあり、屈折率が1.28未満のものは得ることが困難である。
【0061】
反射防止膜は、上記した反射防止膜形成用マトリックスと、必要に応じて低屈折率成分と溶媒とを含む反射防止膜形成用塗布液を塗布することで形成される。使用される溶媒としては、いずれも容易に蒸散し、得られる反射防止膜に悪影響を及ぼすことの無いものであれば特に制限はない。
【0062】
反射防止膜の形成方法としては、特に制限されるものではなく、前記した透明被膜の形成と同様に、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法などの周知の方法で基材に塗布し、乾燥すればよく、特に形成成分が熱硬化性樹脂の場合は加熱処理、紫外線照射処理、電子線照射処理などにより、反射防止膜膜の硬化を促進させてもよく、また形成成分に加水分解性有機ケイ素化合物が含まれている場合は加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解・重縮合を促進させてもよい。
【0063】
以上のように本発明は、導電性酸化物微粒子とマトリックス形成成分がグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコール系アクリレート樹脂(B)とからなっているので導電性が高く、基材との密着性、耐擦傷性、膜硬度、透明性等に優れるとともに帯電防止性能、経済性にも優れた透明被膜の形成に好適に用いることのできる透明被膜形成用塗料および該透明被膜形成用塗料を用いて形成された透明被膜付基材を提供することができる。
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
透明被膜形成用塗料(1)の調製
(i)Pドープ酸化錫微粒子の調製
純水8060gに硝酸アンモニウム13gと15%アンモニア水20gを入れ攪拌し、50℃に昇温した。この中に純水4290gに錫酸カリウム1519gを溶解した液を10時間かけてローラーポンプで添加した。このときpHコントローラーでpHを8.8に保つよう濃度10重量%の硝酸を添加して調整した。添加終了後、1時間50℃をキープし、濃度10重量%の硝酸を添加しpHを3.0まで下げた。
【0064】
次に限外濾過膜で濾水電導度が10μS/cmになるまで純水で洗浄した後、限外濾過膜で濃縮し取り出した。このとき取り出した液量は6000gで固形分(SnO2)濃度
は12重量%であった。このスラリーの中に濃度16重量%のリン酸水溶液264gを添加し、0.5時間攪拌した。これを乾燥し、700℃で2時間焼成して、Pドープ酸化錫
微粒子を調製した。
【0065】
得られたPドープ酸化錫微粒子(1)の平均粒子径は15nm、体積抵抗値は5000Ω
・cmであった。
(ii)表面処理Pドープ酸化錫微粒子分散液の調製
Pドープ酸化錫微粒子217g、イオン交換水335gを2Lガラスビーカーに入れ、濃度20重量%のKOH水溶液50gを加えた後、石英ビーズ(0.15mm)1000gを入れ、ビーズミルで充分に撹拌して粉砕分散させた後、325メッシュ(目開き44ミクロン)のステンレス製金網で石英ビーズと分散液を分離し、さらに、金網上に残った石英ビーズをイオン交換水1560gで洗浄した液を充分に混合し、この液を90℃1時間熱処理した後、室温まで冷却し、陰イオン交換樹脂96gを入れ1時間攪拌した後、陰
イオン交換樹脂を分離、次に陽イオン交換樹脂96gを入れ1時間攪拌した後、陽イオン
樹脂を分離してPドープ酸化錫微粒子水分散液(濃度10重量%)を得た。
【0066】
ついで、濃度10重量%のPドープ酸化錫微粒子の水散液2000gに、カップリング剤として正珪酸エチル(多摩化学製 エチルシリケート28 SiO2成分28.8%)を2
0.8g(Pドープ酸化錫微粒子(10)との重量比=100/3)と、メタノール2000gを入れ50℃で18時間攪拌し表面処理を行った。このあと、エタノールに溶媒置換して濃度30重量%のシランカップリング材で表面処理したPドープ酸化錫微粒子(1)分散
液を調製した。
(iii)透明被膜形成用塗料(1)の調製
表面処理したPドープ酸化錫微粒子分散液50gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)12.5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)7.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)15gとイソプロピルアルコール55g
とブチルセロソルブ26.7gと光開始剤2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビーエーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.4gとを混合して透明被膜形成用塗布液(1)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-1)の製造
透明被膜形成用塗布液(1)をPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率:1.65全
光線透過率90.0%、ヘーズ0.6%)にバーコーター法(バー#14)で塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(日本電池製UV照射装置CS30L21−3)で600mJ/cm2照射して硬化させ、透明被膜付基材(F-1)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透
明被膜の表面抵抗を、表面抵抗計(三菱化学(株)製:ハイレスタ)にて測定し、結果を表1に示す。
【0067】
また、全光線透過率およびヘーズをヘーズメーター(スガ試験機(株)製)により測定し、結果を表1に示す。また、着色性について、目視による観察を行い、以下の基準で評価し、結果を表に示す。
【0068】
評価
・着色性
着色性を以下の観点で評価した。
ハードコート膜が透明で着色が全く認められない :◎
ハードコート膜が透明で着色が僅かに認められる :○
ハードコート膜が透明性を有しているが着色が認められる :△
ハードコート膜が不透明で着色が認められる :×
さらに、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表1に示す。
・鉛筆硬度の測定
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
・耐擦傷性の測定
#0000スチールウールを用い、荷重500g/cm2で50回摺動し、膜の表面を
目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表に示す。
【0069】
評価基準:
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる:○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
・密着性
透明被膜付基材(F-1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け1
00個の升目を作り、これにセロハンテープ(登録商標)を接着し、ついで、セロハンテープ(登録商標)を剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することによって密着性を評価した。結果を表1に示す。
残存升目の数95個以上 :◎
残存升目の数90〜94個:○
残存升目の数85〜89個:△
残存升目の数84個以下 :×
[実施例2]
(iii)透明被膜形成用塗料(2)の調製
実施例1と同様にして調製した表面処理したPドープ酸化錫微粒子分散液50gに、グリコール系アクリレート樹脂ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)12.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)17.5gと、イソプロピルアル
コール55gとブチルセロソルブ26.7gと、光開始剤2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビーエーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.4gとを混合して透明被膜形成用塗布液(2)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-2)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(2)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(F-2)を調製した。透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆
硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例3]
(iii)透明被膜形成用塗料(3)の調製
実施例1と同様にして調製した表面処理したPドープ酸化錫微粒子分散液50gに、グリコール系アクリレート樹脂ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)17.5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)2.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)15gとイソプロピルアルコ
ール55gとブチルセロソルブ26.7gと光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.4gとを混合して透明被膜形成用塗布液(3)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-3)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(3)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(F-3)を調製した。透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆
硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例4]
(iii)透明被膜形成用塗料(4)の調製
実施例1において、表面処理したPドープ酸化錫微粒子分散液50gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルAPG−400)12.5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、9−ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1,9ND−A)7.5gと非グリコール系4官能アクリレート樹脂としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートPE-4A)15g
とを混合した以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(4)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-4)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(4)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(F-4)を調製した。
【0070】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例5]
(iii)透明被膜形成用塗料(5)の調製
実施例1において、表面処理したPドープ酸化錫微粒子分散液50gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−600)12.5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として3メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートMPD−A)7.5gと非グリコール系3官能アクリレート樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートPE-3A)15g
とを混合した以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(5)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-5)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(5)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(F-5)を調製した。透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆
硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例6]
(iii)透明被膜形成用塗料(6)の調製
実施例1において、表面処理したPドープ酸化錫微粒子分散液37.5gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)20gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)10.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)12gとを混合し
た以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(6)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-6)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(6)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(F-6)を調製した。透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆
硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例7]
(iii)透明被膜形成用塗料(7)の調製
実施例1において、表面処理したPドープ酸化錫微粒子分散液100gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)2.5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)2.5gと、非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)15gとを混合し
た以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(7)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-7)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(7)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(F-7)を調製した。透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆
硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例8]
(iii)透明被膜形成用塗料(8)の調製
スズドープ酸化インジウム微粒子(触媒化成工業(株)製:ELCOM TL−130、SnO2含有量8重量%、平均粒子径20nm、体積抵抗値0.05Ω・cm)60g
とエタノール140gを、2Lガラスビーカーに入れ、アセチルアセトン1.8g、61%硝酸水0.02gを加えた後、石英ビーズ(0.15mm)1000gを入れ、ビーズミルで充分に撹拌して粉砕分散させた後、325メッシュ(目開き44ミクロン)のステンレス製金網で石英ビーズと分散液を分離し、さらに、金網上に残った石英ビーズをエタノール100gで洗浄した液を充分に混合してスズドープ酸化インジウム微粒子分散液(濃度20重量%)を得た。
【0071】
これに界面活性剤としてポリエキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル(第一工業製薬(株)製:プライサーフ217E)0.6gを添加し30分間攪拌して、固形分濃度20重量%の表面処理したスズドープ酸化インジウム微粒子のアルコール分散液を調製した。
【0072】
ポリエキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの界面活性剤で表面処理したスズドープ酸化インジウム微粒子分散液37.5gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)15gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)10gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)17.5gとイソプロピルアルコール55gとブチ
ルセロソルブ30gと光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.7gとを混合して透明被膜形成用塗布液(8)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-8)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(8)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(F-8)を調製した。透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆
硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例9]
(iii)透明被膜形成用塗料(9)の調製
アンチモンドープ酸化錫微粒子(触媒化成工業(株)製:ELCOM TL−30HK、Sb25含有量16重量%、平均粒子径8nm、体積抵抗値1.0Ω・cm)60gを濃度4.3重量%の水酸化カリウム水溶液140gに分散させ、分散液を30℃に保持しながらサンドミルで3時間粉砕してゾルを調製した。
【0073】
このゾルをイオン交換樹脂でpHが3.0になるまで脱アルカリイオン処理を行い、ついで、純水を加えて固形分濃度20重量%のSbド−プ酸化錫微粒子分散液を調製した。このSbド−プ酸化錫微粒子分散液のPHは3.3であった。また、平均粒子径は8nmであった。
【0074】
次いで、濃度20重量%のSbド−プ酸化錫微粒子分散液100gを25℃に調整し、テトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:正珪酸エチル、SiO2濃度28.8%)4
.0gを3分で添加した後、30分攪拌を行った。その後エタノ−ル100gを1分かけて添加し、50℃に30分間で昇温、15時間過熱処理を行った。このときの固形分濃度は10重量%であった。
【0075】
限外濾過膜にて分散媒の水、エタノ−ルをエタノ−ルに置換し、固形分濃度20重量%の表面処理したSbドープ酸化錫微粒子分散液を調製した。
表面処理したSbドープ酸化錫微粒子分散液50gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)15gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)7.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)17.5gとイソプロピルアルコール45
gとブチルセロソルブ30gと光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビーエーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.6gとを混合して透明被膜形成用塗布液(9)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-9)の製造
透明被膜形成用塗布液(9)をPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率:1.65全
光線透過率90.0%、ヘーズ0.6%)にバーコーター法(バー#14)で塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(日本電池製UV照射装置CS30L21−3)で600mJ/cm2照射して硬化させ、透明被膜付基材(F-9)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
【0076】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例10]
(iii)透明被膜形成用塗料(10)の調製
純水8000gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85%)250gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製;パテックスM)500gを懸濁した。この懸濁液を95℃に加熱し、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、濃度35重量%)150gを純水500gで希釈した水溶液を9時間で添加し、三酸化アンチモンを溶解し、その後、11時間熟成した。ついで、冷却後、得られた溶液から8000gをとり、この溶液を純水48kgで希釈し、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:pk−216)でpHが3.5になるまで処理して脱イオンを行った。脱イオンして得られた溶液を温度70℃で10時間熟成した後、限外膜で濃縮して固形分濃度14%の五酸化アンチモンからなる導電性微粒子分散液を調製した。この導電性微粒子分散液のpHは4.0であった。導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。
【0077】
得られた導電性微粒子分散液1000gを25℃に調整し、テトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:正珪酸エチル、SiO2濃度28.8%)25gを3分で添加した後、3
0分攪拌を行った。その後メタノ−ル1000gを1分かけて添加し、50℃に30分間で昇温、19時間過熱処理を行った。このときの固形分濃度は7重量%であった。
【0078】
限外濾過膜にて分散媒の水、メタノ−ルをメタノ−ルに置換し、固形分濃度20重量%のシリカで被覆した五酸化アンチモン微粒子分散液を調製した。この五酸化アンチモン微粒子分散液(平均粒子径20nm、体積抵抗値500Ω・cm)400gにシランカップリング剤としてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM-503)4gを添加し、50℃で加熱処理を行った。ついで、溶媒(イソプロピルアルコール/メタノール重量比=90/10)置換して固形分濃度20重量%の表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散液400gを調製した。
【0079】
表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散液50gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)15gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)7.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)17.5gとイソプロピルアルコール18
gとブチルセロソルブ15gと光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.6gとを混合して透明被膜形成用塗布液(10)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-10)の製造
透明被膜形成用塗料(10)をPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率:1.65)にバーコーター法(#20)で塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させ、透明被膜付基材(F-10)を調製した。このときの透明被膜の厚さは12μmであった。透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例11]
(iii)透明被膜形成用塗料(11)の調製
実施例8と同様にして調製した表面処理したスズドープ酸化インジウム微粒子分散液100gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)3gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)3gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)14g
とイソプロピルアルコール1000gとブチルセロソルブ200gと光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)0.8gとを混合して透明被膜形成用塗布液(11)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-11)の製造
透明被膜形成用塗布液(11)をアクリル基板(厚さ:3mm、屈折率:1.52)、全光線透過率92.0%、ヘーズ0.1%にバーコーター法(バー#4)で塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(日本電池製UV照射装置CS30L21−3)で600mJ/cm2照射して硬化させ、透明被膜付基材(F-11)を調製した。このときの透明被膜の厚さは120nmであった。
【0080】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例12]
(iii)透明被膜形成用塗料(12)の調製
実施例9と同様にして調製した表面処理したアンチモンドープ酸化錫微粒子分散液100gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)1.5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1,6-ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)1.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製:ウレタンアクリレートUA−306H)10.3gと、イソプロピルアルコール1000gとブチルセロソルブ200gと、光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)0.6gとを混合して透明被膜形成用塗布液(12)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(F-12)の製造
透明被膜形成用塗布液(12)をアクリル基板(厚さ:3mm、屈折率:1.52)、全光線透過率92.0%、ヘーズ0.1%にバーコーター法(バー#4)で塗布し、80℃で
1分間乾燥した後、高圧水銀灯(120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(日本電池製UV照射装置CS30L21−3)で600mJ/cm2照射して硬化させ、透明被膜付基材(F-12)を調製した。このときの透明被膜の厚さは100nmであった。
【0081】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例13]
(iii)透明被膜形成用塗料(13)の調製
実施例1において、非グリコール系アクリレート樹脂として非グリコール系6官能アクリレート樹脂、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)22.5gを用いた以外は、同様にして透明被膜形成用塗布液(13)を調
製した。
(iv)透明被膜付基材(F-13)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(13)を用いた以外は同様にして、透明被膜付基材(F-13)を調製した。
【0082】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例1]
(iii)透明被膜形成用塗料(R-1)の調製
実施例1において、表面処理したPドープ酸化錫微粒子(1)分散液50gに、グリコー
ル系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)35gとを混合し、非グリコール系2官能アクリレート樹脂と非グリコール系6官能アクリレート樹脂を添加しなかった以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R-1)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(RF-1)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R-1)を用いた以外は同様にして透明被膜付
基材(RF-1)を調製した。
【0083】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例2]
(iii)透明被膜形成用塗料(R-2)の調製
実施例1において、表面処理したPドープ酸化錫微粒子(1)分散液50gに、非グリコ
ール系2官能アクリレート樹脂として1,6-ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)20gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)15gとを混合した以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R-2)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(RF-2)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R-2)を用いた以外は同様にして透明被膜付
基材(RF-2)を調製した。
【0084】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例3]
(iii)透明被膜形成用塗料(R-3)の調製
実施例1において、表面処理したPドープ酸化錫微粒子(1)分散液50gに、グリコー
ル系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)31.5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂とし
て1,6-ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)1gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)2.5gとを混合した以
外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R-3)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(RF-3)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R-3)を用いた以外は同様にして透明被膜付
基材(RF-3)を調製した。
【0085】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例4]
(iii)透明被膜形成用塗料(R-4)の調製
実施例1おいて、表面処理したPドープ酸化錫微粒子(1)分散液50gに、グリコール
系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)2gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1,6-ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)7.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)25.5gとを混合した以外
は同様にして透明被膜形成用塗布液(R-4)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(RF-4)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R-4)を用いた以外は同様にして透明被膜付
基材(RF-4)を調製した。
【0086】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例5]
(iii)透明被膜形成用塗料(R-5)の調製
実施例8において、表面処理したスズドープ酸化インジウム微粒子分散液37.5gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)38gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)0.6gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)1.3g
とを混合した以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R-5)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(RF-5)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R-5)を用いた以外は同様にして透明被膜付
基材(RF-5)を調製した。
【0087】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例6]
(iii)透明被膜形成用塗料(R-6)の調製
実施例8において、表面処理したスズドープ酸化インジウム微粒子分散液37.5gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)2.1gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1,6-ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)8.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)31.9g
とを混合した以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R-6)を調製した。
(iv)透明被膜付基材(RF-6)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R-6)を用いた以外は同様にして透明被膜付
基材(RF-6)を調製した。
【0088】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[参考例1]
(iv)透明被膜付基材(SF-1)の製造
実施例11と同様にして調製した透明被膜形成用塗布液(11)をPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率:1.65、全光線透過率90.0%、ヘーズ0.6%)にバーコーター法(バー#30)で塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(日本電池製UV照射装置CS30L21−3)で600mJ/cm2照射して硬化させ、透明被膜付基材(SF-1)を調製した。このときの透明被膜の厚さは2μmであった。
【0089】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
[参考例2]
(iv)透明被膜付基材(SF-2)の製造
実施例12と同様にして調製した透明被膜形成用塗料(12)をPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率:1.65)にバーコーター法(#30)で塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させ、透明被膜付基材(RF-8)を調製した。このときの透明被膜の厚さは2μmであった。
【0090】
透明被膜の厚さ、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、着色性、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を評価し、結果を表に示す。
【0091】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性酸化物微粒子とマトリックス形成成分と溶媒とからなる透明被膜形成塗料であって、
マトリックス形成成分がグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコール系アクリレ
ート樹脂(B)とからなり、
マトリックス形成成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が、固形分とし
て10〜80重量%の範囲にあることを特徴とする透明被膜形成塗料。
【請求項2】
前記非グリコール系アクリレート樹脂(B)が、
非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)と、非グリコール系3官能アクリレート樹脂、非グリコール系4官能アクリレート樹脂および非グリコール系6官能アクリレート樹脂から選ばれる1種以上の非グリコール系アクリレート樹脂(B2)との混合物からなり、
非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)
が固形分として5〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透明被膜形成塗料。
【請求項3】
前記導電性酸化物微粒子が、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、5酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明被膜形成塗料。
【請求項4】
前記導電性酸化物微粒子の平均粒子径が、5〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明被膜形成塗料。
【請求項5】
塗料中の前記導電性酸化物微粒子の固形分濃度が0.5〜40重量%の範囲にあり、
前記マトリックス形成成分の固形分濃度が1〜45重量%の範囲にあり、
塗料中の全固形分濃度が5〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明被膜形成塗料。
【請求項6】
基材と、該基材上に形成された透明被膜とからなり、
該透明被膜が導電性酸化物微粒子とマトリックス成分とを含み、
マトリックス成分がグリコール系アクリレート樹脂(A)と非グリコール系アクリレート
樹脂(B)とからなり、
マトリックス成分中のグリコール系アクリレート樹脂(A)の含有量が固形分として10
〜80重量%の範囲にあることを特徴とする透明被膜付基材。
【請求項7】
前記非グリコール系アクリレート樹脂(B)が、非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)と、非グリコール系3官能アクリレート樹脂、非グリコール系4官能アクリレート樹
脂および非グリコール系6官能アクリレート樹脂から選ばれる1種以上の非グリコール系アクリレート樹脂(B2)との混合物からなり、
非グリコール系アクリレート樹脂(B)中の非グリコール系2官能アクリレート樹脂(B1)
が固形分として5〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の透明被膜付基材。
【請求項8】
前記導電性酸化物微粒子が酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、5酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6または7に記載の透明被膜付基材。
【請求項9】
前記導電性酸化物微粒子の平均粒子径が5〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の透明被膜付基材。
【請求項10】
前記導電性酸化物微粒子の透明被膜中の含有量が固形分として10〜80重量%の範囲にあることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の透明被膜付基材。
【請求項11】
前記透明被膜の膜厚が30nm〜20μmの範囲にあることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の透明被膜付基材。

【公開番号】特開2010−1396(P2010−1396A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161989(P2008−161989)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】