説明

透湿率評価用セル及び透湿率評価方法

【課題】薄膜試料における水蒸気の透過箇所の特定が容易であり、且つ高度な画像処理を必要としない透湿率評価用セル及び透湿率評価方法を提供する。
【解決手段】透明基板10と、透明基板上に配置された、水蒸気が透過できない透明バリア膜30と、透明バリア膜30に側面を覆われて透明バリア膜上に配置された、水蒸気と反応した箇所に透明反応物が形成され、その透明反応物が形成された箇所の残余の箇所が不透明な金属層40と、金属層上に配置された透湿率評価対象の薄膜試料50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムシートや薄膜の透湿率を評価するための透湿率評価用セル及び透湿率評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気に対する材料のバリア性の評価として、主に食品包装フィルムなどの分野において材料の透湿率の検討が行われてきた。例えば、モコン法やカップ法などの測定方法が透湿率の評価に使用されてきた。
【0003】
近年、太陽電池のバックシート、有機エレクトロルミネセンス(EL)薄膜、プラスチック基板上に電子回路を形成するフレキシブルエレクトロニクスなどの分野において、水蒸気に対するバリア性を検討するために透湿率評価の需要が高まりつつある。これらの分野では、食品包装フィルムなどの評価で必要とされるよりも高度な透湿率評価が必要とされ、高感度、高精度且つ手軽な透湿率評価方法が求められている。このため、金属カルシウム(Ca)の腐食を用いた評価方法、三重水素を用いた評価方法、質量分析を用いた評価方法などが提案されている。
【0004】
例えば、金属Caの腐食を用いた評価方法では、金属Ca膜の腐食が進んで透明な金属酸化物になったときに、金属水酸化物の面積と処理時間から透湿率を評価する方法が提案されている(特許文献1参照。)。このとき、評価対象の試料中に水蒸気が透過した箇所が、金属Ca膜の腐食した箇所として観察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−333127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案された評価方法に用いる評価用セルは、評価対象のフィルムシートの下面に金属Ca膜を形成し、金属Ca膜上に不透明なアルミニウム(Al)などの金属層を形成した構造である。このため、評価対象のフィルムシートの上面から金属酸化物を観察する必要がある。
【0007】
上記のような方法においてフィルムシートの上面から腐食箇所を観察する場合、フィルムシートそのものの表面状態、皺などが観察像に含まれる。このため、観察像の単純な画像処理では正確な金属水酸化物の面積を求めることができず、高度な画像処理、あるいは人間による高度な判断や、場合によっては手作業による画像処理が必要である。このため、処理時間が増大するだけでなく、誤認識の可能性が残り、測定精度への影響が懸念される。
【0008】
上記問題点に鑑み、本発明は、薄膜試料における水蒸気の透過箇所の特定が容易であり、且つ高度な画像処理を必要としない透湿率評価用セル及び透湿率評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、(イ)透明基板と、(ロ)透明基板上に配置された、水蒸気が透過できない透明バリア膜と、(ハ)透明バリア膜に側面を覆われて透明バリア膜上に配置された、水蒸気と反応した箇所に透明反応物が形成され、その透明反応物が形成された箇所の残余の箇所が不透明な金属層と、(ニ)金属層上に配置された透湿率評価対象の薄膜試料とを備える透湿率評価用セルが提供される。
【0010】
更に、本発明の他の態様によれば、(イ)透明な透明基板、透明基板の第1の主面上に配置され、水蒸気が透過できない透明バリア膜、透明バリア膜に側面を覆われて透明バリア膜上に配置され、水蒸気と反応した箇所に透明反応物が形成され、その透明反応物が形成された箇所の残余の箇所が不透明な金属層、及び金属層上に配置された透湿率評価対象の薄膜試料を有する透湿率評価用セルを準備するステップと、(ロ)透湿率評価用セルの透明基板の第1の主面に対向する第2の主面から、透湿率評価用セルに照射光を照射するステップと、(ハ)照射光が透湿率評価用セルを透過することによって薄膜試料の表面に生じる発光箇所を特定するステップとを含む透湿率評価方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本発明は、薄膜試料における水蒸気の透過箇所の特定が容易であり、且つ高度な画像処理を必要としない透湿率評価用セル及び透湿率評価方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る透湿率評価用セルの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る透湿率評価用セルに使用される透湿率評価対象の薄膜試料の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る透湿率評価用セルを用いた透湿率評価方法を説明するための模式図である。
【図4】図3に示した透湿率評価方法により得られる反射画像の例である。
【図5】図3に示した透湿率評価方法により得られる透過画像の例である。
【図6】図4に示した反射画像と図5に示した透過画像を重ねて表示した画像である。
【図7】本発明の実施形態に係る透湿率評価用セルを高温高湿処理した場合の透過画像の経時変化の例を示す画像であり、図7(a)は処理時間が138時間の透過画像、図7(b)は処理時間が571時間の透過画像、図7(a)は処理時間が858時間の透過画像である。
【図8】図7(a)〜図7(c)に示した透過画像の解析結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0014】
又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
本発明の実施形態に係る透湿率評価用セル1は、図1に示すように、透明基板10と、透明基板10の第1の主面101上に配置された、水蒸気が透過できない透明バリア膜30と、透明バリア膜30に側面を覆われるようにして透明バリア膜30上に配置された、水蒸気と反応した箇所に透明反応物が形成され、その透明反応物が形成された箇所の残余の箇所が不透明な金属層40と、金属層40上に配置された透湿率評価対象の薄膜試料50とを備える。
【0016】
図1に示した例では、薄膜試料50がフィルムシートである。なお、薄膜試料50が薄膜である場合には、例えば図2に示すように、透明又は半透明のフィルムシート52に透湿率評価対象の薄膜51を形成して、薄膜51とフィルムシート52の積層体を評価対象の薄膜試料50として扱うことができる。
【0017】
透明基板10には、水分が含まれない材料が採用可能であり、例えばガラス基板などが好適である。
【0018】
金属層40は、金属層40と接していない面から薄膜試料50を透過してきた水蒸気と反応し、透明な反応物が生成される特性を有する。したがって、金属層40には、例えば金属カルシウム(Ca)膜、金属マグネシウム(Mg)膜、銀(Ag)膜などの、水分によって腐食することで透明な金属酸化膜が生成される金属膜を採用可能である。水蒸気とよく反応することから、金属Ca膜を金属層40に採用することが好ましい。金属層40と水蒸気との反応の詳細については後述する。
【0019】
図1に示したように、金属層40の薄膜試料50と接する領域以外の領域は、透明バリア膜30で覆われている。つまり、金属層40の下面及び側面に透明バリア膜30が接し、金属層40の上面のみが薄膜試料50と接している。このため、金属層40に到達する水分は、薄膜試料50を透過する水蒸気のみである。透明基板10と透明バリア膜30とは、透明又は半透明な接着剤20によって接着される。接着剤20には、例えばエポキシ系接着剤などを採用可能である。
【0020】
透明バリア膜30には、例えば透明な絶縁膜、即ち窒化シリコン(SiNx)膜や酸化シリコン(SiOx)膜などを採用可能である。透明バリア膜30を成膜する目的は、接着剤20と金属層40とが直接に接触することを防ぐことや、接着作業をグローブボックス外で行うことを可能にすることである。
【0021】
接着剤20と金属層40とが直接に接触しないことによって、接着剤20と金属層40との反応を防止する効果がある。例えば、接着剤20に含まれる水分によって金属Ca膜からなる金属層40が腐食するのを防止できる。
【0022】
また、金属層40の周囲を透明バリア膜30で覆うことにより、金属層40が大気に曝されて変化することを防止できる。このため、透明基板10に金属層40を固定する接着作業をグローブボックス内で行う必要がなくなり、作業効率が向上する。ただし、金属層40への大気の影響を防ぐために、接着作業は短時間、例えば1時間以内に行うことが前提である。
【0023】
透湿率評価用セル1は、例えば以下のように製造される。なお、以下に述べる透湿率評価用セル1の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
【0024】
透湿率評価対象の薄膜試料50に、例えば真空蒸着法で金属Ca膜を金属層40として蒸着する。金属層40の膜厚は、20nm〜200nm程度であり、例えば50nmである。
【0025】
次いで、薄膜試料50を大気に曝すことがないように、金属層40の形成工程と真空連続で、金属層40上に透明バリア膜30を成膜する。透明バリア膜30は、例えば化学気相成長(CVD)法などにより形成され、その膜厚は200nm程度である。このとき、金属層40の薄膜試料50と接する領域以外の領域が、透明バリア膜30で覆われるようにする。例えば、図1に示すように、透明バリア膜30の上面の一部に形成された凹部に埋め込まれるように金属層40が配置される。
【0026】
透明バリア膜30の金属層40が配置された主面と対向する主面に、接着剤20によって透明基板10を接着する。既に述べたように、透明バリア膜30を成膜することにより、接着剤20が金属層40とは直接接触しない。また、接着工程の作業性が向上される。以上により、透湿率評価用セル1が完成する。
【0027】
次に、透湿率評価用セル1を用いて透湿率評価対象の薄膜試料50の透湿率を評価する方法について説明する。
【0028】
所定の一定期間、透湿率評価用セル1を高温高湿処理する。
【0029】
その後、高温高湿処理した透湿率評価用セル1の透明基板10の第2の主面102に、図3に示すように、照明装置2によって照射光L1を照射する。そして、照射光L1を透湿率評価用セル1に照射しながら、薄膜試料50の表面501に表れる画像(以下において、「透過画像」という。)を観察する。これにより、照射光L1の一部が透湿率評価用セル1を透過することによって薄膜試料50の表面501に生じる発光箇所を特定できる。
【0030】
具体的には、画像取得装置3によって、薄膜試料50の透過画像を取得する。画像取得装置3には、一般的な顕微鏡などが用いられる。画像取得装置3によって取り込まれた透過画像は、画像データDpとして画像処理装置4に送信される。画像処理装置4は、受信した透過画像について画像処理(例えば二値化処理)を行う。これにより、透過画像における発光箇所を特定できる。つまり、透湿率評価用セル1に照射された照射光L1のうち、透湿率評価用セル1の透明部分を透過し、透過光L2として薄膜試料50の表面501で観察された箇所が明確になる。
【0031】
透明基板10、接着剤20、透明バリア膜30及び薄膜試料50は、照射光L1が透過する材料からなる。したがって、透過光L2が観察される箇所は、金属層40が水分と反応して透明反応物が生成された場所である。つまり、透過画像においては、金属層40の水分と反応して形成された透明箇所と、水分と反応していない不透明箇所とが、区別して認識される。
【0032】
上記のように、図3に示した透湿率評価方法によれば、薄膜試料50を透過した水蒸気によって金属層40に腐食が発生した場合に、腐食により形成された透明反応物を透過して、照射光L1の一部が薄膜試料50の表面501に到達する。したがって、透過光L2が観察される箇所として、薄膜試料50の水蒸気が透過した箇所が特定される。このため、薄膜試料50を水蒸気が透過したことを容易に認識できる。
【0033】
また、薄膜試料50全体の面積に対する発光箇所の面積の比率により、金属層40の何%が水蒸気によって透明になったか、即ち、金属層40の何%が腐食されたかを表すことができる。つまり、薄膜試料50の評価面積に対する透過画像の発光箇所の面積の比率として、薄膜試料50の透湿率を評価することができる。発光箇所の面積の比率が高いほど、透湿率が高く、水蒸気に対するバリア性が低いと判断される。なお、薄膜試料50の評価面積とは、薄膜試料50が金属層40に接している領域の上方の、画像取得装置3によって取得される透過画像の面積である。
【0034】
接着剤20が不透明である場合には、薄膜試料50の表面501で発光箇所を観測するために、接着剤20は照射光L1が透過する程度には半透明である。また、半透明のフィルムシート52に透湿率評価対象の薄膜51を形成して薄膜試料50とする場合には、フィルムシート52は照射光L1が透過する程度には半透明である必要がある。
【0035】
図4〜図6に、図3に示した透湿率評価方法において取得される画像の例を示す。測定範囲は、約3mm×2mmである。
【0036】
図4は、照射光L1が照射される透明基板10の第2の主面102から観察した画像(以下において、「反射画像」という。)の例である。図4に示すように、反射画像において黒い点などが観察されるが、これらの点が金属層40の腐食した箇所であるか否かの判断は難しい。
【0037】
図5は、薄膜試料50の表面501に表れる透過画像の例である。図5に示すように、透過画像においては金属層40の腐食した箇所が白い点として容易に認識可能である。
【0038】
図6は、反射画像と透過画像とを重ねて表示した画像の例である。図6に示すように、反射画像に表れる点の位置は、透過画像に表れる白い点の位置とは必ずしも一致しない。つまり、反射画像で観察される点は薄膜試料50に付着した異物や薄膜試料50の表面の皺などを含むため、反射画像によって金属層40の腐食した箇所を特定することが容易ではないことがわかる。
【0039】
上記のように、透過画像を観察することによって、金属層40の腐食した箇所、即ち薄膜試料50の水蒸気が透過した箇所を容易に把握できる。そして、透過画像を観察する場合には、薄膜試料50の表面の皺、薄膜試料50に付着した異物などを識別して除外するなどの高度な画像処理が不要である。透過画像から金属層40の腐食した箇所の面積を算出することは、例えば一般的な画像処理ソフトで二値化のしきい値のみを設定するだけで、後はソフトウェアの機能で容易に行うことができる。
【0040】
つまり、透湿率評価用セル1を用いた透湿率評価方法では、高度な画像解析や専用ソフト、或いは人間が画像を見て判断することなどは一切不要であり、短時間且つ精度の高い安定した透湿率評価を実行できる。
【0041】
図7(a)〜図7(c)に、高温高湿処理による透湿率評価用セル1の透過画像の経時変化の例を示す。測定範囲は、約3mm×2mmである。高温高湿処理に用いた高温高湿槽の設定は、温度85℃、湿度85%である。図7(a)、図7(b)、図7(c)は、高温高湿処理を開始して、それぞれ138時間後、571時間後、858時間後の透過画像である。
【0042】
図7(a)に示す138時間後の透過画像では、金属層40の腐食による発光箇所が僅かに観察される。高温高湿処理の時間が長くなるにつれ、図7(b)に示す571時間後の透過画像、及び図7(c)に示す858時間後の透過画像のように、薄膜試料50の表面501に観測される発光箇所が徐々に増加していく。
【0043】
図8に、図7(a)〜図7(c)に示した経過時間ごとの透過画像を解析処理して得られた腐食領域、金属反応率、透湿率(WVTR)を示す。「腐食領域」は、薄膜試料50の表面501で発光が観測されたピクセル数である。「金属反応率」は、測定領域全体のピクセル数に対する発光箇所のピクセル数の比率(%)である。「透湿率」について、以下に説明する。
【0044】
金属層40の腐食面積と金属層40の厚みから算出される総体積を用いて、金属層40と反応した水分量、即ち薄膜試料50を透過した水蒸気量を算出できる。以下の式(1)に示すように、価数aの腐食性の金属Aは、1molにつきamolの水分と反応して、1molの金属酸化物A(OH)を生成する:

A+aH2O→A(OH)a+(a/2)H2 ・・・(1)

高温高湿処理時間、金属層40の面積と厚み、腐食により生成された金属水酸化物の面積と密度を用いて、薄膜試料50を透過した水蒸気量を求めることができる。つまり、透湿率WVTRは、以下の式(2)〜式(3)を用いて算出される:

X=(δ×t×d)/M ・・・(2)
WVTR=X×18×m×(10000/S)×(24/T) ・・・(3)

式(2)は、金属層40を構成する金属材と水分とが反応して形成される金属水酸化物の、高温高湿処理後のモル量Xを算出する式である。式(2)において、δは金属層40の腐食した部分の面積(cm2)、tは金属層40の膜厚、dは金属水酸化物密度(g/cm3)、Mは金属水酸化物の分子量である。式(3)において、mは金属層40を構成する金属の価数、Sは金属層40の面積(cm2)、Tは高温高湿処理時間(hour)である。透湿率WVTRの単位は(g/m2/日)である。
【0045】
図8に示すように、高温高湿処理の経過時間が長いほど、透湿率WVTRは高くなる。即ち、薄膜試料50を透過した水蒸気量が時間と共に増加して、金属層40の腐食箇所が増大することが分かる。上記のように、本発明の実施形態に係る透湿率評価方法によれば透湿率WVTRを容易に評価できる。
【0046】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る透湿率評価用セル1を用いた透湿率評価方法によれば、薄膜試料50における水蒸気の透過箇所の特定が容易であり、高度な画像処理を必要としない透湿率評価方法を提供することができる。
【0047】
また、透明バリア膜30を有する透湿率評価用セル1によれば、薄膜試料50を透過する水蒸気以外の水分によって金属層40が反応することを防止できる。そして、透過画像を観察することによって薄膜試料50の水蒸気が透過した領域を確認できるため、金属層40の腐食箇所を確認するために透湿率評価用セル1を分解する必要がない。このため、金属層40や薄膜試料50を破壊するおそれがない。また、作業効率の向上も図れる。
【0048】
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0049】
L1…照射光
L2…透過光
1…透湿率評価用セル
10…透明基板
20…接着剤
30…透明バリア膜
40…金属層
50…薄膜試料
51…薄膜
52…フィルムシート
101…第1の主面
102…第2の主面
501…表面
2…照明装置
3…画像取得装置
4…画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板上に配置された、水蒸気が透過できない透明バリア膜と、
前記透明バリア膜に側面を覆われて前記透明バリア膜上に配置された、水蒸気と反応した箇所に透明反応物が形成され、該透明反応物が形成された箇所の残余の箇所が不透明な金属層と、
前記金属層上に配置された透湿率評価対象の薄膜試料と
を備えることを特徴とする透湿率評価用セル。
【請求項2】
前記金属層が金属カルシウム膜からなることを特徴とする請求項1に記載の透湿率評価用セル。
【請求項3】
前記金属層と接触せずに前記透明基板と前記透明バリア膜との間に配置され、前記透明基板と前記透明バリア膜とを接着する透明又は半透明な接着剤を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の透湿率評価用セル。
【請求項4】
透明な透明基板、前記透明基板の第1の主面上に配置され、水蒸気が透過できない透明バリア膜、前記透明バリア膜に側面を覆われて前記透明バリア膜上に配置され、水蒸気と反応した箇所に透明反応物が形成され、該透明反応物が形成された箇所の残余の箇所が不透明な金属層、及び前記金属層上に配置された透湿率評価対象の薄膜試料を有する透湿率評価用セルを準備するステップと、
前記透湿率評価用セルの前記透明基板の前記第1の主面に対向する第2の主面から、前記透湿率評価用セルに照射光を照射するステップと、
前記照射光が前記透湿率評価用セルを透過することによって前記薄膜試料の表面に生じる発光箇所を特定するステップと
を含むことを特徴とする透湿率評価方法。
【請求項5】
前記薄膜試料の評価面積に対する前記発光部分の面積の比率として前記薄膜試料の透湿率を算出するステップを更に含むことを特徴とする請求項4に記載の透湿率評価方法。
【請求項6】
前記透湿率評価用セルを一定期間にわたって高温高湿処理した後に、前記発光箇所を特定することを特徴とする請求項4又は5に記載の透湿率評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88249(P2013−88249A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227969(P2011−227969)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代大型有機ELディスプレイ基盤技術の開発(グリーンITプロジェクト)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】