通信装置、通信システム
【課題】単流方式や複流RZ方式による伝送では、伝送するデータが連続して同一となる場合が発生すると、信号線に電荷が蓄積し、安定して長距離通信を行うことが困難となる場合がある。
【解決手段】伝送するデータの値に応じて、電圧の供給のオンオフを切り替え、さらに、各信号線に供給される電圧の極性を、伝送するデータの値にかかわらず、クロックに同期して周期的に反転させる。これにより、伝送するデータが連続して同一となる場合が発生しても、各信号線に供給される電圧の極性が周期的に切り替わり、電荷の蓄積を防止することができるので、伝送するデータが0であるか1であるかにかかわらず、安定して長距離通信を行うことができる。
【解決手段】伝送するデータの値に応じて、電圧の供給のオンオフを切り替え、さらに、各信号線に供給される電圧の極性を、伝送するデータの値にかかわらず、クロックに同期して周期的に反転させる。これにより、伝送するデータが連続して同一となる場合が発生しても、各信号線に供給される電圧の極性が周期的に切り替わり、電荷の蓄積を防止することができるので、伝送するデータが0であるか1であるかにかかわらず、安定して長距離通信を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号線間の電圧によってデータを伝送する通信装置に関し、特に、信号の伝送方式に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の通信装置が扱うデータは、0と1の2進符号で表される。この0または1で表されるデータを、通信装置間で互いに伝送するために、様々な伝送方式が考案されている。一例としては、0と1を、パルス波形の「ある」「なし」に対応づけて、2本の信号線を介して伝送する方式があり、この伝送方式は、大きく単流方式と複流方式の2つに分けられる。
【0003】
単流方式とは、0と1を、電圧の有り・無しで表現する方式のことをいう。例えば、0をゼロボルト、1を5ボルトとして表現する。
しかしながら、単流方式においては、0と1を、電圧の有り・無しで表現するので、信号の伝送を繰り返すと、徐々に信号線に電荷が溜まり、信号線に蓄積された電荷が電位差を発生させることにより、信号の伝送に悪影響を及ぼすという問題がある。信号の伝送距離が長くなるほど、電荷の蓄積による悪影響を受ける可能性が高くなるので、単流方式は、長距離通信においては安定した信号の伝送を行うのが困難である。
【0004】
これに対し、複流方式とは、0と1を、電圧の極性の違いで表現する方式のことをいう。例えば、複流RZ(Return to Zero)などが複流方式の伝送方式として広く知られている。複流RZは、例えば電圧の極性がマイナスのときを0、プラスのときを1とする。複流RZでは、伝送するデータに応じて、電圧の極性が切り替わるため、信号線に電荷が溜まりにくい。そのため、単流方式と比べると、長距離の信号の伝送に有利となる。
【非特許文献1】新版 電気電子用語事典 第1版第1刷1988年9月1日(株)オーム社発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複流方式による伝送方式を用いたとしても、伝送するデータが連続して同一となる場合があると、その間電圧の極性が切り替わらず、徐々に信号線に電荷が溜まり、その結果、長距離通信に悪影響を及ぼすことがある。
そこで、本発明は、伝送するデータが連続して同一となる場合が発生しても、安定して長距離通信を行うことを可能にする通信装置、通信方法、通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する通信装置であって、前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転部と、前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替部と、伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替部による前記切り替えを制御する供給制御部と、伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記反転を周期的に行うよう前記極性反転部を制御する反転制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成を備える通信装置は、伝送するデータに応じて、電圧の供給のオンオフを制御するとともに、伝送するデータとは関係なく、供給される電圧の極性を反転させる。
これにより、伝送するデータが連続して同一となる場合が発生しても、反転制御部により、信号線に供給される電圧の極性を周期的に反転させるので、信号線に電荷が溜まる事態を回避することができる。
【0008】
したがって、信号線に電荷が蓄積することによる信号への悪影響を軽減することができ、従来と比べて長距離の信号の伝送を安定して行うことができる。
ところで、信号の伝送においては、通信装置間での同期の取りやすさも重要な要素である。同期を容易に確立できない場合、データを受信する側の通信装置は、受信するデータの内容を早期に確定することができず、高速な通信を行うことが困難となるからである。
【0009】
電荷の蓄積を避けつつ同期の確立を容易にするために、従来においては、例えばマンチェスタ符号方式などのように、信号の1ビットを2ビット符号に変換する伝送方式が用いられている。マンチェスタ符号方式は、例えば0をマイナス5ボルト、1をプラス5ボルトとし、伝送するデータ”0”を、2ビットの帯域幅を用いて”01”と表現し、また、伝送するデータ”1”を、2ビットの帯域幅を用いて”10”で表現する。これにより、2ビットの帯域幅を用いて1ビット分の情報を伝送する際に、必ず極性が反転するので、無信号状態がなくなり、同期の確立が容易となる。
【0010】
また、AMI(Alternate Mark Inversion)符号方式(バイポーラ符号方式)も広く用いられている。AMI符号方式とは、例えば0を電圧有り、1を電圧無しで表現し、0を伝送するごとに、電圧の極性のプラスとマイナスを交互に変化させる方式である。
しかし、マンチェスタ符号方式の場合、同期の確率は容易となる一方で、2ビットの帯域幅を用いて1ビットの情報を伝送するため、伝送効率が悪化するという問題がある。また、AMI符号の場合、電圧有りで表現しているデータが連続する場合は、1ビットを伝送するごとに極性が反転するので同期を確立するのが容易であるが、電圧無しで表現しているデータが連続すると、無信号状態が続くため、同期の確立が困難になるという問題がある。
【0011】
そこで、前記供給制御部は、伝送するデータの値に応じて、1クロック内において、1の信号線に対する前記供給がオンの状態を維持するか、オンの状態からオフに切り替えるかを制御することとしてもよい。
これにより、伝送するデータの値にかかわらず、0または1の送信開始時においては、信号線に供給される電圧がオンの状態になっている。また、信号線に供給される電圧の極性は周期的に反転する。そのため、データを受信する側の通信装置は、0と1のいずれのデータにおいても、同一のデータを連続して受信した場合に、電圧の極性が周期的に切り替わるタイミングを用いることによって、同期を容易に確立することができる。また、電圧がオンのままであるかオフになるかでデータを表現しているので、1ビットの情報を伝送するのに余分な帯域幅が不要となる。
【0012】
したがって、帯域幅を増大させることなく、0と1のいずれのデータが連続した場合であっても、長距離の信号の伝送を安定させつつ、同期の確立も容易に行うことができる。
また、前記供給制御部は、所定ビット分のデータを伝送するごとに、前記所定ビット分のデータの値をビット反転させたデータを、前記所定ビット分のデータに後続して伝送するよう前記切り替えを制御することとしてもよい。
【0013】
これにより、通信装置が正常に稼働している場合は、伝送したデータに後続してビット反転させたデータを伝送するので、通信装置のハードウェアが故障等により常に同一のビットを伝送した場合に、故障等を検出することが容易になる。
また、所定電圧の供給を受けて、前記通信装置と前記2本の信号線を介して双方向通信を行う第2通信装置であって、前記第2通信装置が送信するデータの値に応じて、1クロック内において、前記各信号線に所定アンペアの短絡信号をのせるか否かを制御する送信制御部を備えることとしてもよい。
【0014】
第2通信装置は、通信先通信装置と接続されている信号線に対して、第2通信装置が伝送するデータに応じて所定アンペアの短絡信号をのせる。これにより、信号線に流れている電流が変化する。
通信先通信装置は、信号線に流れている電流の変化を検出することにより、第2通信装置が伝送しているデータの内容を検出することができる。
【0015】
これにより、2本の信号線を用いて、2つの通信装置の間において、双方向通信を行うことができる。
また、定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する通信装置において用いられる通信方法であって、前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転ステップと、前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替ステップと、伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替ステップにおける前記切り替えを制御する供給制御ステップと、伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記極性反転ステップにおける前記反転を周期的に行うよう制御する反転制御ステップとを含むことを特徴とする通信方法としてもよい。
【0016】
上述した通信方法を用いることにより、安定して長距離通信を行うことができる。
また、定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する第1通信装置と、前記第1通信装置と双方向通信を行う第2通信装置とからなる通信システムであって、前記第1通信装置は、前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転部と、前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替部と、伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替部による前記切り替えを制御する供給制御部と、伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記反転を周期的に行うよう前記極性反転部を制御する反転制御部とを備え、前記第2通信装置は、前記第1通信装置に対して送信するデータの値に応じて、1クロック内において、前記各信号線に所定アンペアの短絡信号をのせるか否かを制御する送信制御部を備え、前記第1通信装置は、各信号線に供給されている電流が所定値以上変化していることを検出することによって、前記第2通信装置が送信したデータを受信する手段を備えることを特徴とする通信システムとしてもよい。
【0017】
上述した通信システムにより、安定して双方向通信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<実施の形態>
以下、本発明にかかる通信装置および通信システムについて、その実施の一形態を、図面を用いて具体的に説明する。
<概要>
通信システムは、マスタ装置とスレーブ装置とからなる。マスタ装置とスレーブ装置は、それぞれ通信装置であり、2本の信号線を介して接続されている。
【0019】
通信システムが使用する通信プロトコルは、フレーム同期・ビット同期方式である。
マスタ装置からスレーブ装置への信号の伝送にはパルス幅変調を用い、スレーブ装置からマスタ装置への信号の伝送には、所定アンペアの短絡信号をのせることによる電流変化を用いる。
本発明の特徴となる部分は、マスタ装置がスレーブ装置へ信号を伝送する際に、伝送する信号の内容が0であるか1であるかにかかわらず、クロックと同期して周期的に信号線に供給する電圧の極性を切り替える点にある。
【0020】
これにより、伝送する信号の内容にかかわらず、同期の確立が容易で、かつ、長距離伝送を実現することができる。
<構成>
図1は、マスタ装置1000とスレーブ装置2000の機能ブロック図である。
同図に示すように、直流電源である電源1と接続されているマスタ装置1000は、極性反転部101と、切替部102と、タイミング発生部103と、受信データ抽出部104と、制御部105とからなる。
【0021】
マスタ装置1000は、D+信号線31とD−信号線32とを介してスレーブ装置2000と接続している。
極性反転部101は、D+信号線31およびD−信号線32に供給する供給電圧の極性を、制御部105による制御にしたがって反転させる回路である。
切替部102は、制御部105による制御にしたがって、D+信号線31およびD−信号線32に供給する供給電圧のオンオフを切り替えるスイッチ回路である。
【0022】
タイミング発生部103は、極性反転部101や、切替部102等にクロックを供給するクロック発生回路である。
受信データ抽出部104は、各信号線に供給されている電流が、クロックに同期して、スレーブ装置2000から送出された短絡信号によって所定値以上変化していることを検出して、スレーブ装置2000から信号が送信されていることを検出し、送信されている信号に示されるデータを抽出する回路である。抽出したデータを、制御部105に出力する。
【0023】
制御部105は、マスタ装置1000の動作を制御する制御回路であり、スレーブ装置2000との通信を制御する。極性反転部101を制御して、D+信号線31およびD−信号線32に供給する供給電圧の極性を、タイミング発生部103が発生するクロックに同期して周期的に反転させる。また、スレーブ装置2000に対して伝送するデータに応じて、切替部102を制御して、各信号線に供給する電圧のオンオフを制御する。また、受信データ抽出部104が抽出したデータを受け付けて、スレーブ装置2000と双方向通信を行う。
【0024】
マスタ装置1000は、この他に、図示しない表示部や操作部を備え、装置の状態や異常の検出等を、表示部によって表示し、また、操作部を介してユーザの操作を受け付ける。
スレーブ装置2000は、D+信号線31とD−信号線32とを介してマスタ装置1000と接続している。
【0025】
同図に示すように、スレーブ装置2000は、受信部201と、送信部202と、制御部203とからなる。
受信部201は、信号に基づいてクロックを抽出するクロック同期部を含み、D+信号線31とD−信号線32との電圧差を検出して、マスタ装置1000がスレーブ装置2000に対して送信したデータを抽出する回路である。D+信号線31に供給されている電圧がD−信号線32よりも所定電圧以上高い場合は、電圧差がプラスと検出し、D+信号線31に供給されている電圧がD−信号線32よりも所定電圧以上低い場合は、電圧差がマイナスと検出する。各信号線に供給されている電圧の差がほぼ等しく、所定電圧以上の差がない場合は、電圧差がゼロと検出する。検出結果を、制御部203へ出力する。
【0026】
送信部202は、制御部203による制御にしたがって、各信号線に対して例えば150mAなどの、所定アンペアの短絡信号をのせることによって、各信号線に流れている電流を変化させてマスタ装置1000に対してデータを送信する回路である。
制御部203は、スレーブ装置2000の動作を制御する制御回路であり、マスタ装置1000との通信を制御する。受信部201が抽出したクロックを受け付ける。また、受信部201から各信号線の電圧差の検出結果を受け付けて、マスタ装置1000がスレーブ装置2000に対して送信したデータを抽出する。また、送信部202を制御して、クロックに同期してマスタ装置1000と双方向通信を行う。
【0027】
なお、マスタ装置1000とスレーブ装置2000は、電源1とは別に、定電圧の電源から電力の供給を受けて、各制御部105等を動作させている。
<回路図>
ここで、マスタ装置1000とスレーブ装置2000の具体的な回路構成について、その一例を説明する。
【0028】
図2は、マスタ装置1000の回路構成を示す図である。
同図に示すように、マスタ装置1000は、制御回路111と、タイミング発生回路112と、送信制御回路113とからなる。
制御回路111は、スレーブ装置2000との通信を制御する。スレーブ装置2000に対して送信するデータを決定し、タイミング発生回路112が発生するクロックに従って、送信制御回路113を介してデータを送信する。また、信号線に供給されている電流の変化を検出してスレーブ装置2000が送信したデータを抽出する。
【0029】
タイミング発生回路112は、所定周期のクロックを生成する。
送信制御回路113は、送信するデータに応じて、トランジスタ制御線124、125、126、127を介してトランジスタ114、115、116、117の動作を制御する。
図1の機能ブロック図と対比させて説明すると、制御回路111は、図1の受信データ抽出部104および制御部105に相当する。また、タイミング発生回路112は、タイミング発生部103に相当する。また、送信制御回路113およびトランジスタ114〜117は、極性反転部101および切替部102に相当する。
【0030】
なお、送信制御回路113による制御と、クロックに同期して各信号線に供給する電圧の極性を周期的に反転させ、かつ、送信するデータに応じて各信号線に供給する電圧のオンオフを切り替える動作との関係については後述する。
図3は、スレーブ装置2000の回路構成を示す図である。
同図に示すように、スレーブ装置2000は、制御回路211と、送受信制御回路212とからなる。
【0031】
制御回路211は、マスタ装置1000との通信を制御する。マスタ装置1000が送信したデータを送受信制御回路212から受け付けて処理する。マスタ装置1000に対して送信するデータを決定し、所定のクロックにしたがって、送受信制御回路212を介してデータを送信する。
送受信制御回路212は、トランジスタ制御線223、224、225を介してトランジスタ213、214、215、216と接続されている。マスタ装置1000に対して送信するデータに応じて、トランジスタ制御線225に電流を流す。また、各信号線の電圧差を、トランジスタ制御線223および224を介して抽出し、マスタ装置1000が送信したデータを受け付けて、送信データを抽出し、制御回路211へ出力する。同図の例では、トランジスタ制御線223を介して、電圧差がプラスの場合のデータを検出し、トランジスタ制御線224を介して、電圧差がマイナスの場合のデータを検出する。また、トランジスタ制御線223およびトランジスタ制御線224を介して、電圧差ゼロを検出する。
【0032】
図1の機能ブロック図と対比させて説明すると、制御回路211は、制御部203に相当する。また、送受信制御回路212およびトランジスタ213〜216は、受信部201および送信部202に相当する。
図2に示したように、電源1は、マスタ装置1000や各信号線に対して24Vの電圧を供給している。また、制御回路111やタイミング発生回路112、送信制御回路113には、5Vの電圧が供給されている。
【0033】
図3に示したように、スレーブ装置2000の制御回路211や送受信制御回路212には、5Vの電圧が供給されている。
<伝送方式>
(フレームデータの構成)
次に、信号の伝送方式について説明する。
【0034】
図4は、マスタ装置1000とスレーブ装置2000が通信を行う際に用いるフレームデータの構成を示す図である。
同図に示すように、1フレームのフレーム構成は、スタートビット41と、プリアンブルビット42と、I/Oビット43と、I/Oエンドビット44と、IDビット45と、フレームエンドビット46とからなる。
【0035】
スタートビット41は、1フレームの開始を示す。
プリアンブルビット42は、I/Oビット43が後続することを示す。
I/Oビット43は、マスタ装置1000およびスレーブ装置2000との間で送受信するデータの内容を示す。
I/Oエンドビット44は、I/Oビット43の終了を示す。
【0036】
IDビット45は、フレームのIDを示す。
フレームエンドビット46は、1フレームの終了を示す。
スタートビット41は、Hiレベルが所定ビット分としている。また、プリアンブルビット42と、I/Oエンドビット44と、フレームエンドビット46は、それぞれ同一のビット幅を有し、Loレベルが所定ビット分としている。例えば、スタートビット41は9ビット分、プリアンブルビット42等は3ビット分とする。
(パルス波形)
図5は、マスタ装置1000とスレーブ装置2000が通信を行う際に用いるパルス波形を示す図である。マスタ装置1000の制御部105は、I/Oビット内に送信データを含めてパルス波形を送出する。同図の例は、I/Oビット内のパルス波形を示している。また、マスタ装置1000は、1クロックで1ビットのデータを送信するごとに、D+信号線31およびD−信号線32に供給する電圧を反転させることとしている。
【0037】
また、1ビットのパルス波形が0を示すか1を示すかは、電圧の移動があるか否かによって表現する。すなわち、電圧がオンのままであれば0、電圧オンの状態から半クロック後にオフになれば1、とする。
アドレス51は、マスタ装置とスレーブ装置との間で伝送するデータのアドレスを示す。1アドレスは2ビットの情報を含む。
【0038】
波形52は、パルス波形を示す。斜線で示されている部分は、スレーブ装置2000が各信号線に短絡信号をのせることにより、電流変化が発生していることを示す。
マスタ送信データ53は、マスタ装置1000がスレーブ装置2000に対して送信するデータを示す。
スレーブ送信データ54は、スレーブ装置2000がマスタ装置1000に対して送信するデータを示す。
【0039】
マスタトランジスタ制御線55は、マスタ装置1000の送信制御回路が制御するトランジスタ制御線124〜127のオンオフを示す。
スレーブトランジスタ制御線56は、スレーブ装置2000の送受信回路が制御するトランジスタ制御線225のオンオフを示す。
同図では、各トランジスタ制御線がオンのときを○、オフのときを×としている。
【0040】
また、マスタ装置1000とスレーブ装置2000は、相補ビット照合方式を用いてデータの送受信を行っている。相補ビット照合方式とは、送信するデータに冗長性を持たせて、誤りの検出率を向上させた伝送方式であり、送信データ1ビットと、送信データのビットを反転させたデータ1ビットを含めて1アドレスとする。すなわち、0を送信すると、0の後に続けて1を送信する。例えば、データが2進符号4ビットの「1」「0」「0」「1」、すなわち1001の場合、各ビットを伝送するごとに、ビット反転させたデータを送信するので、相補ビット照合方式を用いると、送信データは、「10」「01」「01」「10」、すなわち10010110となる。
【0041】
なお、同図の例では、伝送するデータのアドレスが4および5の部分において、マスタ装置1000からスレーブ装置2000に対して送信するデータが連続して同じ値となっている。すなわち、アドレスが4の部分では、0が連続しており、アドレスが5の部分では、1が連続している。このとき、スレーブ装置2000は、アドレスが4および5の部分において、伝送データに誤りがあることを検出することができる。同様に、アドレスが6および7の部分では、スレーブ装置2000からマスタ装置1000へ送信するデータが連続して同一となっており、マスタ装置1000は、アドレスが6および7の部分において、スレーブ装置2000が送信したデータに誤りがあることを検出することができる。
【0042】
<動作>
(マスタ装置1000)
次に、マスタ装置1000の動作について説明する。
図6は、マスタ装置1000の動作を示すフローチャートである。
同図に示すように、マスタ装置1000の制御部105は、スレーブ装置2000に対して送信するデータの内容を決定すると(ステップS61)、相補ビット、プリアンブルビット等を付加してフレームデータを生成する(ステップS62)。
【0043】
フレームデータを生成すると、タイミング発生部103によって供給されるクロックにしたがって、極性反転部101および切替部102を制御して、スレーブ装置2000に対してフレームデータの送信を行う。フレームデータ送信中(ステップS64:NO)は、受信データ抽出部104によって抽出されるスレーブ装置2000の送信データを受け付けて処理する(ステップS63)。
【0044】
フレームデータの送信を終えると(ステップS64:YES)、再び送信データの送信処理を開始する(ステップS61)。
(スレーブ装置2000)
次に、スレーブ装置2000の動作について説明する。
図7は、スレーブ装置2000の動作を示すフローチャートである。
【0045】
スレーブ装置2000の制御部203は、スタートビット、プリアンブルビットの入力があるまで待機し(ステップS71:NO)、スタートビット、プリアンブルビットを検出すると(ステップS71:YES)、スタートビット、プリアンブルビットに基づいてフレーム同期を行い、プリアンブルビットの受信後、電圧の極性が切り替わるタイミングを用いてビット同期を行う。ビット同期後、半クロック経過後に電圧がプラスまたはマイナスであれば、マスタ装置1000の送信データは0として受け付け、半クロック経過後に電圧がゼロであれば、マスタ装置1000の送信データは1として受け付ける。1ビット受信するごとに、ビット同期からマスタ装置1000の送信データの判定までの処理を繰り返す。また、プリアンブルビットの受信後、マスタ装置1000に対して送信部202を制御して相補ビット照合方式を用いてデータを送信する(ステップS72)。
【0046】
フレームデータの受信を終えると(ステップS73:YES)、再びフレームデータの受信およびマスタ装置1000に対するデータ送信処理を繰り返す(ステップS71)。
<補足>
以上のように本発明にかかる通信装置および通信システムについて実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することもでき、本発明は上述の実施の形態に限られないことは勿論である。
(1)上述の実施形態では、1クロックごとに極性を反転させることとしているが、これに限らず、例えば8クロックごとなど、所定クロックごとに極性を反転させることとしてもよい。
(2)上述の実施形態では、D+信号線31またはD−信号線32のいずれか一方に供給する供給電圧のオンオフを切り替えることとしてもよい。また、電源1と極性反転部102の間に切替部102を設けることとしてもよい。
(3)上述の実施形態では、マスタ装置1000等に供給する電圧は、24Vや5Vとしているが、これに限らない。また、回路構成は、上述の例に限らない。例えば、マスタ装置1000の回路構成を図8のようにしてもよいし、スレーブ装置2000の回路構成を図9のようにしてもよい。
(4)上述の実施形態では、マスタ装置1000はひとつのスレーブ装置2000と通信を行うものとして説明してきたが、図10に示すように、各信号線を介して複数のスレーブ装置2000(2000a、2000b、・・・)と接続して通信することとしてもよい。例えば、工場の製造ラインや、プラント、物流管理システムなど、複数の装置を管理する通信システムなどで用いることができる。複数の装置を管理するためには、例えば図4のアドレス51で示される送信データの各アドレスを、各々の管理対象の装置に割り当てることとすればよい。管理対象となる装置は、自装置のアドレス部分のデータを抽出してマスタ装置1000から送信されたデータを受信する。また、自装置のアドレス部分において電流を流すことにより、マスタ装置1000に対してデータを送信することができる。これにより、省配線の通信システムを実現することができる。また、複数のマスタ装置1000同士での通信や、複数のマスタ装置1000および複数のスレーブ装置2000からなる通信システムであってもよい。
(5)上述の実施形態では、ひとつの電源1を用いて、各信号線に電圧を供給することとしているが、これに限らず、複数の電源を用いてもよい。また、電源1は、マスタ装置1000の外部から供給されることとして説明してきたが、マスタ装置1000の内部であってもよい。
(6)上述の実施形態では、送信するデータが0であるか1であるかを表現するために、ビット同期してから半クロック経過後に電圧差があるか、ゼロであるかに応じて送信するデータの値が定まることとしているが、半クロック経過後に限る必要はないし、また、電圧差があるかないかに応じてデータを表現する方法は、これに限らず、他の方法であってもよい。
(7)上述の実施形態では、相補ビット照合方式を用いることとしているが、必ずしも相補ビット照合方式を用いる必要はないし、他のビット照合方式を用いることとしてもよい。また、図4に示したように、1フレームは、スタートビット等から構成されるが、フレームの構成はこの形態に限るものではない。
(8)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(9)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい
(10)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク、通信システム、工場や設備などの機器管理装置等として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】マスタ装置1000とスレーブ装置2000の機能ブロック図。
【図2】マスタ装置1000の回路構成を示す図。
【図3】スレーブ装置2000の回路構成を示す図。
【図4】マスタ装置1000とスレーブ装置2000が通信を行う際に用いるフレームデータの構成を示す図。
【図5】マスタ装置1000とスレーブ装置2000が通信を行う際に用いるパルス波形を示す図。
【図6】マスタ装置1000の動作を示すフローチャート。
【図7】スレーブ装置2000の動作を示すフローチャート。
【図8】マスタ装置1000の回路構成を示す図。
【図9】スレーブ装置2000の回路構成を示す図。
【図10】通信システムを示す図。
【符号の説明】
【0049】
1 電源
101 極性反転部
102 切替部
103 タイミング発生部
104 受信データ抽出部
105 制御部
201 受信部
202 送信部
203 制御部
31 D+信号線
32 D−信号線
111 制御回路
112 タイミング発生回路
113 送信制御回路
211 制御回路
212 送受信制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号線間の電圧によってデータを伝送する通信装置に関し、特に、信号の伝送方式に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の通信装置が扱うデータは、0と1の2進符号で表される。この0または1で表されるデータを、通信装置間で互いに伝送するために、様々な伝送方式が考案されている。一例としては、0と1を、パルス波形の「ある」「なし」に対応づけて、2本の信号線を介して伝送する方式があり、この伝送方式は、大きく単流方式と複流方式の2つに分けられる。
【0003】
単流方式とは、0と1を、電圧の有り・無しで表現する方式のことをいう。例えば、0をゼロボルト、1を5ボルトとして表現する。
しかしながら、単流方式においては、0と1を、電圧の有り・無しで表現するので、信号の伝送を繰り返すと、徐々に信号線に電荷が溜まり、信号線に蓄積された電荷が電位差を発生させることにより、信号の伝送に悪影響を及ぼすという問題がある。信号の伝送距離が長くなるほど、電荷の蓄積による悪影響を受ける可能性が高くなるので、単流方式は、長距離通信においては安定した信号の伝送を行うのが困難である。
【0004】
これに対し、複流方式とは、0と1を、電圧の極性の違いで表現する方式のことをいう。例えば、複流RZ(Return to Zero)などが複流方式の伝送方式として広く知られている。複流RZは、例えば電圧の極性がマイナスのときを0、プラスのときを1とする。複流RZでは、伝送するデータに応じて、電圧の極性が切り替わるため、信号線に電荷が溜まりにくい。そのため、単流方式と比べると、長距離の信号の伝送に有利となる。
【非特許文献1】新版 電気電子用語事典 第1版第1刷1988年9月1日(株)オーム社発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複流方式による伝送方式を用いたとしても、伝送するデータが連続して同一となる場合があると、その間電圧の極性が切り替わらず、徐々に信号線に電荷が溜まり、その結果、長距離通信に悪影響を及ぼすことがある。
そこで、本発明は、伝送するデータが連続して同一となる場合が発生しても、安定して長距離通信を行うことを可能にする通信装置、通信方法、通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する通信装置であって、前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転部と、前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替部と、伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替部による前記切り替えを制御する供給制御部と、伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記反転を周期的に行うよう前記極性反転部を制御する反転制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成を備える通信装置は、伝送するデータに応じて、電圧の供給のオンオフを制御するとともに、伝送するデータとは関係なく、供給される電圧の極性を反転させる。
これにより、伝送するデータが連続して同一となる場合が発生しても、反転制御部により、信号線に供給される電圧の極性を周期的に反転させるので、信号線に電荷が溜まる事態を回避することができる。
【0008】
したがって、信号線に電荷が蓄積することによる信号への悪影響を軽減することができ、従来と比べて長距離の信号の伝送を安定して行うことができる。
ところで、信号の伝送においては、通信装置間での同期の取りやすさも重要な要素である。同期を容易に確立できない場合、データを受信する側の通信装置は、受信するデータの内容を早期に確定することができず、高速な通信を行うことが困難となるからである。
【0009】
電荷の蓄積を避けつつ同期の確立を容易にするために、従来においては、例えばマンチェスタ符号方式などのように、信号の1ビットを2ビット符号に変換する伝送方式が用いられている。マンチェスタ符号方式は、例えば0をマイナス5ボルト、1をプラス5ボルトとし、伝送するデータ”0”を、2ビットの帯域幅を用いて”01”と表現し、また、伝送するデータ”1”を、2ビットの帯域幅を用いて”10”で表現する。これにより、2ビットの帯域幅を用いて1ビット分の情報を伝送する際に、必ず極性が反転するので、無信号状態がなくなり、同期の確立が容易となる。
【0010】
また、AMI(Alternate Mark Inversion)符号方式(バイポーラ符号方式)も広く用いられている。AMI符号方式とは、例えば0を電圧有り、1を電圧無しで表現し、0を伝送するごとに、電圧の極性のプラスとマイナスを交互に変化させる方式である。
しかし、マンチェスタ符号方式の場合、同期の確率は容易となる一方で、2ビットの帯域幅を用いて1ビットの情報を伝送するため、伝送効率が悪化するという問題がある。また、AMI符号の場合、電圧有りで表現しているデータが連続する場合は、1ビットを伝送するごとに極性が反転するので同期を確立するのが容易であるが、電圧無しで表現しているデータが連続すると、無信号状態が続くため、同期の確立が困難になるという問題がある。
【0011】
そこで、前記供給制御部は、伝送するデータの値に応じて、1クロック内において、1の信号線に対する前記供給がオンの状態を維持するか、オンの状態からオフに切り替えるかを制御することとしてもよい。
これにより、伝送するデータの値にかかわらず、0または1の送信開始時においては、信号線に供給される電圧がオンの状態になっている。また、信号線に供給される電圧の極性は周期的に反転する。そのため、データを受信する側の通信装置は、0と1のいずれのデータにおいても、同一のデータを連続して受信した場合に、電圧の極性が周期的に切り替わるタイミングを用いることによって、同期を容易に確立することができる。また、電圧がオンのままであるかオフになるかでデータを表現しているので、1ビットの情報を伝送するのに余分な帯域幅が不要となる。
【0012】
したがって、帯域幅を増大させることなく、0と1のいずれのデータが連続した場合であっても、長距離の信号の伝送を安定させつつ、同期の確立も容易に行うことができる。
また、前記供給制御部は、所定ビット分のデータを伝送するごとに、前記所定ビット分のデータの値をビット反転させたデータを、前記所定ビット分のデータに後続して伝送するよう前記切り替えを制御することとしてもよい。
【0013】
これにより、通信装置が正常に稼働している場合は、伝送したデータに後続してビット反転させたデータを伝送するので、通信装置のハードウェアが故障等により常に同一のビットを伝送した場合に、故障等を検出することが容易になる。
また、所定電圧の供給を受けて、前記通信装置と前記2本の信号線を介して双方向通信を行う第2通信装置であって、前記第2通信装置が送信するデータの値に応じて、1クロック内において、前記各信号線に所定アンペアの短絡信号をのせるか否かを制御する送信制御部を備えることとしてもよい。
【0014】
第2通信装置は、通信先通信装置と接続されている信号線に対して、第2通信装置が伝送するデータに応じて所定アンペアの短絡信号をのせる。これにより、信号線に流れている電流が変化する。
通信先通信装置は、信号線に流れている電流の変化を検出することにより、第2通信装置が伝送しているデータの内容を検出することができる。
【0015】
これにより、2本の信号線を用いて、2つの通信装置の間において、双方向通信を行うことができる。
また、定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する通信装置において用いられる通信方法であって、前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転ステップと、前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替ステップと、伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替ステップにおける前記切り替えを制御する供給制御ステップと、伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記極性反転ステップにおける前記反転を周期的に行うよう制御する反転制御ステップとを含むことを特徴とする通信方法としてもよい。
【0016】
上述した通信方法を用いることにより、安定して長距離通信を行うことができる。
また、定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する第1通信装置と、前記第1通信装置と双方向通信を行う第2通信装置とからなる通信システムであって、前記第1通信装置は、前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転部と、前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替部と、伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替部による前記切り替えを制御する供給制御部と、伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記反転を周期的に行うよう前記極性反転部を制御する反転制御部とを備え、前記第2通信装置は、前記第1通信装置に対して送信するデータの値に応じて、1クロック内において、前記各信号線に所定アンペアの短絡信号をのせるか否かを制御する送信制御部を備え、前記第1通信装置は、各信号線に供給されている電流が所定値以上変化していることを検出することによって、前記第2通信装置が送信したデータを受信する手段を備えることを特徴とする通信システムとしてもよい。
【0017】
上述した通信システムにより、安定して双方向通信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<実施の形態>
以下、本発明にかかる通信装置および通信システムについて、その実施の一形態を、図面を用いて具体的に説明する。
<概要>
通信システムは、マスタ装置とスレーブ装置とからなる。マスタ装置とスレーブ装置は、それぞれ通信装置であり、2本の信号線を介して接続されている。
【0019】
通信システムが使用する通信プロトコルは、フレーム同期・ビット同期方式である。
マスタ装置からスレーブ装置への信号の伝送にはパルス幅変調を用い、スレーブ装置からマスタ装置への信号の伝送には、所定アンペアの短絡信号をのせることによる電流変化を用いる。
本発明の特徴となる部分は、マスタ装置がスレーブ装置へ信号を伝送する際に、伝送する信号の内容が0であるか1であるかにかかわらず、クロックと同期して周期的に信号線に供給する電圧の極性を切り替える点にある。
【0020】
これにより、伝送する信号の内容にかかわらず、同期の確立が容易で、かつ、長距離伝送を実現することができる。
<構成>
図1は、マスタ装置1000とスレーブ装置2000の機能ブロック図である。
同図に示すように、直流電源である電源1と接続されているマスタ装置1000は、極性反転部101と、切替部102と、タイミング発生部103と、受信データ抽出部104と、制御部105とからなる。
【0021】
マスタ装置1000は、D+信号線31とD−信号線32とを介してスレーブ装置2000と接続している。
極性反転部101は、D+信号線31およびD−信号線32に供給する供給電圧の極性を、制御部105による制御にしたがって反転させる回路である。
切替部102は、制御部105による制御にしたがって、D+信号線31およびD−信号線32に供給する供給電圧のオンオフを切り替えるスイッチ回路である。
【0022】
タイミング発生部103は、極性反転部101や、切替部102等にクロックを供給するクロック発生回路である。
受信データ抽出部104は、各信号線に供給されている電流が、クロックに同期して、スレーブ装置2000から送出された短絡信号によって所定値以上変化していることを検出して、スレーブ装置2000から信号が送信されていることを検出し、送信されている信号に示されるデータを抽出する回路である。抽出したデータを、制御部105に出力する。
【0023】
制御部105は、マスタ装置1000の動作を制御する制御回路であり、スレーブ装置2000との通信を制御する。極性反転部101を制御して、D+信号線31およびD−信号線32に供給する供給電圧の極性を、タイミング発生部103が発生するクロックに同期して周期的に反転させる。また、スレーブ装置2000に対して伝送するデータに応じて、切替部102を制御して、各信号線に供給する電圧のオンオフを制御する。また、受信データ抽出部104が抽出したデータを受け付けて、スレーブ装置2000と双方向通信を行う。
【0024】
マスタ装置1000は、この他に、図示しない表示部や操作部を備え、装置の状態や異常の検出等を、表示部によって表示し、また、操作部を介してユーザの操作を受け付ける。
スレーブ装置2000は、D+信号線31とD−信号線32とを介してマスタ装置1000と接続している。
【0025】
同図に示すように、スレーブ装置2000は、受信部201と、送信部202と、制御部203とからなる。
受信部201は、信号に基づいてクロックを抽出するクロック同期部を含み、D+信号線31とD−信号線32との電圧差を検出して、マスタ装置1000がスレーブ装置2000に対して送信したデータを抽出する回路である。D+信号線31に供給されている電圧がD−信号線32よりも所定電圧以上高い場合は、電圧差がプラスと検出し、D+信号線31に供給されている電圧がD−信号線32よりも所定電圧以上低い場合は、電圧差がマイナスと検出する。各信号線に供給されている電圧の差がほぼ等しく、所定電圧以上の差がない場合は、電圧差がゼロと検出する。検出結果を、制御部203へ出力する。
【0026】
送信部202は、制御部203による制御にしたがって、各信号線に対して例えば150mAなどの、所定アンペアの短絡信号をのせることによって、各信号線に流れている電流を変化させてマスタ装置1000に対してデータを送信する回路である。
制御部203は、スレーブ装置2000の動作を制御する制御回路であり、マスタ装置1000との通信を制御する。受信部201が抽出したクロックを受け付ける。また、受信部201から各信号線の電圧差の検出結果を受け付けて、マスタ装置1000がスレーブ装置2000に対して送信したデータを抽出する。また、送信部202を制御して、クロックに同期してマスタ装置1000と双方向通信を行う。
【0027】
なお、マスタ装置1000とスレーブ装置2000は、電源1とは別に、定電圧の電源から電力の供給を受けて、各制御部105等を動作させている。
<回路図>
ここで、マスタ装置1000とスレーブ装置2000の具体的な回路構成について、その一例を説明する。
【0028】
図2は、マスタ装置1000の回路構成を示す図である。
同図に示すように、マスタ装置1000は、制御回路111と、タイミング発生回路112と、送信制御回路113とからなる。
制御回路111は、スレーブ装置2000との通信を制御する。スレーブ装置2000に対して送信するデータを決定し、タイミング発生回路112が発生するクロックに従って、送信制御回路113を介してデータを送信する。また、信号線に供給されている電流の変化を検出してスレーブ装置2000が送信したデータを抽出する。
【0029】
タイミング発生回路112は、所定周期のクロックを生成する。
送信制御回路113は、送信するデータに応じて、トランジスタ制御線124、125、126、127を介してトランジスタ114、115、116、117の動作を制御する。
図1の機能ブロック図と対比させて説明すると、制御回路111は、図1の受信データ抽出部104および制御部105に相当する。また、タイミング発生回路112は、タイミング発生部103に相当する。また、送信制御回路113およびトランジスタ114〜117は、極性反転部101および切替部102に相当する。
【0030】
なお、送信制御回路113による制御と、クロックに同期して各信号線に供給する電圧の極性を周期的に反転させ、かつ、送信するデータに応じて各信号線に供給する電圧のオンオフを切り替える動作との関係については後述する。
図3は、スレーブ装置2000の回路構成を示す図である。
同図に示すように、スレーブ装置2000は、制御回路211と、送受信制御回路212とからなる。
【0031】
制御回路211は、マスタ装置1000との通信を制御する。マスタ装置1000が送信したデータを送受信制御回路212から受け付けて処理する。マスタ装置1000に対して送信するデータを決定し、所定のクロックにしたがって、送受信制御回路212を介してデータを送信する。
送受信制御回路212は、トランジスタ制御線223、224、225を介してトランジスタ213、214、215、216と接続されている。マスタ装置1000に対して送信するデータに応じて、トランジスタ制御線225に電流を流す。また、各信号線の電圧差を、トランジスタ制御線223および224を介して抽出し、マスタ装置1000が送信したデータを受け付けて、送信データを抽出し、制御回路211へ出力する。同図の例では、トランジスタ制御線223を介して、電圧差がプラスの場合のデータを検出し、トランジスタ制御線224を介して、電圧差がマイナスの場合のデータを検出する。また、トランジスタ制御線223およびトランジスタ制御線224を介して、電圧差ゼロを検出する。
【0032】
図1の機能ブロック図と対比させて説明すると、制御回路211は、制御部203に相当する。また、送受信制御回路212およびトランジスタ213〜216は、受信部201および送信部202に相当する。
図2に示したように、電源1は、マスタ装置1000や各信号線に対して24Vの電圧を供給している。また、制御回路111やタイミング発生回路112、送信制御回路113には、5Vの電圧が供給されている。
【0033】
図3に示したように、スレーブ装置2000の制御回路211や送受信制御回路212には、5Vの電圧が供給されている。
<伝送方式>
(フレームデータの構成)
次に、信号の伝送方式について説明する。
【0034】
図4は、マスタ装置1000とスレーブ装置2000が通信を行う際に用いるフレームデータの構成を示す図である。
同図に示すように、1フレームのフレーム構成は、スタートビット41と、プリアンブルビット42と、I/Oビット43と、I/Oエンドビット44と、IDビット45と、フレームエンドビット46とからなる。
【0035】
スタートビット41は、1フレームの開始を示す。
プリアンブルビット42は、I/Oビット43が後続することを示す。
I/Oビット43は、マスタ装置1000およびスレーブ装置2000との間で送受信するデータの内容を示す。
I/Oエンドビット44は、I/Oビット43の終了を示す。
【0036】
IDビット45は、フレームのIDを示す。
フレームエンドビット46は、1フレームの終了を示す。
スタートビット41は、Hiレベルが所定ビット分としている。また、プリアンブルビット42と、I/Oエンドビット44と、フレームエンドビット46は、それぞれ同一のビット幅を有し、Loレベルが所定ビット分としている。例えば、スタートビット41は9ビット分、プリアンブルビット42等は3ビット分とする。
(パルス波形)
図5は、マスタ装置1000とスレーブ装置2000が通信を行う際に用いるパルス波形を示す図である。マスタ装置1000の制御部105は、I/Oビット内に送信データを含めてパルス波形を送出する。同図の例は、I/Oビット内のパルス波形を示している。また、マスタ装置1000は、1クロックで1ビットのデータを送信するごとに、D+信号線31およびD−信号線32に供給する電圧を反転させることとしている。
【0037】
また、1ビットのパルス波形が0を示すか1を示すかは、電圧の移動があるか否かによって表現する。すなわち、電圧がオンのままであれば0、電圧オンの状態から半クロック後にオフになれば1、とする。
アドレス51は、マスタ装置とスレーブ装置との間で伝送するデータのアドレスを示す。1アドレスは2ビットの情報を含む。
【0038】
波形52は、パルス波形を示す。斜線で示されている部分は、スレーブ装置2000が各信号線に短絡信号をのせることにより、電流変化が発生していることを示す。
マスタ送信データ53は、マスタ装置1000がスレーブ装置2000に対して送信するデータを示す。
スレーブ送信データ54は、スレーブ装置2000がマスタ装置1000に対して送信するデータを示す。
【0039】
マスタトランジスタ制御線55は、マスタ装置1000の送信制御回路が制御するトランジスタ制御線124〜127のオンオフを示す。
スレーブトランジスタ制御線56は、スレーブ装置2000の送受信回路が制御するトランジスタ制御線225のオンオフを示す。
同図では、各トランジスタ制御線がオンのときを○、オフのときを×としている。
【0040】
また、マスタ装置1000とスレーブ装置2000は、相補ビット照合方式を用いてデータの送受信を行っている。相補ビット照合方式とは、送信するデータに冗長性を持たせて、誤りの検出率を向上させた伝送方式であり、送信データ1ビットと、送信データのビットを反転させたデータ1ビットを含めて1アドレスとする。すなわち、0を送信すると、0の後に続けて1を送信する。例えば、データが2進符号4ビットの「1」「0」「0」「1」、すなわち1001の場合、各ビットを伝送するごとに、ビット反転させたデータを送信するので、相補ビット照合方式を用いると、送信データは、「10」「01」「01」「10」、すなわち10010110となる。
【0041】
なお、同図の例では、伝送するデータのアドレスが4および5の部分において、マスタ装置1000からスレーブ装置2000に対して送信するデータが連続して同じ値となっている。すなわち、アドレスが4の部分では、0が連続しており、アドレスが5の部分では、1が連続している。このとき、スレーブ装置2000は、アドレスが4および5の部分において、伝送データに誤りがあることを検出することができる。同様に、アドレスが6および7の部分では、スレーブ装置2000からマスタ装置1000へ送信するデータが連続して同一となっており、マスタ装置1000は、アドレスが6および7の部分において、スレーブ装置2000が送信したデータに誤りがあることを検出することができる。
【0042】
<動作>
(マスタ装置1000)
次に、マスタ装置1000の動作について説明する。
図6は、マスタ装置1000の動作を示すフローチャートである。
同図に示すように、マスタ装置1000の制御部105は、スレーブ装置2000に対して送信するデータの内容を決定すると(ステップS61)、相補ビット、プリアンブルビット等を付加してフレームデータを生成する(ステップS62)。
【0043】
フレームデータを生成すると、タイミング発生部103によって供給されるクロックにしたがって、極性反転部101および切替部102を制御して、スレーブ装置2000に対してフレームデータの送信を行う。フレームデータ送信中(ステップS64:NO)は、受信データ抽出部104によって抽出されるスレーブ装置2000の送信データを受け付けて処理する(ステップS63)。
【0044】
フレームデータの送信を終えると(ステップS64:YES)、再び送信データの送信処理を開始する(ステップS61)。
(スレーブ装置2000)
次に、スレーブ装置2000の動作について説明する。
図7は、スレーブ装置2000の動作を示すフローチャートである。
【0045】
スレーブ装置2000の制御部203は、スタートビット、プリアンブルビットの入力があるまで待機し(ステップS71:NO)、スタートビット、プリアンブルビットを検出すると(ステップS71:YES)、スタートビット、プリアンブルビットに基づいてフレーム同期を行い、プリアンブルビットの受信後、電圧の極性が切り替わるタイミングを用いてビット同期を行う。ビット同期後、半クロック経過後に電圧がプラスまたはマイナスであれば、マスタ装置1000の送信データは0として受け付け、半クロック経過後に電圧がゼロであれば、マスタ装置1000の送信データは1として受け付ける。1ビット受信するごとに、ビット同期からマスタ装置1000の送信データの判定までの処理を繰り返す。また、プリアンブルビットの受信後、マスタ装置1000に対して送信部202を制御して相補ビット照合方式を用いてデータを送信する(ステップS72)。
【0046】
フレームデータの受信を終えると(ステップS73:YES)、再びフレームデータの受信およびマスタ装置1000に対するデータ送信処理を繰り返す(ステップS71)。
<補足>
以上のように本発明にかかる通信装置および通信システムについて実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することもでき、本発明は上述の実施の形態に限られないことは勿論である。
(1)上述の実施形態では、1クロックごとに極性を反転させることとしているが、これに限らず、例えば8クロックごとなど、所定クロックごとに極性を反転させることとしてもよい。
(2)上述の実施形態では、D+信号線31またはD−信号線32のいずれか一方に供給する供給電圧のオンオフを切り替えることとしてもよい。また、電源1と極性反転部102の間に切替部102を設けることとしてもよい。
(3)上述の実施形態では、マスタ装置1000等に供給する電圧は、24Vや5Vとしているが、これに限らない。また、回路構成は、上述の例に限らない。例えば、マスタ装置1000の回路構成を図8のようにしてもよいし、スレーブ装置2000の回路構成を図9のようにしてもよい。
(4)上述の実施形態では、マスタ装置1000はひとつのスレーブ装置2000と通信を行うものとして説明してきたが、図10に示すように、各信号線を介して複数のスレーブ装置2000(2000a、2000b、・・・)と接続して通信することとしてもよい。例えば、工場の製造ラインや、プラント、物流管理システムなど、複数の装置を管理する通信システムなどで用いることができる。複数の装置を管理するためには、例えば図4のアドレス51で示される送信データの各アドレスを、各々の管理対象の装置に割り当てることとすればよい。管理対象となる装置は、自装置のアドレス部分のデータを抽出してマスタ装置1000から送信されたデータを受信する。また、自装置のアドレス部分において電流を流すことにより、マスタ装置1000に対してデータを送信することができる。これにより、省配線の通信システムを実現することができる。また、複数のマスタ装置1000同士での通信や、複数のマスタ装置1000および複数のスレーブ装置2000からなる通信システムであってもよい。
(5)上述の実施形態では、ひとつの電源1を用いて、各信号線に電圧を供給することとしているが、これに限らず、複数の電源を用いてもよい。また、電源1は、マスタ装置1000の外部から供給されることとして説明してきたが、マスタ装置1000の内部であってもよい。
(6)上述の実施形態では、送信するデータが0であるか1であるかを表現するために、ビット同期してから半クロック経過後に電圧差があるか、ゼロであるかに応じて送信するデータの値が定まることとしているが、半クロック経過後に限る必要はないし、また、電圧差があるかないかに応じてデータを表現する方法は、これに限らず、他の方法であってもよい。
(7)上述の実施形態では、相補ビット照合方式を用いることとしているが、必ずしも相補ビット照合方式を用いる必要はないし、他のビット照合方式を用いることとしてもよい。また、図4に示したように、1フレームは、スタートビット等から構成されるが、フレームの構成はこの形態に限るものではない。
(8)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(9)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい
(10)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク、通信システム、工場や設備などの機器管理装置等として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】マスタ装置1000とスレーブ装置2000の機能ブロック図。
【図2】マスタ装置1000の回路構成を示す図。
【図3】スレーブ装置2000の回路構成を示す図。
【図4】マスタ装置1000とスレーブ装置2000が通信を行う際に用いるフレームデータの構成を示す図。
【図5】マスタ装置1000とスレーブ装置2000が通信を行う際に用いるパルス波形を示す図。
【図6】マスタ装置1000の動作を示すフローチャート。
【図7】スレーブ装置2000の動作を示すフローチャート。
【図8】マスタ装置1000の回路構成を示す図。
【図9】スレーブ装置2000の回路構成を示す図。
【図10】通信システムを示す図。
【符号の説明】
【0049】
1 電源
101 極性反転部
102 切替部
103 タイミング発生部
104 受信データ抽出部
105 制御部
201 受信部
202 送信部
203 制御部
31 D+信号線
32 D−信号線
111 制御回路
112 タイミング発生回路
113 送信制御回路
211 制御回路
212 送受信制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する通信装置であって、
前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転部と、
前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替部と、
伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替部による前記切り替えを制御する供給制御部と、
伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記反転を周期的に行うよう前記極性反転部を制御する反転制御部とを備える
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記供給制御部は、伝送するデータの値に応じて、1クロック内において、1の信号線に対する前記供給がオンの状態を維持するか、オンの状態からオフに切り替えるかを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記供給制御部は、所定ビット分のデータを伝送するごとに、前記所定ビット分のデータの値をビット反転させたデータを、前記所定ビット分のデータに後続して伝送するよう前記切り替えを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
所定電圧の供給を受けて、請求項2の通信装置と前記2本の信号線を介して双方向通信を行う第2通信装置であって、
前記第2通信装置が送信するデータの値に応じて、1クロック内において、前記各信号線に所定アンペアの短絡信号をのせるか否かを制御する送信制御部を備える
ことを特徴とする第2通信装置。
【請求項5】
定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する通信装置において用いられる通信方法であって、
前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転ステップと、
前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替ステップと、
伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替ステップにおける前記切り替えを制御する供給制御ステップと、
伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記極性反転ステップにおける前記反転を周期的に行うよう制御する反転制御ステップとを含む
ことを特徴とする通信方法。
【請求項6】
定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する第1通信装置と、前記第1通信装置と双方向通信を行う第2通信装置とからなる通信システムであって、
前記第1通信装置は、
前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転部と、
前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替部と、
伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替部による前記切り替えを制御する供給制御部と、
伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記反転を周期的に行うよう前記極性反転部を制御する反転制御部とを備え、
前記第2通信装置は、
前記第1通信装置に対して送信するデータの値に応じて、1クロック内において、前記各信号線に所定アンペアの短絡信号をのせるか否かを制御する送信制御部を備え、
前記第1通信装置は、各信号線に供給されている電流が所定値以上変化していることを検出することによって、前記第2通信装置が送信したデータを受信する手段を備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項1】
定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する通信装置であって、
前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転部と、
前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替部と、
伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替部による前記切り替えを制御する供給制御部と、
伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記反転を周期的に行うよう前記極性反転部を制御する反転制御部とを備える
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記供給制御部は、伝送するデータの値に応じて、1クロック内において、1の信号線に対する前記供給がオンの状態を維持するか、オンの状態からオフに切り替えるかを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記供給制御部は、所定ビット分のデータを伝送するごとに、前記所定ビット分のデータの値をビット反転させたデータを、前記所定ビット分のデータに後続して伝送するよう前記切り替えを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
所定電圧の供給を受けて、請求項2の通信装置と前記2本の信号線を介して双方向通信を行う第2通信装置であって、
前記第2通信装置が送信するデータの値に応じて、1クロック内において、前記各信号線に所定アンペアの短絡信号をのせるか否かを制御する送信制御部を備える
ことを特徴とする第2通信装置。
【請求項5】
定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する通信装置において用いられる通信方法であって、
前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転ステップと、
前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替ステップと、
伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替ステップにおける前記切り替えを制御する供給制御ステップと、
伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記極性反転ステップにおける前記反転を周期的に行うよう制御する反転制御ステップとを含む
ことを特徴とする通信方法。
【請求項6】
定電圧の電源から出力される1の出力電圧の供給を制御し、2本の信号線を用いて信号を伝送する第1通信装置と、前記第1通信装置と双方向通信を行う第2通信装置とからなる通信システムであって、
前記第1通信装置は、
前記2本の信号線に供給される前記出力電圧の極性を反転させる極性反転部と、
前記出力電圧の供給のオンオフを切り替える切替部と、
伝送するデータの値に応じて、一定周期のクロックに同期して前記切替部による前記切り替えを制御する供給制御部と、
伝送するデータの値にかかわらず、所定クロックごとに前記反転を周期的に行うよう前記極性反転部を制御する反転制御部とを備え、
前記第2通信装置は、
前記第1通信装置に対して送信するデータの値に応じて、1クロック内において、前記各信号線に所定アンペアの短絡信号をのせるか否かを制御する送信制御部を備え、
前記第1通信装置は、各信号線に供給されている電流が所定値以上変化していることを検出することによって、前記第2通信装置が送信したデータを受信する手段を備える
ことを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−135055(P2007−135055A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327349(P2005−327349)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(592127965)NKE株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(592127965)NKE株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
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