説明

通報システム

【課題】事件・事故を目撃した場合、110番等に通報することが一般的であるが、その際、通報者から事件・事故の現在地を早く正確に把握し、対応者に対してその現在地を特定する情報を伝えること。
【解決手段】本発明の通報システムは、標識検索入力手段と、標識検索出力手段と、標識属性データベースと、標識地図データベースとを有する通報システムであって、標識検索入力手段に、道路標識管理番号を入力し、道路標識管理番号を検索キーにして、標識属性データベースから、道路標識識別情報を含む所定の情報を取得することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報システム、特に、通報受理者が早く正確に、事件・事故の現在地を把握でき、かつ、その現在地の対応者へも早く正確に、事件・事故の現在地を伝えることができる通報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
事件・事故を目撃した場合、110番等に通報することが一般的であるが、従来の110番等の通報には、次のような問題があった。
【0003】
第1の問題点は、110番等の受理者が事件・事故の現在地を正確に把握できないことである。その理由は、110番等の通報者が冷静さを欠く状態の中で、事件・事故の現在地を正確に伝える目印がなく、現在地を伝え難いためである。
【0004】
第2の問題点は、110番等の受理者が通報者からの事件・事故の現在地の把握に時間がかかることである。その理由は、第1の問題点の理由に伴い、何度も電話のやりとりを繰り返すためである。
【0005】
第3の問題点は、110番等の受理者が事件・事故の現在地を把握し、パトカー等に対する通知をしても、実際の現場と離れている場合があることである。その理由は、パトカー等の運転手にとっては、番地等の単なる地図上の位置を示す情報だけでは、その場所を確実に理解することはできないからである。すなわち、番地等の単なる地図上の位置を示す情報の他に、その現在地を特定する情報を伝えることができないためである。
【0006】
このような問題点を解決する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1記載の情報通信システムは、現在地の緯度・経度情報を信号機の下部にある地名の表示板、電柱、電信柱、駅、地番表等の建造物に表示しておき、事件・事故発生時の110番等への通報の際、この情報をDTMF(Dual Tone Multiple Frequency)信号を利用し連絡することで、事件・事故の現在地を早く正確に通報することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−005667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献1に記載された技術は、上述の第1および第2の問題点を解決することができるが、第3の問題点である地図上の位置情報のほか、現在地を特定する情報を伝えることができない。よって、パトカー等に通知する際、実際の現在地と離れている場合があるという問題点は解決されない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上述した課題である事件・事故の現在地を特定する情報を伝えることができる通報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の通報システムは、標識検索入力手段と、標識検索出力手段と、標識属性データベースと、標識地図データベースとを有する通報システムであって、標識検索入力手段に、道路標識管理番号を入力し、道路標識管理番号を検索キーにして、標識属性データベースから、道路標識識別情報を含む所定の情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、通報者からの管理番号を検索キーにして、事件・事故の現在地を特定する情報を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のシステム構成図である。
【図2】本発明の動作を示したフロー図である。
【図3】道路標識管理番号の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態の構成について、図1を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の通報システムの実施形態は、110番地図システム1と道路標識管理システム2で構成される。
【0014】
110番地図システム1は、道路標識管理番号等の管理番号を検索条件として入力し、その結果を文字、地図の両情報で表示する。道路標識管理システム2は、公安委員会によって管理される道路標識の現在地住所、近隣目標物等のデータを、文字、地図の両情報で保持する。
【0015】
110番地図システム1は、標識検索11を備えている。標識検索11は、道路標識管理番号等の管理番号をキーにして、標識属性データベース21、標識地図データベース22に保持するデータを検索し、結果を表示する。
【0016】
標識検索11は、標識検索入力手段である標識検索指定画面111と標識検索出力手段である標識検索結果画面112とを備えている。
【0017】
標識検索指定画面111は、標識に設置されている管轄署と管理番号等を入力する画面である。
【0018】
標識検索結果画面112は、道路標識管理システム2で得た情報を、文字情報と地図情報で表示する画面である。文字情報は、管轄署、標識管理番号、標識柱番号、住所、住所詳細、近隣目標物である。地図情報は、位置情報を持った標識画像である。
【0019】
道路標識管理システム2は、標識属性データベース21と標識地図データベース22とを備えている。
【0020】
標識属性データベース21は、標識属性データとして、管轄署、標識管理番号、標識柱番号、住所、住所詳細、近隣目標物、道路標識識別情報を保持する。道路標識識別情報は、標識地図データベース22の検索キーとなる。標識地図データベース22は、標識地図データとして、標識画像、座標値を保持する。なお、本実施形態では、標識属性データおよび標識地図データは、別々のデータベースに保持されているが、同一のデータベースに保持される構成であってもよい。
【0021】
次に、本発明の実施形態の動作について、図1、図2、および図3を参照して詳細に説明する。
【0022】
通報者が事件・事故を目撃すると、110番通報を行う(ステップA1)。警察本部は、この通報を110番通報として受理し(ステップA2)、通報者に対して、近くに道路標識管理番号付きの標識柱がないかを尋ねる(ステップA3)。これに対して、通報者は、道路標識管理番号付きの標識柱を探す(ステップA4)。
【0023】
通報者が、道路標識管理番号付きの標識柱を発見した場合は、ステップA8へ進み、発見できなかった場合は、ステップA5へ進む。
【0024】
ステップA8では、標識検索指定画面111に、通報者から連絡を受けた道路標識管理番号の標識(図3)に設定されている「管轄署」と「数字5桁の管理番号」を入力し、これを検索キーに道路標識管理システム2が保持する標識属性データを検索する。その結果、標識属性データベース21から、「管轄署」、「標識管理番号」、「標識柱番号」、「住所」、「住所詳細」、「近隣目標物」、「道路標識識別情報」を取得することができる。次に、取得した「道路標識識別情報」を検索キーに、標識地図データを検索する。その結果、標識地図データベース22から、「標識画像」、「座標値」を取得することができる。
【0025】
ステップA8で取得した情報は、標識検索結果画面112に、文字情報(「管轄署」、「標識管理番号」、「標識柱番号」、「住所」、「住所詳細」、「近隣目標物」)、および地図情報(住宅地図上の座標値の場所に標識画像を強調表示)として表示する(ステップA9)。
【0026】
また、通報者が、道路標識管理番号付きの標識柱を発見できなかった場合、警察本部は、他目標物等がないかを尋ねる(ステップA5)。そして、通報者が他目標物等を発見した場合(ステップA6/YES)は、その目標物等を検索キーにして(ステップA7)、現在地を検索する。一方、通報者が他目標物等を発見できなかった場合(ステップA6/NO)は、更に、その他目標物等がないかを尋ねることを繰り返す(ステップA5)。
【0027】
警察本部は、ステップA9で表示された現在地をパトカーに指示する。指示を受けたパトカーは、正確な現在地に急行し、現場処理を行うことができる(ステップA10)。なお、パトカーへの指示は、ステップA9で表示された内容を電話等による口頭で伝えることも可能であるが、予めパトカーにモニターシステム等を備え付け、そのモニターの画面に文字情報および地図情報を転送する事も可能である。
【0028】
本発明の一実施形態であるシステムにより、以下の効果が得られる。第1の効果は、110番等の受理者が通報者の状況に係わらず、正確に現在地を把握できることにある。この結果、パトカーへの正確な現在地通知が可能となる。その理由は、110番等の通報者が、標識柱に貼付されている、見たままの道路標識管理番号を伝達すれば良いからである。
【0029】
第2の効果は、110番等の受理者が早く現在地を把握できることにある。この結果、電話での対話時間を削減でき、パトカーへの現在地通知までの時間を短縮できる。その理由は、第1の効果の理由と同じである。
【0030】
第3の効果は、110番等の受理者が現在地を視覚的に確認できることにある。この結果、110番等の受理者が通報者に現在地の近隣目標物の確認を促せるため、より確実に現在地を特定できる。その理由は、地図上に、現在地を示す標識画像だけでなく、近隣目標物等も共に表示されるためである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の応用例1として、道路管理者(国、県、市町村)管理の道路標識管理番号検索を説明する。事件・事故の現在地近くの道路管理者管理の道路標識に貼付されている管理番号を連絡すると、道路標識管理番号で検索し、場所を特定する。
【0032】
次に、本発明の応用例2として、電柱管理番号検索を説明する。事件・事故の現在地近くの電柱に貼付されている管理番号を連絡すると、電柱管理番号で検索し、場所を特定する。
【0033】
次に、本発明の応用例3として、自動販売機管理番号検索を説明する。事件・事故の現在地近くの自動販売機に貼付されている管理番号を連絡すると、自動販売機管理番号で検索し、場所を特定する。
【0034】
次に、本発明の応用例4として、電灯管理番号検索を説明する。事件・事故の現在地近くの電灯に貼付されている管理番号を連絡すると、電灯管理番号で検索し、場所を特定する。
【符号の説明】
【0035】
1 110番地図システム
2 道路標識管理システム
11 標識検索
21 標識属性データベース
22 標識地図データベース
111 標識検索指定画面
112 標識検索結果画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識検索入力手段と、
標識検索出力手段と、
標識属性データベースと、
標識地図データベースと、
を有する通報システムであって、
前記標識検索入力手段に、道路標識管理番号を入力し、
前記道路標識管理番号を検索キーにして、前記標識属性データベースから、道路標識識別情報を含む所定の情報を取得すること
を特徴とする通報システム。
【請求項2】
請求項1記載の通報システムであって、
前記道路標識管理番号は、標識に設定されている管轄署と管理番号であること
を特徴とする通報システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の通報システムであって、
前記標識属性データベースから取得した前記所定の情報は、管轄署、標識管理番号、標識柱番号、住所、住所詳細、近隣目標物、道路標識識別情報であること
を特徴とする通報システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通報システムであって、
前記標識属性データベースから取得した前記道路標識識別情報を検索キーにして、前記標識地図データベースから標識画像および座標値を取得すること
を特徴とする通報システム。
【請求項5】
請求項4記載の通報システムであって、
前記標識属性データベースから取得した前記道路標識識別情報を含む所定の情報を文字情報として、前記標識地図データベースから取得した前記標識画像および座標値を地図情報として、前記検索出力手段に表示すること
を特徴とする通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−282066(P2010−282066A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136066(P2009−136066)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000213301)中部日本電気ソフトウェア株式会社 (56)
【Fターム(参考)】