説明

連結ユニットおよび同期駆動システム

【課題】高い精度での同期駆動を図ることができるとともに、コスト面で優位な連結ユニットとこれを備える同期駆動システムを提供する。
【解決手段】連結ユニット20は、ヘッドがスライド駆動するスライド駆動装置に対して連結されるユニットであり、ケース200と、ケース200内に収納されたスプロケット203,204と、その間にループ状に張設されたチェーン205と、チェーン205に取り付けられたブラケット201と、スプロケット204に対して取り付けられたロッドカップリング202とを有する。そして、ブラケット201が矢印Aのようにスライド駆動した場合、ロッドカップリング202は、ブラケット201の変位に応じた回転角度を以って回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結ユニットおよび同期駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産ラインでは、ワークの搬送や位置決め、または切り出しなどのために、ロッドやプレートがスライド駆動する装置が設けられている。このような装置の具体例としては、例えば、エアシリンダのロッド先端にプレートを取り付けた装置において、エアシリンダのロッドの駆動方向に並行してガイドを附帯することで先端のプレートの駆動がスムースとなるようにする装置などが提案されている(特許文献1などを参照)。
【0003】
ところで、生産ラインなどでは、複数のエアシリンダなどを同期させて駆動させることが求められる場合もある。このような要望に対して、例えば、2台の駆動装置の間をチェーンあるいはシャフトによって連結し、これにより2台の駆動装置における同期駆動を実現しようとする技術も提案されている(特許文献2などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−200488号公報
【特許文献2】特開2000−108852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、生産ラインの設計段階で求められる構成に合わせて、特注品としての同期駆動装置を設計し、製造しなければならず、コストの低減という観点から改善が求められている。従来においては、各駆動装置に変位測定のための光センサや磁気センサなどを取り付け、当該センサから得られる変位データを用いて複数の駆動装置を同期させて駆動させるという方法も用いられている。このように各駆動装置にセンサを取り付けて同期駆動を実行しようとする場合には、センサの取り付け位置やその感度の調整などに手間がかかり、また、センサの汚れなどに起因して同期がとれなくなるような事態も生じ得る。
【0006】
また、同期のために各駆動装置にセンサを取り付ける場合には、設備コストおよび上記調整のための作業コストなどの観点から、問題を有する。
本発明は、上記のような問題の解決を図るべくなされたものであって、高い精度での同期駆動を図ることができるとともに、コスト面で優位な連結ユニットとこれを備える同期駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の連結ユニットは、ヘッドがスライド駆動するスライド駆動装置に対して連結されるユニットであって、ベースと、ベースに対してそれぞれが軸支された2つのスプロケットと、スプロケットの間でループ状に張設された線状体と、線状体に取り付けられたブラケットと、2つのスプロケットの内の一方に対して取り付けられ、ロッドの接続を受け入れる連結部と、を有し、ブラケットがスライド駆動装置のヘッドに対して取り付けられた場合、連結部は、ヘッドのスライド駆動に係る変位に応じた回転角度を以って回動することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の同期駆動システムは、各々のヘッドがスライド駆動する第1および第2のスライド駆動装置と、第1および第2のスライド駆動装置の各々に連結される第1および第2の連結ユニットと、第1の連結ユニットと第2の連結ユニットとの間を連結するロッドと、を備える。そして、本発明に係る同期駆動システムでは、第1および第2の連結ユニットの各々が、ベースと、ベースに対してそれぞれが軸支された2つのスプロケットと、スプロケットの間でループ状に張設された線状体と、線状体に取り付けられたブラケットと、2つのスプロケットの内の一方に対して取り付けられ、ロッドの接続を受け入れる連結部と、を有し、ロッドの一方の端が第1の連結ユニットの連結部に接続され、他方の端が第2の連結ユニットの連結部に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る連結ユニットは、スライド駆動装置のヘッドに対してブラケットで取り付けができる。よって、上記特許文献2のように、スライド駆動部と同期をとるための部分とが一体に形成されているものではないので、本発明に係る連結ユニットとスライド駆動装置との連結形態によって、生産ラインの仕様に応じた種々の形態を採り得る。このため、本発明に係る連結ユニットでは、生産ラインの設計における自由度を高くすることができ、また、ユニットの規格化によりコストの低減を図るのに効果を奏する。
【0010】
また、本発明に係る連結ユニットでは、スライド駆動装置のヘッドに取り付けられるブラケットと、出力端としての連結部とが、間に線状体およびスプロケットを介した状態で接続されているので、センサをスライド駆動装置に取り付けて変位を計測する場合に比べて、調整に係る手間が不要であり、また、汚れの除去などのためのメインテナンス作業が不要であり、生産ラインの製造コストおよびランニングコストの低減を図ることができる。
【0011】
本発明に係る同期駆動システムは、各々のヘッドがスライド駆動する第1および第2のスライド駆動装置と、第1および第2のスライド駆動装置の各々に連結される第1および第2の連結ユニットと、第1の連結ユニットと第2の連結ユニットとの間を連結するロッドと、を備え、第1および第2の連結ユニットとして、上記本発明に係る連結ユニットと同一の構成を採用している。このため、本発明に係る同期駆動システムでは、第1のスライド駆動装置におけるヘッドのスライド量(変位)に応じた回転角度でロッドが回動し、これに連結された第2のスライド駆動装置におけるヘッドが、第1のスライド駆動装置のヘッドと同期した状態でスライド駆動する。
【0012】
上記のように、本発明に係る同期駆動システムでは、第1のスライド駆動装置と第2のスライド駆動装置のスライド駆動の同期をとるために、上記のように、センサを用いるものではないので、製造コストおよびランニングコストの低減を図ることが可能である。また、第1および第2の連結ユニットは、第1および第2のスライド駆動装置から独立して構成され、組み合わせの形態によって種々の連結形態をとり得るので、上記特許文献2のようにスライド駆動装置自体に同期をとるための機構を組み込んだものに比べ、システムの設計における自由度を高くすることができ、また、コスト面でも優位である。
【0013】
さらに、本発明に係る同期駆動システムでは、第1のスライド駆動装置と第2のスライド駆動装置の同期を、チェーンなどの線状体およびロッドを介してなされているので、使用中における同期ズレを生じ難い。
以上のように、本発明に係る連結ユニットおよびこれを用いた同期駆動システムは、高い精度での同期駆動を図ることができるとともに、コスト面で優位である。
【0014】
本発明に係る同期駆動システムは、一例として次のようなバリエーションを採用し得る。
本発明に係る同期駆動システムでは、上記構成において、第1および第2のスライド駆動装置の各々が、ヘッドをスライド駆動するための駆動源を有する、という構成を採用することができる。このような構成を採用する場合には、第1のスライド駆動装置および第2のスライド駆動装置の各々が駆動源を有することにより、連結ユニットにより連結して同期をとる場合にも、個々のスライド駆動装置での駆動力の低下を招くことがない。
【0015】
また、このように複数の駆動ユニットの各々が駆動源を有する構成とする場合には、同期が図られた状態で駆動することで、これら複数の駆動ユニットの駆動力が合算されることになり、重量物などの搬送などを行う場合にも好適である。
本発明に係る同期駆動システムでは、上記構成において、さらに、第3のスライド駆動装置と、第3および第4の連結ユニットと、第2のロッドとを備える構成とすることができる。
【0016】
ここで、第3のスライド駆動装置は、上記第1および第2のスライド駆動装置と同様に、スライド駆動するヘッドと、ヘッドをスライド駆動させる駆動源とを備える。また、第3および第4の連結ユニットは、上記第1および第2の連結ユニットと同様に、各々が、ベースと、ベースに対してそれぞれが軸支された2つのスプロケットと、スプロケットの間でループ状に張設された線状体(例えば、チェーンやベルト、あるいはワイヤー)と、線状体に取り付けられたブラケットと、2つのスプロケットの内の一方に対して取り付けられ、ロッドの接続を受け入れる連結部と、を有する。第2のロッドは、第3の連結ユニットの連結部と、第4の連結ユニットの連結部との間を連結する。
【0017】
そして、本発明に係る同期駆動システムでは、上記構成を採用する場合において、第3の連結ユニットのブラケットが、第1のスライド駆動装置のヘッドに連結され、第4の連結ユニットのブラケットが、第3のスライド駆動装置のヘッドに連結されているものであって、第1のロッドと第2のロッドとが、第3の連結ユニットにおけるブラケットと第4の連結ユニットにおけるブラケットとの形状の相違に起因して、互いの軸芯同士が互いに交差する方向となるように配されている、ことを特徴とする。なお、前記において、第1のロッドとは、第1の連結ユニットの連結部と、第2の連結ユニットの前記連結部との間を連結するロッドのことを指す。
【0018】
このように、本発明に係る同期駆動システムでは、3つ以上のスライド駆動装置を同期駆動することが可能である。また、上記のように、本発明に係る同期駆動システムでは、第1のロッドと第2のロッドとの軸芯同士が交差するようにすることもできるので、生産ラインの設計の自由度を高くすることができる。
本発明に係る同期駆動システムでは、上記構成を採用する場合において、第1の連結ユニットの連結部、および第2の連結ユニットの連結部と、ロッドとは、各々の間で角度調整自在となっている、という構成を採用することができる。このような構成を採用する場合には、第1のスライド駆動装置と第2のスライド駆動装置との間での、ヘッドの変位の微調整を、第1の連結ユニットとロッドとの連結部分、あるいは、第2の連結ユニットとロッドとの連結部分で行うことが可能であり、初期およびメインテナンス時におけるヘッドの変位調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る同期駆動システム1の概略構成を示す模式斜視図である。
【図2】同期駆動システム1に含まれる連結ユニット20の構成を示す模式側面図である。
【図3】連結ユニット20の内部構成を示す模式切り欠き図である。
【図4】変形例に係る同期駆動システムの概略構成を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明を実施するための一形態について、図面を参酌しながら説明する。
なお、以下の説明に係る実施の形態は、本発明の構成上の特徴および当該特徴的構成から奏される作用効果を分かりやすく説明するための一例として用いるものである。よって、本発明は、その本質的な特徴部分を除き、以下の形態に何ら限定を受けるものではない。
【0021】
[実施の形態]
1.同期駆動システム1の全体構成
実施の形態に係る同期駆動システム1の全体構成について、図1を用い説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る同期駆動システム1は、3つの駆動ユニット10,11,12を備える。3つの駆動ユニット10,11,12は、それぞれがZ軸方向に沿って立設されており、互いの間に間隙をあけて配されている。駆動ユニット10,11,12の各々には、Z軸方向に沿ってスライド駆動するスライドヘッド100,110,120が備えられており、図示を省略しているが、各スライドヘッド100,110,120を駆動する駆動源としてのエアシリンダが内蔵されている。
【0022】
駆動ユニット10には、そのY軸方向の両側に、連結ユニット20,21が取り付けられている。連結ユニット20,21は、それぞれ直方体状のケース200,210を備え、当該ケース200,210の各々から延出されたスライドブラケット201,・・およびロッドカップリング202,212を備える。この内、スライドブラケット201,・・は、駆動ユニット10のスライドヘッド100に取り付けられており、スライドヘッド100が矢印Aの方向にスライド駆動するのに伴ってスライドブラケット201,・・もスライド駆動する。
【0023】
同様に、駆動ユニット11には、連結ユニット22が取り付けられ、駆動ユニット12には、連結ユニット23が取り付けられている。連結ユニット22についても、ケース220からスライドブラケットおよびロッドカップリングが延出されており(図示を省略)、連結ユニット23も、ケース230からスライドブラケット231およびロッドカップリング232が延出されている。連結ユニット22,23の各スライドブラケット231,・・は、それぞれ駆動ユニット22,23のスライドヘッド110,120に取り付けられており、各スライドヘッド110,120のスライド駆動(矢印B,C)に伴ってスライド駆動する。
【0024】
連結ユニット20と連結ユニット23とは、互いのケース200,230における各ロッドカップリング202,232が延出されてなる外面同士が対向するように配されている。同様に、連結ユニット21と連結ユニット22とは、互いのケース210,220における各ロッドカップリング212,・・が延出されてなる外面同士が対向するように配されている。そして、ロッド30の一端は、連結ユニット20のロッドカップリング202に連結され、他端は、連結ユニット23のロッドカップリング232に連結されている。ロッド31の一端は、連結ユニット21のロッドカップリング212に連結され、他端は、連結ユニット22のロッドカップリングに連結されている。
【0025】
なお、ロッド30とロッドカップリング202,232との各間、ロッド31とロッドカップリング212,・・との各間は、緩みなく連結されている。ただし、連結するに当たっては、各間での調整が可能となっている。
本実施の形態に係る同期駆動システム1では、駆動ユニット10,11,12の各スライドヘッド100,110,120が、連結ユニット20,21,22,23およびロッド30,31を介した連結により、互いに同期した状態でZ軸方向にスライド駆動する(矢印A,B,C)。即ち、連結ユニット20,21,22,23の各々により、Z軸方向にスライド駆動するスライドヘッド100,110,120の変位が、出力端であるロッドカップリング202,212,232,・・の回転角度へと変換され、ロッド30,31の回転(rot.D、rot.E)となる。そして、ロッド30,31により、各駆動ユニット10,11,12の同期駆動が保証される。
【0026】
2.連結ユニット20,21,22,23の構成
連結ユニット20,21,22,23の構成について、図2および図3を用い説明する。なお、図2および図3では、連結ユニット20を一例としているが、残りの連結ユニット21,22,23についても同様の構成を有する。
図2に示すように、連結ユニット20は、Z軸方向に細長い略直方体形状のケース200を有し、そこからスライドブラケット201およびロッドカップリング202が延出されている。スライドブラケット201は、ケース200に対して、その一部がX軸方向上側に延出され、駆動ユニット10のスライドヘッド100に取り付けられることにより、スライドヘッド100のスライド駆動に伴い、矢印Aの方向にスライド駆動する。
【0027】
ロッドカップリング202は、ケース200から紙面手前向きに延出されており、その中央にロッド30の一端を受け入れる穴202aが開けられている。なお、図2では、図示していないが、ロッドカップリング202には、ロッド30を嵌入させた後に、互いの角度ズレを生じないようにするための止めねじ用のネジ孔が開けられていてもよい。
図2に示すように、スライドブラケット201は、チェーン205に対して取り付けられており、チェーン205は、ケース200内で軸支された2つのスプロケット203,204の間でループ状に張設されている。なお、チェーン205は、2つのスプロケット203,204の間で緩みなく張設されており、スライドブラケット201のスライド移動に伴い、当該スライドの変位が、チェーン205およびスプロケット204を介して、ロッドカップリング202へと出力される。
【0028】
また、ロッドカップリング202に接続されるロッド30を介して駆動ユニット12から入力される回転駆動力が、ロッドカップリング202へと入力される。
次に、図3に示すように、スプロケット203は、軸207を回転軸とし、スプロケット204は、軸206を回転軸として設けられている。回転軸206は、ケース200に対してベアリング208,209を介して取り付けられており、回転自在とされている。
【0029】
一方、軸207は、軸受プレート240に取り付けられており、軸受プレート240は、ケース200内において、Z軸方向に移動可能に配されている。そして、軸受プレート240は、テンションボルト241およびナット242によりケース200と連結され、これによりチェーン205が緩みなく張設されている。
以上のような構成は、連結ユニット21,22,23も同様であり、連結ユニット20,21,22,23により駆動ユニット10,11,12におけるスライドヘッド100,110,120のスライド駆動に応じた回転角度を以って、ロッド30,31へと出力される。これより、駆動ユニット10,11,12の相互間での同期駆動が実現される。
【0030】
[変形例]
駆動ユニットと連結ユニットとの構成数および配置に関する変形例について、図4を用い説明する。
図4(a)に示すように、2つの駆動ユニット40,41と、それぞれに取り付けられた連結ユニット50,51と、連結ユニット50,51間に設けられたロッド60とを要素として同期駆動システムを構成することもできる。図4(a)に示す変形例の構成の場合、駆動ユニット40,41に対してワーク(図示を省略)は、Y軸方向の上側または下側に配され、紙面に垂直な方向にスライド駆動される。この場合、ロッド60がワークのスライド駆動の障害とならないように、駆動ユニット40,41に対してY軸方向にはみ出さないように配置されており、連結ユニット50および連結ユニット51が、駆動ユニット40,41のそれぞれに対してX軸方向の側方に取り付けられている。そして、ロッド60は、各連結ユニット50,51のX軸方向の右側または左側に延出された各ロッドカップリング502,512に連結されている。
【0031】
次に、図4(b)に示すように、2つの駆動ユニット42,43と、それぞれに取り付けられた連結ユニット52,53と、連結ユニット52,53間に設けられたロッド61とを要素として同期駆動システムを構成することもできる。図4(b)に示す変形例の構成の場合、ワーク(図示を省略)は、駆動ユニット42と駆動ユニット43との間において、紙面に垂直な方向にスライド駆動される。
【0032】
そして、連結ユニット52および連結ユニット53は、駆動ユニット42,43のそれぞれに対してY軸方向の下側にそれぞれ取り付けられている。そして、ロッド61は、各連結ユニット52,53のX軸方向の右側または左側に延出された各ロッドカップリング522,532に連結されており、ワークのスライド駆動に対して障害とならないようになっている
次に、図4(c)に示すように、4つの駆動ユニット44,45,46,47と、それぞれに取り付けられた連結ユニット54,55,56,57,58,59と、連結ユニット54,55,56,57,58,59の各間に設けられたロッド62,63,64とを要素として同期駆動システムを構成することもできる。
【0033】
このような構成を有する同期駆動システムでは、駆動ユニット44,45,46,47に四方が囲まれた領域にワークが配され(図示を省略)、紙面に垂直な方向にワークがスライド駆動される。
図4(c)に示すように、駆動ユニット44,45、およびこれらに取り付けられた連結ユニット54,55、さらには各ロッドカップリング542,552により連結されたロッド62の各連配置態については、図4(a)に示す変形例の同期駆動システムと同じである。また、駆動ユニット46,47、およびこれらに取り付けられた連結ユニット58,59、さらには各ロッドカップリング582,592により連結されたロッド64の各配置形態についても、図4(a)に示す変形例の同期駆動システムと同じである。
【0034】
図4(c)に示す変形例の同期駆動システムでは、駆動ユニット44,46の各X軸方向左側に、連結ユニット56,57が取り付けられており、その間にロッドカップリング562,572との接続によりロッド63が取り付けられている。
なお、図4(a)、(b)、(c)で示す各変形例においては、駆動ユニット40〜47、連結ユニット50〜59の各構成について、上記実施の形態に係る駆動ユニット10,11,12、連結ユニット20,21,22,23と同様である。
【0035】
また、図4(a)、(b)、(c)に示す変形例に限らず、必要に応じて適宜連結形態を選択することが可能である。この場合にも、駆動ユニットの各々に駆動源(エアシリンダなど)を備え、スライド駆動が同期されることにより、駆動力が合算され、大きな力を必要とするような場合にも適用が可能である。
[その他の事項]
上記実施の形態および変形例では、連結ユニット20〜23、50〜59が、線状体の一例としてチェーン205を備える構成としたが、線状体としては、これ以外にもベルトやワイヤーなどを採用することもできる。
【0036】
また、上記実施の形態および変形例では、連結ユニット20〜23、50〜59の各間を、棒状のロッド30,31,60〜64で連結することとしたが、これに限らず、例えば、フレキシブルな軸で連結することとしてもよい。フレキシブルな軸としては、例えば、フレキシブルドライバの軸に用いられているスパイラル構造の軸などを採用することができる。あるいは、六角形などの多角形の断面形状を有するロッドを採用することや、中空のロッドを採用することもできる。
【0037】
また、本発明に係る同期駆動システムは、ワークのスライド搬送に限らず、生産ラインにおけるワークの位置決めや切り出しのために用いることもできる。
また、上記実施の形態および変形例では、駆動ユニット10,11,12,40〜47の駆動源としてエアシリンダを採用することとしたが、駆動源はこれに限らず、油圧シリンダや電動モータなどを用いることもできる。
【0038】
また、上記実施の形態および変形例では、連結ユニット20〜23,50〜59を、駆動ユニット10,11,12,40〜47の連結のために用いることとしたが、連結ユニットの使用目的は、必ずしもこれに限られない。例えば、ロッドの一端にエンコーダーを取り付けて、駆動ユニットにおけるスライドヘッドの変位をモニタリングするということとしてもよい。
【0039】
また、駆動ユニット10,11,12,40,41,42,43,44,45,46,47同士の間での原点調整について、上記実施の形態および変形例では、ロッド30,31,60,61,62,63,64と各連結ユニット20,21,22,23,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59のロッドカップリング202,212,232,502,512,522,532,542,552,562,572,582,592との間の角度調整によって行うこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、駆動ユニット10,11,12,40,41,42,43,44,45,46,47のスライドヘッド100,110,120,・・と連結ユニット20,21,22,23,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59のスライドブラケット201,231,・・との位置調整によって行うこととしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、複数のスライド駆動装置を同期駆動させることで、生産ラインなどにおけるワークの位置決めや昇降などを実行することができる同期駆動システムを実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0041】
1.同期駆動システム
10,11,12,40,41,42,43,44,45,46,47.駆動ユニット
20,21,22,23,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59.連結ユニット
30,31,60,61,62,63,64.ロッド
100,110,120.スライドヘッド
200,210,220,230.ケース
201,231.スライドブラケット
202,212,232,502,512,522,532,542,552,562,572,582,592.ロッドカップリング
203,204.スプロケット
205.チェーン
206,207.軸
208,209.ベアリング
240.軸受プレート
241.テンションボルト
242.ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドがスライド駆動するスライド駆動装置に対して連結される連結ユニットであって、
ベースと、
前記ベースに対してそれぞれが軸支された2つのスプロケットと、
前記スプロケットの間でループ状に張設された線状体と、
前記線状体に取り付けられたブラケットと、
前記2つのスプロケットの内の一方に対して取り付けられ、ロッドの接続を受け入れる連結部と、
を有し、
前記ブラケットが、前記スライド駆動装置のヘッドに対して取り付けられた場合、前記連結部は、前記ヘッドのスライド駆動に係る変位に応じた回転角度を以って回動する
ことを特徴とする連結ユニット。
【請求項2】
各々のヘッドがスライド駆動する第1および第2のスライド駆動装置と、
前記第1および第2のスライド駆動装置の各々に連結される第1および第2の連結ユニットと、
前記第1の連結ユニットと前記第2の連結ユニットとの間を連結するロッドと、
を備え、
前記第1および第2の連結ユニットの各々は、
ベースと、
前記ベースに対してそれぞれが軸支された2つのスプロケットと、
前記スプロケットの間でループ状に張設された線状体と、前記線状体に取り付けられたブラケットと、
前記2つのスプロケットの内の一方に対して取り付けられ、ロッドの接続を受け入れる連結部と、
を有し、
前記ロッドは、一方の端が前記第1の連結ユニットの前記連結部に接続され、他方の端が前記第2の連結ユニットの前記連結部に接続されている
ことを特徴とする同期駆動システム。
【請求項3】
前記第1および第2のスライド駆動装置の各々は、前記ヘッドをスライド駆動するための駆動源を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の同期駆動システム。
【請求項4】
スライド駆動するヘッドと、前記ヘッドをスライド駆動させるために駆動源とを有する第3のスライド駆動装置と、
各々が、ベースと、前記ベースに対してそれぞれが軸支された2つのスプロケットと、前記スプロケットの間でループ状に張設された線状体と、前記線状体に取り付けられたブラケットと、前記2つのスプロケットの内の一方に対して取り付けられ、ロッドの接続を受け入れる連結部と、を有する第3および第4の連結ユニットと、
前記第3の連結ユニットの前記連結部と、前記第4の連結ユニットの前記連結部との間を連結する第2のロッドと、
をさらに備え、
前記第3の連結ユニットの前記ブラケットは、前記第1のスライド駆動装置の前記ヘッドに連結されており、
前記第4の連結ユニットの前記ブラケットは、前記第3のスライド駆動装置の前記ヘッドに連結されているものであって、
前記第1の連結ユニットの前記連結部と、前記第2の連結ユニットの前記連結部との間を連結するロッドを、第1のロッドとするとき、
前記第1のロッドと前記第2のロッドとは、前記第3の連結ユニットにおける前記ブラケットと前記第4の連結ユニットにおける前記ブラケットとの形状の相違に起因して、互いの軸芯同士が互いに交差する方向となるように配されている
ことを特徴とする請求項3に記載の同期駆動システム。
【請求項5】
前記第1の連結ユニットの前記連結部、および前記第2の連結ユニットの前記連結部と、前記ロッドとは、各々の間で角度調整自在となっている
ことを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の同期駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−247328(P2011−247328A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120148(P2010−120148)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(592127965)NKE株式会社 (28)
【Fターム(参考)】