説明

連続アンローダ

【課題】機体との干渉がなく、構造の簡素化及び重機荷重の検出精度の向上が図れる連続アンローダを提供する。
【解決手段】バランシングレバー5の先端から垂下されるバケットエレベータケーシング12の下端に、バケットチェーン14を案内するための前部スプロケット15と後部スプロケット16とをリンク機構17を介して吊り下げ、該リンク機構17を伸縮シリンダ18により変位させることで後部スプロケット16に対して前部スプロケット15を接近離間させて掻取部13を伸縮可能とすると共に、前記掻取部13にブルドーザ等の重機31を吊下げて搬送可能とした連続アンローダ1であって、前記伸縮シリンダ18の油圧回路42に前記重機31の荷重により増加する圧力に基づいて負荷を検出する負荷検出手段72を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続アンローダに係り、特に掻取部にブルドーザ等の重機を吊下げて搬送する際にその負荷検出を可能とした連続アンローダに関する。
【背景技術】
【0002】
連続アンローダは、垂直方向に配置されたエレベータ部とその下端から水平方向に延出された掻取部と有し、エレベータ部の上端の駆動スプロケットと、掻取部の前部スプロケットと、後部スプロケットとの間にバケットチェーンを無端状に巻き掛け、これを循環駆動させて巻取部にて掻き取った船倉内のバラ物(石炭、鉱石等)をエレベータ部にて上方に搬送して荷揚げするようになっている。
【0003】
ところで、連続アンローダにおいては、船倉内の隅部のバラ物を全て掻き取ることは困難である。このため、掻取部の近傍にブルドーザ等の重機を吊下げてこれを埠頭から船倉内に搬入し、重機と共同してバラ物を掻き取って底ざらいすることが行われている(特許文献1)。
【0004】
従来、重機の船倉内への吊り込みは、掻取部の上部構造体にウインチを設置し、シーブを介してフック付ワイヤロープを掻取部の下方まで吊下げたり、或いは掻取部に吊り具を取付けたりして行われている。前者の場合、ウインチのシーブの軸等にロードセル又は歪ゲージ付ピンを設けることにより重機の荷重を検出している。後者の場合、連続アンローダの起伏シリンダの圧力変化で重機の荷重を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−199552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者の場合、ウインチやシーブ等の構成部品が多く、構造が複雑になり、しかもフック付ワイヤロープが長くて重機が揺れやすいため、重機の吊り上げ時にフック付ワイヤロープが掻取部の機体と干渉して機体を損傷する危惧がある。
【0007】
後者の場合、連続アンローダのエレベータ部やブーム部などに付着するバラ物の影響を受けやすいため、検出精度が悪い。
【0008】
本発明は、事情を考慮してなされたものであり、機体との干渉がなく、構造の簡素化及び重機荷重の検出精度の向上が図れる連続アンローダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バランシングレバーの先端から垂下されるバケットエレベータケーシングの下端に、バケットチェーンを案内するための前部スプロケットと後部スプロケットとをリンク機構を介して吊り下げ、該リンク機構を伸縮シリンダにより変位させることで後部スプロケットに対して前部スプロケットを接近離間させて掻取部を伸縮可能とすると共に、掻取部に重機を吊下げて搬送可能とした連続アンローダであって、伸縮シリンダの油圧回路に重機の荷重により増加する圧力に基づいて負荷を検出する負荷検出手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
負荷検出手段が、油圧回路に設けられた圧力検出部と、該圧力検出部により検出される圧力値を電気信号に変換して負荷を演算する演算部とを備えていることが好ましい。
【0011】
負荷検出手段により検出した負荷が設定値を超えた時に、連続アンローダによる吊り上げ、搬送等の動作に対して停止、警報等の信号を与える制御部を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機体との干渉がなく、構造の簡素化及び重機荷重の検出精度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る連続アンローダの一実施形態を概略的に示す図である。
【図2】同連続アンローダの掻取部の構造を示す側面図である。
【図3】掻取部に重機を吊り下げた状態を概略的に示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】吊り部を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】伸縮シリンダの油圧回路を概略的に示す図である。
【図6】検出値と荷重負荷の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態を添付図面に基いて詳述する。
【0015】
図1に示すように、連続アンローダ1は、埠頭などの岸壁2に設けられたレール3上を走行するポータル部4と、ポータル部4に水平旋回自在に且つ俯仰自在に設けられたバランシングレバー5と、バランシングレバー5の先端に設けられたバケットエレベータ6とを備えている。
【0016】
バランシングレバー5は、旋回フレーム4aの頂部の頂端に連結される。バランシングレバー5とブーム8はそれぞれ平行となるように先端をバケットエレベータ6を支持するトップフレーム9に連結されており、旋回フレーム4aを固定リンクとする平行リンクを形成している。
【0017】
また、旋回フレーム4aとバランシングレバー5はその中間部を俯仰する油圧シリンダ10で連結されており、油圧シリンダ10を伸縮させることでバランシングレバー5を俯仰させるようになっている。
【0018】
バランシングレバー5は、旋回フレーム4aから後方へも延出されており、後端にはバケットエレベータ6とバランスするカウンターバランス11が設けられている。これにより、バランシングレバー5は小さな力で迅速に俯仰するようになっている。
【0019】
バケットエレベータ6は、トップフレーム9を上下方向に貫通してトップフレーム9に旋回自在に支持される旋回マストたるバケットエレベータケーシング12と、バケットエレベータケーシング12の下方に形成され伸縮自在な掻取部13とを有し、バケットエレベータケーシング12の上端の駆動スプロケット55と、掻取部13の前部スプロケット15と、後部スプロケット16とに巻き掛けられたバケットチェーン14とを備える。
【0020】
バケットエレベータケーシング12は、トップフレーム9から垂下されており、掻取部13をその伸縮に応じて昇降させるように支持する。
【0021】
図2に示すように、掻取部13は、バケットチェーン14を案内し、掻取部13の高さと長さを規制するための一対の前後スプロケット15,16と、これら前後スプロケット15,16を水平方向に離間して支持すべく垂直部に連結されるリンク機構17と、リンク機構17に設けられ掻取部13の高さと長さを変えるための伸縮シリンダ18とからなる。
【0022】
リンク機構17は、掻取部13を伸縮させるための伸縮用リンク機構部19と、伸縮用リンク機構部19を昇降してバケットチェーン14のテンションを調整するためのテンション調整用リンク機構部20とからなる。
【0023】
テンション調整用リンク機構部20は、バケットエレベータケーシング12の下端部21を固定リンクとする平行リンクからなり、バケットエレベータケーシング12に設けられた調整用油圧シリンダ22によって固定リンクと平行なベースリンク23を昇降させるようになっている。
【0024】
テンション調整用リンク機構部20は、バケットエレベータケーシング12の下端部21に中間部がピン止めされ一端が調整用油圧シリンダ22に連結され、他端がベースリンク23の上端に連結された上部リンク24と、バケットエレベータケーシング12の下端部21における上部リンク24よりも下方に一端がピン止めされ他端がベースリンク23の下端にピン止めされた下部リンク25とを備えている。なお、調整用油圧シリンダ22は、ベースリンク23の高さを調整保持するものでもあるため、保持シリンダともいう。
【0025】
伸縮用リンク機構部19は、ベースリンク23に一端を連結されて他端に前部スプロケット15を支持し、掻取部13の伸縮端(前端)位置を決定するための主リンク26と、主リンク26の中間に一端を連結されて他端に後部スプロケット16を支持し、掻取部13の固定端(後端)を決定するための後部リンク27と、後部リンク27の中間とベースリンク23の下端を連結し、主リンク26の回動により前部スプロケット15が昇降されたときに後部スプロケット16も同じ高さだけ昇降させるように後部リンク27を連動させるための連動用リンク28とからなる。
【0026】
伸縮シリンダ18は、ベースリンク23の中間と主リンク26の中間を連結するように設けられた油圧シリンダからなり、伸張することで主リンク26を上方へ回動させ、縮退することで主リンク26を下方へ回動させるようになっている。
【0027】
そして、伸縮シリンダ18は、そのシリンダ内の油圧を緩めることにより、船倉29内の底ざらい運転時に船体30の上下動と共に伸縮し、掻取部13を上下動させるようになっている。このとき、掻取部13は上下動に追従して伸縮駆動するようになっている。
【0028】
底ざらい運転では、バケットチェーン14のテンションを緩めて掻取部13の下端にカテナリ(バケットチェーンの弛み)を作るために、伸縮シリンダ18を縮退させると共に、調整用油圧シリンダ22を伸張させる。伸縮シリンダ18が縮退されると、前部スプロケット15と後部スプロケット16が接近される。調整用油圧シリンダ22が伸張されると、テンション調整用リンク機構部20を構成するベースリンク23が上昇され、ベースリンク23に支持される伸縮用リンク機構部19全体が上昇される。バケットチェーン14の周長は一定であるため、バケットチェーン14のテンションは緩くなり、掻取部下端でカテナリが生じる。
【0029】
図3の(a)ないし(b)に示すように、掻取部13の後部スプロケット16側には、ブルドーザ等の重機(図示例ではショベルローダ)31を吊り具32を介して吊り下げるための吊り部33が設けられている。この吊り部33は、後部スプロケット16の回転軸34の両端部に設けられている。
【0030】
吊り部33は、図4の(a)ないし(b)に示すように、後部スプロケット16の回転軸34の両端に装着されたカラー35と、回転軸34の先端に設けられカラー35から突出した突軸部36と、突軸部36にナット37で取付けられるリング状の取付部38を有する基部シャックル39とからなる。吊り具32は、両端に端部シャックル40を有する吊りロープからなる。重機31の両側部の前後には、吊り具32の端部シャックル40を連結するブラケット41が設けられている。
【0031】
掻取部13の吊り部33に吊り具32を介して吊下げられる重機31の荷重(吊上げ荷重)を検出するために、図5に示すように、伸縮シリンダ18の油圧回路42に重機31の荷重により増加する圧力に基づいて負荷を検出する負荷検出手段72が設けられている。なお、図示例の油圧回路42には、油圧源を共通とする保持シリンダ22の油圧回路43も接続されている。また、図示例は、伸縮シリンダ及び保持シリンダの油圧回路における負荷検出手段の配置を示すものであり、伸縮シリンダ及び保持シリンダの動作並びに油圧回路の構成は一般化して示している。
【0032】
共通の油圧源として、油タンク44には油圧ポンプ45を備えた油圧供給管46が接続され、油圧供給管46は2つ46a,46bに分岐され、伸縮シリンダ18側の電磁切替弁47の第1ポート(供給ポート)Pと、保持シリンダ側の電磁切替弁48の第1ポート(供給ポート)Pに接続されている。油タンク44には戻り管49が接続され、戻り管49は2つ49a,49bに分岐され、伸縮シリンダ18側の電磁切替弁47の第2ポート(排出ポート)Tと、保持シリンダ22側の電磁切替弁48の第2ポート(排出ポート)Tに接続されている。
【0033】
伸縮シリンダ18側の電磁切替弁47の第3ポートAには伸縮シリンダ18の後部ポート18aに接続された第1配管50が接続されている。伸縮シリンダ18側の電磁切替弁47の左側流路が中央位置に切り替わると、油圧ポンプ45からの油圧が第1配管50を経て伸縮シリンダ18の後室に供給され、伸縮シリンダ18が伸張する。電磁切替弁47の右側流路が中央位置に切り替わると、伸縮シリンダ18の後室内の油が第1配管50、戻り管49を経て油タンク44に戻され、伸縮シリンダ18が縮退する。
【0034】
伸縮シリンダ18の前部ポート18bには油タンク44に接続された第2配管53が接続されている。なお、伸縮シリンダ18側の電磁切替弁47の第4ポートBは閉じている。
【0035】
保持シリンダ22側の電磁切替弁48の第3ポートAには保持シリンダ22の前部ポート22bに接続された第3配管56が接続され、同電磁切替弁48の第4ポートBには保持シリンダ22の後部ポート22aに接続された第4配管57が接続されている。
【0036】
伸縮シリンダ18の油圧回路42における第1配管50には前記重機31の荷重により増加する圧力に基づいて負荷を検出する負荷検出手段72が設けられている。この負荷検出手段72は、伸縮シリンダ18の油圧回路42に配管88を介して設けられた圧力検出部73と、圧力検出部73により検出される圧力値を電気信号に変換する変換部(ポテンショメータ)74と、その圧力値に基いて負荷を演算する演算部75とを備えている。ここで、吊上げ荷重Wは、W=C×Pa×Aの演算式により求められる。ここで、Cはリンク係数(レバー比)、Paは検出圧、Aはシリンダ面積である。
【0037】
また、負荷検出手段72は、演算部75で演算された負荷が設定値を超えた時に連続アンローダ1による重機31の搬送作業を停止する制御部76を備えている。制御部76には重機31の吊り上げを開始するためのボタン90が設けられている。ボタン90を押すと、図6に示すようにその時の検出荷重が0にセットされる。なお、制御部76には重機31の吊り上げを終了するためのリセットボタン又はゼロ調整手段(図示省略)が設けられている。
【0038】
次に、連続アンローダの作用を述べる。掻取部13に重機31を吊り下げて船倉29に吊り込む場合、先ずバケットエレベータ6の運転を停止し、ボタン90を押す。するとその時の検出荷重が0にセットされる。また、伸縮シリンダ18は伸張し、前部スプロケット15と後部スプロケット16を最大に拡開させる。保持シリンダ22は収縮し、テンション調整用リンク機構部20のベースリンク23を最下部まで下げる。そして、伸縮シリンダ18の電磁切替弁47を中立位置(非作動位置)に切り替える。保持シリンダ22も同様とする。
【0039】
後部スプロケット16の回転軸34の両端部の吊り部33に吊り具32の一端を連結し、吊り具32の他端を重機31のブラケット41に連結する。この状態でブーム8を上昇させることにより、掻取部13の吊り部33及び吊り具32を介して重機31を吊り上げる。すると、重機31の荷重が伸縮用リンク機構部19を介して伸縮シリンダ18にこれを縮退する力が伝わり、その油圧回路42の油圧が重機31の荷重の負荷に応じて増大するため、負荷検出手段72により重機31の荷重を検出することができる。
【0040】
本実施形態の連続アンローダ1によれば、バランシングレバー5の先端から垂下されるバケットエレベータケーシング12の下端に、バケットエレベータ6を案内するための前部スプロケット15と後部スプロケット16とをリンク機構17を介して吊り下げ、リンク機構17を伸縮シリンダ18により変位させることで後部スプロケット16に対して前部スプロケット15を接近離間させて掻取部13を伸縮可能とすると共に、掻取部13にブルドーザ等の重機31を吊下げて搬送可能とした連続アンローダ1であって、伸縮シリンダ18の油圧回路42に重機31の荷重により増加する圧力に基づいて負荷を検出する負荷検出手段72を設けているため、重機31の荷重を検出することができ、その際に機体との干渉やバラ物の影響がなく、機体の損傷を防止できると共に、構造の簡素化及び重機荷重の検出精度の向上が図れる。
【0041】
負荷検出手段72が、油圧回路42に設けられた圧力検出部73と、圧力検出部73により検出される圧力値をポテンショメータ74で電気信号に変換して負荷を演算する演算部75とを備えているため、簡単な構成で重機31の荷重負荷を検出することができる。
【0042】
負荷検出手段72により検出した負荷が設定値を超えた時に連続アンローダ1による重機31の吊り上げ、搬送等の動作を停止、警報等の信号を与える制御部76を備えているため、無理な負荷が連続アンローダ1にかかるのを防止でき、耐久性及び安全性の向上が図れる。
【0043】
掻取部13の後部スプロケット16の回転軸34の両端部に吊り具32を介して重機31を吊り下げるための吊り部33を有しているため、掻取部13に重機31を容易に吊り下げることができ、作業性の向上が図れる。また、吊り部33はウインチ等を要しないため、重量及びコストの低減が図れる。
【符号の説明】
【0044】
1 連続アンローダ
5 バランシングレバー
6 バケットエレベータ
12 バケットエレベータケーシング
13 掻取部
14 バケットチェーン
15 前部スプロケット
16 後部スプロケット
17 リンク機構
18 伸縮シリンダ
31 重機
32 吊り具
33 吊り部
42 油圧回路
72 負荷検出手段
73 圧力検出部
75 演算部
76 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランシングレバーの先端から垂下されるバケットエレベータケーシングの下端に、バケットチェーンを案内するための前部スプロケットと後部スプロケットとをリンク機構を介して吊り下げ、該リンク機構を伸縮シリンダにより変位させることで後部スプロケットに対して前部スプロケットを接近離間させて掻取部を伸縮可能とすると共に、前記掻取部にブルドーザ等の重機を吊下げて搬送可能とした連続アンローダであって、前記伸縮シリンダの油圧回路に前記重機の荷重により増加する圧力に基づいて負荷を検出する負荷検出手段を設けたことを特徴とする連続アンローダ。
【請求項2】
前記負荷検出手段が、油圧回路に設けられた圧力検出部と、該圧力検出部により検出される圧力値を電気信号に変換して負荷を演算する演算部とを備えている請求項1記載の連続アンローダ。
【請求項3】
前記負荷検出手段により検出した負荷が設定値を超えた時に、連続アンローダによる吊り上げ、搬送等の動作に対して停止、警報等の信号を与える制御部を備えている請求項1又は2記載の連続アンローダ。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−100159(P2013−100159A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244484(P2011−244484)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】