説明

進行情報を表示するナビゲーションデバイス

地図データ、およびユーザによって定義された2つの場所の間でルートを立案できるナビゲーションアプリケーションと共にプログラムすることができるナビゲーションデバイス。このデバイスは、このデバイスのオペレーティングシステムと、ナビゲーションアプリケーションと、地図データとを格納する取り外し可能なメモリカードを読み取るように機能する。このデバイスは、オペレーティングシステムをマスクROM内に格納する必要がなく、したがって特定の国用にカスタマイズするには、使用時に適切なメモリカードを挿入するだけでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行情報を表示できるナビゲーションデバイスに関する。このデバイスは、車に搭載するナビゲーションシステムとしての特定用途を見いだす。
【背景技術】
【0002】
GPSベースのナビゲーションデバイスは、よく知られており、車に搭載するナビゲーションデバイスとして幅広く採用されている。参考にできるものとしては、本譲受人であるTomTom B.V.によるNavigatorシリーズのソフトウェアがある。これは、外部のGPS受信機に接続されている(Compaq iPaqのような)PDA上で作動しているときにユーザが出発地点および目的地点の住所をそのPDAに入力できるようにするソフトウェアである。そして、このソフトウェアは、2つの端点の間の最良のルートを計算し、そのルートをどのように進んでいくかに関する指示を表示する。GPS受信機から得られる位置情報を使用することによって、このソフトウェアは、(通常は車のダッシュボードに載っている)PDAの位置を定期的に割り出すことができる。そして、その車の現在位置を地図上に表示し、適切なナビゲーション指示(たとえば「100m先を左折してください」)を表示する(および音声で指示する)ことができる。実行すべきアクションを示すグラフィックス(たとえば、前方での左折を表す左向きの矢印)をステータスバー内に表示し、また地図そのものに示されている道路の該当するジャンクション/分岐点などの上に重ねて表示することができる。
【0003】
また、地図データベースと共にプログラムされたコンピューティングデバイス内にGPS受信機を一体化しているデバイスで、ナビゲーション指示をディスプレイ上に作成できるデバイスが知られている。これらの一体型のデバイスは、車のダッシュボードの上または中に取り付けられる場合が多い。「ナビゲーションデバイス」という用語は、ユーザを所定の目的地へとナビゲートできるデバイスを指す。このデバイスは、GPS受信機など、位置データを受信するための内蔵システムを有することもでき、あるいは単に、位置データを受信できる受信機へ接続可能なものとすることもできる。このデバイスは、持ち運び可能なデバイスとすることもでき、あるいは乗り物内に組み込むこともできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のGPSベースのナビゲーションデバイスは(その他の形態の組み込み型のデバイスやシステムにも共通するが)、すべてのOSおよびアプリケーションのコードを適切な場所で大型のマスクROMまたはXIP(execute in Place)フラッシュメモリデバイスから実行する。これには、いくつかの不利な点がある。ROMベースの設計では、一般に製品製造の早い段階でROMを焼き付ける必要があり、いったんROMマスクが固定されると、それを変更するには費用がかかり、複雑になる可能性がある。したがってROMベースの設計は、本質的に柔軟性に欠ける。第2の点としては、マスクROMおよびXIPフラッシュは高価である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様においては、地図データ、およびユーザによって定義された2つの場所の間でルートを立案できるナビゲーションアプリケーションと共にプログラムすることができるナビゲーションデバイスを提供する。このデバイスは、このデバイスのオペレーティングシステムと、ナビゲーションアプリケーションと、地図データとを格納する取り外し可能なメモリカードを読み取るように機能する。
【0006】
このデバイスは、自分のオペレーティングシステムを内蔵ROM内に格納せず、代わりにメモリカードから読み取る。このメモリカードは、SDカードとすることができる。
【0007】
このデバイスは、ブートローダと共にプログラムされているXIP(eXecute In Place)フラッシュROMをさらに含むことができる。ブートローダは、起動すると、提供されているSDカードを挿入するようユーザに促す。ユーザがSDカードを挿入すると、デバイス内のカードリーダがそのカードを読み取り、次いでデバイスが、専用のシステムファイルをSDカードからデバイスのDRAMへとコピーする。このシステムファイルは、オペレーティングシステムと、ナビゲーションアプリケーションとを含む。システムファイルのコピーが完了すると、コントロールはナビゲーションアプリケーションへ渡され、このナビゲーションアプリケーションが始動して、SDカードからの不揮発性のデータにアクセスする。その後、デバイスの電源が切られるときに、DRAMの中身が保存され、それによってこの起動手順は、初めてデバイスを使用するときに行うだけですむ。
【0008】
このアプローチには、従来のROMベースのシステムに勝る複数の利点がある。
1.後での設定が可能である。デバイス上に「ハードコーディング」するものは、XIPフラッシュ内のブートローダのみであり、完成したデバイスに適切なSDカードを含めるだけで、製造の後の段階で地域および変化の点からデバイスを設定することができる。
2.コスト。SDフラッシュメモリおよびDRAMは、最も安価な形態のメモリであり、XIPフラッシュメモリよりも安価である。
3.スピード。DRAMのメモリアクセス時間は、フラッシュメモリのメモリアクセス時間よりもはるかに短い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について、添付の図面を参照して説明する。
【0010】
システムの概要
本発明は、Goと呼ばれるTomTom B.V.による一体型のナビゲーションデバイス内に実装される。Goは、Navigatorと呼ばれるナビゲーションソフトウェアを備え、内蔵のGPS受信機を有する。Navigatorソフトウェアはまた、Compaq iPaqなど、タッチスクリーン式の(すなわち、スタイラスによってコントロールされる)Pocket PCによって駆動されるPDAデバイス上で実行することもできる。こうしてNavigatorは、そうしたPDAがGPS受信機と結び付いた場合にGPSベースのナビゲーションシステムを提供する。このPDAとGPSとを組み合わせた受信機システムは、乗り物に搭載するナビゲーションシステムとして使用するように設計されている。
【0011】
本発明は、GPS受信機/コンピュータ/ディスプレイを備えた一体型のデバイスや、乗り物以外での使用(たとえば歩行者用)あるいは車以外の乗り物(たとえば航空機)のために設計されたデバイスなど、任意のその他の構成のナビゲーションデバイス内に実装することもできる。このナビゲーションデバイスは、いかなる種類の位置検知テクノロジーも実装することができ、GPSには限定されない。したがって、欧州のGalileoシステムなど、その他の種類のGNSS(global navigation satellite system)を用いて実装することもできる。同様に、衛星ベースの位置/速度システムには限定されず、地上のビーコンや、デバイスが自分の地理的位置を割り出すことを可能にする任意のその他の種類のシステムを用いて展開することもできる。
【0012】
Navigatorソフトウェアは、PDA上で作動しているときには、図1に示されている通常のナビゲーションモードの画面をナビゲーションデバイスに表示させる。このビューは、文字、記号、音声による案内、および動く地図の組合せを用いて運転に関する指示を提供する。主要なユーザインターフェース要素は、次のとおりである。2次元の地図1が、画面の大部分を占めている。この地図は、ユーザの車と、そのすぐ周りとを、その車の進行方向が常に「上に」なるように回転させて表示する。画面の下1/4を占めているのが、ステータスバー2である。デバイス自身が従来のGPS位置検索を用いて割り出しているデバイスの現在位置、および(デバイスの進行方向から推測されている)デバイスの向きが、矢印3によって示されている。(デバイスメモリ内に格納されているルート計算アルゴリズムを、デバイスメモリ内の地図データベースに保存されている地図データに適用して用いて)デバイスによって計算されたルートが、進行方向を示す矢印を重ねて表示した暗い色の経路4として示されている。暗い色の経路4上では、すべての主要なアクション(たとえば、角、交差路、迂回路などを曲がること)は、経路4に重ねて表示されている矢印5によって図解的に示される。ステータスバー2はまた、その左側に、次のアクション(この場合は右折)を示す図解6を含む。ステータスバー2はまた、次のアクションまでの距離(すなわち右折−この場合、距離は220メートル)を、デバイスによって計算される全ルートのデータベース(すなわち、とるべきルートを定義するすべての道路および関連するアクションのリスト)から抽出して表示する。ステータスバー2はまた、現在の道路の名前8、到着までの推定時間9(この場合、2分40秒)、現実的な推定到着時刻10(午前11時36分)、および目的地までの距離11(1.4Km)を表示している。GPS信号の強度が、携帯電話式の信号強度インジケータ12に表示されている。図2に示されているように、3次元の地図のビューも可能である。
【0013】
ユーザが画面13の中央に触れると、ナビゲーション画面のメニューが表示される。このメニューからは、Navigatorアプリケーション内の中核となるその他のナビゲーション機能を始動したりコントロールしたりすることができる。中核となるナビゲーション機能を、それ自体が非常に迅速に呼び出されるメニュー画面(たとえば、地図の表示から1ステップの切り替えで呼び出されるメニュー画面)から選択できるようにすることによって、ユーザの対話が大幅に簡略化され、選択操作はさらに迅速に、さらに容易になる。
【0014】
ユーザが触れる必要のあるタッチゾーンのエリアは、ほとんどのスタイラスベースのタッチスクリーンシステムよりもはるかに広い。これは、特別な精度を必要とせずに1本の指だけで確実に選択できるだけの十分な広さに設計されている。すなわち、運転者が車をコントロールする際の現実の状況を再現するように設計されており、運転者には、小型のコントロールアイコンを伴う高度に詳細な画面を眺める時間はほとんどなく、それらの小型のコントロールアイコンのうちの1つを正確に押すだけの時間はさらにないであろう。したがって、所与のソフトキー(あるいは画面13の中央におけるように、隠されたソフトキー)に関連付けられた非常に大きなタッチスクリーンエリアを使用することは、この実装形態の意図的な設計上の特徴である。その他のスタイラスベースのアプリケーションとは異なり、この設計上の特徴は、運転者が実際に運転している間に必要とする可能性の高い中核となる機能を選択するためにNavigatorの全体を通じて一貫して展開されている。したがってユーザが、画面上のアイコン(たとえばコントロールアイコンや、たとえば目的地の住所を入力するための仮想キーボードのキー)を選択する選択肢を与えられる場合は常に、それらのアイコン/キーのデザインはシンプルにしておき、関連付けられているタッチスクリーンゾーンが、それぞれのアイコン/キーを明らかに指で選択できるようなサイズに拡張される。実際には、関連付けられているタッチスクリーンゾーンは、少なくとも約0.7cmであり、通常は四角形のゾーンである。このデバイスは、通常のナビゲーションモードでは地図を表示する。画面の中央付近で(あるいは別の実装形態では、画面の任意の部分で)地図に(すなわちタッチ感知式のディスプレイに)1回(あるいは別の実装形態では、2回)触れると、代わりのルートを計算し、道路の次のセクションを回避するためにそのルートを再計算したり(障害や激しい渋滞に直面した場合に有用である)、あるいは特定のリストアップされた道路を回避するためにそのルートを再計算したりするオプションなど、さまざまなナビゲーション機能に対応する大型のアイコンを伴うナビゲーションメニュー(図3を参照)が呼び出される。
【0015】
このデバイスの実際の物理的な構造は、メモリアーキテクチャの点で従来の組み込み型のデバイスとは基本的に異なる(後述するシステムアーキテクチャのセクションを参照)。しかし高いレベルでは類似しており、メモリが、ルート計算アルゴリズム、地図データベース、およびユーザインターフェースソフトウェアを格納し、マイクロプロセッサが、ユーザの入力(たとえばデバイスのタッチスクリーンを用いた出発地点および目的地点の住所の入力、およびその他のすべてのコントロール入力)を解釈して処理し、ルート計算アルゴリズムを展開して最適なルートを計算する。「最適な」とは、最短時間や最短距離などの基準、あるいはその他の何らかのユーザに関連する要素を指すことができる。
【0016】
より具体的には、ユーザは、自分の出発地点の位置および必要とされている目的地を、PDA上で作動しているNavigatorソフトウェアへ、仮想キーボードを用いて通常の方法で入力する。次いでユーザは、進行ルートが計算される方法を選択する。ルートを非常に迅速に計算するが、そのルートは最短ではない可能性がある「高速」モードや、可能性のあるすべてのルートを見て、最短のルートを見つけ出すが、より長い計算時間を要する「完全」モードなど、さまざまなモードが提供される。その他のオプションも可能であり、ユーザは、眺めのよいルート、たとえば特に美しい景色としてマークされたPOI(point of interest)を最も多く通るルート、または子供が興味を抱く可能性のあるPOIを最も多く通るルート、あるいはジャンクションを使用する回数が最も少ないルートなどを定義する。
【0017】
道路そのものは、PDA上で作動しているNavigatorの一部である(或はNavigatorによってその他の形でアクセスされる)地図データベース内にラインすなわちベクトルとして描かれている(たとえば出発地点、到着地点、道路の方向。道路全体は、何百ものそのようなセクションから構成され、それぞれの道路は、出発地点/到着地点、方向のパラメータによって一意に定義される)。そして地図は、そのような道路ベクトルと、POI(point of interest)と、道路名と、公園の境界や川の境界などのその他の地理的な特徴とのセットであり、それらのすべては、ベクトルの観点から定義される。地図上のすべての特徴(たとえば道路ベクトル、POIなど)は、GPSの座標系に対応または関連する座標系において定義され、これによって、GPSシステムを通じて割り出されたデバイスの位置を、地図内に示されている該当する道路上に位置付けることができる。
【0018】
ルートの計算には、Navigatorソフトウェアの一部である複雑なアルゴリズムを使用する。それらのアルゴリズムを適用して、可能性のある多数の異なるルートにスコアを付ける。次いでNavigatorソフトウェアは、眺めがよく、博物館を通り、スピード違反取締り用のカメラが設置されていないルートを完全モードでスキャンするなど、ユーザによって定義された基準(あるいはデバイスのデフォルトの基準)に照らして、それらのルートを評価する。そして定義された基準に最もよく合致するルートが、PDA内のプロセッサによって計算され、ベクトルと、道路名と、ベクトルの端点において行われるべきアクションとのシーケンス(たとえば、ルートのそれぞれの道路に沿った所定の距離に対応して、100メートル先をx通りへ左折するなど)としてRAM内のデータベースに保存される。
【0019】
図4Aおよび図4Bは、ナビゲーションデバイスの実際の実装形態を示す斜視図である。このナビゲーションデバイスは、ディスプレイと、内蔵のGPS受信機と、マイクロプロセッサと、電源と、メモリシステムとを含むユニットである。このデバイスは、アーム上に配置され、アーム自体は、大型の吸着カップを用いて車のダッシュボードに固定される。
【0020】
システムアーキテクチャ
すべてのOSおよびアプリケーションのコードを適切な場所で大型のマスクROMまたはフラッシュデバイスから実行する従来の組み込み型のデバイスとは対照的に、本発明の一実装形態では、新しいメモリアーキテクチャを使用する。図5は、そのデバイスの概略を示している。このデバイスは、その全体を51で表され、マイクロプロセッサ56、電源57、ディスプレイおよび関連するドライバ58などの従来のアイテムを含む。さらにこのデバイスは、SDカードリーダ53を含み、SDカード52が所定の位置へ挿入されるところが示されている。デバイス51は、内蔵のDRAM54およびXIPフラッシュ55を有する。
【0021】
したがってこのデバイスは、3つの異なる形態のメモリを使用する。
1.少量の内蔵のXIP(eXecute In Place)フラッシュROM55。これは、PCのBIOS ROMに類似しており、独自仕様のブートローダと、Eエミュレーション(UIDおよび製造データ用)と、スプラッシュスクリーンビットマップとを含むだけである。これは、256KBのサイズになると推定され、遅い8ビット幅のSRAMインターフェース上に配置される。
2.メインシステムRAM(またはDRAM)メモリ54。これは、PCのメインメモリ(RAM)に類似したものである。これは、すべての主要なコードが実行され、ならびにOSおよびアプリケーションのためのビデオRAMおよび作業スペースが提供される場所となる。注:永続的なユーザデータは、(PCのように)メインシステムRAMにはまったく保存されない、すなわち「Ramドライブ」は存在しない。このRAMは、32ビット100MHzの同期高速バスにのみ接続される。
3.不揮発性のストレージ。これは、PCのハードディスクに類似したものである。これは、取り外し可能なNANDフラッシュベースのSDカード52として実装される。これらのデバイスは、XIPをサポートしない。すべてのOS、アプリケーション、設定ファイル、および地図データは、SDカード上に永続的に保存される。
【0022】
独自仕様のブートローダ55を起動すると、ユーザは、提供されているSDカード52を挿入するように促される。SDカード52が挿入されると、デバイスは、特別なシステムファイルをSDカード52からRAM54へとコピーする。このファイルは、オペレーティングシステムと、ナビゲーションアプリケーションとを含む。コピーが完了すると、コントロールはアプリケーションへ渡される。次いでアプリケーションが始動し、SDカード52からの不揮発性のデータ、たとえば地図にアクセスする。
【0023】
その後、デバイスの電源が切られるときに、RAM54の中身が保存される。したがってこの起動手順は、初めてデバイスを使用するときに行われるだけである。
【0024】
付録1
GOの製品仕様
はじめに
Goは、スタンドアロンの完全一体型のパーソナルナビゲーションデバイスである。Goは、乗り物へのいかなる接続からも独立して機能する。
【0025】
対象となる市場
Goは、パーソナルナビゲーション市場全般に対応することを目的としている。とりわけ、パーソナルナビゲーションにとっての市場を、「新し物好きの」市場を超えた存在へと拡張するために設計されている。そのようなものとして、Goは、完全なスタンドアロンのソリューションであり、PC、PDA、あるいはインターネット接続へのアクセスを必要としない。完全性と使いやすさに力点が置かれている。Goは、完全なパーソナルナビゲーションソリューションだが、主に乗り物内での使用を対象としている。主な対象市場は、仕事や遊びで乗り物を運転するあらゆる人である。
【0026】
この市場に首尾よく対応するには、Goは、下記の最も重要な要件を満たさなければならない。
1.妥当な小売価格−製品の特徴とコストの間で適切に折り合いをつける。
2.簡単さ−Goのインストールおよびオペレーションは、簡単で直観的なものとし、すべての主要な機能は、PCに精通しているわけではない平均的なユーザが製品のマニュアルに頼らなくても達成できるようにすべきである。
3.柔軟性−すべての地図データおよびオペレーティングプログラムは、プラグインのメモリカード上で提供される。デバイスは、別の地域をカバーするように容易に拡張することができる。
4.信頼性−車に搭載するナビゲーションシステムは、安全性第一のコンポーネントとはみなされていないが、ユーザは、Goを信頼するようになる。Goは、すべての関連する自動車環境基準を満たすように設計される。さらにGoは、短時間GPSの信号が途切れても対応することができる。
【0027】
販売チャネル
・家庭用電化製品小売店
・自動車付属品販売店
・専門家向け自動車付属品取り付け修理工場
【0028】
製品の概要
Goは、乗り物に搭載するパーソナルナビゲーションデバイスである。Goは、1つの機器として、すなわち汎用のものではなく特定の機能用として設計されている。Goは、消費者向けの販売後の自動車関連市場用として設計されている。Goは、エンドユーザにとって使用およびインストールが簡単だが、専門家向けの付属キットもオプションとして提供される。
【0029】
主な特徴は、下記のとおりである。
・標準的な商品であるPocketPC 2002のコンポーネントに基づいて構築されている。
・標準的なPocketPC 3.5"_VGA 半透過型(transflective) TFT LCDディスプレイが、横向きに搭載されている。
・ROMのない(romless)ソフトブートメモリアーキテクチャ。
・高度に統合されたARM9 200MHz CPU。
・アプリケーションおよび地図データを格納するためのSDカードメモリスロット。
・GPS受信機とアンテナが一体化されている。
・簡単な推測航法用の一体型の2軸加速度計。
・電源、音声、デバッグ、および外部GPSアンテナの接続は、ユニットの基部上のドッキングコネクタを通じて行われる。
・GUI層を伴わない組み込み型のLinux OS。アプリケーションが、独自のUIを提供する。
・指での操作に最適な非常に簡単なタッチスクリーンのUI。
・音声指示用の高音質の一体型スピーカ。
・少なくとも5時間の連続作動を提供する内蔵型の充電式リチウムイオンバッテリー。
【0030】
オペレーティングシステム
Goは、カスタマイズされたバージョンの組み込み型のLinuxを使用する。これは、フラッシュメモリ内にあるカスタムブートローダプログラムによって、SDカードからロードされる。
【0031】
ハードボタン
Goは、唯一のハードボタンである電源ボタンを有する。このボタンを1回押して、Goをオンにしたりオフにしたりする。UIは、ペンベースのUIを通じてその他のすべてのオペレーションに容易にアクセスできるように設計される。
隠されたハードリセットボタンもある。
【0032】
アーキテクチャ
Goのアーキテクチャが基づくものとしては、モバイルコンピューティングデバイス用に設計された高度に統合されたシングルチッププロセッサが中核となる。このデバイスは、業界標準のARM920Tプロセッサから約200MIPsのパフォーマンスを実現する。また、GPSベースバンド以外の必要な周辺機器をすべて含む。これらの周辺機器としては、DRAMコントローラ、タイマ/カウンタ、UART、SDインターフェース、およびLCDコントローラが含まれる。
【0033】
このアーキテクチャの主な要素は、下記のとおりである。
・200MHzで動作するマイクロプロセッサ。
・低電力のセルフリフレッシュを有する32MBまたは64MBの高速のSDRAM(synchronous DRAM)。32ビット幅の100MHzのバス上に2つのデバイスとして配置される。
・OSを含むすべての不揮発性のストレージ用のSDカードインターフェース(RAMドライブはない)。
・256KBのNORフラッシュ内に格納されたネイティブ(ベアメタル)のブートローダ。このフラッシュデバイスは、一意の製品IDおよび製造データなどの保護されるデータを保存するために書き込みが保護されるブートセクタを含む。
・ドッキングコネクタに接続されたデバッグUART(RS232 3Vレベル)。
・PC接続用のUSBクライアント。
・一体型のGPS受信機。
・一体型の2軸加速度計。
・PDAおよび携帯電話へ接続するためのオプションの一体型ブルートゥース(Bluetooth)トランシーバ。
・ISコーデックおよびアンプを通じた高音質の音声。
【0034】
図6は、Goのブロック図である。
【0035】
電力の管理
Goは、一体型のリチウムイオン2200mAH充電式バッテリーから電力を供給される。このバッテリーは充電することができ、このデバイスには、(たとえバッテリーがまったく充電されていなくても)外部から提供される+5Vの電源から電力を供給することができる。この外部の+5Vの電源は、ドッキングコネクタまたはDCジャックソケットを介して提供される。
【0036】
この+5Vの供給は、乗り物のメインサプライレールから、または外部のメインズアダプタからもたらされる。このデバイスは、単一のボタンによってオンとオフを切り替える。デバイスがオフにされるときに、RAMをセルフリフレッシュ内に置くことによってそのDRAMの中身が保存され、これによって、スイッチをオンにしたときに、スイッチをオフにしたところからGoが再開される。ドッキングコネクタを通じて利用できる起動信号もあり、これを使用して、乗り物のイグニッションがオンにされたときにGoのスイッチを自動的にオンにすることができる。
【0037】
小型の隠されたリセットスイッチもある。
【0038】
システムメモリアーキテクチャ
すべてのOSおよびアプリケーションのコードを適切な場所で大型のマスクROMまたはフラッシュデバイスから実行する従来の組み込み型のデバイスとは対照的に、Goは、よりPCに近い、新しいメモリアーキテクチャに基づく。
【0039】
これは、3つの形態のメモリから構成される。
4.少量のXIP(eXecute In Place)フラッシュROM。これは、PCのBIOS ROMに類似したものでおり、独自仕様のブートローダと、Eエミュレーション(UIDおよび製造データ用)と、スプラッシュスクリーンビットマップとを含むだけである。これは、256KBのサイズになると推定され、遅い8ビット幅のSRAMインターフェース上に配置される。
5.メインシステムメモリ。これは、PCのメインメモリ(RAM)に類似したものである。これは、すべての主要なコードが実行され、ならびにOSおよびアプリケーションのためのビデオRAMおよび作業スペースが提供される場所となる。注:永続的なユーザデータは、(PCのように)メインシステムRAMにはまったく保存されない、すなわち「Ramドライブ」は存在しない。このRAMは、32ビット100MHzの同期高速バスにのみ接続される。Goは、16ビット幅の256/512MビットのSDRAMのための2つのサイトを含み、32MB(16ビット幅)、64MB32ビット幅、および128MB(32ビット幅)のメモリ構成が可能となる。
6.不揮発性のストレージ。これは、PCのハードディスクに類似したものである。これは、取り外し可能なNANDフラッシュベースのSDカードとして実装される。これらのデバイスは、XIPをサポートしない。すべてのOS、アプリケーション、設定ファイル、および地図データは、SDカード上に永続的に保存される。
【0040】
音声
Goには、直径52mmのスピーカが内蔵され、高音質の音声指示を提供する。このスピーカは、内蔵アンプおよびオーディオコーデックによって駆動される。ドッキングコネクタ上には、音声ライン出力端子もある。
【0041】
SDメモリスロット
Goは、標準的なSDカードソケットを1つ含む。これらを使用して、システムソフトウェアをロードし、地図データにアクセスする。
【0042】
ディスプレイ
Goは、半透過型(transflective) 3.5インチTFTバックライト付きディスプレイを使用する。これは、PocketPC PDAによって使用される「標準的な」VGAディスプレイである。これはまた、タッチパネルおよび明るいCCFLバックライトを含む。
【0043】
電源
電源−ACアダプタソケット
4.75V〜5.25V(5.00V+/−5%)@2A
電源−ドッキングコネクタ
4.75V〜5.25V(5.00V+/−5%)@2A
【0044】
変形形態
Goの下記の変形形態を作成し、テストすることが可能である。
【0045】
標準型(Bluetoothを除外したもの、32MバイトのRAM)
標準の形態では、Bluetooth機能が取り込まれておらず、32MバイトのRAMが取り付けられている。
【0046】
Bluetoothオプション(将来の変形形態)
標準の形態では、運用開始時のコストを最小限に抑えるためにBluetoothが取り込まれていないが、この製品設計には、Bluetoothが含まれる。この設計は、Bluetooth機能が作動しているときに(GPS RFパフォーマンスを含む)その他のすべての機能が性能の低下を伴わずに働くようにする。
【0047】
64MバイトRAMオプション(将来の変形形態)
この製品設計は、32MバイトのRAMの代わりに64MバイトのRAMを取り付けられるようにする。
【0048】
部分組立品
Goは、図7に示されている下記の電気的な部分組立品から構成される。
【0049】
RFケーブル
このRFケーブルは、RF信号を(RFドッキングコネクタを介してGoへ接続されている)外部のGPSアンテナから、GPSモジュールが配置されているRF PCBへ提供する。
【0050】
外部のコネクタ
ドッキングコネクタ
2つのドッキングコネクタが、外部のドッキングステーションへのインターフェースを提供する。
【0051】
ドッキングコネクタ#1ピン配列
【表1】

・PWR 電力接続 ・PU ユニット内のプルアップ抵抗
・O/D オープンドレイン出力 ・PD ユニット内のプルダウン抵抗
【0052】
ドッキングコネクタ#2ピン配列
【表2】

【0053】
RFドッキングコネクタ
RFドッキングコネクタによって、ドッキングステーションを介した外部のアクティブなGPSアンテナの接続が可能となる。
【0054】
ACアダプタソケット
ACアダプタソケットによって、低価格のACアダプタまたはCLA(シガレットライターアダプタ:Cigarette Lighter Adapter)から電力を供給することができる。
【0055】
USBコネクタ
USBコネクタによって、標準的なミニUSBケーブルを用いてPCへ接続することができる。
【0056】
SDカードソケット
振動の激しい用途に適した堅固に固定されたSDカードソケットが、SDIOカード、SDメモリカード、およびMMCカードをサポートする(Goは、SDIO用のハードウェアサポートを提供するが、ソフトウェアサポートは、製品発表の時点では提供できないであろう)。
【0057】
プロセッサ
プロセッサは、約200MHzで動作するARM920TベースのSOC(System on chip)である。
【0058】
RAM
Goには、下記の仕様に合ったRAMが取り付けられる。
【表3】

【0059】
フラッシュメモリ
Goには、下記のものを含むために、最低でも256kバイトの16ビット幅のフラッシュメモリが取り付けられる。
・SDカードからO/Sをロードできるようにするためのブートローダコード
・工場で設定された読み取り専用の保護された製造パラメータ(たとえば製造日)および一意のID(EPROMエミュレーション)
・ユーザ固有の設定(EPROMエミュレーション)
【0060】
価格および入手可能度に応じて、下記のデバイスを使用することができる。
・GPS内蔵アンテナ
GPS内蔵アンテナが、RF PCBに直接取り付けられている。
・GPS外部(アクティブ)アンテナへの切り替え
外部のアンテナが、RFドッキングコネクタを介して接続されている場合には、GPSアンテナのソースは、自動的に外部のアンテナに切り替えられる。
・加速度計
ソリッドステートの加速度計が、直接プロセッサに接続されており、速度および方向の変化に関する情報を提供する。
【0061】
補助的な機能
イグニッションとの同期化
イグニッションによる起動
ドッキングステーションのIGNITION信号の立ち上がりによって、ユニットが起動する。このIGNITION信号は、12Vまたは24Vの乗り物用バッテリーに接続することができる。
【0062】
イグニッションの状態のモニタリング
ドッキングステーションのIGNITION信号の状態が検知されて、GPIOピンに提供され、これによってソフトウェアは、イグニッション信号が低くなったときにユニットをオフにすることができる。
【0063】
標準的な周辺機器
Goに付属する標準的なものとして、下記の周辺機器が含まれる。
・シンプルなドッキングシュー。Goを取り付けて、DCジャックを通じて充電することができる。シンプルなドックには、その他の接続はいっさい含まれない。
・DCジャックソケットまたはシンプルなドッキングシューを通じてGoに接続されるシガレットライタ電源ケーブル。
・PCに接続するためのミニUSBケーブル。
・DCジャックソケットに接続するためのユニバーサルメインズアダプタ。
【0064】
オプションの周辺機器
Goの使用開始時に、あるいは使用開始後に、下記のオプションの周辺機器を利用することができる。
・アクティブアンテナキット。GPSアクティブアンテナと、GPS RFコネクタおよびケーブルを取り付けられたドッキングシューとを含む。外部のアンテナが必要になったときに自分でインストールするためのものである。
・専門家向けの乗り物用ドッキングキット。専門家のインストールによる取り付け専用。乗り物用インターフェースボックスを介して、乗り物の電源、オーディオシステム、およびアクティブアンテナへ直接接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を実装しているナビゲーションデバイスからのスクリーンショットであり、このスクリーンショットは、平面の地図のビューと、ディスプレイの下の部分を占めるステータスバーとを示している。
【図2】3次元のビューを実装しているナビゲーションデバイスからのスクリーンショットである。
【図3】ナビゲーションメニューを表示しているナビゲーションデバイスからのスクリーンショットである。
【図4A】、
【図4B】ナビゲーションデバイスを示す斜視図である。
【図5】ナビゲーションデバイス用のシステムアーキテクチャを示す概略図である。
【図6】ナビゲーションデバイス内のコンポーネントを示すブロック図である。
【図7】図6のナビゲーションデバイス内の電気的な部分組立品を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ、およびユーザによって定義された2つの場所の間でルートを立案できるナビゲーションアプリケーションによってプログラム可能なナビゲーションデバイスであって、前記デバイスのオペレーティングシステムと、前記ナビゲーションアプリケーションと、前記地図データとを格納する取り外し可能なメモリカードを読み取るように機能することを特徴とするナビゲーションデバイス。
【請求項2】
オペレーティングシステムを内蔵ROM内に格納せず、代わりに前記メモリカードから読み取ることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記メモリカードがSDカードであることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
ブートローダと共にプログラムされている内蔵のXIP(eXecute In Place)フラッシュROMをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ブートローダが、起動したときに、前記提供されているメモリカードを挿入するよう前記ユーザに促すようにプログラムされていることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ユーザが前記メモリカードを挿入すると、専用のシステムファイルを前記メモリカードからRAMへとコピーするようにプログラムされており、前記システムファイルが、前記オペレーティングシステムと、前記ナビゲーションアプリケーションとを含むことを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記システムファイルのコピーが完了すると、コントロールが前記ナビゲーションアプリケーションへ渡され、前記ナビゲーションアプリケーションが始動し、前記メモリカードの不揮発性データにアクセスするようにプログラムされていることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスの電源が後に切られるときに、前記RAMの中身が保存され、それによって、最初に前記デバイスを使用するときのみに前記ブートアップ手順を行うだけですむようにプログラムされていることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
地図データベース、およびユーザによって定義された2つの場所の間でルートを立案できるソフトウェアでナビゲーションデバイスをプログラムする方法であって、前記デバイスをメモリカードへ接続するステップを含み、前記メモリカードが、前記デバイスのオペレーティングシステムと、ナビゲーションアプリケーションと、地図データとを格納することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記デバイスが、自分のオペレーティングシステムを内蔵ROM内に格納せず、代わりに前記メモリカードから読み取ることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記メモリカードがSDカードであることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスが、ブートローダと共にプログラムされているXIPフラッシュROMを含み、前記方法が、前記ブートローダが、起動したときに、前記提供されているメモリカードを挿入するよう前記ユーザに促すステップを含むことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ユーザが前記メモリカードを挿入すると、前記デバイスが、専用のシステムファイルを前記メモリカードからRAMへとコピーし、前記システムファイルが、前記オペレーティングシステムと、前記ナビゲーションアプリケーションとを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記システムファイルのコピーが完了すると、コントロールが前記ナビゲーションアプリケーションへ渡され、前記ナビゲーションアプリケーションが始動し、前記メモリカードからの不揮発性のデータにアクセスすることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記デバイスの電源が後に切られるときに、前記RAMの中身が保存され、それによって、最初に前記デバイスを使用するときにのみ前記ブートアップ手順を行うだけですむことを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−529735(P2007−529735A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503403(P2007−503403)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000984
【国際公開番号】WO2005/088254
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.Bluetooth
【出願人】(506299032)トム トム ベスローテン フエンノートシャップ (1)
【氏名又は名称原語表記】TOM TOM B.V.
【住所又は居所原語表記】Rembrandtplein 35, NL−1017 CT Amsterdam The Netherlands
【Fターム(参考)】