説明

遊技台用台間機

【課題】台間機本体の前面に取り付けた指掛けに、隣接配置されている遊技台のガラス扉が当たって充分に開けられないという弊害を回避すること。
【解決手段】遊技台用台間機1の台間機本体3の前面には、指掛け4の取り付け孔31が形成されている。指掛け4は、取り付け孔31に差し込まれる差込部分43に長円形の係止板部分46を備えている。指掛け4を持って、係止板部分46を長円形の取り付け孔31に挿入して、取り付け孔31を封鎖している封鎖部材38を押し込む。次に、指掛け4を左右いずれかに90度回転させると、係止板部分46が凹部37aに差し込まれて、指掛け4が取り付け孔31に固定される。逆の操作によって簡単に指掛け4を取り外すことができる。指掛け4を取り外せば、隣接配置されている遊技台6のガラス扉7に立体装飾が施されている場合でも、ガラス扉7を充分な開度で開けることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ玉などの遊技媒体の貸し出しを行うために遊技台に隣接配置されている遊技台用台間機に関し、特に、遊技島を構成している取り付け枠に固定されたホルダと、このホルダに対して前側から着脱可能に装着された台間機本体とから構成されている遊技台用台間機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パチンコホールなどの遊技店においては、パチンコ台などで使用するパチンコ玉などの遊技媒体の貸し出しを、遊技者が遊技台に座ったまま行うことができるように、遊技台の間に、遊技媒体を貸し出すための遊技台用台間機が配置されている。遊技台用台間機は、遊技島に設置する遊技台の台数を多くするために、遊技台間の狭いスペースに取り付けることができるように、横幅の小さな縦長の形状をしている。また、遊技台用台間機は、一般に、遊技島を構成している取り付け枠に固定したホルダと、このホルダに対して前側から着脱可能に装着された台間機本体とを備えた構成とされ、台間機本体を前方に引き出すことにより、その保守点検作業などを簡単に行うことができるようになっている。
【0003】
ここで、台間機本体を前方に引き出す操作を容易に行うことができるように、台間機本体の前面には指掛けが取り付けられた構成のものが知られている。この構成の遊技台用台間機は例えば次の特許文献に開示されている。
【0004】
【特許文献】
特開平14−325954号公報、図6
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、パチンコ台などの遊技台においては、その顧客吸引力を高めるなどの目的で、遊技台前面に立体的な装飾が付けられるようになってきている。立体的な装飾が施されている遊技台の間に指掛けを備えた遊技台用台間機が配置されている場合には、次のような問題がある。
【0006】
本発明の実施の形態を示す図2を参照して説明すると、指掛け4は、指を掛け易くするために台間機前面から最も突出した部分となっているのが一般的である。整備などを行うために、立体的な装飾が施されている遊技台6のガラス扉7を開けると、隣接配置されている遊技台用台間機1の前面から前方に突出している指掛け4に、ガラス扉7の表面の立体装飾部分8が当たり、ガラス扉7を充分に開けることができない。
【0007】
ここで、指掛けの突出量を少なくすると、この部分を掴みにくくなるので、遊技台本体を前方に引き出す作業が困難になってしまう。また、遊技台のガラス扉の立体装飾部分における指掛けに当たる部分の突出量を少なくすることも考えられるが、装飾性が損なわれてしまうので好ましくない。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、指掛けの掴み易さおよび立体装飾部分の装飾性をいずれも阻害することなく、立体装飾が施されている遊技台のガラス扉を充分な開度で開けることを可能とした遊技台用台間機を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、遊技媒体の貸し出しを行うために遊技台に隣接配置された遊技台用台間機において、
台間機本体と、
前記台間機本体が着脱可能に装着されているホルダと、
前記台間機本体の前面に着脱可能に取り付けられている少なくとも1個の指掛けと、
を有していることを特徴としている。
【0010】
指掛けを外して、隣接配置されている遊技台の前面ガラスを開けることにより、前面ガラスに立体装飾が施されている場合であってもガラス扉を充分な開度で開けることができる。
【0011】
ここで、前記指掛けを取り外すと、前記台間機本体の前面に、前記指掛けを取り付けるための取り付け孔が露出してしまう。従って、前記指掛けを取り外すと当該取り付け孔を封鎖する封鎖部材を備えていることが望ましい。
【0012】
また、指掛けの着脱機構としては、前記指掛けに、前記取り付け孔に差込可能な差込部分を形成し、前記台間機本体に、前記取り付け孔に差し込まれた前記差込部分を所定角度だけ旋回させると当該差込部分を係止可能な係止部を形成した構成のものを採用することができる。この着脱機構を採用すれば、指掛けを回すだけで、その着脱を簡単に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した遊技台用台間機の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は本実施の形態に係る遊技台用台間機および隣接配置されている1台の遊技台を示す斜視図であり、図2はその平面図である。遊技台用台間機1は、遊技島を構成している取り付け枠(図示せず)に固定されたホルダ2と、このホルダ2に対して前側から着脱可能に装着されている台間機本体3とを備えている。台間機本体3は横幅の狭い縦長の直方体形状をしており、その前面には、一定の間隔で上下に指掛け4、5が着脱可能な状態で取り付けられている。隣接配置されている遊技台6は、そのガラス扉7の表面に立体装飾部分8が形成されている。
【0015】
なお、遊技台用台間機1の前面には、表示ランプ11、紙幣挿入口12、操作部13などが配列されている。また、その内部には、紙幣識別部、紙幣識別部により識別された投入紙幣の金額に対応する遊技媒体の貸し出し処理を行う制御ユニット、ホールコンピュータなどの管理装置との間で通信を行うための中継器などの部品が配置されている。
【0016】
図2において想像線で示すように、遊技台6のガラス扉7はその遊技台用台間機1の側の端部を中心として前方に開けることが可能となっている。ガラス扉7を前方に開けた場合、その前面には立体装飾部分8が形成されているので、充分に開く前に、立体装飾部分8が指掛け4、5に当たってしまう。しかしながら、本例では、指掛け4、5が着脱可能となっているので、ガラス扉7を開けて遊技台6の整備などを行う場合には、事前に指掛け4、5を外しておけばよい。
【0017】
次に、図3、図4および図5を参照して、本例の指掛け4、5の形状、およびそれらの着脱機構を詳細に説明する。
【0018】
まず、図3(a)は上側に取り付けられている指掛け4を示す斜視図である。指掛け5も同一形状であるのでその説明は省略する。指掛け4は、先端側に向けて幅および厚さが漸減しているほぼ台形状輪郭の指掛け本体部分41と、この指掛け本体部分41の背面42から後方に突出している差込部分43とを備えている。指掛け本体部分41には円形の指掛け孔44が形成されている。差込部分43は、背面42から垂直に延びている円形断面の軸部分45と、この軸部分45の先端に形成された係止板部分46とを備えている。係止板部分46は軸部分45の直径と同一幅であり、当該軸部分45に対して直交方向に延びている長円形輪郭をしている。
【0019】
一方、図3(b)は指掛け4、5が取り外された状態での台間機本体3の正面図である。この図に示すように、台間機本体3の前面における指掛け4、5の取り付け位置には、それぞれ、指掛け4、5の係止板部分46よりもわずかに大きな長円形の取り付け孔31、32が形成されている。
【0020】
図3(c)は、図3(b)のA−A線で切断した部分を示す部分断面図である。台間機本体3の前面部分は、金属製の台間機本体ケース33の前板部分34と、この前面に取り付けたコの字状断面の金属製のブラケット35と、このブラケット35の前側から取り付けたコの字状断面の樹脂製の前面パネル36とによって構成されている。前面パネル36に取り付け孔31が形成されている。また、前面パネル36の背面側のブラケット35および前板部分34にも、取り付け孔31に対応する部分に、同軸状態で一回り大きな相似形の孔35a、34aが形成されている。
【0021】
台間機本体ケース33の前板部分34の背面には保持金具37が取り付けられている。保持金具37は、前方に開口している円形断面の凹部37aと、この凹部37aに同軸状態で形成された長円形断面の凹部37bとを備えている。前側の凹部37aは、指掛け4の係止板部分46を差込可能な内径および深さに設定されている。
【0022】
また、後側の保持金具37の凹部37bには前後方向にスライド自在の状態で封鎖部材38が内蔵されており、凹部37bの底面37cと封鎖部材38の間には圧縮状態でコイルスプリング39が装着されている。凹部37bは、封鎖部材38を完全に収容可能な深さに設定されている。封鎖部材38の前面部分には取り付け孔31に背面側から嵌り込む大きさの長円形輪郭の頭部38aが形成され、それ以外の部分は、孔35a、34aを通過可能な一回り大きな長円形輪郭とされている。従って、指掛け4が取り付けられていない状態では、封鎖部材38は前方に押され、頭部38aが取り付け孔31に嵌り込み、当該取り付け孔31を封鎖した状態になる。
【0023】
次に、図3、図4および図5を参照して、指掛け4を取り付け孔31に取り付ける動作を説明する。まず、指掛け4が取り付けられていない状態では、図3(c)に示すように、封鎖部材38によって取り付け孔31が封鎖されている。
【0024】
この状態で、指掛け4を取り付け孔31に位置決めして、その差込部分43を取り付け孔31に差し込む。図4には指掛け4の差込部分43を取り付け孔31に差し込んだ状態を示してある。取り付け孔31を封鎖している封鎖部材38は、指掛け4の差込部分43の係止板部分46によって後方に押されて、封鎖部材38は保持金具37の凹部37b内に収納された状態になる。この結果、指掛け4の係止板部分46が保持金具37の凹部37aに入った状態になる。
【0025】
この後は、図4(a)において矢印で示すように、指掛け4を90度回転させる。この結果、図5に示すように、指掛け4の係止板部分46が保持金具37の凹部37a内を旋回して、台間機本体ケースの前板部分34に対して背面側から係止した状態になる。コイルスプリング39によって係止板部分46は前板部分34の背面側に押付けられているので、指掛け4が台間機本体の前面に取り付けられた状態が形成される。このように、凹部37aと前板部分34とによって、指掛け4を取り付け孔31に固定するための係止部分が構成されている。他方の指掛け5についても同様にして取り付けることができる。
【0026】
一方、指掛け4を外す場合には、図5に示す状態から指掛け4を90度回転させると、図4R>4に示す状態になる。この状態では、長円形の係止板部分46が長円形の孔34a、35aに一致するので、コイルスプリング39のばね力によって、指掛け4が取り付け孔31から前方に押し出される。この結果、指掛け4が台間機本体の前面から外れる。他方の指掛け5についても同様にして取り外すことができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の遊技台用台間機においては、その前面に取り付けられている指掛けを着脱可能としてある。従って、隣接配置されている遊技台のガラス扉の表面に立体的な装飾が施されている場合などにおいて、指掛けを外せば、指掛けに立体装飾部分が当たってガラス扉を充分な開度で開けることができないという弊害を回避できる。
【0028】
また、本発明では、指掛けを取り外した場合に、その取り付け孔が封鎖部材によって封鎖される。従って、露出状態の取り付け孔に異物が詰まり、指掛けの取り付けができなくなる等の弊害を防止できる。
【0029】
さらに、本発明における指掛けの着脱機構によれば、指掛けを所定量だけ回転するという簡単な操作で、指掛けの着脱を行うことができるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した遊技台用台間機および隣接配置されている立体装飾が施された遊技台を示す斜視図である。
【図2】図1の遊技台用台間機および遊技台の平面図である。
【図3】(a)は図1の遊技台用台間機の指掛けを示す斜視図であり、(b)は指掛けを取り外した状態の遊技台用台間機の正面図であり、(c)は(b)におけるA−A線で切断した取り付け孔の部分を示す断面図である。
【図4】(a)は遊技台用台間機の上側の取り付け孔に指掛けを差し込んだ状態を示す正面図であり、(b)はその状態における断面図である。
【図5】(a)は遊技台用台間機の上側の取り付け孔に指掛けが装着された後の状態を示す正面図であり、(b)はその状態における断面図である。
【符号の説明】
1 遊技台用台間機
2 ホルダ
3 台間機本体
4、5 指掛け
41 指掛け本体部分
43 差込部分
45 軸部分
46 係止板部分
6 遊技台
7 ガラス扉
8 立体装飾部分
31、32 取り付け孔
33 台間機本体ケース
34 前板部分
35 ブラケット
36 前面パネル
34a、35a 孔
37 保持金具
37a、37b 凹部
38 封鎖部材
38a 頭部
39 コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体の貸し出しを行うために遊技台に隣接配置された遊技台用台間機において、
台間機本体と、
前記台間機本体が着脱可能に装着されているホルダと、
前記台間機本体の前面に着脱可能に取り付けられている少なくとも1個の指掛けと、
を有していることを特徴とする遊技台用台間機。
【請求項2】
請求項1において、
前記台間機本体の前面に形成された前記指掛けを取り付けるための取り付け孔と、
前記指掛けを取り外すと前記取り付け孔を封鎖する封鎖部材と、
を有していることを特徴とする遊技台用台間機。
【請求項3】
請求項2において、
前記指掛けは、指掛け本体部分と、前記取り付け孔に差込可能な差込部分とを備えており、
前記台間機本体には、前記取り付け孔に差し込まれた前記差込部分を所定角度だけ旋回させると当該差込部分を係止可能な係止部が形成されていることを特徴とする遊技台用台間機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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