説明

遊技機の異常検出システム、制御手段及び遊技媒体排出装置

【課題】遊技機を制御する情報を記憶してある記憶手段又は該記憶手段に記憶された情報に基づいて遊技機を制御する制御手段に対する不正行為を抑制する異常検出システム、制御手段及び遊技媒体排出装置を提供する。
【解決手段】記憶手段を内蔵する制御手段の外部の装置に、通信手段及び記録手段を備える異常検出装置を設け、記憶手段及び/又は制御手段を特定する識別情報を一定周期又は随時というように任意のタイミングで異常検出装置へ送信し(S222)、異常検出装置では受信した識別情報を、前回受信して記録手段に記憶している識別情報と照合し(S263)、合致する場合(S264:Y)、記憶手段を搭載した制御手段は正当であると判断して受信した識別情報を記録手段に記憶し、合致しない場合(S264:N)、記憶手段に不正が行われている可能性があると判断して異常処理を行う(S265)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ機及びスロットマシン等の遊技機を制御するプログラムが記憶された記憶手段を搭載し、該記憶手段に記憶されたプログラムを実行する制御手段と、該制御手段が組み込まれた遊技機とを備え、前記制御手段の異常を検出する異常検出システム、並びに該異常検出システムに用いられる制御手段及び遊技媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技店には、パチンコ機及びスロットマシン等の遊技機が複数台設置されており、遊技者は遊技機で使用するパチンコ玉及びメダル等の遊技媒体を借り入れ、該遊技媒体を元手に、手持ちの遊技媒体を増やすことを目的とする遊技を行う。
【0003】
各遊技機には遊技を制御する制御基板が組み込まれ、該制御基板は遊技を制御するプログラムを記憶する記憶手段(以下ROMという)を搭載しており、遊技機で行われる遊技の制御は、ROMに記憶されたプログラムを制御基板が備えるCPUにより実行することで行われる。
そしてROMに記憶されたプログラムは法規制に基づいて、遊技媒体の増やし易さ、即ち大当たり確率が決定されている。
【0004】
このようなROMを搭載した制御基板が組み込まれた遊技機は、製造業者により製造され、遊技店に納入されるのであるが、納入後、不正にプログラムが書き換えられ、例えば大当たり確率が高くなるように設定された不正ROMと差し替えられるという違法行為が行われる場合がある。
また違法行為としては、不正ROMとの差し替えだけでなく、制御基板から遊技機内部の各種機器へ制御信号を伝える接続線(以下ハーネスという)の差し替え、ハーネスにぶら下げて大当たりを操作する電子部品(以下ぶら下がりという)の取り付け、並びにROM及び制御基板等の各種機器を誤動作させる電磁波の利用(以下電磁波ゴトという)、及びそれによる遠隔操作等の様々な違法行為が行われている。
【0005】
このような違法行為を摘発するためには、各遊技機に組み込まれた制御基板及び各種機器を検査しなければならないが、これには多大な作業量及び時間を必要とする。このため違法行為が行われているという確証が無ければ、納入後の制御基板を検査することは困難であり、違法行為の防止策としては不十分である。
【0006】
そこでROMの異常及び各種違法行為を検出する不正検出手段を制御基板に組み込み、不正検出手段により異常が検出された場合に、異常の記録及び/又は当該遊技機を停止させる機能を制御基板に持たせておき、遊技機の開店前の通電開始時に異常検査を行う異常検出システムが用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の異常検出システムでは制御基板にて異常の検出を行うため、制御基板に不正が行われた上で、違法行為が行われた場合、例えば、不正ROMを備え該不正ROMの異常を検出しない制御基板に差し替えられた場合、又は不正検出手段が機能しない制御基板に差し替えられた上で、ハーネスの差し替え及びぶら下がりの取り付け等の違法行為が行われた場合には、異常を検出できないという問題がある。
【0008】
また従来の異常検出システムでは、一般に開店前の通電開始時にのみ異常の検出を行うため、開店後違法行為を行い、閉店前に正規の状態に戻すという不正が行われた場合には、その発見が困難になる。
【0009】
さらに従来の異常検出システムでは、例えば、特定の遊技者にのみ大当たりさせることを目的として違法行為を行うという、遊技店ぐるみでの不正が行われた場合、その不正の検出は困難であるという問題もある。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、制御基板及び遊技媒体排出装置に通信手段を設け、ROMを搭載した制御基板の異常を、遊技機外部に設置した異常検出装置にて検出することにより、制御基板に不正が行われた上で、違法行為が行われている場合にも、異常を検出することが可能な異常検出システム、制御手段、及び遊技媒体排出装置の提供を主たる目的とする。
【0011】
さらに異常の検出を任意のタイミングで行うことにより、開店後違法行為を行い、閉店前に正規の状態に戻すという不正が行われる場合でも、異常を検出することが可能な異常検出システムの提供を他の目的とする。
【0012】
またROMを搭載した制御基板を特定する識別情報を管理する管理装置を、遊技店外に設置することにより、店ぐるみで不正が行われた場合でも、その不正を検出することが可能な異常検出システムの提供を更に他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る遊技機の異常検出システムは、遊技機制御用の情報が記憶された記憶手段を搭載し、該記憶手段に記憶された情報に基づいて遊技機を制御する制御手段と、該制御手段が組み込まれた遊技機と、該遊技機に隣接し、該遊技機にて使用する遊技媒体を排出させる処理を行う遊技媒体排出装置とを備える遊技機の異常検出システムにおいて、前記遊技機に関する正当性を検証する情報を記憶しているデータベースを有する管理装置と、前記制御手段の外部に、該制御手段の異常を制御する異常検出装置とを備え、前記管理装置は、暗号鍵を記憶する手段を備え、前記異常検出装置は、他の装置と通信を行う通信手段を備え、前記遊技媒体排出装置は、前記遊技機及び他の装置間の通信を中継する手段を備え、前記記憶手段は、自己を特定する記憶手段識別情報を記憶する手段を備え、前記制御手段は、前記記憶手段から記憶手段識別情報を読み取る手段と、該記憶手段識別情報及び自己を特定する制御手段識別情報を記憶する手段と、制御手段識別情報及び記憶手段識別情報を遊技媒体排出装置へ送信する手段を備え、該遊技媒体排出装置は、受信した制御手段識別情報及び記憶手段識別情報を、前記管理装置へ送信する手段を備え、該管理装置は、データベースを参照して、受信した制御手段識別情報及び記憶手段識別情報から、前記制御手段の正当性を確認する手段と、正当であると確認した場合に、暗号鍵を前記遊技媒体排出装置へ送信する手段とを備え、該遊技媒体排出装置は、受信した暗号鍵を記憶する手段と、暗号鍵を前記制御手段へ送信する手段とを備え、該制御手段は、受信した暗号鍵を記憶する手段と、記憶手段識別情報及び制御手段識別情報を、前記遊技媒体排出装置を介して前記異常検出装置へ送信する手段とを備え、前記異常検出装置は、受信した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報を記憶する手段と、受信した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報を、以前に記憶した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報と照合する照合手段と、該照合手段により、受信した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報、並びに以前に記憶した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報が異なることが判明した場合に、予め定められている所定の処理を行う手段とを備え、暗号鍵を記憶後の制御手段及び遊技媒体排出装置間の通信は、暗号鍵を用いた暗号化及び復号を実施しながら行うことを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る遊技機の異常検出システムは、第1発明において、前記照合手段による照合は、任意の時点で行うべくなしてあることを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る遊技機の異常検出システムは、第1発明又は第2発明において、前記制御手段は、遊技機制御に関する異常を検出する検出手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る制御手段は、遊技機に組み込まれるべくなしてあり、該遊技機制御用のプログラムが記憶された記憶手段を搭載し、該記憶手段に記憶されたプログラムを読み取り実行する制御手段において、前記遊技機に隣接し、該遊技機にて使用する遊技媒体を排出させる処理を行う遊技媒体排出装置と通信する手段と、前記記憶手段に記憶されている記憶手段識別情報を読み取る手段と、該記憶手段識別情報及び自己を特定する制御手段識別情報を記憶する手段と、記憶手段識別情報及び制御手段識別情報を、前記遊技媒体排出装置へ送信する手段と、該遊技媒体排出装置から暗号鍵を受信する手段と、受信した暗号鍵を記憶する手段とを備え、前記遊技媒体排出装置との通信は、暗号鍵を用いた暗号化及び復号化を実施しながら行うことを特徴とする。
【0017】
第5発明に係る遊技媒体排出装置は、自己を特定する識別情報を記憶する制御手段を備える遊技機に隣接し、該遊技機にて使用する遊技媒体を排出させる処理を行う遊技媒体排出装置において、前記識別情報に対応付けて、該識別情報にて特定される制御手段を備える遊技機に関する情報を記憶しているデータベースにアクセスする管理装置、及び遊技機と通信する手段と、遊技機から識別情報を受信する手段と、受信した識別情報を管理装置へ送信する手段と、送信した識別情報が正当である場合に管理装置から送信される暗号鍵を受信する手段と、受信した暗号鍵を遊技機へ送信する手段と、識別情報及び暗号鍵を記憶する手段と、暗号鍵により暗号化された識別情報を、遊技機から受信する手段と、受信した識別情報を暗号鍵により復号化する手段と、復号化した識別情報を記憶している識別情報と照合する手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明では、制御手段及び遊技媒体排出装置に通信手段を設け、取り外し及び差し替え等の交換が困難な制御手段外部の装置を異常検出装置として用い、制御手段から送信される識別情報を異常検出装置により照合することで、記憶手段及び制御手段の両方に不正が行われている場合でも異常を検出することが可能である。
【0019】
本発明では、異常の検出を一定周期又は随時というように任意の時点で行うことにより、遊技機を備える遊技店の開店後、記憶手段を差し替えて閉店前に正規の記憶手段に戻すという不正が行われた場合でも、異常の検出をすることが可能である。
【0020】
本発明では、遊技店での決済及び遊技等の遊技状況を管理する管理会社等の遊技店外の場所に管理装置を設置し、制御手段の識別情報を管理装置にて管理し、更に制御装置が組み込まれた遊技機を特定する遊技機識別情報等の遊技機に関する情報を取り込み、遊技機に関する情報及び照合用情報を対応付けて管理することにより、遊技店ぐるみで不正が行われた場合でも、管理装置にて遊技機に関する情報及び識別情報から記憶手段の正当性を確認することが可能である。
【0021】
また管理装置にて不正状況を管理できるので、不正技術の動向、遊技機製造会社別、遊戯機器種別、時間帯別、及び地域別等の様々な角度から不正を把握及び分析することが可能になり、総合的な不正防止対策を検討することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る異常検出システム、制御手段、及び遊技媒体排出装置では、遊技機に組み込まれた制御基板及び遊技媒体排出装置に送信手段を設け、取り外し及び差し替え等の交換が困難な遊技機外部の装置を異常検出装置として用い、制御基板から送信されるROM−ID及び/又は制御基板IDを異常検出装置により照合することで、ROM及び制御手段の両方に不正が行われている場合でも異常を検出することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0023】
さらに本発明に係る異常検出システムでは異常の検出を一定周期又は随時というように任意のタイミングで行うことにより、遊技機を備える遊技店の閉店後、ROMを差し替えて閉店前に本来のROMに戻すという不正が行われた場合でも、異常の検出をすることが可能である等、優れた効果を奏する。
【0024】
また本発明に係る異常検出システムでは、遊技店での決済及び遊技等の遊技状況を管理する管理会社等の遊技店外の場所に管理装置を設置し、ROM−ID及び/又は制御基板IDを管理装置にて管理することにより、遊技店ぐるみで不正が行われた場合でも、管理装置にてROM−ID及び/又は制御基板IDからROMを搭載した制御基板の正当性を確認することが可能である等、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明の異常検出システムにおける遊技機及び該遊技機に組み込まれる制御手段、並びにそれらに関する情報の流通形態を示す説明図である。図中100は部品製造会社であり、部品製造会社100では、パチンコ機及びスロットマシン等の遊技機を制御するプログラムを記憶するための記憶手段(以下ROMという)10が製造される。
【0026】
そしてROM10には、当該ROM10を特定するための記憶手段識別情報(以下ROM−IDという)が所定の領域に書き込まれ、更にROM10は、該ROM10に記録されたプログラムを実行するCPU等の部品が実装された制御部品20に搭載され、また制御基板20には、当該制御基板を特定するための制御手段識別情報(以下制御基板IDという)が所定の領域に書き込まれる。
【0027】
そして制御基板20が、部品製造会社100から部品販売会社200へ配送されるとともに、ROM−ID及び制御基板IDを対応付けて記した識別情報一覧表(以下ROM−IDリストという)が、部品製造会社100から部品販売会社200へ配信される。
【0028】
さらに部品販売会社200から遊技機製造会社300へ制御基板20が配送される。その際、部品販売会社200は遊技機製造会社300へ配送した制御基板20のIDリストを作成し、遊技店での決済及び遊技等の遊技状況を管理する管理会社400へ配信する。
【0029】
遊技機製造会社300では、遊技プログラムを、配送された制御基板20に搭載されたROM10の所定の領域に書き込み、更に制御基板20を遊技機30に組み込む。このときROM−IDが、遊技機30を特定する遊技機識別情報(以下遊技機ID)として遊技機30に付与される。
【0030】
そして制御基板20が組み込まれた遊技機30が遊技機製造会社300から遊技店500へ配送され、配送される遊技機30の機種名、ROM−ID(遊技機ID)、及び制御基板IDを対応づけて記した遊技機識別情報一覧表(以下遊技機IDリストという)が遊技機製造会社300から管理会社400へ送信される。
【0031】
管理会社400では、各識別情報を管理する管理装置40が備える識別情報管理データベース401に、部品販売会社200から送信されたROM−IDリスト及び遊技機製造会社300から送信された遊技機IDリストを登録する。
【0032】
次に、遊技店に設置された遊技機30に組み込まれている制御基板20に書き込まれた制御基板ID、制御基板20に搭載されたROM10に書き込まれたROM−ID(遊技機ID)、遊技店を特定する遊技店名コード、及び遊技機30に接続される遊技媒体排出装置50の設置場所を示す情報コードとが、通信回線を介して管理データベース401に登録される。
【0033】
これによって、制御基板ID、ROM−ID、遊技機ID、遊技機機種名、及び該遊技機が設置されている遊技店名等との対応関係が管理データベース401に登録される。こうすることにより、特定の遊技店の特定の場所に設置された遊技機は一義的に特定されることになり、ROM10及び制御基板20が不正なものと取り替えられた場合、又は無許可で遊技台の入れ替えが行われた場合、すぐに異常情報として管理会社400により把握される。
【0034】
遊技店500では、有価価値を付与された記憶媒体又は貨幣の挿入を受け付け、それに相当するパチンコ玉及びメダル等の遊技媒体を貸し出すべく排出させる遊技媒体排出装置50に隣接させて、配送された遊技機30を設置し、遊技店500に来店した遊技者は、遊技媒体排出装置50から遊技媒体を借り入れ、借り入れた遊技媒体に対応する遊技機30にて遊技を行う。
【0035】
なお上述の実施の形態では、部品製造会社100にてROM10が組み込まれた制御基板20を製造する形態を示したが、本発明はこれに限らず、部品製造会社100にてROM10のみを製造し、遊技機製造会社300にて制御基板20に搭載するようにしてもよく、また遊技機ID及びROM−IDを異なる情報にしてもよい。
【0036】
次に本発明の異常検出システムにおける各種装置の構成を図2に示すブロック図を用いて説明する。図中30は遊技機であり、遊技機30には、制御基板20が組み込まれており、制御基板20には、遊技機30を制御する遊技プログラム及びROM−ID等の情報が特定の領域に記憶されたROM10が搭載されており、ROM10から読み出したプログラムを、情報を記憶するRAM22に記憶し、CPU21により実行することで、遊技機30を制御する。
【0037】
また制御基板20は、制御基板IDを記憶する制御手段識別情報記憶手段23、記憶手段10及び制御手段識別情報記憶手段23から読み取ったROM−ID及び制御基板IDを記憶する識別情報記憶手段24、不正ROM、ハーネス差し替え、ぶら下がり、及び遠隔操作等の違法行為を検出する不正検出手段25、並びに不正検出手段25が検出した不正情報を記憶する不正記憶手段26を備えている。さらに制御基板20は遊技機30外の装置と通信を行う通信手段27を備え、高速度で情報を伝達する通信線71の一端に接続されており、識別情報記憶手段24及び不正記憶手段26に記憶された情報を外部に送信することができる。なお通信手段27は通信時の認証に用いる暗号鍵を記憶する暗号鍵記憶手段27aを備えている。
【0038】
各遊技機30に隣接して、遊技媒体排出装置50が配設されており、遊技媒体排出装置50は記憶媒体又は貨幣の挿入を受け付ける挿入部52、及び遊技媒体を排出する排出部53を備えている。さらに遊技媒体排出装置50は、遊技媒体貸出及び通信に関するプログラム及びデータ等の情報を記憶するROM54を備え、ROM54に記憶された遊技媒体排出及び通信のプログラムを読み取り、情報を記憶するRAM55に記憶して、CPU51により実行する。
【0039】
また遊技媒体排出装置50は、通信線71の他端に接続する高速通信手段56、及びLAN等の内部通信ネットワーク72に接続する内部通信手段57を備えている。高速通信手段56は遊技媒体貸出に関する情報の通信の他に、異常検出信号及び各種識別情報等の情報を通信することが可能であり、そして内部通信手段57も遊技媒体貸出に関する情報の通信の他に、異常検出信号及び各種識別情報等の情報を通信することが可能であるので、本発明の遊技媒体排出装置50として用いられる。なお内部通信ネットワーク72での通信方法としては、電気信号を伝達する有線通信に限らず、電波及び赤外線等の信号を用いた無線通信でもよい。
【0040】
内部通信ネットワーク72には、遊技店500内外の通信を制御し、制御基板20の異常を検出する異常検出装置60が接続され、異常検出装置60には、内部通信ネットワーク72に接続する内部通信手段62、及び電話回線等の外部通信ネットワーク73に接続する外部通信手段63を備え、さらに各種情報を表示する液晶モニタ等の表示手段64、各種情報を印刷するプリンタ等の印刷手段65、各種プログラム及びデータ等の情報を記憶するハードディスク等の記録手段66、及び異常検出装置60全体を制御するCPU61を備えている。
【0041】
外部通信ネットワーク73には、管理会社400に設置された管理装置40が接続されており、管理装置40は、外部通信ネットワークに接続する通信手段42、各種プログラム及びデータ、並びに暗号鍵等の情報を記憶するハードディスクの記録手段43、情報を記憶するRAM44、並びに管理装置40全体を制御するCPU41を備えている。なお記録手段43の記憶領域の一部は管理データベース401に割り当てられている。
【0042】
次に本発明の異常検出システムにおける各種装置の処理をフローチャートを用いて説明する。図3は本発明の異常検出システムにおける遊技機変更時での制御基板20、管理装置40、及び遊技媒体排出装置50の処理を示すフローチャートである。遊技店500において、遊技機30の新設、増設、及び移動等の変更があった場合、遊技機30並びに組み込まれているROM10及び制御基板20の正当性を確認すべく以下の処理が行われる。
【0043】
制御基板20では、ROM10からROM−IDを読み取り(S121)、識別情報記憶手段24に記憶し、更に制御手段識別情報記憶手段23から制御基板IDを読み取り(S122)、識別情報記憶手段24に記憶する。そして識別情報記憶手段24に記憶したROM−ID及び制御基板IDを遊技媒体排出装置50へ送信する(S123)。
【0044】
遊技媒体排出装置50では、ROM−ID及び制御基板IDを受信し(S151)、受信した各IDを、異常検出装置60を介して管理会社400に設置された管理装置40へ送信する(S152)。
【0045】
管理装置40では、ROM−ID及び制御基板IDを受信し(S141)、受信したROM−ID及び制御基板IDの組み合わせと、管理データベース401に記憶されている情報とを照合し(S142)、ROM−ID及び制御基板IDの組み合わせが正当であると確認された場合(S143:Y)、記録手段43に記憶している暗号鍵を異常検出装置60を介して遊技媒体排出装置50へ送信する(S144)。なおステップS143において、正当でないと判断した場合(S143:N)、相応の異常処理が行われる(S145)。
【0046】
遊技媒体排出装置50では、暗号鍵を受信し(S153)、受信した暗号鍵を、制御手段20へ送信し(S154)、またRAM55に記憶する(S155)。
【0047】
制御手段20では、暗号鍵を受信し(S124)、受信した暗号鍵を暗号鍵記憶手段27aに記憶する(S125)。
【0048】
なお管理装置40から遊技媒体排出装置50及び制御手段20への暗号鍵の送信は、遊技機30に変更があった場合にのみ行われるが、ROM−ID及び制御基板IDを読み取り、管理装置40にて行われる正当性確認処理は、必要に応じて行うことが可能である。
【0049】
図4は本発明の異常検出システムにおける識別情報照合時での制御基板20、遊技媒体排出装置50、及び異常検出装置60の処理を示すフローチャートである。
なお制御基板20及び遊技媒体排出装置50の間では、双方の暗号鍵を用いて暗号化/復号化を実施しながらでの通信が行われる。
【0050】
制御基板20では、識別情報記憶手段24からROM−ID及び制御基板IDを読み取り(S221)、読み取ったROM−ID及び制御基板IDを遊技媒体排出装置50へ送信する(S222)。なお識別情報記憶手段24には、通信を行わない場合でも、ROM10及び制御手段識別情報記憶手段23から読み取られたROM−ID及び制御基板IDの書き込みが行われているため、常に最新のIDが記憶されている。
【0051】
遊技媒体排出装置50では、ROM−ID及び制御基板IDを受信し(S251)、受信したROM−ID及び制御基板IDを異常検出装置60へ送信する(S252)。
【0052】
異常検出装置60では、ROM−ID及び制御基板IDを受信し(S261)、前回受信し記録手段66に記憶してあるROM−ID及び制御基板IDを読み取り(S262)、受信したROM−ID及び制御基板IDと、読み取ったROM−ID及び制御基板IDとを照合する(S263)。照合により受信したROM−ID及び制御基板IDと、読み取ったROM−ID及び制御基板IDとが合致する場合(S264:Y)、ROM10及び制御基板20は正当であると判断し、受信したROM−ID及び制御基板IDを、記録手段66に記憶する(S265)。このとき既に記録手段66に記憶されている以前のROM−ID及び制御基板IDは消去される。
【0053】
ステップS263での照合により、受信したROM−ID及び制御基板IDと、読み出したROM−ID及び制御基板IDとが異なる場合(S264:N)、ROM10を搭載した制御基板20に不正が行われている可能性があると判断し、所定の異常処理を行う(S266)。なお制御基板20から遊技媒体排出装置50へ送信された情報が、遊技媒体排出装置50で正常に復号化されない場合も、ROM10を搭載した制御基板20に不正が行われている可能性があると判断して、異常処理が行われる。
【0054】
このような識別情報照合処理は一定間隔又は所定の時刻に行われるが、必要に応じて随時実施することが可能であり、異常検出装置60は簡単に取り替えられないように配設されているため、異常検出装置60の取り替えを行い、不正がおこなわれる可能性は非常に低いものとなっている。
【0055】
またこのようなID照合処理は、遊技媒体排出装置50が備えるRAM55に各種IDを記憶し、遊技媒体排出装置50にて照合処理を行うことも可能であり、照合処理を行う遊技媒体排出装置50を本発明の異常検出装置として用いることにより、高速な通信を利用して短い間隔で照合処理を行うことができるので、不正が行われる可能性をより一層低くすることが可能である。
【0056】
さらにこのようなID照合処理は、管理装置40までROM−ID及び制御基板IDを送信し、管理装置40にて照合処理を行うことも可能である。即ち図5に示す本発明の異常検出システムにおける識別情報照合時での制御基板20及び管理装置40の処理のフローチャートのように、制御基板20では、ROM−ID及び制御基板IDを読み取り(S321)、読み取ったROM−ID及び制御基板IDを遊技媒体排出装置50及び異常検出装置60を介して管理装置40へ送信する(S322)。
【0057】
管理装置40では、ROM−ID及び制御基板IDを受信し(S341)、管理データベース401に記憶されている情報と、受信したROM−ID及び制御基板IDとを照合し(S342)、合致する場合、ROM−ID及び制御基板IDは正当であると判断し(S343:Y)、識別情報照合処理を終了する。ステップS342での照合により、管理データベース401に記憶されている情報と、受信したROM−ID及び/又は制御基板IDとが合致しない場合、ROM−ID及び/又は制御基板IDは不正であると判断し(S343:N)、所定の異常処理を行う(S344)。このように管理装置40にて照合処理を行う場合には、遊技店ぐるみで行われる不正を防止することが可能である。
【0058】
図6は本発明の異常検出システムにおける異常処理時での制御基板20、遊技媒体排出装置50、及び異常検出装置60の処理を示すフローチャートである。制御基板20では、不正検出手段25により常時又は所定の間隔で、不正ROM、ハーネス差し替え、ぶら下がり、及び遠隔操作等の違法行為を検出しており、検出した不正情報を不正記憶手段26に記憶している。そして不正記憶手段26に不正情報が記憶されている場合、予め設定されているタイミングで不正情報を異常検出信号として遊技媒体排出装置50へ送信する(S421)。
【0059】
遊技媒体排出装置50では、異常検出信号を受信し(S451)、受信した異常検出信号を異常検出装置60へ送信する(S452)。
【0060】
異常検出装置60では、異常検出信号を受信した場合(S461)、又はステップS266及びS344のように不正が行われている可能性があると判断した場合、遊技媒体排出装置50へ異常処理信号を送信し(S462)、更に異常状況を表示手段64に表示し(S463)、印刷手段65から印刷し(S464)、記録手段66に記憶し(S465)、さらに異常状況を管理装置40へ送信し(S466)、管理装置40ではそれを記憶する。
【0061】
遊技媒体排出装置50では、異常処理信号を受信し(S453)、受信した異常処理信号を制御基板20へ送信する(S454)。
【0062】
制御基板20では、異常処理信号を受信し(S422)、異常処理として当該遊技機30を停止させる(S423)。
【0063】
なお異常検出信号を制御基板20から異常検出装置60へ送信する処理は、1週間及び1ヶ月等の所定の期間毎に纏めて行ってもよく、また遊技媒体の排出状況より異常が行われている可能性があると判断される場合に行うようにしてもよく、さらに管理装置40から処理依頼を受けた場合に行い、得られた情報を全て管理装置40へ送信するようにしてもよい。
【0064】
このようにROM及び制御基板の正当性の確認を遊技機外の装置で行うことにより、ROM及び/又は制御基板の差し替えによる不正の発生を抑制することができる。またその不正状況及び不正未遂状況を管理会社へ送信することにより、不正技術の動向、遊技機製造会社別の不正発生状況、遊技機の機種別の不正発生状況、発生時間帯別の不正発生状況、及び地域別の不正発生状況等の様々な角度からみた不正状況を把握及び分析することが可能になり、総合的な不正防止対策を行うことができる。
【0065】
前記実施の形態では、制御装置又は遊技媒体排出装置を異常検出装置として用いる形態を示したが、本発明はこれに限らず、取り替えが困難な装置であればよいので、例えば遊技機自体を異常検出装置として用いる形態でもよい。
【0066】
また前記実施の形態では、記憶手段識別情報及び制御手段識別情報の両方を照合することにより異常を検出する形態を示したが、本発明はこれに限らず、どちらか一方のみを照合することにより異常を検出する形態でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の異常検出システムにおける遊技機及び該遊技機に組み込まれる制御手段、並びにそれらに関する情報の流通形態を示す説明図である。
【図2】本発明の異常検出システムにおける各種装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の異常検出システムにおける遊技機変更時での制御手段、管理装置、及び遊技媒体排出装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の異常検出システムにおける識別情報照合時での制御手段、遊技媒体排出装置、及び異常検出装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の異常検出システムにおける識別情報照合時での制御手段及び管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の異常検出システムにおける異常処理時での制御手段、遊技媒体排出装置、及び異常検出装置の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
10 記憶手段(ROM)
20 制御手段(制御基板)
27 通信手段
30 遊技機
40 管理装置
50 遊技媒体排出装置
57 高速通信手段
58 内部通信手段
60 異常検出装置(制御装置)
401 管理データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機制御用の情報が記憶された記憶手段を搭載し、該記憶手段に記憶された情報に基づいて遊技機を制御する制御手段と、該制御手段が組み込まれた遊技機と、該遊技機に隣接し、該遊技機にて使用する遊技媒体を排出させる処理を行う遊技媒体排出装置とを備える遊技機の異常検出システムにおいて、
前記遊技機に関する正当性を検証する情報を記憶しているデータベースを有する管理装置と、
前記制御手段の外部に、該制御手段の異常を制御する異常検出装置と
を備え、
前記管理装置は、
暗号鍵を記憶する手段を備え、
前記異常検出装置は、
他の装置と通信を行う通信手段を備え、
前記遊技媒体排出装置は、
前記遊技機及び他の装置間の通信を中継する手段を備え、
前記記憶手段は、
自己を特定する記憶手段識別情報を記憶する手段を備え、
前記制御手段は、
前記記憶手段から記憶手段識別情報を読み取る手段と、
該記憶手段識別情報及び自己を特定する制御手段識別情報を記憶する手段と、
制御手段識別情報及び記憶手段識別情報を遊技媒体排出装置へ送信する手段を備え、
該遊技媒体排出装置は、
受信した制御手段識別情報及び記憶手段識別情報を、前記管理装置へ送信する手段を備え、
該管理装置は、
データベースを参照して、受信した制御手段識別情報及び記憶手段識別情報から、前記制御手段の正当性を確認する手段と、
正当であると確認した場合に、暗号鍵を前記遊技媒体排出装置へ送信する手段と
を備え、
該遊技媒体排出装置は、
受信した暗号鍵を記憶する手段と、
暗号鍵を前記制御手段へ送信する手段と
を備え、
該制御手段は、
受信した暗号鍵を記憶する手段と、
記憶手段識別情報及び制御手段識別情報を、前記遊技媒体排出装置を介して前記異常検出装置へ送信する手段と
を備え、
前記異常検出装置は、
受信した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報を記憶する手段と、
受信した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報を、以前に記憶した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報と照合する照合手段と、
該照合手段により、受信した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報、並びに以前に記憶した記憶手段識別情報及び制御手段識別情報が異なることが判明した場合に、予め定められている所定の処理を行う手段と
を備え、
暗号鍵を記憶後の制御手段及び遊技媒体排出装置間の通信は、暗号鍵を用いた暗号化及び復号を実施しながら行う
ことを特徴とする遊技機の異常検出システム。
【請求項2】
前記照合手段による照合は、任意の時点で行うべくなしてあることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の異常検出システム。
【請求項3】
前記制御手段は、遊技機制御に関する異常を検出する検出手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機の異常検出システム。
【請求項4】
遊技機に組み込まれるべくなしてあり、該遊技機制御用のプログラムが記憶された記憶手段を搭載し、該記憶手段に記憶されたプログラムを読み取り実行する制御手段において、
前記遊技機に隣接し、該遊技機にて使用する遊技媒体を排出させる処理を行う遊技媒体排出装置と通信する手段と、
前記記憶手段に記憶されている記憶手段識別情報を読み取る手段と、
該記憶手段識別情報及び自己を特定する制御手段識別情報を記憶する手段と、
記憶手段識別情報及び制御手段識別情報を、前記遊技媒体排出装置へ送信する手段と、
該遊技媒体排出装置から暗号鍵を受信する手段と、
受信した暗号鍵を記憶する手段と
を備え、
前記遊技媒体排出装置との通信は、暗号鍵を用いた暗号化及び復号化を実施しながら行う
ことを特徴とする制御手段。
【請求項5】
自己を特定する識別情報を記憶する制御手段を備える遊技機に隣接し、該遊技機にて使用する遊技媒体を排出させる処理を行う遊技媒体排出装置において、
前記識別情報に対応付けて、該識別情報にて特定される制御手段を備える遊技機に関する情報を記憶しているデータベースにアクセスする管理装置、及び遊技機と通信する手段と、
遊技機から識別情報を受信する手段と、
受信した識別情報を管理装置へ送信する手段と、
送信した識別情報が正当である場合に管理装置から送信される暗号鍵を受信する手段と、
受信した暗号鍵を遊技機へ送信する手段と、
識別情報及び暗号鍵を記憶する手段と、
暗号鍵により暗号化された識別情報を、遊技機から受信する手段と、
受信した識別情報を暗号鍵により復号化する手段と、
復号化した識別情報を記憶している識別情報と照合する手段と
を備えることを特徴とする遊技媒体排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−75642(P2006−75642A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349874(P2005−349874)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【分割の表示】特願平11−318945の分割
【原出願日】平成11年11月9日(1999.11.9)
【出願人】(593190397)日本レジャーカードシステム株式会社 (8)
【出願人】(591085972)日本ゲームカード株式会社 (144)
【出願人】(591107481)株式会社エルイーテック (37)
【Fターム(参考)】