説明

遊技機

【課題】 中継基板を介して行われる不正行為を防止する。
【解決手段】 正面側に開口を有する箱状の筐体1bと、前記開口を開閉可能に取付けた扉体1aとからなり、遊技の進行を制御するCPU等の機器が搭載された主基板60を筐体1bに備え、遊技に関する操作情報を入力するコネクタ等と、当該コネクタ等から入力した前記操作情報を主基板60に伝達するための主基板結合用コネクタ836を実装し、前記コネクタ等と主基板結合用コネクタ836とを電気的に接続する信号線が付設された中継基板8を前記扉体の背面側に備えたスロットマシン1であって、所定の強度を有する板状部材からなり、扉体1aと中継基板8の間に取付けて中継基板8を正面側から覆う不正防止板11を備えるとともに、中継基板8は、前記信号線をその背面に付設した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に、基板上の信号線やリードを介して行われる不正行為を防止する構造を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者の操作に伴う種々の操作信号が入力される所定の中継基板を備える遊技機が知られている。
例えば、スロットマシンは、リールの回転を始動させるスタートレバーやリールの回転を停止させる停止ボタン等の操作具が配置される操作部を備え、これらの操作部には、遊技者の操作を検出するスイッチ等が設けられている。
そして、これらのスイッチにおいて検出された入力信号が、スイッチに接続された接続ケーブルを介して、中継基板に入力され、さらに中継基板から、接続ケーブルを介して、スロットマシンの遊技動作を制御する主基板に入力される。
これにより、主基板に遊技者の入力操作が伝達され、一連の遊技が進行するようになっている。
【0003】
近年、中継基板を標的とする不正行為が増えている。
例えば、中継基板に実装されたコネクタ等のリード同士をピアノ線などの不正部材を用いて短絡させることによって、遊技に係る電子回路等の誤動作を起こさせる不正行為が確認されている。
そこで、このような不正行為を防止するための技術として、操作部を備えた前扉の裏側に中継基板(回路基板)を備え、コネクタ等の電子部品が装着された装着面側(即ち、背面側)に保護カバーを、装着面と反対の面に当たる反装着面側(即ち、前面側)に裏カバーを備える遊技機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような遊技機によれば、中継基板の反装着面から突出するコネクタのリードを裏カバーによって保護するようにしているため、上記不正行為を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−45405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された遊技機においては、裏カバーなどの保護部材の堅牢性が考慮されていないためこれらの不正行為を完全に防止することができない問題があった。
例えば、これらの保護部材が、ゴムシートからなる場合(第9の実施形態参照)やプラスチックからなる場合には、ドリル、錐などの道具を用いて比較的容易に保護部材を破壊することができるため、不正行為を抑止することはできても、不正行為そのものを根本的に排除することは困難であった。
また、疑似信号を発振する発信器などの不正部品を、信号線等が付設された中継基板上に装着する不正行為が確認されている。
したがって、特許文献1のように、基板の前面(反装着面)や裏面(装着面)に無秩序に信号線(回路パターン)が付設される構成では、万一、保護部材が破壊された場合、基板の前面に付設された信号線に容易に接触できるようになるため、不正行為の防止措置としては不十分との指摘があった。
さらに、保護部材を取り外してみなければ、不正部品やその装着に至る痕跡を確認することができないため、中継基板の点検がおろそかになり易く、不正行為に対する迅速な対応が困難となる弊害が指摘されていた。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、所定の強度を有する板状部材からなる不正防止板を中継基板の正面側に取付け、中継基板の背面に信号線を付設することによって、中継基板を介して行われる不正行為を防止することができる遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、正面側に開口を有する箱状の筐体と、前記開口を開閉可能に取付けた扉体とからなり、遊技の進行を制御する機器が搭載された主基板を前記筐体に備え、遊技に関する操作情報を入力する一次部品と、当該一次部品から入力した前記操作情報を前記主基板に伝達するための二次部品を実装し、前記一次部品と前記二次部品とを電気的に接続する信号線が付設された中継基板を前記扉体の背面側に備えた遊技機であって、所定の強度を有する板状部材からなり、前記扉体と前記中継基板の間に取付けて前記中継基板を正面側から覆う不正防止板を備えるとともに、前記中継基板は、前記信号線をその背面に付設した構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機によれば、中継基板を介して行われる不正行為を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】スロットマシンの前扉に設置される前面パネル、不正防止板、中枠、中継基板及びカバー部材を示す分解斜視図である。
【図4】中継基板の表示機器実装面の実装構成を表した図である。
【図5】中継基板のコネクタ実装面の実装構成を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
遊技機には、パチンコ機、スロットマシン、アレンジボール、雀球など様々な機類があるが、本実施形態では、メダルを遊技媒体とするスロットマシンに本発明に係る中継基板及びその保護部材を適用した場合について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[スロットマシン本体]
図1及び図2に示すように、スロットマシン1は、複数のリール40(40a〜40c)を備えるドラムユニット4、メダル(遊技媒体)を払い出すメダル払出装置7、コンピュータで構成される主基板60等が収納可能な箱状の筐体1bに構成されており、筐体1bの正面側が前扉1aによって開閉可能に覆われている。
前扉1aは、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体であり、この前扉1aに無色透明、有色透明又は半透明の樹脂製の前面パネル6とその他各部が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
前扉1aの最上部には、表示器L及びスピーカSPが備えられている。表示器Lは、液晶パネルやランプからなる表示手段であり、主に、スロットマシン1の遊技性を高めるための演出表示を行い、スピーカSPは、演出表示に対応したサウンドや効果音を出力するようになっている。
【0012】
前面パネル6のほぼ中央部分には表示窓9が設けられ、筐体内の各リール40a〜40cが外部から視認可能となっている。表示窓9は、スロットマシン1の内部に配設された左リール40a,中リール40b,右リール40cの視認用窓部であり、三つの各リール40a〜40cの周囲に描かれた複数の図柄のうち、縦方向に連続して隣接する複数(通常三つ)の図柄をそれぞれ視認,識別できるようになっている。
また、前面パネル6の表示窓9の下側には、貯留メダル数を表示する貯留枚数表示部6aと、ボーナス遊技におけるメダルの払出総数や消化ゲーム数を表示する状態表示部6bと、入賞時の払出数を表示する獲得枚数表示部6cとが備えられている。
【0013】
前扉1aの上下方向中央部分には、スタートレバー3,停止ボタン5(5a〜5c),メダル投入口2,投入ボタン10(10a、10b)等が備えられている。
スタートレバー3は、三つの各リール40の回転を開始させるゲームスタート手段である。また、このスタートレバー3が遊技者の操作によって押下されることで、主基板60にスタート信号が出力され、本体内部の各リール40a〜40cが一斉に(又は順次)回転するようになっている。
【0014】
停止ボタン5は、回転するリール40を停止させる停止手段であり、左リール40a,中リール40b,右リール40cに対応して設けられた左停止ボタン5a,中停止ボタン5b,右停止ボタン5cが備えられている。この各停止ボタン5a,5b,5cが遊技者の任意のタイミングで押下されることで、主基板60にストップ信号が出力され、対応する各リール40a,40b,40cの回転が停止される。
したがって、遊技者がこれらスタートレバー3及び停止ボタン5を操作することにより、三つのリール40a〜40cを回転及び停止させて、各リール40a〜40cに付された図柄を所定の入賞配列となるように揃えるスロットマシン遊技を行うことができる。
【0015】
メダル投入口2は、ゲームに使用されるメダルの受け入れ口であり、このメダル投入口2から投入されたメダル数に応じてゲームが行えるようになっている。
メダル投入口2の本体内部側には、メダルセレクタ20が備えられており、ここで投入されたメダル数がカウントされ、そのメダル数を示すメダル信号が、主基板60に出力される。また、メダル投入口2から投入されるメダルや、入賞に応じて払い出すべきメダルは、クレジットとして内部貯留でき、内部貯留されたクレジットメダルの数が主基板60に記憶される。
【0016】
投入ボタン10は、内部貯留されたクレジットメダルがある場合に、そのクレジットメダルをゲームに投入するためのスイッチである。一回の押下によって一ゲームに投入可能な最大数のメダル(通常3枚)をクレジットメダルから投入するMAX投入ボタン10aと、一回の押下で1枚のメダルをクレジットメダルから投入する1枚投入ボタン10bとが設けられている。なお、前扉1aの最下部には、メダル払出装置7から払い出されたメダルを受け皿へ導くメダル払出口7aが設けられている。
【0017】
主基板60は、遊技の進行を制御するCPUなどの機器が実装された基板である。
主基板60は、樹脂ケースに収納され、筐体1b内の上側に設けられている。主基板60には、複数のコネクタが設けられ、各コネクタはドラムユニット4やメダル払出装置7などと図示しない電気ケーブルを介して接続されている。
また、主基板60は、メダル投入信号、スタート信号、ストップ信号、出玉率の設定信号等の遊技に関する操作情報を入力する中継基板8と電気ケーブルを介して接続されており、中継基板8を介して入力された操作情報は、主基板60に実装されたCPUのI/O端子に伝送される。そして、これらの操作情報によって、CPUが遊技プログラムに基いて動作することで、スロットマシン1の遊技が進行される。
【0018】
中継基板8は、遊技に関する操作情報を主基板60に伝達するためのコネクタその他の電子部品が実装された基板である。
中継基板8は、前扉1aの背面の表示窓6下側に設けられており、メダル投入口2へのメダルの投入を検出するメダルセレクタ20からのメダル投入信号、所定の可変表示装置を始動させるスタートレバー3からのスタート信号、停止ボタン5からのストップ信号、出玉率の変更操作等の動作を検知するスイッチからの出玉率の設定変更信号といった遊技に関する操作情報を、コネクタ等を介して受信する。受信した遊技に関する操作情報は、基板上の信号線を介して主基板結合用コネクタ836に送られ、この主基板結合用コネクタ836に接続された電気ケーブルを介して主基板60へ送信される。
【0019】
このような中継基板8は、不正行為の標的となり易く、例えば、発信器などの不正部品を、信号線等が付設された中継基板上に装着したり、中継基板8に実装されるコネクタ等の電子部品のリードを短絡したりすることによって遊技動作を不正に発生させる不正行為が確認されている。
そこで、本実施形態のスロットマシン1では、不正行為の対象となりやすい信号線等を中継基板8の背面に付設し、また、中継基板8の正面側には強固な不正防止板11を取付けることで、これらの不正行為を防止するようにしている。
また、中継基板8の背面側に透明の保護カバーを取付けることで、不正行為の痕跡を容易にかつ迅速に視認できるようにしている。
【0020】
(中継基板と周辺部材の構成)
次に、中継基板と周辺部材の構成について説明する。
図3は、スロットマシンの前扉に設置される前面パネル、不正防止板、中枠、中継基板及びカバー部材を示す分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、中継基板8は、前扉1aの前面パネル6の背面側に設置される中枠12に、カバー部材13とともに取り付けられ、その正面側には、不正防止板11が取り付けられる。
なお、図3に示すように、「正面側」とは、前扉1aの前方向を示し、「背面側」とは、前扉1aの裏方向を示す。
【0021】
不正防止板11は、所定の強度を有する板状部材からなる保護部材である。
具体的には、前扉1aと中継基板8の間の所定位置に取付けたときに、中継基板8が不正防止板11によって正面側から覆われるようにしている。
すなわち、図3に示すように、不正防止板11を、中枠12の不正防止板取付部122に固定すると、基板収容部121に収容された中継基板8の全体が不正防止板11によって覆われて保護されるようにしている。
このようにすると、不正行為者が、前扉1aの正面側から中継基板8への接触を試みたとしても、不正防止板11によってこれを阻止することができる。
【0022】
ここで、「所定の強度」とは、不正防止板11が、ドリルや錐など、不正行為のために使用されることが一般に想定される道具等によって破壊されない程度の強度をいう。
このため、不正防止板11としては、ステンレスや鋼板などの金属、ガラス,炭素などの繊維を樹脂に混合して生成した繊維強化プラスチック等の堅牢な材料を用いることが好ましい。
このようにすると、不正防止板11自体の破壊や穿孔を防ぐことができるため、不正行為の防止の万全を図ることができる。
【0023】
中枠12は、表示窓9を囲む枠体(窓枠)として形成され、その下部側に中継基板8を収容する基板収容部121と不正防止板11を取付ける不正防止板取付部122とが設けてある。基板収容部121は、中継基板8を収容可能に凹設され、中継基板8はこの基板収容部121内に固定される。不正防止板取付部122は、基板収容部121の正面側に位置し、不正防止板11をネジ110で固定できるようにしている。
【0024】
カバー部材13は、中継基板8の背面側を覆う。そして、カバー部材13の背面側から中継基板8の取付孔820に挿通されるネジ130により、中継基板8とともに中枠12に固定される。
カバー部材13は、中継基板8のコネクタ実装面8bを外部から視認可能かつ容易に破壊できない無色透明な合成樹脂(例えば、ポリカーボネート)で形成される。
カバー部材13を無色透明することによって、中継基板8のコネクタ実装面8bに付設された信号線(銅箔)や信号線上のフィルムが削られた場合の痕跡や、コネクタ実装面8bに装着された発信器などの不正部品そのものを、カバー部材13を取り外さなくても視認することができる。
このため、中継基板8に対する不正なアクセスを容易に発見することができ、不正行為に対する迅速な対応が可能となる。
【0025】
(中継基板の実装構成)
次に、中継基板の実装構成について説明する。
図4は、中継基板の表示機器面の構成を表した図であり、図5は、中継基板のコネクタ実装面の構成を表した図である。
これらの図に示すように、本実施形態の中継基板8は、コネクタやスイッチなど、主に遊技に関する操作情報を扱う電子部品が実装されるコネクタ実装面8bと、LED等の表示機器を実装した表示機器実装面8aとから構成される。
中継基板8は、表示機器実装面8aが前面で、コネクタ実装面8bが背面にしてある(図3参照)。
【0026】
例えば、図5に示すように、背面に当たるコネクタ実装面8bは、遊技に関する操作情報を入力する一次部品として、スタートレバー3からの電気ケーブルを接続するためのスタート用コネクタ831、停止ボタン5からの電気ケーブルを接続するための停止ボタン用コネクタ832、メダルセレクタ20からの電気ケーブルを接続するためのセレクタ用コネクタ833、出玉率を設定変更するための設定変更スイッチ834を実装する。
また、一次部品から入力した操作情報を主基板60に伝達するための二次部品として、主基板60への電気ケーブルを結合するための主基板結合用コネクタ836を実装する。
【0027】
そして、一次部品と二次部品とを電気的に接続するための信号線をコネクタ実装面8bに付設することによって、中継基板8の背面に信号線が付設されるようにしている。具体的には、表面に銅箔が積層された基板上において、一次部品と二次部品とを接続するルートにプリントを施し、プリントが施されたルート以外の部分の銅箔を液剤等で除去する工程等を経て対象の信号線を付設する。
対象の信号線としては、スタート用コネクタ831〜主基板結合用コネクタ836間の信号線841、セレクタ用コネクタ833〜主基板結合用コネクタ836間の信号線842、及び、設定変更スイッチ834〜主基板結合用コネクタ836間の信号線843が該当する。
すなわち、操作情報を扱う信号線のうち、特に、不正行為の標的となり易い信号線を中継基板8の背面に配設する。
【0028】
なお、コネクタ実装面8bは、出玉率の設定変更情報を表示するセグメントLED835、リセット処理やドア開閉に係る信号を受信するコネクタ837、投入・精算に係る信号を受信するコネクタ838等、遊技に関する操作情報を入出力しない電子部品を実装することも可能であり、特に、このような電子部品の実装を制限するものではない。
【0029】
このように、本実施形態のスロットマシン1は、遊技に関する操作情報を入力するコネクタ、スイッチ等のみならず、不正行為の標的となり易い信号線を中継基板8の背面に配置するようにしている。
このため、スロットマシン1の正面側から、基板上の信号線や電子部品への接触を試みたとしても、不正防止板11によってこれを阻止することができ、仮に、不正防止板11が突破されたとしても、信号線の付設や電子部品の実装が裏面に施されているため不正行為を効果的に防止することができる。
【0030】
一方、表示機器実装面8aには、コネクタ実装面8bに実装した電子部品のリードが突出され、この突出したリードに対し基板上で半田付けを施すことで電子部品の固定とリードの接続を行うようにしている。
例えば、図4に示すように、スタート用コネクタ831の対応した位置にスタート用コネクタリード806が、セレクタ用コネクタ833の対応した位置にセレクタ用コネクタリード808が、設定変更スイッチ834の対応した位置に設定変更スイッチリード811が、主基板結合用コネクタ836の対応した位置に主基板結合用コネクタリード810が、それぞれ剥き出しの状態で突出している。これらのリードは、リード同士を短絡させる不正行為の対象となり得る。
本実施形態のように、中継基板8の正面側に不正防止板11を配置するスロットマシン1によれば、このような不正行為も防止することができる。
なお、表示機器実装面8aには、設定変更用LEDリード809、リセットセンサ・ドア開閉センサ用コネクタリード813、投入・精算用コネクタリード812等のリードもあり、これらのリードが不正防止板11によって保護される効果も奏する。
【0031】
ところで、本実施形態の中継基板8は、表示機器実装面8aに、7セグメントLED等、遊技に関する所定の情報を表示する表示機器を実装する。
例えば、図4に示すように、貯留メダル数を表示するクレジットLED801、ボーナス遊技におけるメダルの払出総数や消化ゲーム数を表示するボーナス中払い出し総枚数用LED802、入賞時の払出数を表示する払い出し枚数用LED803を表示機器として実装し、中継基板8を図3に示す基板収容部121に収容することによって、各々が貯留枚数表示部6a、状態表示部6b、獲得枚数表示部6cとして機能する(図1参照)。
その他、表示機器として、種々の情報表示、装飾のためのLED804、805を表示機器実装面8aに実装することができる。
【0032】
このようにして構成された中継基板8に対して、不正防止板11は、図4及び図5に示すように、表示機器の視認性を確保しながら、リードが剥き出しになる部分を覆うようにしている。
さらに、スタート用コネクタ831等の一次部品と主基板結合用コネクタ836等の二次部品とをつなぐ信号線は、この「不正防止板領域r」の範囲内に付設してある。
このようにすると、表示機器に表示される情報を視認可能としながら、リード及び信号線に対する不正アクセスを防止することができる。
【0033】
すなわち、リード同士を短絡して疑似信号を発生させることによって遊技を進行させる不正行為を防ぐことができる。
また、信号線が付設されている領域が、不正防止板11によって覆われているため、中継基板8の正面側からドリル等により穿孔して信号線に不正アクセスする行為を阻止することができる。
さらに、万一、不正防止板11に覆われていない部分から中継基板8に接触できたとしても、その部分の表示機器実装面8a及びコネクタ実装面8bの両面には、遊技に関する操作情報を扱う信号線が施されていないため、信号線を介して行われる不正行為を困難にすることができる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るスロットマシン1によれば、中継基板8の背面に不正行為の標的となりやすい信号線やコネクタを付設し、ドリルや錐などの道具によっては容易に破壊することができない堅牢な不正防止板11を、扉体1aと中継基板8の間に取付けて中継基板8を正面側から覆うようにしている。
また、無色透明の保護カバーを中継基板8の背面側に取付けるようにしている。
このため、中継基板8を介して行われる不正行為を防止するとともに、不正行為に対する迅速な対応を行うことができる。
【0035】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、不正防止板11は、中枠12に取付けるのではなく、中継基板8に直接取付けるようにすることもできる。
また、中枠12をこのような強固な部材で形成し、基板収容部121に収容した中継基板8が中枠12により覆われるようにすることもできる。
このようにすると、不正防止板11としての役割を中枠12が併せ持ち、中枠12と不正防止板11とが一体化されることになるため、不正行為の防止に必要な部材を削減し、製造コストや組立時の労力を抑えることができる。
【0036】
なお、上述の実施形態においては、不正防止板11を中枠12の正面側に取付けるようにしているが、これを中枠12の背面側に取付けるようにすることもできる。例えば、中枠12の背面側に設けた不正防止板取付部122に不正防止板11と中継基板8を順に重ね、これらをカバー部材13で覆って取付けることもできる。すなわち、不正防止板11は、中継基板8の前面を覆うことができればよく、その取付け態様を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、スロットマシン等、入力情報にもとづいて遊技を進行する遊技機に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 スロットマシン(遊技機)
1a 前扉
1b 筐体
20 メダルセレクタ
3 スタートレバー
6 前面パネル
8 中継基板(8a:表示機器実装面、8b:コネクタ実装面)
801〜805 表示機器
806〜813 リード
831 スタート用コネクタ
833 セレクタ用コネクタ
834 設定変更スイッチ
836 主基板結合用コネクタ
9 表示窓
11 不正防止板
12 中枠
121 基板収容部
122 不正防止板取付部
13 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側に開口を有する箱状の筐体と、前記開口を開閉可能に取付けた扉体とからなり、遊技の進行を制御する機器が搭載された主基板を前記筐体に備え、遊技に関する操作情報を入力する一次部品と、当該一次部品から入力した前記操作情報を前記主基板に伝達するための二次部品を実装し、前記一次部品と前記二次部品とを電気的に接続する信号線が付設された中継基板を前記扉体の背面側に備えた遊技機であって、
所定の強度を有する板状部材からなり、前記扉体と前記中継基板の間に取付けて前記中継基板を正面側から覆う不正防止板を備えるとともに、
前記中継基板は、前記信号線をその背面に付設したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記不正防止板は、
前記中継基板がその前面に所定の表示機器を実装する場合に、前記表示機器を除く中継基板の領域を正面側から覆い、
前記中継基板は、
前記信号線が、前記不正防止板によって覆われる領域の範囲内に付設されることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記中継基板は、
前記一次部品として、所定の可変表示装置を始動させるスタートレバーからの信号を入力するスタート用コネクタ、遊技媒体の投入を検出するメダルセレクタからの信号を入力するセレクタ用コネクタ、又は、出玉率の設定変更信号を入力する設定変更スイッチのいずれか一以上を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記中継基板の背面を覆う透明のカバー部材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の遊技機。
【請求項5】
前記扉体の背面側に設置する枠体であって、前記中継基板を収容する基板収容部を背面側に有するとともに、前記不正防止板を取付ける不正防止板取付部を正面側又は背面側に有する中枠を備え、
前記基板収容部に収容した前記中継基板が、前記不正防止板取付部に取付けた前記不正防止板によって覆われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−85783(P2013−85783A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230341(P2011−230341)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】