遊技用ベット装置
【課題】高周波ノイズの発生により無線ICタグを読み出せなくなることを防止できるようにすることで、ベット用ボード上の各位置に載置されたチップの無線ICタグをいずれも的確に読み出すことができるようにすることである。
【解決手段】アンテナ21は、ベット用ボード4の上面に載置された遊技用のチップに設けられた無線ICタグを起電させる電磁波を発生する。アンテナ21は、ベット用ボード4の各ベット部位3にそれぞれ複数個対応して設けられている。アンテナ31は、無線ICタグからの信号を受信する。アンテナ31は、それぞれ複数個のアンテナ21に対応して設けられている。各アンテナ21は、各アンテナ31に対応している複数個のアンテナ21ごとに、順次切り替えて駆動する。また、各アンテナ31については、少なくとも当該アンテナ31に対応している複数個のアンテナ21のいずれかにおいて電磁波を発生させている間は駆動する。
【解決手段】アンテナ21は、ベット用ボード4の上面に載置された遊技用のチップに設けられた無線ICタグを起電させる電磁波を発生する。アンテナ21は、ベット用ボード4の各ベット部位3にそれぞれ複数個対応して設けられている。アンテナ31は、無線ICタグからの信号を受信する。アンテナ31は、それぞれ複数個のアンテナ21に対応して設けられている。各アンテナ21は、各アンテナ31に対応している複数個のアンテナ21ごとに、順次切り替えて駆動する。また、各アンテナ31については、少なくとも当該アンテナ31に対応している複数個のアンテナ21のいずれかにおいて電磁波を発生させている間は駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーレット盤などを用いた遊技において遊技者が遊技用のチップをベットするための遊技用ベット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、X側送信アンテナ及びY側送信アンテナで電波を発信させると、XYのクロスポイントにおけるテーブルに垂直なフラックス(flux)により電波を発生させて、当該クロスポイント上のテーブルに載置されたチップに設けられた無線ICタグのIDを読み取り、この読取りはベット部ごとに順次行う技術について開示されている。
【0003】
カジノなどで使用されるルーレット等のテーブルゲームのベット用ボードは、その上面に枠が表示されていて、当該枠により複数の区画(ベット部位)に区分けされている。そして、その上面に遊技者がチップを載せてベットする。その後、前述した特許文献1,2の技術のように、各ベット部位にベットされたチップの無線ICタグの情報の読取りを行なう。
【0004】
図12は、ベット用ボードの上面101の一部の平面図である。この上面101は枠102により区分けされた複数のベット部位103を備えている。同図はその複数のベット部位103の一部を示している。このようなベット用ボードにおいて、ベット用のチップに無線ICタグを設け、ベットされたチップの無線ICタグの情報を読み取るには次のようにする。
【0005】
すなわち、図13に示すように、ベット用ボードに無線ICタグを読み取るためのループ状のアンテナ(アンテナコイル)104を複数個設ける。各アンテナ104は、各ベット部位103に対応して設けられ、各ベット部位103の境界となる枠102に沿うように配置されている。図13のA1〜A6までのアンテナ104はそれぞれ図12の各ベット部位103に対応している。
【0006】
図14は、上面101に載置されたチップ105とアンテナ104との配置関係を示している。同図の例では、各チップ105の無線ICタグはそれぞれA1,A5,A6のアンテナ104により読み取ることができる。また、通常、チップは積み重ねられて上面101に載置されるが、同一位置に複数枚積み重ねられたチップの無線ICタグも単一のアンテナ104により読み取ることができる。そして、複数のアンテナ104を順次切り替えて無線ICタグの読み取り動作を行うようにすれば、ベット用ボード上に載置されたすべてのチップ105の無線ICタグを読み取ることができる。
【0007】
ところで、ルーレットゲームにおけるベット用ボードでのチップ105のベット位置としては、図14に示すような各ベット部位103内に収まるベット位置の他に、図15に示すように隣接するベット部位103間に跨った位置がベット位置となることがある。図15の例では、A1のアンテナ104(の配置されているベット部位103)とA4のアンテナ104(の配置されているベット部位103)とに跨って置かれているチップ105については、読み出し電波の出力が充分ある場合には、両方のアンテナ105で当該チップ105の無線ICタグを読み出すことが可能であるので、当該チップ105はA1のアンテナ104とA4のアンテナ104とに跨って置かれていると判断することができる。一方、A2,A3,A5,A6の4つのアンテナ104に跨って置かれたチップ105については、各アンテナ104にかかるチップ105の面積が非常に狭くなり、そのため当該チップ105に設けられた無線ICタグの読み出しが困難になる。更に、チップ105を複数枚積み上げた場合には、積み上げられた上方のチップ105については無線ICタグの読み出しは殆ど不可能である。
【0008】
図16は、このような不具合を解決するためのベット用ボードの構成例を示すものである。図16の例では、前述の例に比べてアンテナ104の大きさを半分としている。そして、アンテナ104を各ベット部位103の中央部と、隣り合うベット部位103同士の境界部分(矩形状の各ベット部位103の4つの角部分の位置と当該角部分同士の間の位置)とに配置している。このように配置すれば、ベット部位103の中央部に置かれたチップ105の無線ICタグは当該ベット部位103の中央部に配置されたアンテナ104で読み取ることができる。また、隣り合う2つのベット部位103の境界部分に置かれたチップ105の無線ICタグは当該境界部分に配置されたアンテナ104で読み取ることができる。さらに、4つのベット部位103の向き合う角部分に置かれたチップ105の無線ICタグは当該角部分に配置されたアンテナ104で読み取ることができる。
【0009】
このように、アンテナ104を小さくし、多数のアンテナ104をベット用ボードの上面101に対応して密に配置するようにすれば、ベット用ボード上のさまざまな位置に載置されたチップ105を的確に読み取ることができる。
【0010】
また、ルーレットゲームにおけるベット用ボードでは、ベットされたチップ105の全ての無線ICタグを、ある限られた時間内に読み取る必要がある。そのため、アンテナ104の数が増えると1つのアンテナ104に割り当てられた無線ICタグの読み出し時間は非常に短いものとなってしまう。
【0011】
さらに、アンテナ104から電磁波、より具体的には磁界を発生すると、この磁界により起電した無線ICタグはアンテナ104に信号を返す。この際に無線ICタグ側で変調するときには、無線ICタグは、負荷となる抵抗又は容量をオン、オフして無線ICタグ内のコイルの電流を変化させて反磁界を発生する負荷変調を行なっている。
【特許文献1】2004‐105321号公報
【特許文献2】2004‐102953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、前述の例で、無線ICタグから負荷変調で返される信号は、アンテナ104から発生される磁界の出力と比較すると非常に小さく、ノイズなどが混入すると正しく無線ICタグの情報が読み出せなくなる。
【0013】
そのため、多数のアンテナ104を高速にスイッチングして各チップ105の無線ICタグの読み出しを行おうとすると、このアンテナ104の高速スイッチングにより発生する高周波ノイズにより無線ICタグの情報が正しく読み出せなくなるという不具合がある。
【0014】
本発明の目的は、高周波ノイズの発生により無線ICタグを読み出せなくなることを防止することで、ベット用ボード上の各位置に載置されたチップの無線ICタグをいずれも的確に読み出すことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明は、複数の区画が構成されたベット用ボードと、前記各区画にそれぞれ複数個対応して設けられ、前記ベット用ボードに載置された遊技用のチップに設けられた無線ICタグを起電させる電磁波を発生する第1のアンテナと、それぞれ複数個の前記第1のアンテナに対応して少なくとも1個以上設けられ、前記無線ICタグからの信号を受信する第2のアンテナと、前記第2のアンテナに対応している複数個の前記第1のアンテナごとに複数個の前記第1のアンテナを順次切り替えて駆動する第1のアンテナ駆動手段と、前記第2のアンテナに対応している複数個の前記第1のアンテナのいずれかにおいて電磁波を発生させている間は当該第2のアンテナを駆動する第2のアンテナ駆動手段と、を備えていることを特徴とする遊技用ベット装置である。
【0016】
この発明によれば、無線ICタグが起電するための第1のアンテナは、各区画に対応してそれぞれ複数個設けられており、無線ICタグを起電させるための第1のアンテナと、無線ICタグの情報を読み出すための第2のアンテナとは分かれていて、それぞれ別々に配置されている。そして、第1のアンテナが比較的小さな領域にそれぞれ対応して多数個配置されているのに対して、第2のアンテナは1つ1つが複数の第1のアンテナに対応しており、よって、それぞれがより広い領域を対象とするように配置されている。そのため、第2のアンテナは少数配置すれば済むので、各第2のアンテナを順次切り替える回数は少なくなる。よって、第2のアンテナの切り替えのためのスイッチングは低速に行なうことができるので、高周波ノイズを発生することがない。このため、無線ICタグから負荷変調で返される信号は、第2のアンテナから発生される磁界の出力と比較して非常に小さくても、ノイズなどが混入することがなく、正しく無線ICタグの情報を読み出すことができる。
【0017】
さらに、上述の構成とすることで、ベット用ボード上の複数の区画から構成される領域のさまざまな位置に遊技チップがベットされても、当該遊技チップの無線ICタグを的確に起電させ、無線ICタグを正しく動作させることができる。そして、複数の第1のアンテナに対応してそれぞれ設けられた第2のアンテナを介して無線ICタグの情報を的確に読み出すことができる。
【0018】
(2)この場合に、前記各第1のアンテナは、前記区画の中央部と前記区画同士の境界領域とにそれぞれ設けられている、ことを特徴とするようにしてもよい。
【0019】
この発明によれば、区画の中央部に遊技チップが置かれていても、区画と区画の境界部分に遊技チップが置かれていても、これらの位置にそれぞれ対応して第1のアンテナが配置されているため、遊技チップの無線ICタグを適切に起電させることができる。
【0020】
(3)また、前記第2のアンテナは、複数個設けられ、前記第2のアンテナ駆動手段は、複数個の前記第2のアンテナのうち互いに隣接していないもの同士を同時並行的に駆動し、前記第1のアンテナ駆動手段は、同時並行的に駆動している複数の前記第2のアンテナにそれぞれ対応している複数の前記第1のアンテナを当該第2のアンテナ間で同時並行的に駆動する、ことを特徴とするようにしてもよい。
【0021】
この発明によれば、複数の第2のアンテナを同時並行的に駆動し、その同時並行的に駆動される複数の第2のアンテナ間で対応する第1のアンテナも同時並行的に駆動するので、ベット用ボード上の全ての遊技チップの無線ICタグを読み出すために要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高周波ノイズの発生により無線ICタグを読み出せなくなることを防止できるようにしたことで、ベット用ボード上の各位置に載置されたチップの無線ICタグをいずれも的確に読み出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1は、ルーレット盤の平面図である。図2は、遊技用ベット装置のベット用ボードの平面図である。図3は、ベット用ボードの一部拡大斜視図である。
【0025】
ルーレット盤51及び遊技用ベット装置1は、例えばカジノホテル内のカジノなどで使用される。すなわち、遊技者は、ルーレット盤51に投入されたルーレット球61の出目位置を予想し、遊技用ベット装置1を使用して当該出目位置に対応するベット部位3に遊技チップ71をベットする各種遊技を行なう。
【0026】
遊技用ベット装置1は、その上面にルーレット盤51の出目位置に対応する複数のベット部位3(例えば、0,00,1,2,…,35,36の数字で区分けされた各スポット)が割り当てられた、遊技チップ71をベットするためのベット用ボード4を備えている。ベット用ボード4上の各ベット部位3は、枠5によって区切られたベット用ボード4の上面の各区画である。各遊技チップ71には、当該遊技チップ71に関する情報が記録された無線ICタグ72が設けられている。ルーレット盤51には、当該ルーレット盤51上におけるルーレット球61の出目位置や出目種類を検出する出目検出装置52が設けられている。また、ベット用ボード4には、ベット部位3に遊技チップ71がベットされた際に、無線ICタグ72に記録された遊技チップ71に関する情報を読み取ることによって当該遊技チップ71のベット位置及び掛け金の価値を検出するベット情報検出装置11(後述)を備えている。さらに、図示は省略するが、カジノ内にはルーレット盤51上におけるルーレット球61の位置と遊技チップ71のベット位置及び価値とに基づいて、当該遊技(ルーレットゲーム)の配当金を算出する配当金算出システム(後述)が用意されている。
【0027】
無線ICタグ72に記録された遊技チップ71に関する情報には、当該遊技チップ71を特定する固有番号(遊技チップ71を識別する番号)、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ71を使用可能な場所(当該遊技チップ71が使用されるカジノを識別する情報)等の情報が含まれる。
【0028】
出目検出装置52は、ID読取装置から構成されている(詳細は図示せず)。このID読取装置は、X側スキャンドライバから互いに平行に延出したX側送信アンテナ及びX側受信アンテナと、Y側スキャンドライバから互いに平行に延出したY側送信アンテナ及びY側受信アンテナとを直交配置して構成されている。このID読取装置によれば、X側送信アンテナ及びY側送信アンテナからスキャン電波を発信させると、アンテナ相互のクロスポイント付近に読取用電波が立ち上がる。この読取用電波は、X側受信アンテナ及びY側受信アンテナで受信されるが、クロスポイント付近にルーレット球61あると、ルーレット球61の誘電体化に伴うインピーダンスの変化によって、受信状態に変化が生じる。この変化状態を検出することによって、ルーレット61の有無が判断される。
【0029】
より詳細に説明すると、ルーレット盤51は、円形の回転体構造を成しており、その中心軸53に対して同心円状に合計38個のポケット54(図では一部のみを示す)が形成されている。各ポケット54には、ベット用ボード4に割り当てられた複数のベット部位3に対応した数字(例えば、0,00,1,2,…,35,36)が表示されている。ID読取装置のクロスポイントは、38個のポケット54にそれぞれ配置されており、ポケット54にルーレット球61が入ったとき、そのルーレット球61はいずれかのクロスポイント上に位置付けられる。上述した読取用電波は、遊技中は常時立ち上がった状態にあるため、あるクロスポイント上にルーレット球61が位置付けられると、そのポケット54の受信状態のみが変化する。この結果、ルーレット盤51の何処の位置(何処のポケット54)にルーレット球61が入ったのかを検出することができる。このとき検出されたデータは、カジノホテル内のPTS(プレーヤートラッキングシステム)サーバ(図示せず)に送られ、その履歴が一括管理される。
【0030】
なお、ルーレット球61には、当該ルーレット球61を識別するルーレット球識別情報が記録された無線ICタグ(図示せず)が設けられている。この無線ICタグはルーレット球61に埋め込まれており、ルーレット球識別情報には、当該ルーレット球61の出所や使用可能な場所(当該ルーレット球61が使用可能なカジノ)、球の種類等の情報が含まれている。ルーレット球識別情報記録手段に記録されたルーレット球識別情報は、出目検出装置52のID読取装置によって読み取ることができる。そして、読み取られた情報に基づいて、使用できるルーレット球61と、そうでないものとの判別を行うことができる。このため、偽造されたルーレット球61を持ち込んで使用するといった不正行為や侵害行為などの発生を防止することが可能となる。
【0031】
このような遊技システムにおいて、ルーレット盤51での遊技を希望する者は、証明カードを持ってカジノに入場する。この証明カードは、カジノホテルにチェックインした客に対しホテルフロントのカード発券機によって発行されるカードである。証明カードは、その客を特定するためのカードであり、その発行以降は、お客は当該カジノホテル内において当該証明カードを提示してチェックを受けることにより全ての施設の利用が可能となる。例えば、ホテル内のレストランやバーのレジでは、証明カードがカードリーダで読み取られることによって支払請求金額が当該カジノホテルのホテルサーバに当該客の識別情報と関連付けて蓄積され、客がカジノホテルをチェックアウトする際には全ての支払請求金額がホテルのフロントの端末に表示される。即ち、証明カードは、カジノホテル内でのさまざまな決済に使用するクレジットカードとしての機能を有している。
【0032】
そして、客が証明カードを持ってカジノに入場した際、遊技チップ発行/精算機で所望枚数の遊技チップ71を入手し、ベット用ボード4に設けられた証明カード読み取り用の読取装置(図示せず)に証明カードをセットする。このとき、読取装置が証明カードの内容を読み取って、その客を特定し、遊技の参加者として認識する。読取装置による認識データは、前述のPTSサーバに送られ、現在のゲームにおける参加者として登録される。なお、証明カードの読取方式は、証明カードの記録方式(磁気記録、光記録)に応じて任意に設定(磁気的な読取方式、光学的な読取方式)することが可能である。
【0033】
ルーレットゲームにおいては、まず、ディーラーがルーレット盤51を廻してルーレット球71をルーレット盤51内に投入する。この間、遊技の参加者は、手持ちの遊技チップ71をベット用ボード4の所望のベット部位3にベットする。図2の例では、ある参加者はコーナー(4,5,7,8)にベットし、別の参加者がストレート(9)にベットし、別の参加者がコラム(2to1)にベットしている。このとき、ベット情報検出装置11によって各参加者のベット位置と掛け金の価値(1ドル、5ドル、10ドル等の掛け金の金額)とが検出され、その検出結果がPTSサーバに送られ、その履歴が一括管理される。
【0034】
その後、ルーレット盤51の回転が緩やかになって、ルーレット球61が入ったポケット54の出目が例えば「8」である場合、出目検出装置52によってルーレット球61の出目位置「8」が検出され、その検出結果がPTSサーバに送られ、その履歴が一括管理される。なお、このPTSサーバは、当該ルーレット盤51以外のルーレット盤や、スロットマシンなどの他の遊技機に関して履歴や様々なデータを一括管理するようにしてもよい。
【0035】
カジノホテル内の集計・分析サーバ(図示せず)には、配当金算出システムが構築されており、ルーレット盤51上におけるルーレット球61の位置(前述の例では出目「8」)と遊技チップ71のベット位置及び掛け金の価値とに基づいて、当該遊技(ルーレットゲーム)の配当金が算出される。
【0036】
次に、遊技用ベット装置1のベット情報検出装置11について詳細に説明する。
【0037】
図4は、ベット情報検出装置11の充電装置12、制御装置14及び無線ICタグ72の電気的な接続のブロック図である。図5は、ベット情報検出装置11の読取装置13、制御装置14及び無線ICタグ72の電気的な接続のブロック図である。すなわち、ベット情報検出装置11は、充電装置12と、読取装置13と、制御装置14とを備えている。
【0038】
制御装置14は、充電装置12に対して電磁波(磁界)を発生させて無線ICタグ72に起電させるように命令し、また、読取装置13に対して無線ICタグ72の記録している情報を読み取って当該データを送信する様命令する。
【0039】
充電装置12は、複数のアンテナ(アンテナコイル)21と、送信部22と、切替部23と、制御部24とを備えている。制御部24は、制御装置14からの命令を受け取り、これに応じて送信部22と切替部23とを駆動する。送信部22は、アンテナ21に通電して無線ICタグ72において起電させるための磁界を発生させる。切替部23は、各アンテナ21を順次切替え、各アンテナ21から順番に磁界を発生させる。
【0040】
読取装置13は、複数のアンテナ(アンテナコイル)31と、送受信部32と、切替部33と、制御部34とを備えている。
【0041】
制御部34は、制御装置14からの命令を受け取り、これに応じて送受信部32と切替部33とを駆動する。
【0042】
送受信部32は、アンテナ31を介して無線ICタグ72と無線により交信を行う機能を有する。送受信部32は、変調部35と復調部36とを備えている。変調部35は、キャリア波を制御部34から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報により所定の変調方式で変調して変調されたキャリア波(変調信号)を生成し、アンテナ31に供給する。復調部36は、無線ICタグ72が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式で変調された変調信号を復調し、当該データに応じた信号を取り出し、制御部34に渡す。
【0043】
アンテナ31は、変調部36から受け取った変調されたキャリア波を無線ICタグ72に向けて放射すると共に、無線ICタグ72から放射された変調信号を受信し、この変調信号を復調部36に供給する。
【0044】
切替部33は、各アンテナ31を順次切替え、各アンテナ31から順番に変調されたキャリア波を放射させる。
【0045】
無線ICタグ72は、いわゆる磁界型の無線ICタグであり、メモリ73と、制御部74と、送受信部75と、アンテナ(アンテナコイル)76とを備えている。メモリ73は、遊技チップ71を特定する固有番号(遊技チップ71を識別する番号)、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ71を使用可能な場所(当該遊技チップ71が使用されるカジノを識別する情報)等の情報を記憶している記憶装置である。制御部74は、読取装置13から受信したコマンド、リクエスト、命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部75は、変調部(図示せず)、復調部(図示せず)を有しており、読取装置13と交信を行うために信号の変調/復調を行う。アンテナ76は充電装置12からの磁界により送受信部75に給電すると共に、送受信部75からの変調された変調波を受け取り、これを読取装置13に受信させる様、空中に放射する。
【0046】
このように、ベット情報検出装置11は、無線ICタグ72の起電を充電装置12により行い、無線ICタグ72の情報の読み取りを読取装置13で行うようにしている。すなわち、無線ICタグ72の起電と無線ICタグ72の情報の読み取りとを異なるアンテナを介して別々に行なうようにしている。
【0047】
次に、充電装置12の切替部23と、読取装置13の切替部33とについて説明する。
【0048】
図6〜図8は、切替部23(33)の構成を説明する回路図である。切替部23と切替部33の基本構成は同様であり、同一の図6〜図8を参照して説明する。切替部23(33)は、X側スキャンドライバ41とY側スキャンドライバ42とを備えている。X側スキャンドライバ41からは互いに平行な複数本のX側送信ライン43が延びている。また、Y側スキャンドライバ42からは互いに平行な複数本のY側送信ライン44が延びている。この複数本のX側送信ライン43と複数本のY側送信ライン44とは一方が縦方向、他方が横方向に延びて各所で交差している。そして、この各クロスポイントにはリレー回路45が設けられている。各リレー回路45は、そのコイル46の一端側がX側送信ライン43、他端側がY側送信ライン44に接続されている。コイル46のX側送信ライン43側にはダイオード48がX側送信ライン43側をカソード側、コイル46側をアノード側として介装されている。通常、各リレー回路45をOFFにしておく場合は、各X側送信ライン43をHレベルに維持しておき、各Y側送信ライン44をLレベルに維持しておく。そして、いずれかのリレー回路45のスイッチ47をONにしたいときは、所望のリレー回路45がそのクロスポイントにおいて接続されているX側送信ライン43をLレベルに切り替え、同様にそのクロスポイントにおいて接続されているY側送信ライン44をHレベルに切り替える。これによりコイル46に通電してスイッチ47が閉じる。
【0049】
このような各リレー回路45は各アンテナ21(31)に1対1で対応して設けられている。すなわち、1つのアンテナ21(31)は1つのリレー回路45と直列に接続されていて、あるリレー回路45がOFFであれば当該リレー回路45と直列接続されたアンテナ21(31)は駆動せず、リレー回路45がONになれば当該リレー回路45と直列接続されたアンテナ21(31)が駆動する。
【0050】
次に、各アンテナ21,31の配置について説明する。
【0051】
図9は、各アンテナ21,31の配置を説明する平面図である。図9においては、ベット用ボード4の上面の各ベット部位3のうちの一部を示している。各アンテナ21,31はベット用ボード4の各所に配置されている。
【0052】
まず、アンテナ21は、縦横のサイズがいずれも各ベット部位3のほぼ1/2の大きさである。アンテナ21は、各ベット部位3にそれぞれ対応してそれぞれのベット部位3に複数個設けられている。図9の例では、各ベット部位3の中央部と、各角部と、当該各角部間の位置とにそれぞれアンテナ21が配置されている。より具体的に示すと、図9においては2×3で合計6個のベット部位3が設けられているが、例えば左上のベット部位3であれば、その中央部にB8のアンテナ21が、4つの角部にB1,B3,B13,B15のアンテナ21が、当該4つの各角部間の各位置にB2,B7,B9,B14のアンテナ21が、それぞれ対応させて配置されている。
【0053】
アンテナ31は、縦のサイズが各ベット部位3のほぼ2.5倍、横のサイズが各ベット部位3のほぼ2倍である。各アンテナ31は、それぞれ複数個のアンテナ21に対応して設けられている。図9の例では、1つのアンテナ31に20個のアンテナ21が対応している。そして、隣接するアンテナ31同士は一部が重なって設けられている。図9の例では、C1のアンテナ31とC2のアンテナ31とが一部分重なっていて、B4,B10,B16,B22の各アンテナ21はC1のアンテナ31にもC2のアンテナ31にも対応している。なお、アンテナ31の駆動によっても無線ICタグ72に起電させることが可能であるが、本実施の形態では、アンテナ31の駆動だけでは無線ICタグ72に起電させて情報を読み出すことまではできないように調整されている。
【0054】
次に、無線ICタグ72を起電するための各アンテナ21と、無線ICタグ72の情報を受信するための各アンテナ31の具体的な駆動について説明する。
【0055】
図10は、各アンテナ21,31の駆動について説明するタイミングチャートである。同図においては、制御装置14、各アンテナ21、各アンテナ31のON、OFFのタイミングについて示している。制御装置14に対してベット用ボード4上にベットされている各遊技チップ71の各無線ICタグ72の読取りが指示されると、制御装置14の動作がONとなり、制御装置14はONとなっている間に充電装置12、読取装置13を制御して、切替部23,33による切替動作により各アンテナ21,31を順次駆動する。すなわち、切替部33の切替えにより各アンテナ31を1つ1つ順次切り替えて駆動させる。図10では、この各アンテナ31を読み出しコイル1,2,…のように示している。そして、1つのアンテナ31を駆動している間に、当該アンテナ31に対応している各アンテナ21を順次切り替えていく。図10では、読み出しコイル1,2,…に対応して、各アンテナ21を充電コイル11,12,…,1n(以上、読み出しコイル1に対応),21,22,…,2n(以上、読み出しコイル2に対応),…を順次切り替える。
【0056】
このように、本実施の形態の遊技用ベット装置1によれば、無線ICタグ72が起電するためのアンテナ21は、比較的小型で、各ベット部位3に対応してそれぞれ複数個設けられている。よって、ベット用ボード4上の複数のベット部位3から構成される領域のさまざまな位置に遊技チップ71がベットされても、無線ICタグ72を起電させることができる。すなわち、ベット部位3の中央部に遊技チップ71が置かれていても、2つのベット部位3の境界部分に遊技チップ71が置かれていても、あるいは、4つのベット部位3の角部分が向き合った部分に遊技チップ71が置かれていても、いずれの場合も遊技チップ71の無線ICタグ72を適切に起電させることができる。これらの位置にそれぞれ対応してアンテナ21が配置されているためである。よって、複数のベット部位3から構成される領域の何れの位置に遊技チップ71がベットされても、当該遊技チップ71の無線ICタグ72は的確に動作することができる。そして、複数のアンテナ21に対応してそれぞれ設けられたアンテナ31を介して無線ICタグ72は読取装置13と通信を行うことができるので、遊技用ベット装置1はベットされている全ての遊技チップ71の無線ICタグ72の情報を的確に読み出すことができる。
【0057】
また、本実施の形態の遊技用ベット装置1によれば、無線ICタグ72を起電させるためのアンテナ21と、無線ICタグ72の情報を読み出すためのアンテナ31とは分かれていて別々に配置されている。そして、アンテナ21が小さな領域にそれぞれ対応して多数個配置されているのに対して、アンテナ31は1つ1つが複数のアンテナ21に対応していて、よって、広い領域を対象とするように配置されている。そのため、アンテナ21は多数個存在するために図10に示すように頻繁に切り替えることになるが、アンテナ31は少数しか存在しないために図10に示すように切り替える回数が少ない。よって、アンテナ31の切り替えのためのスイッチングは低速に行なうことができるので、当該スイッチングにより高周波ノイズを発生することがない。このため、無線ICタグ72から負荷変調で返される信号は、アンテナ31から発生される磁界の出力と比較して非常に小さくても、ノイズなどが混入することがなく、正しく無線ICタグ72の情報が読み出すことができる。
【0058】
また、各アンテナ21,31の駆動については以下のようにしてもよい。すなわち、図11に示すように、C1〜C6の各アンテナ31が配置されていた場合に、C1,C3,C5の各アンテナ31は互いに隣接しておらず、C2,C4,C6の各アンテナ31も互いに隣接していない(角部分が向き合っているのみ)。そこで、このような互いに隣接していない各アンテナ31は同時に駆動するようにする。図11の例では、C1,C3,C5の各アンテナ31を同時並行的に駆動し、その後、C2,C4,C6の各アンテナ31を同時並行的に駆動するようにする。この場合に、同時並行的に駆動されている各アンテナ31間では、その各アンテナ31にそれぞれ対応している各アンテナ21を、当該各アンテナ31間で同時並行的に駆動するようにする。すなわち、図11の例では、C1,C3,C5の各アンテナ31を同時並行的に駆動しているときに、C1のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動し、これと同時並行的にC3のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動し、さらにこれと同時並行的にC5のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動するようにする。同様に、C2,C4,C6の各アンテナ31を同時並行的に駆動しているときに、C2のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動し、これと同時並行的にC4のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動し、さらにこれと同時並行的にC6のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動するようにする。
【0059】
このような駆動を行なえば、複数のアンテナ31を同時並行的に駆動することになるので、ベット用ボード4上の全ての遊技チップ71の無線ICタグ72を読み出すために要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】ルーレット盤の平面図である。
【図2】遊技用ベット装置のベット用ボードの平面図である。
【図3】ベット用ボードの一部拡大斜視図である。
【図4】ベット情報検出装置の充電装置、制御装置及び無線ICタグの電気的な接続のブロック図である。
【図5】ベット情報検出装置の読取装置、制御装置及び無線ICタグの電気的な接続のブロック図である。
【図6】切替部の構成を説明する回路図である。
【図7】切替部の構成を説明する回路図である。
【図8】切替部の構成を説明する回路図である。
【図9】各アンテナの配置を説明する平面図である。
【図10】各アンテナの駆動について説明するタイミングチャートである。
【図11】各アンテナの駆動について説明するアンテナ配置の平面図である。
【図12】本発明の課題を説明するベット用ボードの上面の一部の平面図である。
【図13】本発明の課題を説明するベット用ボードのアンテナ配置の平面図である。
【図14】本発明の課題を説明するベット用ボード上の遊技用チップの配置例である。
【図15】本発明の課題を説明するベット用ボード上の遊技用チップの配置例である。
【図16】本発明の課題を説明するベット用ボードのアンテナ配置の平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 遊技用ベット装置
2 ベット用ボード
3 区画(ベット部位)
4 ベット用ボード
12 充電装置(第1のアンテナ駆動手段)
13 読取装置(第2のアンテナ駆動手段)
21 (第1の)アンテナ
31 (第2の)アンテナ
71 遊技チップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーレット盤などを用いた遊技において遊技者が遊技用のチップをベットするための遊技用ベット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、X側送信アンテナ及びY側送信アンテナで電波を発信させると、XYのクロスポイントにおけるテーブルに垂直なフラックス(flux)により電波を発生させて、当該クロスポイント上のテーブルに載置されたチップに設けられた無線ICタグのIDを読み取り、この読取りはベット部ごとに順次行う技術について開示されている。
【0003】
カジノなどで使用されるルーレット等のテーブルゲームのベット用ボードは、その上面に枠が表示されていて、当該枠により複数の区画(ベット部位)に区分けされている。そして、その上面に遊技者がチップを載せてベットする。その後、前述した特許文献1,2の技術のように、各ベット部位にベットされたチップの無線ICタグの情報の読取りを行なう。
【0004】
図12は、ベット用ボードの上面101の一部の平面図である。この上面101は枠102により区分けされた複数のベット部位103を備えている。同図はその複数のベット部位103の一部を示している。このようなベット用ボードにおいて、ベット用のチップに無線ICタグを設け、ベットされたチップの無線ICタグの情報を読み取るには次のようにする。
【0005】
すなわち、図13に示すように、ベット用ボードに無線ICタグを読み取るためのループ状のアンテナ(アンテナコイル)104を複数個設ける。各アンテナ104は、各ベット部位103に対応して設けられ、各ベット部位103の境界となる枠102に沿うように配置されている。図13のA1〜A6までのアンテナ104はそれぞれ図12の各ベット部位103に対応している。
【0006】
図14は、上面101に載置されたチップ105とアンテナ104との配置関係を示している。同図の例では、各チップ105の無線ICタグはそれぞれA1,A5,A6のアンテナ104により読み取ることができる。また、通常、チップは積み重ねられて上面101に載置されるが、同一位置に複数枚積み重ねられたチップの無線ICタグも単一のアンテナ104により読み取ることができる。そして、複数のアンテナ104を順次切り替えて無線ICタグの読み取り動作を行うようにすれば、ベット用ボード上に載置されたすべてのチップ105の無線ICタグを読み取ることができる。
【0007】
ところで、ルーレットゲームにおけるベット用ボードでのチップ105のベット位置としては、図14に示すような各ベット部位103内に収まるベット位置の他に、図15に示すように隣接するベット部位103間に跨った位置がベット位置となることがある。図15の例では、A1のアンテナ104(の配置されているベット部位103)とA4のアンテナ104(の配置されているベット部位103)とに跨って置かれているチップ105については、読み出し電波の出力が充分ある場合には、両方のアンテナ105で当該チップ105の無線ICタグを読み出すことが可能であるので、当該チップ105はA1のアンテナ104とA4のアンテナ104とに跨って置かれていると判断することができる。一方、A2,A3,A5,A6の4つのアンテナ104に跨って置かれたチップ105については、各アンテナ104にかかるチップ105の面積が非常に狭くなり、そのため当該チップ105に設けられた無線ICタグの読み出しが困難になる。更に、チップ105を複数枚積み上げた場合には、積み上げられた上方のチップ105については無線ICタグの読み出しは殆ど不可能である。
【0008】
図16は、このような不具合を解決するためのベット用ボードの構成例を示すものである。図16の例では、前述の例に比べてアンテナ104の大きさを半分としている。そして、アンテナ104を各ベット部位103の中央部と、隣り合うベット部位103同士の境界部分(矩形状の各ベット部位103の4つの角部分の位置と当該角部分同士の間の位置)とに配置している。このように配置すれば、ベット部位103の中央部に置かれたチップ105の無線ICタグは当該ベット部位103の中央部に配置されたアンテナ104で読み取ることができる。また、隣り合う2つのベット部位103の境界部分に置かれたチップ105の無線ICタグは当該境界部分に配置されたアンテナ104で読み取ることができる。さらに、4つのベット部位103の向き合う角部分に置かれたチップ105の無線ICタグは当該角部分に配置されたアンテナ104で読み取ることができる。
【0009】
このように、アンテナ104を小さくし、多数のアンテナ104をベット用ボードの上面101に対応して密に配置するようにすれば、ベット用ボード上のさまざまな位置に載置されたチップ105を的確に読み取ることができる。
【0010】
また、ルーレットゲームにおけるベット用ボードでは、ベットされたチップ105の全ての無線ICタグを、ある限られた時間内に読み取る必要がある。そのため、アンテナ104の数が増えると1つのアンテナ104に割り当てられた無線ICタグの読み出し時間は非常に短いものとなってしまう。
【0011】
さらに、アンテナ104から電磁波、より具体的には磁界を発生すると、この磁界により起電した無線ICタグはアンテナ104に信号を返す。この際に無線ICタグ側で変調するときには、無線ICタグは、負荷となる抵抗又は容量をオン、オフして無線ICタグ内のコイルの電流を変化させて反磁界を発生する負荷変調を行なっている。
【特許文献1】2004‐105321号公報
【特許文献2】2004‐102953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、前述の例で、無線ICタグから負荷変調で返される信号は、アンテナ104から発生される磁界の出力と比較すると非常に小さく、ノイズなどが混入すると正しく無線ICタグの情報が読み出せなくなる。
【0013】
そのため、多数のアンテナ104を高速にスイッチングして各チップ105の無線ICタグの読み出しを行おうとすると、このアンテナ104の高速スイッチングにより発生する高周波ノイズにより無線ICタグの情報が正しく読み出せなくなるという不具合がある。
【0014】
本発明の目的は、高周波ノイズの発生により無線ICタグを読み出せなくなることを防止することで、ベット用ボード上の各位置に載置されたチップの無線ICタグをいずれも的確に読み出すことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明は、複数の区画が構成されたベット用ボードと、前記各区画にそれぞれ複数個対応して設けられ、前記ベット用ボードに載置された遊技用のチップに設けられた無線ICタグを起電させる電磁波を発生する第1のアンテナと、それぞれ複数個の前記第1のアンテナに対応して少なくとも1個以上設けられ、前記無線ICタグからの信号を受信する第2のアンテナと、前記第2のアンテナに対応している複数個の前記第1のアンテナごとに複数個の前記第1のアンテナを順次切り替えて駆動する第1のアンテナ駆動手段と、前記第2のアンテナに対応している複数個の前記第1のアンテナのいずれかにおいて電磁波を発生させている間は当該第2のアンテナを駆動する第2のアンテナ駆動手段と、を備えていることを特徴とする遊技用ベット装置である。
【0016】
この発明によれば、無線ICタグが起電するための第1のアンテナは、各区画に対応してそれぞれ複数個設けられており、無線ICタグを起電させるための第1のアンテナと、無線ICタグの情報を読み出すための第2のアンテナとは分かれていて、それぞれ別々に配置されている。そして、第1のアンテナが比較的小さな領域にそれぞれ対応して多数個配置されているのに対して、第2のアンテナは1つ1つが複数の第1のアンテナに対応しており、よって、それぞれがより広い領域を対象とするように配置されている。そのため、第2のアンテナは少数配置すれば済むので、各第2のアンテナを順次切り替える回数は少なくなる。よって、第2のアンテナの切り替えのためのスイッチングは低速に行なうことができるので、高周波ノイズを発生することがない。このため、無線ICタグから負荷変調で返される信号は、第2のアンテナから発生される磁界の出力と比較して非常に小さくても、ノイズなどが混入することがなく、正しく無線ICタグの情報を読み出すことができる。
【0017】
さらに、上述の構成とすることで、ベット用ボード上の複数の区画から構成される領域のさまざまな位置に遊技チップがベットされても、当該遊技チップの無線ICタグを的確に起電させ、無線ICタグを正しく動作させることができる。そして、複数の第1のアンテナに対応してそれぞれ設けられた第2のアンテナを介して無線ICタグの情報を的確に読み出すことができる。
【0018】
(2)この場合に、前記各第1のアンテナは、前記区画の中央部と前記区画同士の境界領域とにそれぞれ設けられている、ことを特徴とするようにしてもよい。
【0019】
この発明によれば、区画の中央部に遊技チップが置かれていても、区画と区画の境界部分に遊技チップが置かれていても、これらの位置にそれぞれ対応して第1のアンテナが配置されているため、遊技チップの無線ICタグを適切に起電させることができる。
【0020】
(3)また、前記第2のアンテナは、複数個設けられ、前記第2のアンテナ駆動手段は、複数個の前記第2のアンテナのうち互いに隣接していないもの同士を同時並行的に駆動し、前記第1のアンテナ駆動手段は、同時並行的に駆動している複数の前記第2のアンテナにそれぞれ対応している複数の前記第1のアンテナを当該第2のアンテナ間で同時並行的に駆動する、ことを特徴とするようにしてもよい。
【0021】
この発明によれば、複数の第2のアンテナを同時並行的に駆動し、その同時並行的に駆動される複数の第2のアンテナ間で対応する第1のアンテナも同時並行的に駆動するので、ベット用ボード上の全ての遊技チップの無線ICタグを読み出すために要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高周波ノイズの発生により無線ICタグを読み出せなくなることを防止できるようにしたことで、ベット用ボード上の各位置に載置されたチップの無線ICタグをいずれも的確に読み出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1は、ルーレット盤の平面図である。図2は、遊技用ベット装置のベット用ボードの平面図である。図3は、ベット用ボードの一部拡大斜視図である。
【0025】
ルーレット盤51及び遊技用ベット装置1は、例えばカジノホテル内のカジノなどで使用される。すなわち、遊技者は、ルーレット盤51に投入されたルーレット球61の出目位置を予想し、遊技用ベット装置1を使用して当該出目位置に対応するベット部位3に遊技チップ71をベットする各種遊技を行なう。
【0026】
遊技用ベット装置1は、その上面にルーレット盤51の出目位置に対応する複数のベット部位3(例えば、0,00,1,2,…,35,36の数字で区分けされた各スポット)が割り当てられた、遊技チップ71をベットするためのベット用ボード4を備えている。ベット用ボード4上の各ベット部位3は、枠5によって区切られたベット用ボード4の上面の各区画である。各遊技チップ71には、当該遊技チップ71に関する情報が記録された無線ICタグ72が設けられている。ルーレット盤51には、当該ルーレット盤51上におけるルーレット球61の出目位置や出目種類を検出する出目検出装置52が設けられている。また、ベット用ボード4には、ベット部位3に遊技チップ71がベットされた際に、無線ICタグ72に記録された遊技チップ71に関する情報を読み取ることによって当該遊技チップ71のベット位置及び掛け金の価値を検出するベット情報検出装置11(後述)を備えている。さらに、図示は省略するが、カジノ内にはルーレット盤51上におけるルーレット球61の位置と遊技チップ71のベット位置及び価値とに基づいて、当該遊技(ルーレットゲーム)の配当金を算出する配当金算出システム(後述)が用意されている。
【0027】
無線ICタグ72に記録された遊技チップ71に関する情報には、当該遊技チップ71を特定する固有番号(遊技チップ71を識別する番号)、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ71を使用可能な場所(当該遊技チップ71が使用されるカジノを識別する情報)等の情報が含まれる。
【0028】
出目検出装置52は、ID読取装置から構成されている(詳細は図示せず)。このID読取装置は、X側スキャンドライバから互いに平行に延出したX側送信アンテナ及びX側受信アンテナと、Y側スキャンドライバから互いに平行に延出したY側送信アンテナ及びY側受信アンテナとを直交配置して構成されている。このID読取装置によれば、X側送信アンテナ及びY側送信アンテナからスキャン電波を発信させると、アンテナ相互のクロスポイント付近に読取用電波が立ち上がる。この読取用電波は、X側受信アンテナ及びY側受信アンテナで受信されるが、クロスポイント付近にルーレット球61あると、ルーレット球61の誘電体化に伴うインピーダンスの変化によって、受信状態に変化が生じる。この変化状態を検出することによって、ルーレット61の有無が判断される。
【0029】
より詳細に説明すると、ルーレット盤51は、円形の回転体構造を成しており、その中心軸53に対して同心円状に合計38個のポケット54(図では一部のみを示す)が形成されている。各ポケット54には、ベット用ボード4に割り当てられた複数のベット部位3に対応した数字(例えば、0,00,1,2,…,35,36)が表示されている。ID読取装置のクロスポイントは、38個のポケット54にそれぞれ配置されており、ポケット54にルーレット球61が入ったとき、そのルーレット球61はいずれかのクロスポイント上に位置付けられる。上述した読取用電波は、遊技中は常時立ち上がった状態にあるため、あるクロスポイント上にルーレット球61が位置付けられると、そのポケット54の受信状態のみが変化する。この結果、ルーレット盤51の何処の位置(何処のポケット54)にルーレット球61が入ったのかを検出することができる。このとき検出されたデータは、カジノホテル内のPTS(プレーヤートラッキングシステム)サーバ(図示せず)に送られ、その履歴が一括管理される。
【0030】
なお、ルーレット球61には、当該ルーレット球61を識別するルーレット球識別情報が記録された無線ICタグ(図示せず)が設けられている。この無線ICタグはルーレット球61に埋め込まれており、ルーレット球識別情報には、当該ルーレット球61の出所や使用可能な場所(当該ルーレット球61が使用可能なカジノ)、球の種類等の情報が含まれている。ルーレット球識別情報記録手段に記録されたルーレット球識別情報は、出目検出装置52のID読取装置によって読み取ることができる。そして、読み取られた情報に基づいて、使用できるルーレット球61と、そうでないものとの判別を行うことができる。このため、偽造されたルーレット球61を持ち込んで使用するといった不正行為や侵害行為などの発生を防止することが可能となる。
【0031】
このような遊技システムにおいて、ルーレット盤51での遊技を希望する者は、証明カードを持ってカジノに入場する。この証明カードは、カジノホテルにチェックインした客に対しホテルフロントのカード発券機によって発行されるカードである。証明カードは、その客を特定するためのカードであり、その発行以降は、お客は当該カジノホテル内において当該証明カードを提示してチェックを受けることにより全ての施設の利用が可能となる。例えば、ホテル内のレストランやバーのレジでは、証明カードがカードリーダで読み取られることによって支払請求金額が当該カジノホテルのホテルサーバに当該客の識別情報と関連付けて蓄積され、客がカジノホテルをチェックアウトする際には全ての支払請求金額がホテルのフロントの端末に表示される。即ち、証明カードは、カジノホテル内でのさまざまな決済に使用するクレジットカードとしての機能を有している。
【0032】
そして、客が証明カードを持ってカジノに入場した際、遊技チップ発行/精算機で所望枚数の遊技チップ71を入手し、ベット用ボード4に設けられた証明カード読み取り用の読取装置(図示せず)に証明カードをセットする。このとき、読取装置が証明カードの内容を読み取って、その客を特定し、遊技の参加者として認識する。読取装置による認識データは、前述のPTSサーバに送られ、現在のゲームにおける参加者として登録される。なお、証明カードの読取方式は、証明カードの記録方式(磁気記録、光記録)に応じて任意に設定(磁気的な読取方式、光学的な読取方式)することが可能である。
【0033】
ルーレットゲームにおいては、まず、ディーラーがルーレット盤51を廻してルーレット球71をルーレット盤51内に投入する。この間、遊技の参加者は、手持ちの遊技チップ71をベット用ボード4の所望のベット部位3にベットする。図2の例では、ある参加者はコーナー(4,5,7,8)にベットし、別の参加者がストレート(9)にベットし、別の参加者がコラム(2to1)にベットしている。このとき、ベット情報検出装置11によって各参加者のベット位置と掛け金の価値(1ドル、5ドル、10ドル等の掛け金の金額)とが検出され、その検出結果がPTSサーバに送られ、その履歴が一括管理される。
【0034】
その後、ルーレット盤51の回転が緩やかになって、ルーレット球61が入ったポケット54の出目が例えば「8」である場合、出目検出装置52によってルーレット球61の出目位置「8」が検出され、その検出結果がPTSサーバに送られ、その履歴が一括管理される。なお、このPTSサーバは、当該ルーレット盤51以外のルーレット盤や、スロットマシンなどの他の遊技機に関して履歴や様々なデータを一括管理するようにしてもよい。
【0035】
カジノホテル内の集計・分析サーバ(図示せず)には、配当金算出システムが構築されており、ルーレット盤51上におけるルーレット球61の位置(前述の例では出目「8」)と遊技チップ71のベット位置及び掛け金の価値とに基づいて、当該遊技(ルーレットゲーム)の配当金が算出される。
【0036】
次に、遊技用ベット装置1のベット情報検出装置11について詳細に説明する。
【0037】
図4は、ベット情報検出装置11の充電装置12、制御装置14及び無線ICタグ72の電気的な接続のブロック図である。図5は、ベット情報検出装置11の読取装置13、制御装置14及び無線ICタグ72の電気的な接続のブロック図である。すなわち、ベット情報検出装置11は、充電装置12と、読取装置13と、制御装置14とを備えている。
【0038】
制御装置14は、充電装置12に対して電磁波(磁界)を発生させて無線ICタグ72に起電させるように命令し、また、読取装置13に対して無線ICタグ72の記録している情報を読み取って当該データを送信する様命令する。
【0039】
充電装置12は、複数のアンテナ(アンテナコイル)21と、送信部22と、切替部23と、制御部24とを備えている。制御部24は、制御装置14からの命令を受け取り、これに応じて送信部22と切替部23とを駆動する。送信部22は、アンテナ21に通電して無線ICタグ72において起電させるための磁界を発生させる。切替部23は、各アンテナ21を順次切替え、各アンテナ21から順番に磁界を発生させる。
【0040】
読取装置13は、複数のアンテナ(アンテナコイル)31と、送受信部32と、切替部33と、制御部34とを備えている。
【0041】
制御部34は、制御装置14からの命令を受け取り、これに応じて送受信部32と切替部33とを駆動する。
【0042】
送受信部32は、アンテナ31を介して無線ICタグ72と無線により交信を行う機能を有する。送受信部32は、変調部35と復調部36とを備えている。変調部35は、キャリア波を制御部34から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報により所定の変調方式で変調して変調されたキャリア波(変調信号)を生成し、アンテナ31に供給する。復調部36は、無線ICタグ72が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式で変調された変調信号を復調し、当該データに応じた信号を取り出し、制御部34に渡す。
【0043】
アンテナ31は、変調部36から受け取った変調されたキャリア波を無線ICタグ72に向けて放射すると共に、無線ICタグ72から放射された変調信号を受信し、この変調信号を復調部36に供給する。
【0044】
切替部33は、各アンテナ31を順次切替え、各アンテナ31から順番に変調されたキャリア波を放射させる。
【0045】
無線ICタグ72は、いわゆる磁界型の無線ICタグであり、メモリ73と、制御部74と、送受信部75と、アンテナ(アンテナコイル)76とを備えている。メモリ73は、遊技チップ71を特定する固有番号(遊技チップ71を識別する番号)、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ71を使用可能な場所(当該遊技チップ71が使用されるカジノを識別する情報)等の情報を記憶している記憶装置である。制御部74は、読取装置13から受信したコマンド、リクエスト、命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部75は、変調部(図示せず)、復調部(図示せず)を有しており、読取装置13と交信を行うために信号の変調/復調を行う。アンテナ76は充電装置12からの磁界により送受信部75に給電すると共に、送受信部75からの変調された変調波を受け取り、これを読取装置13に受信させる様、空中に放射する。
【0046】
このように、ベット情報検出装置11は、無線ICタグ72の起電を充電装置12により行い、無線ICタグ72の情報の読み取りを読取装置13で行うようにしている。すなわち、無線ICタグ72の起電と無線ICタグ72の情報の読み取りとを異なるアンテナを介して別々に行なうようにしている。
【0047】
次に、充電装置12の切替部23と、読取装置13の切替部33とについて説明する。
【0048】
図6〜図8は、切替部23(33)の構成を説明する回路図である。切替部23と切替部33の基本構成は同様であり、同一の図6〜図8を参照して説明する。切替部23(33)は、X側スキャンドライバ41とY側スキャンドライバ42とを備えている。X側スキャンドライバ41からは互いに平行な複数本のX側送信ライン43が延びている。また、Y側スキャンドライバ42からは互いに平行な複数本のY側送信ライン44が延びている。この複数本のX側送信ライン43と複数本のY側送信ライン44とは一方が縦方向、他方が横方向に延びて各所で交差している。そして、この各クロスポイントにはリレー回路45が設けられている。各リレー回路45は、そのコイル46の一端側がX側送信ライン43、他端側がY側送信ライン44に接続されている。コイル46のX側送信ライン43側にはダイオード48がX側送信ライン43側をカソード側、コイル46側をアノード側として介装されている。通常、各リレー回路45をOFFにしておく場合は、各X側送信ライン43をHレベルに維持しておき、各Y側送信ライン44をLレベルに維持しておく。そして、いずれかのリレー回路45のスイッチ47をONにしたいときは、所望のリレー回路45がそのクロスポイントにおいて接続されているX側送信ライン43をLレベルに切り替え、同様にそのクロスポイントにおいて接続されているY側送信ライン44をHレベルに切り替える。これによりコイル46に通電してスイッチ47が閉じる。
【0049】
このような各リレー回路45は各アンテナ21(31)に1対1で対応して設けられている。すなわち、1つのアンテナ21(31)は1つのリレー回路45と直列に接続されていて、あるリレー回路45がOFFであれば当該リレー回路45と直列接続されたアンテナ21(31)は駆動せず、リレー回路45がONになれば当該リレー回路45と直列接続されたアンテナ21(31)が駆動する。
【0050】
次に、各アンテナ21,31の配置について説明する。
【0051】
図9は、各アンテナ21,31の配置を説明する平面図である。図9においては、ベット用ボード4の上面の各ベット部位3のうちの一部を示している。各アンテナ21,31はベット用ボード4の各所に配置されている。
【0052】
まず、アンテナ21は、縦横のサイズがいずれも各ベット部位3のほぼ1/2の大きさである。アンテナ21は、各ベット部位3にそれぞれ対応してそれぞれのベット部位3に複数個設けられている。図9の例では、各ベット部位3の中央部と、各角部と、当該各角部間の位置とにそれぞれアンテナ21が配置されている。より具体的に示すと、図9においては2×3で合計6個のベット部位3が設けられているが、例えば左上のベット部位3であれば、その中央部にB8のアンテナ21が、4つの角部にB1,B3,B13,B15のアンテナ21が、当該4つの各角部間の各位置にB2,B7,B9,B14のアンテナ21が、それぞれ対応させて配置されている。
【0053】
アンテナ31は、縦のサイズが各ベット部位3のほぼ2.5倍、横のサイズが各ベット部位3のほぼ2倍である。各アンテナ31は、それぞれ複数個のアンテナ21に対応して設けられている。図9の例では、1つのアンテナ31に20個のアンテナ21が対応している。そして、隣接するアンテナ31同士は一部が重なって設けられている。図9の例では、C1のアンテナ31とC2のアンテナ31とが一部分重なっていて、B4,B10,B16,B22の各アンテナ21はC1のアンテナ31にもC2のアンテナ31にも対応している。なお、アンテナ31の駆動によっても無線ICタグ72に起電させることが可能であるが、本実施の形態では、アンテナ31の駆動だけでは無線ICタグ72に起電させて情報を読み出すことまではできないように調整されている。
【0054】
次に、無線ICタグ72を起電するための各アンテナ21と、無線ICタグ72の情報を受信するための各アンテナ31の具体的な駆動について説明する。
【0055】
図10は、各アンテナ21,31の駆動について説明するタイミングチャートである。同図においては、制御装置14、各アンテナ21、各アンテナ31のON、OFFのタイミングについて示している。制御装置14に対してベット用ボード4上にベットされている各遊技チップ71の各無線ICタグ72の読取りが指示されると、制御装置14の動作がONとなり、制御装置14はONとなっている間に充電装置12、読取装置13を制御して、切替部23,33による切替動作により各アンテナ21,31を順次駆動する。すなわち、切替部33の切替えにより各アンテナ31を1つ1つ順次切り替えて駆動させる。図10では、この各アンテナ31を読み出しコイル1,2,…のように示している。そして、1つのアンテナ31を駆動している間に、当該アンテナ31に対応している各アンテナ21を順次切り替えていく。図10では、読み出しコイル1,2,…に対応して、各アンテナ21を充電コイル11,12,…,1n(以上、読み出しコイル1に対応),21,22,…,2n(以上、読み出しコイル2に対応),…を順次切り替える。
【0056】
このように、本実施の形態の遊技用ベット装置1によれば、無線ICタグ72が起電するためのアンテナ21は、比較的小型で、各ベット部位3に対応してそれぞれ複数個設けられている。よって、ベット用ボード4上の複数のベット部位3から構成される領域のさまざまな位置に遊技チップ71がベットされても、無線ICタグ72を起電させることができる。すなわち、ベット部位3の中央部に遊技チップ71が置かれていても、2つのベット部位3の境界部分に遊技チップ71が置かれていても、あるいは、4つのベット部位3の角部分が向き合った部分に遊技チップ71が置かれていても、いずれの場合も遊技チップ71の無線ICタグ72を適切に起電させることができる。これらの位置にそれぞれ対応してアンテナ21が配置されているためである。よって、複数のベット部位3から構成される領域の何れの位置に遊技チップ71がベットされても、当該遊技チップ71の無線ICタグ72は的確に動作することができる。そして、複数のアンテナ21に対応してそれぞれ設けられたアンテナ31を介して無線ICタグ72は読取装置13と通信を行うことができるので、遊技用ベット装置1はベットされている全ての遊技チップ71の無線ICタグ72の情報を的確に読み出すことができる。
【0057】
また、本実施の形態の遊技用ベット装置1によれば、無線ICタグ72を起電させるためのアンテナ21と、無線ICタグ72の情報を読み出すためのアンテナ31とは分かれていて別々に配置されている。そして、アンテナ21が小さな領域にそれぞれ対応して多数個配置されているのに対して、アンテナ31は1つ1つが複数のアンテナ21に対応していて、よって、広い領域を対象とするように配置されている。そのため、アンテナ21は多数個存在するために図10に示すように頻繁に切り替えることになるが、アンテナ31は少数しか存在しないために図10に示すように切り替える回数が少ない。よって、アンテナ31の切り替えのためのスイッチングは低速に行なうことができるので、当該スイッチングにより高周波ノイズを発生することがない。このため、無線ICタグ72から負荷変調で返される信号は、アンテナ31から発生される磁界の出力と比較して非常に小さくても、ノイズなどが混入することがなく、正しく無線ICタグ72の情報が読み出すことができる。
【0058】
また、各アンテナ21,31の駆動については以下のようにしてもよい。すなわち、図11に示すように、C1〜C6の各アンテナ31が配置されていた場合に、C1,C3,C5の各アンテナ31は互いに隣接しておらず、C2,C4,C6の各アンテナ31も互いに隣接していない(角部分が向き合っているのみ)。そこで、このような互いに隣接していない各アンテナ31は同時に駆動するようにする。図11の例では、C1,C3,C5の各アンテナ31を同時並行的に駆動し、その後、C2,C4,C6の各アンテナ31を同時並行的に駆動するようにする。この場合に、同時並行的に駆動されている各アンテナ31間では、その各アンテナ31にそれぞれ対応している各アンテナ21を、当該各アンテナ31間で同時並行的に駆動するようにする。すなわち、図11の例では、C1,C3,C5の各アンテナ31を同時並行的に駆動しているときに、C1のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動し、これと同時並行的にC3のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動し、さらにこれと同時並行的にC5のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動するようにする。同様に、C2,C4,C6の各アンテナ31を同時並行的に駆動しているときに、C2のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動し、これと同時並行的にC4のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動し、さらにこれと同時並行的にC6のアンテナ31に対応した各アンテナ21を順次駆動するようにする。
【0059】
このような駆動を行なえば、複数のアンテナ31を同時並行的に駆動することになるので、ベット用ボード4上の全ての遊技チップ71の無線ICタグ72を読み出すために要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】ルーレット盤の平面図である。
【図2】遊技用ベット装置のベット用ボードの平面図である。
【図3】ベット用ボードの一部拡大斜視図である。
【図4】ベット情報検出装置の充電装置、制御装置及び無線ICタグの電気的な接続のブロック図である。
【図5】ベット情報検出装置の読取装置、制御装置及び無線ICタグの電気的な接続のブロック図である。
【図6】切替部の構成を説明する回路図である。
【図7】切替部の構成を説明する回路図である。
【図8】切替部の構成を説明する回路図である。
【図9】各アンテナの配置を説明する平面図である。
【図10】各アンテナの駆動について説明するタイミングチャートである。
【図11】各アンテナの駆動について説明するアンテナ配置の平面図である。
【図12】本発明の課題を説明するベット用ボードの上面の一部の平面図である。
【図13】本発明の課題を説明するベット用ボードのアンテナ配置の平面図である。
【図14】本発明の課題を説明するベット用ボード上の遊技用チップの配置例である。
【図15】本発明の課題を説明するベット用ボード上の遊技用チップの配置例である。
【図16】本発明の課題を説明するベット用ボードのアンテナ配置の平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 遊技用ベット装置
2 ベット用ボード
3 区画(ベット部位)
4 ベット用ボード
12 充電装置(第1のアンテナ駆動手段)
13 読取装置(第2のアンテナ駆動手段)
21 (第1の)アンテナ
31 (第2の)アンテナ
71 遊技チップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区画が構成されたベット用ボードと、
前記各区画にそれぞれ複数個対応して設けられ、前記ベット用ボードに載置された遊技用のチップに設けられた無線ICタグを起電させる電磁波を発生する第1のアンテナと、
それぞれ複数個の前記第1のアンテナに対応して少なくとも1個以上設けられ、前記無線ICタグからの信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナに対応している複数個の前記第1のアンテナごとに複数個の前記第1のアンテナを順次切り替えて駆動する第1のアンテナ駆動手段と、
前記第2のアンテナに対応している複数個の前記第1のアンテナのいずれかにおいて電磁波を発生させている間は当該第2のアンテナを駆動する第2のアンテナ駆動手段と、
を備えていることを特徴とする遊技用ベット装置。
【請求項2】
前記各第1のアンテナは、前記区画の中央部と前記区画同士の境界領域とにそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の遊技用ベット装置。
【請求項3】
前記第2のアンテナは、複数個設けられ、
前記第2のアンテナ駆動手段は、複数個の前記第2のアンテナのうち互いに隣接していないもの同士を同時並行的に駆動し、
前記第1のアンテナ駆動手段は、同時並行的に駆動している複数の前記第2のアンテナにそれぞれ対応している複数の前記第1のアンテナを当該第2のアンテナ間で同時並行的に駆動する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技用ベット装置。
【請求項1】
複数の区画が構成されたベット用ボードと、
前記各区画にそれぞれ複数個対応して設けられ、前記ベット用ボードに載置された遊技用のチップに設けられた無線ICタグを起電させる電磁波を発生する第1のアンテナと、
それぞれ複数個の前記第1のアンテナに対応して少なくとも1個以上設けられ、前記無線ICタグからの信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナに対応している複数個の前記第1のアンテナごとに複数個の前記第1のアンテナを順次切り替えて駆動する第1のアンテナ駆動手段と、
前記第2のアンテナに対応している複数個の前記第1のアンテナのいずれかにおいて電磁波を発生させている間は当該第2のアンテナを駆動する第2のアンテナ駆動手段と、
を備えていることを特徴とする遊技用ベット装置。
【請求項2】
前記各第1のアンテナは、前記区画の中央部と前記区画同士の境界領域とにそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の遊技用ベット装置。
【請求項3】
前記第2のアンテナは、複数個設けられ、
前記第2のアンテナ駆動手段は、複数個の前記第2のアンテナのうち互いに隣接していないもの同士を同時並行的に駆動し、
前記第1のアンテナ駆動手段は、同時並行的に駆動している複数の前記第2のアンテナにそれぞれ対応している複数の前記第1のアンテナを当該第2のアンテナ間で同時並行的に駆動する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技用ベット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−82594(P2009−82594A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258521(P2007−258521)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】
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