説明

運転支援装置

【課題】道路標識に基づいた運転支援を行なうこと。
【解決手段】カメラ14が撮影した画像に対して画像処理部25が画像処理を行ない、標識パターンとの照合によって標識が指示する内容を特定する。情報管理部24は、特定した内容によってデータ格納部26の地図データや交通情報を更新する。運転支援装置1は、データ格納部26に格納されたデータや情報を用いて経路案内部21による経路案内処理、情報提供部22による情報提供処理および動作制御部23による動作制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の運転を支援する運転支援装置に関し、特に道路標識を利用する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者に対する情報提供や動作制御への補助・介入を行なうことで車両の運転を支援する技術が各種考案されている。例えば、予め走行経路を設定し、位置情報と地図データに基づいて右左折などの運転操作が必要な交差点を事前に通知して経路案内を行なう、所謂ナビゲーション装置が既に広く利用されている。
【0003】
さらに、通信によって標識に関する情報を取得して表示する技術(例えば特許文献1参照。)や、標識をカメラで撮影し、制限速度を超えている場合には運転者に注意を促す技術(例えば特許文献2参照。)、またカメラで車外の施設を撮影し、その施設データをナビゲーション装置のデータベースに保存する技術(例えば特許文献3参照。)などが考案されてきた。
【0004】
【特許文献1】特開2000−337898号公報
【特許文献2】特開2002−163643号公報
【特許文献3】特開平11−351888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、経路案内のみを行なう場合には、速度制限や一旦停止、駐停車禁止など多くの標識が示す情報は必要ではない。しかし、実際の車両走行ではこれらの標識に従って走行する必要があり、従来これらの標識に従った走行の実現は運転者に委ねられてきた。
【0006】
たとえば、従来技術のように標識に関する情報を表示する構成であっても、標識が示す内容の認識と、その内容に沿った走行の実現は運転者自身が行なう必要があった。また、速度制限の標識を画像認識した場合に通知を行なう構成では、標識が見えにくい場所では通知を行なうことかできず、通知後の操作は運転者に委ねられる。また、他の多くの標識は利用することができなかった。
【0007】
すなわち、標識が示す情報はその場所における指示を示すものであるが、経路案内に直結しない情報や、その時点での車両動作に関係のない情報などは車両装置側での有効な利用がなされていないという問題点があった。さらに、従来の技術では、車両の制御自体を支援することができないという問題点があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、道路標識を利用して効果的な運転支援を行なう運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る運転支援装置は、車両の運転を支援する運転支援装置であって、自車両周辺を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影結果に対して画像認識を行なって標識を認識する標識認識手段と、前記標識認識手段による認識結果から走行関連情報を抽出する抽出手段と、前記走行関連情報を位置情報と対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段の記憶内容に基づいて運転の支援を行なう運転支援手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この請求項1の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識が示す走行関連情報を自車両の位置情報と対応付けて記憶するとともに、その記憶内容に基づいて運転の支援を行なう。
【0011】
また、請求項2の発明に係る運転支援装置は、請求項1の発明において、前記運転支援手段は、予定経路に沿って走行するために必要な運転操作を通知する経路案内支援を行なうことを特徴とする。
【0012】
この請求項2の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識が示す走行関連情報を自車両の位置情報と対応付けて記憶するとともに、その記憶内容に基づいて予定経路に沿って走行するために必要な運転操作を通知する。
【0013】
また、請求項3の発明に係る運転支援装置は、請求項1または2の発明において、前記運転支援手段は、交通情報を提供する情報提供支援を行なうことを特徴とする。
【0014】
この請求項3の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識が示す走行関連情報を自車両の位置情報と対応付けて記憶するとともに、その記憶内容に基づいて交通情報を提供する情報提供支援を行う。
【0015】
また、請求項4の発明に係る運転支援装置は、請求項1〜3のいずれか一つの発明において、前記運転支援手段は、車両の動作を制御する動作制御支援を行なうことを特徴とする。
【0016】
この請求項4の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識が示す走行関連情報を自車両の位置情報と対応付けて記憶するとともに、その記憶内容に基づいて車両の動作を制御する動作制御支援を行なう。
【0017】
また、請求項5の発明に係る運転支援装置は、請求項3または4の発明において、前記標識認識手段は、前記経路案内支援に関する標識と前記情報提供支援に関する標識とを区別することを特徴とする。
【0018】
この請求項5の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、経路案内支援に関する標識と情報提供支援に関する標識とを区別して記憶するとともに、その記憶内容に基づいて運転の支援を行なう。
【0019】
また、請求項6の発明に係る運転支援装置は、請求項5の発明において、前記記憶手段は、前記経路案内支援に関する標識が識別された場合に、当該標識に基づいて前記経路案内支援に使用する情報を更新することを特徴とする。
【0020】
この請求項6の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、経路案内支援に関する標識が識別された場合に経路案内支援に使用する情報を更新する。
【0021】
また、請求項7の発明に係る運転支援装置は、請求項4〜6のいずれか一つの発明において、前記標識認識手段によって速度制限を示す標識が識別された場合に、前記動作制御支援として走行速度調節を行なうことを特徴とする。
【0022】
この請求項7の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、速度制限を示す標識が識別された場合に、動作制御支援として走行速度調節を行なう。
【0023】
また、請求項8の発明に係る運転支援装置は、請求項4〜7のいずれか一つの発明において、前記標識認識手段によって停止を求める標識が識別された場合に、前記動作制御支援として自車両の停止制御を行なうことを特徴とする。
【0024】
この請求項8の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識認識手段によって停止を求める標識が識別された場合に、動作制御支援として自車両の停止制御を行なう。
【0025】
また、請求項9の発明に係る運転支援装置は、請求項4〜8のいずれか一つの発明において、周辺の他車両を検知する他車両検知手段をさらに備え、前記動作制御支援において前記他車両検知手段による検知結果をさらに用いることを特徴とする。
【0026】
この請求項9の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識するとともに周辺の他車両を検知し、標識の示す内容と他車両の検知結果に基づいて車両の動作を制御する動作制御支援を行なう。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識が示す走行関連情報を自車両の位置情報と対応付けて記憶するとともに、その記憶内容に基づいて運転の支援を行なうので、道路標識を利用して効果的な運転支援を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0028】
また、請求項2の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識が示す走行関連情報を自車両の位置情報と対応付けて記憶するとともに、その記憶内容に基づいて予定経路に沿って走行するために必要な運転操作を通知するので、道路標識を利用して効果的な経路案内を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0029】
また、請求項3の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識が示す走行関連情報を自車両の位置情報と対応付けて記憶するとともに、その記憶内容に基づいて交通情報を提供する情報提供支援を行うので、道路標識を利用して効果的な交通情報の提供を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0030】
また、請求項4の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識が示す走行関連情報を自車両の位置情報と対応付けて記憶するとともに、その記憶内容に基づいて車両の動作を制御する動作制御支援を行なうので、道路標識を利用して効果的な運転操作支援を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0031】
また、請求項5の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、経路案内支援に関する標識と情報提供支援に関する標識とを区別して記憶するとともに、その記憶内容に基づいて運転の支援を行なうので、道路標識を利用して効果的な経路案内と情報提供を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0032】
また、請求項6の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、経路案内支援に関する標識が識別された場合に経路案内支援に使用する情報を更新するので、道路標識を利用して経路案内情報を最新の状態に保つ運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0033】
また、請求項7の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、速度制限を示す標識が識別された場合に、動作制御支援として走行速度調節を行なうので、道路標識を利用して速度超過を防止可能な運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0034】
また、請求項8の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識し、標識認識手段によって停止を求める標識が識別された場合に、動作制御支援として自車両の停止制御を行なうので、道路標識を利用して一旦停止を自動実行する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0035】
また、請求項9の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺を撮影し、画像認識を行なって標識を認識するとともに周辺の他車両を検知し、標識の示す内容と他車両の検知結果に基づいて車両の動作を制御する動作制御支援を行なうので、道路標識を利用し、かつ周辺の交通情報に適応した運転操作の支援を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る運転支援装置の好適な実施例について詳細に説明する。
【実施例】
【0037】
図1は、本発明の実施例である運転支援装置の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、運転支援装置1は、GPS(Global Positioning System)11、車速パルス入力装置12、レーダ13、カメラ14、車内通知系30および車両制御系40と接続する。
【0038】
GPS11は、人工衛星との通信によって自車両の位置を特定して運転支援装置1に出力し、車速パルス入力装置12は、タイヤの回転速度などに対応して発生する車速パルスを運転支援装置1に入力する。
【0039】
また、レーダ13は、自車両周辺の物体検知と距離の測定、特に先行車両や後続車両の有無と距離測定とを行なって運転支援装置1に入力する。さらに、カメラ14は、自車両周辺の画像を撮影して運転支援装置1に入力する。
【0040】
車内通知系30は、具体的には、映像出力に使用するディスプレイ31、音声出力に使用するスピーカ32などを含み、ナビゲーション装置1の他、オーディオ装置や各種車載機器に共用される。
【0041】
車両制御系40は、車両の動作制御を行なう装置群であり、アクセル操作に基づいてエンジンの動作を制御するエンジン制御機構41、ブレーキペダルの操作に基づいて車両の制動を行なうブレーキ制御機構42などを含む。
【0042】
運転支援装置1は、その内部に主制御部20、画像処理部25およびデータ格納部26を有する。画像処理部25は、カメラ14の撮影結果に対して画像処理を行なって道路標識の認識を行なう。ここで、道路標識は、自車両の前方に限らず、後方や側方、対向車線側に設けられたものであってもよい。
【0043】
データ格納部26は、その内部に地図データ、標識パターン、交通情報を記憶している。地図データは、道路の形状などに加え、一旦停止や速度制限などを示すデータである。また、標識パターンは、各種標識の形状と、その標識が示す内容とを対応付けたデータである。さらに、交通情報は、工事中の場所や渋滞中の場所など交通状態に影響する各種情報である。
【0044】
主制御部20は、運転支援装置1を全体制御する制御部であり、その内部に経路案内部21、情報提供部22、動作制御部23および情報管理部24を有する。経路案内部21は、GPSが特定した現在位置とデータ格納部26に格納した地図データとを参照し、自車両が予定経路に沿って走行するために必要な運転操作を車内通知系30を際して出力する、いわゆるナビゲーション処理を行なう。
【0045】
また、情報提供部22は、渋滞や事故、工事など走行状態に影響する情報を自車両の乗員に提供する処理部であり、その内部にフィルタリング処理部22aを有する。このフィルタリング処理部22aは、走行に影響を与える情報のうち、運転者に対して提供する必要性の高い情報を選択する処理を行なう。
【0046】
動作制御部23は、自車両の動作制御に介入する処理を行なう。具田的には、動作制御部23は、その内部に速度調節部23aおよび停止支援部23bを有する。速度調整部23aは、自車両が走行中の道路に制限速度が設けられており、かつ自車両の速度が制限速度を超過している場合に制限速度まで減速する処理を行なうように支援する。一方、停止支援部23bは自車両が停止する必要がある場合に、停止を支援する処理を行なう。
【0047】
具体的には、速度調整部23aは、車速パルス入力装置11が入力した車速パルスから自車両の走行速度を算出するとともに、地図データに示された制限速度とを比較する。そして、自車両の走行速度か制限速度を超過しているならば、エンジン制御機構41の制御によるエンジン回転数低下や、ブレーキ制御機構42の制御によるブレーキの自動実行によって自動的に減速する。
【0048】
また、アクセルペダルやブレーキペダルの遊びを少なくして運転者による運転操作を支援する処理を行なうこともできる。さらに、速度調整部23aは、レーダ13やカメラ14の出力を用いて自車両周辺の他の車両を検知し、他車両との衝突の危険がない範囲で速度の調節を行なう。
【0049】
同様に、停止支援部23bは、車速パルス入力装置11が入力した車速パルスから自車両の走行速度を算出するとともに、停止位置までの距離を算出する。そして、走行速度と停止位置までの距離に基づいてエンジン制御機構41によるエンジン回転数低下や、ブレーキ制御機構42によるブレーキの自動実行を行なって減速する。また、一方通行に気付かずに進入しようとしたときや駐車禁止の場所に止めようとしたときに、ウインカーやハザードを出した時点でドライバーに警告することもできる。
【0050】
また、アクセルペダルやブレーキペダルの遊びを少なくして運転者による運転操作を支援する処理を行なうことができる点や、レーダ13やカメラ14の出力に基づいて他車両との衝突の危険がない範囲で制御する点についても同様である。
【0051】
情報管理部24は、画像処理装置25の出力に基づいて標識を判別し、データ格納部26を更新する処理を行なう。この標識の判別において情報管理部24は、データ格納部26から標識パターンを読み出し、パターンマッチングによって標識を判別する。
【0052】
そして、例えば速度制限を示す標識を判別した場合、情報管理部24は、地図データに示された速度制限の情報を更新する。また、一旦停止を示す標識を判別した場合、情報管理部24は地図データに示された一旦停止の情報を更新する。同様に右左折の禁止や駐車禁止、進入禁止、一方通行などの標識を識別した場合にも地図データの更新を行なう。一方、工事中を示す標識を判別した場合、情報管理部24は交通情報を更新する。
【0053】
ここで、情報管理部24が取得した情報(速度制限や一旦停止、工事中など)に対応する情報がデータ格納部26に存在しない場合、情報管理部24は新たに情報を追加することで更新を行なう。一方、既に情報が存在する場合、取得した標識の示す内容とデータ格納部26に記憶した内容とを比較し、一致していなければ標識から取得した内容に変更する。
【0054】
例えば地図データにその道路の速度制限が「50km/h」と示されている状態で速度制限40km/hの標識を判別した場合には、情報管理部24は、その道路の制限速度を「40km/h」に変更する。
【0055】
このように画像処理によって取得した標識が示す情報に地図データを更新してゆくことで、道路に新たに標識が設置された場合などに対応し、地図データを最新の情報に保つことができる。また、工事中などの情報を交通情報として記憶することで、交通状態の変化に柔軟に対応することが可能となる。
【0056】
ところで、情報管理部24によるデータ格納部26の更新は、その時点における情報の必要性とは無関係に登録することができる。したがって、自車両が走行中である道路の進行方向先の標識(通常、運転者が確認する標識)のみならず、自車両の後方や側方に存在する標識、さらに対向車線など周辺の他の道路に存在する標識についてもその情報を取得し、データ格納部26に格納することができる。
【0057】
また、標識の判別をする場合に、その標識の内容が特定できない場合には、画像自体を記憶しておき、ディスプレイ31を用いて標識の画像を直接表示することで、運転者による標識の確認を支援することができる。
【0058】
また、後から運転者に画像を見せ、運転者に標識の内容を手動や音声で入力してもらうようにしてもよい。例えば図2に示した表示例31aのようにディスプレイ31の画面半分に特定できなかった認識失敗画像を表示し、もう半分に類型的な標識パターンを表示する。そして、標識パターンから運転者に選択させればよい。
【0059】
図2の例であれば、運転者は速度制限の標識を選択するので、その後、制限速度の入力を促す。そして、運転者が「30km」を入力したならば、地図情報に「制限速度30km/h」を登録し、認識失敗画像は消去する。
【0060】
つぎに、運転支援装置1の処理動作について図3のフローチャートを参照して説明する。同図に示した処理フローは、運転支援装置1の起動中に繰り返し実行される処理である。
【0061】
同図に示すように、運転支援装置1は、まず情報管理部によるナビ情報補完処理(データ格納部26の地図データおよび交通情報の更新処理)を実行する(ステップS101)。その後、運転支援装置1は自車両が停止する必要(一旦停止の標識や赤信号、渋滞の最後尾車両など)があるか否かを判定する(ステップS102)。
【0062】
そして、停止する必要がある場合(ステップS102,Yes)には運転支援装置1は停止支援処理(ステップS103)を実行して処理を終了し、停止する必要が無い場合(ステップS102,No)には速度調整処理(ステップS104)を実行して処理を終了する。
【0063】
つぎに、図3にステップS101として示したナビ情報補完処理についてさらに説明する。図4は、ナビ情報補完処理の詳細を説明するフローチャートである。同図に示すように、まずカメラ14が自車両周辺を撮影し、画像処理装置25による画像処理を施して標識を認識する(ステップS201)。
【0064】
そして、標識から得られた情報を地図データおよび交通情報と照合し(ステップS202)、対応するデータが存在するか否かを判定する(ステップS203)。その結果、対応するデータが存在しなければ(ステップS203,No)、情報管理部24は新たにデータを登録して(ステップS204)、処理を終了する。
【0065】
一方、対応するデータが存在する場合(ステップS203,Yes)、情報管理部24は、標識から得られた情報が既存の情報と一致するか否かを判定する(ステップS205)。その結果、既存のデータと一致するならば(ステップS205,Yes)そのまま処理を終了し、一致しない場合には(ステップS205,No)、情報管理部24はデータ格納部26の内容を書き換えて(ステップS206)、処理を終了する。
【0066】
つづいて、図3にステップS104として示した速度調整処理についてさらに説明する。図5は、停止支援処理および速度調整処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0067】
同図に示すように、速度調整処理では、まず車速パルス入力装置12が入力する車速データを取り込み(ステップS301)、自車両の走行速度を演算する(ステップS302)。
【0068】
つぎに、データ格納部26の地図データに記憶した制限速度と走行速度を比較し(ステップS303)、速度が正常であるか否かを判定する(ステップS304)。その結果、速度が正常であるならば(ステップS304,Yes)、そのまま処理を終了する。
【0069】
一方、速度が正常範囲を逸脱している場合(ステップS304,No)、車内通知系30がスピーカ32を用いて警告音声を出力する(ステップS305)。その後、速度が低下したか否か、すなわち運転者が警告に反応して減速操作を開始したか否かを判定する(ステップS306)。
【0070】
そして、速度が低下していれば(ステップS306,Yes)、そのまま処理を終了し、速度が低下しなければ(ステップS307,No)、エンジン制御機構41およびブレーキ制御機構42を操作して自動で制動を行なって(ステップS307)、処理を終了する。
【0071】
なお、ステップS307の自動制動時には、既に述べたように先行車両や後続車両を検知して、衝突の危険のない範囲で制御を行なう。
【0072】
つぎに、図3にステップS103として示した停止支援処理の詳細は、図5に示した速度調整処理と同様であるので、速度調整処理との相違点のみ説明する。図5に示したように速度調整処理では、自車両の走行速度の演算(ステップS302)の後、走行速度と制限速度とを比較していた(ステップS303)が、停止支援処理では走行速度の演算後、停止位置と必要な制動量を求め、必要な制動が行なわれているか否かを判定する点が異なる。その他の処理については速度調節処理と同様である。
【0073】
上述してきたように、本実施例にかかる運転支援装置1は、カメラ14が撮影した画像に対して画像処理を行なって標識を認識し、認識した標識の内容に基づいてデータ格納部26が格納する地図データや交通情報を更新するので、経路案内に直結しない情報や、その時点での車両動作に関係のない情報についても有効に利用することができる。
【0074】
また、標識が示す情報に基づいてエンジン制御機構41やブレーキ制御機構42を含む車両制御系40に介入することとで、速度調整や停止支援など車両の動作制御を支援することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる運転支援装置は、車両の運転支援に有用であり、特に道路標識を利用した運転支援に適している。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施例である運転支援装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図2】標識の確認表示の具体例について説明する説明図である。
【図3】図1に示した運転支援装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【図4】図3に示したナビ情報補完処理について説明するフローチャートである。
【図5】図3に示した速度調整処理について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 運転支援装置
11 GPS
12 車速パルス入力装置
13 レーダ
14 カメラ
20 主制御部
21 経路案内部
22 情報提供部
22a フィルタリング処理部
23 動作制御部
23a 速度調整部
23b 停止支援部
24 情報管理部
25 画像処理装置
26 データ格納部
30 車内通知系
31 ディスプレイ
32 スピーカ
40 車両制御系
41 エンジン制御機構
42 ブレーキ制御機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を支援する運転支援装置であって、
自車両周辺を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の撮影結果に対して画像認識を行なって標識を認識する標識認識手段と、
前記標識認識手段による認識結果から走行関連情報を抽出する抽出手段と、
前記走行関連情報を位置情報と対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の記憶内容に基づいて運転の支援を行なう運転支援手段と、
を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記運転支援手段は、予定経路に沿って走行するために必要な運転操作を通知する経路案内支援を行なうことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記運転支援手段は、交通情報を提供する情報提供支援を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記運転支援手段は、車両の動作を制御する動作制御支援を行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記標識認識手段は、前記経路案内支援に関する標識と前記情報提供支援に関する標識とを区別することを特徴とする請求項3または4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記経路案内支援に関する標識が識別された場合に、当該標識に基づいて前記経路案内支援に使用する情報を更新することを特徴とする請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記標識認識手段によって速度制限を示す標識が識別された場合に、前記動作制御支援として走行速度調節を行なうことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記標識認識手段によって停止を求める標識が識別された場合に、前記動作制御支援として自車両の停止制御を行なうことを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項9】
周辺の他車両を検知する他車両検知手段をさらに備え、前記動作制御支援において前記他車両検知手段による検知結果をさらに用いることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−275690(P2006−275690A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93742(P2005−93742)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】