説明

選択的水素化触媒及びその調製方法

【課題】従来技術のパラジウムに基づく触媒と比較して、向上した物理化学的特性及び触媒性能を有する、パラジウムに基づく触媒を提供する。
【解決手段】アルミニウム酸化物支持体上にパラジウムを含む触媒。この触媒は、該アルミニウム酸化物支持体が、焼成状態において、特定の格子面間隔d、及び相対強度I/Iに対応するピークを含む、X線回折により得られた回折図を有する。該触媒は、クラッキングされた留分、ガソリンの選択的水素化に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本選択的水素化工程は、大部分の不飽和化合物を対応するアルケン類に転換することにより、オイル留分中の多価不飽和化合物を変換し、全体的飽和を回避することにより、対応するアルカン類を形成させることができる。
【0002】
本発明の目的は、炭化水素留分、好ましくは、スチームクラッキング又は触媒クラッキングにより得られた留分中に存在する不飽和炭化水素化合物の選択的水素化のための工程に用いられる、向上した性能を有する触媒を提案することである。
【0003】
以下に記載する化学分子群は、CAS分類にしたがい示される(CRC Handbook of Chemistry and Physics,出版CRC Press,編集責任者D R Lide,第81版,2000−2001)。例えば、CAS分類のグループVIIIは、新IUPAC分類の欄8、9及び10の金属に対応する。
【背景技術】
【0004】
選択的水素化触媒は、通常、元素周期表の第VIII族の金属、好ましくは、パラジウム又はニッケルに基づく。この触媒の活性相は、ビーズ状、押出物状、三葉状形態又はその他の幾何学的形態の難揮発性酸化物であり得る支持体上に蒸着された小さい金属粒子の形態である。支持体における活性相の金属含有量、第2の金属元素の存在の可能性、金属粒子サイズ及び分布は重要であり、触媒の活性及び選択性にとって重要である。
【0005】
従来技術特許は、特定のX線回折図を有する、少なくとも1つの貴金属と、アルミナに基づく支持体又はアルミニウム酸化物型の触媒のための支持体とを含む選択的水素化触媒を含む。特許文献1および2特許文献米国特許第6437206B号明細書及び欧州特許第0576828号明細書を特に引用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6437206B号明細書
【特許文献2】欧州特許第0576828号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術のパラジウムに基づく触媒と比較して、向上した物理化学的特性及び触媒性能を有する、パラジウムに基づく触媒を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の触媒は、アルミナ支持体上に蒸着されたパラジウムを含み、このアルミナ支持体は、特定の結晶構造を有するので、X線回折により得られる特定の回折図を有する。支持体のこの特定の特性は、触媒性能の向上のための開始点である。
【0009】
従来技術特許は、特定のX線回折図を有する、少なくとも1つの貴金属と、アルミナに基づく支持体又はアルミニウム酸化物型の触媒のための支持体とを含む選択的水素化触媒を含む(特許文献1および2)。しかしながら、従来技術の支持体又は触媒について得られた回折図は、所定の格子面間隔について得られるピークの有無及び/又は強度の点において、本発明の回折図と異なる。
【0010】
本発明は、アルミニウム酸化物支持体上にパラジウムを含む触媒に関する。このアルミニウム酸化物支持体は、焼成状態において、以下の格子面間隔及び相対強度に対応するピークを含む、X線回折により得られる回折図を有する:
【表1】

【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的は、パラジウムに基づく従来技術の触媒と比較して向上した物理化学的性能及び触媒性能を有するパラジウムに基づく触媒を得ることである。より詳細には、本発明は、アルミナ支持体の調製方法及びアルミナ支持体上の触媒の調製方法を提案し、この触媒を用いた選択的水素化工程は、この触媒についての向上した触媒性能をもたらす。
【0012】
本発明は、アルミナ支持体上にパラジウムを含む触媒に関する。焼成状態において、このアルミナ支持体は、以下の格子面間隔及び相対強度に対応するピークを含む、X線回折により得られる回折図を有する:
【表2】

【0013】
1%又はそれ以上の相対強度を有するピークのみを検討する。
【0014】
全文を通じて、格子面間隔は、0.5%の相対精度で示され、±5x10−3dで表示される。
【0015】
回折図は、本発明の触媒の支持体の特定の構造の特徴である。アルミナ支持体は、回折データが上記の通りである限り、不純物及び添加物を含んでもよい。例えば、この支持体は、CAS分類のグループIIA、IIIB、IVB、IIB、IIIA、IVAの金属の酸化物等の無機酸化物、好ましくは、シリカ、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムを含んでもよい。
【0016】
欄IIA、IIIB、IVB、IIB、IIIA、IVAからの陽イオンの量は、0.01重量%〜30重量%の範囲であるのが好ましく、好ましくは、0.01重量%〜10重量%の範囲、より好ましくは、0.03重量%〜1.5重量%の範囲である。グループIBからの1つ又はそれ以上の金属の量は、支持体に対して、重量あたり1〜10000ppmの範囲であってよい。
【0017】
支持体中のアルミナ以外の酸化物の最大量は、存在する酸化物に依存する。構造の変化は、回折データの変化と関連するので、この最大量は回折データにより決定してもよい。通常、かかる酸化物の量は、支持体の質量に対して、重量あたり、50%未満、好ましくは、30%未満、より好ましくは、0.01%〜15%の範囲である。
【0018】
本発明によれば、その特定の形態が粉砕工程の結果であり得るビーズ状、三葉状、押出物状、ペレット状又は不規則な非球形凝集体状の多孔性の支持体が有利である。特に有利なのは、ビーズ状又は押出物状の支持体である。より有利には、ビーズ状の支持体である。
【0019】
支持体の細孔容積は、通常、0.1〜2.0cm/gの範囲であり、好ましくは、0.5〜1.5cm/gの範囲である。
【0020】
多孔性支持体の比表面積は、60〜210m/gの範囲であり、好ましくは、80〜180m/gの範囲であり、より好ましくは、100〜160m/gの範囲である。
【0021】
触媒中のパラジウム量は、通常、0.01重量%〜2重量%の範囲、より好ましくは、0.03重量%〜1重量%の範囲、さらにより好ましくは、0.05%〜0.8%の範囲である。
【0022】
支持体の特徴的ピークの他に、酸化物形態の触媒の回折図は、したがって、酸化物又は金属形態の、或いは、その他の化合物と組み合わさった形態(硝酸パラジウム、塩素酸パラジウム、ギ酸パラジウム)のパラジウムの特徴的ピークを有し得る。当業者であれば、上記に名前を挙げた各化合物に対するこれらのピークの位置について、ICDD(国際回折データセンター)の表を参照するであろう。例えば、酸化パラジウム(PdO)のピークの位置を表00−041−1107に記録し、金属パラジウム(Pd)のピークの位置を表00−046−1043に記録する。
【0023】
以下の表においては、10より高い相対強度I/I及び1.35より長い格子面間隔を有するピークのみを記録した。列「hkl」はミラー指数に相当する。
【表3】

【0024】
支持体の調製
第1のバリエーションによれば、本発明の支持体はビーズ形態のアルミナ凝集体である。この第1のバリエーションによれば、支持体の調製は以下の工程を含む:
s1)アルミニウムの水酸化物又はオキシ水酸化物を、好ましくはハイドラルジライトを、フラッシュ焼成することにより脱水して、活性アルミナ粉末を得る工程;
(フラッシュ焼成とは、蒸発した水を非常に迅速に除去して取り込み得る熱気流を用いた、水酸化アルミニウム(ハイドラルジライト、ギブサイト又はバイヤライト)又はオキシ水酸化アルミニウム(ベーマイト又はダイアスポア)の激しく突然な脱水をもたらす強力かつ迅速な熱処理である。その温度は、400℃〜1200℃の範囲、好ましくは、600℃〜900℃の範囲であり、その持続時間は、1秒の数分の1〜5秒の範囲、好ましくは、0.1秒〜4秒の範囲である。使用するのが好ましい化合物は、ハイドラルジライトである。経験から、この化合物が、所望の特性を有する最終生成物を製造するために最も好ましいことが示されている。さらに、それは比較的安価である。通常、水酸化アルミニウム又はオキシ水酸化アルミニウムの脱水後に得られる活性アルミナ粉末は粉砕する。通常、水酸化アルミニウム又はオキシ水酸化アルミニウムの脱水後に得られる活性アルミナ粉末は、水又は水性酸性溶液で洗浄する。)
s2)活性アルミナ粉末を成形して、500〜1100kg/mの範囲の疎充填密度(loose packing density)、好ましくは、700〜950kg/mの範囲の疎充填密度と、主として0.8〜10mmの範囲の直径、好ましくは、1〜5mmの範囲の直径を有するビーズを得る工程;
(活性アルミナ粉末は、通常、回転ボウル型造粒装置又は回転ドラム等の回転技術を用いることにより、ビーズを得るように成形される(造粒と称される)。このタイプの方法は、制御された直径及び細孔分布を有するビーズを製造することができ、これらの大きさ及び分布は、通常、凝集工程時に与えられる。細孔は、アルミナ粉末の粒度分布の選択又は異なる粒度分布を有する複数のアルミナ粉末の凝集等の異なる手段により与えられてもよい。もう1つの方法は、1つ又はそれ以上の細孔生成物質(porogen)と呼ばれる化合物を、凝集工程前又はその間に、アルミナ粉末と混合する工程からなり、この細孔生成物質は加熱することにより消失し、それにより、ビーズ中に細孔が形成する。使用し得る細孔生成化合物としては、木粉、木炭、硫黄、タール、プラスチック材料又はプラスチック材料のエマルジョン、例えば、塩化ポリビニル、ポリビニルアルコール、ナフタレン等が挙げられる。添加される細孔生成化合物の量は、所望の容積によって決定される。アルミナ粉末形成時に、1つ又はそれ以上の細孔生成物質をその上に添加し、加熱するとそれらは消失する。細孔生成物質は、木粉、木炭、硫黄、タール、プラスチック材料又はプラスチック材料のエマルジョン、例えば、塩化ポリビニル、ポリビニルアルコール、ナフタレンにより構成される群から選択される。)
s3)ビーズを200℃〜1200℃の範囲の温度、好ましくは、400℃〜900℃の範囲の温度で熱処理して、50〜420m/gの範囲の比表面積とする工程;
s4)ビーズを水又は水性溶液に、好ましくは、酸性溶液で含浸し、次に、100℃〜300℃の範囲の温度、好ましくは、150℃〜250℃の範囲の温度でオートクレーブ中に配置することによる、水熱処理工程;
(水熱処理は、通常、100℃〜300℃の温度、好ましくは、150℃〜250℃の温度で、45分より長い時間、好ましくは、1〜24時間、より好ましくは、1.5〜12時間行われる。水熱処理は、通常、1つ又はそれ以上の無機酸及び/又は有機酸、好ましくは、硝酸、塩酸、過塩素酸、硫酸、又は溶液状態で4未満のpHを有する弱酸、例えば、酢酸又はギ酸を含む水性酸性溶液を用いて行われる。通常、この水性酸性溶液は、アルミニウムイオンと結合し得る陰イオンを遊離し得る1つ又はそれ以上の化合物、好ましくは、硝酸イオン(例えば、硝酸アルミニウム)、塩化物、硫酸塩、過塩素酸塩、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ブロモ酢酸、ジブロモ酢酸及び一般式:R−COOを有する陰イオン、例えば、ギ酸塩及び酢酸塩も含む。)
s5)500℃〜820℃の範囲の温度、好ましくは、550℃〜750℃の範囲の温度で得られた凝集体を焼成する工程。
【0025】
(この焼成工程は、通常、支持体の比表面積を60〜120m/gの範囲で得るために、及び、所望のX線回折図を得るために行われる。)
第2のバリエーションによれば、本発明の支持体は押出物形態のアルミナ凝集体である。この第2のバリエーションによれば、支持体の調製は以下の工程を含む:
s1)アルミナに基づく物質を粉砕し、押し出して、それを成形する工程;
(通常、アルミナに基づく物質は、無水ハイドラルジライトである。アルミナに基づく物質は、通常、ベーマイト、擬ベーマイト又はバイヤライトの沈殿物、或いは、これらの混合物に由来し得る。アルミナに基づく物質の形成時に、通常、1つ又はそれ以上の細孔生成物質(porogenic material)がそれに添加され、加熱すると消失する。細孔生成物質は、木粉、木炭、硫黄、タール類、プラスチック材料、プラスチック材料のエマルジョン、ポリビニルアルコール及びナフタレンにより構成される群から選択される。)
s2)200℃〜1200℃の範囲の温度で、得られた押出物を熱処理して、50〜420m/gの範囲の比表面積とする工程;
s3)押出物を水又は水性溶液に、好ましくは、酸性溶液で含浸し、次に、100℃〜300℃の範囲の温度、好ましくは、150℃〜250℃の範囲の温度でオートクレーブ中に配置することによる、水熱処理工程;
(水熱処理は、通常、100℃〜300℃の温度、好ましくは、150℃〜250℃の温度で、45分より長い時間、好ましくは、1〜24時間、より好ましくは、1.5〜12時間行われる。水熱処理は、通常、1つ又はそれ以上の無機酸及び/又は有機酸、好ましくは、硝酸、塩酸、過塩素酸、硫酸、又は溶液状態で4未満のpHを有する弱酸、例えば、酢酸又はギ酸を含む水性酸性溶液を用いて行われる。通常、この水性酸性溶液は、アルミニウムイオンと結合し得る陰イオンを遊離し得る1つ又はそれ以上の化合物、好ましくは、硝酸イオン(例えば、硝酸アルミニウム)、塩化物、硫酸塩、過塩素酸塩、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ブロモ酢酸、ジブロモ酢酸及び一般式:R−COOを有する陰イオン、例えば、ギ酸塩及び酢酸塩も含む。)
s4)500℃〜820℃の範囲の温度、好ましくは、550℃〜750℃の範囲の温度で、得られた凝集体を焼成する工程。
【0026】
(この焼成工程は、通常、支持体の比表面積を60〜210m/gの範囲で得るために、及び、所望のX線回折図を得るために行われる。)

触媒の調製
触媒は、当業者に知られた任意の方法を用いて調製される。
【0027】
c1)パラジウムを含む溶液の調製
パラジウム前駆体の塩は、通常、塩化パラジウム、硝酸パラジウム及び硫化パラジウムにより構成される群から選択される。非常に好ましくは、パラジウム前駆体の塩は硝酸パラジウムである。パラジウム前駆体の水溶液の濃度は、触媒中のパラジウムの所望の重量含量に応じ適合される。
【0028】
所望により、前記パラジウム前駆体の溶液は、アルカリ性水酸化物及びアルカリ土類水酸化物により構成される群から選択される水酸化物により中和されてパラジウムオキシド粒子のコロイド懸濁液を形成することができ、このコロイド懸濁液のpHは1.0〜3.5の範囲である。
【0029】
c2)アルミナ支持体上への前記溶液の含浸
アルミナ支持体は、乾燥含浸により、過剰に、又は欠乏的に、静的又は動的な様式で、含浸され得る。含浸は、1つ以上の連続的な含浸工程において行われ得る。
【0030】
c3)触媒の乾燥
含浸された触媒は、通常、含浸中に導入された全ての又は一部の水を除くために、好ましくは50℃〜250℃、より好ましくは70℃〜200℃の範囲で乾燥される。乾燥は、空気中又は不活性雰囲気(例えば、窒素)中で行われる。
【0031】
c4)触媒の焼成(任意)
触媒は次に、通常は空気中で焼成される。焼成温度は、通常250℃〜900℃の範囲であり、好ましくは約300℃〜約500℃の範囲である。焼成温度時間は通常0.5時間〜5時間の範囲である。
【0032】
c5)前記工程中に得られた触媒の還元による活性化
触媒は、通常、還元される。この工程は、好ましくは、還元性気体の存在下で行われ、好ましくは、in situ、すなわち、接触変換が行われるリアクター中で、気体水素を用いて行われる。
【0033】
好ましくは、パラジウムに基づく触媒に関し、この工程は、50℃〜300℃の範囲の温度、より好ましくは、80℃〜160℃の範囲の温度で行われる。
【0034】
触媒調製のバリエーションにおいて、触媒は複数回の含浸で調製される。
【0035】
2回の含浸工程で調製される触媒については、その順序は以下のようであり得る:
含浸第1回−乾燥−含浸第2回−乾燥−焼成;
含浸第1回−乾燥−焼成−含浸第2回−乾燥−焼成。
【0036】
本発明はまた、本発明に記載される触媒調製工程から得られる触媒に関する。
【0037】

支持体の特性決定
本明細書中に引用される各種の支持体のダイアグラムは、銅製チューブ(1.54Å)、比例計数管及び2θの関数として変化する開口部を有するスリットを備えたBragg−Brentano法の回折装置(PANalytical社製 X’PERT’Pro)上に記録した。照射を受けたサンプルの表面積は10×10mmであり;サンプリングの増分は0.05°2θであり;増分あたりの時間は5〜15秒であった。
【0038】
記録後、強度を補正し、一定の照射容積での強度へと変換した。
【0039】
位置の測定、相対強度及び回折ピークの幅は、ガウス−ローレンツ比を0.5に固定したpseudo−Voigt型対称分析関数を用いた完全モデリングにより調べた。これらの関数は、その2分の1の幅が等価ではない最大強度ピーク(d=1.39Å)以外は、全てのピークで対称であった。また、1.99及び1.96Åに位置するピークの二重項を識別するために、同一の半値全幅を採用してpseudo−Voigt対称関数を制約した。
【0040】
位置、強度及び関数の幅を精緻化し、計算されるプロファイルを実験のピークに適合させ、我々はその位置、強度及び幅を精緻化した。
【0041】
実験のピークを適格とする計算上のピークに関し精緻化されたパラメータは、以下である:
・位置(格子面間隔)
・強度
・FWHM(最大値の半分における全幅)
線形拡散のバックグラウンドは、ピークのプロファイルと同時に適合させた。約2.5Åの位置に中心を有する非常に広く低い強度のピークは、実験上のダイアグラムの精緻化における特性にとって不可欠なものであったが、明確に定義されず、拡散バックグラウンドの補足として考慮した。
【0042】
ここで記録される相対強度は、拡散バックグラウンドを超える高さの、最大強度を示すピーク(d=1.39Å)に対するパーセンテージとして表現した。
【0043】
本発明の支持体の場合、最大強度を示すピーク(d=1.39Å)は、右幅(2°θにおける)に対する左幅(°2θにおける)の比率に相当する「非対称比」によって特徴付けられる非対称性を有する。
【0044】
各実験ピークに対し計算されたプロファイルの最大値の半分における全幅(FWHM)の幅の関数として、ピークの幅を認定した(細い(F)、普通(N)、広い(B)、大変広い(VB))。これらの幅は、用いた装置及び波長に依存する。2θで表される幅は、分析で使用した装置及び波長に依存する。対照的に、これらの値から推定されるピークの認定(細い(F)、普通(N)、広い(B)、大変広い(VB))は、使用される装置のタイプ及び分析条件によらず有効である。最大値の半分における全幅に関し、お互いに対するピークの相対的な認定は、使用される装置のタイプ及び分析条件によらず有効である。
【0045】
ピーク幅の認定は以下のように与えられた:
【表4】

【0046】
酸化アルミニウムの支持体上にパラジウムを含む本発明の触媒に関し、焼成状態での酸化アルミニウムの支持体は、通常、以下の格子面間隔、相対強度及びピーク幅に相当するX線回折により得られるピークを含む回折図を有する:
【表5】

【0047】
1.987Å及びl.958Åに位置するピーク強度の比である(I/I1.987/(I/I1.958は、1.1〜1.8の範囲であり、好ましくは1.2〜1.7の範囲である。
【0048】
1.394Åに位置するピークの非対称比は1.35〜2.0である。
【0049】

本発明の触媒の用途
本発明の触媒は、有機化合物の変換を含む工程に用い得る。すなわち、本発明の触媒は、一酸化炭素をC−Cアルコール、メタノール、又はジメチルエーテルへと水素化するために、芳香族化合物、ケトン、アルデヒド、又はニトロ基の機能を含んでなる化合物を水素化するための反応、又は、異性化又は水素異性化のための反応、及び、炭素−炭素結合の開裂又は形成に関与する一般的反応において、用いることができる。
【0050】
これらの反応に通常用いられる操作条件は、以下の通りである:
温度は、0℃〜500℃、好ましくは25℃〜350℃であり、圧力は0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPaであり、時間あたりの空間速度(HSV)は、液体フィードにおいて0.1〜50h−1、好ましくは0.5〜20h−1の範囲であり、また、気体フィードにおいて500〜30000h−1、好ましくは500〜15000h−1の範囲である。水素存在下での水素/フィードのモル比は1〜500リットル/リットルであり、好ましくは10〜250リットル/リットルである。
【0051】
本発明の触媒の用途及びその用途のための条件は、使用者によって、利用される反応及び技術に対して適合される必要がある。
【0052】
本発明の触媒はまた、アセチレン、ジエン、又はオレフィン機能を含む化合物の水素化にも用いられ得る。
【0053】
本発明はまた、フィードを本発明の触媒と接触させることによる選択的な水素化の方法、又は本発明に従って調製された触媒に関し、前記フィードは、Cスチームクラッキング留分(steam cracking cut)、Cスチームクラッキング留分、Cスチームクラッキング留分及び、クラッキングガソリンと称されるスチームクラッキングガソリンにより構成される群から選択される。
【0054】
好ましい適用によれば、本発明の触媒は、スチームクラッキング及び/又は接触クラッキング由来の多価不飽和炭化水素、好ましくはスチームクラッキング由来の多価不飽和炭化水素留分の選択的水素化反応のために用いられる。
【0055】

〜C留分の水素化
スチームクラッキング又は接触クラッキング等の炭化水素の変換工程は、高温で行われ、エチレン、プロピレン、直鎖ブテン、イソブテン、ペンテン並びに約15炭素原子までの多様な不飽和分子を生成する。
【0056】
多価不飽和化合物:アセチレン、プロパジエン及びメチルアセチレン(又はプロピン)、1,2−及び1,3−ブタジエン、ビニルアセチレン及びエチルアセチレン、及びC5ガソリン画分に相当する沸点を有するその他の多価不飽和化合物は、同時に形成される。
【0057】
これらの多価不飽和化合物の全ては、ポリマー化単位等の石油化学的工程で用いられる各種の留分を生じさせるために失われる必要がある。
【0058】
すなわち、例えば、Cスチームクラッキング留分は、以下の平均的組成:90重量%オーダーのプロピレン、3重量%〜8重量%オーダーのプロパジエン及びメチルアセチレン、その他本質的にプロパンである残部、を有し得る。ある種のC留分において、0.1重量%〜2重量%のC及びCが存在し得る。石油化学及びポリマー化単位のための、これらの多価不飽和化合物の濃度に関する規格は非常に低い:化学的品質のプロピレンのためのMAPD(メチルアセチレン及びプロパジエン)は20〜30重量ppmであり、「ポリマー化」品質のためであれば10重量ppm未満、あるいは1重量ppmまで低下しさえする。
【0059】
スチームクラッキング留分は、例えば以下の平均的組成:1%のブタン、46.5%のブテン、51%のブタジエン、1.3%のビニルアセチレン(VAC)及び0.2%のブチン、を有し得る。ある種のC留分において、0.1重量%〜2重量%のC及びCも存在し得る。ここで再度、規格は厳密である:石油化学又はポリマー化単位に用いられるであろうC留分のためのジオレフィン含量は、厳密に10重量ppm未満である。
【0060】
スチームクラッキング留分は、以下の平均的重量組成:21%のペンタン、45%のペンテン、34%のペンタジエン、を有する。
【0061】
〜Cオイルの留分から多価不飽和化合物をなくすために、選択的水素化工程が徐々に課される、なぜなら、この工程は、総飽和、すなわち相当するアルカンの形成を回避しながら、ほとんどの不飽和化合物を相当するアルケンへと変換することを可能にするからである。
【0062】
選択的水素化は、気相又は液相中で、好ましくは液相中で行われる。液相反応は、エネルギー消費を低減し、触媒のサイクル寿命を増加させる。
【0063】
液相反応のためには、圧力は通常、1〜3MPa、温度は2℃〜50℃の範囲であり、水素/(水素化される高価不飽和化合物)のモル比は0.1〜4、好ましくは1〜2の範囲である。
【0064】
気相反応のためには、圧力は通常、1〜3MPa、温度は40℃〜120℃の範囲であり、水素/(水素化される高価不飽和化合物)のモル比は0.1〜4、好ましくは1〜2の範囲である。
【0065】

スチームクラッキングガソリンの水素化
スチームクラッキングは、原理的に、エチレン、プロピレン、C留分、及びクラッキングガソリンと称されるスチームクラッキングガソリンを生成する。
【0066】
別の好ましい態様によれば、フィードはクラッキングガソリンである。クラッキングガソリンは、通常0℃〜250℃の範囲、好ましくは10℃〜220℃の範囲である沸点を有する留分に相当する。このフィードは通常、C〜C12留分を含んでなり、(例えば、これらの留分のそれぞれに対し、0.1重量%〜3重量%の範囲の)わずかなC、C、C13、C14、C15を伴う。
【0067】
例えば、C−200℃留分は、通常、以下の重量%の組成を有する:
パラフィン類:8〜12
芳香族化合物類:58〜62
モノオレフィン類:8〜10
ジオレフィン類:18〜22
硫黄:20〜300ppm
クラッキングガソリンの選択的水素化は、処理されるべきフィードを、過剰量で導入された水素と接触させ、水素可触媒を含有する1以上のリアクターへと供給することからなる。
【0068】
水素の流量は、全てのジオレフィン類、アセチレン類及び芳香族アルケニル化合物が理論的に水素化され、リアクターの出口において過剰の水素が維持されるために十分な量を供給するように調節される。リアクター中の温度勾配を制限する目的で、リアクターの入り口及び/又は中央へと流れる画分を循環させることは好都合であろう。
【0069】
クラッキングガソリンの選択的水素化の場合、水素/(水素化される高価不飽和化合物)のモル比は通常1〜2であり、温度は通常40℃〜200℃、好ましくは50℃〜180℃であり、空間速度(時間あたり、触媒容積あたりの炭化水素の容積に相当する)は通常0.5h−1〜10h−1の範囲、好ましくは1h−1〜5h−1の範囲であり、圧力は通常、1.0MPa〜6.5MPaの範囲、好ましくは2.0MPa〜3.5MPaの範囲である。
【0070】

実施例
実施例1:(本発明の)触媒A
本発明の支持体調製様式の第1のバリエーションに従って、触媒Aの支持体を調製した。ビーズの形態を有する触媒Aの支持体の調製工程は、以下の通りである:
s1)ハイドラルジライトをフラッシュ焼成することにより脱水して、活性アルミナ粉末を得る工程;
(熱気流を用いて、蒸発した水を非常に迅速に除去して取り込んだ。温度は800℃に固定し、物質を脱水するための気体との接触時間は1秒間であった。得られた活性アルミナ粉末を粉砕し、次に、水で洗浄した。)
s2)活性アルミナ粉末を成形して、785kg/mの疎充填密度と、主として2〜4mmの範囲の直径を有するビーズを得る工程;
(ビーズを得るための活性アルミナ粉末の成形(造粒と称される)は、回転ボウル型造粒装置を用いて行った。)
s3)ビーズを720℃の温度で熱処理して、200m/gの比表面積とする工程;
s4)ビーズを水性酸性溶液で含浸することによる水熱処理工程;
(水熱処理は、回転バスケット型オートクレーブ中で、200℃の温度にて6.5時間行い、含浸用溶液は、硝酸アルミニウムを含む水性酸性溶液であった。これらのパーセンテージは、導入されたアルミナの質量に対して、重量あたりで計算した。)
s5)650℃の温度で2時間、得られた凝集体を焼成する工程。
【0071】
(得られた凝集体は142m/gの比表面積を有した。)
10重量%の硝酸パラジウム水溶液7.5g及び10重量%の硝酸(Aldrich)を脱塩水中で希釈し、アルミナ支持体のポア容量に相当する体積とすることにより、硝酸パラジウムPd(NOの水溶液を25℃にて調製した。この溶液を次いで、100グラムの調製済みの支持体へと含浸させた。前記支持体のXRDシグネチャーは以下の通りである:
【表6】

【0072】
1.394Åのピークの非対称比:1.63
1.99/I1.95強度比:1.38。
【0073】

得られた触媒Aを120℃で乾燥させ、次いで空気中、450℃にて2時間焼成した。触媒Aは0.3重量%のパラジウムを含有していた。
【0074】

実施例2:(本発明の)触媒B
本発明の支持体調製様式の第1のバリエーションに従って、触媒Bの支持体を調製した。前記支持体に関する操作条件及び調製方法は、実施例1に用いたものと同様であった。
【0075】
10重量%の硝酸パラジウム水溶液7.5g及び10重量%の硝酸(Aldrich)を脱塩水中で希釈し、アルミナ支持体のポア容量に相当する体積とすることにより、硝酸パラジウムPd(NOの水溶液を25℃にて調製し、次いで、その量よりも少ない水酸化ナトリウムを添加した。次に、9.9mlの1Mの水酸化ナトリウム(Aldrich)容積を撹拌しながら滴下した。この溶液を次いで、100グラムの調製済みの支持体へと含浸させた。前記支持体のXRDシグネチャーは以下の通りである:
【表7】

【0076】
1.394Åのピークの非対称比:1.70
1.99/I1.95強度比:1.28。
【0077】

得られた触媒Bを120℃で乾燥させ、次いで空気中、450℃にて2時間焼成した。触媒Bは0.3重量%のパラジウムを含有していた。
【0078】

実施例3:(本発明のものでない)触媒C
本発明の支持体調製様式の第1のバリエーションに従って、触媒Cの支持体を調製した。前記支持体に関する操作条件及び調製方法は、工程S5)の含浸が950℃、2時間で行われたことを除いて、実施例1に用いたものと同様であった。これにより、比表面積67m/gの凝集体が形成された。
【0079】
10重量%の硝酸パラジウム水溶液7.5g及び10重量%の硝酸(Aldrich)を脱塩水中で希釈し、アルミナ支持体のポア容量に相当する体積とすることにより、硝酸パラジウムPd(NOの水溶液を25℃にて調製し、この溶液を次いで、100グラムの調製済みの支持体へと含浸させた。前記支持体のXRDシグネチャーは以下の通りである:
【表8】

【0080】
1.394Åのピークの非対称比:2.54
1.99/I1.95強度比:1.97。
【0081】

得られた触媒Cを120℃で乾燥させ、次いで空気中、450℃にて2時間焼成した。触媒Cは0.3重量%のパラジウムを含有していた。
【0082】

実施例4:(本発明のものでない)触媒D
本発明の支持体調製様式の第1のバリエーションに従って、触媒Dの支持体を調製した。前記支持体に関する操作条件及び調製方法は、工程S5)の含浸が950℃、2時間で行われたことを除いて、実施例1に用いたものと同様であった。これにより、比表面積67m/gの凝集体が形成された。
【0083】
10重量%の硝酸パラジウム水溶液7.5g及び10重量%の硝酸(Aldrich)を脱塩水中で希釈し、アルミナ支持体の細孔容量に相当する体積とすることにより、硝酸パラジウムPd(NOの水溶液を25℃にて調製し、次いで、その量よりも少ない水酸化ナトリウムを添加した。次に、9.9mlの1Mの水酸化ナトリウム(Aldrich)容積を撹拌しながら滴下した。この溶液を次いで、100グラムの調製済みの支持体へと含浸させた。前記支持体のXRDシグネチャーは以下の通りである:
【表9】

【0084】
1.394Åのピークの非対称比:2.78
1.99/I1.95強度比:1.92。
【0085】

得られた触媒Dを120℃で乾燥させ、次いで空気中、450℃にて2時間焼成した。触媒Dは0.3重量%のパラジウムを含有していた。
【0086】

実施例5:S存在下でのスチレン−イソプレンの水素化に関する触媒試験
触媒試験の前に、A、B、C及びDを、触媒あたり1時間あたり1リットルの水素の流れの中で、300℃/hの温度上昇及び150℃、2時間の一定温度段階にて処理した。
【0087】
その触媒を次いで、十分に撹拌された「グリニヤール」型のバッチリアクター中で水素化試験に供した。この終了まで、4mlの還元された触媒ビーズを、撹拌アーム周辺に配置した環状のバスケット中に入れて、空気非存在下で固定した。リアクター中で使用したバスケットは、Robinson Mahonnayタイプのものであった。
【0088】
水素化は液相にて行われた。
【0089】
フィードの組成は以下のようであった:8重量%のスチレン、8重量%のイソプレン、ペンタンチオールの形で導入された10ppmのS、チオフェンの形で導入された100ppmのS、n−ヘプタンである溶媒。
【0090】
試験は、3.5MPaの水素の一定圧力及び45℃の温度において行われた。反応生成物はガスクロマトグラフィーにより分析された。
【0091】
触媒活性は、パラジウムあたり1分間あたりに消費されたHのモル数で表し、表1中に示す。
【表10】

【0092】
のモル数/[分×(パラジウムのグラム数)]で示す
表1:硫黄存在下でのスチレン−イソプレンの水素化に関し測定された活性

本発明の触媒Aは、同一の含浸工程に関し、本発明のものでない触媒Cよりも約17%活性が高かった。本発明の触媒Bは、同一の含浸工程に関し、本発明のものでない触媒Dよりも約16%活性が高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム酸化物支持体上にパラジウムを含む触媒であって、該アルミニウム酸化物支持体が、焼成状態において、以下の格子面間隔d、及び相対強度I/Iに対応するピークを含む、X線回折により得られた回折図を有する、触媒。
【表1】

【請求項2】
前記アルミニウム酸化物支持体が、焼成状態において、以下の格子面間隔及び相対強度に対応するピークを含む回折図を有する、請求項1に記載の触媒。
【表2】

【請求項3】
前記触媒中のパラジウム含有量が、0.01重量%〜2重量%の範囲であり、前記支持体の比表面積が、60〜210m/gの範囲である、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
酸化物形態の触媒の回折図が、支持体の特徴的ピークに加えて、2.67、2.65、2.15、1.676、1.535、1.523の格子面間隔d(10−10mで表す)の位置に酸化物形態のパラジウムの特徴的ピークを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項5】
空気中で還元され不動態化された形態の触媒の回折図が、支持体の特徴的ピークに加えて、2.25、1.945、1.375の格子面間隔d(10−10mで表す)の位置に還元された形態のパラジウムの特徴的ピークを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項6】
1.987x10−10m及び1.958x10−10mの各格子面間隔における相対強度の比(I/I1.987/(I/I1.958が1.1〜1.8の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項7】
1.394x10−10mに位置するピークの非対称率が1.35〜2.0の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項8】
以下の工程を含む、支持体がビーズ形態のアルミナ凝集体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒支持体を調製する方法:
s1)アルミニウムの水酸化物又はオキシ水酸化物をフラッシュ焼成することにより脱水して、活性アルミナ粉末を得る工程であって、該フラッシュ焼成工程が、0.1秒〜5秒の範囲の時間、400℃〜1200℃の範囲の温度にて、熱気流中で加熱することである、該工程;
s2)該活性アルミナ粉末を成形して、500〜1100kg/mの範囲の疎充填密度と主として0.8〜10mmの範囲の直径を有するビーズを得る工程;
s3)該ビーズを200℃〜1200℃の範囲の温度で熱処理して、該ビーズに50〜420m/gの範囲の比表面積をもたせる工程;
s4)該ビーズを水又は水性溶液で含浸し、次に、45分間より長い時間、100℃〜300℃の範囲の温度でオートクレーブ中に配置することによる、水熱処理であって、該水熱処理が、1つ又はそれ以上の無機酸及び/又は有機酸を含み、アルミニウムイオンと結合し得る陰イオンを遊離し得る1つ又はそれ以上の化合物を含む、水性酸性溶液を用いて行われる、該工程;
s5)550℃〜750℃の範囲の温度で得られた凝集体を焼成する工程。
【請求項9】
前記アルミニウム水酸化物又はオキシ水酸化物の脱水後に得られた活性アルミナ粉末を粉砕する、請求項8に記載の支持体の調製方法。
【請求項10】
前記アルミニウム水酸化物又はオキシ水酸化物の脱水後に得られた活性アルミナ粉末を水又は水性酸性溶液で洗浄する、請求項8又は9に記載の支持体の調製方法。
【請求項11】
以下の工程を含む、支持体が押出物形態のアルミナ凝集体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒支持体を調製する方法:
s1)アルミナに基づく物質を粉砕し、押し出して、成形する工程;
s2)得られた該押出物を200℃〜1200℃の範囲の温度で熱処理して、該押出物に50〜420m/gの範囲の比表面積をもたせる工程;
s3)該押出物を水又は水性溶液で含浸し、次に、45分間より長い時間、100℃〜300℃の範囲の温度でオートクレーブ中に配置することによる、水熱処理であって、該水熱処理が、1つ又はそれ以上の無機酸及び/又は有機酸を含み、アルミニウムイオンと結合し得る陰イオンを遊離し得る1つ又はそれ以上の化合物を含む、水性酸性溶液を用いて行われる、該工程;
s4)550℃〜750℃の範囲の温度で得られた凝集体を焼成する工程。
【請求項12】
前記アルミナに基づく物質が無水ハイドラルジライトである、請求項11に記載の支持体の調製方法。
【請求項13】
前記アルミナに基づく物質が、ベーマイト、擬ベーマイト又はバイヤライトの沈殿物、或いは、これらの物質の混合物に由来する、請求項11に記載の支持体の調製方法。
【請求項14】
前記アルミナ粉末又は前記アルミナに基づく物質の形成時に、1つ又はそれ以上の細孔生成物質(porogenic material)が添加される、請求項8〜13のいずれか1項に記載の支持体の調製方法。
【請求項15】
前記細孔生成物質が、木粉、木炭、硫黄、タール類、プラスチック材料、プラスチック材料のエマルジョン、ポリビニルアルコール及びナフタレンにより構成される群から選択される、請求項14に記載の支持体の調製方法。
【請求項16】
前記水熱処理が、1つ又はそれ以上の無機酸及び/又は有機酸を含む水性酸性溶液を用いて行われる、請求項8〜15のいずれか1項に記載の支持体の調製方法。
【請求項17】
前記水熱処理が、硝酸、塩酸、過塩素酸、硫酸、酢酸及びギ酸により構成される群から選択される少なくとも1つの酸を含む水性酸性溶液を用いて行われる、請求項16に記載の支持体の調製方法。
【請求項18】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒を、スチームクラッキングC留分、スチームクラッキングC留分、スチームクラッキングC留分及びスチームクラッキングされたガソリンにより構成される群から選択されるフィードと接触させる、選択的水素化方法。

【公開番号】特開2010−504(P2010−504A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146360(P2009−146360)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】