説明

配線基板及びフリップチップ実装構造

【課題】配線基板と半導体チップの接続の信頼性を向上させることができる配線基板及びフリップチップ実装構造を提供する。
【解決手段】配線基板2には、配線導体21が所定間隔に設けられており、その先端部に半導体チップ3が搭載される。半導体チップ3と配線導体21とは、バンプ4を介して接続される。配線導体21は、バンプ4との接続部21aから所定長を延伸して構成されたダミー配線導体部(気泡把持部)21bを有する。ダミー配線導体部21bは、配線基板2と半導体チップ3の間に注入された熱硬化性樹脂に発生した気泡301が、配線導体21へ進入するのを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップがフリップチップ(Flip Chip)方式によって実装される配線基板及びフリップチップ実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップを配線基板に実装する方法として、配線基板に半導体チップを直接接続するフリップチップ方式が広く採用されている。フリップチップ方式は、実装面積が小さく、半導体パッケージの小型化、実装の効率化および電子機器等の高速動作が可能であるという特徴を有している。
【0003】
フリップチップ方式による半導体チップの実装方法は、大別して以下の2つがある。
(1)半導体チップを配線基板に搭載した後、半導体チップと配線基板の隙間に封止樹脂を外部から注入及び充填する方法。
(2)配線基板の所定領域に封止樹脂を塗布した後、半導体チップを封止樹脂上に位置決めしてから降下させ、封止樹脂が半導体チップと配線基板の間からはみ出る状態にして封止する方法。
【0004】
しかし、上記した実装方法は、いずれも、封止樹脂が広がり或いは充填されていく間に、封止樹脂の流動によって空気を封止樹脂内に巻き込み、気泡(ボイド)を生じさせるという問題がある。
【0005】
図12は、封止樹脂内に気泡が発生した半導体装置を示す。この半導体装置10は、配線基板100上に半導体チップ200をフリップチップ方式により実装している。配線基板100は、所定間隔に設けられた配線導体101を有し、その先端を覆うようにして半導体チップ200が実装されている。半導体チップ200は、配線導体101のそれぞれの先端部に接続されたバンプ(bump)201を有する。
【0006】
なお、配線基板100上のチップ搭載領域100aに半導体チップ200を搭載した後、半導体チップ200と配線基板100の間に熱硬化性の封止樹脂が注入されるが、ここでは図示を省略している。
【0007】
図12のように、気泡300が、封止樹脂の流動によって配線導体101とバンプ201が接続される接続部101a周辺に存在することがある。気泡300が接続部101a周辺に存在すると、半導体チップ200と配線基板100との間の接続強度が低下し、半導体装置10の信頼性が損なわれる。
【0008】
この対策として、配線基板の隣接パターン間にダミーパターンを設け、或いは配線層の先端形状をくさび状または円弧状にしておき、接着剤の充填がバンプや配線層の周囲に行きわたるようにし、気泡をチップ搭載領域100aの外へ排出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−5735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来のフリップチップ実装構造は、半導体チップが大きい、配線導体のピッチが広いなど、樹脂の流動性を損なわない条件であれば、大きな気泡の排出は期待できるが、十数〜100μm程度の小さいものは排出されにくい。更に、配線導体のピッチが狭いと、図12のように、気泡300が接続部101aにとどまってしまい、電気的絶縁性が低下するという問題がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、配線基板と半導体チップの接続の信頼性を向上させることができる配線基板及びフリップチップ実装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、上記目的を達成するため、半導体チップがバンプを介して実装され、前記半導体チップが熱硬化性樹脂により封止される配線基板において、絶縁性を有する基材と、前記基材の前記半導体チップが実装される面に形成された複数の配線導体と、前記複数の配線導体の前記バンプとの接続部よりも内側に設けられ、前記熱硬化性樹脂に含まれる気泡を把持する気泡把持部とを備えたことを特徴とする配線基板を提供する。
【0012】
上記第1の態様によれば、熱硬化性樹脂内で発生した気泡は、気泡把持部によって把持され、接続部に到達しなくなり、電気的絶縁性の低下を防ぐことができる。
【0013】
前記気泡把持部は、前記複数の配線導体を前記接続部から前記配線導体のピッチの3倍以上の長さに延在した構成としてもよい。この構成によれば、熱硬化性樹脂内で発生した気泡が接続部に到達しなくなり、接続不良の発生を防ぐことができる。また、気泡を小さく分割することが可能となり、この結果、気泡の周長が長くなり、基材と半導体チップとの接続強度の低下を低減することができる。
【0014】
前記気泡把持部は、前記複数の配線導体の延長線上に前記複数の配線導体に絶縁して形成された複数の所定長のダミー配線導体にすることができる。この構成によれば、熱硬化性樹脂内で発生した気泡が接続部に到達しなくなり、電気的絶縁性の低下を防ぐことができる。また、気泡を小さく分割することが可能となり、この結果、気泡の周長が長くなり、基材と半導体チップとの接続強度の低下を低減することができる。
【0015】
前記気泡把持部は、前記複数の配線導体に絶縁して形成され、格子状、千鳥状、ランダムに配置された複数の開口を有するダミー配線導体にすることができる。ダミー配線導体によって気泡が接続部に到達しなくなる。また、開口によって気泡を把持することができる。
【0016】
前記気泡把持部は、前記熱硬化性樹脂の注入方向に対して傾斜した部分を有し、前記複数の配線導体の端部に設けられたダミー配線導体にすることができる。傾斜した部分により、気泡が傾斜した部分に沿って外へ逃げようとするため、気泡が接続部に到達しなくなる。
【0017】
前記気泡把持部は、ダミーバンプを有する構成にすることができる。基材と半導体チップとの間を外側に移動する気泡をダミーバンプにより阻止することが可能となる。
【0018】
前記気泡把持部は、前記複数の配線導体のピッチよりも小さいピッチである構成にすることができる。ピッチを小さくすることにより、気泡が接続部に到達しなくなる。
【0019】
前記気泡把持部は、先端のピッチが中心部に向かって小さくなっている構成にすることができる。ピッチを小さくすることにより、気泡が接続部に到達しなくなる。また、端部のダミー配線導体は、傾斜して配置されるため、気泡がその傾斜した部分に沿って外へ逃げようとするため、気泡が接続部に到達しなくなる。
【0020】
前記バンプは、予め前記複数の配線導体に設けられている構成にすることができる。
【0021】
本発明の第2の態様は、上記目的を達成するため、前記配線基板と、前記配線基板上にバンプを介して実装される半導体チップと、前記半導体チップを封止する熱硬化性樹脂とを備えたことを特徴とするフリップチップ実装構造を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、封止樹脂内に発生した気泡がバンプと配線基板の接続部周辺に存在しないようにしたので、配線基板と半導体チップの接続の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
(半導体装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA部詳細図である。
【0024】
この半導体装置1は、図1(a)に示すように、配線導体21を有する配線基板2と、配線基板2上のチップ搭載領域2aにフリップチップ方式により実装された半導体チップ3とを備えている。
【0025】
半導体チップ3と配線導体21は、図1(b)に示すように、半田、Au等からなるバンプ4を介して接続されている。また、バンプ4は、半導体チップ3の下面に設けられている図示しない電極に接続されている。
【0026】
なお、配線基板2の基材と半導体チップ3との間(例えば、ギャップ30μm)は、熱硬化性のエポキシ系樹脂等からなる封止樹脂で封止されるが、ここでは図示を省略している。
【0027】
フリップチップ方式により実装される半導体チップ3は、ベアチップにバンプを設けたフリップチップ型の半導体チップのみならず、ベアチップとバンプの間に基板(インターポーザ)が存在し、ベアチップの表面および側面を樹脂で封止したCSP(Chip Size Package)型の半導体チップも含まれる。
【0028】
配線基板2は、例えば、テープ状、プラスチック基板、セラミック等の基材と、基材の表面に上記配線導体21を含む導電パターンが銅等の導電性材料から形成されている。
【0029】
配線導体21は、所定の厚さ(例えば10〜25μm)および所定の幅を有し、チップ搭載領域2aの対向する2辺に所定の間隔を有して複数設けられている。また、配線導体21は、チップ搭載領域2aの外側から内側へ延在し、かつ、バンプ4に接続可能な長さ以上の長さを有している。すなわち、配線導体21の先端部は、バンプ4との接続部21aより延伸した気泡把持部としてのダミー配線導体部21bを設けている。ダミー配線導体部21bは、気泡が接続部21aに到達しない長さ、具体的には、配線ピッチpの3倍以上の長さLを有することが望ましい。
【0030】
(第1の実装方法)
次に、図1の半導体装置の実装方法について説明する。図2(a)〜(c)は、図1の配線基板2に半導体チップ3を実装する第1の実装方法を示す。
【0031】
まず、配線導体21が設けられている配線基板2と、チップ底面3a側にバンプ4を実装済みの半導体チップ3を用意する。次に、図2の(a)のように、半導体チップ3を配線基板2のチップ搭載領域2aの上方に位置決めする。なお、バンプ4が設けれている電極は、チップ底面3aと面一でも、チップ底面3a内に凹んだ位置に設けられていても、チップ底面3aから下方に突出するように設けられていてもよい。
【0032】
次に、半導体チップ3を降下し、図2の(b)のように、配線導体21の接続部21aにバンプ4が接触した時点で降下を停止する。
【0033】
次に、図2の(c)のように、半導体チップ3のチップ底面3aと配線基板2の間に、熱硬化性の封止樹脂5を半導体チップ3の周囲からはみ出る程度に注入する。封止樹脂5を注入後、封止樹脂5を加熱硬化し、更に、半導体チップ3のバンプ4と配線導体21とを電気的に接続する。以上により、半導体チップ3の配線基板2への実装が完了する。
【0034】
(第2の実装方法)
図3(a)〜(c)は、図1の配線基板2に半導体チップ3を実装する第2の実装方法を示す。この実装方法は、第1の実装方法において、バンプ4が配線導体21側に設けられている場合である。半導体チップ3は、配線導体21側にあるバンプ4に接続するための電極31を有している。
【0035】
まず、配線導体21およびバンプ4が設けられている配線基板2と、チップ底面3aから電極31が露出している半導体チップ3を用意する。次に、図3の(a)のように、半導体チップ3を配線基板2のチップ搭載領域2aの上方に位置決めする。なお、電極31は、チップ底面3aと面一でも、チップ底面3a内に凹んだ位置に設けられていてもよい。
【0036】
次に、半導体チップ3を降下し、図3の(b)のように、配線導体21のバンプ4に電極31が接触した時点で降下を停止する。
【0037】
次に、図3の(c)のように、半導体チップ3のチップ底面3aと配線基板2の間に、熱硬化性の封止樹脂5を半導体チップ3の周囲からはみ出る程度に注入する。封止樹脂5を注入後、封止樹脂5を加熱硬化し、更に、半導体チップ3の電極31と配線導体21上のバンプ4とを電気的に接続する。以上により、半導体チップ3の配線基板2への実装が完了する。
【0038】
(第3の実装方法)
図4(a)〜(c)は、図1の配線基板2に半導体チップ3を実装する第3の実装方法を示す。まず、配線導体21が設けられている配線基板2と、チップ底面3a側にバンプ4を実装済みの半導体チップ3とを用意する。次に、図4の(a)のように、熱硬化性を有する封止樹脂5の適量を配線基板2のチップ搭載領域2aに塗布する。
【0039】
次に、図4の(b)のように、配線基板2のチップ搭載領域2aの上方に半導体チップ3を位置決めした後、半導体チップ3を降下する。この降下により、バンプ4は配線基板2の配線導体21の接続部21aに接触する。
【0040】
次に、半導体チップ3を配線基板2方向へ加圧する。これにより、図4の(c)のように、封止樹脂5が配線基板2と半導体チップ3との間に拡散する。ついで、封止樹脂5を全体または部分的に加熱して硬化させ、更に、半導体チップ3のバンプ4と配線導体21とを電気的に接続する。以上により、半導体チップ3の実装が完了する。
【0041】
(第4の実装方法)
図5(a)〜(c)は、図1の配線基板2に半導体チップ3を実装する第4の実装方法を示す。この実装方法は、第3の実装方法において、バンプ4が配線導体21側に設けられている場合である。半導体チップ3は、配線導体21側にあるバンプ4に接続するための電極31を有している。
【0042】
まず、配線導体21およびバンプ4が設けられている配線基板2と、チップ底面3aから電極31が露出している半導体チップ3を用意する。次に、図5の(a)のように、熱硬化性を有する封止樹脂5の適量を配線基板2のチップ搭載領域2aに塗布する。
【0043】
次に、図5の(b)のように、配線基板2のチップ搭載領域2aの上方に半導体チップ3を位置決めした後、半導体チップ3を降下する。この降下により、半導体チップ3の電極31は配線導体21上のバンプ4に接触する。
【0044】
次に、半導体チップ3を配線基板2方向へ加圧する。これにより、図5の(c)のように、封止樹脂5が配線基板2と半導体チップ3との間に拡散する。ついで、封止樹脂5を全体または部分的に加熱して硬化させ、更に、半導体チップ3の電極31と配線導体21上のバンプ4とを電気的に接続する。以上により、半導体チップ3の実装が完了する。
【0045】
(第1の実施の形態の効果)
上述した第1の実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(イ)気泡が、図2〜図5の各(c)の工程において封止樹脂5に生じたとしても、ダミー配線導体部21bが設けられたことにより、封止樹脂5の流入部とバンプ4の距離が離れ、従来、図12のように生じていた気泡300は、本実施の形態では配線導体21間に進入し易くなり、図1のように、気泡301は配線導体21間に分断される。このため、分断された気泡301は、分断されない従来の気泡300に比べて境界面の周囲長が長くなり、配線基板2と半導体チップ3の間の接続強度の低下を低減することができる。
(ロ)ダミー配線導体部21bの長さを最適にすることにより、配線導体21間に入り込んだ気泡301が配線導体21とバンプ4の接続部21aに到達しないようにすることができ、電気的絶縁性の低下を防止することができる。
(ハ)気泡301がダミー配線導体部21bに入り込んだとしても、ダミー配線導体部21bと封止樹脂5との密着長さを長くとれるため、接続強度の低下を抑えることができる。
【0046】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態において、配線導体21とパッド4の接続部21aの近傍から気泡把持部を電気的に分離してダミー配線導体23としたものであり、その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態における半導体チップ3の実装方法は、図2〜図5で説明した方法を採用することができる。
【0047】
上述した第2の実施の形態によれば、ダミー配線導体23が配線導体21へ進入しようとする気泡に対して遮蔽材として機能し、図12のように、配線導体21間に気泡300が跨がったとしても、ほぼ、ダミー配線導体23で進入が止まり、配線導体21とパッド4の接続部21a周辺に気泡が存在しないようにすることができる。更に、図1のように、気泡301を分断することができるため、接続強度の低下を抑えることができる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0048】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置を示す。本実施の形態は、第2の実施の形態において、ダミー配線導体23に複数の開口23aを設けて格子状にしたものであり、その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。また、本実施の形態における半導体チップ3の実装方法は、図2〜図5で説明した方法を採用することができる。なお、ダミー配線導体23の開口23aは、図7に示した格子状のほか、千鳥状やランダムに配置してもよい。
【0049】
この第3の実施の形態によれば、ダミー配線導体23が気泡に対して突堤になるので、上記各実施の形態に比べ、配線導体21間への気泡の進入を防止する効果を高めることができる。
【0050】
[第4の実施の形態]
図8は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置を示す。本実施の形態は、図6に示した第2の実施の形態において、ダミー配線導体23の端部に第2のダミー配線導体24を設けたものであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。また、本実施の形態における半導体チップ3の実装方法は、図2〜図5で説明した方法を採用することができる。
【0051】
第2のダミー配線導体24は、ダミー配線導体23の列方向に平行した水平部24aと、水平部24aに対して傾斜させた傾斜部24bとからなり、全体が“へ”字形の形状を成している。
【0052】
半導体チップ3のチップ搭載領域2aの内側に注入された封止樹脂5は、ダミー配線導体23の方向へ流動し、その過程で配線導体21の端部近傍に発生した気泡は、第2のダミー配線導体24の傾斜部24bに沿ってダミー配線導体23の外側へ流れ出る。
【0053】
この第4の実施の形態によれば、ダミー配線導体23の端部に向かった封止樹脂5及び気泡は、第2のダミー配線導体24の傾斜部24bによって排出方向が変更され、同図矢印の方向に沿ってチップ搭載領域2aの外側へ導かれる。このため、ダミー配線導体23に進入する気泡数を低減することができる。
【0054】
[第5の実施の形態]
図9は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置を示す。本実施の形態は、図6に示した第2の実施の形態において、ダミー配線導体23に接続されたダミーバンプ6を半導体チップ3に設けたものであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0055】
この第5の実施の形態によれば、ダミーバンプ6によってダミー配線導体23への気泡の侵入を阻止することができる。その他の効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0056】
なお、第5の実施の形態は、第2の実施の形態以外に、第1,第3及び第4の実施の形態にも適用することができる。
【0057】
[第6の実施の形態]
図10は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置を示す。本実施の形態は、図6に示した第2の実施の形態において、ダミー配線導体23のピッチpを配線導体21のピッチpよりも小さくし、ダミー配線導体23の導体数が配線導体21よりも多くなるようにしたものであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0058】
この第6の実施の形態によれば、配線導体21に比してダミー配線導体23のピッチを小さくしたことにより、ダミー配線導体23が配線導体21間にも位置するようになり、気泡がダミー配線導体23を通過したとしても、配線導体21の先端部で阻止されるため、配線導体21に気泡が進入しないようにすることができる。その他の効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0059】
[第7の実施の形態]
図11は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態において、ダミー配線導体部21bを先端に進みに従ってピッチを小さくしたものであり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0060】
この第7の実施の形態によれば、ダミー配線導体部21bの両側が、図8に示した第4の実施の形態と同様に、封止樹脂5の流動方向に対して傾斜しているため、ダミー配線導体部21bに向かった封止樹脂5及び気泡の排出方向が斜面に沿って変更され、チップ搭載領域2aの外へ導かれる。このため、配線導体21及びダミー配線導体部21bに介在する気泡を低減することができる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0061】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々な変形が可能である。また、上記各実施の形態の構成要素を本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で任意に組み合わせることができる。
【0062】
例えば、上記各実施の形態においては、配線導体21と、ダミー配線導体23が、チップ搭載領域2aの2辺に設けられているものとしたが、チップ搭載領域2aの4辺に設けられた構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA部詳細図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1の配線基板に半導体チップを実装する第1の実装方法を示す工程図である。
【図3】(a)〜(c)は、図1の配線基板に半導体チップを実装する第2の実装方法を示す工程図である。
【図4】(a)〜(c)は、図1の配線基板に半導体チップを実装する第3の実装方法を示す工程図である。
【図5】(a)〜(c)は、図1の配線基板に半導体チップを実装する第4の実装方法を示す工程図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【図12】封止樹脂内に気泡が発生した半導体装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体装置
2 配線基板
2a チップ搭載領域
3 半導体チップ
3a チップ底面
4 バンプ
5 封止樹脂
6 ダミーバンプ
10 半導体装置
21 配線導体
21a 接続部
21b ダミー配線導体部
23 ダミー配線導体
23a 開口
24 第2のダミー配線導体
24a 水平部
24b 傾斜部
31 電極
100 配線基板
100a チップ搭載領域
101 配線導体
101a 接続部
200 半導体チップ
201 バンプ
300,301 気泡
L 長さ
p,p,p ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップがバンプを介して実装され、前記半導体チップが熱硬化性樹脂により封止される配線基板において、
絶縁性を有する基材と、
前記基材の前記半導体チップが実装される面に形成された複数の配線導体と、
前記複数の配線導体の前記バンプとの接続部よりも内側に設けられ、前記熱硬化性樹脂に含まれる気泡を把持する気泡把持部とを備えたことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記気泡把持部は、前記複数の配線導体を前記接続部から前記配線導体のピッチの3倍以上の長さに延在した構成であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記気泡把持部は、前記複数の配線導体の延長線上に前記複数の配線導体に絶縁して形成された複数の所定長のダミー配線導体であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記気泡把持部は、前記複数の配線導体に絶縁して形成され、格子状、千鳥状、ランダムに配置された複数の開口を有するダミー配線導体であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記気泡把持部は、前記熱硬化性樹脂の注入方向に対して傾斜した部分を有し、前記複数の配線導体の端部に設けられたダミー配線導体であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記気泡把持部は、ダミーバンプを有することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項7】
前記気泡把持部は、前記複数の配線導体のピッチよりも小さいピッチであることを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項8】
前記気泡把持部は、先端のピッチが中心部に向かって小さくなっていることを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項9】
前記バンプは、予め前記複数の配線導体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の配線基板と、
前記配線基板上にバンプを介して実装される半導体チップと、
前記半導体チップを封止する熱硬化性樹脂とを備えたことを特徴とするフリップチップ実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−173738(P2007−173738A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372873(P2005−372873)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】