説明

酵素食品の培養方法と酵素食品

【課題】米糠を基質とし、麹菌によって培養する米糠の乾式培養養をさらに工夫を凝らし、効率よく、歩留まりよく行うための製造方法を提供する。
【解決手段】米糠等の基質に麹菌を培養し、玄米酵素を培養する方法であって、米糠等の粉末を粒子状に加工し、蒸し、麹菌を接種し、培養室で培養する培養法に於いて、培養床に、所定の厚さに該麹菌を接種した米糠を積層する第1の工程、該積層した米糠の品温を高め、発酵開始させる第2の工程と、該発酵作用を継続するために適度な品温を維持する第3の工程と、該米糠が、該麹菌の発酵作用による粘着力によって、米糠相互の結合力を持つ第4の工程と、該米糠を塊状に分ける第5の工程と該塊状になった米糠を麹菌によって略白く包むように発酵させる第6の工程によって培養した米糠等の培養方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、健康補助食品に関する
【背景の技術】
【0002】
本発明は、玄米から白米製造過程で排出される米糠や小麦粉の製造過程で排出されるふすまやとうもろこしの外皮、そして豆腐製造過程で排出されるおからなどを基質として麹菌で培養して作る玄米酵素や大豆酵素などの培養方法とその培養方法からできた酵素食品に関する。
【0003】
たとえば、米糠は、玄米から白米を製造する過程で産出されるが、完全栄養食といわれる玄米が持つ栄養部分をほとんど保持し、栄養価の高いものである。玄米は、成分比から言うとタンパク質7%、脂質7%、糖でんぷん質70%、食物繊維3%などと共に、ビタミンB、B、ナイアシンやビタミンEなども多量に含み、完全栄養食品とも呼ばれている。現状では、この玄米の胚芽と表皮部分は、精米の過程で取り去られ、でんぷん質分を中心とする白米を、いわゆるお米として食している。この米糠は、玄米が持つ栄養成分を含有しつつ、わずかにぬか味噌用のぬか床などとして利用する以外は、廃棄処分されている。
【0004】
おからは、豆腐作りの過程で産出される。大豆を蒸し、これを圧搾して豆乳を絞り、搾った豆乳ににがりを入れて固めて豆腐を作る。豆乳を搾ったその残りかすがおからである。おからには大豆の持つ栄養素がそのまま含まれているが、これも副食材の「卯の花」としての利用や飼料への利用が知られているが、ほとんど廃棄されている。ふすまやとうもろこしの外皮なども同様である。
【0005】
麹菌は、酒作りや醤油作り、味噌作りなど、日本古来の発酵食品には欠かせない微生物であり、米や大豆、小麦などのでんぷん質やたんばく質、脂質等を、アミラーゼやプロテアーゼ、リパーゼなどの働きで、ブドウ糖やアミノ酸、脂肪酸に分解し、次の発酵分解・熟成作用へとつなげる働きをもっている。その過程で産出されるペプチド等の体内吸収のよいアミノ酸やビタミンB群を中心としたビタミン類、そして、分解のための諸酵素類を含む発酵食品が健康によいとされる要因であることも分ってきている。
【0006】
本願は、ほとんど廃棄処分されている米糠やおからなどの有機物を、麹菌を使用した発酵処理によって、健康食品を作るに当たり、従来開発されてきた培養方法を踏まえ、栄養素や酵素力価を損なうことなく、より効率よく、低コストで安定的に培養する培養方法を提供し、より多くの人が利用できることを目的としている。まず、従来の培養方法を特許文献で見る。
【先行技術文献】
【特許文献1】特公平8−10
【特許文献2】特開2002−27929
【特許文献3】特許第4304319号
【発明の開示】

【背景技術】
【0007】
従来の技術について、米糠を基質とした麹菌を使った培養方法に焦点をあてて見る。特許文献1の特公平8−10では、米糠を利用して、微生物(この場合は、納豆菌もしくは、粘草菌)を働かせて活性酸素抑制組成物を作る方法が示されている。ここでは、米糠や大豆類を、水の中に投入し液体状の培地で発酵させる方法が示されている。しかし好気性である麹菌で培養することは難しい。お酒造りでは、麹菌によってでんぷんを糖化し、酵母によってブドウ糖をアルコールに代え、これを同時に行なう並行複合発酵によって液体培地における発酵を可能にしているが、この培養には、職人芸が必要であり、液体状の培地での培養の難しさに変わりはない。
【0008】
特許文献2の「特開2002−27929」では、玄米の胚芽や表皮(米糠)を含む穀類からなる基質に、種菌アスペルギルスオリーゼ菌(いわゆる麹菌)を働かせて、健康食品を作る方法が記載されている。ここでは、水分を25重量%〜35重量%吸わせることが示され、特許文献1とは異なり、いわば乾式培地である。この特許の中でも「玄米の胚芽・表皮は、米粒に比して粒度が小さいため培養床において密着しあうと空気の流通性が衰えて、好気菌の培養に好ましくなく、また歓迎されない嫌気菌の繁殖に適した環境となる」と、玄米の胚芽・表皮(米糠)を単独で基質として麹菌を働かせることの困難さを指摘している。その上で、玄米をいわゆる白米部分も含めて全粒の形で破砕したものや、牡蠣柄を破砕したものを混ぜて空気の流通性を確保する方法を提案している。
【0009】
玄米が完全栄養食品といったとき、その栄養のほとんどは、胚芽と表皮部分にある。従って、この栄養価の高い米糠を基質として、混ぜものなく使用したい。ところが、この特許文献2では、米糠のみを単独で麹菌を培養することの難しさゆえに白米部分を混入するというのである。しかし、白米部分が大部分を占める玄米の全粒を破砕したものを用いたとき栄養価は薄まったものになる。また、白米は日本人に欠かせない「ごはん」食を支え、それとして需要がある。
【0010】
従って、米糠を基質とした麹菌による乾式培地の場合、できるだけ混ぜ物なく栄養価の高いまま麹菌で発酵させようとした時、問題となるのは米糠は粉末状であるという点にあった。単に水を加えると水の分布が、不均一になり、水分が多いところと逆に少ないところが出来てしまうという問題点がある。発行に使われる微生物は、麹菌に限らず、水分が必要不可欠であり水がなければ活性化しないが、逆に水が多ければ、空気の流通が遮られる。麹菌の場合、空気が必要になるため、水分供給と空気流通を同時にどのように行なうかが鍵となる。そこで特許文献2では、米糠を基質としながらも、一部では粒子の粗い玄米の全粒粉や牡蠣柄の粒などを用いることにより空気の流通を図る方法を考えていた。
【0011】
特許文献3、特許第4304319号は、本願出願人が出願した特許である。ここでは、乾式培地において米糠を基質として麹菌を培養するに当たっての方法として、米糠の粉末を粒子状に加工する方法を示し、粒子状にすることにより、水の均一分布、保水、空気の流通性を確保し、特許文献2のように混ぜ物をしなくても米糠を麹菌で培養する方法が示されている。
【従来の技術の問題】
【0012】
特許文献3、特許第4304319号に基づいて米糠の麹菌による培養は可能となったが、昨今の健康食品や酵素食品ブームによって、より品質の良い酵素食品の生産とその生産性を高める工夫が必要になった。培養をさらに効率よく、歩留まりよく行うためには、従来経験的に行ってきた乾式培地を使った培養、乾式培養を微生物学の基本に戻って培養方法を見直す必要がある。
【0013】
本願出願人は、米糠の乾式培養において、米糠を粒状化し、水分保持と空気(酸素)の流通性を良くする培養方法を開発し、いわばこの乾式培養では業界の先端を走る技術を有していた。しかしどの業界でもよりよい製品の開発は、事業活動を継続する上で、必要不可欠であり、一方誰が生産に係わっても一定品質のものが出来ることは大切なことである。従来の場合、職能的な技量に頼ってきた面がある。例えば米糠を麹菌で培養するに当たって、麹菌を接種した米糠の培養は、十年以上の経験者が培養床を逐一観察しながら、約1週間かけて培養を行ってきた。麹菌と言う生き物を取り扱う事業体であるため、週1〜2回の泊り込みの作業中、麹菌の発酵の状態変化によっては、徹夜の作業も当たり前になっていた。しかし10年以上の経験を積んだものでなくとも培養してゆける培養方法を考える、それが本願の大きな課題である。
【0014】
その際、新たな培養方法を考えるに当たって、次のa)〜c)の視点を加味した上で、培養方法を考えた。
a)微生物の生育・培養にとって必要とされる基本要素
b)製造技術を考えた上での基本要素の捉え方
c)製品が持つ品質の保持または、向上
【0015】
a)微生物の生育・培養にとって必要とされる基本要素
麹菌も含む微生物の生育・培養にとって培養管理の上で必要とされる基本要素は、以下の4点である。もちろんこのほかにも化学的要素としてPHや炭酸ガス、食塩、物理的要素として電磁波、圧力なども学術的には上げられているが、特に必要な視点として4点を考察した。
▲1▼ 水分
▲2▼ 種菌を接種した米糠等の基質の品温
▲3▼ 麹菌への酸素供給
▲4▼ 微生物の習性
これまでの製造技術は従来の試行錯誤的な経験蓄積の上に行われてきた。発想のベースになっているのがこれまでの製造現場であるため、基本的な改良策を考えた場合でもそれを実行に移すのはなかなか出来なかった。製造技術を根本的に変えるためには大掛かりな設備投資が必要になり、大掛かりな投資をしても生産・販売量がそれほど伸びないと言う時には、人海戦術で対処すると言う問題も在った。
【0016】
b)製造技術を考えた上での基本要素の捉え方。
基質が米糠からふすまやおからに替われば、当然細かな製造技術上の変更はあるが、どの場合でも考えておかねばならないのが、基本要素である。しかしこの基本要素は製造技術を踏まえて、実践的に捉え直しておく必要がある。上述した基本要素▲1▼〜▲4▼についての捉え方について以下示す。
▲1▼ 水分―製造上の技術として、基質が粉状のまま培養する事を考えると、次のような理解になってしまう。麹菌は酸素供給が不可欠であり、そのためには空気の供給を欠かすことができない。ところが空気供給を行うと空気が水分を担持し運んでしまい、どうしても乾燥することになる。そこで水分供給を絶やさないようにするのは、湿度を上げ、霧吹き状態にするという方法を考える事になる。しかし本願出願人が特許文献3で示したように、粒状に加工して水分を含ませることを考えれば、粒状の中に水分を保持し、空気の流通性も確保すると言う事ができる。水分保持と言っても製造工程の工夫によって色々と考えることができる。
▲2▼ 品温の制御―麹菌の場合求められる最適品温は、32〜38℃である。品温は、培養室の温度と麹菌自体の発酵状態とによって基本的に決まるが、発酵状態が進んだ時には、送風によって発酵熱を下げる工夫も必要になる。しかし適度な送風は、発酵を進めることになり、品温を下げることにはならない。そこで品温の制御には、以下の観点が必要になる。
i)培養室の温度を制御する加熱手段の制御管理
ii)培養床に風を送る送風手段の制御管理−空気流通を適度に行い、発酵熱を上げ品温を上げたり、逆に下げたりする。
iii)培養床に入れ込んだ基質の取り扱い−送風手段の管理に合わせ、発酵熱を上げ品温を上げたり、逆に下げたりする。
▲3▼ 酸素供給―送風力の強弱だけでなく、送風の流れを良くするための基質の加工や管理―酸素の供給は、麹菌の活性化のために行う。供給量を増やすには、送風量を増やす事になるが、送風量を増やせば、基質を乾燥させたり、品温を下げる事に繋がる事もあり、逆に麹菌の活性化を阻害する事にもなる。従って、培養室に入れ込んだ基質の状態に応じて、どのように送風して供給量を増やすかが課題となった。
▲4▼ 微生物の習性―麹菌は、繁殖する最適温度が32〜38℃であるが、種菌を接種した基質に着床する時点では、風の流れや音に対して敏感であり、なかなか着床しない。
【0017】
c)製品が持つ品質の保持または向上
培養方法や製造方法を合理的にしたり、変更したからと言って、従来経験的に製造していた製品が持つ栄養価やビタミン、酵素力価などの品質の点で、これまでと同様以上の品質を保持する必要がある。
【0018】
従来技術の問題点として
▲1▼ 新しい培養方法を考える上で、麹菌の培養に当たって考えておかねばならない、
i)基本要素と
ii)実際の製造過程の中でその基本要素をどのように捉えなおすかを科学的に考え、
iii)これまでの生産方法で到達した一定の品質を保持、向上させる
そのような留意点に立って、どのような培養方法を提案できるかが基本的な問題となった。その上で、これまでの培養方法の中でも問題となった以下の▲2▼〜▲4▼のような各点を従来技術の問題として加味した。
▲2▼ 粒子状に加工した米糠に麹菌を接種し、培養室の培養床に入れ込み発酵させるためには、米糠の品温を発酵に適した温度まで上げる必要がある。培養室の室温を上げて品温を上げる方法をとるが、空調機によって室温を上げようとすると空気の流れが起きて、米糠の表面が乾燥し、麹菌の着床が阻害され、場合によっては、発酵が始まらずその生産ロットを破棄することにもなった。
▲3▼ また培養床への入れ込みは、発酵のスタートがスムースに行くようにし、米糠の品温を保つように行ったが、発酵が始まり発酵熱によって温度が高くなると麹菌が活性域を超えて失活する温度域となるため、それを制御する事が必要になった。温度を検出し、ファンが自動的に働き強制的に冷却する方法もあるが、その場合、表面部分が乾燥することが避けられず、その部分の麹菌の着床が阻害され、良い品質のものができなかった。
▲4▼ また発酵が、順調に行ったときには、米糠に含まれていた水分が水蒸気となって、培養室の中に吐き出され、培養室の中の湿度が上がる。露点温度を超えると結露した水が、培養中の米糠に滴下することもある。滴下した部分は変質しここでも良い品質の生産が阻害された。
【問題を解決する方法】
【0019】
前記▲1▼の問題については、
米糠等の基質に麹菌を培養し、玄米酵素を培養する方法であって、米糠等の粉末を粒子状に加工し、蒸し、麹菌を接種し、培養室で培養する培養法に於いて、培養床に、所定の厚さに該麹菌を接種した米糠を積層する第1の工程、該積層した米糠の品温を高め、発酵開始させる第2の工程と、該発酵作用を継続するために適度な品温を維持する第3の工程と、該米糠が、該麹菌の発酵作用による粘着力によって、米糠相互の結合力を持つ第4の工程と、該米糠を塊状に分ける第5の工程と該塊状になった米糠を麹菌によって略白く包むように発酵させる第6の工程によって培養した米糠等の培養方法

米糠等の基質に麹菌を培養し、該培養を行う培養室に於いて、該培養室の室温を上げるための加熱手段と該麹菌を接種した米糠等の基質を発酵・培養するための培養床への送風手段と該培養床に入れ込んだ該米糠の品温制御手段を備え、該培養室での麹菌の発酵工程を複数の工程段階に分け、各工程段階に応じて、該加熱手段と該送風手段と該品温制御手段を適宜制御しつつ、該発酵・培養を進め、該麹菌の代謝物によって、該米糠等の基質に粘着力と結合力を持たせた上で、塊状に加工する塊状加工工程を設けた培養方法を考えた。
【0020】
このような培養方法をとることによって、次のことを可能にした。
イ)培養室の加熱手段を加熱し、培養床に入れ込んだ種麹を接種した米糠の品温を適度に保ち、一方送風手段は、培養のスタート時期はストップし、麹菌の発酵を順調に進めた。入れ込んだ米糠は、粒子状に作り、培養床に所定の厚さ(10cm〜20cm)に積層するが、その際押しつぶさず、粒子状に形成しているため、空気との接触が保たれ、麹菌の発酵が開始され、品温が高まってくる。
ロ)麹菌の発酵によって品温が上がってくると、加熱手段を停止し、品温制御手段を働かせ、送風手段を働かせる事により、品温の熱を逃がし品温を、約36度〜38度の麹菌が一番活発に活動するエリアにおく。
ハ)麹菌の発酵を順調に進めることによって、麹菌の代謝物によって米糠に粘着力と結合力を持たせ、塊状に加工できるようにする。麹菌は米糠を餌にするために、分解酵素を出すことになる。その酵素が、粘着力を持ち、米糠相互の結合力を生み出し、塊状にすることが可能になる。
塊状にして、培養床に並べ、品温を適温に保ちながら、送風を開始すると塊状の隙間を通って空気が流れるが、塊状の内部に水分を保持し、麹菌の菌糸を通して水分を吸い上げるため、発酵はさらに進む。こうして品温を適正に保ちながら、水分の保持と酸素の供給がスムーズに行われる。
ニ)発酵をさらに進め、塊状になった基質の表面に胞子と内部には、菌糸を繁殖させ、従来にない発酵製品を作ることが出来た。
【0021】
前記▲2▼の問題については、米糠に麹菌を培養する培養室に於いて、培養床に該麹菌を接種した米糠を入れ込み、該米糠の品温を該麹菌の発酵に適合した温度に上げるために、該培養室の室温を上げるに際し、ヒータや遠赤外やお湯などの熱を伝える伝熱方式を用いる。空調等を使用して室温を上げた時に、培養室内の空気が流れ、入れ込んだ米糠の表面が乾燥することのないようにし、該麹菌が米糠への着床を確実に行えるように工夫した。
【0022】
前記▲3▼の問題については、培養床に入れ込んだ麹菌が発酵し、米糠の品温が上がると発酵による熱を加えて、米糠の品温が、麹菌が活性化する適合温度を超えて温度上昇するときには、培養床に入れ込んだ米糠に切り込みをいれ、品温の熱を取るように工夫した。培養床には、好気性菌である麹菌に空気を送るために、床面と側面から布を介して空気を送るようにしている。切込みを入れれば送られてくる空気の逃げ道ができ、空気の流れが出来るため、熱を逃がす事ができる。
【0023】
前記▲3▼の問題について、培養床に入れ込んだ米糠に付着した麹菌が発酵し、米糠が粘着力・結合力を持つに到った段階で、米糠を団塊状に分け、該培養床に並べ、床面もしくは側面から送風される空気が、該団塊状の米糠に万遍なく送られ、米糠の品温が麹菌の適合温度を超えて、上がりすぎる事を防ぎ、該麹菌の発酵を促進させるように工夫した。
【0024】
前記▲4▼の問題については、米糠から麹菌の発酵に伴い蒸発する水分が、培養室の湿度を高め、露点を超えて結露し、米糠に滴下し、該滴下部分が、変質する事がないように、培養室の湿度が一定の値を超えたときには、別個に設けた換気装置を作動させるようにし、該滴下を防ぐようにした工夫した。
【0025】
さらに前記▲4▼の問題については、米糠から麹菌の発酵に伴い蒸発する水分を培養室の内壁や天井、床部分を該蒸発する水分を吸収できる木質やセラミックスからなる調湿素材で作る用に工夫し、培養室の内部の湿度が高くなり、結露による滴下を避けると共に、換気装置を働かせたると、品温が下がるので、培養速度が落ちる事も防ぐようにした。
【0026】
本願の米糠を麹菌で発酵・培養する製造方法は、米糠だけでなく、ふすまやおからなどの有機物にも応用する事ができ、米糠同様栄養価やその他の有用性を十分に持った有機物資材の活用に利用可能である。
【発明による効果】
【0027】
乾式培養についての製造上の技術を集大成でき、従来にない高品質の酵素製品が出来、また特別な技能を持っていなくても、製造マニュアルに従って、培養管理してゆけば、栄養素や酵素力価などの点で従来の品質以上の酵素製品が安定的に製造できることになった。
【0028】
培養室内の温度を上げるために、空調機を用いたときは、培養床に入れ込んだ米糠の表面部分が乾燥したり、麹菌が直接的な空気の流れがぶつかる事によって、働かなくなり、場合によっては、1ロット分を廃棄するようなことになったが、電熱器や遠赤やお湯の熱を伝える方法で、培養室の温度と米糠の品温を高める事によって、そのような失敗がなくなり、生産上の歩留まりが上がった。
【0029】
培養室での麹菌の発酵による熱を、培養床入れ込んだ米糠に切り込みを入れたり、団塊状にしてその培養床に並べることにより、麹菌の適正な発酵温度を保ち、且つ麹菌を活性化する空気を布を媒介にして送ることができ、発酵培養が促進できる事になった。
【0030】
塊状にして、表面積を大きくし、発酵が順調に行くと、表面に繁殖した麹菌は、菌糸を塊の中心部に伸ばし、水分を吸い上げ、培養室の内部は、蒸発する水分で、湿度が高くなり、露点を超えたときには、結露が滴下し、滴下した米糠が変質し、その部分を取り除く事になり、手間とその取り除く部分の損失が生じるが、本願方式で、湿度が上がらない対策を立てることにより、この手間と損失を無くす事ができ、歩留まりを上げる事ができた。
【0031】
本願発明は、栄養価が高い、米糠を基質として用い、麹菌を働かせ増殖培養し麹菌による酵素作用によって、ビタミンBなどのビタミンや様々な消化酵素、繊維質、そして鉄などのミネラル豊富な玄米酵素を歩留まり良く作り出すことが出来た。
【0032】
また本発明による玄米酵素を使用すれば、さまざまな症状に対しても効果がある。たとえば減量、便秘、血圧、不眠、慢性胃炎、慢性腸炎、疲労、神経痛などに対して効果が見られる。
【0033】
また米糠だけでなく、小麦粉の製造過程で排出されるふすまや豆腐の製造過程で排出されるおからとうもろこしの外皮などの活用にも本方式を使い、それぞれの排出地域において独自の酵素製品を製造してゆけば、有用製品を幅広く出荷できると共に、その地域の地域おこしにもなる。これらの製品も玄米酵素と類似の様々な効用が期待される。
【発明の具体的な説明】
【0034】
以下の図面に基づき、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明による米糠を基質とする麹培養方法の一実施例の概念ブロック図である。(2)は、玄米の胚芽と表皮からなる米糠で、粉末状のものである。(4)は水、(6)は酢、(8)は米糠の粉末を粒子状にするための造粒工程、(10)は蒸し工程、(12)は冷却工程、(14)は米糠の基質に、種麹(16)を接種し、混合撹拌する工程、(18)は、培養室での培養工程、(20)は、乾燥工程、(22)は、玄米酵素である。
【0035】
玄米を白米にする過程で生み出される米糠(2)は、胚芽と表皮が混在したものであり、10〜数100μ粉末状にある。これに水(4)と酢(6)を投入し、造粒工程(8)で、粒子状に造粒する。粒子の大きさは、略2〜4mm(直径)の大きさである。粒子状に造粒し形を保持するためには、水分量の調整が大切であるが、その時の湿度状態などにも大きく左右されるため、調整しながら水分量の増減を計る。にんにくをこの過程で投入することもある。これは、にんにくの殺菌力と米糠には含まれていない栄養素面、強精作用を考えて投入している。
【0036】
造粒工程(8)で、粒子状にした上で、蒸し工程(10)で100℃から120℃の蒸気で10〜30分米糠を蒸す。蒸すことで、雑菌を死滅させ、麹菌を増殖しやすくする。蒸し上がったものを冷却工程(12)で35℃前後に冷却した上で、撹拌工程(14)で種麹(16)を投入し、撹拌する。ここでは、アスペルギルスオリーゼ菌(Aspergillus oryzae)を使ったが、その他の麹菌を使用してもよい。
【0037】
種麹(16)を攪拌工程(14)で接種した米糠は、培養工程(18)で培養し、乾燥工程(20)で乾燥させて玄米酵素(22)の製品として出荷する。
【0037】
図2は、本願による図1に示した培養工程(18)を説明するための培養室の模式図である。(24)は培養室の内壁、(26)は天井、(28)は床、(30)は発熱手段であり、具体的には温水を流す温水用のパイプ、(32)は培養床、(34)は培養床(32)の床面、(36)は仕切り部材、(38)は、送風手段であり、そのファンである。(40)は空調機、(42)は換気装置である。図3は、培養床(32)の拡大図であり、(44)は固定用の金具、(46)は布、矢印は、ファン(38)からの空気の流れである。
【0038】
培養工程(18)は、室温を略35〜略45℃の間で、適当に制御した培養室の中で行う。培養室には、図2に示したような伝熱方式の加熱手段である温水パイプ(30)と培養床(32)が設けてある。この培養床(32)は、5〜7cm位の間隔に複数の仕切部材(36)を配置し奥行は、1.5〜2m位ある複数の部屋(区域)に仕切っている。この培養床(32)の床面(34)は送風手段であるファン(38)を働かせたときは送風されてくる空気が流れるようにしている。この仕切部材(36)は図3にみるように固定用の金具(44)とそれを包むメッシュの大きい布(46)でできていて、図2のファン(38)から送られてくる空気は、この仕切部材(36)からも、図3の矢印のように各部屋の中に送り込まれるようにしている。このため培養床(34)に入れ込んだ米糠には、側面と床面から風が送られてくる。
【0039】
図4は、培養工程(18)を詳細に説明した工程図である。(50)は入れ込み工程、(52)は一次発酵工程、(54)は加熱手段、(56)は熱逃がし工程、(58)は品温制御手段、(60)は送風手段、(62)は二次発酵工程である。入れ込み工程(50)から一次発酵工程(52)熱逃がし工程(56)二次発酵工程(62)までが、第1次培養工程である。(64)は塊状加工工程<1>、(65)は、3次発酵工程、(66)は除湿工程である。塊状加工工程<1>(64)から3次発酵工程(65)、除湿工程(66)までが、第2次培養工程(67)である。(68)は塊状加工工程<2>、(70)は4次発酵工程である。塊状加工工程<2>(68)から4次発酵工程(70)までが第3次培養工程である。
【0040】
図5は、熱逃がし工程(56)の詳細説明図であり、(72)は米糠、(74)は切り込み部である。
【0041】
図4に基づき説明を進める。入れ込み工程(50)は、接種された米糠を、培養床(34)の各仕切り部に、厚さ約10cmの高さに静置する。(15cm〜20cmでも良い)入れ込み工程(50)の後、米糠には麹菌が接種されているため、1次発酵工程(52)にはいる。培養室は、あらかじめ空調機で暖めておき、培養が始まれば空調を切り、加熱手段(54)で暖める。図2の実施例の場合、この加熱手段(54)として、温水パイプ(30)に温水を流す伝熱方式を使用しているが、伝熱用装置は温水パイプに代えて電熱器や遠赤外器を使って同様に暖めても良い。培養床に基質である米糠の入れ込みが終わり、接種した麹菌が着床し繁殖を始めるまでは、空調は切って風を流さない。風を流すと入れ込んだ米糠の表面部分が乾燥することと、品温の変化があって、麹菌が着床しにくくなる。この時点では、送風手段(38)も働かせていない。
【0042】
水分をたっぷりと保水し、麹菌を接種された米糠は、培養室の室温を37〜38℃に保つことで、34℃前後で安定する。そのまま培養床に8時間から14時間静置すると、麹菌が活発に繁殖するようになり、麹菌の発酵熱で、品温が37から38℃へと上がってくる。
品温が室温を越える時点で、1次発酵工程(52)から次の熱逃がし工程(56)にはいる。ここでは加熱手段(54)を止め、伝熱方式によって培養室を暖めることをストップする。
【0043】
この熱逃がし工程(56)では、送風手段(60)を働かせる。図2の実施例では、培養床(34)にファン(38)によって、送風を始め、図5のように培養床(34)に入れ込んだ米糠(72)に品温制御手段(58)であるへら等を使って切り込みを入れ、切り込み部(74)を作る。この切り込み部(74)は、ファン(38)で送られる風の逃げ道となる。麹菌は、略38℃の温度域を超えると働きが弱まり、麹菌の繁殖が弱まると種麹に付着していた酵母や雑菌が、繁殖を強めることになるため、品温を抑えるために温度制御するのである。
【0044】
熱逃がし工程(56)で、切り込みを入れるのは、熱を逃がすには、送風手段(60)である図2のファン(38)の作動だけでは不十分だからである。ファン(38)を作動させて、空気を送ると多少とも空気の流れができるため、熱が逃げる事は事実だが、図3で見るようにファン(38)によって送られる空気は、入れ込まれた米糠には、培養床(34)の床面と仕切り部材(36)の側面を、覆われた布を介して送られる。この培養床には粒状に加工した米糠の基質を積み込んでいるために、ファン(38)から送られてくる空気は、粒状の間を流れてゆくが、熱を逃がすためには、流れる道筋を作り、意識的に熱を逃がす処理を行うことがこの段階で大切になる。これまで、この切込みを入れ、熱逃がし工程(56)を設けないときには、培養室全体の温度を下げたり、培養床に置かれた米糠に直接風を送り、品温を下げるような処理を行っていた。しかし風を直接送れば、米糠の表面部分が乾燥し、また品温が下がれば、発酵に時間が掛かり、またそれらの調整に時間が掛かり、全体の発酵の管理が大変であった。この熱逃がし工程(56)を設ける事によって、その点の解決が図れた。
【0045】
熱逃がし工程(52)を経て、さらに発酵を続け、米糠が、粘着力・結合力を持つようになるまでが、2次発酵工程(62)となる。2次発酵工程(62)では、品温を測定する事によって、製造管理できるようにしている。ここでは、熱逃がし工程に続き、加熱手段(54)は切り、外部から加える熱の供給は断つようにしている。送風手段は、作動させているが、麹菌の発酵熱によって、品温は略37〜略38℃に保たれる。この状態でさらに略8時間〜略12時間すると、発酵に際して麹菌から代謝される粘着物によって米糠は粘着力・結合力を持ち、米糠の表面が少し、白くなり始める。1次発酵工程(52)、熱逃がし工程(56)、2次発酵工程(62)までが、第1次培養工程(63)である。第1次培養工程(63)は、種麹菌を接種した米糠基質に、麹菌を着床させ、その品温管理を行い、米糠基質が麹菌の代謝物により、粘着力と結合力を持つところまで培養する工程といえる。
【0046】
次に塊状加工工程<1>(64)にはいる。当初入れ込んだ米糠は、粒子状態にあり、互いは接触していると言っても全く密着しているわけでなく、空気が流れてゆく隙間がある。その状態から発酵が進み、麹菌の発酵物質によって、互いに結合するようになると、ファン(38)で空気を送風しても空気が流れにくくなる。麹菌の発酵には酸素が必要で、さらに発酵を進めるために、米糠と流れる空気との接触面積を、増大させる必要がある。そこで入れ込んでいた米糠を取り出しつつ、略3〜4cm角の比較的大きな塊、団塊状にわけ、培養床に積み上げてゆく。これが塊状加工工程<1>(64)である。培養床から米糠を取り出すことによって、ファン(38)から培養床のそれぞれの部屋への空気の流れが、大幅に改善され、そこに団塊状に分けた米糠の塊を積み重ねて行くため、空気の流れが、遮断されず、麹菌の発酵がさらに進むことになる。
【0047】
塊状加工工程<1>(64)に当たっては、手作業で行うため、培養室の室温は、いったん25℃まで下げる。団塊化を終え、次の3次発酵工程(65)に入ると、品温を再び上げるために伝熱手段(54)を働かせ、一時的に室温を上げる。この3次発酵が始まると、表面積が増えた米糠の表面から蒸発する水分によって、培養室の湿度も上がり、場合によっては、結露した水が培養中の米糠に滴下する。培養中の米糠に水滴が落ちるとその部分が変質したり、腐敗する素になる。
【0048】
そこで設けたのが、除湿工程(66)である。除湿工程(66)では、一定の湿度状態を検出し、その状態を超えたときには、培養室の換気装置を働かせて、除湿する。これは目視による手動操作でも良いし、湿度と温度から露点温度を積算し、この露点温度で換気装置を働かせる自動装置にしても良い。この塊状加工工程<1>(64)を経て、3次発酵工程(65)では、途中除湿工程(67)を経て、再び発酵状態を維持し団塊状の塊が、麹菌の白い菌糸で覆われるまで発酵させる。この送風手段(60)は、酸素供給と品温の制御のために送り続ける。塊状加工工程<1>(64)から、途中除湿工程(67)を挟んで、3次発酵工程(65)までが、第2次培養工程である。
【0049】
3次発酵工程(65)を終えた米糠は、さらに粘着力と結合力が増しているために、団塊状の米糠をさらに細かい塊にする事ができる。一方、麹菌と空気(酸素)との接触面積を増やし、さらに発酵継続させるために、団塊状から細塊状にする塊状加工工程<2>(68)に入る。ここでは、略2cm〜略3cm角に細塊化する。団塊状の中心部に残されていた水分を頼りに、細塊化された米糠の新たな断面には、見る見るうちに麹菌の菌糸と胞子が覆い、さらに発酵を進めるために、細粒化した米糠の中心部に水分確保のために菌糸を伸ばしてゆく事になる。これが4次発酵工程(70)である。こうして発酵を続けるうちに米糠の水分は、吸い取られ、水分状態が6%くらいになるまで発酵させる。塊状加工工程<2>(68)から4次発酵工程(70)までが、第3次培養工程(71)である。
【0050】
第3次培養工程(71)では、麹菌の発酵を究極まで進めー通常微生物は有機物が持つ水分の内80%を占める自由水を利用できるが、残りの20%の結合水は利用できないとされているー発酵によって、水分状態を極限まで減らし、発酵を極限まで進めることにより、米糠の基質として含有していたあらゆる栄養要素を分解する酵素の分泌を行う。細かい塊りになった米糠は、繁殖した麹菌で周りが白くなり、増殖した麹菌は、更なる繁殖のために周辺にある米糠のあらゆる栄養成分を自らの餌とするために、分解酵素を出す。米糠は、でんぷん質、たんぱく質、脂肪の栄養成分を含むため、これらを分解するアミラーゼやプロテアーゼ、リパーゼを出しながら繁殖しようとする。玄米酵素は、米糠を基質としているため、米糠が持つ栄養性に加え、これらの分解過程で生み出されるブドウ糖やアミノ酸に加え、これらの酵素成分を持つことになる。
【0051】
こうして作り出された生成物を、乾燥工程(20)に流し、生成した玄米酵素の酵素成分を死活させないように乾燥を行う。この際乾燥は、常温乾燥か生成物の表面温度が60℃を超えない乾燥方式を取り、乾燥させる。水分状態が6%と言っても、分布状態によっては、水分量が多いところも少ないところもあり、6%の乾燥レベルを平準化するためである。麹菌は、この乾燥によって、生きたまま仮死状態となり、この温度では、たんばく質は、変成しないため、その他の生成物は、その働きを損なうことなく含有されることになる。
【0052】
これを粉砕工程で(図示せず)適度な粉末に粉砕して、玄米酵素を完成する。以上本発明は、特許文献3に示した米糠を基質とした麹培養方法を基本にして、製造を進めながら、これまでの製造方法をさらに改良し、良質の製品を安定的に且つ歩留まりよく、生産するようにした。上述した説明からも分かるように、米糠という栄養価はあるが取り扱いにくいものを基質とし、その上で、麹菌と言う微生物を取り扱う製造である。乾式培地での麹菌の発酵技術であるため、職人芸でしか伝達をできないと言われる液状培地である日本酒の製造方法ほどでなくとも、一つ一つの工程ごとに、培養室の温度、米糠の品温、空調や換気扇等による空気の流れ、そして培養の素材である米糠の物質としての取り扱いなどに注意を払い、工業用生産として安定的に生産するための仕組みを確立してきたのは、上述した説明の通りである。なお本願の具体的な実施例として示したものはあくまで1実施例であり、本願発明は、特許請求の範囲に示した内容で、発明を具現化するものであり、実施例のみに掴われるものではない。
【0053】
本願発明の具体的な実施例については、米糠を基質とした事例で説明してきたが、本願発明は、この実施例に捉われるものではない。また本願は、特許請求の範囲の請求項8に記載したように、米糠だけでなく、小麦精製過程で排出されるふすまや豆腐生成過程で排出されるおからやとうもろこしの外皮などを基質とした製造方法にも応用が可能であり、それぞれの基質が持つ栄養素は異なっているが、それを発酵させて製品とした時に生み出される効果は、同様に期待される。
【0054】
本願発明は、白米製造過程で排出される米糠の栄養価値に注目し、この米糠を基質として用い、麹菌を培養し、ビタミンBなどのビタミンや様々な消化酵素、繊維質、そして鉄などのミネラル豊富な玄米酵素を作り出した。作り出したものの代表的な組成およびミネラル、ビタミン含有量については、図6に示した。また酵素力価については7に示す。これらはいずれも日本食品分析センターの分析試験成績表である。
【0055】
本願発明によるによる玄米酵素を使って、臨床試験を行い症状主訴別効果判定を行った結果は、特許文献3に記載していたが、同様の効果が期待できるため、その効果判定を図8に示し、疾患別による効果を見たのが図9に示す。いずれもいちじるしい効果を上げたことが報告されている。これらは、米糠の栄養素、含有するビタミン、その中の表皮の繊維質などの基質が本来持っているものを、発酵食品としてそのまま生かして取り出したことと、麹菌による酵素産出によって、これらの基質が、栄養素やビタミン、そしてミネラルとして人間の身体に吸収され、取り入れやすくなったこと、そして、産出された酵素自体が、消化、分解を助ける酵素群であり、こうした酵素を含む玄米酵素として取り出したことが要因として考えられる。なお、図9において、体重の「好転」とは増加、「悪化」とは減少のことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本願発明による米糠を基質とした麹培養方法の概念ブロック図である。
【図2】は、図1に示した培養工程(18)の培養室の模式図である。
【図3】は、図2に示した培養床(34)の拡大図である。
【図4】は、本発明による培養工程(18)の詳細工程図である。
【図5】は、図4に示した熱逃がし工程(52)の詳細説明図である。
【図6】は、玄米酵素が持つ栄養組成、ミネラル、ビタミン含有量を示す図である。
【図7】は、玄米酵素が持つ酵素力価を示す図である。
【図8】は、玄米酵素を臨床試験したときの「症状主訴別効果判定」の図である。
【図9】は、玄米酵素を使って臨床試験したときの症患による効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米糠等の基質に麹菌を培養し、玄米酵素を培養する方法であって、米糠等の粉末を粒子状に加工し、蒸し、麹菌を接種し、培養室で培養する培養法に於いて、培養床に、所定の厚さに該麹菌を接種した米糠を積層する第1の工程、該積層した米糠の品温を高め、発酵開始させる第2の工程と、該発酵作用を継続するために適度な品温を維持する第3の工程と、該米糠が、該麹菌の発酵作用による粘着力によって、米糠相互の結合力を持つ第4の工程と、該米糠を塊状に分ける第5の工程と該塊状になった米糠を麹菌によって略白く包むように発酵させる第6の工程によって培養した米糠等の培養方法
【請求項2】
米糠の基質に麹菌を培養し、玄米酵素を培養する培養方法であって、該培養を行う培養室において、該培養室の室温を上げるための加熱手段と該麹菌を接種した米糠を発酵・培養するための培養床への送風手段と該培養床に入れ込んだ該米糠の品温制御手段を備え、該発酵の各段階に応じて該加熱手段と該送風手段と該品温制御手段を適宜制御しつつ、該入れ込んだ米糠の該発酵・培養を進め、該入れ込んだ米糠に粘着力と結合力を持たせ、塊状に加工できるようにし、且つ該塊状にした該米糠が該麹菌の菌糸及び胞子によって略白く覆われるように加工することを特徴とする玄米酵素を培養する培養方法
【請求項3】
前記加熱手段としてヒータや遠赤外やお湯などの熱を伝える伝熱方式を用い、該麹菌が米糠への着床を音や風を立てることなく確実に行えるように工夫したことを特徴とする請求項1及び請求項2に示した玄米酵素を培養する培養方法
【請求項4】
前記米糠の前記品温が、前記麹菌の発酵熱によって、前記室温を超えて温度上昇するときには、前記米糠の前期品温制御手段を用いて、該培養床に入れ込んだ米糠に切り込みを入れ、品温の熱を下げるようにすることを特徴とする請求項1及び請求項2に示した玄米酵素を培養する培養方法
【請求項5】
前記培養床に入れ込んだ前記麹菌が発酵し、前記米糠が粘着力・結合力を持つに到った段階で該米糠を塊状に分け、前記培養床に静置し、該培養床の床面もしくは側面から送風される空気が該塊状の米糠に万遍なく送られ、該麹菌の発酵を促進させるようにしたことを特徴とする請求項1及び請求項2に示した玄米酵素を培養する培養方法
【請求項6】
前記塊状に分けた米糠から前記麹菌の発酵に伴い蒸発する水分が、前記培養室の湿度を高め、露点を超えて結露し、該米糠に滴下し、該滴下部分が、変質する事がないように、該培養室の該湿度が一定の値を超えたときには、別個に設けた換気装置を作動させるようにしたり、該培養室の内壁や天井、床部分を該蒸発する水分を吸収できる木質やセラミックスからなる調湿素材で作り、該滴下を防ぐようにしたり、請求項5に示した玄米酵素を培養する培養方法
【請求項7】
前記積層した米糠の品温を高め、発酵開始させる前記第2の工程において、該積層した米糠の品温を高めるために、前記培養床の上部に積層した米糠を覆うように食卓カバー状の覆いをかぶせたことを特徴とする請求項1及び請求項2に示した玄米酵素を培養する培養方法
【請求項8】
前記基質を前記米糠に代え、ふすまやおから等の有機物を基質として用いたことを特徴とする請求項1〜7に示したことを特徴とする酵素製品を培養する培養方法
【請求項9】
請求項1から請求項8に示した玄米酵素を培養する培養方法で製造したことを特徴とする玄米酵素

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−22012(P2013−22012A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169642(P2011−169642)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(511188473)株式会社万成食品 (1)
【Fターム(参考)】