説明

酸化物半導体膜及び半導体装置

【課題】酸素欠損の発生を抑制する。
【解決手段】ガリウム(Ga)若しくはスズ(Sn)の一部又は全部の代わりにゲルマニウム(Ge)を用いて酸化物半導体膜を構成する。ゲルマニウム(Ge)原子は、酸素(Ge)原子との結合の少なくとも一つの結合エネルギーがガリウム(Ga)又はスズ(Sn)の場合よりも高い。このため、ゲルマニウム(Ge)を用いて構成される酸化物半導体結晶において、酸素欠損が発生しにくい。このことから、ゲルマニウム(Ge)を用いて酸化物半導体膜を構成することにより、酸素欠損の発生の抑制を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、酸化物半導体膜に関する。また、半導体装置に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、酸化物半導体膜を含む電界効果トランジスタを用いた半導体装置の開発が進められている。上記酸化物半導体膜は、電界効果トランジスタのチャネルが形成される層(チャネル形成層ともいう)としての機能を有する。
【0004】
上記電界効果トランジスタとしては、例えばインジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物半導体膜からなる酸化物半導体層をチャネル形成層として用いた電界効果トランジスタ、又はインジウム(In)、スズ(Sn)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物半導体膜からなる酸化物半導体層をチャネル形成層として用いた電界効果トランジスタなどが挙げられる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−165528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電界効果トランジスタなどに用いられる酸化物半導体膜では、酸素欠損が生じるといった問題があった。また、電界効果トランジスタのチャネル形成層として、酸素欠損が存在する酸化物半導体膜を用いると、例えばチャネル領域において不要なキャリアが発生して電界効果トランジスタのオフ電流が上昇するなど、電界効果トランジスタの電気特性が低下する。
【0007】
本発明の一態様では、酸化物半導体膜における酸素欠損の発生を抑制すること、電界効果トランジスタの電気特性を向上させることの一方又は両方を課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、ガリウム(Ga)若しくはスズ(Sn)の一部又は全部の代わりにゲルマニウム(Ge)を用いて酸化物半導体膜を構成する。ゲルマニウム(Ge)は、酸素(O)との結合エネルギーがガリウム(Ga)又はスズ(Sn)の場合よりも高い。このため、ゲルマニウム(Ge)を用いて構成される酸化物半導体の結晶において、酸素欠損が発生しにくい。このことから、ゲルマニウム(Ge)を用いて酸化物半導体膜を構成することにより、酸素欠損の発生の抑制を図る。
【0009】
本発明の一態様は、一般式AGe(1−x/2)(1−y)Sn(1−x/2)yZn1−x/2(ZnO)(Aは、In、Al、Ce、Nd、及びGdの少なくとも一つ、xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の数)で表される結晶を含む酸化物半導体膜である。例えば、AをInとして一般式InGe(1−x/2)(1−y)Sn(1−x/2)yZn1−x/2(ZnO)(xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の数)で表される結晶を含む酸化物半導体膜とすることができる。
【0010】
また、本発明の一態様は、一般式Ax(1−y)GaxyGe1−x/2Zn1−x/2(ZnO)(Aは、In、Al、Ce、Nd、及びGdの少なくとも一つ、xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の数)で表される結晶を含む酸化物半導体膜である。例えば、AをInとして一般式Inx(1−y)GaxyGe1−x/2Zn1−x/2(ZnO)(xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の数)で表される結晶を含む酸化物半導体膜とすることができる。
【0011】
また、本発明の一態様は、酸化物半導体層と、絶縁層と、上記絶縁層を介して酸化物半導体層の一部に重畳する第1の導電層と、酸化物半導体層に電気的に接続される第2の導電層と、酸化物半導体層に電気的に接続される第3の導電層と、を含む半導体装置である。このとき、酸化物半導体層は、上記酸化物半導体膜の少なくとも一部を用いて構成されるため、上記酸化物半導体膜と同じ結晶を有する。また、酸化物半導体層は、電界効果トランジスタのチャネル形成層としての機能を有する。また、絶縁層は、電界効果トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する。また、第1の導電層は、電界効果トランジスタのゲートとしての機能を有する。また、第2の導電層は、電界効果トランジスタのソース及びドレインの一方としての機能を有する。また、第3の導電層は、電界効果トランジスタのソース及びドレインの他方としての機能を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様により、酸化物半導体材料における酸素欠損の発生を抑制することができる。また、上記酸化物半導体材料を電界効果トランジスタのチャネル形成層として用いることにより、電界効果トランジスタの電気特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】酸化物半導体膜に含まれる結晶の構造例を示す模式図。
【図2】酸化物半導体膜に含まれる結晶の構造例を示す模式図。
【図3】酸化物半導体膜に含まれる結晶の構造例を示す模式図。
【図4】酸化物半導体膜に含まれる結晶の構造例を示す模式図。
【図5】半導体装置の例を説明するための図。
【図6】半導体装置の例を説明するための図。
【図7】半導体装置の例を説明するための図。
【図8】半導体装置の例を説明するための図。
【図9】半導体装置の例を説明するための図。
【図10】半導体装置の例を説明するための図。
【図11】半導体装置の例を説明するための図。
【図12】半導体装置の例を説明するための図。
【図13】半導体装置の例を説明するための図。
【図14】半導体装置の例を説明するための図。
【図15】半導体装置の例を説明するための図。
【図16】半導体装置の例を説明するための図。
【図17】半導体装置の例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を説明するための実施形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。なお、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく実施形態の内容を変更することは、当業者であれば容易である。よって、本発明は、以下に示す実施形態の記載内容に限定されない。
【0015】
なお、各実施形態の内容を互いに適宜組み合わせることができる。また、各実施形態の内容を互いに置き換えることができる。
【0016】
また、第1、第2などの序数は、構成要素の混同を避けるために付しており、各構成要素の数は、序数の数に限定されない。
【0017】
(実施形態1)
本実施形態では、本発明の一態様である酸化物半導体膜の例について説明する。
【0018】
本実施形態の酸化物半導体膜は、結晶を含み、該結晶は、例えば一般式InGe(1−x/2)(1−y)Sn(1−x/2)yZn1−x/2(ZnO)(xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の整数)又は一般式Inx(1−y)GaxyGe1−x/2Zn1−x/2(ZnO)(xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の整数)で表すことができる。なお、nの値は、必ずしも限定されず、例えば整数に限られず1以上の数であってもよいが、例えば1以上50以下の整数にすることにより、結晶を安定化させることができる。このように、本実施形態の酸化物半導体膜は、ゲルマニウム(Ge)を含む結晶を有する。なお、上記結晶では、インジウム(In)を他の元素(例えばAl、Ce、Nd、及びGdなどの少なくとも一つ)に置き換えることもできる。
【0019】
上記一般式により表される結晶は、インジウム(In)を含む層と、ゲルマニウム(Ge)を含む層と、亜鉛(Zn)を含む層とを含む層状構造となる。上記層状構造である結晶は、例えばバンドギャップがシリコンよりも広いなど、電気特性の優れた半導体となる。なお、上記層状構造の順は、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、及び亜鉛(Zn)の組成に応じて変化する場合があり、また、上記層の他にインジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、及び亜鉛(Zn)の一つ又は複数を含む別の層が積層している場合がある。
【0020】
また、例えば被素子形成層の上に、スパッタリング法により上記酸化物半導体膜を成膜することができる。このとき、スパッタリングターゲットとしては、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、及び亜鉛(Zn)などの上記元素を含む酸化物ターゲットを用いることができる。
【0021】
さらに、本実施形態の酸化物半導体膜に含まれる結晶の構造例の模式図について図1乃至図4に示す。
【0022】
図1に示す結晶は、In:Ge:Zn=2:1:3(組成)であるIn−Ge−Zn−O酸化物半導体の結晶である。なお、図1(A)は、c軸に垂直な方向の結晶構造を示す模式図であり、図1(B)は、a−b面に垂直な方向の結晶構造を示す模式図である。また、相対的に大きい黒の球はインジウム(In)原子を表し、相対的に小さい黒の球は酸素(O)原子を表し、グレーの球はゲルマニウム(Ge)原子を表し、白の球は亜鉛(Zn)原子を表す。なお、便宜のため、球の大きさと原子の大きさとは異なる場合がある。また、各原子の配位数は、必ずしも本実施の形態に限定されない。
【0023】
図1に示す結晶は、In層(インジウム(In)を含む層)111と、Zn層(亜鉛(Zn)を含む層)112と、Ge−Zn層(ゲルマニウム(Ge)及び亜鉛(Zn)を含む層)113と、が順に層状に配列する。つまり、図1に示す結晶は、c軸方向に複数の層が積層した構造である。なお、Zn層112とGe−Zn層113との積層順は、特に限定されない。また、図1において、Zn層112の代わりにGe−Zn層を含んでいてもよい。また、Ge−Zn層113に代わりにZn層を含んでいてもよい。
【0024】
In層111では、6配位である1個のインジウム(In)原子がそれぞれ4配位である6個の酸素(O)原子と結合する。
【0025】
Zn層112では、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0026】
Ge−Zn層113では、5配位である1個のゲルマニウム(Ge)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。また、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0027】
また、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、及び亜鉛(Zn)に加え、スズ(Sn)を含む場合であっても上記層状構造の酸化物半導体結晶を構成できる。例えば、図2に示す結晶は、In:Ge:Sn:Zn=4:1:1:6(組成)であるIn−Ge−Sn−O酸化物半導体の結晶である。なお、図2(A)は、c軸に垂直な方向の結晶構造を示す模式図であり、図2(B)は、a−b面に垂直な方向の結晶構造を示す模式図である。また、相対的に大きい黒の球はインジウム(In)原子を表し、相対的に小さい黒い球は酸素(O)原子を表し、相対的に大きいグレーの球はスズ(Sn)原子を表し、相対的に小さいグレーの球はゲルマニウム(Ge)原子を表し、白の球は亜鉛(Zn)原子を表す。なお、便宜のため、球の大きさと原子の大きさとは異なる場合がある。
【0028】
図2に示す結晶は、In層121と、Zn層122と、Ge−Sn−Zn層(ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、及び亜鉛(Zn)を含む層)123と、が順に層状に配列する。つまり、図2に示す結晶は、c軸方向に複数の層が積層した構造である。なお、Zn層122とGe−Sn−Zn層123との積層順は、特に限定されない。また、図2において、Zn層122の代わりにGe−Zn層、Sn−Zn層(スズ(Sn)及び亜鉛(Zn)を含む層)、又はGe−Sn−Zn層を含んでいてもよい。また、Ge−Sn−Zn層123の代わりにGe−Zn層、Sn−Zn層、又はZn層を含んでいてもよい。
【0029】
In層121では、6配位である1個のインジウム(In)原子がそれぞれ4配位である6個の酸素(O)原子と結合する。
【0030】
Zn層122では、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0031】
Ge−Sn−Zn層123では、5配位である1個のゲルマニウム(Ge)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。また、5配位である1個のスズ(Sn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。また、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0032】
図2に示すように、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、及び亜鉛(Zn)に加え、スズ(Sn)を含む場合であっても上記層状構造の酸化物半導体結晶を構成できる。例えば、スズ(Sn)を加えることにより、キャリアの移動度を高くすることができる。
【0033】
また、図2に示す結晶において、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、及び亜鉛(Zn)の組成を変えた場合であっても上記層状構造の酸化物半導体結晶を構成することができる。例えば、図3に示す結晶は、In:Ge:Sn:Zn=4:1:1:10(組成)であるIn−Ge−Sn−Zn−O酸化物半導体の結晶である。なお、図3(A)は、c軸に垂直な方向の結晶構造を示す模式図であり、図3(B)は、a−b面に垂直な方向の結晶構造を示す模式図である。また、相対的に大きい黒の球はインジウム(In)原子を表し、相対的に小さい黒の球は酸素(O)原子を表し、相対的に大きいグレーの球はスズ(Sn)原子を表し、相対的に小さいグレーの球はゲルマニウム(Ge)原子を表し、白の球は亜鉛(Zn)原子を表す。なお、便宜のため、球の大きさと原子の大きさとは異なる場合がある。
【0034】
図3に示す結晶は、In層131と、Zn層132と、Ge−Sn−Zn層133と、Zn層134と、が順に層状に配列する。つまり、図3に示す結晶は、c軸方向に複数の層が積層した構造である。なお、Zn層132と、Ge−Sn−Zn層133と、Zn層134との積層順は、特に限定されない。また、図3において、Zn層132の代わりにGe−Zn層、Sn−Zn層、又はGe−Sn−Zn層を含んでいてもよい。また、Ge−Sn−Zn層133の代わりにGe−Zn層、Sn−Zn層、又はZn層を含んでいてもよい。また、Zn層134の代わりにGe−Zn層、Sn−Zn層、又はGe−Sn−Zn層を含んでいてもよい。
【0035】
In層131では、6配位である1個のインジウム(In)原子がそれぞれ4配位である6個の酸素(O)原子と結合する。
【0036】
Zn層132では、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0037】
Ge−Sn−Zn層133では、5配位である1個のゲルマニウム(Ge)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。また、5配位である1個のスズ(Sn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。また、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0038】
Zn層134では、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0039】
図3に示すように、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)の組成を変化させた場合でも酸化物半導体の結晶を構成することができる。例えば、インジウム(In)の量を多くすることにより、キャリアの移動度を高くすることができる。また、亜鉛(Zn)の量を多くすることにより、酸化物半導体膜が結晶化しやすくなる。
【0040】
また、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、及び亜鉛(Zn)に加え、ガリウム(Ga)を含む場合であっても上記層状構造の酸化物半導体結晶を構成できる。例えば、図4に示す結晶は、In:Ga:Ge:Zn=3:1:1:4(組成)であるIn−Ga−Ge−Zn−O酸化物半導体の結晶である。なお、図4(A)は、c軸に垂直な方向の結晶構造を示す模式図であり、図4(B)は、a−b面に垂直な方向の結晶構造を示す模式図である。また、相対的に大きい黒の球はインジウム(In)原子を表し、相対的に小さい黒の球は酸素(O)原子を表し、グレーの球はゲルマニウム(Ge)原子を表し、相対的に大きい白の球は、ガリウム(Ga)原子を表し、相対的に小さい白の球は亜鉛(Zn)原子を表す。なお、便宜のため、球の大きさと原子の大きさとは異なる場合がある。
【0041】
図4に示す結晶は、In層141と、Zn層142と、Ge−Zn層143と、In層144と、Zn層145と、Ga−Zn層(ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を含む層)146と、In層147と、Zn層148と、Ga−Ge層(ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)を含む層)149と、が順に層状に配列する。つまり、図4に示す結晶は、c軸方向に複数の層が積層した構造である。なお、Zn層142とGe−Zn層143との積層順は、特に限定されない。また、Zn層145とGa−Zn層146との積層順は特に限定されない。また、Zn層148とGa−Ge層149との積層順は、特に限定されない。また、図4において、Zn層142の代わりにGe−Zn層、Ga−Zn層、又はGa−Ge−Zn層(ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、及び亜鉛(Zn)を含む層)を含んでいてもよい。また、Ge−Zn層143の代わりにGa−Ge−Zn層、Ge−Zn層、又はZn層を含んでいてもよい。また、Zn層145の代わりにGe−Zn層、Ga−Zn層、又はGa−Ge−Zn層を含んでいてもよい。また、Ga−Zn層146の代わりにGa−Ge−Zn層、Ge−Zn層、又はZn層を含んでいてもよい。また、Zn層148の代わりにGe−Zn層、Ga−Zn層、又はGa−Ge−Zn層を含んでいてもよい。また、Ga−Ge層149の代わりにGa−Ge−Zn層、Ge層(ゲルマニウム(Ge)を含む層)、又はGa層(ガリウム(Ga)を含む層)を含んでいてもよい。
【0042】
In層141では、6配位である1個のインジウム(In)原子がそれぞれ4配位である6個の酸素(O)原子と結合する。
【0043】
Zn層142では、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0044】
Ge−Zn層143では、5配位である1個のゲルマニウム(Ge)原子がそれぞれ5配位である5個の酸素(O)原子と結合する。また、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0045】
In層144では、6配位である1個のインジウム(In)原子がそれぞれ4配位である6個の酸素(O)原子と結合する。
【0046】
Zn層145では、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0047】
Ga−Zn層146では、5配位である1個のGa原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。また、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0048】
In層147では、6配位である1個のインジウム(In)原子がそれぞれ4配位である6個の酸素(O)原子と結合する。
【0049】
Zn層148では、5配位である1個の亜鉛(Zn)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0050】
Ga−Ge層149では、5配位である1個のガリウム(Ga)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。また、5配位である1個のゲルマニウム(Ge)原子がそれぞれ4配位である5個の酸素(O)原子と結合する。
【0051】
図4に示すように、スズ(Sn)の代わりにガリウム(Ga)を用いる場合であっても上記層状構造の酸化物半導体の結晶を構成できる。
【0052】
また、上記酸化物半導体膜を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜としてもよい。
【0053】
CAAC−OSとは、結晶領域と非晶質領域の混相構造であり、且つ結晶領域の結晶において、c軸が半導体膜の被形成面又は表面に垂直であり、ab面に垂直な方向から見て三角形状又は六角形状の原子配列を有し、金属原子および酸素原子を有する層が重なる。なお、層の法線ベクトルがc軸方向である。よって、CAAC−OSは、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。なお、CAAC−OSが複数の結晶領域を有する場合、複数の結晶領域の結晶同士は、a軸及びb軸の向きが異なってもよい。なお、上記結晶領域に上記図1乃至図4を用いて説明した構造の結晶が含まれる。
【0054】
また、CAAC−OSにおける結晶領域は、一辺が100nm未満の三次元領域内に存在することが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEMともいう)によるCAAC−OSの観察では、CAAC−OSにおける結晶領域と非晶質領域との境界が必ずしも明確ではない。また、CAAC−OSにおいて、結晶粒界は確認されない。よって、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が少ない。
【0055】
また、CAAC−OS膜において、膜の深さ方向において結晶領域が均一に分布していなくてもよい。例えば、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させてCAAC−OS膜を形成した場合、CAAC−OS膜の表面の近傍は、結晶領域の占める割合が高くなり、CAAC−OS膜の被形成面の近傍は非晶質領域の占める割合が高くなることがある。
【0056】
また、CAAC−OSの結晶領域における結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面又は表面に垂直であるため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状又は表面の断面形状)により、c軸の方向が異なることがある。なお、CAAC−OSの結晶領域におけるc軸は、CAAC−OS膜の被形成面又は表面に略垂直になる。
【0057】
以上が図1乃至図4に示す酸化物半導体結晶の構造例の説明である。
【0058】
さらに、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、及びゲルマニウム(Ge)のいずれが、酸素(O)との結合が強いかを考察するため、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、及びゲルマニウム(Ge)のそれぞれの酸化物が、酸素欠損状態を形成するために必要なエネルギー(欠損形成エネルギーEdef)の値及び金属と酸素(O)の結合エネルギーの値について表1を用いて説明する。
【0059】
【表1】

【0060】
欠損形成エネルギーEdefは、下記の式で表される。
【0061】
def=(E(AN−1)+E(O))―E(A
【0062】
このとき、Aは、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、及びゲルマニウム(Ge)のいずれかを意味する。なお、E(O)は、酸素(O)原子が持つ全エネルギー、E(A)は酸素欠損のない金属酸化物Aのエネルギーを表し、E(AN−1)は酸素欠損のある金属酸化物AN−1のエネルギーを表す。また、MとNは原子数であり、MとNの和が計算に用いる原子数となる。
【0063】
欠損形成エネルギーEdefの値が大きければ大きいほど、酸素欠損状態を形成するのにエネルギーが必要であり、酸素(O)との結合が強い傾向にあることを意味する。
【0064】
また、上記欠損形成エネルギーEdefの算出を、密度汎関数法のプログラムであるCASTEPを用いて行うことができる。表1に関する計算では、密度汎関数の方法として平面波基底擬ポテンシャル法を用い、汎関数としてGGA―PBEを用いる。また、カットオフエネルギーは、500eVである。また、k点のグリッド数を、SnOについては2×2×3に設定し、ルチル構造のGeOについては3×3×3に設定し、石英構造のGeOについては3×3×2に設定し、Gaについては1×3×3に設定する。また、SnOについては48原子のルチル構造を用い、Gaについては80原子のβ−Gallia構造を用い、GeOについては72原子のルチル構造GeOと石英構造GeOを用いる。また、E(O)は、酸素分子における値を2で割った値とする。
【0065】
さらに、上記欠損形成エネルギーEdefの値を酸素(O)原子の配位数で割ることにより、金属原子と酸素(O)原子との結合1本あたりの結合エネルギーを算出することができる。
【0066】
表1に示すように、ゲルマニウム(Ge)原子と酸素(O)原子との結合の少なくとも一つの結合エネルギーは、スズ(Sn)原子又はガリウム(Ga)原子と酸素(O)原子との結合の少なくとも一つの結合エネルギーより大きい。上記結合エネルギーが大きいほど酸素欠損が生じにくい。よって、ゲルマニウム(Ge)の酸化物がスズ(Sn)やガリウム(Ga)の酸化物よりも酸素(O)との結合が強く、酸素欠損が生じにくいことがわかる。
【0067】
また、計算によるゲルマニウム(Ge)を含む結晶(In−Ge−Zn−O酸化物半導体結晶、In−Ge−Sn−Zn−O酸化物半導体結晶)、及びIn−Sn−Zn−O酸化物半導体結晶を有する酸化物半導体膜(比較例)のバンドギャップエネルギーの値について表2を用いて説明する。
【0068】
【表2】

【0069】
なお、表2に示すバンドギャップエネルギーに関する計算では、密度汎関数理論に基づく平面波−擬ポテンシャル法を用いた第一原理計算により構造最適化を行い、上記第一原理計算により最適化された結晶構造に対してエネルギー状態密度を計算することにより、バンドギャップエネルギーの算出を行う。このとき、計算プログラムは第一原理計算ソフトCASTEPである。また、汎関数としてGGA−PBEを用いる。また、擬ポテンシャルとしてUltrasoftを用いる。また、カットオフエネルギーは380eVである。また、k点の数を、構造最適化では4×4×1に設定し、状態密度計算では5×5×3に設定する。また、In−Ga−Zn−O酸化物半導体結晶を基にIn−Ge−Zn−O酸化物半導体結晶、In−Sn−Zn−O酸化物半導体結晶、及びIn−Ge−Sn−Zn−O酸化物半導体結晶の構造を設定する。このとき、In−Ga−Zn−O酸化物半導体結晶については、対称性R−3(国際番号:148)の構造において、a軸、b軸のそれぞれを2倍にした84原子の構造を基本とする。また、In−Ge−Zn−O酸化物半導体結晶については、上記In−Ga−Zn−O酸化物半導体結晶のGaを、GeとZnが1:1となるように置き換えた構造とする。また、In−Sn−Zn−O酸化物半導体結晶は、上記のIn−Ga−Zn−O酸化物半導体結晶のGaを、SnとZnが1:1となるように置き換えた構造とする。また、In−Ge−Sn−Zn−O酸化物半導体結晶については、In−Ge−Zn−O酸化物半導体結晶のGeの半分をSnに置き換えた構造とする。最適化されたいずれの結晶構造もバンドギャップを有しているので、絶縁体又は半導体と同様のエネルギー状態密度を有することがわかる。よって、エネルギー状態密度からバンドギャップエネルギーを算出できる。なお、密度汎関数法では、バンドギャップエネルギーが小さく見積もられる場合がある。
【0070】
表2に示すように、ゲルマニウム(Ge)を含む結晶を有する酸化物半導体膜のバンドギャップエネルギーは、ゲルマニウム(Ge)を含まない結晶を有する酸化物半導体膜より大きい。つまり、ゲルマニウム(Ge)を含む結晶を有する酸化物半導体膜のバンドギャップがゲルマニウム(Ge)を含まない結晶を有する酸化物半導体膜より広くなる。
【0071】
以上が本実施形態における酸化物半導体膜の例の説明である。
【0072】
図1乃至図4を用いて説明したように、本実施形態の酸化物半導体膜の一例では、酸素(O)との結合の少なくとも一つの結合エネルギーが他の元素(スズ(Sn)又はガリウム(Ga)など)の場合よりも高いゲルマニウム(Ge)を用いることにより、酸素欠損の発生を抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態の酸化物半導体膜の一例では、ゲルマニウム(Ge)を用いることにより、バンドギャップを広げることができる。
【0074】
(実施形態2)
本実施形態では、半導体装置及び半導体装置の作製方法の一態様を図5乃至図8を用いて説明する。
【0075】
本実施形態における半導体装置は、上記実施形態1に示す酸化物半導体膜からなり、電界効果トランジスタのチャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層と、電界効果トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層と、絶縁層を介して酸化物半導体層の一部に重畳し、電界効果トランジスタのゲートとしての機能を有する第1の導電層と、酸化物半導体層に電気的に接続され、電界効果トランジスタのソース及びドレインの一方としての機能を有する第2の導電層と、酸化物半導体層に電気的に接続され、電界効果トランジスタのソース及びドレインの他方としての機能を有する第3の導電層と、を含む。
【0076】
さらに、本実施形態における半導体装置の例を図5に示す。図5(A)は、平面図であり、図5(B)は、図5(A)のX1−Y1における断面図である。なお、図5(A)では、煩雑になることを避けるため、電界効果トランジスタ420の構成要素の一部(例えば、絶縁層407)を省略して図示している。
【0077】
図5(A)及び図5(B)に示す電界効果トランジスタ420は、絶縁表面を有する基板400上に、下地絶縁層436と、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bと、チャネル長方向の一方の側面においてソース電極層405aと接し、チャネル長方向の他方の側面においてドレイン電極層405bと接する酸化物半導体層403と、酸化物半導体層403、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bの上面と接するゲート絶縁層402と、ゲート絶縁層402を介して酸化物半導体層403上に設けられたゲート電極層401と、ゲート電極層401のチャネル長方向の側面の一方と接する側壁層412aと、ゲート電極層401のチャネル長方向の側面の他方と接する側壁層412bと、を含んで構成される。
【0078】
電界効果トランジスタ420において、側壁層412aの少なくとも一部は、ゲート絶縁層402を介してソース電極層405a上に設けられている。また、側壁層412bの少なくとも一部は、ゲート絶縁層402を介してドレイン電極層405b上に設けられている。側壁層412a及び側壁層412bは、導電性材料を含み、ゲート電極層401の一部として機能することが可能であるため、ゲート絶縁層402を介してソース電極層405a又はドレイン電極層405bと重畳する領域を、実質的にLov領域とすることができる。
【0079】
また、図5に示す電界効果トランジスタ420では、側壁層412a、側壁層412b及びゲート電極層401上に設けられた絶縁層407と、絶縁層407上に設けられた配線層435a及び配線層435bと、を構成要素に含めてもよい。配線層435aは、絶縁層407及びゲート絶縁層402に設けられた開口でソース電極層405aと電気的に接続し、配線層435bは、絶縁層407及びゲート絶縁層402に設けられた開口でドレイン電極層405bと電気的に接続する。
【0080】
また、電界効果トランジスタ420において、導電性材料を含む側壁層を設けない場合、Lov領域の形成のためには線幅の細い酸化物半導体層と線幅の細いゲート電極層との精密なアライメントが要求される。さらに上記要求は、電界効果トランジスタの微細化に伴って高くなる。しかしながら、本実施形態で示す電界効果トランジスタ420は、ゲート電極層401のチャネル長方向の側面に、導電性材料を含む側壁層412a及び側壁層412bを有するため、側壁層412a及び側壁層412bと、ソース電極層405a又はドレイン電極層405bとが重畳する領域も実質的にLov領域として機能することが可能である。したがって、ゲート電極層401を形成する際のアライメントの自由度を向上させることができ、歩留まりよく、オン電流の低下を抑制した電界効果トランジスタ420を提供することが可能となる。
【0081】
また、実施形態1に示した酸化物半導体膜を用いて酸化物半導体層403を構成することができる。また、CAAC−OS膜を用いて酸化物半導体層403を構成してもよい。
【0082】
また、図6(A)及び図6(B)に、図5(A)及び図5(B)に示す電界効果トランジスタ420とは異なる構成の電界効果トランジスタ422の平面図及び断面図を示す。図6(A)は、電界効果トランジスタ422の平面図であり、図6(B)は、図6(A)のX2−Y2における断面図である。なお、図6(A)では、煩雑になることを避けるため、電界効果トランジスタ422の構成要素の一部(例えば、絶縁層407)を省略して図示している。
【0083】
図6(A)及び図6(B)に示す電界効果トランジスタ422と、図5(A)及び図5(B)に示す電界効果トランジスタ420との相違点は、酸化物半導体層403の側面の形状である。図6(A)及び図6(B)に示す電界効果トランジスタ422においては、酸化物半導体層403は、ソース電極層405a又はドレイン電極層405bと接する側面において、テーパ形状を有する。酸化物半導体層403の側面をテーパ形状とすることで、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bを形成する際の導電膜の被覆性を高めることができる。
【0084】
以下、図7及び図8を用いて、本実施形態の電界効果トランジスタの作製工程の例について説明する。なお、以下では、電界効果トランジスタ422の作製工程を例示する。
【0085】
まず、絶縁表面を有する基板400上に、下地絶縁層436を形成する。
【0086】
絶縁表面を有する基板400として用いることができる基板としては大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理工程に耐えうる程度の耐熱性を有することが必要となる。例えば、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板、プラスチック基板などを用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを用いることもでき、上部に半導体素子が設けられた上記基板を、基板400として用いてもよい。
【0087】
また、基板400としては、プラスチック基板などの可撓性基板を用いてもよい。
【0088】
下地絶縁層436は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、又はこれらの混合材料を含む膜から選ばれた、単層又は積層構造とすることができる。但し、下地絶縁層436は、酸化物絶縁膜を含む単層又は積層構造であり、該酸化物絶縁膜が後に形成される酸化物半導体層403と接する構造であることが好ましい。なお、下地絶縁層436は、必ずしも設けなくともよい。
【0089】
下地絶縁層436は、化学量論的組成を超える酸素を含む領域(以下、酸素過剰領域とも表記する)を有することが好ましい。酸素過剰領域により、後に形成される酸化物半導体層403の酸素欠損を補填することが可能になるためである。下地絶縁層436が積層構造の場合は、少なくとも酸化物半導体層403と接する層において酸素過剰領域を有することが好ましい。下地絶縁層436に酸素過剰領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて下地絶縁層436を成膜すればよい。又は、成膜後の下地絶縁層436に、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオンのいずれかを含む)を注入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の注入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理などを用いることができる。
【0090】
次に、下地絶縁層436上に酸化物半導体層413を成膜する(図7(A)参照)。酸化物半導体層413の膜厚は、例えば、3nm乃至30nm、好ましくは5nm乃至20nmとする。酸化物半導体層413としては、例えば実施形態1に示す酸化物半導体膜を用いることができる。このとき、成膜時の基板温度は室温以上450℃以下とする。
【0091】
さらに、酸化物半導体層413の結晶性を高めたい場合、成膜直後に行う熱処理の温度を、250℃以上700℃以下、好ましくは、400℃以上、より好ましくは500℃以上、さらに好ましくは550℃以上とする。なお、当該熱処理は、作製工程における他の熱処理を兼ねることも可能である。
【0092】
また、スパッタリング法を用いて酸化物半導体膜を成膜し、該酸化物半導体膜の一部をエッチングすることにより酸化物半導体層413を形成できる。例えば、酸化物半導体層413を、プラズマスパッタリング装置を用いて成膜してもよい。プラズマスパッタリング装置は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタリング装置である。
【0093】
また、例えば形成される酸化物半導体層413の組成が上記酸化物半導体膜の組成になるような組成のスパッタターゲットを用いて酸化物半導体層413を形成することが好ましい。例えば、In:Ge:Sn:Zn=4:1:1:6の組成である酸化物ターゲットを用いてIn−Ge−Sn−Zn−Oの酸化物半導体膜を成膜することができる。
【0094】
また、酸化物半導体層413を形成する際、できる限り酸化物半導体層413に含まれる水素濃度を低減させることが好ましい。水素濃度を低減させるには、例えば、スパッタリング法を用いて成膜を行う場合には、スパッタリング装置の処理室内に供給する雰囲気ガスとして、水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度の希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、及び希ガスと酸素との混合ガスを適宜用いる。
【0095】
また、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入して成膜を行うことで、成膜された酸化物半導体層413の水素濃度を低減させることができる。成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素分子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)などの排気能力が高いため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体層413に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0096】
また、基板400を高温に保持した状態で酸化物半導体層413を形成することも、酸化物半導体層413中に含まれうる不純物濃度を低減するのに有効である。基板400を加熱する温度としては、150℃以上450℃以下とすればよい。
【0097】
また、酸化物半導体層413を、成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0098】
酸化物半導体層413の成膜前に、酸化物半導体層413の成膜表面に平坦化処理を行ってもよい。平坦化処理としては、特に限定されないが、研磨処理(例えば、化学的機械研磨法)、ドライエッチング処理、プラズマ処理を用いることができる。
【0099】
プラズマ処理としては、例えば、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行うことができる。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。逆スパッタリングを行うと、酸化物半導体層413の成膜表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することができる。
【0100】
平坦化処理として、研磨処理、ドライエッチング処理、プラズマ処理は複数回行ってもよく、それらを組み合わせて行ってもよい。また、組み合わせて行う場合、工程順も特に限定されず、酸化物半導体層413の成膜表面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。
【0101】
また、酸化物半導体層413に、当該酸化物半導体層413に含まれる過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化又は脱水素化)するための熱処理を行うのが好ましい。熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、又は基板の歪み点未満とする。熱処理は減圧下又は窒素雰囲気下などで行うことができる。
【0102】
この熱処理によって、n型不純物である水素を酸化物半導体から除去することができる。例えば、脱水化又は脱水素化処理後の酸化物半導体層413に含まれる水素濃度を、5×1019/cm以下、好ましくは5×1018/cm以下とすることができる。
【0103】
なお、脱水化又は脱水素化のための熱処理は、酸化物半導体層413の成膜後であれば、電界効果トランジスタ422の作製工程においてどのタイミングで行ってもよい。但し、ゲート絶縁層402又は絶縁層407として酸化アルミニウム膜を用いる場合には、当該酸化アルミニウム膜を形成する前に行うのが好ましい。また、脱水化又は脱水素化のための熱処理は、複数回行ってもよく、他の加熱処理と兼ねてもよい。
【0104】
なお、下地絶縁層436として酸素を含む下地絶縁層を設ける場合、脱水化又は脱水素化のための熱処理を酸化物半導体層413の島状への加工前に行うと、下地絶縁層436に含まれる酸素が熱処理によって放出されるのを防止することができるため好ましい。
【0105】
熱処理においては、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。又は、熱処理装置に導入する窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0106】
また、熱処理で酸化物半導体層413を加熱した後、加熱温度を維持、又はその加熱温度から徐冷しながら同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度の一酸化二窒素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)を導入してもよい。酸素ガス又は一酸化二窒素ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。又は、熱処理装置に導入する酸素ガス又は一酸化二窒素ガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガス又は一酸化二窒素ガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又は一酸化二窒素ガスの作用により、脱水化又は脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体層413を高純度化及びi型(真性)化することができる。
【0107】
また、脱水化又は脱水素化処理を行った酸化物半導体層に、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオン、のいずれかを含む)を導入して膜中に酸素を供給してもよい。
【0108】
脱水化又は脱水素化処理を行った酸化物半導体層に、酸素を導入して膜中に酸素を供給することによって、酸化物半導体層を高純度化、及びi型(真性)化することができる。高純度化し、i型(真性)化した酸化物半導体層を有する電界効果トランジスタは、電気特性変動が抑制されており、電気的に安定である。
【0109】
酸素の導入工程は、酸化物半導体層に酸素導入する場合、酸化物半導体層に直接導入してもよいし、後に形成されるゲート絶縁層402や絶縁層407などの他の膜を通過して酸化物半導体層413へ導入してもよい。酸素を他の膜を通過して導入する場合は、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いればよいが、露出された酸化物半導体層413へ直接酸素を導入する場合は、上記の方法に加えてプラズマ処理なども用いることができる。
【0110】
酸化物半導体層への酸素の導入は、脱水化又は脱水素化処理を行った後であればよく、特に限定されない。また、上記脱水化又は脱水素化処理を行った酸化物半導体層への酸素の導入は複数回行ってもよい。
【0111】
次に、酸化物半導体層413をフォトリソグラフィ工程により加工して、島状の酸化物半導体層403を形成する。ここで、島状の酸化物半導体層403への加工に用いるマスクは、フォトリソグラフィ法などによって形成されたマスクに、スリミング処理を行って、より微細なパターンを有するマスクとするのが好ましい。
【0112】
スリミング処理としては、例えば、ラジカル状態の酸素(酸素ラジカル)などを用いるアッシング処理を適用することができる。ただし、スリミング処理はフォトリソグラフィ法などによって形成されたマスクをより微細なパターンに加工できる処理であれば、アッシング処理に限定する必要はない。また、スリミング処理によって形成されるマスクによって電界効果トランジスタのチャネル長(L)が決定されることになるため、当該スリミング処理としては制御性の良好な処理を適用することができる。
【0113】
スリミング処理の結果、フォトリソグラフィ法などによって形成されたマスクを、露光装置の解像限界以下、好ましくは1/2以下、より好ましくは1/3以下の線幅まで微細化することが可能である。例えば、線幅は、30nm以上2000nm以下、好ましくは50nm以上350nm以下とすることができる。これにより、電界効果トランジスタのさらなる微細化を達成することができる。
【0114】
次に、島状の酸化物半導体層403上に、ソース電極層及びドレイン電極層(これと同じ層で形成される配線を含む)となる導電膜415を成膜する(図7(B)参照)。
【0115】
導電膜415としては、後の加熱処理に耐えられる材料を用いる。例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)などを用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方又は双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としてもよい。又は、導電性の金属酸化物を用いて導電膜415を形成してもよい。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In−SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(In−ZnO)又はこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0116】
次に、導電膜415に研磨(切削、研削)処理を行い、酸化物半導体層403が露出するように導電膜415の一部を除去する。該研磨処理によって、酸化物半導体層403と重畳する領域の導電膜415が除去され、該領域に開口を有する導電膜415aが形成される(図7(C)参照)。研磨(切削、研削)方法としては化学的機械研磨(CMPともいう)処理を好適に用いることができる。本実施形態では、CMP処理によって酸化物半導体層403と重畳する領域の導電膜415を除去する。
【0117】
なお、CMP処理を、1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回に分けてCMP処理を行う場合は、高い研磨レートの一次研磨を行った後、低い研磨レートの仕上げ研磨を行うのが好ましい。このように研磨レートの異なる研磨を組み合わせることによって、ソース電極層405a、ドレイン電極層405b、酸化物半導体層403の表面の平坦性をより向上させることができる。
【0118】
なお、本実施形態では、酸化物半導体層403と重畳する領域の導電膜415の除去にCMP処理を用いたが、他の研磨(研削、切削)処理を用いてもよい。又は、CMP処理などの研磨処理と、エッチング(ドライエッチング、ウェットエッチング)処理や、プラズマ処理などを組み合わせてもよい。例えば、CMP処理後、ドライエッチング処理やプラズマ処理(逆スパッタリングなど)を行い、処理表面の平坦性向上を図ってもよい。研磨処理に、エッチング処理、プラズマ処理などを組み合わせて行う場合、工程順は特に限定されず、導電膜415の材料、膜厚、及び表面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。
【0119】
なお、導電膜415aの上端部は、酸化物半導体層403の上端部と概略一致する。但し、導電膜415a(又は、導電膜415aを加工して形成されるソース電極層405a及びドレイン電極層405b)の形状は導電膜415を除去する研磨処理の条件によって異なる。例えば、酸化物半導体層403の表面より膜厚方向に後退した形状となる場合がある。
【0120】
次に、導電膜415aをフォトリソグラフィ工程により加工して、ソース電極層405a及びドレイン電極層405b(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成する(図7(D)参照)。
【0121】
なお、本実施形態では、導電膜415を成膜し、研磨処理によって酸化物半導体層403と重畳する領域の導電膜415を除去した後に、導電膜の一部をエッチングしてソース電極層405a及びドレイン電極層405bを形成する方法を示したが、これに限られない。成膜後の導電膜415を選択的にエッチング処理して加工した後、研磨処理によって酸化物半導体層403と重畳する領域の導電膜415を除去することで、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bを形成してもよい。但し、研磨処理に先立ってエッチング処理を行う場合には、エッチング処理によって酸化物半導体層403と重畳する領域の導電膜415が除去されないとする。
【0122】
本実施形態で示す電界効果トランジスタの作製方法例では、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bの形成する際に、酸化物半導体層403と重畳する領域の導電膜415を除去する工程において、レジストマスクを用いたエッチング処理を用いないため、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bのチャネル長方向の幅が微細化されている場合でも精密な加工を正確に行うことができる。よって、半導体装置の作製工程において、形状や特性のばらつきを少ない微細な構造を有する電界効果トランジスタ420の歩留まりを良くことができる。
【0123】
また、本実施形態で示す電界効果トランジスタの作製方法例では、酸化物半導体層403と重畳する領域の導電膜415を除去することで、酸化物半導体層403と、ソース電極層405a又はドレイン電極層405bとが、酸化物半導体層403のチャネル長方向の側面において接する構成とすることが可能となる。酸化物半導体層403は膜厚が3nm乃至30nm、好ましくは5nm乃至20nmと小さいため、その側面においてソース電極層405a又はドレイン電極層405bと接することで、ソース電極層405a又はドレイン電極層405bとの接触面積を低減することができ、接触界面におけるコンタクト抵抗を増大させることができる。したがって、電界効果トランジスタ422のチャネル長(L)を短くしても、ソース電極層405aとドレイン電極層405bとの電界を緩和して、しきい値電圧の変動などの短チャネル効果を抑制することができる。
【0124】
次に、酸化物半導体層403、ソース電極層405a及びドレイン電極層405b上にゲート絶縁層402を形成する。
【0125】
ゲート絶縁層402は、1nm以上20nm以下の膜厚で、スパッタリング法、MBE法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法などを適宜用いて形成することができる。また、プラズマスパッタ装置を用いて絶縁膜を成膜することによりゲート絶縁層402を形成してもよい。
【0126】
なお、ゲート絶縁層402が厚いほど短チャネル効果が顕著となり、しきい値電圧がマイナス側へシフトしやすい傾向となる。しかしながら、本実施形態の半導体装置の作製方法では、ソース電極層405a、ドレイン電極層405b及び酸化物半導体層403の上面が研磨処理によって平坦化されているため、膜厚の小さいゲート絶縁層402の被覆性を高めることができる。
【0127】
ゲート絶縁層402の材料としては、例えば酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、又は窒化酸化シリコンなどを用いることができる。ゲート絶縁層402は、酸化物半導体層403と接する部分において酸素を含むことが好ましい。特に、ゲート絶縁層402は、膜中(バルク中)に少なくとも化学量論的組成を超える量の酸素が存在することが好ましく、例えば、ゲート絶縁層402として、酸化シリコン膜を用いる場合には、SiO2+α(ただし、α>0)とするのが好ましい。本実施形態では、ゲート絶縁層402として、SiO2+α(ただし、α>0)である酸化シリコン膜を用いる。この酸化シリコン膜をゲート絶縁層402として用いることで、酸化物半導体層403に酸素を供給することができ、特性を良好にすることができる。さらに、ゲート絶縁層402は、作製する電界効果トランジスタのサイズやゲート絶縁層402の段差被覆性を考慮して形成することが好ましい。
【0128】
また、ゲート絶縁層402の材料として酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSiO(x>0、y>0))、ハフニウムアルミネート(HfAl(x>0、y>0))、酸化ランタンなどのhigh−k材料を用いることでゲートリーク電流を低減できる。さらに、ゲート絶縁層402は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
【0129】
次に、ゲート絶縁層402を介して島状の酸化物半導体層403上にゲート電極層401を形成する(図8(A)参照)。ゲート電極層401は、プラズマCVD法又はスパッタリング法などにより形成することができる。また、ゲート電極層401の材料は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)などを用いることができる。また、ゲート電極層401としてリンなどの不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜、ニッケルシリサイドなどのシリサイド膜を用いてもよい。ゲート電極層401は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
【0130】
また、ゲート電極層401の材料は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。また、上記導電性材料と、上記金属材料の積層構造とすることもできる。
【0131】
また、ゲート絶縁層402と接するゲート電極層401の一層として、窒素を含む金属酸化物、具体的には、窒素を含むIGZO膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、SnNなど)を用いることができる。これらの膜は5eV(電子ボルト)、好ましくは5.5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有し、ゲート電極層として用いた場合、電界効果トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。
【0132】
なお、ゲート電極層401は、ゲート絶縁層402上に設けられた導電膜(図示しない)を、マスクを用いて加工することによって形成することができる。ここで、加工に用いるマスクは、フォトリソグラフィ法などによって形成されたマスクに、スリミング処理を行って、より微細なパターンを有するマスクとするのが好ましい。
【0133】
次に、ゲート電極層401及びゲート絶縁層402上に導電性材料を含む膜を成膜し、当該導電性材料を含む膜の一部をエッチングして側壁層412a及び側壁層412bを形成する(図8(B)参照)。
【0134】
側壁層412a及び側壁層412bは、導電性を有していればよく、例えばタングステン、又はチタンなどの金属膜、又は、リン、ボロンなどの不純物元素を含むシリコン膜などを加工して形成することができる。又は、ゲート電極層401及びゲート絶縁層402上に多結晶シリコン膜を成膜し、エッチングによってゲート電極層401に接する側壁層を形成した後、該側壁層にリン、ボロンなどの不純物元素をドーピングによって導入した後、活性化のための熱処理を行って導電性を有する側壁層412a及び側壁層412bとしてもよい。
【0135】
次に、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401、側壁層412a、及び側壁層412bの上に絶縁層407を形成する。
【0136】
例えば、プラズマCVD法、スパッタリング法、又は蒸着法などにより絶縁層407を成膜することができる。絶縁層407としては、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は酸化ガリウム膜などの無機絶縁膜などを用いることができる。
【0137】
また、絶縁層407としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化バリウム膜)、又は金属窒化物膜(例えば、窒化アルミニウム膜)も用いることができる。
【0138】
絶縁層407は、単層でも積層でもよく、例えば酸化シリコン膜及び酸化アルミニウム膜の積層を用いることができる。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を通過させない遮断効果(ブロック効果)が高く、作製工程中及び作製後において、変動要因となる水素、水分などの不純物の酸化物半導体層403への混入、及び酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素の酸化物半導体層403からの放出を防止する保護膜として機能するため好ましく適用することができる。
【0139】
絶縁層407は、スパッタリング法など、絶縁層407に水、水素などの不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することが好ましい。
【0140】
酸化物半導体層403の成膜時と同様に、絶縁層407の成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ(クライオポンプなど)を用いることが好ましい。クライオポンプを用いて排気した成膜室で成膜した絶縁層407に含まれる不純物の濃度を低減できる。また、絶縁層407の成膜室内の残留水分を除去するための排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。
【0141】
本実施形態では、ゲート電極層401に接する側から順に設けられた酸化アルミニウム膜と酸化シリコン膜の積層構造を用いて絶縁層407を構成する。なお、酸化アルミニウム膜を高密度(膜密度3.2g/cm以上、好ましくは3.6g/cm以上)とすることによって、電界効果トランジスタ420に安定な電気特性を付与することができる。膜密度はラザフォード後方散乱法(RBSともいう)や、X線反射率測定法(XRRともいう)によって測定することができる。
【0142】
次に、絶縁層407及びゲート絶縁層402に、ソース電極層405a又はドレイン電極層405bに達する開口を形成し、開口に配線層435a及び配線層435bを形成する(図8(C)参照)。本実施形態における半導体装置では、例えば配線層435a及び配線層435bを用いて他の電界効果トランジスタや素子と接続することにより、様々な回路を形成することができる。
【0143】
例えば、ゲート電極層401、ソース電極層405a、又はドレイン電極層405bと同様の材料及び方法を用いて配線層435a及び配線層435bを形成することができ、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)などを用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方又は双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としてもよい。また、配線層435a、配線層435bに用いる導電膜を、導電性の金属酸化物で形成してもよい。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛(In−ZnO)又はこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませた材料を用いることができる。
【0144】
例えば、配線層435a及び配線層435bとして、モリブデン膜の単層、窒化タンタル膜と銅膜との積層、又は窒化タンタル膜とタングステン膜との積層などを用いることができる。
【0145】
以上の工程によって、本実施形態の電界効果トランジスタ422が形成される。
【0146】
なお、島状の酸化物半導体層403のチャネル長方向の長さを、ゲート電極層401のチャネル長方向の長さよりも長くすることで、ゲート電極層401を形成するためにアライメントの自由度をより向上させることができる。この場合、電界効果トランジスタのチャネル長を縮小するために、酸化物半導体層403に不純物領域を設けてもよい。
【0147】
例えば、図9(A)及び図9(B)に示す電界効果トランジスタ424、及び図10(A)及び図10(B)に示す電界効果トランジスタ426は、ゲート電極層401形成後、当該ゲート電極層401をマスクとして酸化物半導体層403へ不純物を導入して、自己整合的に不純物領域403a及び不純物領域403bを形成した例である。
【0148】
電界効果トランジスタ424は、電界効果トランジスタ420と同様の構成を有し、電界効果トランジスタ424に含まれる酸化物半導体層403が、ドーパントを含む一対の不純物領域(不純物領域403a及び不純物領域403b)と、一対の不純物領域に挟まれたチャネル形成領域403cと、を有する点で、電界効果トランジスタ420と相違する。また、図10(A)及び図10(B)に示す電界効果トランジスタ426は、電界効果トランジスタ422と同様の構成を有し、電界効果トランジスタ426に含まれる酸化物半導体層403が、ドーパントを含む一対の不純物領域(不純物領域403a及び不純物領域403b)と、一対の不純物領域に挟まれたチャネル形成領域403cと、を有する点で、電界効果トランジスタ422と相違する。なお、図9(A)は、平面図であり、図9(B)は、図9(A)のX3−Y3における断面図である。また、図10(A)は、平面図であり、図10(B)は、図10(A)のX4−Y4における断面図である。
【0149】
ドーパントは、酸化物半導体層403の導電率を変化させる不純物である。ドーパントの導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
【0150】
チャネル長方向にチャネル形成領域403cを挟んで一対の不純物領域を含む酸化物半導体層を有することにより、電界効果トランジスタ424、426はオン特性(例えば、オン電流及び電界効果移動度)が高く、高速動作、高速応答が可能な電界効果トランジスタとすることができる。
【0151】
図5乃至図10を用いて説明したように、本実施形態における半導体装置の一例では、電界効果トランジスタのゲートとしての機能を有する導電層(例えばゲート電極層)と、電界効果トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層(例えばゲート絶縁層)と、電界効果トランジスタのチャネル形成層としての機能を有する半導体層(例えばチャネル形成層)と、電界効果トランジスタのソース及びドレインの一方としての機能を有する導電層(例えばソース電極層)と、電界効果トランジスタのソース及びドレインの他方としての機能を有する導電層(例えばドレイン電極層)と、を含む構成にし、上記実施形態1の酸化物半導体膜を用いて半導体層を構成する。
【0152】
また、本実施形態における半導体装置の一例では、上記実施形態1に示す酸化物半導体膜を電界効果トランジスタのチャネル形成層としての機能を有する半導体層に用いる。上記実施形態1に示す酸化物半導体膜は、酸素欠損が少ないため、不要なキャリアが発生しにくい。よって、例えば電界効果トランジスタのオフ電流を低くでき、電界効果トランジスタの電気特性を向上させることができる。また、上記実施形態1に示す酸化物半導体膜は、ゲルマニウム(Ge)によりバンドギャップが広い。よって、例えば電界効果トランジスタの絶縁耐圧を向上させることができ、電界効果トランジスタの電気特性を向上させることができる。
【0153】
(実施形態3)
本実施形態では、本明細書に示す電界効果トランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能であり、且つ書き込み回数にも制限が無い半導体装置の例について説明する。
【0154】
図11は、半導体装置の構成の一例である。図11(A)に、半導体装置の断面図を示し、図11(B)に半導体装置の平面図を示し、図11(C)に半導体装置の回路図を示す。なお、図11(A)は、図11(B)のC1−C2、及びD1−D2における断面に相当する。
【0155】
図11(A)及び図11(B)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いた電界効果トランジスタ560を有し、上部に第2の半導体材料(本実施形態では、実施形態1に示す酸化物半導体膜)を用いた電界効果トランジスタ562を有するものである。なお、図11では、電界効果トランジスタ562の構造として、実施形態2で示す電界効果トランジスタ420の構造を適用する例を示す。
【0156】
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコンなど)とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料を用いた電界効果トランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
【0157】
なお、上記電界効果トランジスタは、いずれもnチャネル型電界効果トランジスタであるものとして説明するが、pチャネル型電界効果トランジスタを用いることができるのはいうまでもない。また、情報を保持するために酸化物半導体を用いた実施形態2に示すような電界効果トランジスタを電界効果トランジスタ562として用いる他、半導体装置に用いられる材料や半導体装置の構造など、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
【0158】
図11(A)における電界効果トランジスタ560は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板500に設けられたチャネル形成領域516と、チャネル形成領域516を挟むように設けられた不純物領域520と、不純物領域520に接する金属間化合物領域524と、チャネル形成領域516上に設けられたゲート絶縁層508と、ゲート絶縁層508上に設けられたゲート電極層510と、を有する。なお、図において、明示的にはソース電極層やドレイン電極層を有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めて電界効果トランジスタと呼ぶ場合がある。また、この場合、電界効果トランジスタの接続関係を説明するために、ソース領域やドレイン領域を含めてソース電極層やドレイン電極層と表現することがある。つまり、本明細書において、ソース電極層との記載には、ソース領域が含まれうる。
【0159】
基板500上には電界効果トランジスタ560を囲むように素子分離絶縁層506が設けられており、電界効果トランジスタ560を覆うように絶縁層528、及び絶縁層530が設けられている。なお、電界効果トランジスタ560において、ゲート電極層510の側面に側壁絶縁層(サイドウォール絶縁層)を設け、不純物濃度が異なる領域を含む不純物領域520としてもよい。
【0160】
単結晶半導体基板を用いた電界効果トランジスタ560は、高速動作が可能である。このため、当該電界効果トランジスタを読み出し用の電界効果トランジスタとして用いることで、情報の読み出しを高速に行うことができる。本実施形態では、電界効果トランジスタ560を覆うように絶縁膜を2層形成する。但し絶縁膜は、単層としてもよいし、3層以上の積層としてもよい。電界効果トランジスタ562及び容量素子564の形成前の処理として、電界効果トランジスタ560上に形成された絶縁膜にCMP処理を施して、平坦化した絶縁層528、絶縁層530を形成し、同時にゲート電極層510の上面を露出させる。
【0161】
絶縁層528、絶縁層530は、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層528、絶縁層530は、プラズマCVD法又はスパッタリング法などを用いて形成することができる。
【0162】
また、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、などの有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)などを用いることができる。有機材料を用いる場合、スピンコート法、印刷法などの湿式法によって絶縁層528、絶縁層530を形成してもよい。
【0163】
なお、本実施形態において、絶縁膜として窒化シリコン膜、絶縁層530として酸化シリコン膜を用いる。
【0164】
絶縁層530表面において、酸化物半導体層544形成領域に、平坦化処理を行うことが好ましい。本実施形態では、研磨処理(例えばCMP処理)により十分に平坦化した(好ましくは絶縁層530表面の平均面粗さは0.15nm以下)絶縁層530上に酸化物半導体層544を形成する。
【0165】
図11(A)に示す電界効果トランジスタ562は、チャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層に実施形態1に示す酸化物半導体膜を用いた電界効果トランジスタである。ここで、電界効果トランジスタ562に含まれる酸化物半導体層544は、高純度化されたものであることが望ましい。高純度化された酸化物半導体を用いることで、極めて優れたオフ特性の電界効果トランジスタ562を得ることができる。
【0166】
電界効果トランジスタ562は、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
【0167】
電界効果トランジスタ562は、チャネル長方向の側面において電極層542a又は電極層542bと接する酸化物半導体層544を含む。よって、酸化物半導体層544と、電極層542a又は電極層542bとが接する領域の抵抗を高めることができるため、ソースとドレイン間の電界を緩和することができる。従って、電界効果トランジスタのサイズの縮小に伴う短チャネル効果を抑制できる。
【0168】
また、電界効果トランジスタ562は、ゲート電極層548のチャネル長方向の側面に導電性の側壁層537a、537bを有する。これにより、該導電性の側壁層537a、537bがゲート絶縁層546を介して電極層542a又は電極層542bと重畳するため、実質的にLov領域を有する電界効果トランジスタとすることができ、電界効果トランジスタ562のオン電流の低下を抑制することが可能となる。
【0169】
電界効果トランジスタ562上には、層間絶縁膜535、絶縁層550が単層又は積層で設けられている。本実施形態では、絶縁層550として、酸化アルミニウム膜を用いる。酸化アルミニウム膜を高密度(膜密度3.2g/cm以上、好ましくは3.6g/cm以上)とすることによって、電界効果トランジスタ562に安定な電気特性を付与することができる。
【0170】
また、ゲート絶縁層546を介して、電界効果トランジスタ562の電極層542aと重畳する領域には、導電層553が設けられており、電極層542aと、ゲート絶縁層546と、導電層553とによって、容量素子564が構成される。すなわち、電界効果トランジスタ562の電極層542aは、容量素子564の一方の電極として機能し、導電層553は、容量素子564の他方の電極として機能する。なお、容量が不要の場合には、容量素子564を設けない構成とすることもできる。また、容量素子564は、別途、電界効果トランジスタ562の上方に設けてもよい。
【0171】
本実施形態において、導電層553は、電界効果トランジスタ562のゲート電極層548と同一の作製工程によって形成することができる。なお、ゲート電極層548の側面に側壁層537a及び側壁層537bを形成する工程において、導電層の側面にも同様に側壁層を設けてもよい。
【0172】
絶縁層550上には電界効果トランジスタ562と、他の電界効果トランジスタを接続するための配線556が設けられている。配線556は、絶縁層550、層間絶縁膜535及びゲート絶縁層546などに形成された開口に形成された電極層536を介して電極層542bと電気的に接続される。
【0173】
図11(A)及び図11(B)において、電界効果トランジスタ560と、電界効果トランジスタ562とは、少なくとも一部が重畳するように設けられており、電界効果トランジスタ560のソース領域又はドレイン領域と酸化物半導体層544の一部が重畳するように設けられているのが好ましい。また、電界効果トランジスタ562及び容量素子564が、電界効果トランジスタ560の少なくとも一部と重畳するように設けられている。例えば、容量素子564の導電層553は、電界効果トランジスタ560のゲート電極層510と少なくとも一部が重畳して設けられている。このような平面レイアウトを採用することにより、半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、高集積化を図ることができる。
【0174】
なお、電極層542b及び配線556の電気的接続は、電極層536を設けずに電極層542b及び配線556を直接接触させて行ってもよい。また、間に介する電極層は、複数でもよい。
【0175】
次に、図11(A)及び図11(B)に対応する回路構成の一例を図11(C)に示す。
【0176】
図11(C)において、第1の配線(1st Line)と電界効果トランジスタ560のソース電極層とは、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)と電界効果トランジスタ560のドレイン電極層とは、電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line)と電界効果トランジスタ562のソース電極層又はドレイン電極層の一方とは、電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、電界効果トランジスタ562のゲート電極層とは、電気的に接続されている。そして、電界効果トランジスタ560のゲート電極層と、電界効果トランジスタ562のソース電極層又はドレイン電極層の一方は、容量素子564の電極の他方と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容量素子564の電極の他方は電気的に接続されている。
【0177】
図11(C)に示す半導体装置では、電界効果トランジスタ560のゲート電極層の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0178】
情報の書き込み及び保持について説明する。まず、第4の配線の電位を、電界効果トランジスタ562がオン状態となる電位にして、電界効果トランジスタ562をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位が、電界効果トランジスタ560のゲート電極層、及び容量素子564に与えられる。すなわち、電界効果トランジスタ560のゲート電極層には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるとする。その後、第4の配線の電位を、電界効果トランジスタ562がオフ状態となる電位にして、電界効果トランジスタ562をオフ状態とすることにより、電界効果トランジスタ560のゲート電極層に与えられた電荷が保持される(保持)。
【0179】
電界効果トランジスタ562のオフ電流は極めて小さいため、電界効果トランジスタ560のゲート電極層の電荷は長時間にわたって保持される。
【0180】
次に、情報の読み出しについて説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、電界効果トランジスタ560のゲート電極層に保持された電荷量に応じて、第2の配線が異なる電位となる。一般に、電界効果トランジスタ560をnチャネル型とすると、電界効果トランジスタ560のゲート電極層にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、電界効果トランジスタ560のゲート電極層にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、電界効果トランジスタ560を「オン状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。従って、第5の配線の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることにより、電界効果トランジスタ560のゲート電極層に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV(>Vth_H)となれば、電界効果トランジスタ560は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV(<Vth_L)となっても、電界効果トランジスタ560は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線の電位を見ることで、保持されている情報を読み出すことができる。
【0181】
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように、情報を読み出さない場合には、ゲート電極層の状態にかかわらず電界効果トランジスタ560が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線に与えればよい。又は、ゲート電極層の状態にかかわらず電界効果トランジスタ560が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線に与えればよい。
【0182】
本実施形態に示す半導体装置では、チャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層に上記実施形態1に示す酸化物半導体膜を用いたオフ電流の極めて小さい電界効果トランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、又は、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0183】
また、本実施形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、電界効果トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
【0184】
以上のように、微細化及び高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置、及び該半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0185】
(実施形態4)
本実施形態においては、実施形態2に示す電界効果トランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置について、実施形態3に示した構成と異なる構成について、図12及び図13を用いて説明を行う。
【0186】
図12(A)は、半導体装置の回路構成の一例を示し、図12(B)は半導体装置の一例を示す概念図である。まず、図12(A)に示す半導体装置について説明を行い、続けて図12(B)に示す半導体装置について、以下説明を行う。
【0187】
図12(A)に示す半導体装置において、ビット線BLと電界効果トランジスタ562のソース電極層又はドレイン電極層とは電気的に接続され、ワード線WLと電界効果トランジスタ562のゲート電極層とは電気的に接続され、電界効果トランジスタ562のソース電極層又はドレイン電極層と容量素子254の第1の端子とは電気的に接続されている。
【0188】
次に、図12(A)に示す半導体装置(メモリセル250)に、情報の書き込み及び保持を行う場合について説明する。
【0189】
まず、ワード線WLの電位を、電界効果トランジスタ562がオン状態となる電位として、電界効果トランジスタ562をオン状態とする。これにより、ビット線BLの電位が、容量素子254の第1の端子に与えられる(書き込み)。その後、ワード線WLの電位を、電界効果トランジスタ562がオフ状態となる電位として、電界効果トランジスタ562をオフ状態とすることにより、容量素子254の第1の端子の電位が保持される(保持)。
【0190】
チャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層に上記実施形態1の酸化物半導体膜を用いた電界効果トランジスタ562は、オフ電流が極めて小さいという特徴を有する。このため、電界効果トランジスタ562をオフ状態とすることで、容量素子254の第1の端子の電位(あるいは、容量素子254に蓄積された電荷)を極めて長時間にわたって保持することが可能である。
【0191】
次に、情報の読み出しについて説明する。電界効果トランジスタ562がオン状態となると、浮遊状態であるビット線BLと容量素子254とが導通し、ビット線BLと容量素子254の間で電荷が再分配される。その結果、ビット線BLの電位が変化する。ビット線BLの電位の変化量は、容量素子254の第1の端子の電位(あるいは容量素子254に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
【0192】
例えば、容量素子254の第1の端子の電位をV、容量素子254の容量をC、ビット線BLが有する容量成分(以下、ビット線容量とも呼ぶ)をCB、電荷が再分配される前のビット線BLの電位をVB0とすると、電荷が再分配された後のビット線BLの電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。従って、メモリセル250の状態として、容量素子254の第1の端子の電位がV1とV0(V1>V0)の2状態をとるとすると、電位V1を保持している場合のビット線BLの電位(=CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合のビット線BLの電位(=CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
【0193】
そして、ビット線BLの電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
【0194】
このように、図12(A)に示す半導体装置では、電界効果トランジスタ562のオフ電流が極めて小さいという特徴から、容量素子254に蓄積された電荷を長時間保持することができる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、又は、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給が無い場合であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0195】
次に、図12(B)に示す半導体装置について、説明する。
【0196】
図12(B)に示す半導体装置は、上部に記憶回路として図12(A)に示したメモリセル250を複数有するメモリセルアレイ251a及び251bを有し、下部に、メモリセルアレイ(メモリセルアレイ251a及び251b)を動作させるために必要な周辺回路253を有する。なお、周辺回路253は、メモリセルアレイ251と電気的に接続されている。
【0197】
図12(B)に示した構成とすることにより、周辺回路253をメモリセルアレイ251(メモリセルアレイ251a及び251b)の直下に設けることができるため半導体装置の小型化を図ることができる。
【0198】
周辺回路253に設けられる電界効果トランジスタは、電界効果トランジスタ562とは異なる半導体材料を用いるのがより好ましい。例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、又はガリウムヒ素などを用いることができ、単結晶半導体を用いることが好ましい。他に、有機半導体材料などを用いてもよい。このような半導体材料を用いた電界効果トランジスタは、十分な高速動作が可能である。従って、該電界効果トランジスタにより、高速動作が要求される各種回路(論理回路、駆動回路など)を好適に実現することが可能である。
【0199】
なお、図12(B)に示した半導体装置では、2つのメモリセルアレイ251(メモリセルアレイ251aと、メモリセルアレイ251b)が積層された構成を例示したが、積層するメモリセルの数はこれに限定されない。3つ以上のメモリセルを積層する構成としてもよい。
【0200】
次に、図12(A)に示したメモリセル250の具体的な構成について図13を用いて説明を行う。
【0201】
図13は、メモリセル250の構成の一例である。図13(A)に、メモリセル250の断面図を示し、図13(B)にメモリセル250の平面図を示す。ここで、図13(A)は、図13(B)のF1−F2、及びG1−G2における断面に相当する。
【0202】
図13(A)及び図13(B)に示す電界効果トランジスタ562は、実施形態2で示した構成と同一の構成とすることができる。
【0203】
また、ゲート絶縁層546を介して電界効果トランジスタ562の電極層542aと重畳する領域には、導電層262が設けられており、電極層542aと、ゲート絶縁層546と、導電層262とによって、容量素子254が構成される。すなわち、電界効果トランジスタ562の電極層542aは、容量素子254の一方の電極として機能し、導電層262は、容量素子254の他方の電極として機能する。
【0204】
電界効果トランジスタ562及び容量素子254上には、層間絶縁膜535及び絶縁層256が単層又は積層で設けられている。そして、絶縁層256上にはメモリセル250と、隣接するメモリセル250を接続するための配線260が設けられている。配線260は、絶縁層256、層間絶縁膜535及びゲート絶縁層546などに形成された開口を介して電界効果トランジスタ562の電極層542bと電気的に接続されている。但し、配線260と電極層542bとを直接接続してもよい。なお、配線260は、図12(A)の回路図におけるビット線BLに相当する。
【0205】
図13(A)及び図13(B)において、電界効果トランジスタ562の電極層542bは、隣接するメモリセルに含まれる電界効果トランジスタのソースとしても機能することができる。このような平面レイアウトを採用することにより、半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、高集積化を図ることができる。
【0206】
図13(A)に示す平面レイアウトを採用することにより、半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、高集積化を図ることができる。
【0207】
以上のように、多層に形成された複数のメモリセルは、チャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層に上記実施形態1に示す酸化物半導体膜を用いた電界効果トランジスタにより形成されている。チャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層に上記実施形態1に示す酸化物半導体膜を用いた電界効果トランジスタは、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
【0208】
このように、酸化物半導体以外の材料を用いた電界効果トランジスタ(換言すると、十分な高速動作が可能な電界効果トランジスタ)を用いた周辺回路と、チャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層に上記実施形態1に示す酸化物半導体膜を用いた電界効果トランジスタ(より広義には、十分にオフ電流が小さい電界効果トランジスタ)を用いた記憶回路とを一体に備えることで、これまでにない特徴を有する半導体装置を実現することができる。また、周辺回路と記憶回路を積層構造とすることにより、半導体装置の集積化を図ることができる。
【0209】
以上のように、微細化及び高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置、及び該半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0210】
(実施形態5)
本実施形態では、実施形態3、及び実施形態4で示した半導体装置を携帯電話、スマートフォン、電子書籍などの携帯機器に応用した場合の例を図14乃至図17を用いて説明する。
【0211】
携帯電話、スマートフォン、電子書籍などの携帯機器においては、画像データの一時記憶などにSRAM又はDRAMが使用されている。SRAM又はDRAMが使用される理由としてはフラッシュメモリでは応答が遅く、画像処理では不向きであるためである。一方で、SRAM又はDRAMを画像データの一時記憶に用いた場合、以下の特徴がある。
【0212】
通常のSRAMは、図14(A)に示すように1つのメモリセルが電界効果トランジスタ801〜806の6個の電界効果トランジスタで構成されており、それをXデコーダー807、Yデコーダー808にて駆動している。電界効果トランジスタ803と電界効果トランジスタ805、電界効果トランジスタ804と電界効果トランジスタ806はインバータを構成し、高速駆動を可能としている。しかし1つのメモリセルが6電界効果トランジスタで構成されているため、セル面積が大きいという欠点がある。デザインルールの最小寸法をFとしたときにSRAMのメモリセル面積は通常100〜150Fである。このためSRAMはビットあたりの単価が各種メモリの中で最も高い。
【0213】
それに対して、DRAMはメモリセルが図14(B)に示すように電界効果トランジスタ811、保持容量812によって構成され、それをXデコーダー813、Yデコーダー814にて駆動している。1つのセルが1電界効果トランジスタ1容量の構成になっており、面積が小さい。DRAMのメモリセル面積は通常10F以下である。ただし、DRAMは常にリフレッシュが必要であり、書き換えを行わない場合でも電力を消費する。
【0214】
しかし、先の実施形態で説明した半導体装置のメモリセル面積は、10F前後であり、且つ頻繁なリフレッシュは不要である。従って、メモリセル面積が縮小され、且つ消費電力が低減することができる。
【0215】
図15に携帯機器のブロック図を示す。図15に示す携帯機器は、RF回路901、アナログベースバンド回路902、デジタルベースバンド回路903、バッテリー904、電源回路905、アプリケーションプロセッサ906、フラッシュメモリなどのメモリ910、ディスプレイコントローラ911、メモリ912、ディスプレイ913、タッチセンサ919、音声回路917、キーボード918などより構成されている。ディスプレイ913は表示部914、ソースドライバ915、ゲートドライバ916によって構成されている。アプリケーションプロセッサ906はCPU907、DSP908、インターフェイス(IF)909を有している。一般にメモリ912はSRAM又はDRAMで構成されており、この部分に実施形態3又は実施形態4で説明した半導体装置を採用することによって、情報の書き込み及び読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。
【0216】
図16に、ディスプレイのメモリ950に上記実施形態で説明した半導体装置を使用した例を示す。図16に示すメモリ950は、記憶回路952、記憶回路953、スイッチ954、スイッチ955及びメモリコントローラ951により構成されている。また、メモリ950は、信号線から入力された画像データ(入力画像データ)、記憶回路952、及び記憶回路953に記憶されたデータ(記憶画像データ)を読み出し、及び制御を行うディスプレイコントローラ956と、ディスプレイコントローラ956からの信号により表示するディスプレイ957が接続されている。
【0217】
まず、ある画像データがアプリケーションプロセッサ(図示しない)によって、形成される(入力画像データA)。入力画像データAは、スイッチ954を介して記憶回路952に記憶される。そして記憶回路952に記憶された画像データ(記憶画像データA)は、スイッチ955、及びディスプレイコントローラ956を介してディスプレイ957に送られ、表示される。
【0218】
入力画像データAに変更が無い場合、記憶画像データAは、通常30〜60Hz程度の周期で記憶回路952からスイッチ955を介して、ディスプレイコントローラ956から読み出される。
【0219】
次に、例えばユーザーが画面を書き換える操作をしたとき(すなわち、入力画像データAに変更が有る場合)、アプリケーションプロセッサは新たな画像データ(入力画像データB)を形成する。入力画像データBはスイッチ954を介して記憶回路953に記憶される。この間も定期的に記憶回路952からスイッチ955を介して記憶画像データAは読み出されている。記憶回路953に新たな画像データ(記憶画像データB)が記憶し終わると、ディスプレイ957の次のフレームより、記憶画像データBは読み出され、スイッチ955、及びディスプレイコントローラ956を介して、ディスプレイ957に記憶画像データBが送られ、表示が行われる。この読み出しはさらに次に新たな画像データが記憶回路952に記憶されるまで継続される。
【0220】
このように記憶回路952及び記憶回路953は交互に画像データの書き込みと、画像データの読み出しを行うことによって、ディスプレイ957の表示を行う。なお、記憶回路952及び記憶回路953はそれぞれ別のメモリには限定されず、1つのメモリを分割して使用してもよい。実施形態3又は実施形態4で説明した半導体装置を記憶回路952及び記憶回路953に採用することによって、情報の書き込み及び読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。
【0221】
図17に電子書籍のブロック図を示す。図17はバッテリー1001、電源回路1002、マイクロプロセッサ1003、フラッシュメモリなどのメモリ1004、音声回路1005、キーボード1006、メモリ1007、タッチパネル1008、ディスプレイ1009、ディスプレイコントローラ1010によって構成される。
【0222】
ここでは、図17のメモリ1007に実施形態3又は実施形態4で説明した半導体装置を使用することができる。メモリ1007の役割は書籍の内容を一時的に保持する機能を持つ。機能の例としては、ユーザーがハイライト機能を使用する場合などがある。ユーザーが電子書籍を読んでいるときに、特定の箇所にマーキングをしたい場合がある。このマーキング機能をハイライト機能と言い、表示の色を変える、アンダーラインを引く、文字を太くする、文字の書体を変えるなどによって、周囲との違いを示すことである。ユーザーが指定した箇所の情報を記憶し、保持する機能である。この情報を長期に保存する場合にはメモリ1004にコピーしてもよい。このような場合においても、実施形態3又は実施形態4で説明した半導体装置を採用することによって、情報の書き込み及び読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。
【0223】
以上のように、本実施形態に示す携帯機器には、実施形態3又は実施形態4に係る半導体装置が搭載されている。このため、読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を低減した携帯機器が実現される。
【符号の説明】
【0224】
111 In層
112 Zn層
113 Ge−Zn層
121 In層
122 Zn層
123 Ge−Sn−Zn層
131 In層
132 Zn層
133 Ge−Sn−Zn層
134 Zn層
141 In層
142 Zn層
143 Ge−Zn層
144 In層
145 Zn層
146 Ga−Zn層
147 In層
148 Zn層
149 Ga−Ge層
250 メモリセル
251 メモリセルアレイ
251a メモリセルアレイ
251b メモリセルアレイ
253 周辺回路
254 容量素子
256 絶縁層
260 配線
262 導電層
400 基板
401 ゲート電極層
402 ゲート絶縁層
403 酸化物半導体層
403a 不純物領域
403b 不純物領域
403c チャネル形成領域
405a ソース電極層
405b ドレイン電極層
407 絶縁層
412a 側壁層
412b 側壁層
413 酸化物半導体層
415 導電膜
415a 導電膜
420 電界効果トランジスタ
422 電界効果トランジスタ
424 電界効果トランジスタ
426 電界効果トランジスタ
435a 配線層
435b 配線層
436 下地絶縁層
500 基板
506 素子分離絶縁層
508 ゲート絶縁層
510 ゲート電極層
516 チャネル形成領域
520 不純物領域
524 金属間化合物領域
528 絶縁層
530 絶縁層
535 層間絶縁膜
536 電極層
537a 側壁層
537b 側壁層
542a 電極層
542b 電極層
544 酸化物半導体層
546 ゲート絶縁層
548 ゲート電極層
550 絶縁層
553 導電層
556 配線
560 電界効果トランジスタ
562 電界効果トランジスタ
564 容量素子
801 電界効果トランジスタ
803 電界効果トランジスタ
804 電界効果トランジスタ
805 電界効果トランジスタ
806 電界効果トランジスタ
807 Xデコーダー
808 Yデコーダー
811 電界効果トランジスタ
812 保持容量
813 Xデコーダー
814 Yデコーダー
901 RF回路
902 アナログベースバンド回路
903 デジタルベースバンド回路
904 バッテリー
905 電源回路
906 アプリケーションプロセッサ
907 CPU
908 DSP
910 メモリ
911 ディスプレイコントローラ
912 メモリ
913 ディスプレイ
914 表示部
915 ソースドライバ
916 ゲートドライバ
917 音声回路
918 キーボード
919 タッチセンサ
950 メモリ
951 メモリコントローラ
952 記憶回路
953 記憶回路
954 スイッチ
955 スイッチ
956 ディスプレイコントローラ
957 ディスプレイ
1001 バッテリー
1002 電源回路
1003 マイクロプロセッサ
1004 メモリ
1005 音声回路
1006 キーボード
1007 メモリ
1008 タッチパネル
1009 ディスプレイ
1010 ディスプレイコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式InGe(1−x/2)(1−y)Sn(1−x/2)yZn1−x/2(ZnO)(xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の数)で表される結晶を有する酸化物半導体膜。
【請求項2】
一般式Inx(1−y)GaxyGe1−x/2Zn1−x/2(ZnO)(xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の数)で表される結晶を有する酸化物半導体膜。
【請求項3】
前記結晶が、
Inを含む層と、
Geを含む層と、
Znを含む層と、を含む層状構造である請求項1又は請求項2に記載の酸化物半導体膜。
【請求項4】
前記結晶のGe原子とO原子との結合の少なくとも一つの結合エネルギーが、Sn原子又はGa原子とO原子との結合の少なくとも一つの結合エネルギーよりも大きい請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の酸化物半導体膜。
【請求項5】
電界効果トランジスタのチャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層と、
前記電界効果トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層と、
前記絶縁層を挟んで前記酸化物半導体層の一部に重畳し、前記電界効果トランジスタのゲートとしての機能を有する第1の導電層と、
前記酸化物半導体層に電気的に接続され、前記電界効果トランジスタのソース及びドレインの一方としての機能を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層に電気的に接続され、前記電界効果トランジスタのソース及びドレインの他方としての機能を有する第3の導電層と、を含み、
前記酸化物半導体層は、
一般式InGe(1−x/2)(1−y)Sn(1−x/2)yZn1−x/2(ZnO)(xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の数)で表される結晶を有する半導体装置。
【請求項6】
電界効果トランジスタのチャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層と、
前記電界効果トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層と、
前記絶縁層を挟んで前記酸化物半導体層の一部に重畳し、前記電界効果トランジスタのゲートとしての機能を有する第1の導電層と、
前記酸化物半導体層に電気的に接続され、前記電界効果トランジスタのソース及びドレインの一方としての機能を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層に電気的に接続され、前記電界効果トランジスタのソース及びドレインの他方としての機能を有する第3の導電層と、を含み、
前記酸化物半導体層は、
一般式Inx(1−y)GaxyGe1−x/2Zn1−x/2(ZnO)(xは0より大きく2未満の数、yは0以上1未満の数、nは1以上の数)で表される結晶を有する半導体装置。
【請求項7】
前記結晶が、
Inを含む層と、
Geを含む層と、
Znを含む層と、を含む層状構造である請求項5又は請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記結晶のGe原子とO原子との結合の少なくとも一つの結合エネルギーが、Sn原子又はGa原子とO原子との結合の少なくとも一つの結合エネルギーよりも大きい請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−93561(P2013−93561A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−210269(P2012−210269)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】