説明

重力発電機

【課題】 安全でクリーンで安定した安価なエネルギーが供給できる発電機を提供する。
【解決手段】 遠心力を発生させる回転軸(6)を回転させることにより、円盤(1)の回転軸に直交する方向に遠心力を生じさせると同時に、遠心力を発生させる回転軸(6)と同一の方向に円盤(1)自体を回転させる。すなわち、遠心力を発生させる回転軸(6)と円盤(1)の回転軸は平行で回転方向を同一にする。円盤全体に加わる遠心力と円盤自体の回転による相互作用により、遠心力を発生させる回転軸(6)には回転速度を増す方向にトルクが生じる。このトルクによるエネルギーを発電機を兼ねたモータから取り出すことを目的とした重力を利用した発電機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は遠心力によって生じる重力と回転円盤との相互作用によって生じるトルクをエネルギー源として発電を行う発電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転円盤の軸を地面と平行に回転させると円盤の回転軸に直交し水平方向にトルクが生じるということは広く知られている。円盤を時計回りに回転させると円盤全体は左側に動くことになる。この効果に限らずジャイロの効果は物理的に完全に解明されているとは言い難いが広く工業的に応用されていることは事実である。現象から認識される事実は重力と回転円盤は相互作用するということである。
巨大な重力は回転に伴う遠心力により人工的に発生させることが可能であることも広く知られており、遠心分離機はこの応用製品の一つである。
地球の重力場というものは、巨大なエネルギー源であることは古くから認知されていたが、そのエネルギーを有効に取り出す方法は見出されていなかった。科学者達の一つの結論は重力場のような保存力場からエネルギーを取り出すのは不可能であるというものであった。
一方、一定の方向に吹く風の場に球のようなものを置いたとしても球からエネルギーを取り出すことはできない。この風の場も地球の重力場と同様に保存力場だからである。しかしながら、風の保存力場からエネルギーを取り出す方法は誰でも知っている。単に風車を設置すればよい。風車は風の保存力場を回転力という非保存力場に変換するものであるが、保存力場を非保存力場に変換し、エネルギーを取り出したということは、結局、保存力場からエネルギーを取り出したということである。この点において、地球重力場は保存力場であるからエネルギーを取り出せないという科学者達の結論は早計であることは明白である。
重力場は風と同様に物体を加速させる能力を持っておりエネルギーを持っている。万物は重力を発生させており、そのエネルギーは反射されることなく無限遠点へ向け放出され続けている。このようにエネルギーを放出し続けている万物であるが、そのエネルギーは何か他のものから変えられているという証拠は検出されていない。このことから重力を生じる全ての物体は無尽蔵のエネルギー源であると考えられる。
重力場においても風車のような保存力場を非保存力場に変換する装置が存在すれば重力場からエネルギーを取り出すことができる。
回転円盤の軸を地面と平行に回転させると円盤の回転軸に直交し水平方向にトルクが生じるという広く知られた効果が、保存力場を回転力である非保存力場に変換できるという点で、重力場における風車のような効果である。
本発明は遠心力によって重力場を発生させ、重力場から非保存力場である回転力に変換し、エネルギーを取り出す装置である。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
石油石炭などの化石燃料は地球上において有限の資源であり、将来枯渇するのは確実である。火力発電所は化石燃料を必要とする点で燃料費がエネルギーのコストを増加させている。火力発電所の運転に伴い二酸化炭素を発生させ、地球環境を悪化させる要因となっている。
ウラン燃料などを利用した原子力発電は安全性や核廃棄物処理の点で問題がある。
太陽光発電や風力発電などの自然のエネルギーを利用するものは、その時々の自然状況に左右されるため、エネルギーの安定供給という点で問題がある。
上記の点で新エネルギーの開発が求められている。
この発明が解決する課題は以下のものである。
(イ)安全なエネルギーの供給
(ロ)安定したエネルギーの供給
(ハ)クリーンなエネルギーの供給
(ニ)燃料を必要としない安価なエネルギーの供給
【課題を解決するための手段】
【0004】
回転円盤に推進力が働くということは古くから知られていたが、そのエネルギーを取り出すのが困難だったのは、回転円盤には回転に伴い機械抵抗、空気抵抗などの抵抗が存在し、回転円盤の回転速度を保つのが難しかったからである。
抵抗に打ち勝って円盤を回転させ続けるためには連鎖的な仕組みが必要になる。遠心力による重力場と円盤自体の回転による相互作用による推進力が円盤の回転速度を高め、円盤の回転速度が高まると推進力は増し、推進力の増加はさらに円盤の回転速度を高める。このような連鎖によって円盤の回転速度と推進力を自己増幅させる機構が必要である。
このような装置が発電機となりうるためには、以下の関係が必要である。
回転速度を増す力(推進力)>回転速度を減らす力(抵抗)
回転速度の増加に対する推進力の増加の傾きが、回転速度の増加に対する抵抗力の増加の傾きより大きい場合、臨界的な特定の回転速度以上で推進力は抵抗力を超え回転速度の自己増幅に至る。回転速度が自己増幅し発散すると装置が破壊される恐れがあるので、外部から抵抗を加え回転速度が発散しないようにする。外部から抵抗を加えるには、今まで動力減として外部からエネルギーを注入していたモータへの電力供給をやめ、モータの回転抵抗を利用する。モータに加えられた回転力により、モータはそのまま発電機となり、遠心力による重力場のエネルギーを電力という形で、外部に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明により「発明が解決しようとする課題」で挙げた全ての課題が解決できる。現代の人類の共通課題であるエネルギー問題は解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
請求項で述べたこの発明の本質的な構造はシンプルであり、円盤(1)の回転軸と遠心力を発生させる回転軸(6)の回転方向が同じで軸が平行ということが重要で、その具体的な構造は多々考えられる。例えば、円盤の軸にアーム(5)を設置せずとも円盤を転がすように遠心力を発生させる回転軸(6)を中心に公転させながら自転させてもよい。
次にこの発明の具体的な1つの構造例について説明する。
発電機を兼ねたモータ(7)の遠心力を発生させる回転軸(6)にアーム(5)を設け、アーム(5)の両端に円盤(1)を設け、円盤(1)を遠心力を発生させる回転軸(6)の回転により回転させるための固定歯車(4)と回転歯車(11)を設け、円盤(1)の回転軸と遠心力を発生させる回転軸(6)を平行に同一の方向に回転させる。
本発明は以上のような構造の遠心力による重力を利用した発電機である。
円盤(1)の数は、図中では2つとしているが、遠心力を発生させる回転軸(6)が安定して回転できるならば数はいくつでもよい。安定して回転させるために複数の円盤(1)による重心は遠心力を発生させる回転軸(6)にあることが望ましい。
円盤(1)を安定して回転させるために質量密度は均等であることが望ましく、円盤(1)の質量と半径は大きい方が回転重力場の効果は大きい。
円盤回転ギア(4)は、遠心力を発生させる回転軸(6)の回転と円盤(1)の回転を連動させるものであれば、設置位置や構造を限定するものではない。
モータ(7)は電気モータを利用するのが最もシンプルな構造になると考えられるが、エネルギーを回転力に変換し、回転力からエネルギーを抽出できるものであれば、必ずしも電気モータである必要はない。
円盤(1)の回転による空気抵抗を減らすために、空気抜き出し口(3)を設け、空気の密度が低い状態で円盤(1)を回転させることが望ましい。
円盤(1)の回転軸や遠心力を発生させる回転軸(6)は高速回転することを可能とし、機械抵抗はなるべく小さいことが望ましい。
本発明は地球重力場を利用するものではないので宇宙空間などの無重力状態でも稼働可能である。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ)入出力電源(9)から初期エネルギーを外部から注入し、モータ(7)を始動させ、遠心力を発生させる回転軸(6)を回転させる。
(ロ)遠心力を発生させる回転軸(6)を回転させることによりアーム(5)が動き出し、固定歯車(4)と回転歯車(11)により円盤(1)も回転する。
(ハ)外部から注入したエネルギーにより遠心力を発生させる回転軸(6)の回転速度を増加させることに伴い円盤(1)の回転速度も増加する。
(ニ)円盤(1)の回転速度が速くなると、遠心力による重力と回転円盤の効果による推進力により、遠心力を発生させる回転軸(6)の回転速度を増加させる方向に力が働く。遠心力を発生させる回転軸(6)の回転速度が増加すると、それに伴い円盤(1)の回転速度も増加する。このため連鎖的に遠心力を発生させる回転軸(6)と円盤(1)の回転速度は増加していく。
(ホ)(ニ)の現象によりモータ(7)への外部からの電力供給を止めても、モータの回転抵抗を適切にすれば遠心力を発生させる回転軸(6)の回転速度を一定に保つことができるため、以降、モータ(7)を発電機とし外部へ電力を取り出し続けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0008】
電力業界においては、燃料費を出費することなく電力を生産できる。二酸化炭素、核廃棄物などの環境悪化の廃棄物を生じず、安全であるため、都市部においても発電設備を設置することができ、大規模な送電線は不要になる。
乗り物に設置し動力源として利用すれば、無公害で燃料費がかからない理想的な乗り物となる。自動車、船舶、鉄道などに有効である。特に鉄道では、架線が不要になるため、設備費の低減と騒音低下に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一部を切り欠いた側面図である。
【図2】本発明のフードの一部を切り欠いた上方から見た平面図である。
【符号の説明】
1 円盤 2 フード 3 空気抜き出し口
4 固定歯車 5 アーム 6 遠心力を発生させる回転軸
7 モータ 8 フレーム 9 入出力電源
10 軸受け 11 回転歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心力を発生させる回転軸(6)を回転させることにより、円盤(1)の回転軸に直交する方向に遠心力を生じさせると同時に、遠心力を発生させる回転軸(6)と同一の方向に円盤(1)自体を回転させる。すなわち、遠心力を発生させる回転軸(6)と円盤(1)の回転軸は平行で回転方向を同一にする。円盤全体に加わる遠心力と円盤自体の回転による相互作用により、遠心力を発生させる回転軸(6)には回転速度を増す方向にトルクが生じる。このトルクによるエネルギーを発電機を兼ねたモータから取り出すことを目的とした重力を利用した発電機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−4574(P2011−4574A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162212(P2009−162212)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(591186062)