説明

金属メッキ用樹脂組成物

【課題】金属メッキ層の密着強度、耐薬品性、外観、衝撃強度および低温衝撃強度に優れ、メッキ密着強度のバラツキが小さい樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)50〜85質量%、下記成分(B)10〜45質量%及び下記成分(C)を5〜40質量%(但し、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%)を含有する金属メッキ用樹脂組成物。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂。
成分(B):非ジエン系ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との混合物。
成分(C):軟質ポリプロピレン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン、非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂及び軟質ポリプロピレンを含有する金属メッキ用樹脂組成物、その成形品及び金属メッキ成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ABS樹脂に代表されるゴム強化樹脂は、優れた加工性、耐衝撃性、機械的特性、耐薬品性を有していることから車両分野、家電分野など、広範な分野において各種構成部材の成形材料として使用されている。上記各種構成部材には、高級感、耐久性、触った時の感触を高めるために、構成部材表面に金属メッキが行われることがある。特にゴム強化樹脂の成形品は、その表面に容易に金属メッキが出来ることから着目され、金属メッキされた部材は、ドアミラー、ラジエターグリル、ノブ、ハウジング、化粧容器のキャップ等として広く使用されている。
【0003】
他方、ポリオレフィンは安価で成形性に優れていることから農漁業、建築、土木、電気、電子、自動車等の各分野で広く用いられてきた。しかし、ポリオレフィンは金属メッキの密着強度や外観が劣ったり、金属メッキを行う工程で大量の溶剤を使用したり、あるいはそれに伴って工程数が多くなる等の問題があるため、金属メッキ工程を必要とする部品にはほとんど用いられなかった。
【0004】
金属メッキの密着強度及び外観を向上させた樹脂組成物として、例えば、ポリオレフィン系樹脂にポリエステル系樹脂及び不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂を特定量添加してなる樹脂組成物が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、金属メッキの密着強度及び外観を向上させた他の樹脂組成物として、ポリプロピレン系樹脂とゴム強化樹脂とに、相溶化剤として、水素添加率が10%以上の水素添加共役ジエン系重合体、及び/又はポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られる共重合体を配合した金属メッキ用樹脂組成物が開示されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、従来の樹脂組成物では、金属メッキ成形品に加工した場合に、メッキ密着強度のバラツキが生じることがあり、かかる欠点を改良した金属メッキ用樹脂組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−82426号
【特許文献2】特開2008−150593号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、金属メッキ層の密着強度、耐薬品性、外観および機械的強度に優れ、しかも成形品におけるメッキ密着強度のバラツキが小さい金属メッキ用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリプロピレンと非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂に軟質ポリプロピレンを特定量配合した金属メッキ用樹脂組成物が、メッキ強度に優れ、しかもメッキ密着強度のバラツキが小さいことを見出し、本発明に到達した。
【0010】
本発明は以下に示される。
1.下記成分(A)50〜85質量%、下記成分(B)10〜45質量%及び下記成分(C)を5〜40質量%(但し、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%)を含有する金属メッキ用樹脂組成物。
成分(A):ポリプロピレン。
成分(B):非ジエン系ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との混合物。
成分(C):軟質ポリプロピレン。
2.前記成分(A)の曲げ弾性率が600MPa以上であり、前記成分(C)の曲げ弾性率が600MPa未満である前記項1に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
3.前記成分(C)の密度が、前記成分(A)の密度よりも0.005g/cm以上小さい値である前記項1又は2に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
4.前記成分(C)が、メタロセン触媒を用いて製造されるエチレン・プロピレンランダム共重合体である前記項1乃至3のいずれか1項に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
5.前記非ジエン系ゴム質重合体が、エチレン・プロピレンゴムである前記項1乃至4のいずれか1項に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
6.前記ビニル系単量体が、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含むビニル系単量体である前記項1乃至5のいずれか1項に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
7.前記1乃至6のいずれか1項に記載の金属メッキ用樹脂組成物を成形してなる成形品。
8.表面の少なくとも一部が、金属メッキされた前記項7に記載の金属メッキ成形品。
【発明の効果】
【0011】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物は、金属メッキ層の密着強度、耐薬品性、外観、衝撃強度および低温衝撃強度に優れ、しかも成形品におけるメッキ密着強度のバラツキが小さく、金属メッキ成形品として各種用途に用いることができる。
本発明の成形品は、メッキ工程において、容易に金属メッキをすることができ、金属メッキ層の密着強度に優れ、しかも成形品におけるメッキ密着強度のバラツキが小さい。
本発明の金属メッキ成形品は、金属メッキ層の密着強度、耐薬品性、外観、衝撃強度および低温衝撃強度に優れ、しかも成形品におけるメッキ密着強度のバラツキが小さく、各種メッキ製品として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0013】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物は、成分(A)としてポリプロピレン、成分(B)として、非ジエン系ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との混合物、及び、成分(C)として、軟質ポリプロピレンをそれぞれ特定量含有することを特徴とする。
【0014】
成分(A)(ポリプロピレン)
本発明における成分(A)であるポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とし、更にエチレンまたは炭素数4以上のα―オレフィンをコモノマーとして含有するランダムまたはブロック共重合体、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
【0015】
本発明におけるポリプロピレン(成分(A))の曲げ弾性率は、好ましくは600MPa以上であり、より好ましくは800MPa以上であり、より好ましくは1000MPa以上である。曲げ弾性率の測定は、JISK7171に準拠する。
【0016】
ポリプロピレン(成分(A))の密度は、好ましくは0.895g/cm以上0.92g/cm以下である。尚、密度の測定は、JISK7112に準拠する。
【0017】
ポリプロピレン(成分(A))は、230℃、2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1〜200g/10分、より好ましくは1〜100g/10分である。
【0018】
ポリプロピレンは、通常、チーグラー(ZN)触媒、またはメタロセン触媒を用いて製造される。チーグラー(ZN)触媒としては、高活性触媒が好ましく、特に、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とする固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせた高活性触媒が好ましい。
【0019】
メタロセン触媒としては、ジルコニウム、ハフニウム、チタンなどの遷移金属にシクロペンタジエニル骨格を有する有機化合物、ハロゲン原子などが配位したメタロセン錯体と、アルモキサン化合物、イオン交換性珪酸塩、有機アルミニウム化合物などを組み合わせた触媒が有効である。
【0020】
プロピレンと共重合させるコモノマーとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1等が挙げられる。これらコモノマー成分の含有量は、共重合体全体を100質量%として、通常0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%である。これらのうち、特に好ましいものは、プロピレンとエチレンおよび/又はブテン−1とのブロック共重合体である。
【0021】
反応系中の各モノマーの量比は経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも可能であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
【0022】
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触する方法が好ましく、具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク法、溶液法、実質的に液体溶媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法などを採用することができる。
【0023】
また、連続重合、回分式重合のいずれを用いてもよい。スラリー重合の場合には、重合溶媒としてヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素を単独で又は混合して用いることができる。
【0024】
重合条件としては重合温度が好ましくは−78〜160℃、より好ましくは0〜150℃であり、そのときの分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。また、重合圧力は好ましくは0〜90kg/cm2・G、より好ましくは1〜60kg/cm2・Gである。
【0025】
成分(B)(非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)
本発明における非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(成分(B))は、非ジエン系ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(B1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(B1)とビニル系単量体の(共)重合体(B2)との混合物である。後者のビニル系単量体の(共)重合体は、非ジエン系ゴム質重合体(a)の非存在下に、ビニル系単量体(b2)を重合して得られるものである。なお、本明細書において、成分(B)を総称する場合、「非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂」という。
【0026】
非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(成分(B))における非ジエン系ゴム質重合体(a)の含有量は、衝撃強度、剛性、外観等の物性バランスの点から、当該成分(B)を100質量%として、好ましくは3〜70質量%、より好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。
【0027】
上記非ジエン系ゴム質重合体(a)としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体等のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム;アクリルゴム;シリコーンゴム;シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
非ジエン系ゴム質重合体(a)としては、好ましくは、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムが挙げられる。尚、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムのエチレン単位の含有量は、機械的物性と外観の点より、全単位の合計量に対して20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。非ジエン系ゴム質重合体(a)としては、より好ましくは、エチレン・プロピレン系ゴムが挙げられる。
【0028】
エチレン−プロピレン系ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)を挙げることができ、耐衝撃強度等の機械的物性の点からEPDMが好ましい。Mw/Mnは好ましくは1.2〜4.5、より好ましくは1.5〜4.0である。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は好ましくは5〜90、より好ましくは10〜80である。EPDMの不飽和基量は、好ましくは、ヨウ素価に換算して4〜40である。非共役ジエンとしては、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類が挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンが挙げられる。エチレン−プロピレン系ゴムは、1種単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0029】
ビニル系単量体(b1)としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、および、その他の各種官能基含有不飽和化合物などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。ビニル系単量体(b1)としては、好ましくは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物などが挙げられ、より好ましくは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物が挙げられる。
【0030】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、臭素化スチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0031】
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
【0032】
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。その他の各種官能基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和無水物;アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和酸等が挙げられる。これらは、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に支障のない範囲で1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
上記非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)における非ジエン系ゴム質重合体(a)の含有量は、衝撃強度、剛性、外観等の物性バランスの点から、非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)を100質量%として、好ましくは3〜70質量%、より好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)にビニル系単量体の(共)重合体(B2)を混合することにより、非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B)における非ジエン系ゴム質重合体(a)の含有量を低くすることができる。
【0034】
芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を用いる場合の使用量の質量比率は、芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物として、好ましくは30/70〜98/2、より好ましくは40/60〜95/5である。
【0035】
共重合可能な他の単量体を用いる場合、その使用量は、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物の合計を100質量部として、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
【0036】
非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)の製造方法としては、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合などの公知の方法を用いることができるが、特に品質の観点から溶液重合が好ましい。また、溶液重合は、回分式重合法と連続式重合法の何れによっても実施できるが、経済性の点から連続式重合法が好ましい。
【0037】
溶液重合に用いることのできる溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素を主体とする不活性溶剤が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、i−プロピルベンゼンなどが挙げられるが、経済性および品質の観点からトルエンが好ましい。また、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ハロゲン化炭化水素などの極性溶剤を溶剤中の30質量%以下で用いることは差し支えないが、脂肪族炭化水素との併用は好ましくない。不活性溶剤の使用量は非ジエン系ゴム質重合体(a)とビニル系単量体(b1)の合計100質量部に対して通常50〜200質量部、好ましくは60〜180質量部である。重合温度は、好ましくは80〜140℃、より好ましくは85〜130℃、更に好ましくは90〜120℃である。
【0038】
重合に際しては、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに熱重合で重合してもよいが、重合開始剤を用いる方が好ましい。重合開始剤としては、通常公知のものを用いることができるが、グラフト反応に効果的なジベンゾイルパーオキサイドなどの芳香族ジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−i−ブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化エステル、t−ブチルパーオキシ−i−プロピルカーボネートなどの過酸化炭酸エステル、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのケトンパーオキサイド等の有機過酸化物が好ましく、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用することもできる。ラジカル重合開始剤の使用量は、非ジエン系ゴム質重合体(a)とビニル系単量体(b1)の合計100質量部に対して通常0.1〜2.0質量部、好ましくは0.2〜1.0質量部である。また、連鎖移動剤を用いることもでき、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。さらに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよく、その添加方法としては最終製品に混合してもよいし、重合反応前後に添加してもよい。
【0039】
非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。このグラフト率(%)は、次式により求められる。
【0040】
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
【0041】
上記式中、Tは成分(B)1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは成分(B)1gに含まれる非ジエン系ゴム質重合体の質量(g)である。
【0042】
非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)のアセトン可溶分又は(共)重合体(B2)の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、より好ましくは0.25〜1dl/g、更に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
【0043】
非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)において、分散するグラフト化非ジエン系ゴム質重合体の重量平均粒子径は、衝撃強度、剛性、外観等の物性バランスの点から、好ましくは0.05〜3μmであり、より好ましくは0.08〜2μmであり、更に好ましくは0.1〜1μmである。
【0044】
非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)には、通常、ビニル系単量体(b1)が非ジエン系ゴム質重合体(a)にグラフトした共重合体と、ビニル系単量体(b1)が非ジエン系ゴム質重合体(a)にグラフトしていない未グラフト成分(すなわち、ビニル系単量体(b1)同士の単独および共重合体)が含まれる。
【0045】
非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)とビニル系単量体の(共)重合体(B2)とを混合しジエン系ゴム強化樹脂(B)を製造する場合、ビニル系単量体の(共)重合体(B2)は、ゴム質重合体(a)を用いない以外、ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(B1)と同様の方法によって製造することができる。ビニル系単量体(b2)については、ビニル系単量体(b1)について述べた記載があてはまる。尚、ビニル系単量体(b2)の種類や量は、ビニル系単量体(b1)と同じであってもよく、又異なっていてもよい。
【0046】
成分(C)(軟質ポリプロピレン)
本発明における軟質ポリプロピレンは、ポリプロピレン(成分(A))に比較し軟質な材料であり、ポリプロピレン(成分(A))の弾性率に比較し、より低い弾性率を示す。軟質ポリプロピレンの曲げ弾性率(JIS K7171に準拠し測定される。)は、好ましくは600MPa未満であり、より好ましくは550MPa未満である。
【0047】
軟質ポリプロピレン(成分(C))の密度は、ポリプロピレン(成分(A))の密度の値よりも0.005g/cm以上小さい値であることが好ましい。軟質ポリプロピレンの密度(JIS K7112に準拠し測定される。)は、好ましくは0.85g/cm以上0.895g/cm未満である。
【0048】
軟質ポリプロピレン(成分(C))のメルトフローレート(MFR)は、230℃、2.16kgの条件で測定した値で、好ましくは0.1〜200g/10分であり、より好ましくは1〜100g/10分である。
【0049】
軟質ポリプロピレンとしては、好ましくは、プロピレンとエチレン又は炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体が挙げられる。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。プロピレン・エチレンランダム共重合体及びプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられ、好ましくは、プロピレン・エチレンランダム共重合体が挙げられる。共重合成分のエチレン又は炭素数4以上のα−オレフィンの含有量としては、1〜50wt%であり、好ましくは2〜40wt%である。軟質ポリプロピレンとしては、結晶性の軟質ポリプロピレンでも、非晶性の軟質ポリプロピレンでも、結晶性のものと非晶性のものが混合している軟質ポリプロピレンでもよい。
【0050】
軟質ポリプロピレンは、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等の公知の方法によって得ることができる。また、市販品として入手することもできる。市販品としては、日本ポリプロ社製Welnexシリーズ、エクソンモービルケミカル社製のVISTAMAXXシリーズ、ダウケミカル社製のVERSIFYシリーズなどが挙げられる。
【0051】
なかでも、メタロセン触媒を用いて製造される軟質ポリプロピレンは、分子構造の均一性が高く、低分子量成分や低結晶性成分が少なく、製品のハンドリングに優れる。
【0052】
軟質ポリプロピレンの製造方法としては、例えば特開平6−25367号公報に記載されているような多段重合法を挙げることができる。この多段重合法は、第一段階のプロピレンの単独重合またはプロピレンと少量のエチレンとのランダム共重合の段階と、次のエチレンと1種以上の炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合の段階を含む重合工程からなる。この重合法により得られた樹脂は、各段階で生成する樹脂成分が重合時のリアクター中であたかもブレンドされたようになるため、一般に行われている重合後にブレンドする方法により得られる樹脂とは異なり、非晶成分が非常に微細に分散しており、分子構造の均一性が高く、低分子量成分や低結晶性成分が少なくなる。
【0053】
また、例えば特開2009−173881号公報に記載されているように、第1工程で結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分を重合し、第2工程で低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分を逐次重合し、しかもメタロセン触媒を用いて重合することにより得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体は柔軟性に優れており、本発明における成分(C)として好適である。
【0054】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物
本発明の金属メッキ用樹脂組成物は、前記成分(A)50〜85質量%、前記成分(B)10〜45質量%及び前記成分(C)を5〜40質量%(但し、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%)を含有する。
【0055】
成分(A)の使用割合は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量%中、好ましくは52〜83質量%、より好ましくは55〜80質量%である。成分(A)が少なすぎると耐薬品性が劣り、また、成分(A)が多すぎるとメッキ密着性が劣る。
【0056】
成分(B)の使用割合は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量%中、好ましくは12〜40質量%、より好ましくは15〜35質量%である。成分(B)が少なすぎるとメッキ密着性及び耐衝撃性が劣り、また、成分(B)が多すぎると耐薬品性が劣る。
【0057】
成分(C)の使用割合は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量%中、好ましくは6〜38質量%であり、より好ましくは8〜35質量%でる。成分(B)が少なすぎるとメッキ密着性が劣り、また、成分(B)が多すぎると耐薬品性が劣る。
【0058】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物には、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の他に、必要に応じて、酸化防止剤、加工安定剤、紫外吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、結晶化核剤、滑剤、可塑剤、金属不活性剤、着色顔料、各種無機充填剤、ガラス繊維、強化剤、難燃剤、離型剤、発泡剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。また、必要に応じ他の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドなどを本発明の目的を損なわない範囲で配合することもできる。
【0059】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物は、各成分を所定の配合比で、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどで混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等の混練機を用いて適当な条件下で溶融混練して製造することができる。好ましい混練機は、二軸押出機である。更に、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練しても、多段、分割配合して混練してもよい。尚、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練したあと、押出機によりペレット化することもできる。また、無機充填材のうち繊維状のものは、混練中での切断を防止するためにサイドフィーダーにより押出機の途中から供給する方が好ましい。溶融混練温度は、通常200〜260℃、好ましくは210〜250℃である。
【0060】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物は、連続相と分散相とからなり、樹脂成形品の表面上に分散相が適度なアンカー部を形成し、密着性に優れ且つ密着性のバラツキに優れたメッキ金属層を作ることができる。
【0061】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、シート押出成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形等の公知の成形法により、成形品とすることができる。成形品の表面に金属メッキを施す方法としては、無電解メッキ、ダイレクトメッキ、電気メッキ等の湿式メッキ法や、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の乾式メッキ法が挙げられる。無電解メッキ法によれば、ニッケル、銅等の金属イオンを含む水溶液に還元剤(次亜リン酸ナトリウム、ホウ酸水素ナトリウム等)を加え、該水溶液に樹脂成形品を浸漬して90〜100℃に加熱することにより、樹脂成形品の表面に均一に金属をメッキすることができる。この場合、成形品の表面を硫酸/クロム酸等のエッチング液で予め化学的に粗面化(エッチング)したり、感応性付与(センシタイジング)しておくことが望ましい。真空蒸着法によれば、10-4〜10-5mmHgの高真空中において各種金属を加熱して蒸発させることで成形品の表面に金属をメッキすることができる。メッキ方法としては、好ましくは湿式メッキ法が挙げられる。
【0062】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物を成形して得られる成形品の少なくとも一部が金属メッキされた金属メッキ成形品は、例えば、ドアミラー、ラジエターグリル、ノブ、ハウジング、化粧容器のキャップ、電池セル筐体、特にリチウムイオン二次電池のセル筐体等として使用することができる。なお、本発明における成形品は、金属層が形成されていない面に他の樹脂からなる層を積層することを妨げるものではない。
【実施例】
【0063】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制約されるものではない。尚、実施例及び比較例において、部及び%は特に断らない限り質量基準である。
【0064】
1. 評価方法
実施例において用いられる評価方法は以下の通りである。
(1)ゴム質重合体の粒子径
ラテックス状のゴム質重合体の粒子径をレーザードップラー/周波数解析で測定した。測定機器は、日機装社製、マイクロトラックUPA150粒度分析計MODEL No.9340を使用した。尚、ゴム強化ビニル系樹脂中の分散ゴム質重合体粒子の粒子径は、ほぼラテックス中のゴム質重合体の粒子径を示すことが確認された。
【0065】
(2)ゲル含有率(トルエン不溶分)
上記記載の方法に従って測定した。
(3)グラフト率
上記記載の方法に従って測定した。
【0066】
(4)極限粘度〔η〕
試料をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点作成、ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度〔η〕を求めた。単位はdl/gである。
【0067】
(5)メッキ密着性
樹脂組成物を東芝機械製IS170FA射出成形機によりシリンダ温度230℃、射出圧力50MPa、金型温度50℃にて成形し、縦150mm、横90mm、厚さ3mmの射出成形プレートを作成し試験片として用いた。この試験片を50℃の脱脂液に4〜5分間浸漬させた後、68℃の硫酸と無水クロム酸の混合液(98%硫酸/無水クロム酸=400g/L/400g/L)で6〜8分間エッチングし、25℃の10%塩酸水溶液に2分間浸漬した。次いで、25℃に加温した塩化パラジウム、塩化スズ及び塩酸からなる混合水溶液に2分間浸漬させ、35℃の10%硫酸水溶液に3分間浸漬させた。さらに硫酸ニッケル、クエン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、塩化アンモニウム及びアンモニア水からなる水溶液を60℃に加温し、試験片を5分間浸漬させ無電解メッキを施し、硫酸銅、硫酸及び光沢剤からなる水溶液を25℃とし、3A/dmで120分間電気メッキを施した。無電解メッキの膜厚は約0.6μm、電気メッキの膜厚は約80μmであった。この試験片のゲート部から20mm内側の部位にて、ゲートに対して直角方向に、カッターナイフにより幅10mmにメッキ膜を切削し90度の角度で引き剥がしたときのメッキ密着強度をゲート部メッキ密着強度とし、また、流動末端部から20mm内側の部位にて、ゲートに対して直角方向に、カッターナイフにより幅10mmにメッキ膜を切削し90度の角度で引き剥がしたときのメッキ密着強度を流動末端部メッキ密着強度とした。ゲート部メッキ密着強度と流動末端部メッキ密着強度との差をメッキ強度のバラツキとした。
【0068】
(6)耐薬品性
樹脂組成物を成形して縦160mm、横40mm、厚さ2mmの試験片を作製した。この試験片に1%の歪みをかけ、ジオクチルフタレート(DOP)を塗布し、23℃で72時間放置したあとの成形品の表面状態を、下記評価基準に基き目視評価をした。
1;変化無し
2;微小なクラック発生
3;大きなクラック発生又は破断
【0069】
(7)耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)
ISO 179に準じて測定した(ノッチ付き、厚さ2mm)。単位はkJ/mである。
【0070】
2. 実施例・比較例で使用する各成分
(1)ポリプロピレン(成分(A))
ブロックタイプポリプロピレン「ノバテックBC6C」(商品名、日本ポリプロ社製)、密度0.90、曲げ弾性率1700MPa、メルトフローレート60g/10分。
【0071】
(2)非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(成分(B))
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン・α−オレフィン系ゴム(エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン=63/32/5(%)、ムーニー粘度(ML1+4 、100℃)33である、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体)30部、スチレン45部、アクリロニトリル25部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、トルエン140部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温して、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って重合反応を終了した。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去し、さらに40mmφベント付き押出機(シリンダー温度220℃、真空度760mmHg)を用いて揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたエチレン・α−オレフィン系ゴム強化樹脂のゴム質重合体の重量平均粒子径は0.4μm、グラフト率は60%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.45dl/gであった。
【0072】
(3)軟質ポリプロピレン(成分(C))
「WELNEX RFG4VA」(商品名、日本ポリプロ社製)、密度0.89、曲げ弾性率220MPa、メルトフローレート6g/10分。
【0073】
実施例1
表1に示す配合割合で、ヘンシェルミキサーにより3分間混合した後、ナカタニ機械社製のNVC型50mmベント付き押出機を用いてシリンダー温度230℃で押出して、ペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、日本製鋼所社製のJ100E−C5型射出成形機を用いてシリンダー温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、各種評価用試験片(メッキ密着性評価用の試験片を除く)を得た。この試験片を用い、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0074】
実施例2〜4
表1に示すように配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを実施例1と同様にして射出成形し、各種評価用試験片を得た。この試験片を用い、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0075】
比較例1〜2
表1に示すように配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを実施例1と同様にして射出成形し、各種評価用試験片を得た。この試験片を用い、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の金属メッキ用樹脂組成物は、射出成形や押出成形により容易に成形品にすることができ、また、該成形品に金属メッキをした金属メッキ成形品は、金属メッキ層の密着強度、耐薬品性、外観、耐透水性、衝撃強度および低温衝撃強度に優れ、しかもメッキ密着強度のバラツキが小さいので、金属メッキ用樹脂組成物として有用である。また、本発明の金属メッキ成形品は、成形体の表面に密着強度に優れ且つ密着強度のバラツキの小さい金属メッキ層が形成されたものであるため、ドアミラー、ラジエターグリルなどの自動車部品、ノブ、水栓レバー、ノズル、ハンドルなどの住宅部品、化粧容器のキャップなどの日用雑貨部品、電池セル筐体、パネル、ハウジングなどの電気・電子部品として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)50〜85質量%、下記成分(B)10〜45質量%及び下記成分(C)を5〜40質量%(但し、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%)を含有する金属メッキ用樹脂組成物。
成分(A):ポリプロピレン。
成分(B):非ジエン系ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との混合物。
成分(C):軟質ポリプロピレン。
【請求項2】
前記成分(A)の曲げ弾性率が600MPa以上であり、前記成分(C)の曲げ弾性率が600MPa未満である請求項1に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
【請求項3】
前記成分(C)の密度が、前記成分(A)の密度よりも0.005g/cm以上小さい値である請求項1又は2に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
【請求項4】
前記成分(C)が、メタロセン触媒を用いて製造されるエチレン・プロピレンランダム共重合体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
【請求項5】
前記非ジエン系ゴム質重合体が、エチレン・プロピレンゴムである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
【請求項6】
前記ビニル系単量体が、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含むビニル系単量体である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の金属メッキ用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の金属メッキ用樹脂組成物を成形してなる成形品。
【請求項8】
表面の少なくとも一部が、金属メッキされた請求項7に記載の金属メッキ成形品。

【公開番号】特開2013−71983(P2013−71983A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211178(P2011−211178)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】