説明

金属層の腐食防止方法

【課題】金属層の耐硫化性を優れたものとし、金属層の腐食(例えば変色)を抑制することができる金属層の腐食防止方法を提供する。
【解決手段】第11族の金属から得られる金属層を、(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサン100質量部と、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有するシリコーン樹脂組成物から得られるシリコーン樹脂層で覆い、前記金属層の腐食を防止する、金属層の腐食防止方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属層の腐食防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来シリコーン樹脂はシーラント等に使用されている(特許文献1、2)。
しかしながら、シリコーン樹脂は耐熱性に優れるもののエポキシ樹脂等と比較して気体透過性が高いため、シリコーン樹脂で封止またはコーティングされた銀製(銀メッキを含む。)の部材を有する機器(例えば半導体発光装置のような照明装置)を硫化水素雰囲気下に置いた場合、シリコーン樹脂が空気中の硫化水素などの腐蝕性ガスを透過させて銀が経時で変色し、その結果、機器の輝度が低下する場合がある。
通常銀の経時的な変色に対する対策として、シリコーン樹脂とガスバリア性が高い樹脂を共重合させる手段が開示されている。(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−5901号公報
【特許文献2】特開2000−319632号公報
【特許文献3】特開2003−188503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シリコーン樹脂とガスバリア性の高い樹脂を共重合させても銀の経時的な変色を抑制するのは不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物を含有するシリコーン樹脂組成物が、非共有電子対を有する(例えば、硫化水素、アミン類)を捕捉し、金属の腐食を防止すること(例えば、耐硫化性を発現させて銀の変色を抑える。)を見出してし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、金属層の耐硫化性を優れたものとし、金属層の腐食(例えば銀の変色)を抑制することができる金属層の腐食防止方法を次のとおり提供する。
【0006】
1. 第11族の金属から得られる金属層を、
(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサンと、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有するシリコーン樹脂組成物から得られるシリコーン樹脂層で覆い、
前記金属層の腐食を防止する、金属層の腐食防止方法。
2. 前記金属化合物が、下記式(1)で表される金属カルボン酸塩または金属錯体および下記式(2)で表される金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1に記載の、金属層の腐食防止方法。
M(−O−CO−R1n (1)
[式(1)中、Mはニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mがニッケルまたはガリウムの場合nは3であり、Mが銅の場合nは2または3であり、R1がヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基である。]
M(R2COCHCOR3n (2)
[式(2)中、Mはニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mがニッケルまたはガリウムの場合nは3であり、Mが銅の場合nは2または3であり、R2、R3は同一または異なる、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基である。]
3. 前記金属化合物の量が、前記オルガノシロキサン100質量部に対して、0.01〜5質量部である上記1または2に記載の金属層の腐食防止方法。
4. 前記反応性官能基が、シラノール基、アルコキシシリル基、ビニル基、ヒドロシリル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ポリエーテル基、カルボキシル基、カルビノール基、アミノ基、メルカプト基およびフェノール基からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1〜3のいずれかに記載の金属層の腐食防止方法。
5. 前記第11族の金属が、銅、銀および金からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1〜4のいずれかに記載の、金属層の腐食防止方法。
【0007】
また、本発明は、耐硫化性、透明性に優れるシリコーン樹脂組成物、これを用いる積層体および半導体発光装置を次のとおり提供する。
6. 第11族の金属から得られる金属層と、
(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサン100質量部と、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有するシリコーン樹脂組成物から得られるシリコーン樹脂層とを有し、耐硫化性を有する積層体。
7. 前記金属層と前記シリコーン樹脂層との間に半導体発光素子を有する上記6に記載の積層体。
8. 半導体発光素子と、凹部を有する枠体と、封止材とを有し、
前記半導体発光素子は前記凹部の底部に配置され、
前記枠体は前記凹部の側面および/または底面に第11族の金属から得られるリフレクタを備え、
前記封止材は前記半導体発光素子および前記リフレクタを封止し、
前記封止材が、(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサンと、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有するシリコーン樹脂組成物から得られ、
耐硫化性を有する半導体発光装置。
9. (A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサンと、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有し、第11族の金属から得られるリフレクタおよび半導体発光素子を封止するために使用され、耐硫化性を有するシリコーン樹脂組成物。
本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物および積層体は耐硫化性、透明性に優れる。
本願明細書に記載の半導体発光装置は耐硫化性、透明性に優れ、優れた輝度を維持することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の金属層の腐食防止方法によれば、金属層の耐硫化性を優れたものとし、金属層の腐食(例えば変色)を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明における積層体の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は本発明における積層体の別の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は本発明における半導体発光装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は本発明における半導体発光装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は本発明における半導体発光装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は本発明におけるシリコーン樹脂組成物および/または本発明におけるシリコーン樹脂組成物の1用途と考えられる半導体発光装置を用いたLED表示器の一例を模式的に示す図である。
【図7】図7は耐硫化性2の評価結果を示す写真データである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の金属層の腐食防止方法、積層体、半導体発光装置およびシリコーン樹脂組成物について詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明の金属層の腐食防止方法について説明する。
本発明の金属層の腐食防止方法は、
第11族の金属から得られる金属層を、
(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサンと、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有するシリコーン樹脂組成物から得られるシリコーン樹脂層で覆い、
前記金属層の腐食を防止する、金属層の腐食防止方法である。
【0012】
本願発明者らは、シリコーン樹脂層に含まれる、ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物が、空気に含まれる腐蝕性ガスを捕捉して金属の耐腐蝕性(例えば、耐硫化性、耐アミン性)を維持することを見出した。本発明において、シリコーン樹脂層がニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物を含有することによって、シリコーン樹脂層はその硬度を硬くしなくても十分な耐腐蝕性(特に耐硫化性)を有する。
本発明において、シリコーン樹脂層は外気と金属層との間にあって、空気がシリコーン樹脂層を透過するのに伴い、空気中の腐蝕性ガス(例えば、硫化水素、アミン類のような非共有電子対を有するガス)をシリコーン樹脂層中のニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物がキャッチして、腐蝕性ガスが金属層を腐食(例えば、変色)することを防止することができると本願発明者は考える。
なお上記メカニズムは本願発明者の推測であり、仮にメカニズムが上記以外のものであっても本発明の範囲内である。
【0013】
本発明の金属層の腐食防止方法に使用されるシリコーン樹脂組成物は、(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサンと、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有する。
なお、本発明の金属層の腐食防止方法に使用されるシリコーン樹脂組成物は、本願明細書に記載の積層体、本願明細書に記載の半導体発光装置に使用されるものと同じである。また、本発明の金属層の腐食防止方法に使用されるシリコーン樹脂組成物は、本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物と同じである。
【0014】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)に含有されるオルガノシロキサンは1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有し、シロキサン結合[(−Si−O−)n、nは2以上の整数。]を有するポリシロキサン化合物であれば特に制限されない。例えば、シリコーンオリゴマー、シリコーン樹脂、オルガノポリシロキサン、ジオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0015】
オルガノシロキサンが有する炭化水素基は特に制限されない。例えば、フェニル基のような芳香族基;アルキル基;アルケニル基が挙げられる。
オルガノシロキサンの主鎖は直鎖、分岐のいずれであってもよい。
反応性官能基は、シラノール基、アルコキシシリル基、ビニル基、ヒドロシリル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ポリエーテル基、カルボキシル基、カルビノール基、アミノ基、メルカプト基およびフェノール基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
オルガノシロキサンは、例えば、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
【0016】
1−SiR42−O−[SiR42−O]n−SiR42−X2 (3)
(式中、R4は同一または異なり、炭素原子数1〜18のアルキル基またはアリール基を示し、X1、X2はそれぞれ独立に反応性官能基を示し、nは1以上の整数である。)
【0017】
式(3)中、R4で表される炭素原子数1〜18のアルキル基は鎖状(直鎖状、分岐状を含む。)、環状(シクロアルキル基)、これらの組み合わせを含む。R4で表される炭素原子数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基のような鎖状のアルキル基;シクロペンチル等基、シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基が挙げられる。R4で表されるアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。このうち、R4で表される基はメチル基またはフェニル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。R4は同一でも異なっていてもよい。
また、式(3)中、nはオルガノシロキサンの重量平均分子量に対応する数値とすることができる。作業性、耐クラック性に優れるという観点から、nは10〜15,000の整数であるのが好ましい。
【0018】
オルガノシロキサンはその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
オルガノシロキサンの分子量は、耐熱着色安定性に優れ、硬化時間、可使時間が適切な長さとなり硬化性に優れ、硬化物物性に優れるという観点から、1,000〜1,000,000であるのが好ましく、6,000〜100,000であるのがより好ましい。なお、本発明において、オルガノシロキサンの分子量は、クロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量であるものとする。
【0019】
オルガノシロキサンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
オルガノシロキサンを2種以上組み合わせる場合、2種以上のオルガノシロキサンは互いに同じ反応性官能基を有してもよいし、異なる反応性官能基を有してもよい。
また、ある1種類の反応性官能基を有するオルガノシロキサンに対して、その反応性官能基と反応し、硬化剤として働く反応性官能基を有するオルガノシロキサンを組み合わせることができる。例えば、エポキシ基含有オルガノシロキサンと、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、カルビノール基、メルカプト基、カルボキシル基およびフェノール基から選ばれる反応性官能基を少なくとも1分子中に1つ以上有するオルガノシロキサンとの組み合わせ;(メタ)アクリロイル基含有オルガノシロキサンと、メルカプト基含有オルガノシロキサンとの組み合わせ;ビニル基含有オルガノシロキサンとヒドロシリル基含有オルガノシロキサンが挙げられる。
【0020】
ある1種類の反応性官能基を有するオルガノシロキサンに対して、その反応性官能基と反応し、硬化剤として働く反応性官能基を有するオルガノシロキサンを組み合わせる場合、硬化剤として働く反応性官能基を有するオルガノシロキサンの量は、その反応性官能基が、ある1種類の反応性官能基を有するオルガノシロキサンが有する反応性官能基に対して、0.1〜10当量となる量とすることができる。
【0021】
シリコーン樹脂組成物はさらに反応性官能基を有するシラン化合物を含有することができる。シリコーン樹脂組成物がさらに含有することができるシラン化合物は、ケイ素原子を1個有し、ケイ素原子に直接または有機基を介して官能性官能基が結合する化合物であれば特に制限されない。1個のシラン化合物が有する反応性官能基は1〜4個である。1個のシラン化合物が反応性官能基以外に有することができる炭化水素基は特に制限されない。例えば、脂肪族炭化水素基(直鎖状、分岐状、脂環式を含む。)、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。反応性官能基はオルガノシロキサンが有する反応性官能基と同義である。シラン化合物としては例えば、アルキルアルコキシシラン;テトラアルコキシシラン;ヒドロキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン、ビニルシランのようなシランカップリング剤が挙げられる。
【0022】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)に含有される金属化合物について以下に説明する。
本発明において、金属化合物は、ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を有する化合物である。金属化合物は、ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物であれば特に制限されない。例えば、塩;錯体;アルコラート;酸化物が挙げられる。なかでも、耐硫化性により優れるという観点から、例えば、炭素原子や酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有する金属化合物であるのが好ましく、金属カルボン酸塩および/または金属錯体であるのがより好ましい。
【0023】
金属カルボン酸塩は金属と有機カルボン酸とから形成される塩であれば特に制限されない。金属錯体は金属と配位子とから形成されるキレート化合物であれば特に制限されない。
金属化合物としては、例えば、下記式(1)で表される金属カルボン酸塩または金属錯体、式(2)で表される金属錯体が挙げられる。
【0024】
M(−O−CO−R1n (1)
[式(1)中、Mはニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mがニッケルまたはガリウムの場合nは3であり、Mが銅の場合nは2または3であり、R1がヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基である。]
【0025】
炭素数1〜18の炭化水素基としては、例えば、アルキル基;ビニル基、アリル基のような不飽和の脂肪族炭化水素基;アリール基が挙げられる。炭素数1〜18のアルキル基、アリール基は上記と同義である。炭素数1〜18の炭化水素基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を含んでもよい。
【0026】
M(R2COCHCOR3n (2)
[式(2)中、Mはニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mがニッケルまたはガリウムの場合nは3であり、Mが銅の場合nは2または3であり、R2、R3は同一または異なる、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基である。]
炭素数1〜18の1価の炭化水素基としては例えば炭素数1〜18のアルキル基、アリール基が挙げられる。炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ヘテロ原子は上記と同義である。
アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。
【0027】
式(1)が金属塩の場合金属塩は詳細には下記式(1−1)で表すことができる。式(1)が金属錯体である場合金属錯体は詳細には下記式(1−2)で表すことができる。
式(2)で表される金属錯体は詳細には下記式(2−1)で表すことができる。
【化1】


式中のM、n、R1〜R3は上記と同義である。
【0028】
ニッケル化合物としては、例えば、ニッケルアセテート、ニッケル2−エチルヘキサノエート、ニッケルオクトエート、ニッケルネオデカネート、ニッケルアセチルアセテート、ニッケル(メタ)アクリレート、ニッケルサリチレート等のカルボン酸塩;トリ(アセチルアセトナート)ニッケル錯体、ニッケル(II)ヘキサフルオロペンタンジオネート、ニッケル(II)2,2,6,6−テトラメチル-3-5−ヘプタンジオネート、ニッケル(II)トリフルオロペンタンジオネートのような錯体が挙げられる。
【0029】
銅化合物としては、例えば、銅アセテート、銅2−エチルヘキサノエート、銅オクトエート、銅ネオデカネート、銅アセチルアセテート、銅(メタ)アクリレート、銅サリチレート等のカルボン酸塩;ジ(アセチルアセトナート)銅錯体、トリ(アセチルアセトナート)銅錯体、銅(II)アリロキシエトキシトリフルオロアセトアセテート、銅(II)ベンゾイルアセトネート、銅(II)ベンゾイルトリフルオロアセトネート、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネトート、銅(II)エチルアセトアセテート、6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネート、銅(I)ヘキサフルオロペンタンジオネート−2ブチレン錯体、銅(I)ヘキサフルオロペンタンジオネートビニルトリメチルシラン錯体のような錯体、銅(II)エトキシド、銅(II)メトキシエトキシエトキシド、銅(II)ジメチルアミノエトキシドのようなアルコキシドが挙げられる。
【0030】
ガリウム化合物としては、例えば、ガリウムアセテート、ガリウム2−エチルヘキサノエート、ガリウムオクトエート、ガリウムネオデカネート、ガリウムアセチルアセテート、ガリウム(メタ)アクリレート、ガリウムサリチレート等のカルボン酸塩;トリ(アセチルアセトナート)ガリウム錯体のような錯体、ガリウムエトキシド、ガリウムイソプロポキシドのようなアルコキシドが挙げられる。
【0031】
金属化合物は、耐硫化性により優れるという観点から、式(1)で表される金属カルボン酸塩または金属錯体および式(2)で表される金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、トリ(アセチルアセトナート)ニッケル錯体、ジ(アセチルアセトナート)銅錯体、トリ(アセチルアセトナート)銅錯体、トリ(アセチルアセトナート)ガリウム錯体、ジアセチルアセトナート銅錯体がより好ましい。
金属化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
オルガノシロキサンと金属化合物との組み合わせは、耐硫化性により優れるという観点から、オルガノシロキサンと銅を有する金属化合物との組み合わせであるのが好ましい。
【0032】
金属化合物の量は耐硫化性により優れ、透明性に優れるという観点から、オルガノシロキサン100質量部に対して0.01〜5質量部であるのが好ましく、0.1〜0.5質量部であるのがより好ましい。
【0033】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)はさらに硬化剤を含有することができる。硬化剤は特に制限されない。オルガノシロキサンが有する反応性官能基の種類に応じて適宜選択することができる。
硬化剤としては、例えば、ポリアミン化合物、ポリアミド化合物、ジシアンジアミド、酸無水物、カルボン酸化合物、フェノール樹脂が挙げられる。具体的には例えば、エポキシ基含有オルガノシロキサン用の硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、ダイマー酸変性エチレンジアミン、N−エチルアミノピペラジン、イソホロンジアミン等の脂肪族アミン類;メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェノルスルホン、4,4’−ジアミノジフェノルメタン、4,4’−ジアミノジフェノルエーテル等の芳香族アミン類;メルカプトプロピオン酸エステル、エポキシ樹脂の末端メルカプト化合物等のメルカプタン類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のフェノール樹脂類;前記フェノール樹脂類の芳香環を水素化したポリオール類;ポリアゼライン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物等の脂環式酸無水物類;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類及びその塩類、上記脂肪族アミン類、芳香族アミン類、及び/又はイミダゾール類とエポキシ樹脂との反応により得られるアミンアダクト類;アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン類;ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン等の第3級アミン類;トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;ジシアンジアミド;トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等の有機ボラン類等が挙げられる。
【0034】
上記化合物を、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、カルビノール基、メルカプト基、カルボキシル基およびフェノール基から選ばれる反応性官能基を少なくとも1分子中に1つ以上有するオルガノシロキサンの硬化剤として使用することができる。
【0035】
硬化剤(オルガノシロキサンを硬化剤として使用する場合はその合計量)の量は、硬化性、接着性に優れるという観点から、オルガノシロキサンが有する反応性官能基に対して硬化剤が有する官能基が0.1〜10当量となる量とすることができる。
【0036】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)はさらに触媒を含有することができる。触媒は特に制限されない。オルガノシロキサンが有する反応性官能基の種類に応じて適宜選択することができる。触媒としては例えば、縮合触媒、ヒドロシリル化触媒、ルイス酸、ルイス塩基等が挙げられる。
反応性官能基が例えばビニル基とヒドロシリル基との組み合わせの場合付加型硬化触媒を使用することができる。付加型硬化触媒は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的には例えばヒドロシリル化触媒等が挙げられる。
反応性官能基がシラノール基、アルコキシシリル基、メルカプト基、フェノール基である場合、縮合触媒を使用することができる。
シリコーン樹脂組成物がさらに含有することができる縮合触媒は加水分解性基含有シリル基やシラノール基を加水分解、縮合させることができるものであれば特に制限されない。例えば、スズ、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、カルシウム、バリウム、セリウム等のランタノイド金属等の金属を含む金属化合物やホウ素化合物が挙げられる。なかでも、耐硫化性により優れ、透明性、表面硬化性に優れるという観点から、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物およびスズ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。縮合触媒として、例えば、ジルコニウム化合物またはハフニウム化合物と、スズ化合物との組み合わせが挙げられる。また金属化合物としては例えば、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属アルキル化合物が挙げられる。
【0037】
ジルコニウム化合物としては例えば下記式(I)で表されるジルコニウム金属塩が挙げられる。
【化2】


(式中、n=1〜3の整数であり、R1はそれぞれ炭素原子数1〜16の炭化水素基であり、R2はそれぞれ炭素原子数1〜18の炭化水素基である。)
式(I)においてnが2以上である場合複数のR1は同じでも異なっていてもよい。また、nが1〜2である場合複数のR2は同じでも異なっていてもよい。
式(I)で表されるジルコニウム金属塩において、R1としての炭化水素基はその炭素原子数が1〜16である。R1において炭素原子数は、耐硫化性により優れ、透明性、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、相溶性(例えば硬化性シリコーン樹脂に対する相溶性)に優れるという観点から、3〜16であるのが好ましく、4〜16であるのがより好ましい。
1における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
1は、透明性、耐硫化性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、相溶性に優れるという観点から、環状構造を有するのが好ましい。R1が有することができる環状構造としては、例えば、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。R1は環状構造のほかに例えば脂肪族炭化水素基を有することができる。また、R1における炭化水素基は、耐熱着色安定性、薄膜硬化性により優れ、相溶性に優れるという観点から、脂環式炭化水素基、脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。
【0038】
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基のようなシクロアルキル基;ナフテン環(ナフテン酸由来のシクロパラフィン環);アダマンチル基、ノルボルニル基のような縮合環系炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレンが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基が挙げられる。
なかでも透明性、耐硫化性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、相溶性に優れるという観点から、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環(R1COO−としてのナフテート基)、フェニル基がより好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環がさらに好ましい。
【0039】
本発明において、R2としての炭化水素基はその炭素原子数が1〜18である。R2において炭素原子数は、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、相溶性に優れるという観点から、3〜8であるのが好ましい。
2における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。R2における炭化水素基は、耐硫化性により優れ、透明性、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、相溶性に優れるという観点から、脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。
【0040】
脂肪族炭化水素基を有するR2O−(アルコキシ基)としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n−プロポキシ基、イソプロポキシ基)、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基が挙げられる。
なかでも透明性、耐硫化性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、相溶性に優れるという観点から、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n−プロポキシ基、イソプロポキシ基)、ブトキシ基、ペンチルオキシ基であるのが好ましい。
なかでも、耐硫化性により優れ、透明性、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、加熱減量をより抑制することができ、相溶性に優れるという観点から、ジルコニウムトリブトキシモノナフテート、ジルコニウムトリブトキシモノイソブチレート、ジルコニウムトリブトキシモノ2エチルヘキサノエートが好ましい。
ジルコニウム化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
ジルコニウム化合物の製造方法としては、例えば、Zr(OR24[ジルコニウムテトラアルコキシド。R2はそれぞれ炭素原子数1〜18の炭化水素基である。R2は式(I)におけるR2と同義である。]1モルに対して、R1−COOHで表されるカルボン酸[R1はそれぞれ炭素原子数1〜16の炭化水素基である。R1は式(I)におけるR1と同義である。]1モル以上4モル未満を用いて、窒素雰囲気下、20〜80℃の条件下で攪拌することによって製造することができる。
また、Zrアルコラートとカルボン酸の反応についてはD.C.Bradley著「Metal alkoxide」Academic Press(1978)を参考とすることができる。
【0042】
ジルコニウム化合物を製造するために使用することができるZr(OR24としては、例えば、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシドが挙げられる。
【0043】
ジルコニウム化合物を製造するために使用することができるカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソブタン酸、オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ラウリン酸のような脂肪族カルボン酸;ナフテン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキシルカルボン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、アダマンタンカルボン酸、ノルボルナンカルボン酸のような脂環式カルボン酸;安息香酸のような芳香族カルボン酸が挙げられる。
【0044】
縮合触媒としてのハフニウム化合物は、ハフニウム原子および有機基を有する化合物であれば特に制限されない。ハフニウム化合物としては、例えば、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
【化3】


[式(I)中、nは1〜4の整数であり、R1は炭化水素基であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基である。]
【化4】


[式(II)中、mは1〜4の整数であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基であり、R3、R4は同一のまたは異なる、炭素数1〜18の炭化水素基またはアルコキシ基である。]
【0045】
式(I)で表されるハフニウム化合物について以下に説明する。
【化5】


[式(I)中、nは1〜4の整数であり、R1は炭化水素基であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基である。]
【0046】
1における炭化水素基としては例えば炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基(アルキル基;アリル基のような不飽和脂肪族炭化水素基を含む。)、脂環式炭化水素基、アリール基(芳香族炭化水素基)、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
1における炭化水素基は、耐硫化性により優れるという観点から、環状構造を有するのが好ましく、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせであるのがより好ましい。R1は環状構造のほかに例えば脂肪族炭化水素基を有することができる。
【0047】
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基のようなシクロアルキル基;ナフテン環(ナフテン酸由来のシクロパラフィン環);アダマンチル基、ノルボルニル基のような縮合環系炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレンが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基が挙げられる。
なかでも、耐硫化性により優れるという観点から、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ナフテン環、アダマンチル基、ノルボルニル基、フェニル基、ナフチル基およびアズレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であるがより好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環(R1COO−としてのナフテート基)、フェニル基がさらに好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環が特に好ましい。
【0048】
式(I)においてR2は炭素数1〜18のアルキル基である。R2において炭素原子数は、耐硫化性により優れるという観点から、3〜8であるのが好ましい。
【0049】
2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基が挙げられる。
なかでも、耐硫化性により優れるという観点から、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基、ペンチル基が好ましい。
【0050】
環状構造として脂環式炭化水素基を有するハフニウム化合物としては、例えば、ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)シクロプロパンカルボキシレート、ハフニウムテトラシクロプロパンカルボキシレート、
ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)シクロペンタンカルボキシレート、ハフニウムテトラシクロペンタンカルボキシレート、
ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)シクロヘキサンカルボキシレート、ハフニウムテトラシクロヘキサンカルボキシレート、
ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)アダマンタンカルボキシレート、ハフニウムテトラアダマンタンカルボキシレート、
ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)ナフテート、ハフニウムテトラナフテートが挙げられる。
【0051】
環状構造として芳香族炭化水素基を有するハフニウム化合物としては、例えば、
ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)ベンゼンカルボキシレート、ハフニウムテトラベンゼンカルボキシレートが挙げられる。
【0052】
脂肪族炭化水素基を有するハフニウム化合物としては、例えば、
ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)ブチレート、ハフニウムテトラブチレート、
ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)2エチルヘキサノエート、ハフニウムテトラ2エチルヘキサノエート、
ハフニウムアルコキシ(モノ〜トリ)ネオデカネート、ハフニウムテトラネオデカネートが挙げられる。
なお本願明細書において「(モノ〜トリ)」は、モノ、ジおよびトリのうちのいずれかであることを意味する。
【0053】
式(II)で表されるハフニウム化合物について以下に説明する。
【化6】


[式(II)中、mは1〜4の整数であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基であり、R3、R4は同一のまたは異なる、炭素数1〜18の炭化水素基またはアルコキシ基である。]
炭素数1〜18のアルキル基は式(I)におけるR2(炭素数1〜18のアルキル基)と同義である。
炭素数1〜18の炭化水素基は式(I)におけるR1(炭化水素基)の炭素数が1〜18であるものと同様である。
アルコキシ基としては例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基のような炭素数1〜18のものが挙げられる。
3、R4は、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のようなハロゲンを有してもよい。
なお式(II)においてR3、R4は入れ替わってもよい。
【0054】
式(II)で表されるハフニウム化合物としては例えば、
ハフニウムアルコキサイド(モノ〜トリ)2,4−ペンタジオネート、ハフニウム−2,4−ペンタジオネート、ハフニウムアルキルペンタジオネート、ハフニウムフルオロペンタジオネートが挙げられる。
【0055】
縮合触媒としてのスズ化合物は特に制限されない。例えば4価のスズ化合物が挙げられる。4価のスズ化合物としては、例えば、少なくとも1個のアルキル基と少なくとも1個のアシル基とを有する4価のスズ化合物が挙げられる。スズ化合物はアシル基をエステル結合として有することができる。
【0056】
4価のスズ化合物としては、例えば、式(II)で表されるもの、式(II)で表されるもののビス型、ポリマー型が挙げられる。
3a−Sn−[O−CO−R44-a (II)
式中、R3はアルキル基であり、R4は炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。
【0057】
アルキル基は炭素原子数1以上のものが挙げられ、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基が挙げられる。
炭化水素基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基、2−エチルペンチル基のような脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
【0058】
スズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズマレエートのようなジアルキルスズ化合物[上記式(II)で表され、aが2であるもの]);ジブチルスズオキシアセテートジブチスズオキシオクチレート、ジブチルスズオキシラウレートジブチルスズビスメチルマレート、ジブチルスズオキシオレエートのようなジアルキルスズの2量体;またはジブチルスズマレートポリマー、ジオクチルスズマレートポリマー;モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)[上記式(II)で表されaが1であるもの]が挙げられる。
なかでも、耐硫化性により優れ、透明性、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れるという観点から、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオレエート、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズオキシアセテートジブチルスズオキシオクチレート、ジブチルスズオキシラウレート、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)が好ましい。
縮合触媒はその製造について特に制限されない。縮合触媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
縮合触媒の量は、耐硫化性により優れ、透明性、密閉系内における硬化性、接着性、耐熱着色安定性、および透明性と接着強度とのバランスにより優れ、表面硬化性に優れるという観点から、オルガノシロキサン(シリコーン樹脂組成物がさらにシラン化合物を含有する場合オルガノシロキサンとシラン化合物の合計)100質量部に対して、0.001〜1質量部であるのが好ましく、0.01〜1質量部であるのがより好ましい。
【0060】
ジルコニウム化合物またはハフニウム化合物とスズ化合物を併用する場合、スズ化合物の量は、透明性、耐硫化性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、加熱減量を抑制することができるという観点から、ジルコニウム化合物またはハフニウム化合物1モルに対して、0.1モル以上4モル未満であるのが好ましく、0.5〜1.5モルであるのがより好ましい。
【0061】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)は、上記の成分以外に、本発明の目的や効果を損なわない範囲で必要に応じてさらに添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、ラジカル開始剤(熱ラジカル開始剤、光ラジカル開始剤を含む。)、ニッケル、銅およびガリウム以外の金属化合物、無機フィラー、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、熱光安定剤、分散剤、帯電防止剤、重合禁止剤、消泡剤、硬化促進剤、溶剤、蛍光物質(無機物、有機物を含む。)、老化防止剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン老化防止剤、増粘剤、可塑剤、放射線遮断剤、核剤、カップリング剤、導電性付与剤、リン系過酸化物分解剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤が挙げられる。各種添加剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0062】
無機蛍光物質としては、例えば、LEDに広く利用されている、イットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系蛍光体、ZnS系蛍光体、Y22S系蛍光体、赤色発光蛍光体、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体が挙げられる。
【0063】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)は、その製造について特に制限されない。例えば、オルガノシロキサンと金属化合物と必要に応じて使用することができる、硬化剤、添加剤とを混合することによって製造することができる。
シリコーン樹脂組成物は、1液型または2液型として製造することが可能である。
【0064】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)を適用することができる被着体としては、例えば、金属(例えば、第11族の金属)、ガラス、プラスチック、ゴム、半導体(例えば、半導体発光素子)が挙げられる。シリコーン樹脂組成物から得られるシリコーン樹脂層は被着体と接着することができる。
第11族の金属は、銅、銀および金からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【0065】
本発明の金属層の腐食防止方法において、第11族の金属から得られる金属層をシリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)から得られるシリコーン樹脂層で覆う。
本発明の金属層の腐食防止方法によって、第11族の金属から得られる金属層をシリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)から得られるシリコーン樹脂層で覆ったものは、本願明細書に記載の積層体と同じである。
以下、本発明の金属層の腐食防止方法を説明することによって、本願明細書に記載の積層体、その製造方法;シリコーン樹脂組成物の1用途と考えられる、本願明細書に記載の半導体発光装置、その製造方法を説明するものとする。
【0066】
本発明の金属層の腐食防止方法において、シリコーン樹脂層は金属層を直接覆ってもよい。また、シリコーン樹脂層と金属層との間に例えば別の透明な層(例えば、樹脂層、ガラス層、空気層)や半導体発光素子を有してもよい。
本発明の金属層の腐食防止方法において、金属層をシリコーン樹脂層で覆う方法は特に制限されない。例えば、金属層にシリコーン樹脂組成物を付与し、シリコーン樹脂組成物が付与された金属層を加熱および/または光照射をしてシリコーン樹脂組成物を硬化させてシリコーン樹脂層とし、積層体(本願明細書に記載の積層体)を得る方法が挙げられる。
【0067】
本発明の金属層の腐食防止方法(本願明細書に記載の積層体、本願明細書に記載の半導体発光装置)において、シリコーン樹脂組成物を金属層に付与する方法は特に制限されない。例えば、ディスペンサーを使用する方法、ポッティング法、スクリーン印刷、トランスファー成形、インジェクション成形が挙げられる。
【0068】
本発明の金属層の腐食防止方法(本願明細書に記載の積層体、本願明細書に記載の半導体発光装置)において、シリコーン樹脂組成物を加熱する際の温度は、硬化性(例えば、密閉系内における硬化性)、接着性、耐熱着色安定性、および透明性と接着強度とのバランスに優れ、硬化時間、可使時間を適切な長さとすることができ、縮合反応による副生成物であるアルコールが発泡するのをより抑制でき、硬化物のクラックを抑制でき、硬化物の平滑性、成形性、物性に優れるという観点から、80℃〜150℃付近で硬化させるのが好ましく、150℃付近がより好ましい。
【0069】
本発明の金属層の腐食防止方法(本願明細書に記載の積層体、本願明細書に記載の半導体発光装置)において、シリコーン樹脂組成物を光照射で硬化させる場合用いる光は特に制限されない。例えば、紫外線、電子線が挙げられる。
【0070】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)を硬化させて得られる硬化物は耐硫化性を有する。
本発明において、分光反射率維持率による耐硫化性は以下のように評価された。まず、シリコーン樹脂組成物を銀メッキの上に厚さ1mm程度になるよう塗布し十分に硬化させ、硬化サンプルとする。つぎに、10Lのデシケーターの底に粉状に粉砕した硫化鉄を10g程度(塩酸0.5mmolに対して大過剰))を置き、この硫化鉄の上方に、硫化鉄に接触しないように目皿(貫通孔を有する)をデシケーター内に取り付け、この目皿の上に硬化サンプルを置き、大過剰の硫化鉄に0.5mmolの塩酸を滴下することにより、0.25mmolの硫化水素(濃度:約500ppm)を発生させる耐硫化試験を行う(反応式:FeS+2HCl→FeCl2+H2S)。
耐硫化試験前および耐硫化試験後(硫化水素発生から24時間後)の硬化サンプルについて、分光反射率計、ウシオ電機社製のURE−30を用いて、475nmにおける分光反射率を測定する。耐硫化試験前および耐硫化試験後の測定に際し、硬化サンプルからシリコーン樹脂層をはがし残った金属層(銀メッキ)を用いてその分光反射率を測定した。
耐硫化試験前および耐硫化試験後の分光反射率を下記式に当てはめて分光反射率維持率を算出した。
分光反射率維持率
=(耐硫化試験後の分光反射率/耐硫化試験前の分光反射率)×100
分光反射率維持率は80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。
【0071】
また、本発明における耐硫化性の評価として、上記の耐硫化性試験において硫化水素の発生から24時間後に目視により硬化サンプルにおける銀の変色を確認する評価を行った。硫化水素の発生から24時間後に変色が確認されないのが好ましい。
【0072】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)を用いて得られる硬化物[シリコーン樹脂層、封止材](硬化物の厚さが2mmである場合)は、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視吸収スペクトル測定装置(島津製作所社製、以下同様。)を用いて波長400nmにおいて測定された透過率が、80%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
【0073】
また、シリコーン樹脂組成物を用いて得られる硬化物[シリコーン樹脂層、封止材]は、初期硬化の後耐熱試験[初期硬化後の硬化物(厚さ:2mm)を100℃の条件下に500時間置く試験]を行いその後の硬化物について、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視スペクトル測定装置を用いて波長400nmにおいて測定された透過率が、80%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
【0074】
シリコーン樹脂組成物を用いて得られる硬化物[シリコーン樹脂層、封止材]は、その透過性保持率(耐熱試験後の透過率/初期硬化の際の透過率×100)が、70〜100%であるのが好ましく、80〜100%であるのがより好ましい。
【0075】
シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)は、例えば、接着剤、プライマー、封止材(例えば、半導体発光装置用)として使用することができる。シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)を適用することができる半導体発光素子としては、例えば、発光ダイオード(LED)、有機電界発光素子(有機EL)、レーザーダイオード、LEDアレイが挙げられる。LEDチップの種類としては、例えば、ハイパワーLED、高輝度LED、汎用輝度LEDが挙げられる。
また、シリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)は、例えば、ディスプレイ材料、光記録媒体材料、光学機器材料、光部品材料、光ファイバー材料、光・電子機能有機材料、半導体集積回路周辺材料等の用途に用いることができる。
【0076】
積層体について以下に説明する。
本願明細書に記載の積層体は、
第11族の金属から得られる金属層と、
(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサン100質量部と、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有するシリコーン樹脂組成物から得られるシリコーン樹脂層とを有し、耐硫化性を有する積層体である。
【0077】
本願明細書に記載の積層体に使用されるシリコーン樹脂組成物は本発明の金属層の腐食防止方法に使用されるシリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)と同じである。
本願明細書に記載の積層体に使用される金属層は本発明の金属層の腐食防止方法に使用される金属層と同じである。
本願明細書に記載の積層体は、金属層とシリコーン樹脂層との間に半導体発光素子を有するのが態様の1つとして挙げられる。半導体発光素子は特に制限されない。例えば、上記と同義のものが挙げられる。
【0078】
本願明細書に記載の積層体について添付の図面を用いて以下に説明する。なお本発明は添付の図面に制限されない。
図1は、本発明における積層体の一例を模式的に示す断面図である。図1において、積層体100は金属層120とシリコーン樹脂層102とを有する。
【0079】
図2は、本発明における積層体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図2において、積層体200は金属層220と半導体発光素子203とシリコーン樹脂層202とを有する。積層体200は半導体発光素子203とシリコーン樹脂層202との間にさらに透明な層(図示せず。)を有することができる。透明な層としては、例えば、樹脂層、ガラス層、空気層が挙げられる。
【0080】
半導体発光装置について以下に説明する。
本願明細書に記載の半導体発光装置は、
半導体発光素子と、凹部を有する枠体と、封止材とを有し、
前記半導体発光素子は前記凹部の底部に配置され、
前記枠体は前記凹部の側面および/または底面に第11族の金属から得られるリフレクタを備え、
前記封止材は前記半導体発光素子および前記リフレクタを封止し、
前記封止材が、(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサンと、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有するシリコーン樹脂組成物から得られ、
耐硫化性を有する半導体発光装置である。
【0081】
本願明細書に記載の半導体発光装置に使用されるシリコーン樹脂組成物は本発明の金属層の腐食防止方法に使用されるシリコーン樹脂組成物(本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物)と同じである。
本願明細書に記載の半導体発光装置に使用されるリフレクタは本発明の金属層の腐食防止方法に使用される金属層とその材質が同じである。
【0082】
本願明細書に記載の半導体発光装置について添付の図面を用いて以下に説明する。
図3は、本発明における半導体発光装置の一例を模式的に示す断面図である。
図3において、半導体発光装置300は、半導体発光素子303と、凹部302を有する枠体304と、封止材308とを有し、半導体発光素子303は凹部302の底部(図示せず。)に配置され、枠体304は凹部302の側面および/または底面(図示せず。)に第11族の金属から得られるリフレクタ320を備え、封止材308は半導体発光素子303およびリフレクタ320を封止する。
封止材308は、本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物を硬化させたものである。凹部302において斜線部306まで本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物で充填してもよい。または符号308の部分を他の透明な層とし斜線部306を本願明細書に記載の半導体発光装置が有する封止材とすることができる。封止材は蛍光物質等を含有することができる。
半導体発光装置は1個当たり、1個のまたは複数の半導体発光素子を有することができる。半導体発光素子は発光層(マウント部材と接する面の反対面)を上にして枠体内に配置すればよい。
半導体発光素子303は、枠体304と基板310とから形成される、凹部302の底部(図示せず。)に配置され、マウント部材301で固定されている。
枠体304が有する端部312、314が一体的に結合し、リフレクタが側面および底部を形成してもよい。この場合リフレクタの底部の上に半導体発光素子を配置することができる。
リフレクタ320は凹部302の底部(図示せず。)から遠ざかるほど断面寸法が大きくなる、テーパ状の開口端(図示せず。)を有するものとすることができる。
マウント部材としては例えば銀ペースト、樹脂が挙げられる。半導体発光素子303の各電極(図示せず。)と外部電極309とは導電性ワイヤー307によってワイヤーボンディングされている。
【0083】
半導体発光装置300は、凹部302を封止材308、306または302(部分308と部分306とを合わせた部分)で封止することができる。
半導体発光装置をこのように封止することによって、耐硫化性を高めリフレクタ(金属層、特に銀メッキ層)の腐食(例えば、変色。具体的には銀の変色)を抑制することができ、半導体発光装置の輝度や透明性を低下させることがない。
また、凹部を封止材で封止することによって、封止材は低硬度で硬化収縮が小さいため、封止材が硬化収縮によって凹部からのハガレたり、ワイヤーを断線するのを抑制することができる。
【0084】
図4は、本発明における半導体発光装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
図4において、半導体発光装置400は図3に示す半導体発光装置300の上にレンズ401を有する。レンズ401は本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物を用いて形成されてもよい。
【0085】
図5は、本発明における半導体発光装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
図5において、半導体発光装置500は、半導体発光素子503と、凹部(図示せず。)を有する枠体(図示せず。)を含む基板510と、封止材502とを有し、半導体発光素子503は凹部の底部(図示せず。)に配置され、枠体は凹部の側面(図示せず。)に第11族の金属から得られるリフレクタ520を備え、封止材502は半導体発光素子503およびリフレクタ520を封止し、ランプ機能を有する樹脂506の内部に基板510、インナーリード505を有し、封止材502が上述のシリコーン樹脂組成物から得られ、耐硫化性を有する半導体発光装置である。
図5において、枠体(図示せず。)と基板510とを一体に形成することができる。
リフレクタ520は凹部の側面および底部(図示せず。)とを一体的に形成されていてもよい。
半導体発光素子503は、基板510上にマウント部材501で固定されている。マウント部材としては、例えば、銀ペースト、樹脂が挙げられる。
半導体発光素子503の各電極(図示せず。)は導電性ワイヤー507によってワイヤーボンディングさせている。
樹脂506を本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0086】
本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物および/または本願明細書に記載の半導体発光装置をLED表示器に利用する場合について添付の図面を用いて説明する。
【0087】
図6は、本発明におけるシリコーン樹脂組成物および/または本発明におけるシリコーン樹脂組成物の1用途と考えられる半導体発光装置を用いたLED表示器の一例を模式的に示す図である。
図6において、LED表示器600は、半導体発光装置601を筐体604の内部にマトリックス状に配置し、半導体発光装置601を封止材606で封止し、筐体604の一部に遮光部材605を配置して構成されている。本願明細書に記載のシリコーン樹脂組成物を封止材606に使用することができる。また、半導体発光装置601として本願明細書に記載の半導体発光装置を使用することができる。
【0088】
本願明細書に記載の半導体発光装置の用途としては、例えば、自動車用ランプ(ヘッドランプ、テールランプ、方向ランプ等)、家庭用照明器具、工業用照明器具、舞台用照明器具、ディスプレイ、信号、プロジェクターが挙げられる。
【実施例】
【0089】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
1.オルガノシロキサンの製造
1.1.オルガノシロキサン2
500mLの3つ口フラスコに攪拌機とリフラックスコンデンサーを備え付け両末端にシラノール基を有するポリシロキサン(ポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオール、重量平均分子量49,000、商品名ss10、信越化学工業社製。以下同様。)を100重量部、テトラメトキシシランを10重量部、および酢酸を0.1重量部添加し窒素雰囲気下で100℃の条件下で6時間反応させた。1H−NMR分析によりss10が有するシラノール基の消失を確認した。得られたオルガノシロキサンをオルガノシロキサン2とした。オルガノシロキサン2の主たる構造は以下の式で示される。オルガノシロキサン2の重量平均分子量(クロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で表わされる重量平均分子量。以下同様。)は55,000だった。
【化7】

【0090】
1.2.オルガノシロキサン3
500mLの3つ口フラスコに攪拌機とリフラックスコンデンサーを備え付け両末端にシラノール基を有するポリシロキサン(ss10)を100重量部、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(KC−89、信越化学工業社製)を10重量部、および酢酸を0.1重量部添加し窒素雰囲気下で140℃の条件下で15時間反応させた。1H−NMR分析によりss10が有するシラノール基の消失を確認した。得られたオルガノシロキサンをオルガノシロキサン3とした。オルガノシロキサン3の主たる構造は以下の式で示される。オルガノシロキサン3の重量平均分子量は60,000だった。
【化8】

【0091】
1.3.オルガノシロキサン6
両端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(重量平均分子量28,000、商品名ss70、信越化学工業社製)100質量部、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM503、信越化学工業社製)4質量部、および触媒として2−エチルへキサン酸スズ(関東化学社製)0.01質量部を反応容器に入れ、圧力を10mmHg、温度を80℃に保ちながら6時間反応させた。
得られた反応物について1H−NMR分析を行い、ポリジメチルシロキサンの両末端がメタクリルオキシプロピルジメトキシシリル基であることを確認した。
得られた、両末端にメタクリルオキシプロピルジメトキシシリル基を有するポリジメチルシロキサンを(A)オルガノシロキサン6(M−ss70)とする。
(A)オルガノシロキサン6の重量平均分子量は35,000であった。
【0092】
2.耐硫化性の評価1
以下に示す方法で耐硫化性(分光反射率維持率、耐硫化性1)を評価した。結果を第1表〜第3表に示す。
2.1.硬化サンプルの作製:銀メッキ上に下記のとおり製造したシリコーン樹脂組成物を厚さ1mm程度になるよう塗布し、シリコーン樹脂組成物を以下の硬化条件で硬化させて、硬化サンプルを作製した。
【0093】
2.2.硬化条件
・シリコーン組成物が縮合触媒1を含有する場合:150℃の条件下で24時間加熱
・シリコーン組成物が縮合触媒2を含有する場合:150℃の条件下で24時間加熱
・シリコーン組成物が付加型硬化触媒を含有する場合:150℃の条件下で6時間加熱
・シリコーン組成物がラジカル開始剤1を含有する場合:150℃の条件下で3時間加熱
・シリコーン組成物がラジカル開始剤2を含有する場合:高圧水銀灯照射条件下で積算光量8,000mJ/cm2照射
・シリコーン組成物がカチオン重合開始剤を含有する場合:150℃の条件下で3時間加熱
【0094】
2.3.耐硫化性試験:10Lのデシケーターの底に粉状に粉砕した硫化鉄を10g程度(塩酸0.5mmolに対して大過剰))を置き、この硫化鉄の上方に、硫化鉄に接触しないように目皿(貫通孔を有する)をデシケーター内に取り付け、この目皿の上に硬化サンプルを置いた。次に、大過剰の硫化鉄に0.5mmolの塩酸を滴下することにより、0.25mmolの硫化水素(濃度:約500ppm)を発生させた(反応式:FeS+2HCl→FeCl2+H2S)。
【0095】
2.4.分光反射率維持率:耐硫化性を分光反射率維持率にて評価した。分光反射率計、ウシオ電機社製のURE−30を用いて、耐硫化試験前および耐硫化試験後(硫化水素の発生から24時間後)の硬化サンプルについて、475nmにおける分光反射率を測定した。耐硫化試験前および耐硫化試験後の硬化サンプルの測定に際し、硬化サンプルからシリコーン樹脂層をはがし残った金属層(銀メッキ)を用いてその分光反射率を測定した。
耐硫化試験前および耐硫化試験後の分光反射率を下記式に当てはめて分光反射率維持率を算出した。
分光反射率維持率
=(耐硫化試験後の分光反射率/耐硫化試験前の分光反射率)×100
分光反射率維持率が80%以上の場合耐硫化性が優れるとして評価し、着色が確認されたものは「−」とした。
【0096】
2.5.耐硫化性1の評価基準:上記の耐硫化性試験において硫化水素の発生から24時間後に目視により硬化サンプルにおける銀の変色を確認した。
第1表において、目視により試験開始から24時間後に変色が確認されなかったものを「○」、目視により試験開始から24時間後に変色が確認されたものを「×」とした。
【0097】
3.シリコーン樹脂組成物の製造1
下記第1表から第3表に示す成分を同表に示す量(単位:質量部)で用い、これらを真空かくはん機で均一に混合してシリコーン樹脂組成物を製造した。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
【表3】

【0101】
第1表〜第3表に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
【表4】


・オルガノシロキサン1:ポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオール、重量平均分子量49,000、反応性官能基シラノール基、平均官能基数2個
・オルガノシロキサン2:重量平均分子量55,000、反応性官能基としてメトキシシリル基を有する、平均官能基数6個
・オルガノシロキサン3:重量平均分子量60,000、反応性官能基としてメトキシシリル基を有する、平均官能基数14個
・オルガノシロキサン4:両末端シラノールジメチルシリコーンオイル、重量平均分子量4,000、反応性官能基としてシラノール基を有する、平均官能基数2個
・オルガノシロキサン5:ビニル基を有するポリシロキサンとハイドロジェンシリル基を有するポシリロキサン混合物
・オルガノシロキサン6:両末端にメタクリルオキシプロピルジメトキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン、重量平均分子量35,000、反応性官能メタクリルオキシ基、平均官能基数2個
・オルガノシロキサン7:両末端エポキシ基含有ポリシロキサン、重量平均分子量5,400、反応性官能基としてエポキシ基を有する、平均官能基数2個
・オルガノシロキサン8:シリコーンアルコキシオリゴマー、反応性官能基アルコキシシリル基、平均官能基数0<n<2[RSi(OR′)(4−m−n)/2(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、R′は炭素数1〜6のアルキル基であり、mは0<m<2、nは、m+nは0<m+n≦3である)。重量平均分子量6,000。商品名x−40−9246、信越化学工業社製。
・縮合触媒1:縮合触媒1は詳細にはトリブトキシナフテン酸Zr(0.03質量部)とジブチルスズジアセテート(日東化成社製、0.02質量部)との混合物である。
・縮合触媒3:縮合触媒3はトリブトキシハフニウムナフテート(ナフテン酸とハフニウムラトラブトキシドの反応生成物、0.03質量部)とジブチルスズジアセテート(0.02質量部)との混合物である。
【0102】
トリブトキシナフテン酸Zrの製造は以下のとおりである。
87.5質量%濃度のジルコニウムテトラブトキシド(関東化学社製)11.4g(0.026mol)とナフテン酸(東京化成社製、カルボキシ基に結合する炭化水素基の炭素原子数の平均:15、中和価220mg、以下同様。)6.6g(0.026mol)とを三ツ口フラスコに投入し窒素雰囲気下、室温で2時間程度攪拌し目的合成物とした。
なお、ナフテン酸の中和価はナフテン酸1gを中和するのに必要なKOHの量である。
合成物の定性はフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いてその分析を行った。その結果、カルボン酸由来のCOOHに帰属される1700cm-1付近の吸収が反応後は消失し、1450〜1560cm-1付近のCOOZrに由来するピークを確認した。
トリブトキシナフテン酸Zrが有するナフテート基(R1COO−)中のR1の平均炭素原子数は15である。
【0103】
4.結果
第1表から第3表に示す結果から明らかなように、ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物を含有しない比較例1〜8の組成物を用いて得られたシリコーン樹脂層で覆われた、第11族の金属から得られる金属層は、変色してしまい耐硫化性が低かった。また、ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物を含有せず代わりにホウ素化合物、マグネシウム化合物またはアルミニウム化合物を含有する比較例9〜11の組成物を用いて得られたシリコーン樹脂層で覆われた、第11族の金属から得られる金属層は、変色してしまい耐硫化性が低かった。
これに対して、実施例(Ni)1〜4、実施例(Cu)1〜6、実施例(Ga)1〜4の組成物を用いて得られたシリコーン樹脂層で覆われた、第11族の金属から得られる金属層は、変色がなく耐硫化性が高い。
また、実施例(Ni)1〜4、実施例(Cu)1〜6、実施例(Ga)1〜4の組成物を用いて得られたシリコーン樹脂層にはクラックの発生はなかった。
【0104】
5.耐硫化性の評価2
下記に示すシリコーン樹脂組成物の製造2で得られた組成物を用いて、以下に示す方法で耐硫化性を評価した。結果を第5表、添付の図面(図7)に示す。なお第5表において以下の方法で評価された耐硫化性を耐硫化性2として示す。
5.1.硬化サンプルの作製:銀メッキ上に下記のとおり製造したシリコーン樹脂組成物を厚さ1mm程度になるよう塗布し、シリコーン樹脂組成物を以下の硬化条件で硬化させて、硬化サンプルを作製した。
【0105】
5.2.硬化条件
得られた組成物(付加型硬化触媒を含有する)を150℃の条件下で6時間加熱し硬化させた。
【0106】
5.3.耐硫化性試験:上述と同様にして耐硫化性試験を行った。
5.4.耐硫化性2の評価:耐硫化性試験において硫化水素の発生から24時間後の硬化サンプルにおける銀の変色を確認した。添付の図面(図7)に、硫化水素の発生から24時間後の各硬化サンプルの様子を写真データとして示す。耐硫化性2の評価において硬化サンプルはシリコーン樹脂層をはがさない状態で写真が撮影された。なお図7(I)については部分的にシリコーン樹脂層を硬化サンプルからはがし写真を撮影した。
【0107】
6.シリコーン樹脂組成物の製造2
下記第5表に示す成分を同表に示す量(単位:質量部)で用い、これらを真空かくはん機で均一に混合してシリコーン樹脂組成物を製造した。
【0108】
【表5】


【0109】
第5表に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・(A)オルガノシロキサン5:第1表の(A)オルガノシロキサン5と同様
・Cu化合物1:第2表のCu化合物1と同様
・Ga化合物1:第3表のGa化合物1と同様
・ホウ素化合物1:第1表のホウ素化合物1と同様
・Ti化合物1:テトラアセチルアセトナートチタン
・Zr化合物1:テトラ2エチルヘキサノーエートジルコニウム
・Co化合物1:トリアセチルアセトナートコバルト
・Fe化合物1:トリアセチルアセトナート鉄
・触媒1:付加型硬化触媒、商品名CAT−RG、信越化学工業社製
【0110】
7.結果
図7は耐硫化性2の評価結果を示す写真データである。
図7(A)〜(H)は樹脂層を上にして撮影された硬化サンプル全体の写真である。図7(A)〜(H)において樹脂層は銀メッキ層の上に重なっている。
図7(I)は、図7(F)で撮影された硬化サンプルにおいて、硬化サンプルから樹脂層を部分的にはがし、樹脂層が剥離された銀メッキ層の表面(写真中、上半分を占める白い部分)と剥離した樹脂層の裏面(写真中の下半分)を撮影した写真である。図7(I)において、硬化サンプル10から樹脂層14が剥離された銀メッキ層の表面12(写真中、上半分を占める部分)は白く、銀の変色はなかった。
図7に示す結果から明らかなように、ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物を含有せず代わりに、無添加、ホウ素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、鉄化合物を含有する比較例12〜17[図7(A)〜(D)、(G)、(H)]は、銀の変色が観察された。
これに対して、実施例(Cu)−7は図7(I)に示す結果から明らかなように樹脂層が剥離された銀メッキ層の表面に変色はなく耐硫化性に優れる。実施例(Ga)−5は図7(E)の結果から明らかなように硬化サンプル全体において変色がなく、耐硫化性に優れる。
【0111】
このように、本発明の金属層の腐食防止方法によれば、金属層の腐食(例えば、変色)を抑制することができるので、金属層の腐食による例えば光反射性を経時的に維持して光源(例えば半導体発光装置)の輝度が低下するのを抑制することができる。また、本発明の金属層の腐食防止方法において得られるシリコーン樹脂層は透明性に優れ、例えば光源の輝度を低下させることがない。また、本発明の金属層の腐食防止方法において得られるシリコーン樹脂層は、硬さが適切でクラックが発生しにくく、例えば半導体発光装置内のワイヤ−等を断線させることがない。
本願明細書に記載の積層体、半導体発光装置、シリコーン樹脂組成物は、本発明の金属層の腐食防止方法と同様の効果を達成することができる。
【符号の説明】
【0112】
10 硬化サンプル
12 銀メッキ層の表面
14 樹脂層
100、200 積層体
102、202 シリコーン樹脂層
120、220 金属層
203 半導体発光素子
300、400、500 半導体発光装置
301、501 マウント部材
302、502 凹部、シリコーン樹脂層
303、503 半導体発光素子
304 枠体
306 斜線部(シリコーン樹脂層)
307、507 導電性ワイヤー
308 シリコーン樹脂層(その他の透明な層)
309 外部電極
312、314 端部
310、510 基板
320、520 リフレクタ
401 レンズ
506 樹脂
600 LED表示器
601 半導体発光装置
604 筐体
605 遮光部材
606 封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第11族の金属から得られる金属層を、(A)1分子中に反応性官能基を少なくとも1つ以上有するオルガノシロキサンと、(B)ニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を有する金属化合物とを含有するシリコーン樹脂組成物から得られるシリコーン樹脂層で覆い、前記金属層の腐食を防止する、金属層の腐食防止方法。
【請求項2】
前記金属化合物が、下記式(1)で表される金属カルボン酸塩または金属錯体および下記式(2)で表される金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の、金属層の腐食防止方法。
M(−O−CO−R1n (1)
[式(1)中、Mはニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mがニッケルまたはガリウムの場合nは3であり、Mが銅の場合nは2または3であり、R1がヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基である。]
M(R2COCHCOR3n (2)
[式(2)中、Mはニッケル、銅およびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mがニッケルまたはガリウムの場合nは3であり、Mが銅の場合nは2または3であり、R2、R3は同一または異なる、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基である。]
【請求項3】
前記金属化合物の量が、前記オルガノシロキサン100質量部に対して、0.01〜5質量部である請求項1または2に記載の金属層の腐食防止方法。
【請求項4】
前記反応性官能基が、シラノール基、アルコキシシリル基、ビニル基、ヒドロシリル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ポリエーテル基、カルボキシル基、カルビノール基、アミノ基、メルカプト基およびフェノール基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の金属層の腐食防止方法。
【請求項5】
前記第11族の金属が、銅、銀および金からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の、金属層の腐食防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−52203(P2012−52203A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196951(P2010−196951)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】