説明

金属部材の接合方法

【課題】安価な方法で、低温かつ固相状態で金属同士を接合する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも一方に錫を含む金属部材同士の表面を、蟻酸またはクエン酸溶液中において煮沸あるいは蟻酸またはクエン酸蒸気に暴露するステップと、この煮沸又は暴露された金属部材の表面同士をつき合わせ、加熱及び加圧するステップと、を含む接合方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材同士を接合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術が進歩していく中で、半導体素子を有機的に結びつけ、システム化する接合技術の重要性はますます高まっている。例えば、素子の高速・高性能化のためには低誘電率絶縁材料(Low-k材料)を層間膜に適用するのが好ましいが、低誘電率材料は機械的に脆弱であるため、強固な接合を行うことが必要とされている。
また、薄く高層な配線基板の開発や小型軽量化の追及により接続部の微細化が進展するにつれ、接合の際には、負荷を極力与えないようにすることが求められており、余計な力を加えない低応力な接合技術の開発が加速している。
【0003】
その一方で、近年、実装面積の低減、実装高さの抑制、伝送経路短縮といった高密度実装を実現する接合方法として、チップ電極と基板電極を対向させて直接接続させるフリップチップ接合が注目されている。
フリップチップ接合は、図16に示すように、例えばロジックIC等の電子部品54の下面に設けられたチップ電極51と、実装基板52上の基板電極53とを向かい合わせて直接接続させる。また、この際には、例えばはんだバンプ等の接続部55を介してチップ電極51と基板電極53を接続する。
【0004】
このフリップチップ接合の方法には、例えば熱圧着や超音波接合、樹脂接合、はんだ接合等がある。
例えば、チップ部品の各種電極基板や熱緩衝板との大面積接合では、真空中または不活性雰囲気中で加圧・加熱する熱圧着の方法が採用される。
この熱圧着は、図17Aに示すように、実装基板62の電極と、実装基板62上に実装するロジックIC等の電子部品64の電極間に金属バンプ65等を形成・配置する。
そして例えば420℃程の熱を印加しながら、矢印A3に示す方向に圧力を加えることで、固相拡散による接合を行うものである。この方法では高い接合強度が得られることが特徴である。
【0005】
また、超音波接合は、チップ電極と基板電極の低温接続法の一つとして、近年のエレクトロニクス実装分野では主流となりつつある。これは、図17Bに示すように、実装基板72とロジックIC等の電子部品74とを金属バンプ75を介して接触させる。そして、電子部品74に対して垂直方向に加圧しながら、矢印A4、A5に示す超音波振動を加えることで固相拡散による接合を行う。
【0006】
接合面は、超音波振動により擦れ合い、酸化皮膜等が取り除かれて清浄な金属面が露出し、加圧による塑性変形により固相状態で接合される。この超音波接合では、例えば4秒程度と非常に短い時間での接合が可能であることが利点である。
【0007】
また、樹脂接合は、図17Cに示すように、例えばフィルム型の異方性樹脂導電膜85を基板82と電子部品84のバンプの間に挟んで加熱圧着し、樹脂に含まれる導電粒子により基板82と電子部品84とを電気的に接続する。
特に異方性を有する樹脂では、接着面に対して垂直方向に導通性、水平方向に絶縁性を得られるため、隣り合うバンプ同士がショートすることなく実装基板82と電子部品84とを接続することができる。
また、こうした樹脂接合では260℃程の加熱を行うものが多く、数十秒程度と比較的短時間での接合を行うことが可能である。
【0008】
また、従来より用いられてきたはんだ接合は、図17Dに示すように、母材よりも融点の低いはんだバンプ95を実装基板92と電子部品94の電極間に配置、加熱することで液相拡散による接合を行う。はんだ接合では180〜240℃程度の加熱を行うのが一般的であり、各種チップ部品を同時に搭載することができる。
【0009】
一方、下記特許文献1では、少なくとも一方が銅からなる金属同士を固相接合する際に、酸化膜除去液によって金属表面の酸化膜を除去することが開示されている。この方法では、接合させる金属表面を酸化膜除去液に接触させ、この酸化膜除去液を付着させたまま表面を接触させ、加圧、加熱することで、300℃以下の温度及び4kg/mmの面圧での接合が可能になるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−334652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の樹脂接合では、例えば260℃程度の高い温度を必要とするため、電子部品や基板に与える負荷が大きい。他にも、樹脂による接着であるため接合強度が劣り、また、基板上に各種チップ部品を同時搭載することができないという問題がある。
【0012】
また、はんだ接合もやはり高い接合温度を必要とするため、搭載する電子部品等がダメージを受ける場合がある。
特に、図18に示すように、基板96上に形成したはんだバンプ98によって電子部品97を接合しようとすると、液相による接合であるために、はんだバンプ98が矢印A6,A7の方向に広がりやすい。このため、領域T1に示す箇所において隣り合うはんだバンプ98が接触し、ショートを引き起こしてしまう。
こうしたショートの可能性は、熱圧着や超音波振動のような固相接合においても、その高温、高荷重のために排除しきれてはいない。
【0013】
はんだペーストを用いたリフロー接続の方法もあるが、これも同様に、リフロー時に溶融したはんだが電極領域から外側へ流れ出すことにより、隣接電極間でのショートを発生させやすい。こうしたはんだの濡れ広がりは、非常に小さな電子部品配線の狭ピッチ化を妨げる大きな要因になっている。
さらには、電子部品と基板の熱膨張係数が異なるため、リフローしたはんだにより接続した接合部分には、せん断応力や歪が加わり、接続信頼性の低下を招く危険性を孕んでいる。
【0014】
また、比較的低温での接合が可能とされる固相拡散による接合においても、熱圧着では420℃と高い接合温度を必要とする場合もあり、チップや基板の湾曲による歪を発生させやすい。さらに、従来の工法では高圧力を例えば5分程度の長時間印加する必要があり、チップ部品へのダメージも大きい。
また、超音波接合は、低温接続法の一つとして用いられるものの、位置決め精度が悪く、接合界面は局所的に高温(数百℃)になる。また、基板の気相洗浄が必要となるためコストもかかり、さらには、超音波振動による素子へのダメージという懸念も存在する。
【0015】
固相拡散現象を利用した方法として、例えば他にも接合表面活性化接合等がある。この方法は、接合表面の酸化層、吸着層等をイオン衝撃等の物理的方法によって除去する。しかし、この接合法では、真空中で表面活性化処理から接合までを行わなければならず、適用制限があるうえに、装置が高額となり、コストも高くなる。
【0016】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、安価な方法で、低温かつ固相状態で金属同士を接合する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明による金属部材の接合方法は、少なくとも一方に錫を含む金属部材同士の表面を、蟻酸またはクエン酸溶液中において煮沸、あるいは蟻酸蒸気またはクエン酸蒸気に暴露するステップと、煮沸又は暴露されたこの金属部材の表面同士をつき合わせ、加熱及び加圧するステップと、を含む。
【0018】
本発明の金属部材の接合方法によれば、金属部材表面の酸化物を有効に除去することができる。またさらに、酸化物の除去された金属部材表面を、金属と蟻酸が反応した蟻酸化合物や、金属とクエン酸が反応したクエン酸化合物によって置換することができる。これにより、酸化物の除去された金属表面が再び酸化するのを抑制することもできる。
この金属部材表面に形成された蟻酸化合物や、クエン酸化合物は、接合の際には接合界面において凝集するため、接合させる金属部材が直接接触する真実接合面積を増大させることができる。
特に、この蟻酸化合物やクエン酸化合物は、通常金属表面に形成されている金属酸化物よりも低い温度で凝集する。このため、従来よりも低い温度で、大きい真実接合面積を確保することが可能となる。
また、固相拡散により接合が行われるため、従来のように隣り合うバンプ同士が接触してショートする危険性も排除することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来よりも低い温度で、より大きな真実接合面積を確保することができる。このため、従来よりも低い温度で金属部材の接合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による金属の接合方法の手順を示すフローチャートである。
【図2】Aは、本発明による金属の接合方法において、表面改質を行った金属部材同士を向かい合わせる様子を示す正面図であり、Bは、表面改質を行った金属部材同士をつき合わせ、加熱及び圧力を印加する様子を示す模式図である。
【図3】本発明及び従来の方法により錫ブロックと銅ブロックとを接合させた際の接合強度を示す説明図である。
【図4】本発明により接合を行った金属ブロックの破断面を示す拡大図である。A、C、Eは銅側破断面である。B、D、Fは錫側破断面である。
【図5】A、D、Gは、銅ブロック側破断面を電子顕微鏡により撮影した拡大写真図である。B、E、Hは、銅ブロック側破断面の銅の分布を分析した拡大写真図である。C、F、Iは、銅ブロック側破断面の錫の分布を分析した拡大写真図である。
【図6】従来の方法により接合を行った金属ブロックの破断面を示す拡大図である。A、C、Eは銅側破断面であり、B、D、Fは錫側破断面である。
【図7】A、D、Gは、図6の銅ブロック側破断面を電子顕微鏡により撮影した拡大写真図であり、B、E、Hは、銅ブロック側破断面の銅の分布を分析した拡大写真図である。C、F、Iは、銅ブロック側破断面の錫の分布を分析した拡大写真図である。。
【図8】本発明及び従来の方法により錫ブロックとニッケルブロックの接合を行った場合の接合強度を示す説明図である。
【図9】本発明により接合を行った金属ブロックの破断面を示す拡大写真図であり、A、C、E、Gは、ニッケル側破断面を示し、B、D、F、Hは錫側破断面を示す拡大写真図である。
【図10】従来の方法により接合を行った金属ブロックの破断面を示す拡大写真図であり、A、C、E、Gは、ニッケル側破断面を示し、B、D、F、Hは錫側破断面を示す拡大写真図である。
【図11】クエン酸により接合面の表面改質を行った場合の錫ブロックと銅ブロックの接合強度を示す説明図である。
【図12】クエン酸により接合面の表面改質を行った場合の錫ブロックとニッケルブロックの接合強度を示す説明図である。
【図13】Aは本発明により多層積層されたチップを示す模式図であり、Bは、本発明により実装基板上に表面実装されたICチップを示す概略斜視図である。
【図14】本発明により放熱銅板上に実装された電子部品を示す概略正面図である。
【図15】本発明により電子部品をパッケージする様子を示す概略斜視図である。
【図16】フリップチップ接合の様子を示す模式図である。
【図17】Aは、熱圧着による接合を示す模式図であり、Bは、超音波接合を示す模式図、Cは、樹脂接合を示す模式図、またDは、はんだ接合を示す模式図である。
【図18】隣り合うはんだバンプが接触し、ショートする様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0022】
1.実施の形態
図1は、本実施の形態例(以下「本例」と呼ぶ)による金属の接合方法の手順を示すフローチャートである。
本例の金属の接合方法は、まず接合させる金属部材を蟻酸又はクエン酸溶液中にて煮沸する(ステップS1)。または、蟻酸、クエン酸溶液中にて煮沸する代わりに、蟻酸蒸気又はクエン酸を含む蒸気に接合させたい金属部材表面を暴露させてもよい。なお、この時接合させる少なくとも一方の金属部材には錫が含まれているものとする。
【0023】
これにより、金属部材表面の酸化皮膜が除去されるとともに、錫を含む金属部材では、錫の酸化物が蟻酸化合物、クエン酸化合物によって置換される(ステップS2)。金属表面が蟻酸化合物やクエン酸化合物によって置換されることで、金属部材表面が再び酸化されることを防ぐこともできる。
【0024】
次に、蟻酸、クエン酸溶液又は蟻酸、クエン酸蒸気中から金属部材を大気中に取り出し、乾燥させる(ステップS3)。乾燥後は、金属部材表面に酸化膜が形成されないように、直ちに次のステップへと移るのが好ましい。
【0025】
次いで、蟻酸中にて煮沸又は蟻酸蒸気に暴露された金属端子等の金属部材表面同士をつき合わせ、加熱及び加圧する(ステップS4)。これにより、金属部材同士を固相拡散により接合する。
【0026】
すなわち、本例による接合方法では、図2Aに示すように、例えば基板2上の金属電極3と、電子部品4に設けられた錫を含む電極1を予め蟻酸によって表面改質しておく。
そして図2Bに示すように、電子部品4の電極1と基板2の電極3をつき合わせ、矢印A2に示す熱を加えながら矢印A1の方向に圧力を印加することで、電極1と電極3とを固相拡散により接合することができる。
【0027】
この手法は、熱圧着の方法に分類することができるが、従来の熱圧着法と比較しても非常に低い温度での接合が可能となる。本例による方法では、接合を阻害する酸化皮膜等の化学吸着層を除去または蟻酸化合物に置換することで金属表面を改質する。このため、従来よりも低い温度、荷重での接合が可能となる。
【0028】
2.実施例
以下に本発明による金属部材の接合方法の実施例について説明する。
[1]実施例1
電解研磨により接合面を平滑化した直方体の錫ブロックと、エメリー紙を用いて4000番まで接合面を機械研磨した銅ブロックとを沸騰した蟻酸(98%)中に浸漬し、10分間の煮沸を行った。
次に、蟻酸から錫ブロック及び銅ブロックを取り出して互いの表面をつき合わせ、接合温度が130℃の条件において7MPaの圧力を30分間印加することで錫ブロックと銅ブロックの接合を行った。
[2]実施例2
銅ブロックと錫ブロックの接合温度を140℃としたこと以外は、実施例1と同様にして接合を行った。
[3]実施例3
銅ブロックと錫ブロックの接合温度を150℃としたこと以外は、実施例1と同様にして接合を行った。
[4]実施例4
接合させる金属ブロックを錫ブロックとニッケルブロックとしたこと以外は、実施例1と同様にして接合を行った。
[5]実施例5
錫ブロックとニッケルブロックの接合温度を120℃としたこと以外は、実施例4と同様にして接合を行った。
[6]実施例6
錫ブロックとニッケルブロックの接合温度を140℃としたこと以外は、実施例4と同様にして接合を行った。
[7]実施例7
錫ブロックとニッケルブロックの接合温度を150℃としたこと以外は、実施例4と同様にして接合を行った。
[8]実施例8
蒸留水100mlに対し、クエン酸粉末を20g投入して溶解させた溶液を約100℃にて沸騰させた。そして、この沸騰溶液中に上述の実施例1と同様の錫ブロックと銅ブロックを浸漬し、5分間煮沸を行った。
煮沸後、蒸留水にて錫ブロックと銅ブロックを10秒間洗浄した後、接合面に残留する蒸留水をエアーブローによって除去、乾燥させた。
そして錫ブロック及び銅ブロックを取り出して互いの接合面をつき合わせ、接合温度が120℃から140℃までそれぞれ10℃刻みの温度条件において、それぞれ接合を行った。なお、接合時の圧力は7MPaの圧力を30分間印加した。
[9]実施例9
接合させる金属ブロックを錫ブロックとニッケルブロックとし、接合温度を140℃から170℃まで10℃刻みの温度にてそれぞれ接合を行ったこと以外は実施例8と同様にして接合を行った。
[10]比較例1
電解研磨により接合面を平滑化した直方体の錫ブロック及び銅ブロックをそのままつき合わせ、接合温度が160℃の条件において7MPaの圧力を30分間印加することで錫ブロックと銅ブロックの接合を行った。
[11]比較例2
錫ブロックと銅ブロックの接合温度を170℃としたこと以外は、比較例1と同様にして接合を行った。
[12]比較例3
錫ブロックと銅ブロックの接合温度を180℃としたこと以外は、比較例1と同様にして接合を行った。
[13]比較例4
錫ブロックと銅ブロックの接合温度を190℃としたこと以外は、比較例1と同様にして接合を行った。
[14]比較例5
接合させる金属ブロックを、錫ブロックとニッケルブロックとし、接合温度を180℃としたこと以外は、比較例1と同様にして接合を行った。
[15]比較例6
錫ブロックとニッケルブロックの接合温度を190℃としたこと以外は、比較例1と同様にして接合を行った。
[16]比較例7
錫ブロックとニッケルブロックの接合温度を200℃としたこと以外は、比較例1と同様にして接合を行った。
[17]比較例8
錫ブロックとニッケルブロックの接合温度を210℃としたこと以外は、比較例1と同様にして接合を行った。
[18]比較例9
錫ブロックとニッケルブロックの接合温度を220℃としたこと以外は、比較例1と同様にして接合を行った。
【0029】
3.評価結果
図3は、錫と銅の接合を行った実施例1〜3及び比較例1〜4の金属継手を引張試験機にかけ、接合強度と接合温度の関係を調べたものである。
なお、接合面に垂直方向を長手方向とし、この方向に引張試験を行った。引張試験にはインストロン型試験機を用いた。
横軸は接合温度であり、縦軸は継手強度比である。なお、継手強度比は、錫ブロックそのものの強度を100とした場合に対する接合界面の強度比である。
したがって、錫と銅の接合を行った金属ブロックが引張試験によって破断した時の引張強さをσ、錫ブロック単体が引張試験によって破断した時の引張強さをσとすると、継手強度比は(σ/σ)×100によって表すことができる。
【0030】
図3のシンボルaは、本発明により錫ブロックと銅ブロックを蟻酸により表面改質した実施例1〜3における継手強度比であり、シンボルbは錫ブロックと銅ブロック表面の改質なしに接合した比較例1〜4における継手強度比である。
【0031】
表面改質をしなかった場合、接合温度が160℃の時には錫ブロックと銅ブロックとが全く接合されなかったため、継手強度は零となっている。そして、接合温度が170℃において錫ブロックと銅ブロックが接合されたことが確認できる。
しかし、この温度では接合が不十分であり、引張荷重を大きくしていくと接合界面からの剥がれが生じたため、継手強度比は70強程度と低い値になっている。
【0032】
一方、接合温度が190℃においては、継手強度比が100となっている。これは、錫ブロックと銅ブロックの接合強度が錫ブロックそのものの強度を上まわる、もしくは同等となったため、破断が錫ブロック内において生じたからである。このため、錫と銅の接合を行った金属ブロックが引張試験によって破断した時の引張強さσは、錫ブロック単体が引張試験によって破断した時の引張強さσと等しくなり、継手強度比が100となる。したがって、この時の温度である190℃を、錫と銅が完全に接合される温度としてとらえることができる。
【0033】
これに対して、蟻酸によって表面処理を行った錫ブロックと銅ブロックを接合した場合には、接合温度が140℃において既に100近い値の継手強度比を得ることができている。
そして接合温度が150℃では、継手強度比が100となり、表面処理を行わなかった場合に比べ、より低い温度で高い接合強度が得られていることがわかる。
すなわち、蟻酸によって表面処理を行うことで、接合温度を190℃から150℃へと40℃大幅に下げることができる。
【0034】
ここで、図4は、実施例1〜3における破断面を撮影した拡大写真図である。
図4Aは接合温度が130℃における実施例1の銅ブロック側の破断面であり、図4Bは錫ブロック側の破断面である。
また、図4Cは接合温度が140℃における実施例2の銅ブロック側の破断面であり、図4Dは錫ブロック側の破断面である。
また、図4Eは接合温度が150℃における実施例3の銅ブロック側の破断面であり、図4Fは錫ブロック側の破断面である。
【0035】
図4A,Bを見ると、接合温度が130℃(実施例1)の場合には接合が不十分なため、接合界面から脆性的に破断が生じ、銅ブロック及び錫ブロックの表面がほぼそのまま露出している。
また、接合温度が140℃(実施例2)と少し高くした場合には、図4Cに示すように、破断面の下部領域において脆性的に界面破断が生じている。一方、上部領域では部分的に銅側に残った錫ブロックが延性的に破断しており、母材破断と界面破断とが混在した状態となっている。
したがって、錫ブロック側の破断面である図4Dでは、下部領域において界面破断を生じ、上部領域では、銅ブロック側に残った断片分だけ欠けた状態となっている。
【0036】
これに対して、接合温度が150℃(実施例3)の場合には、図4E,Fに示すように、銅側の接合界面全面に錫が残り、錫ブロックにおいて断面収縮をした後、延性的に破断をしていることが確認てきる。
このことからも、150℃の接合温度において錫と銅との接合を強固に行うことができているのがわかる。
【0037】
また、図5は、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)によって、銅ブロック側の破断面に含まれる銅、または錫の分布を調べたものである。
図5Aは、接合温度が130℃(実施例1)における銅ブロック側破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した拡大写真図であり、図5Bは、この断面領域における銅の分布をEDXによって分析したものである。また、図5Cは、同じ断面領域における錫の分布をEDXによって分析したものである。
【0038】
また、図5Dは、接合温度が140℃(実施例2)における銅ブロック側破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した拡大写真図であり、図5Eは、この断面領域における銅の分布をEDXによって分析したものである。また、図5Fは、同じ断面領域における錫の分布をEDXによって分析したものである。
【0039】
また、図5Gは、接合温度が150℃(実施例3)における銅ブロック側破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した拡大写真図であり、図5Hは、この断面領域における銅の分布をEDXによって分析したものである。また、図5Iは、同じ断面領域における錫の分布をEDXによって分析したものである。
【0040】
なお、銅の検出を行った図5B,E,Hでは、図中、濃淡の薄い領域ほど銅が多く含まれている。また、錫の検出を行った図5C,F,Iでは、図中、濃淡の薄い領域ほど錫が多く含まれている。
【0041】
接合温度が130℃(実施例1)の破断面において銅の検出を行った図5Bでは、全体的に濃淡が薄くなっており、一面に銅が検出されている。また錫の検出を行った図5Cでは、全面的に濃淡が濃くなっており、錫がほとんど検出されていない。このことから、接合温度が130℃の場合には、銅ブロックと錫ブロックの接合界面で破断が生じていることがわかる。
【0042】
一方、接合温度が140℃(実施例2)の破断面において銅の検出を行った図5Eでは、全体的に濃度が薄く、測定した銅ブロック側の破断面はほぼ銅となっているものの、図中右上において局所的に濃淡の濃い領域が見受けられる。また、錫の検出を行った図5Fを見ると、同じ領域において濃淡が薄くなっており、ここに錫が残存していることがわかる。
したがって、接合温度が140℃の場合には、銅ブロックと錫ブロックの界面破断と、錫ブロックの母材破断とが混在しているのがわかる。
【0043】
また、接合温度が150℃(実施例3)の破断面において銅の検出を行った図5Hでは、全体的に濃淡の濃い箇所が増え、錫の検出を行った図5Iでは、全体的に濃淡の薄い箇所が多くなり、銅側の破断面には全面的に錫が付着していることが確認できる。
このことからも、接合温度が150℃の場合には、錫ブロックの母材破断が生じているのがわかる。
【0044】
これに対して、蟻酸での表面改質を行わなかった比較例2〜4の破断面をマクロ的に観察した写真図を図6に示す。
図6Aは、接合温度が170℃の場合の銅ブロック側の破断面であり、図6Bは、この時の錫ブロック側の破断面である。
また、図6Cは、接合温度が180℃の場合の銅ブロック側の破断面であり、図6Dは、この時の錫ブロック側の破断面である。
また、図6Eは、接合温度が190℃の場合の銅ブロック側の破断面であり、図6Fは、この時の錫ブロック側の破断面である。
【0045】
接合温度が170℃(比較例2)の場合の図6A,Bを見ると、破断面には殆ど変形が見られず、脆性的な界面破断が生じている。このため、図3にも示したように、70強程度の低い継手強度比となっている。
一方、接合温度を180℃(比較例3)とした場合の図6C,Dでは接合強度が上昇し、断面収縮をともなって延性的に破断をしているのが確認できる。
また、接合温度を190℃(比較例4)とした場合の図6E,Fにおいても同様に断面収縮をともなった延性的な破断をしている。
【0046】
図7は、これら比較例2〜4の銅ブロック側の破断面をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)によって測定し、銅及び錫の分布を分析したものである。
図7Aは、接合温度が170℃(比較例2)における銅ブロック側の破断面を電子顕微鏡(SEM)によって観察した拡大写真図である。また図7Bは、同じ領域における銅をEDXによって検出したものであり、図7Cは錫を検出したものである。
【0047】
また、図7Dは、接合温度が180℃(比較例3)における銅ブロック側の破断面を電子顕微鏡(SEM)によって観察した拡大写真図である。また図7Eは、同じ領域における銅をEDXによって検出したものであり、図7Fは錫を検出したものである。
また、図7Gは、接合温度が190℃(比較例4)における銅ブロック側の破断面を電子顕微鏡(SEM)によって観察した拡大写真図である。また図7Hは、同じ領域における銅をEDXによって検出したものであり、図7Iは錫を検出したものである。
【0048】
なお、図7B,E,Hでは、濃淡が薄い程、表面に銅が分布し、図7C,F,Iでは濃淡が薄い程、表面に錫が分布している。
【0049】
図7Bでは、ほぼ全面に渡って濃淡が薄く、銅が検出されている。一方、図7Cでは全面に渡って濃淡が濃く、錫が検出されていない。すなわち、接合温度が170℃(比較例2)において、銅ブロック側の破断面は、ほぼ銅のみによって形成されており、界面破断が生じていることがわかる。
【0050】
接合温度が180℃(比較例3)の場合である図7E,Fを見ると、図7Fでは濃淡の薄い箇所が散在している。これは銅ブロック側破断面に錫が付着しているためであり、界面破断と錫ブロックの母材破断とが混在した状態となっている。このため、図6C,Dでは断面収縮を伴った延性的な破断を示しながらも、継手強度比は80強程度(図3)の値にとどまっている。
【0051】
そして接合温度が190℃(比較例4)の場合では、図7Hにおいて全面的に濃淡が濃く、図7Iにおいて全面に濃淡が薄い。すなわち、銅ブロック側の破断面全面に錫が付着していることから、錫ブロックの母材破断がこの接合温度にて生じることがわかる。
【0052】
一般的に、錫は大気に曝されると、ただちに酸化皮膜によって覆われると考えられている。この錫の酸化皮膜や、錫母相は、蟻酸中において煮沸することにより、下記一般式(1)〜(3)に示す反応を示す。
Sn+2HCOOH → Sn(HCOO)+H↑ ・・・(1)
SnO+2HCOOH → Sn(HCOO)+HO↑ ・・・(2)
SnO+2HCOOH → Sn(HCOO)+H↑+O↑ ・・・(3)
【0053】
したがって、錫ブロックを蟻酸中に浸漬し、煮沸することにより、錫ブロック表面の酸化皮膜は除去されるとともに、活性の高い蟻酸錫へと置換される。また、この置換は、蟻酸蒸気に暴露することによっても行うことができる。
【0054】
蟻酸での表面改質を行わない場合、低い温度で接合を行うと、その接合界面には酸化皮膜等の介在物がそのまま残っているため接合強度は小さくなり、接合界面からの破断が生じる。
一方、接合温度を高くしていくと、錫表面に形成されている酸化錫等の酸化皮膜は凝集し、接合温度が高くなるほど凝集した粒子も粗大化して分布密度が低下する。すなわち、高温での接合時には、錫と銅との間に介在する酸化物等の介在物が凝集することにより、錫と銅が直接接触した真実接合面積が増加するため、接合強度が大きくなると考えられる。
【0055】
これに対して、本実施例のように酸化錫を蟻酸錫に置換した場合、蟻酸錫は酸化錫よりも低い温度で凝集、粗大化して真実接合面積が増加する。このため、150℃という従来よりも大幅に低い温度での接合を実現することができる。
【0056】
また、蟻酸に浸漬して煮沸する、または蟻酸蒸気に暴露するという簡易な方法によって行うことができるので、従来の表面活性化法のように高価な設備も必要とせず、コストも低減することができる。またさらに、接合温度を大幅に下げることが可能となるため、本発明を電子部品等の実装に適用すれば、バンプ間のショートや、周囲の素子への熱的ダメージも抑制することができる。
【0057】
次に、錫とニッケルを接合した場合である実施例4〜7、比較例5〜9における接合温度と継手強度比の関係を図8に示す。
シンボルcは、実施例4〜7における継手強度比であり、シンボルdは比較例5〜9における継手強度比である。
【0058】
シンボルdの比較例5〜9の場合、接合温度が180℃〜200℃では継手強度比は30程度と低く、210℃において上昇を始めている。そして接合温度が220℃の時、継手強度比は100となり、錫ブロックからの母材破断が起きている。
一方、蟻酸による表面改質を行った実施例4〜7の場合、接合温度が130℃において既に80以上の高い継手強度比が得られ、150℃という低い温度で継手強度比が100となった。
このように、錫とニッケルを接合する場合においても、母材破断が生じる接合温度が220℃から150℃へと、70℃下がっており、蟻酸により表面改質を行うことで、大幅に接合温度を低くすることができる。
【0059】
これら実施例4〜7における錫ブロック側破断面、及びニッケルブロック側破断面をマクロ的に観察した写真図を図9に示す。
図9Aは接合温度が120℃(実施例4)におけるニッケルブロック側の破断面であり、図9Bは、錫ブロック側の破断面である。
また、図9Cは、接合温度が130℃(実施例5)におけるニッケルブロック側の破断面であり、図9Dは錫ブロック側の破断面である。
また、図9Eは、接合温度が140℃(実施例6)におけるニッケルブロック側の破断面であり、図9Fは錫ブロック側の破断面である。
また、図9Gは、接合温度が150℃(実施例7)におけるニッケルブロック側の破断面であり、図9Hは錫ブロック側の破断面である。
【0060】
図8において示したように、接合温度が120℃の場合には継手強度比が零となり、全く接合されていなかった。このため図9A,Bに示すように、接合面には何の変化も生じていない。
【0061】
また、接合温度が130℃の場合である図9C,Dにおいても、破断面の変形はあまり見られず、接合界面における界面破断が起きていることがわかる。このため、図8に示したように継手強度比が80強程度の値となっている。
【0062】
接合温度が140℃の場合である図9E,Fでは、錫ブロックが引き伸ばされて母材破断を生じ、断面収縮をともなった延性的な破断面を示している。ただし、図9Eのニッケル側の破断面では、図中右下の領域においてニッケルブロック表面が露出しており、ここでは界面破断が生じている。このため、継手強度比は高い値を示すものの、100には至っていない。
【0063】
また、接合温度が150℃の場合には、図9G,Hに示すように、ニッケル側の接合面全面に錫が残されたまま、断面収縮をともなって延性的に破断しており、錫ブロックの完全な母材破断が生じている。
【0064】
これに対して、蟻酸処理を行わなかった比較例5,7〜9の破断面を撮影した写真図を図10に示す。
図10Aは、接合温度が180℃(比較例5)におけるニッケルブロック側の破断面であり、図10Bは、錫側の破断面である。
また、図10Cは、接合温度が200℃(比較例7)におけるニッケルブロック側の破断面であり、図10Dは、錫側の破断面である。
また、図10Eは、接合温度が210℃(比較例8)におけるニッケルブロック側の破断面であり、図10Fは、錫ブロック側の破断面である。
また、図10Gは、接合温度が220℃(比較例9)におけるニッケルブロック側の破断面であり、図10Hは、錫ブロック側の破断面である。
【0065】
接合温度が180℃〜210℃の場合には、図10A〜Fに示すように破断面に大きな変形は生じず、接合面での界面破断が起きている。このため、図8に示したように継手強度比の値は低いものとなっている。
一方、接合温度が220℃の場合には、図10Gに示す破断面の左側の領域においてニッケルブロック表面が露出している。また、右側の領域では、延性的に母材破断した錫ブロックの一部が残存しており、界面破断と母材破断とが混在した状態となっている。
【0066】
界面破断が生じているにもかかわらず、図8において示したように継手強度比が100となったのは、錫ブロックがニッケルブロックの塑性変形による拘束を強く受けたためであると考えられる。
すなわち、接合の際に接合面が塑性変形し、外周部にバリとして押し出された結果、ニッケルブロックは錫ブロックを拘束するようになる。また、塑性変形量は、接合温度の上昇とともに増加するため、このような高い引張強さを示したものと考えられる。
【0067】
このように、ニッケルと錫を接合する場合においても、接合面を蟻酸によって処理することにより、従来よりも大幅に低い温度で接合を行うことができる。
これは、銅と錫の接合の場合と同様、蟻酸によって酸化錫から置換された蟻酸錫は、低い接合温度で凝集、粗大化して分布密度が低下するため、真実接合面積を増大させることができるからである。
また、この作用は、表面に酸化錫が形成されている金属に対して得られる。したがって、少なくとも一方が錫を含有する金属であれば、蟻酸による表面改質を行うことで効果的に接合温度を下げることができる。
【0068】
次に、クエン酸によって錫ブロックと銅ブロック表面の改質を行った実施例8の結果を図11に示す。
横軸は接合温度であり、縦軸は継手強度比である。また、シンボルeは、クエン酸による改質を行った実施例8の結果であり、またシンボルfは、改質を行わず、そのまま接合した比較例1〜4の結果である。
【0069】
シンボルfに示すように、改質を行わずに接合を行う場合には、190℃の接合温度にて錫の母材破断が生じている。これに対して、クエン酸による表面改質を行ったシンボルeでは、140℃の接合温度にて継手強度比が100となり、錫ブロックの母材破断が生じているのがわかる。すなわち、クエン酸による表面改質を行う場合には、従来より50℃も低い温度で接合することができる。
【0070】
このように、煮沸したクエン酸溶液中に金属の接合表面を浸漬することによっても、接合温度を大幅下げることが可能である。金属を煮沸したクエン酸溶液中に浸漬することにより、金属表面の酸化物が除去され、クエン酸化合物に置換される。このクエン酸化合物も、酸化錫より低い温度で凝集、粗大化して真実接合面積が増加するため、従来よりも低い温度での接合が可能になると考えられる。
また、クエン酸を含有する蒸気中に金属の接合面を暴露することによっても、表面の改質を行うことができる。
【0071】
また、図12は、錫ブロックとニッケルブロックに対してクエン酸による表面改質を行った実施例9の結果である。
横軸は、接合温度であり、縦軸は、破断が生じた時の引張強さである。
また、シンボルgは、クエン酸による表面改質を行った場合の実施例9の結果であり、シンボルhは、改質を行わないで接合を行った比較例5〜8の結果である。
【0072】
クエン酸による表面改質をせずに接合を行った場合には、シンボルhに示すように、接合温度が210℃において9MPaを少し超える接合強度が得られていることがわかる。これに対し、クエン酸による改質を行った場合であるシンボルgでは、170℃の接合温度においてすでに9MPa程度の接合強度が得られており、従来よりも40℃近く低い温度にて同等の強度が得られている。
このように、錫とニッケルを接合する場合においても、クエン酸による表面改質を行うことにより、従来よりも低い温度で同等の強度を得ることが可能である。
【0073】
以上の説明のように、本発明によれば、蟻酸やクエン酸によって表面改質を行うことで、金属の接合温度を大幅に下げることが可能である。
したがって、例えば図13Aに示すように、実装基板12上にロジックIC等のチップ14,15,16,17を多層積載する場合において有効に適用できる。例えば、基板側の電極13もしくはチップ側の電極11の少なくとも一方を錫を含有する材料により形成し、本発明による方法で接合を行っていく。これにより、低い温度かつ低荷重での接合が可能になるため、チップを多層積層する場合においても各チップにダメージを与えることなく実装することができる。
また、当然のことながら、図13Bに示すように、実装基板22上にICチップ24等を電極25によって接続する通常の表面実装においても、本発明を好適に用いることができる。
【0074】
また、上述のような点接続の点状体だけでなく、面での接続を行う面状体や、線での接続を行う線状体に適用してもよい。例えば、図14に示すように、放熱銅板32上にパワーモジュール等の電子部品34を実装する時には、例えばその接合部35を錫を含有する金属によって形成する。そして本発明により表面改質をして放熱銅版32に接合することにより、電子部品への熱負荷を低減しながらも強固に実装できる。
【0075】
また、図15に示すように、集積回路等の電子部品47を下部容器42及び上部蓋44によって封止し、このパッケージを外部電極46によって図示しない基板等に実装する場合にも適用してよい。
この場合には、例えば下部容器42と上部蓋44との接合部45を錫を含有する金属によって形成し、例えば蟻酸やクエン酸による表面改質を行った後に上部蓋44を被せて接合する。これにより、低温かつ強固な接合が可能となり、電子部品47に与える熱負荷を低減したパッケージングを行うことができる。
【0076】
以上、本発明による金属の接合方法の実施の形態及び実施例、評価結果について説明した。本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、なお考えられる種々の形態を含むものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
51・・・チップ電極、2,12,22,52,62,72,92・・・実装基板、3・・・金属電極、11,13,25・・・電極、14,15,16,17・・・チップ、24・・・ICチップ、32・・・放熱銅板、35,45・・・接合部、42・・・下部容器、44・・・上部蓋、46・・・外部電極、53・・・基板電極、4,34,47,54,64,74,84,94,97・・・電子部品、55・・・接続部、65,75・・・金属バンプ、82,96・・・基板、85・・・異方性樹脂導電膜、95,98・・・はんだバンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に錫を含む金属部材同士の表面を、蟻酸またはクエン酸溶液中において煮沸あるいは蟻酸蒸気またはクエン酸蒸気に暴露するステップと、
前記煮沸又は暴露された前記金属部材の表面同士をつき合わせ、加熱及び加圧するステップと、
を含む
金属部材の接合方法。
【請求項2】
さらに、前記金属部材の煮沸又は暴露後に、金属部材表面を洗浄するステップを含む請求項1に記載の金属部材の接合方法。
【請求項3】
さらに、前記金属部材表面を乾燥するステップを含む請求項1又は2に記載の金属部材の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−200930(P2011−200930A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73005(P2010−73005)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年10月1日 社団法人日本金属学会発行「日本金属学会誌 第73巻 第10号」 平成21年10月23日開催 社団法人溶接学会主催「第48回 マイクロ接合研究委員会 ソルダリング分科会資料」
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【Fターム(参考)】