針型センサおよび前記針型センサの製造方法
【課題】使用開始時から安定した測定が行える針型センサ30を提供する。
【解決手段】針型センサ30は、針本体部33と、針本体部33の基端側に設けられたコネクタ部35と、針本体部33の先端側に配設され、アナライト濃度を測定する、最外層が遮光層18であるセンサ部10と、を有し、遮光層18が、その周囲の表面の少なくとも一部より凸となっている。
【解決手段】針型センサ30は、針本体部33と、針本体部33の基端側に設けられたコネクタ部35と、針本体部33の先端側に配設され、アナライト濃度を測定する、最外層が遮光層18であるセンサ部10と、を有し、遮光層18が、その周囲の表面の少なくとも一部より凸となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内のアナライトの濃度を計測する針型センサおよび前記針型センサの製造方法に関し、特にセンサ部が体内に挿入され留置される短期留置型の針型センサおよび前記針型センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
針型センサは、体内の血液または体液のアナライトすなわち被計測物質の濃度を測定するセンサ部が、被検体に穿刺され留置される。そして針型センサは、所定の期間、体内のアナライトの濃度を継続して測定する。
【0003】
センサ部は例えば蛍光色素を含有したインジケータを有している。そしてインジケータに光源からの励起光を照射することで、インジケータの蛍光色素が被計測溶液中のアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生し、その蛍光を光検出器が受光する。光検出器は光電変換素子であり、受光した光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号から被計測溶液中のアナライト濃度が測定される。
【0004】
図1および図2に、国際公開WO06/090596号パンフレットに開示されているセンサ110を示す。なお、図においてアナライト2等は模式的に示している。センサ110は、針状の中空容器112と、中空容器112内に挿入された担体筒114と、担体筒114内に端部が挿入された光ファイバ118と、からなる。中空容器112は、一方が尖り、他方が開口している。中空容器112の側部には複数個の貫通孔120が設けられている。担体筒114は薄い膜を丸めたものからなる。そしてセンサ部116は光ファイバ118の端部に蛍光色素であるルテニウム有機錯体薄膜124を被覆したインジケータからなる。
【0005】
光ファイバ118は光源(不図示)からの励起光をセンサ部116に照射する。アナライト2を含む被計測溶液は、貫通孔120を介してセンサ部116に進入する。センサ部116はアナライト濃度に応じた光量の蛍光を発生する。蛍光は光ファイバ118を介して光検出器(不図示)に受光され分析される。
【0006】
センサ110では、被計測溶液のセンサ部116への進入経路が貫通孔120である。このため、センサ110を皮下に穿刺したときに、気泡が貫通孔120に付着するおそれがあった。気泡が付着した貫通孔120を介しては、被計測溶液はセンサ部116へ進入できないため、気泡が取り除かれるまではセンサ110は検出のレスポンスは遅くなる。
【0007】
また所定のアナライト濃度の溶液中にセンサ110を浸漬して性能を評価する場合にも、溶液に溶存していた気体が気泡となって貫通孔120に付着するおそれがあった。すると、測定前に気泡を除去する操作が必要となる。
【0008】
すなわち、従来のセンサ110は、穿刺直後などの使用開始時には安定した測定を行うことが容易ではないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO06/090596号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
使用開始時から安定した測定が行える針型センサおよび前記針型センサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の針型センサは、針本体部と、前記針本体部の基端側に設けられたコネクタ部と、前記針本体部の先端側に配設され、アナライト濃度を測定する、最外層が遮光層であるセンサ部と、を有し、前記遮光層が、その周囲の表面の少なくとも一部より凸となっている。
また、本発明の別の一態様の針型センサの製造方法は、角柱状の半導体からなる基板の先端部に凹部を形成する工程と、前記凹部の側面に光電変換素子を形成する工程と、前記凹部の底面に、励起光を発生するとともに、蛍光を透過する発光素子を配設する工程と、前記発光素子を覆う透明中間層を前記凹部の内部に配設する工程と、前記凹部の開口部をマスキング部材で仮封止するマスキング工程と、前記基板の先端部を保護層で埋め込む工程と、前記マスキング部材とともに保護層を部分的に除去する工程と、前記透明中間層の上の前記凹部の内部にアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層を配設する工程と、保護層が除去された前記凹部の開口を最外層で覆う工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、使用開始時から安定した測定が行える針型センサおよび前記針型センサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の針型センサの概略構成を示す側面図である。
【図2】従来の針型センサの概略断面構造を示す断面図である。
【図3】第1実施形態の針型センサを有するセンサシステムの構成を説明するための模式図である。
【図4】第1実施形態の針型センサの先端部の構成を説明するため模式図である。
【図5】第1実施形態の針型センサの先端部の概略断面構造を示す、図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】第1実施形態の針型センサの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】第1実施形態の針型センサの製造方法を説明するための先端部の概略断面構造を示す断面図である。
【図8】第1実施形態の変形例1、変形例2および比較例の針型センサ等の先端部の構成を説明するため模式図である。
【図9】第1実施形態の変形例3の針型センサの先端部の概略断面構造を示す断面図である。
【図10】第1実施形態の変形例3の針型センサの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】第1実施形態の変形例3の針型センサの製造方法を説明するための先端部の概略断面構造を示す断面図である。
【図12】第2実施形態の針型センサ等の先端部の構成を説明するため模式図である。
【図13】第2実施形態の針型センサの先端部の概略断面構造を示す、図12のXIII−XIII線に沿った断面図である。
【図14】第2実施形態の変形例の針型センサ等の先端部の構成を説明するため模式図である。
【図15】第2実施形態の変形例の針型センサの先端部の概略断面構造を示す、図14のXV−XV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面を用いて、本発明の第1実施形態の針型センサ(以下「センサ」という)30について説明する。図3に示すように、センサ30はセンサ本体部40およびレシーバー45と組み合わせてセンサシステム1として使用される。すなわち、センサシステム1は、センサ30と、センサ本体部40と、センサ本体部40からの信号を受信し記憶するレシーバー45と、を有する。センサ本体部40とレシーバー45との間の信号の送受信は無線または有線で行われる。
【0015】
センサ30は、センサ部10を有する先端部32と、細長い針本体部(以下、単に「本体部」ともいう)33と、針本体部33の針後端部34と一体化したコネクタ部35とを有する。なお、以下の説明において、前側とは先端側を、後側とはコネクタ部側を意味する。すなわち、センサ30は、針本体部33と、針本体部33の基端側に設けられたコネクタ部35と、針本体部33の先端側に配設されたセンサ部10と、を有する。
【0016】
コネクタ部35はセンサ本体部40の嵌合部41と着脱自在に嵌合する。センサ30はコネクタ部35がセンサ本体部40の嵌合部41と機械的に嵌合することにより、センサ本体部40と電気的に接続される。
【0017】
センサ本体部40は、図示しないがレシーバー45と無線で信号を送受信する無線アンテナと、電池などの電源と、センサ部10の駆動および制御などを行う各種回路などを有する。各種回路としては、信号を増幅する増幅回路、回路用基準クロック発生回路、ロジック回路、データ処理回路、AD変換処理用回路、モード制御回路、メモリ回路、および通信用高周波発生器回路などを例示することができる。なお、レシーバー45と有線で信号を送受信する場合には、センサ本体部40は、無線アンテナに代えて信号線を有する。
【0018】
センサ30は感染防止等のために使用後は処分される使い捨て(ディスポ)部であるが、センサ本体部40およびレシーバー45は繰り返し再使用されるリユース部である。
【0019】
センサ30はセンサ本体部40と嵌合した状態で、被検者自身が体表面から穿刺して、真皮層に先端部32が留置される。そして、連続使用期間が一週間程度の短期皮下留置型であるセンサ30は、例えば体液中のグルコース濃度を連続して測定し、レシーバー45のメモリに記憶する。
【0020】
図4に示すように、先端部32の一面は、針本体部33よりも高さが低い遮光層配設面であり、センサ部10の最外層である遮光層18が配設されている。遮光層18は角部が丸められた矩形、すなわち略矩形である。なお遮光層18は周端が曲線から構成された楕円等または4本以上の辺から構成された多角形であってもよい。
【0021】
遮光層配設面に配設された遮光層18の表面の周端は、後端側方向を除いて、厚さ分だけ、遮光層18を取り囲む周囲の表面よりも凸である。なお、遮光層18の厚さは、例えば、5μm〜20μmである。
【0022】
すなわち、センサ部10とセンサ30の基本構造体である基板11とは、保護層(カバー層)19で覆われているが、遮光層配設面には保護層はない。言い換えれば、センサ30は、遮光層配設面を除くセンサ部10と基板11とが埋め込まれた保護層19を有する。
【0023】
なお、保護層19は、遮光層18を除く針本体部の少なくとも先端側の一部を覆っていればよい。
【0024】
先端部32は、例えば幅および厚さ(高さ)が、0.1mm〜1mmの角に丸みを有する細長い四角柱状である。そして、針本体部33を含めた長さは5〜20mm程度であり、先端部32を含めて5mm〜10mm程度が皮下に留置される。
【0025】
次に、図5を用いて、センサ30のセンサ部10の構造について説明する。センサ部10は、基板11であるシリコン基板と、光電変換素子であるフォトダイオード素子(PD素子)12と、発光素子である発光ダイオード素子(LED素子)15と、透明中間層16と、蛍光色素を含有するインジケータ層17と、最外層である遮光層18とが、基板11側から順に積層された構造を有する。
【0026】
PD素子12は受光面で受光した蛍光を電気信号に変換する。LED素子15は蛍光を透過する材料からなり、励起光を発生する。透明中間層16はLED素子15を覆い保護するとともに、インジケータ層17を収容するインジケータ空間の底面を構成する。
【0027】
PD素子12、LED素子15、透明中間層16、およびインジケータ層17は、基板11上の同一領域内であるセンサ枠20の凹部(貫通孔)の内部に配設されている。センサ枠20はインジケータ空間の側面を構成しており、遮光層18はインジケータ空間の上面を構成している。
【0028】
なお、図示しないがPD素子12の表面は、フィルタ層で覆われている。フィルタ層はLED素子15が発生する励起光Eは通さず、それよりも長波長の蛍光Fは通す、例えば吸収型光学フィルタである。
【0029】
インジケータ層17は、励起光を受光すると、内部に進入したアナライト濃度に応じた光量の蛍光を発生する。
【0030】
遮光層18は、アナライトおよび水が通過可能であるが、光を遮断する。すなわち、外光がセンサ部10の内部に入射するのを防止するとともに、センサ部10から外部へ励起光および蛍光が出射するのを防止する。遮光層18は、親水性の高い材料で表面修飾されていてもよい。
【0031】
そして、遮光層配設面を除くセンサ部10と基板11とは、保護層19に埋め込まれている。すなわち、保護層(カバー層)19が、センサ30の主面および側面に配設されている。保護層19としては、生体適合性、フレキシブル性、および電気絶縁性などの要件を満たす材料、例えば、ポリパラキシリレン等の樹脂からなる。
【0032】
以上の説明のように、センサ30は、基板11と、遮光層18を通過した溶液中のアナライト濃度を測定する、基板11に配設されたセンサ部10と、基板11と遮光層配設面を除くセンサ部10とが埋め込まれた保護層19と、を具備し、平面視矩形の遮光層18が、表面の4つの全周端のうち、3周端(3辺、3方向)において、その周囲の表面よりも凸である。
【0033】
センサ30は、アナライトを含む被計測溶液がセンサ部10に進入する遮光層18の表面である遮光層18の表面が、その周囲の表面の少なくとも一部より凸状態であるために、気泡の付着により応答性が劣化することがなく、使用開始時から安定した測定が行える。
【0034】
なお、センサ30は、アウターニードル等の挿入補助用鞘管の内部に組み込まれた状態で被検体に穿刺され皮下に挿入される。皮下挿入後は、鞘管のみが抜き取られ、鞘管により形成された孔に留置されセンサ30は、アナライト濃度を測定する。
【0035】
次に図6および図7(A)〜図7(D)を用いて、センサ30の製造方法について説明する。
<ステップS10>
基板11にPD素子12が配設される。光電変換素子として、PD素子12を表面に形成する場合は、基板11としては単結晶シリコン基板が好適であるが、PD素子12の配設方法によっては、ガラス基板など多様な材料から選択可能である。
【0036】
PD素子12の受光面を覆うようにフィルタ層(不図示)が配設される。フィルタ層は、例えば375nmより短い励起光Eの波長では透過率は10−7以下であり、460nmの蛍光Fの波長では透過率10−1以上すなわち10%以上と、波長による透過率の比としては6桁以上の透過率選択性を有する。フィルタ層は、反射型フィルタでもよいし、シリコン膜または炭化シリコン膜等を用いた吸収型フィルタでもよい。
【0037】
なお、図示しないが、PD素子12の出力信号を伝達する配線およびLED素子15の駆動信号を伝達する配線が、針本体部33を経てコネクタ部35まで配設される。
【0038】
<ステップS11>
PD素子12の受光面が内部の底面となるように、貫通孔のある額縁状のセンサ枠20が、基板11に接合される。センサ枠20は、金属、半導体、ガラス、セラミック、または樹脂などから遮光機能および十分な機械的強度を有する材料を用いることができる。材料の遮光機能が不十分場合には、遮光性の膜により覆われる。また、基板11とセンサ枠20とは、直接接合されたり、遮光性材料を介して接合されたりする。
【0039】
<ステップS12>
PD素子12の上側に、フィルタ層を介して、励起光を発生するLED素子15が配設される。
【0040】
LED素子15としては、蛍光透過率、光発生効率、励起光の波長選択性の広さ、および励起光となる紫外線以外の波長の光を僅かしか発生しないことなどの観点からは、サファイア基板を用いた窒化ガリウム系の紫外線発光LED素子が好ましい。
【0041】
<ステップS13>
LED素子15を覆うように、透明中間層16がセンサ枠20の内部に配設される。透明中間層16は、エポキシ樹脂膜、シリコーン樹脂、または透明な非晶性フッ素樹脂などからなる。
なお、透明中間層16は可視光の全波長帯の光を透過する必要はなく、例えば励起光波長および蛍光波長における透過率が高ければ、見かけ上、半透明のものであってもよい。
【0042】
図7(A)に示すように、透明中間層16により、センサ枠20の内部のLED素子15等は保護された状態となる。
【0043】
<ステップS14>
センサ枠20の開口部が、マスキングテープ等のマスキング部材21で仮封止される。マスキング部材21は、剥離が容易で、かつステップS15の保護層形成工程等において破断したり剥離したりしない部材から選択される。マスキング部材21としてテープではなく、熱可塑性樹脂等を用いてもよい。
【0044】
<ステップS15>
図7(B)に示すように、マスキング部材21で仮封止されたセンサ枠20が接合された基板11の、少なくとも先端部32が保護層19で埋め込まれる。言い換えれば、先端部32の表面が保護層19で覆われた状態となる。なお先端部32と同時に針本体部33の先端端面も保護層で覆われることが好ましい。
【0045】
保護層19は、例えば、所定の形状の金型の中に、樹脂シートで挟み込んだ先端部を配置し加圧したり、先端部を配置した金型に樹脂を流し込んだりして形成される。また、いわゆるディップコーティング法により形成してもよい。
【0046】
なお、図7(B)ではマスキング部材21の上にも保護層19が形成されているが、形成されていていなくともよい。
【0047】
<ステップS16>
図7(C)に示すように、センサ枠20の開口部からマスキング部材21とともに、マスキング部材21の周囲の保護層が除去される。例えば、切削治具の鋭利な刃先を、センサ枠20の後端部に到達するまで保護層19に切り込んでから、水平方向に先端部32の先端まで移動することで、マスキング部材21とともに保護層が部分的に除去される。
【0048】
<ステップS17>
センサ枠20の内部にインジケータ層17が配設される。インジケータ層17は、例えば、含水し易いハイドロゲルをベース材料として、ハイドロゲル内に蛍光色素を包含または結合させている。ハイドロゲルの成分としてはメチルセルロースもしくはデキストランなどの多糖類、(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、もしくはヒドロキシエチルアクリレート等のモノマーを重合して作製するアクリル系ハイドロゲル、またはポリエチレングリコールとジイソシアネートから作製するウレタン系ハイドロゲルなどを用いることができる。
【0049】
蛍光色素は、アナライト2の種類に応じて選択され、アナライト2の量に応じて発生する蛍光の光量が可逆的に変化する蛍光色素ならば、どのようなものでも使用できる。例えば生体内の水素イオン濃度または二酸化炭素を測定する場合には、ヒドロキシピレントリスルホン酸誘導体、糖類を測定する場合には蛍光残基を有するフェニルボロン酸誘導体、カリウムイオンを測定する場合には蛍光残基を有するクラウンエーテル誘導体などを用いることができる。
【0050】
そして、グルコースのような糖類を測定する場合には、蛍光色素として、ルテニウム有機錯体、蛍光フェニルボロン酸誘導体、または蛋白と結合したフルオレセイン等のグルコースと可逆結合する物質を用いることができる。また、ルテニウム有機錯体のルテニウムに代えてオスミウム、イリジウム、ロジウム、レニウムおよびクロム等の有機錯体を用いることができる。なお蛍光フェニルボロン酸誘導体としては、特に2つのフェニルボロン酸と蛍光残基としてアントラセンを含む化合物が検出感度が高い。
【0051】
以上の説明のように、センサ30は、蛍光色素の選択によって、酸素センサ、グルコースセンサ、pHセンサ、免疫センサ、または微生物センサなど、多様な用途に対応している。
【0052】
なお、ハイドロゲルからなるインジケータ層17は、含水状態では使用前に特性が経時変化することがある。使用前の劣化を防止するため、インジケータは、使用前は乾燥状態とし、使用開始時に含水状態とすることが好ましい。すなわち、インジケータ層17を構成する乾燥状態のハイドロゲルは、使用開始時に体内に挿入されると、遮光層18を介して、血液などの体液、すなわち水を吸収し膨潤する。
【0053】
<ステップS18>
図7(D)に示すように、センサ枠20の開口を覆うように遮光層18がセンサ枠20の上面に接合される。遮光層18が配設されるセンサ枠20の周囲は、保護層19が部分的に除去されている領域である。このため、すでに説明したように、遮光層18の表面の周端は、遮光層の厚さ分だけ、遮光層18を取り囲む周囲の表面よりも凸となる。
【0054】
なお、図5等に示すように、センサ30では遮光層18の後端側周端と接している保護層19の壁面は主面に対して略垂直である。このため遮光層18の表面は3周端において、その周囲の表面よりも凸であるが、後端側周端においては、その周囲の表面、すなわち保護層19の表面より凹である。
【0055】
しかし、ステップS16における切削治具の刃先の切り込み角度によっては、保護層19の壁面は傾斜していてもよい。また、保護層19の壁面と遮光層18の周端との間に空間があってもよい。遮光層18の表面の全周端が、その周囲の表面よりも凸状態のセンサは、周端の一部のみが凸状態のセンサよりも使用開始時から、より安定した測定が行える。
【0056】
遮光層18は、アナライト2が、その内部を通過してインジケータ層17に到達するのを妨げない材料を用いて構成される。例えば微多孔質の金属もしくはセラミックス、またはインジケータ層17に用いるハイドロゲルにカーボンブラックもしくはカーボンナノチューブなどの光を通さない微粒子を混合した複合材料が好適である。また、遮光層18は、多数の貫通孔を有するシリコン基板等でもよい。
【0057】
以上の説明のように、本実施形態のセンサ30の製造方法は、角柱状の半導体からなる基板11の先端部に凹部22を形成する工程と、凹部22の側面にPD素子12およびフィルタ層を形成する工程と、凹部22の底面に、励起光を発生するとともに、蛍光を透過するLED素子15を配設する工程と、LED素子15を覆う透明中間層16を凹部22の内部に配設する工程と、凹部22の開口部をマスキング部材21で仮封止するマスキング工程と、基板11の先端部を保護層19で埋め込む工程と、前記マスキング部材21とともに保護層19を部分的に除去する工程と、透明中間層16の上の凹部22の内部にアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層17を配設する工程と、保護層19が部分的に除去された凹部22の開口を遮光層18で覆う工程と、を具備する。
【0058】
センサ30では、センサ枠20の上面、すなわち遮光層配設面は、保護層19がマスキング部材21とともに部分的に除去することにより形成されている。このため、保護層19によるセンサ部10と基板11との埋め込み、すなわち、保護層形成が容易である。また、保護層19が、センサ部10と基板11とを確実に埋め込むため、センサ30は信頼性が高い。さらに、表面の周端が、その周囲の表面よりも凸な遮光層18を有する構造を容易に作製できる。
【0059】
保護層19は、先端部の後端側では、表面位置が遮光層18よりも高い位置になるように厚さが設定されている。例えば、保護層19の厚さは、先端側では1μm〜10μmであり、後端側では10μm〜50μmである。そして、センサ30はセンサ枠上面の周辺すなわち先端部32の上部の保護層が部分的に除去されている。すなわちセンサ枠よりも後端側の保護層は除去されない。このため、保護層19の表面は、先端部32の先端側および側面側においては遮光層18の表面よりも凹であり、後端側において遮光層18の表面よりも凸となる。このため、針本体部33は保護層19の厚さが厚いため、耐久性および磨耗性などの機械的耐久性が高い。
【0060】
<第1実施形態の変形例1、2および比較例>
次に本発明の第1実施形態の変形例1、2のセンサ30A、30Bについて説明する。センサ30A、30Bは第1実施形態のセンサ30と類似しているので、類似した構成要素には同じ数字の符号を付し説明は省略する。
【0061】
第1実施形態のセンサ30では、平面視略矩形の遮光層18は、表面の全周端の3方向(3辺)において、その周囲の表面よりも凸であった。これに対して図8(A)に示す変形例1のセンサ30Aの遮光層18は、先端側周端の1辺だけが、その周囲の表面よりも凸である。すなわち保護層19がセンサ側面まで延長されている。センサ30Aでは、遮光層18の表面位置が先端側周端でのみ保護層19よりも凸である。
【0062】
また、図8(B)に示す変形例2のセンサ30Bの遮光層18は、先端側周端においては周囲の保護層19の表面よりも凸であり、後端側周端においては周囲の保護層19の表面よりも凹である。なお、センサ30Bでは、遮光層18は先端部32の側面まで延設されている。
【0063】
変形例1のセンサ30Aおよび変形例2のセンサ30Bは、第1実施形態のセンサ30と同様の効果を有する。すなわち、図8(C)に示すように、矩形の主面を有する遮光層18の表面が全周端において、その周囲の表面よりも凹の比較例のセンサ130と比較すると、気泡の付着が発生しにくいため応答性が劣化することがなく、使用開始時から安定した測定が行える。
【0064】
すなわち、遮光層18の表面が表面の全周端の少なくとも一部(1辺、1方向)において、その周囲の表面よりも凸であるセンサは、所定の効果を有する。
【0065】
<第1実施形態の変形例3>
次に本発明の第1実施形態の変形例3のセンサ30Cについて説明する。センサ30Cは第1実施形態のセンサ30と類似しているので、類似した構成要素には同じ数字の符号を付し説明は省略する。
【0066】
図9に示すように、本実施形態のセンサ30Cは、いわゆる縦型構造のセンサ部10Cを有する。センサ30Cは、シリコンなどの半導体からなる基板11に、平面視矩形の開口部のある凹部22が形成されている。なお、凹部22となる額縁形状のセンサ枠基板と平面基板とを接合することにより、凹部22を有する基板11が作製されていてもよい。
【0067】
そして、凹部22の壁面(側面)にPD素子12Cが形成され、凹部22の底面にLED素子15Cが配設されている。すなわち、縦型構造のセンサ部10CではPD素子12Cは主面に対して縦方向に形成されている。そして側面に形成されたPD素子12Cの受光面を覆うように、励起光を遮断し蛍光を透過するフィルタ層14Cが配設されている。
【0068】
LED素子15Cを覆う透明中間層16Cの上部に、乾燥したインジケータ層17Cが配設されている。そして、凹部22の開口を覆うように光を遮断する遮光層18Cが配設されている。そして、遮光層配設面を除いて先端部32の外周の全面に保護層19が配設されている。
【0069】
以上の説明のように、センサ30Cは、センサ部10Cが、主面と平行な底面を有する凹部22があり、凹部22の内壁にPD素子12CとPD素子12Cの受光面を覆うフィルタ層14Cとが配設された基板11と、凹部22の内部に配設された、励起光を発生するLED素子15Cと、凹部22の内部のLED素子15Cの上側に配設された、励起光を受光するとアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層17Cと、外光の進入を防止するアナライトが通過可能な遮光層18と、を有する。そして、遮光層18の表面は、その周囲の表面よりも凸である。
【0070】
なお、図9等に示すように、センサ30Cでは、遮光層18Cの後側周端と保護層19Cとの間に空間がある。このため、遮光層18Cは、表面の全周端が、その周囲の表面よりも凸である。
【0071】
センサ30Cはセンサ30等と同様の効果を有する。また、センサ30Cはセンサ30Aとよりも小型化が容易で、より高感度である。
【0072】
次に、図10および図11(A)〜図11(E)を用いて、センサ30Cの製造方法について簡単に説明する。なお、1個のセンサ30C毎に製造してもよいが、ウエハプロセスとして一括して多数のセンサを製造することが好ましい。
【0073】
<ステップS20>凹部22形成
図11(A)に示すように、複数の針型センサが作製可能な面積を有する基板11となるシリコンウエハの第1の主面に複数の平面視矩形のマスクパターンを有するマスク層23が作製される。そして、図11(B)に示すように、エッチング法により、第1の主面と平行な底面のある複数の凹部22が形成される。
【0074】
凹部22の開口の大きさは、センサ30のセンサ枠20の内寸と同様に仕様に応じて設計されるが、いずれも配設箇所が先端部32であるために、例えば、縦150μm、横500μmのように細長い長方形形状であることが好ましい。
【0075】
エッチング法としては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などを用いるウエットエッチング法が好ましいが、反応性イオンエッチングまたはケミカルドライエッチングなどのドライエッチング法も用いてもよい。
【0076】
なお、凹部22の開口面は底面よりも広く、側面は、底面に対して垂直ではなく所定の角度θで傾斜していることが好ましい。
【0077】
例えばウエットエッチング法では、シリコンウエハとしてシリコン(100)面を用いた場合には、(111)面のエッチング速度が(100)面に比べて遅い異方性エッチングとなるため、凹部22の側面は(111)面となり、(100)面(底面)との角度θは、54.7度となる。
【0078】
<ステップS21>PD素子形成
それぞれの凹部22の4側面にPD素子12Cが公知の半導体プロセスにより形成される。例えば、マスク層が形成されたシリコン基板を5度〜30度に傾けた状態で、4方向からイオン注入処理が行われる。例えば、ほう素を注入する場合の条件は、加速電圧:10〜100keV、注入量:1×1015cm−2程度である。
【0079】
側面が傾斜している凹部22は、側面が垂直な凹部22に比べてPD素子12を形成できる面積が広いだけでなく、側面へのPD素子12Cの形成が容易である。なお側面の傾斜角度θが30〜70度であれば、上記効果が顕著である。なお、PD素子12Cは凹部22の少なくとも1側面の一部に形成されるが、凹部22の底面にも形成されてもよい。
【0080】
<ステップS22>LED素子配設
PD素子12Cの受光面を覆うように、フィルタ層14Cが配設される。次に、複数の凹部22の底面に、それぞれLED素子15Cが配設される。なお、LED素子15Cは発光部および駆動電極が下側になるように配設され、駆動電極は図示しない貫通配線を介して基板11の裏面、すなわちセンサ部10Cの背面の配線と接続される。
【0081】
<ステップS23>透明中間層配設
図11(C)に示すように、LED素子15Cを覆うように、凹部22の内部にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、または透明な非晶性フッ素樹脂などからなる透明中間層16Cが配設される。
【0082】
<ステップS24>マスキング部材配設
凹部22の開口部が、マスキングテープ等のマスキング部材21で仮封止される。
【0083】
<ステップS25>保護層配設
図11(D)に示すように、マスキング部材21で仮封止された凹部22を含む基板11の、少なくとも先端部の全周が保護層19で埋め込まれる。
【0084】
<ステップS26>マスキング部材剥離
マスキング部材21とともに、マスキング部材配設面を覆う保護層が部分的に除去されることで、遮光層配設面が形成される。
【0085】
<ステップS27>インジケータ層配設
凹部22の内部にインジケータ層17Cが配設される。
【0086】
<ステップS28>遮光層配設
図11(E)に示すように、凹部22の開口を覆うように遮光層18Cが接合される。インジケータ層17Cを、蛍光色素と、ゲル骨格形成材と、重合開始剤と、を含むリン酸緩衝液を、窒素雰囲気下で1時間放置し、重合することにより作製する場合には、遮光層18Cを配設後に重合処理が行われる。
そして複数のセンサが形成されたシリコンウエハが個片化される。その後、ハイドロゲル乾燥工程を経て、センサ部10Cが完成する。
【0087】
なお、センサ30Cでは、基板11を、先端部32、針本体部33およびコネクタ部35の主要構成部材としてもよい。すなわち、シリコンウエハの加工により、センサ部10Cを有する先端部32だけでなく、針本体部33およびコネクタ部35を作製してもよい。
【0088】
以上の説明のように、センサ30Cは、センサ30が有する効果を有し、さらに基板11に形成した凹部22内にセンサ部10Cを作製するために製造が容易である。
【0089】
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態のセンサ30Dについて説明する。センサ30Dは第1実施形態のセンサ30と類似しているので、類似した構成要素には同じ数字の符号を付し説明は省略する。
【0090】
図9に示すように、センサ30Dは、第1のセンサ部10D1と第2のセンサ部10Dとを有する。2つのセンサ部10Dは、すでに説明したセンサ部10と同様の構成である。例えば、センサ部10D1は、PD素子12D1と、LED素子15D1と、透明中間層16D1と、インジケータ層17D1と、第1の最外層である第1の遮光層18D1とが、基板11側から順に積層された構造を有する。
【0091】
なお、センサ30Dでは、センサ枠20Dが2つの凹部(貫通孔)を有し、それぞれの凹部に、それぞれのセンサ部10Dの構成部材が配設されている。なお、第1のセンサ部10D1の第1の遮光層18D1と第2のセンサ部10Dの第2の遮光層18D2とは、一体の遮光層であってもよい。一方、センサ枠20Dは2つのセンサ枠から構成されていてもよい。
【0092】
2つのセンサ部10Dは独立してアナライトを検出するため、センサ30Dは精度が高い。また一つのセンサ部が故障しても他のセンサ部により測定を継続できる。また、一方のセンサ部の最外層をアナライトが通過しない層で構成し、バックグラウンド信号を取得するようにしてもよい。
【0093】
そして、遮光層配設面は保護膜が部分的に除去されている。このため、第1の遮光層18D1の表面は、4方向の周端(4辺)において、その周囲の表面よりも凸であり、第2の遮光層18D2の表面は、3方向の周端(3辺)において、その周囲の表面よりも凸である。
【0094】
このため、センサ30Dは、センサ30と同様の効果を有する。さらにセンサ30Dは、2つのセンサ部を有するため測定精度が高い。
【0095】
また、図14および図15に示す第2実施形態の変形例のセンサ30Eでは、第1の遮光層18E1と第2の遮光層18E2との間に保護層19が部分的に残されている。そして部分的に残された保護層19の壁面は傾斜し、その周端と接するように遮光層18Eが配設されている。
【0096】
このため、第1の遮光層18E1は、3辺において、その周囲の表面よりも凸であり、第2の遮光層18E2は2辺において、その周囲の表面よりも凸である。
【0097】
センサ30Eは、保護層19のうち、遮光層の周辺の保護層の少なくとも1部が切り欠かれ除去されている。このため、センサ30Eは、センサ30Dと同様の効果を有する。
【0098】
なお、実施形態のセンサ30〜30Eのセンサ部は、蛍光を検出する方式であった。しかし、異なる検出原理によりアナライトを検出する方式のセンサ部を有するセンサであっても実施形態のセンサと同様の効果を有する。
【0099】
すなわち、本発明は、上述した実施形態または変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0100】
1…センサシステム
2…アナライト
10…センサ部
11…基板
12…PD素子
14C…フィルタ層
15…LED素子
16…透明中間層
17…インジケータ層
18…遮光層
19…保護層
20…センサ枠
21…マスキング部材
22…凹部
30…センサ
32…先端部
33…針本体部
34…針後端部
35…コネクタ部
40…センサ本体部
41…嵌合部
45…レシーバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内のアナライトの濃度を計測する針型センサおよび前記針型センサの製造方法に関し、特にセンサ部が体内に挿入され留置される短期留置型の針型センサおよび前記針型センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
針型センサは、体内の血液または体液のアナライトすなわち被計測物質の濃度を測定するセンサ部が、被検体に穿刺され留置される。そして針型センサは、所定の期間、体内のアナライトの濃度を継続して測定する。
【0003】
センサ部は例えば蛍光色素を含有したインジケータを有している。そしてインジケータに光源からの励起光を照射することで、インジケータの蛍光色素が被計測溶液中のアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生し、その蛍光を光検出器が受光する。光検出器は光電変換素子であり、受光した光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号から被計測溶液中のアナライト濃度が測定される。
【0004】
図1および図2に、国際公開WO06/090596号パンフレットに開示されているセンサ110を示す。なお、図においてアナライト2等は模式的に示している。センサ110は、針状の中空容器112と、中空容器112内に挿入された担体筒114と、担体筒114内に端部が挿入された光ファイバ118と、からなる。中空容器112は、一方が尖り、他方が開口している。中空容器112の側部には複数個の貫通孔120が設けられている。担体筒114は薄い膜を丸めたものからなる。そしてセンサ部116は光ファイバ118の端部に蛍光色素であるルテニウム有機錯体薄膜124を被覆したインジケータからなる。
【0005】
光ファイバ118は光源(不図示)からの励起光をセンサ部116に照射する。アナライト2を含む被計測溶液は、貫通孔120を介してセンサ部116に進入する。センサ部116はアナライト濃度に応じた光量の蛍光を発生する。蛍光は光ファイバ118を介して光検出器(不図示)に受光され分析される。
【0006】
センサ110では、被計測溶液のセンサ部116への進入経路が貫通孔120である。このため、センサ110を皮下に穿刺したときに、気泡が貫通孔120に付着するおそれがあった。気泡が付着した貫通孔120を介しては、被計測溶液はセンサ部116へ進入できないため、気泡が取り除かれるまではセンサ110は検出のレスポンスは遅くなる。
【0007】
また所定のアナライト濃度の溶液中にセンサ110を浸漬して性能を評価する場合にも、溶液に溶存していた気体が気泡となって貫通孔120に付着するおそれがあった。すると、測定前に気泡を除去する操作が必要となる。
【0008】
すなわち、従来のセンサ110は、穿刺直後などの使用開始時には安定した測定を行うことが容易ではないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO06/090596号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
使用開始時から安定した測定が行える針型センサおよび前記針型センサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の針型センサは、針本体部と、前記針本体部の基端側に設けられたコネクタ部と、前記針本体部の先端側に配設され、アナライト濃度を測定する、最外層が遮光層であるセンサ部と、を有し、前記遮光層が、その周囲の表面の少なくとも一部より凸となっている。
また、本発明の別の一態様の針型センサの製造方法は、角柱状の半導体からなる基板の先端部に凹部を形成する工程と、前記凹部の側面に光電変換素子を形成する工程と、前記凹部の底面に、励起光を発生するとともに、蛍光を透過する発光素子を配設する工程と、前記発光素子を覆う透明中間層を前記凹部の内部に配設する工程と、前記凹部の開口部をマスキング部材で仮封止するマスキング工程と、前記基板の先端部を保護層で埋め込む工程と、前記マスキング部材とともに保護層を部分的に除去する工程と、前記透明中間層の上の前記凹部の内部にアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層を配設する工程と、保護層が除去された前記凹部の開口を最外層で覆う工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、使用開始時から安定した測定が行える針型センサおよび前記針型センサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の針型センサの概略構成を示す側面図である。
【図2】従来の針型センサの概略断面構造を示す断面図である。
【図3】第1実施形態の針型センサを有するセンサシステムの構成を説明するための模式図である。
【図4】第1実施形態の針型センサの先端部の構成を説明するため模式図である。
【図5】第1実施形態の針型センサの先端部の概略断面構造を示す、図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】第1実施形態の針型センサの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】第1実施形態の針型センサの製造方法を説明するための先端部の概略断面構造を示す断面図である。
【図8】第1実施形態の変形例1、変形例2および比較例の針型センサ等の先端部の構成を説明するため模式図である。
【図9】第1実施形態の変形例3の針型センサの先端部の概略断面構造を示す断面図である。
【図10】第1実施形態の変形例3の針型センサの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】第1実施形態の変形例3の針型センサの製造方法を説明するための先端部の概略断面構造を示す断面図である。
【図12】第2実施形態の針型センサ等の先端部の構成を説明するため模式図である。
【図13】第2実施形態の針型センサの先端部の概略断面構造を示す、図12のXIII−XIII線に沿った断面図である。
【図14】第2実施形態の変形例の針型センサ等の先端部の構成を説明するため模式図である。
【図15】第2実施形態の変形例の針型センサの先端部の概略断面構造を示す、図14のXV−XV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面を用いて、本発明の第1実施形態の針型センサ(以下「センサ」という)30について説明する。図3に示すように、センサ30はセンサ本体部40およびレシーバー45と組み合わせてセンサシステム1として使用される。すなわち、センサシステム1は、センサ30と、センサ本体部40と、センサ本体部40からの信号を受信し記憶するレシーバー45と、を有する。センサ本体部40とレシーバー45との間の信号の送受信は無線または有線で行われる。
【0015】
センサ30は、センサ部10を有する先端部32と、細長い針本体部(以下、単に「本体部」ともいう)33と、針本体部33の針後端部34と一体化したコネクタ部35とを有する。なお、以下の説明において、前側とは先端側を、後側とはコネクタ部側を意味する。すなわち、センサ30は、針本体部33と、針本体部33の基端側に設けられたコネクタ部35と、針本体部33の先端側に配設されたセンサ部10と、を有する。
【0016】
コネクタ部35はセンサ本体部40の嵌合部41と着脱自在に嵌合する。センサ30はコネクタ部35がセンサ本体部40の嵌合部41と機械的に嵌合することにより、センサ本体部40と電気的に接続される。
【0017】
センサ本体部40は、図示しないがレシーバー45と無線で信号を送受信する無線アンテナと、電池などの電源と、センサ部10の駆動および制御などを行う各種回路などを有する。各種回路としては、信号を増幅する増幅回路、回路用基準クロック発生回路、ロジック回路、データ処理回路、AD変換処理用回路、モード制御回路、メモリ回路、および通信用高周波発生器回路などを例示することができる。なお、レシーバー45と有線で信号を送受信する場合には、センサ本体部40は、無線アンテナに代えて信号線を有する。
【0018】
センサ30は感染防止等のために使用後は処分される使い捨て(ディスポ)部であるが、センサ本体部40およびレシーバー45は繰り返し再使用されるリユース部である。
【0019】
センサ30はセンサ本体部40と嵌合した状態で、被検者自身が体表面から穿刺して、真皮層に先端部32が留置される。そして、連続使用期間が一週間程度の短期皮下留置型であるセンサ30は、例えば体液中のグルコース濃度を連続して測定し、レシーバー45のメモリに記憶する。
【0020】
図4に示すように、先端部32の一面は、針本体部33よりも高さが低い遮光層配設面であり、センサ部10の最外層である遮光層18が配設されている。遮光層18は角部が丸められた矩形、すなわち略矩形である。なお遮光層18は周端が曲線から構成された楕円等または4本以上の辺から構成された多角形であってもよい。
【0021】
遮光層配設面に配設された遮光層18の表面の周端は、後端側方向を除いて、厚さ分だけ、遮光層18を取り囲む周囲の表面よりも凸である。なお、遮光層18の厚さは、例えば、5μm〜20μmである。
【0022】
すなわち、センサ部10とセンサ30の基本構造体である基板11とは、保護層(カバー層)19で覆われているが、遮光層配設面には保護層はない。言い換えれば、センサ30は、遮光層配設面を除くセンサ部10と基板11とが埋め込まれた保護層19を有する。
【0023】
なお、保護層19は、遮光層18を除く針本体部の少なくとも先端側の一部を覆っていればよい。
【0024】
先端部32は、例えば幅および厚さ(高さ)が、0.1mm〜1mmの角に丸みを有する細長い四角柱状である。そして、針本体部33を含めた長さは5〜20mm程度であり、先端部32を含めて5mm〜10mm程度が皮下に留置される。
【0025】
次に、図5を用いて、センサ30のセンサ部10の構造について説明する。センサ部10は、基板11であるシリコン基板と、光電変換素子であるフォトダイオード素子(PD素子)12と、発光素子である発光ダイオード素子(LED素子)15と、透明中間層16と、蛍光色素を含有するインジケータ層17と、最外層である遮光層18とが、基板11側から順に積層された構造を有する。
【0026】
PD素子12は受光面で受光した蛍光を電気信号に変換する。LED素子15は蛍光を透過する材料からなり、励起光を発生する。透明中間層16はLED素子15を覆い保護するとともに、インジケータ層17を収容するインジケータ空間の底面を構成する。
【0027】
PD素子12、LED素子15、透明中間層16、およびインジケータ層17は、基板11上の同一領域内であるセンサ枠20の凹部(貫通孔)の内部に配設されている。センサ枠20はインジケータ空間の側面を構成しており、遮光層18はインジケータ空間の上面を構成している。
【0028】
なお、図示しないがPD素子12の表面は、フィルタ層で覆われている。フィルタ層はLED素子15が発生する励起光Eは通さず、それよりも長波長の蛍光Fは通す、例えば吸収型光学フィルタである。
【0029】
インジケータ層17は、励起光を受光すると、内部に進入したアナライト濃度に応じた光量の蛍光を発生する。
【0030】
遮光層18は、アナライトおよび水が通過可能であるが、光を遮断する。すなわち、外光がセンサ部10の内部に入射するのを防止するとともに、センサ部10から外部へ励起光および蛍光が出射するのを防止する。遮光層18は、親水性の高い材料で表面修飾されていてもよい。
【0031】
そして、遮光層配設面を除くセンサ部10と基板11とは、保護層19に埋め込まれている。すなわち、保護層(カバー層)19が、センサ30の主面および側面に配設されている。保護層19としては、生体適合性、フレキシブル性、および電気絶縁性などの要件を満たす材料、例えば、ポリパラキシリレン等の樹脂からなる。
【0032】
以上の説明のように、センサ30は、基板11と、遮光層18を通過した溶液中のアナライト濃度を測定する、基板11に配設されたセンサ部10と、基板11と遮光層配設面を除くセンサ部10とが埋め込まれた保護層19と、を具備し、平面視矩形の遮光層18が、表面の4つの全周端のうち、3周端(3辺、3方向)において、その周囲の表面よりも凸である。
【0033】
センサ30は、アナライトを含む被計測溶液がセンサ部10に進入する遮光層18の表面である遮光層18の表面が、その周囲の表面の少なくとも一部より凸状態であるために、気泡の付着により応答性が劣化することがなく、使用開始時から安定した測定が行える。
【0034】
なお、センサ30は、アウターニードル等の挿入補助用鞘管の内部に組み込まれた状態で被検体に穿刺され皮下に挿入される。皮下挿入後は、鞘管のみが抜き取られ、鞘管により形成された孔に留置されセンサ30は、アナライト濃度を測定する。
【0035】
次に図6および図7(A)〜図7(D)を用いて、センサ30の製造方法について説明する。
<ステップS10>
基板11にPD素子12が配設される。光電変換素子として、PD素子12を表面に形成する場合は、基板11としては単結晶シリコン基板が好適であるが、PD素子12の配設方法によっては、ガラス基板など多様な材料から選択可能である。
【0036】
PD素子12の受光面を覆うようにフィルタ層(不図示)が配設される。フィルタ層は、例えば375nmより短い励起光Eの波長では透過率は10−7以下であり、460nmの蛍光Fの波長では透過率10−1以上すなわち10%以上と、波長による透過率の比としては6桁以上の透過率選択性を有する。フィルタ層は、反射型フィルタでもよいし、シリコン膜または炭化シリコン膜等を用いた吸収型フィルタでもよい。
【0037】
なお、図示しないが、PD素子12の出力信号を伝達する配線およびLED素子15の駆動信号を伝達する配線が、針本体部33を経てコネクタ部35まで配設される。
【0038】
<ステップS11>
PD素子12の受光面が内部の底面となるように、貫通孔のある額縁状のセンサ枠20が、基板11に接合される。センサ枠20は、金属、半導体、ガラス、セラミック、または樹脂などから遮光機能および十分な機械的強度を有する材料を用いることができる。材料の遮光機能が不十分場合には、遮光性の膜により覆われる。また、基板11とセンサ枠20とは、直接接合されたり、遮光性材料を介して接合されたりする。
【0039】
<ステップS12>
PD素子12の上側に、フィルタ層を介して、励起光を発生するLED素子15が配設される。
【0040】
LED素子15としては、蛍光透過率、光発生効率、励起光の波長選択性の広さ、および励起光となる紫外線以外の波長の光を僅かしか発生しないことなどの観点からは、サファイア基板を用いた窒化ガリウム系の紫外線発光LED素子が好ましい。
【0041】
<ステップS13>
LED素子15を覆うように、透明中間層16がセンサ枠20の内部に配設される。透明中間層16は、エポキシ樹脂膜、シリコーン樹脂、または透明な非晶性フッ素樹脂などからなる。
なお、透明中間層16は可視光の全波長帯の光を透過する必要はなく、例えば励起光波長および蛍光波長における透過率が高ければ、見かけ上、半透明のものであってもよい。
【0042】
図7(A)に示すように、透明中間層16により、センサ枠20の内部のLED素子15等は保護された状態となる。
【0043】
<ステップS14>
センサ枠20の開口部が、マスキングテープ等のマスキング部材21で仮封止される。マスキング部材21は、剥離が容易で、かつステップS15の保護層形成工程等において破断したり剥離したりしない部材から選択される。マスキング部材21としてテープではなく、熱可塑性樹脂等を用いてもよい。
【0044】
<ステップS15>
図7(B)に示すように、マスキング部材21で仮封止されたセンサ枠20が接合された基板11の、少なくとも先端部32が保護層19で埋め込まれる。言い換えれば、先端部32の表面が保護層19で覆われた状態となる。なお先端部32と同時に針本体部33の先端端面も保護層で覆われることが好ましい。
【0045】
保護層19は、例えば、所定の形状の金型の中に、樹脂シートで挟み込んだ先端部を配置し加圧したり、先端部を配置した金型に樹脂を流し込んだりして形成される。また、いわゆるディップコーティング法により形成してもよい。
【0046】
なお、図7(B)ではマスキング部材21の上にも保護層19が形成されているが、形成されていていなくともよい。
【0047】
<ステップS16>
図7(C)に示すように、センサ枠20の開口部からマスキング部材21とともに、マスキング部材21の周囲の保護層が除去される。例えば、切削治具の鋭利な刃先を、センサ枠20の後端部に到達するまで保護層19に切り込んでから、水平方向に先端部32の先端まで移動することで、マスキング部材21とともに保護層が部分的に除去される。
【0048】
<ステップS17>
センサ枠20の内部にインジケータ層17が配設される。インジケータ層17は、例えば、含水し易いハイドロゲルをベース材料として、ハイドロゲル内に蛍光色素を包含または結合させている。ハイドロゲルの成分としてはメチルセルロースもしくはデキストランなどの多糖類、(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、もしくはヒドロキシエチルアクリレート等のモノマーを重合して作製するアクリル系ハイドロゲル、またはポリエチレングリコールとジイソシアネートから作製するウレタン系ハイドロゲルなどを用いることができる。
【0049】
蛍光色素は、アナライト2の種類に応じて選択され、アナライト2の量に応じて発生する蛍光の光量が可逆的に変化する蛍光色素ならば、どのようなものでも使用できる。例えば生体内の水素イオン濃度または二酸化炭素を測定する場合には、ヒドロキシピレントリスルホン酸誘導体、糖類を測定する場合には蛍光残基を有するフェニルボロン酸誘導体、カリウムイオンを測定する場合には蛍光残基を有するクラウンエーテル誘導体などを用いることができる。
【0050】
そして、グルコースのような糖類を測定する場合には、蛍光色素として、ルテニウム有機錯体、蛍光フェニルボロン酸誘導体、または蛋白と結合したフルオレセイン等のグルコースと可逆結合する物質を用いることができる。また、ルテニウム有機錯体のルテニウムに代えてオスミウム、イリジウム、ロジウム、レニウムおよびクロム等の有機錯体を用いることができる。なお蛍光フェニルボロン酸誘導体としては、特に2つのフェニルボロン酸と蛍光残基としてアントラセンを含む化合物が検出感度が高い。
【0051】
以上の説明のように、センサ30は、蛍光色素の選択によって、酸素センサ、グルコースセンサ、pHセンサ、免疫センサ、または微生物センサなど、多様な用途に対応している。
【0052】
なお、ハイドロゲルからなるインジケータ層17は、含水状態では使用前に特性が経時変化することがある。使用前の劣化を防止するため、インジケータは、使用前は乾燥状態とし、使用開始時に含水状態とすることが好ましい。すなわち、インジケータ層17を構成する乾燥状態のハイドロゲルは、使用開始時に体内に挿入されると、遮光層18を介して、血液などの体液、すなわち水を吸収し膨潤する。
【0053】
<ステップS18>
図7(D)に示すように、センサ枠20の開口を覆うように遮光層18がセンサ枠20の上面に接合される。遮光層18が配設されるセンサ枠20の周囲は、保護層19が部分的に除去されている領域である。このため、すでに説明したように、遮光層18の表面の周端は、遮光層の厚さ分だけ、遮光層18を取り囲む周囲の表面よりも凸となる。
【0054】
なお、図5等に示すように、センサ30では遮光層18の後端側周端と接している保護層19の壁面は主面に対して略垂直である。このため遮光層18の表面は3周端において、その周囲の表面よりも凸であるが、後端側周端においては、その周囲の表面、すなわち保護層19の表面より凹である。
【0055】
しかし、ステップS16における切削治具の刃先の切り込み角度によっては、保護層19の壁面は傾斜していてもよい。また、保護層19の壁面と遮光層18の周端との間に空間があってもよい。遮光層18の表面の全周端が、その周囲の表面よりも凸状態のセンサは、周端の一部のみが凸状態のセンサよりも使用開始時から、より安定した測定が行える。
【0056】
遮光層18は、アナライト2が、その内部を通過してインジケータ層17に到達するのを妨げない材料を用いて構成される。例えば微多孔質の金属もしくはセラミックス、またはインジケータ層17に用いるハイドロゲルにカーボンブラックもしくはカーボンナノチューブなどの光を通さない微粒子を混合した複合材料が好適である。また、遮光層18は、多数の貫通孔を有するシリコン基板等でもよい。
【0057】
以上の説明のように、本実施形態のセンサ30の製造方法は、角柱状の半導体からなる基板11の先端部に凹部22を形成する工程と、凹部22の側面にPD素子12およびフィルタ層を形成する工程と、凹部22の底面に、励起光を発生するとともに、蛍光を透過するLED素子15を配設する工程と、LED素子15を覆う透明中間層16を凹部22の内部に配設する工程と、凹部22の開口部をマスキング部材21で仮封止するマスキング工程と、基板11の先端部を保護層19で埋め込む工程と、前記マスキング部材21とともに保護層19を部分的に除去する工程と、透明中間層16の上の凹部22の内部にアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層17を配設する工程と、保護層19が部分的に除去された凹部22の開口を遮光層18で覆う工程と、を具備する。
【0058】
センサ30では、センサ枠20の上面、すなわち遮光層配設面は、保護層19がマスキング部材21とともに部分的に除去することにより形成されている。このため、保護層19によるセンサ部10と基板11との埋め込み、すなわち、保護層形成が容易である。また、保護層19が、センサ部10と基板11とを確実に埋め込むため、センサ30は信頼性が高い。さらに、表面の周端が、その周囲の表面よりも凸な遮光層18を有する構造を容易に作製できる。
【0059】
保護層19は、先端部の後端側では、表面位置が遮光層18よりも高い位置になるように厚さが設定されている。例えば、保護層19の厚さは、先端側では1μm〜10μmであり、後端側では10μm〜50μmである。そして、センサ30はセンサ枠上面の周辺すなわち先端部32の上部の保護層が部分的に除去されている。すなわちセンサ枠よりも後端側の保護層は除去されない。このため、保護層19の表面は、先端部32の先端側および側面側においては遮光層18の表面よりも凹であり、後端側において遮光層18の表面よりも凸となる。このため、針本体部33は保護層19の厚さが厚いため、耐久性および磨耗性などの機械的耐久性が高い。
【0060】
<第1実施形態の変形例1、2および比較例>
次に本発明の第1実施形態の変形例1、2のセンサ30A、30Bについて説明する。センサ30A、30Bは第1実施形態のセンサ30と類似しているので、類似した構成要素には同じ数字の符号を付し説明は省略する。
【0061】
第1実施形態のセンサ30では、平面視略矩形の遮光層18は、表面の全周端の3方向(3辺)において、その周囲の表面よりも凸であった。これに対して図8(A)に示す変形例1のセンサ30Aの遮光層18は、先端側周端の1辺だけが、その周囲の表面よりも凸である。すなわち保護層19がセンサ側面まで延長されている。センサ30Aでは、遮光層18の表面位置が先端側周端でのみ保護層19よりも凸である。
【0062】
また、図8(B)に示す変形例2のセンサ30Bの遮光層18は、先端側周端においては周囲の保護層19の表面よりも凸であり、後端側周端においては周囲の保護層19の表面よりも凹である。なお、センサ30Bでは、遮光層18は先端部32の側面まで延設されている。
【0063】
変形例1のセンサ30Aおよび変形例2のセンサ30Bは、第1実施形態のセンサ30と同様の効果を有する。すなわち、図8(C)に示すように、矩形の主面を有する遮光層18の表面が全周端において、その周囲の表面よりも凹の比較例のセンサ130と比較すると、気泡の付着が発生しにくいため応答性が劣化することがなく、使用開始時から安定した測定が行える。
【0064】
すなわち、遮光層18の表面が表面の全周端の少なくとも一部(1辺、1方向)において、その周囲の表面よりも凸であるセンサは、所定の効果を有する。
【0065】
<第1実施形態の変形例3>
次に本発明の第1実施形態の変形例3のセンサ30Cについて説明する。センサ30Cは第1実施形態のセンサ30と類似しているので、類似した構成要素には同じ数字の符号を付し説明は省略する。
【0066】
図9に示すように、本実施形態のセンサ30Cは、いわゆる縦型構造のセンサ部10Cを有する。センサ30Cは、シリコンなどの半導体からなる基板11に、平面視矩形の開口部のある凹部22が形成されている。なお、凹部22となる額縁形状のセンサ枠基板と平面基板とを接合することにより、凹部22を有する基板11が作製されていてもよい。
【0067】
そして、凹部22の壁面(側面)にPD素子12Cが形成され、凹部22の底面にLED素子15Cが配設されている。すなわち、縦型構造のセンサ部10CではPD素子12Cは主面に対して縦方向に形成されている。そして側面に形成されたPD素子12Cの受光面を覆うように、励起光を遮断し蛍光を透過するフィルタ層14Cが配設されている。
【0068】
LED素子15Cを覆う透明中間層16Cの上部に、乾燥したインジケータ層17Cが配設されている。そして、凹部22の開口を覆うように光を遮断する遮光層18Cが配設されている。そして、遮光層配設面を除いて先端部32の外周の全面に保護層19が配設されている。
【0069】
以上の説明のように、センサ30Cは、センサ部10Cが、主面と平行な底面を有する凹部22があり、凹部22の内壁にPD素子12CとPD素子12Cの受光面を覆うフィルタ層14Cとが配設された基板11と、凹部22の内部に配設された、励起光を発生するLED素子15Cと、凹部22の内部のLED素子15Cの上側に配設された、励起光を受光するとアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層17Cと、外光の進入を防止するアナライトが通過可能な遮光層18と、を有する。そして、遮光層18の表面は、その周囲の表面よりも凸である。
【0070】
なお、図9等に示すように、センサ30Cでは、遮光層18Cの後側周端と保護層19Cとの間に空間がある。このため、遮光層18Cは、表面の全周端が、その周囲の表面よりも凸である。
【0071】
センサ30Cはセンサ30等と同様の効果を有する。また、センサ30Cはセンサ30Aとよりも小型化が容易で、より高感度である。
【0072】
次に、図10および図11(A)〜図11(E)を用いて、センサ30Cの製造方法について簡単に説明する。なお、1個のセンサ30C毎に製造してもよいが、ウエハプロセスとして一括して多数のセンサを製造することが好ましい。
【0073】
<ステップS20>凹部22形成
図11(A)に示すように、複数の針型センサが作製可能な面積を有する基板11となるシリコンウエハの第1の主面に複数の平面視矩形のマスクパターンを有するマスク層23が作製される。そして、図11(B)に示すように、エッチング法により、第1の主面と平行な底面のある複数の凹部22が形成される。
【0074】
凹部22の開口の大きさは、センサ30のセンサ枠20の内寸と同様に仕様に応じて設計されるが、いずれも配設箇所が先端部32であるために、例えば、縦150μm、横500μmのように細長い長方形形状であることが好ましい。
【0075】
エッチング法としては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などを用いるウエットエッチング法が好ましいが、反応性イオンエッチングまたはケミカルドライエッチングなどのドライエッチング法も用いてもよい。
【0076】
なお、凹部22の開口面は底面よりも広く、側面は、底面に対して垂直ではなく所定の角度θで傾斜していることが好ましい。
【0077】
例えばウエットエッチング法では、シリコンウエハとしてシリコン(100)面を用いた場合には、(111)面のエッチング速度が(100)面に比べて遅い異方性エッチングとなるため、凹部22の側面は(111)面となり、(100)面(底面)との角度θは、54.7度となる。
【0078】
<ステップS21>PD素子形成
それぞれの凹部22の4側面にPD素子12Cが公知の半導体プロセスにより形成される。例えば、マスク層が形成されたシリコン基板を5度〜30度に傾けた状態で、4方向からイオン注入処理が行われる。例えば、ほう素を注入する場合の条件は、加速電圧:10〜100keV、注入量:1×1015cm−2程度である。
【0079】
側面が傾斜している凹部22は、側面が垂直な凹部22に比べてPD素子12を形成できる面積が広いだけでなく、側面へのPD素子12Cの形成が容易である。なお側面の傾斜角度θが30〜70度であれば、上記効果が顕著である。なお、PD素子12Cは凹部22の少なくとも1側面の一部に形成されるが、凹部22の底面にも形成されてもよい。
【0080】
<ステップS22>LED素子配設
PD素子12Cの受光面を覆うように、フィルタ層14Cが配設される。次に、複数の凹部22の底面に、それぞれLED素子15Cが配設される。なお、LED素子15Cは発光部および駆動電極が下側になるように配設され、駆動電極は図示しない貫通配線を介して基板11の裏面、すなわちセンサ部10Cの背面の配線と接続される。
【0081】
<ステップS23>透明中間層配設
図11(C)に示すように、LED素子15Cを覆うように、凹部22の内部にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、または透明な非晶性フッ素樹脂などからなる透明中間層16Cが配設される。
【0082】
<ステップS24>マスキング部材配設
凹部22の開口部が、マスキングテープ等のマスキング部材21で仮封止される。
【0083】
<ステップS25>保護層配設
図11(D)に示すように、マスキング部材21で仮封止された凹部22を含む基板11の、少なくとも先端部の全周が保護層19で埋め込まれる。
【0084】
<ステップS26>マスキング部材剥離
マスキング部材21とともに、マスキング部材配設面を覆う保護層が部分的に除去されることで、遮光層配設面が形成される。
【0085】
<ステップS27>インジケータ層配設
凹部22の内部にインジケータ層17Cが配設される。
【0086】
<ステップS28>遮光層配設
図11(E)に示すように、凹部22の開口を覆うように遮光層18Cが接合される。インジケータ層17Cを、蛍光色素と、ゲル骨格形成材と、重合開始剤と、を含むリン酸緩衝液を、窒素雰囲気下で1時間放置し、重合することにより作製する場合には、遮光層18Cを配設後に重合処理が行われる。
そして複数のセンサが形成されたシリコンウエハが個片化される。その後、ハイドロゲル乾燥工程を経て、センサ部10Cが完成する。
【0087】
なお、センサ30Cでは、基板11を、先端部32、針本体部33およびコネクタ部35の主要構成部材としてもよい。すなわち、シリコンウエハの加工により、センサ部10Cを有する先端部32だけでなく、針本体部33およびコネクタ部35を作製してもよい。
【0088】
以上の説明のように、センサ30Cは、センサ30が有する効果を有し、さらに基板11に形成した凹部22内にセンサ部10Cを作製するために製造が容易である。
【0089】
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態のセンサ30Dについて説明する。センサ30Dは第1実施形態のセンサ30と類似しているので、類似した構成要素には同じ数字の符号を付し説明は省略する。
【0090】
図9に示すように、センサ30Dは、第1のセンサ部10D1と第2のセンサ部10Dとを有する。2つのセンサ部10Dは、すでに説明したセンサ部10と同様の構成である。例えば、センサ部10D1は、PD素子12D1と、LED素子15D1と、透明中間層16D1と、インジケータ層17D1と、第1の最外層である第1の遮光層18D1とが、基板11側から順に積層された構造を有する。
【0091】
なお、センサ30Dでは、センサ枠20Dが2つの凹部(貫通孔)を有し、それぞれの凹部に、それぞれのセンサ部10Dの構成部材が配設されている。なお、第1のセンサ部10D1の第1の遮光層18D1と第2のセンサ部10Dの第2の遮光層18D2とは、一体の遮光層であってもよい。一方、センサ枠20Dは2つのセンサ枠から構成されていてもよい。
【0092】
2つのセンサ部10Dは独立してアナライトを検出するため、センサ30Dは精度が高い。また一つのセンサ部が故障しても他のセンサ部により測定を継続できる。また、一方のセンサ部の最外層をアナライトが通過しない層で構成し、バックグラウンド信号を取得するようにしてもよい。
【0093】
そして、遮光層配設面は保護膜が部分的に除去されている。このため、第1の遮光層18D1の表面は、4方向の周端(4辺)において、その周囲の表面よりも凸であり、第2の遮光層18D2の表面は、3方向の周端(3辺)において、その周囲の表面よりも凸である。
【0094】
このため、センサ30Dは、センサ30と同様の効果を有する。さらにセンサ30Dは、2つのセンサ部を有するため測定精度が高い。
【0095】
また、図14および図15に示す第2実施形態の変形例のセンサ30Eでは、第1の遮光層18E1と第2の遮光層18E2との間に保護層19が部分的に残されている。そして部分的に残された保護層19の壁面は傾斜し、その周端と接するように遮光層18Eが配設されている。
【0096】
このため、第1の遮光層18E1は、3辺において、その周囲の表面よりも凸であり、第2の遮光層18E2は2辺において、その周囲の表面よりも凸である。
【0097】
センサ30Eは、保護層19のうち、遮光層の周辺の保護層の少なくとも1部が切り欠かれ除去されている。このため、センサ30Eは、センサ30Dと同様の効果を有する。
【0098】
なお、実施形態のセンサ30〜30Eのセンサ部は、蛍光を検出する方式であった。しかし、異なる検出原理によりアナライトを検出する方式のセンサ部を有するセンサであっても実施形態のセンサと同様の効果を有する。
【0099】
すなわち、本発明は、上述した実施形態または変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0100】
1…センサシステム
2…アナライト
10…センサ部
11…基板
12…PD素子
14C…フィルタ層
15…LED素子
16…透明中間層
17…インジケータ層
18…遮光層
19…保護層
20…センサ枠
21…マスキング部材
22…凹部
30…センサ
32…先端部
33…針本体部
34…針後端部
35…コネクタ部
40…センサ本体部
41…嵌合部
45…レシーバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針本体部と、前記針本体部の基端側に設けられたコネクタ部と、前記針本体部の先端側に配設され、アナライト濃度を測定する、最外層が遮光層であるセンサ部と、を有し、
前記遮光層が、その周囲の表面の少なくとも一部より凸となっていることを特徴とする針型センサ。
【請求項2】
前記遮光層を除く前記針本体部の少なくとも先端側の一部を覆う保護層を有することを特徴とする請求項1に記載の針型センサ。
【請求項3】
前記遮光層の表面の全周端が、その周囲の表面よりも凸であることを特徴とする請求項2に記載の針型センサ。
【請求項4】
前記保護層の表面が、先端側および側面側において前記遮光層の表面の周端よりも凹であり、後端側において前記遮光層の表面の周端よりも凸であることを特徴とする請求項3に記載の針型センサ。
【請求項5】
遮光層配置面が、前記保護層が部分的に除去されている領域であることを特徴とする請求項4に記載の針型センサ。
【請求項6】
前記センサ部が、
前記基板に主面と平行な底面を有する凹部があり、前記凹部の内壁に蛍光を電気信号に変換する光電変換素子が形成されており、
前記凹部の内部に配設された、励起光を発生する発光素子と、
前記凹部の内部の前記発光素子を覆う透明中間層と、
前記凹部の内部の前記透明中間層の上側に配設された、前記励起光を受光するとアナライト濃度に応じた強度の前記蛍光を発生するインジケータ層と、
前記凹部の開口を塞ぎ、光を遮断する前記遮光層、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の針型センサ。
【請求項7】
前記センサ部が、
前記基板に接合されたセンサ枠の内部の前記基板に配設された、蛍光を電気信号に変換する光電変換素子と、
前記センサ枠の内部の前記光電変換素子の上側に配設された、励起光を発生する発光素子と、
前記センサ枠の内部の前記発光素子を覆う透明中間層と、
前記センサ枠の内部の前記透明中間層の上側に配設された、前記励起光を受光するとアナライト濃度に応じた強度の前記蛍光を発生するインジケータ層と、
前記センサ枠の開口を塞ぎ、光を遮断する前記遮光層と、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に針型センサ。
【請求項8】
角柱状の半導体からなる基板の先端部に凹部を形成する工程と、
前記凹部の側面に光電変換素子を形成する工程と、
前記凹部の底面に、励起光を発生するとともに、蛍光を透過する発光素子を配設する工程と、
前記発光素子を覆う透明中間層を前記凹部の内部に配設する工程と、
前記凹部の開口部をマスキング部材で仮封止するマスキング工程と、
前記基板の先端部を保護層で埋め込む工程と、
前記マスキング部材とともに保護層を部分的に除去する工程と、
前記透明中間層の上の前記凹部の内部にアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層を配設する工程と、
前記保護層が除去された前記凹部の開口を、光を遮断する遮光層で覆う工程と、を具備することを特徴とする針型センサの製造方法。
【請求項9】
角柱状の基板の先端部に光電変換素子を配設する工程と、
前記光電変換素子が内部の底面となるように、センサ枠を前記基板に接合する工程と、
励起光を発生するとともに蛍光を透過する発光素子を、前記センサ枠の内部に配設する工程と、
前記発光素子を覆う透明中間層を、前記センサ枠の内部に配設する工程と、
前記センサ枠の開口部をマスキング部材で仮封止するマスキング工程と、
前記センサ枠が接合された前記基板の先端部を保護層で埋め込む工程と、
前記マスキング部材とともに保護層を部分的に除去する工程と、
前記透明中間層の上の前記センサ枠の内部にアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層を配設する工程と、
前記保護層が除去された前記センサ枠の開口を、光を遮断する遮光層で覆う工程と、を具備することを特徴とする針型センサの製造方法。
【請求項1】
針本体部と、前記針本体部の基端側に設けられたコネクタ部と、前記針本体部の先端側に配設され、アナライト濃度を測定する、最外層が遮光層であるセンサ部と、を有し、
前記遮光層が、その周囲の表面の少なくとも一部より凸となっていることを特徴とする針型センサ。
【請求項2】
前記遮光層を除く前記針本体部の少なくとも先端側の一部を覆う保護層を有することを特徴とする請求項1に記載の針型センサ。
【請求項3】
前記遮光層の表面の全周端が、その周囲の表面よりも凸であることを特徴とする請求項2に記載の針型センサ。
【請求項4】
前記保護層の表面が、先端側および側面側において前記遮光層の表面の周端よりも凹であり、後端側において前記遮光層の表面の周端よりも凸であることを特徴とする請求項3に記載の針型センサ。
【請求項5】
遮光層配置面が、前記保護層が部分的に除去されている領域であることを特徴とする請求項4に記載の針型センサ。
【請求項6】
前記センサ部が、
前記基板に主面と平行な底面を有する凹部があり、前記凹部の内壁に蛍光を電気信号に変換する光電変換素子が形成されており、
前記凹部の内部に配設された、励起光を発生する発光素子と、
前記凹部の内部の前記発光素子を覆う透明中間層と、
前記凹部の内部の前記透明中間層の上側に配設された、前記励起光を受光するとアナライト濃度に応じた強度の前記蛍光を発生するインジケータ層と、
前記凹部の開口を塞ぎ、光を遮断する前記遮光層、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の針型センサ。
【請求項7】
前記センサ部が、
前記基板に接合されたセンサ枠の内部の前記基板に配設された、蛍光を電気信号に変換する光電変換素子と、
前記センサ枠の内部の前記光電変換素子の上側に配設された、励起光を発生する発光素子と、
前記センサ枠の内部の前記発光素子を覆う透明中間層と、
前記センサ枠の内部の前記透明中間層の上側に配設された、前記励起光を受光するとアナライト濃度に応じた強度の前記蛍光を発生するインジケータ層と、
前記センサ枠の開口を塞ぎ、光を遮断する前記遮光層と、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に針型センサ。
【請求項8】
角柱状の半導体からなる基板の先端部に凹部を形成する工程と、
前記凹部の側面に光電変換素子を形成する工程と、
前記凹部の底面に、励起光を発生するとともに、蛍光を透過する発光素子を配設する工程と、
前記発光素子を覆う透明中間層を前記凹部の内部に配設する工程と、
前記凹部の開口部をマスキング部材で仮封止するマスキング工程と、
前記基板の先端部を保護層で埋め込む工程と、
前記マスキング部材とともに保護層を部分的に除去する工程と、
前記透明中間層の上の前記凹部の内部にアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層を配設する工程と、
前記保護層が除去された前記凹部の開口を、光を遮断する遮光層で覆う工程と、を具備することを特徴とする針型センサの製造方法。
【請求項9】
角柱状の基板の先端部に光電変換素子を配設する工程と、
前記光電変換素子が内部の底面となるように、センサ枠を前記基板に接合する工程と、
励起光を発生するとともに蛍光を透過する発光素子を、前記センサ枠の内部に配設する工程と、
前記発光素子を覆う透明中間層を、前記センサ枠の内部に配設する工程と、
前記センサ枠の開口部をマスキング部材で仮封止するマスキング工程と、
前記センサ枠が接合された前記基板の先端部を保護層で埋め込む工程と、
前記マスキング部材とともに保護層を部分的に除去する工程と、
前記透明中間層の上の前記センサ枠の内部にアナライト濃度に応じた強度の蛍光を発生するインジケータ層を配設する工程と、
前記保護層が除去された前記センサ枠の開口を、光を遮断する遮光層で覆う工程と、を具備することを特徴とする針型センサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−76592(P2013−76592A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215816(P2011−215816)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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