説明

鉄筋曲げ装置

【課題】効率よく高精度に目標の曲げ角度に加工でき、材料ロスを少なくする。
【解決手段】インバータモータによる力点部の回動操作に基づく鉄筋の曲げ角度を設定する曲げ角度設定手段20を設け、鉄筋径を入力自在な第1入力手段21と、鉄筋の材質を入力自在な第2入力手段22と、支点部の径を入力自在な第3入力手段23と、同時に曲げ加工する鉄筋の本数を入力自在な第4入力手段24の入力情報に基づいた力点部への回動停止指令位置情報を予め備えたデータベース25を設け、第1入力手段21、第2入力手段22、第3入力手段23、第4入力手段24の入力信号に基づいて、データベース25から力点部の回動停止指令位置情報を取り出してインバータモータに作動指令する制御装置を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋をクランプするクランプ部を設けると共に、前記クランプ部でクランプした鉄筋を曲げ加工するための支点部と、その支点部周りに回動して鉄筋を屈曲させる力点部とを設け、前記支点部を異なった径のものと取替え自在に構成し、前記力点部を回動操作するインバータモータを設け、前記力点部の回動操作時の鉄筋曲げ角度を設定する曲げ角度設定手段を設けてある鉄筋曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記曲げ角度設定手段で鉄筋の曲げ角度を設定すると、その設定角の手前の一定の角度の位置で回動停止指令がインバータモータに出力されるようになっていた(適当な文献が見当たらない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の鉄筋曲げ装置では、鉄筋径や材質、支点部の径、同時に曲げ加工する鉄筋の本数などが異なると、力点部を駆動回転するインバータモータに掛かる負荷が異なると共に、鉄筋から受ける反力が異なる。そのために、図4、図5に示すように、インバータモータに回動停止指令が出てから実際に停止するまでの停止時間に差が生じる。例えば、鉄筋1本の場合、回動停止指令が出た時点TSから、停止時点TP1までの時間TS1が長く(図4(a))、従って、停止までの力点部の回動角Θが大きい(図4(b))。
これに対し、鉄筋10本を同時に曲げる場合、回動停止指令が出た時点TSから、停止時点TP10までの時間TS10が短く(図5(a))、従って、停止までの力点部の回動角βが小さい(図5(b))。
一般的には、鉄筋曲げ時のトルクが大きいと、インバータモータに回動停止指令が出てから短い時間で停止する傾向にある。
そこで従来は、加工する鉄筋を、その径、材質、支点部の径、本数に応じて曲げ加工する前に試行錯誤により予備曲げ加工を何度か行って、目標の曲げ角度になるように曲げ角度設定手段に調整した曲げ角度を設定(例えば、鉄筋10本の場合は、曲げ角度α相当分の時間を加算して、回動停止指令を出す(図5(a)、(b)))しなければならず、手間が多くかかり作業効率が悪く、しかも、材料ロスが多かった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、効率よく、且つ、精度良く目標の曲げ角度に良く加工でき、しかも、材料ロスの少ない鉄筋曲げ装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、鉄筋をクランプするクランプ部を設けると共に、前記クランプ部でクランプした鉄筋を曲げ加工するための支点部と、その支点部周りに回動して鉄筋を屈曲させる力点部とを設け、前記支点部を異なった径のものと取替え自在に構成し、前記力点部を回動操作するインバータモータを設け、前記力点部の回動操作時の鉄筋曲げ角度を設定する曲げ角度設定手段を設けてある鉄筋曲げ装置であって、鉄筋径を入力自在な第1入力手段と、鉄筋の材質を入力自在な第2入力手段と、前記支点部の径を入力自在な第3入力手段と、同時に曲げ加工する鉄筋の本数を入力自在な第4入力手段との内の少なくとも一つの入力手段を設け、前記曲げ角度設定手段による設定曲げ角度になるように、前記第1入力手段と第2入力手段と第3入力手段と第4入力手段との内の前記少なくとも一つの入力手段への入力情報に基づいた前記力点部への回動停止指令位置情報を予め備えたデータベースを設け、前記第1入力手段、第2入力手段、第3入力手段、第4入力手段の内の少なくとも一つの入力手段への入力信号に基づいて、前記データベースから前記力点部の回動停止指令位置情報を取り出して前記インバータモータに作動指令する制御装置を設けてあるところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、鉄筋径を入力自在な第1入力手段と、鉄筋の材質を入力自在な第2入力手段と、前記支点部の径を入力自在な第3入力手段と、同時に曲げ加工する鉄筋の本数を入力自在な第4入力手段との内の少なくとも一つの入力手段への入力情報に基づいた前記力点部への回動停止指令位置情報を予め備えたデータベースを設けて、制御装置によって前記第1入力手段、第2入力手段、第3入力手段、第4入力手段の内の少なくとも一つの入力手段への入力信号に基づいて、前記データベースから前記力点部の回動停止指令位置情報を取り出して前記インバータモータに作動指令することにより、従来のように、曲げ加工する前に試行錯誤により予備曲げ加工を何度か行って、目標の曲げ角度になるように曲げ角度設定手段に調整した曲げ角度を設定しなければならないような多くの手間を掛けずとも、単に第1入力手段、第2入力手段、第3入力手段、第4入力手段の内の少なくとも一つの入力手段に加工対象の鉄筋の情報を入力するだけで、精度良く目標の曲げ角度に鉄筋を曲げ加工できる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、鉄筋をクランプするクランプ部を設けると共に、前記クランプ部でクランプした鉄筋を曲げ加工するための支点部と、その支点部周りに回動して鉄筋を屈曲させる力点部とを設け、前記支点部を異なった径のものと取替え自在に構成し、前記力点部を回動操作するインバータモータを設け、前記力点部の回動操作時の鉄筋曲げ角度を設定する曲げ角度設定手段を設けてある鉄筋曲げ装置であって、鉄筋径を入力自在な第1入力手段と、鉄筋の材質を入力自在な第2入力手段と、前記支点部の径を入力自在な第3入力手段と、同時に曲げ加工する鉄筋の本数を入力自在な第4入力手段を設け、前記曲げ角度設定手段による設定曲げ角度になるように、前記第1入力手段と第2入力手段と第3入力手段と第4入力手段の入力情報に基づいた前記力点部への回動停止指令位置情報を予め備えたデータベースを設け、前記第1入力手段、第2入力手段、第3入力手段、第4入力手段の入力信号に基づいて、前記データベースから前記力点部の回動停止指令位置情報を取り出して前記インバータモータに作動指令する制御装置を設けてあるところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、第1入力手段から第4入力手段まで全てを設け、それらの全ての入力手段の入力情報に基づいた力点部への回動停止指令位置情報をデータベースに予め備えさせてあることで、鉄筋径、鉄筋の材質、支点部の径、同時曲げ加工する鉄筋の本数のいずれが変更になっても精度の良い鉄筋曲げ加工品が得られる。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記第4入力手段は、鉄筋の本数を自動的に計測する本数自動計測装置を設けてあるところにある。
【0010】
本発明の第3の特徴構成によれば、特に多数本の鉄筋を曲げ加工する際には、一定の回動停止指令位置をインバータモータに作動指令しながら、一定の本数ずつ曲げ加工することで、曲げ精度の揃った鉄筋を得ることができるが、最後に一定の本数に満たない本数の鉄筋を曲げ加工する際には、インバータモータにかかる負荷が変わり、力点部の回動停止指令位置を変更する調整が必要になり、調整のための多くの手間と材料のロスも生じるものであるが、この問題を、本数自動計測装置とデータベース及び制御装置を設けることにより、簡単に解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の(a)鉄筋曲げ機の移動時の全体正面図、(b)鉄筋曲げ機の曲げ加工時の全体正面図である。
【図2】鉄筋曲げ機の正面図である。
【図3】鉄筋曲げ機の曲げ加工時の正面図である。
【図4】(a)は鉄筋が1本の時の力点部の移動速度と時間との関係を表すグラフ、(b)は鉄筋1本分の力点部の回動停止指令位置と停止位置との関係を表す状態図である。
【図5】(a)は鉄筋が10本の時の力点部の移動速度と時間との関係を表すグラフ、(b)は鉄筋10本分の力点部の回動停止指令位置と停止位置との関係を表す状態図である。
【図6】本数自動計測装置のシステム図である。
【図7】曲げ機における制御装置の動作を表すフローである。
【図8】第2実施形態の鉄筋曲げ装置の正面図である。
【図9】第2実施形態の鉄筋曲げ機で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
本発明の鉄筋曲げ装置は、鉄筋コンクリート用異径棒鋼などの鉄筋を所定の形状に曲げ加工するために使用されるものであり、図1に示すように、鉄筋曲げ装置の基台1の下部前面に、基台1の長手方向に沿うレール2が配設されており、そのレール2には、鉄筋Sを所定の形状に曲げるための第1鉄筋曲げ機3と第2鉄筋曲げ機4との2台の鉄筋曲げ機3,4が、レール2に沿って互いに近接離間自在に載置され、基台1の長手方向の中央には、両鉄筋曲げ機3,4の間に位置する状態で、鉄筋Sをクランプするためのクランプ部を形成するクランプ機5が設けられ、そして、両鉄筋曲げ機3,4の作動状態を制御する制御装置Cが設けられている。尚、図外に、鉄筋曲げ機を駆動移動させる移動装置を設けてある。
【0013】
図1,2,3に示すように、前記第1鉄筋曲げ機3と第二鉄筋曲げ機4とは、左右勝手違いはあるものの同じ構成であり、レール2に沿って走行自在な走行車輪を備えたフレーム11の前面のほぼ中央に、上下一対の部材からなる鉄筋を曲げ加工するための支点部12が、曲げ対象物として供給される鉄筋Sを上下両側から挟み込めるように相対向状態に固定されている。また、フレーム11の内部には、一部が円形に形成されて支点部12に面する盤状体15を、一対の支点部12の対向間中心近傍の軸芯X周りに回動駆動自在且つ軸芯Xに沿って前後に出退駆動自在に設けてある。そして、盤状体15の先端部には、鉄筋Sを屈曲させる力点部としての力点ローラ16を備えさせてあり、盤状体15の軸芯Xに沿う出退駆動にともなって、力点ローラ16が、フレーム11に開設された円弧状の長孔17を通して外部へ突出引退し、曲げ作用位置と非曲げ作用位置とに位置変更可能となるように構成してある。
【0014】
つまり、図2,3に示すように、当該実施形態の鉄筋曲げ機3,4では、上下一対の支点部12にて鉄筋Sを挟み込んだ姿勢にて、力点ローラ16を鉄筋Sよりもフレーム11寄りに引退させた姿勢で盤状体15を適宜回動駆動及び出退駆動させて、力点ローラ16が鉄筋Sの下方にて突出する上方曲げ姿勢と、力点ローラ16が鉄筋Sの上方にて突出する下方曲げ姿勢とに切替可能であり、鉄筋Sを移動させることなく鉄筋Sを上や下に自在に曲げ加工することができる。
【0015】
前記クランプ機5は、図1(a),(b)に示すように、相対上下自在な固定挟持部材6と可動挟持部材7とからなり、図外のシリンダーにより可動挟持部材7を挟持固定状態と固定解除状態とに切り替えるように構成されており、鉄筋曲げ機3,4の一対の支点部12及び固定挟持部材6・可動挟持部材7で、曲げ対象物として供給された鉄筋Sを安定に支持することができる。
【0016】
そして、前記制御装置Cには、曲げ速度制御部C1と力点部の回動停止指令位置制御部C2と移動速度制御部C3とを備えさせてある。
【0017】
前記曲げ速度制御部C1は、曲げ対象物として供給された鉄筋Sのうちの、支点部12と力点ローラ16による屈曲予定箇所からその力点部の回動にともない屈曲される端部側までの、屈曲予定長さLの長短に応じて、力点ローラ16の支点部12周りの回動速度ωを変更可能であり、屈曲予定長Lさが長いほど回動速度ωが遅くなるように構成してある。例えば、盤状体15を回動駆動するためのインバータモータ(図外)を制御することで、屈曲予定長さLの長短に応じて、盤状体15の回動速度が遅くなるように制御すればよい(図1(b))。
【0018】
本実施形態における鉄筋曲げ装置には、力点部の回動操作時の鉄筋曲げ角度を設定する曲げ角度設定手段20を設け、鉄筋径を入力自在な第1入力手段21と、鉄筋の材質を入力自在な第2入力手段22と、支点部の径を入力自在な第3入力手段23と、同時に曲げ加工する鉄筋の本数を入力自在な第4入力手段24を設け、曲げ角度設定手段20による設定曲げ角度になるように、第1入力手段21と第2入力手段22と第3入力手段23と第4入力手段24の入力情報に基づいた力点部への回動停止指令位置情報を予め備えたデータベース25を設けてある。
そして、前記回動停止指令位置制御部C2は、第1入力手段21、第2入力手段22、第3入力手段23、第4入力手段24の入力信号に基づいて、データベース25から力点部の回動停止指令位置情報を取り出してインバータモータに作動指令するように構成してある。
【0019】
つまり、インバータモータによる力点ローラ16の駆動回転においては、鉄筋径、鉄筋の材質、支点部の径、同時に曲げ加工する鉄筋の本数によって、力点部を駆動回転するインバータモータに掛かる負荷が異なると共に、鉄筋から受ける反力が異なり、そのために、インバータモータに回動停止指令が出てから実際に停止するまでの停止時間に差が生じる。
例えば、図4,図5に示すように、1本の鉄筋を曲げ加工する場合(図4(a)、(b))のインバータモータに回動停止指令を与えた時点(TS)から実際に力点ローラが停止するまでの時点(TP1)までの時間(TS1)と、10本の鉄筋を曲げ加工する場合(図5(a)、(b))のインバータモータに回動停止指令を与えた時点(TS)から実際に力点ローラが停止するまでの時点(TP10)までの時間(TS10)が異なる。即ち、同時加工鉄筋の本数が多くなるほど曲げ時のトルクが大きく短い時間で停止し易い。従って、同時曲げ加工本数が多くなるに従って、目的の曲げ角度になるように、インバータモータに与える回動停止指令は、遅く出さなければならない(例えば、鉄筋10本分の場合、力点部の回動角α相当分の時間を加算して、回動停止指令時点の変更調整を行う(図5(a)、図5(b)))。
【0020】
尚、上記現象に基づく制御は、同時曲げ加工の本数のみならず、鉄筋径、鉄筋の材質、支点部の径によっても異なり、夫々の条件に基づいて補正が必要になり、夫々の入力手段の組み合わせ毎に、異なった回動停止指令位置情報をデータベース25に予め記憶させて準備してある。
【0021】
前記第4入力手段24は、鉄筋の本数を自動的に計測する本数自動計測装置26を設けてある。
本数自動計測装置26の一例としては、鉄筋Sを鉄筋曲げ機に受け渡す途中に設け、図6に示すように、幅の略揃った複数本の鉄筋Sをその幅方向に並べて静置可能な載置部32を設け、鉄筋Sに向けて光を照射する発光部と、鉄筋Sで反射した前記光を受光する受光部とを備える光センサーZを、近接センサーの一種として設け、光センサーZを載置部32上の鉄筋Sに対してその併設方向に移動させるセンサー移動装置33を設け、センサー移動装置33による光センサーZの移動中に、受光部で受光している間だけ光センサーZの移動距離を計測する移動距離計測器34を設け、鉄筋Sの幅を入力自在な入力部35を設け、移動距離計測器34からの計測値を入力部35からの入力値で除し鉄筋Sの本数を割り出す演算装置36を設けてある。
【0022】
前記鉄筋Sは、一般的に段階的に径の異なる複数種のものがあり、その長手方向に所定間隔置きに節部が有る。
その節部は他の箇所よりも大径で、例えば、規格品の鉄筋D13の節部外径は、約13.3mmである。
そして、前記載置部32に鉄筋を幅方向(つまり径方向)に並べた場合には、隣接する鉄筋S間には、通常は隙間ができやすいが、たまたま光センサーZの移動経路に節部が位置した場合には、隣接する鉄筋間に、隙間が形成されない場合も生じる。
【0023】
前記センサー移動装置33を次のように構成してある。
前記載置部32に並べた鉄筋Sの幅方向に沿うように、軸心を向けたスプライン軸37が、その両端部を軸支持部38を介して固定する計測器枠体39を設けてある。
前記スプライン軸37に外嵌して摺動するボス部40を一対設け、それら両ボス部40に亘ってラック41が一体連結してあり、一方のボス部40を、下端部に光センサーZを取り付けた移動フレーム42の上端部に取り付けることにより、光センサーZがスプライン軸37の軸心方向に沿って移動自在に構成してある。
また、前記計測装置支持枠には、複動型のエアーシリンダー43が取り付けられ、そのエアーシリンダー43の出退ロッドに、移動フレーム42を連結することにより、光センサーZが移動操作されるように構成してある。
【0024】
前記光センサーZには、発光部と受光部とが同一の箇所に形成され、半導体レーザー発信器44から発するレーザー光が光ファイバー45を介して送られて発光部から照射されるように形成してある。また、発光部から照射したレーザー光が鉄筋Sから反射して帰ってきた光を、受光部で受けて、光ファイバー45を介して受光素子部46に入るようにしてある。
【0025】
前記移動距離計測器34は、移動フレーム42と共にスプライン軸37の軸心方向と平行に移動するラック41に対し、噛み合うピニオンギア47を連結したロータリーエンコーダー48を、計測器枠体39に取り付け、そのロータリーエンコーダー48で検出したピニオンギア47の回転数と、受光素子部46からの受光情報を基に、光センサーZの移動中に、受光部で受光している間だけ光センサーZの移動距離を計測するように構成してある。
【0026】
前記演算装置36は、移動距離計測器34からの積算計測値(=A+B+C・・・・)を、入力部35からの入力値Y(鉄筋の規格径)で除して鉄筋Sの総本数(=(A+B+C+・・・)÷Y)を割り出すように構成してある。
【0027】
図1(a)に示すように、前記移動速度制御部C3は、前記クランプ機5に対して前記鉄筋曲げ機3,4が移動装置(図外)によって近接駆動移動する近接移動速度Vを、前記鉄筋曲げ機3,4と前記クランプ機5との離間距離Wに応じて変更可能であり、前記離間距離Wが長いほど前記近接移動速度Vが速くなるように構成してある。例えば、エンコーダ等により前記鉄筋曲げ機3,4の前記クランプ機5に対する離間距離Wを検出可能とし、前記離間距離Wが長いほど前記クランプ機5に対して近接移動する近接移動速度Vが速くなるように、前記鉄筋曲げ機3,4の移動駆動するためのモータの電源の周波数をインバータ制御すればよい。
【0028】
尚、特に制御装置における回動停止指令位置制御部C2の動作は、図7のフローに示すように構成してある。
【0029】
〔第2実施形態〕
前記鉄筋曲げ装置は、図8、図9に示すように、鉄筋曲げ機を4台設ける装置であっても良い。つまり、鉄筋曲げ装置に、長手方向に沿うレール2が配設されており、そのレール2には、鉄筋Sを所定の形状に曲げるための第1鉄筋曲げ機27と第2鉄筋曲げ機28と第3鉄筋曲げ機29と第4鉄筋曲げ機30の4台の鉄筋曲げ機27,28,29,30が、レール2に沿って互いに近接離間自在に載置され、基台1の長手方向の中央には、第2鉄筋曲げ機28と第3鉄筋曲げ機29との間に位置する状態で、鉄筋Sをクランプするためのクランプ部を形成するクランプ機5が設けられ、そして鉄筋曲げ機27,28,29,30の作動状態を夫々制御する制御装置Cが設けられている。尚、図外に、鉄筋曲げ機を駆動移動させる移動装置を設けてある。
【0030】
前記鉄筋曲げ機は、夫々レール2に沿って走行自在な走行車輪を備えたフレーム11の全面の略中央に、鉄筋Sを曲げ加工するためのローラからなる支点部12が、曲げ対象物として供給される鉄筋Sの上側に出退駆動自在に配設され、且つ、異なる径のものと選択的に取替え自在に設けている。また、支点部12の軸心X周りに回動駆動自在な回動アーム31を設け、その回動アーム31の先端部には、鉄筋Sを屈曲させる力点部としての力点ローラ16を、着脱取替え自在に設けてある。
【0031】
つまり、鉄筋Sを4箇所曲げ加工する場合、図8に示すように、第1鉄筋曲げ機27と第4鉄筋曲げ機30夫々の力点ローラ16が回動駆動された後は、夫々の支点部12が引退し、その後、第2鉄筋曲げ機28と第3鉄筋曲げ機29夫々の力点ローラ16が回動駆動して所定形状のフープ筋が成形される。
【0032】
尚、前記クランプ機5及び制御装置Cについては、前述の構造と同様である。
【0033】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0034】
〈1〉 前記鉄筋曲げ装置には、鉄筋径を入力自在な第1入力手段21と、鉄筋の材質を入力自在な第2入力手段22と、支点部の径を入力自在な第3入力手段23と、同時に曲げ加工する鉄筋の本数を入力自在な第4入力手段24との内の少なくとも一つの入力手段を設けてあって、曲げ角度設定手段20による設定曲げ角度になるように、第1入力手段21と第2入力手段22と第3入力手段23と第4入力手段24との内の少なくとも一つの入力手段への入力情報に基づいた力点部への回動停止指令位置情報を予め備えたデータベース25を設け、第1入力手段21、第2入力手段22、第3入力手段23、第4入力手段24の内の少なくとも一つの入力手段への入力信号に基づいて、データベース25から力点部の回動停止指令位置情報を取り出してインバータモータに作動指令するように制御装置を構成してあってもよい。つまり、第1入力手段21〜第4入力手段24までの全ての入力手段を設けずに、一部の入力手段だけを設けてある場合があっても良い。
〈2〉 前記第4入力手段24は、同時に曲げ加工する鉄筋の本数を、人為的に入力するものであっても良い。
【0035】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
12 支点部
16 力点部
20 曲げ角度設定手段
21 第1入力手段
22 第2入力手段
23 第3入力手段
24 第4入力手段
25 データベース
26 本数自動計測装置
C 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋をクランプするクランプ部を設けると共に、前記クランプ部でクランプした鉄筋を曲げ加工するための支点部と、その支点部周りに回動して鉄筋を屈曲させる力点部とを設け、
前記支点部を異なった径のものと取替え自在に構成し、
前記力点部を回動操作するインバータモータを設け、
前記力点部の回動操作時の鉄筋曲げ角度を設定する曲げ角度設定手段を設けてある鉄筋曲げ装置であって、
鉄筋径を入力自在な第1入力手段と、
鉄筋の材質を入力自在な第2入力手段と、
前記支点部の径を入力自在な第3入力手段と、
同時に曲げ加工する鉄筋の本数を入力自在な第4入力手段との内の少なくとも一つの入力手段を設け、
前記曲げ角度設定手段による設定曲げ角度になるように、前記第1入力手段と第2入力手段と第3入力手段と第4入力手段との内の前記少なくとも一つの入力手段への入力情報に基づいた前記力点部への回動停止指令位置情報を予め備えたデータベースを設け、
前記第1入力手段、第2入力手段、第3入力手段、第4入力手段の内の少なくとも一つの入力手段への入力信号に基づいて、前記データベースから前記力点部の回動停止指令位置情報を取り出して前記インバータモータに作動指令する制御装置を設けてある
鉄筋曲げ装置。
【請求項2】
鉄筋をクランプするクランプ部を設けると共に、前記クランプ部でクランプした鉄筋を曲げ加工するための支点部と、その支点部周りに回動して鉄筋を屈曲させる力点部とを設け、
前記支点部を異なった径のものと取替え自在に構成し、
前記力点部を回動操作するインバータモータを設け、
前記力点部の回動操作時の鉄筋曲げ角度を設定する曲げ角度設定手段を設けてある鉄筋曲げ装置であって、
鉄筋径を入力自在な第1入力手段と、鉄筋の材質を入力自在な第2入力手段と、前記支点部の径を入力自在な第3入力手段と、同時に曲げ加工する鉄筋の本数を入力自在な第4入力手段を設け、
前記曲げ角度設定手段による設定曲げ角度になるように、前記第1入力手段と第2入力手段と第3入力手段と第4入力手段の入力情報に基づいた前記力点部への回動停止指令位置情報を予め備えたデータベースを設け、
前記第1入力手段、第2入力手段、第3入力手段、第4入力手段の入力信号に基づいて、前記データベースから前記力点部の回動停止指令位置情報を取り出して前記インバータモータに作動指令する制御装置を設けてある鉄筋曲げ装置。
【請求項3】
前記第4入力手段は、鉄筋の本数を自動的に計測する本数自動計測装置を設けてあるものである請求項1または2に記載の鉄筋曲げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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