説明

鉱質コルチコイド受容体調節剤

本発明は構造:を有するジヒドロピリジン鉱質コルチコイド受容体調節化合物および心血管現象の治療におけるこれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般式(I)の新規鉱質コルチコイド受容体調節剤に関する。本発明は、これらの化合物の調製方法、1種類以上の式(I)の化合物を含む医薬組成物、特に、心血管現象および他の病理における鉱質コルチコイド受容体調節剤としてのこれらの使用を含む、関連態様にも関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で説明される化合物は鉱質コルチコイド受容体調節剤の新規構造クラスを表す。
【0003】
鉱質コルチコイドは、成長、発生およびホメオスタシスの維持におけるこれらの多様な役割のため、多くの生理学的機能に対して強い影響を及ぼす;これらの作用には鉱質コルチコイド受容体(MR)が介在する。腎臓および腸のような内臓組織において、鉱質コルチコイド受容体はナトリウム保持、カリウム排泄およびアルドステロンに応答しての水バランスを調節する。アルドステロン濃度の上昇または鉱質コルチコイド受容体の過剰刺激は、コーン症候群、原発性および二次性高アルドステロン症、ナトリウム保持の増加、マグネシウムおよびカリウム排泄の増加(多尿)、水分保持の増加、高血圧(収縮期および収縮期拡張期(combined systolic/diastolic))、不整脈、心筋線維症、心筋梗塞、バーター症候群並びに過剰カテコールアミン濃度に関連する障害を含む、幾つかの生理学的障害または病理学的疾患状態に関連する(Hadley,M.E.,ENDOCRINOLOGY,2nd Ed.,pp.366−381,(1988);およびBrilla et al.,Journal of Molecular and Cellular Cardiology,25(5),pp.563−575(1993))。
【0004】
加えて、アルドステロン濃度の上昇はますます鬱血性心不全(CHF)に関連付けられている。CHFにおいては、心不全が、CHFに見られる血流および血圧の付随低下に応答して、他の臓器におけるホルモン機構を誘発する。特に、腎臓がレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を活性化し、これが副腎によるアルドステロン産生の増加を生じ、次いで水およびナトリウム保持、カリウム損失並びにさらなる浮腫を促進する。アルドステロンはこの塩保持効果の結果としてのみCHFの病因に関わるものと歴史的に信じられてはいるが、近年の幾つかの研究はアルドステロン濃度の上昇を、心筋および血管線維症、直接血管損傷並びに圧受容器機能不全のような、副腎外組織および臓器における現象に関連付けている。Pitt et al.,New Eng.J.Med.,341:709−717(1999)。これらの知見は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤が、心臓および血管を含む、副腎外組織において生じることが示されているアルドステロン産生を一時的にのみ抑制するものといまや信じられているため、特に重要である。Weber,New Eng.J.Med.,341:753−755(1999);Fardella and Miller,Annu.Rev.Nutr.,16:443−470(1996)。
【0005】
RALES(無作為アルダクトン上昇研究)からの公開された結果は、MRを介して作用するアルドステロンのCHFにおける関与を確認した(Pitt et al.,New Eng.J.Med.,341:709−717(1999))。標準CHF治療との組み合わせでの、周知の競合性MRアンタゴニストであるスピロノラクトンの使用が、進行性CHFの患者において心臓関連死亡率を30%、および入院の頻度を33%低下させたことが示された。しかしながら、スピロノラクトン治療は、胃出血、下痢、高窒素血症、高塩素血症性代謝性アシドーシスおよび4型尿細管アシドーシス、悪心、女性化乳房、勃起不全、高カリウム血症並びに月経不順のような付随する副作用に関連付けられてもいる。
【0006】
従って、鉱質コルチコイド受容体は、単独での、または血管拡張剤(ACE阻害剤)、筋収縮剤(ジゴキシン)、利尿剤またはβブロッカーのような従来のCHF治療との組み合わせでの、CHF治療の実行可能な標的を代表する。鉱質コルチコイド受容体に結合し、現行の治療に付随する副作用なしに受容体活性を調節する分子、好ましくは、非ステロイドが特に望ましい。
【0007】
鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストが高血圧および心不全の治療に認可されているが、これらの一般に十分に許容される薬物の使用は、ある患者における機構に基づく高カリウム血症のために制限される。現在まで、すべての認可された調節剤は受容体の完全アンタゴニストであり、ある患者において血清カリウム濃度の病的な増加を生じ得る。この作用はRAAS経路遮断剤をも摂取する患者または腎機能が損なわれている者において増加し、これが潜在的に致死的であるため、専門家による監視を必要とする。効力および高カリウム血症に関与する分子および生理学的機構が別物であることを示唆する証拠の蓄積が存在する。非カリウム血症性(non−kalemic)鉱質コルチコイド受容体調節剤はこのような現行の認可された化合物よりも明らかに安全であるため、従って、高カリウム血症性ではない鉱質コルチコイド受容体機能の調節剤に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hadley,M.E.,ENDOCRINOLOGY,2nd Ed.,pp.366−381,(1988)
【非特許文献2】Brilla et al.,Journal of Molecular and Cellular Cardiology,25(5),pp.563−575(1993)
【非特許文献3】Pitt et al.,New Eng.J.Med.,341:709−717(1999)
【非特許文献4】Weber,New Eng.J.Med.,341:753−755(1999)
【非特許文献5】Fardella and Miller,Annu.Rev.Nutr.,16:443−470(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、核受容体標的クラスによってもたらされる独自機会を利用することによって高カリウム血症から効力を分離する化合物を開発すること、即ち、特定の遺伝子または経路を選択的に調節することが望ましい。これらの化合物が二重活性;即ち、CHFのような状態の治療において有用なMR阻害および高血圧の治療に有用なカルシウムチャンネル拮抗作用を示すのであればさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特定の化合物および、鉱質コルチコイド受容体に関連することが公知である状態の治療を含む、鉱質コルチコイド受容体調節剤の使用に向けられる。本発明は式Iの化合物:
【0011】
【化1】

およびこれらの医薬的に許容し得る塩またはこれらの光学異性体を含み、式中、
Xはアルキルカルボキシレート;アリルカルボキシレート;アリールカルボキシレート;アルキルカルボキシアミドおよびアリールカルボキサミドからなる群より選択され;
Yはアルキルおよびチオアルキルからなる群より選択され;
は非置換または置換アリールであり;
はアルキルであり;並びに
Zはシアノまたは置換もしくは非置換脂肪族カルボキシレートのいずれかである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記式Iの化合物およびこれらの医薬的に許容し得る塩は鉱質コルチコイド受容体調節剤である。これらの化合物は鉱質コルチコイド受容体の調節および高血圧のような状態の治療に有用である。
【0013】
一実施形態において、Xはエチルカルボキシレート;メチルカルボキシレート;ベンジルカルボキシレート;アリルカルボキシレート;メトキシフェニルカルボキサミド;およびエトキシフェニルカルボキサミドからなる群より選択される。
【0014】
別の実施形態において、Yはメチル;メチルチオレート;エチルチオレート;およびプロピルチオレートからなる群より選択される。
【0015】
さらに別の実施形態において、Rはクロロフェニル;ジクロロフェニル;ニトロフェニル;ヒドロキシニトロフェニル;ナフチル;ビニルフェニル;ヒドロキシメトキシフェニルおよびヒドロキシエトキシフェニルからなる群より選択される。
【0016】
別の実施形態において、Rはメチルである。
【0017】
別の実施形態において、Zはカルボキシレート;シアノ;ベンジルカルボキシレート;アリルカルボキシレート;およびイソプロピルカルボキシレートからなる群より選択される。
【0018】
式Iの化合物およびこれらの医薬的に許容し得る塩の具体的な例には以下が含まれる:ジエチル2,6−ジメチル−4−(4−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジメチル2,6−ジメチル−4−(1−ナフチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジメチル4−(2,3−ジクロロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジエチル4−(2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジメチル2,6−ジメチル−4−(2−ビニルフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;4−(2−クロロフェニル)−5−シアノ−6−(エチルチオ)−N−(2−メトキシフェニル)−2−メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;4−(2−クロロフェニル)−5−シアノ−N−(2−メトキシフェニル)−2−メチル−6−(メチルチオ)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;ジメチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジエチル2,6−ジメチル−4−(1−ナフチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジベンジル4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;4−(2−クロロフェニル)−5−シアノ−N−(2−メトキシフェニル)−2−メチル−6−(プロピルチオ)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;ジアリル2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;5−シアノ−4−(2−エトキシフェニル)−2−メチル−6−(メチルチオ)−N−フェニル−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;エチル4−(2−クロロフェニル)−5−シアノ−6−(メチルチオ)−2−プロピル−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート;エチルイソプロピル2,6−ジメチル−4−(4−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート。
【0019】
本発明は、医薬的に許容し得る担体および式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容し得る結晶形態もしくは水和物を含む、医薬配合物をも包含する。
【0020】
式(I)の化合物または上記医薬組成物は、ACE阻害剤、中性エンドペプチターゼ阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、レニン阻害剤、エンドセリン受容体アンタゴニスト、血管拡張剤、カルシウムチャンネルアンタゴニスト、カリウム賦活剤、利尿剤、交感神経遮断剤、β−アドレナリン作動性アンタゴニスト、α−アドレナリン作動性アンタゴニスト、他の鉱質コルチコイド受容体調節剤、糖質コルチコイド、糖質コルチコイド受容体調節剤、エストロゲン受容体調節剤およびアンドロゲン受容体調節剤を含む降圧剤もしくは坑炎症性化合物並びに、コレステロール効果性スタチン、コレステロール吸収阻害剤を含むがこれらに限定されるものではない、高血圧、臓器損傷および炎症に関連する疾患を治療するのに降圧剤と共に通常投与される他の活性化合物のような他の薬理学的に活性の化合物との、または上記疾患の予防もしくは治療に有益である他の薬物との組み合わせで有用でもある。
【0021】
「アルキル」という用語は、1から10個の合計炭素原子またはこの範囲内のあらゆる数の直鎖または分岐鎖アルカン(即ち、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなど)を意味する。
【0022】
本明細書で用いられる「アリール」という用語は、他に具体的に定義される場合を除いて、フェニルまたはナフチルのような非置換、一置換または多置換芳香族基を指す。
【0023】
単に「非置換の」または単に「置換された」のように他に具体的に注記されない限り、定義される基は非置換であるか、または置換される。好ましくは、置換基は、ハロ、C−C20アルキル、CF、ΝH、N(C−Cアルキル)、NO、オキソ、CN、N、−OH、−O(C−Cアルキル)、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cアルキル)S(O)0−2−、アリール−S(O)0−2−、(C−Cアルキル)S(O)0−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C−Cアルキル)CF、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)1−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、ハロ−アリール、ハロ−アラルキル、ハロ−複素環、ハロ−ヘテロシクリルアルキル、シアノ−アリール、シアノ−アラルキル、シアノ−複素環およびシアノ−ヘテロシクリルアルキルを含むがこれらに限定されるものではない群から選択される。「置換された」という用語は、このような単一の、および複数の置換(同じ部位での複数の置換を含む。)が化学的に許容される程度までの、指定される置換基による一置換および多置換を含むものと理解される。これとは反対に明確に述べられない限り、このような環置換が化学的に許容され、および安定な化合物が生じるという条件で、環(例えば、アリール、ヘテロ芳香族環または飽和複素環)内のあらゆる原子上で指定される置換基による置換が許容される。
【0024】
「安定な」化合物は、調製および単離することができ、この化合物の使用を本明細書で説明される目的(例えば、被検体への治療的または予防的投与)に用いるのに十分な期間、この構造および特性が本質的に変化しないままであるか、または本質的に変化させないままにさせることができる化合物である。
【0025】
置換基および置換基パターンの選択の結果として、本発明の化合物のあるものは非対称中心を有することができ、立体異性体の混合物として、または個々のジアステレオマーとして、または鏡像異性体として生じ得る。これらの化合物のすべての異性体形態は、単離されたものであろうと混合物中にあろうと、本発明の範囲内にある。
【0026】
医薬的に許容し得る塩には金属(無機)塩および有機塩の両者が含まれる;このリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th Edition,pg.1418(1985)に示される。適切な塩形態が物理的および化学的特性に基づいて選択されることは当業者には周知である。当業者によって理解されるように、医薬的に許容し得る塩には、これらに限定されるものではないが、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩および硝酸塩のような無機酸の塩またはリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩もしくはパモ酸塩(palmoate)、サリチル酸塩およびステアリン酸塩のような有機酸の塩が含まれる。同様に、医薬的に許容し得るカチオンには、これらに限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムおよびアンモニウム(特に、二級アミンを有するアンモニウム塩)が含まれる。上に挙げられる理由から好ましい本発明の塩には、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびアンモニウム塩が含まれる。式Iの化合物の結晶形態、水和物および溶媒和物も本発明の範囲内に含まれる。
【0027】
式Iの化合物は医薬的に許容し得る塩の形態で投与することができる。「医薬的に許容し得る塩」という用語は、本発明の化合物の効力を有し、および生物学的に、または他の点で望ましくないものではない(例えば、これらのレシピエントにとって毒性でも,他の点で有害でもない)塩を指す。適切な塩には、例えば本発明の化合物の溶液を塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸または安息香酸のような医薬的に許容し得る酸の溶液と混合することによって形成することができる、酸付加塩が含まれる。本発明において用いられる化合物のあるものは酸性部分(例えば、−COOHまたはフェノール性基)を坦持することができ、その場合、これらの適切な医薬的に許容し得る塩には、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩)および四級アンモニウム塩のような適切な有機配位子と共に形成される塩が含まれ得る。その上、酸(−COOH)またはアルコール基が存在する場合、医薬的に許容し得る塩を用いてこの化合物の溶解度または加水分解特性を改変することができる。
【0028】
本発明は、さらに、これらを必要とする被検体において状態を治療する方法に向けられる。このような状態は、高血圧、鬱血性心不全、肺性高血圧、収縮期高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能不全、心肥大、心線維症(cardiac fibrosis)、心筋虚血、血管性炎症、血管性認知症、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、腎症、血管障害および神経障害のような糖尿病から生じる合併症、黄斑変性障害,メタボリックシンドローム、緑内障、眼内圧の上昇、アテローム性動脈硬化、血管形成後の再狭窄、血管または心臓手術後の合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安、認知障害、免疫抑制剤での治療の合併症並びにレニン・アンギオテンシン系に関連することが公知である他の疾患のような状態から選択することができ、ここで前記方法は、ヒトまたは動物のような被検体に上で定義される化合物を投与する工程を含む。
【0029】
本発明の方法の実施形態には、被検体に投与される式Iの化合物が上に示される化合物の実施形態、クラスおよびサブクラスにおいて定義される通りであるものが含まれる。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、さらに、高血圧、鬱血性心不全、肺性高血圧、黄斑変性障害、メタボリックシンドローム、眼内圧、緑内障、アテローム性動脈硬化、メタボリックシンドローム並びに腎症、血管障害および神経障害のような糖尿病から生じる合併症に関連する疾患を治療および/または予防するための方法に関連する。
【0031】
本発明は、上記疾患を治療および/または予防するための医薬の調製への式(I)の化合物の使用にも関する。
【0032】
式Iの化合物に関連する「投与」という用語およびこれらの変形(例えば、化合物を「投与する」)は、化合物またはこの化合物のプロドラッグを治療または予防が必要な個体に与えることを意味する。本発明の化合物またはこれらのプロドラッグが1種類以上の他の薬剤(例えば、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、レニン阻害剤、ACE阻害剤または血圧を低下させることが公知である他の活性剤などの薬剤)との組み合わせで与えられるとき、「投与」またはこの変形は、各々、同時または異なる時間の、化合物またはプロドラッグおよび他の薬剤の供給を含むものと理解される。ある組み合わせの薬剤が同時に投与されるとき、これらは単一の組成物中で一緒に投与することができ、またはこれらを別々に投与することができる。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「組成物」という用語は、指定された成分を指定された量で含む製品に加えて、指定された成分を指定された量で組み合わせることから、直接または間接的に、生じるあらゆる製品を包含することが意図される。
【0034】
「医薬的に許容し得る」が意味するところは、この医薬組成物の成分が互いに適合し、およびこれらのレシピエントに対して有害ではないことである。
【0035】
本明細書で用いられる「被検体」という用語は、処置、観察または実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0036】
本明細書で用いられる「有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって求められる組織、系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬の量を意味する。一実施形態において、有効量は、治療する疾患または状態の症状を緩和するための「治療上有効な量」である。別の実施形態において、有効量は、予防する疾患または状態の症状を予防するための「予防上有効な量」である。この用語は、本明細書では、レニンを阻害し、それにより、求められる応答を誘発するのに十分な活性化合物の量(即ち、「阻害有効量」)をも含む。活性化合物(即ち、活性成分)が塩として投与されるとき、活性成分の量への言及はこの化合物の遊離形態(即ち、非塩形態)に対するものである。
【0037】
好ましい実施形態において、この量は1日あたり1mgから1000mgに含まれる。特に好ましい実施形態において、この量は1日あたり1mgから500mgに含まれる。より特に好ましい実施形態において、この量は1日あたり1mgから200mgに含まれる。
【0038】
本発明の方法において、場合により塩の形態にある式Iの化合物は、活性薬剤とこの薬剤の作用部位との接触を生じるあらゆる手段によって投与することができる。これらは、個別の治療薬としての、または治療薬の組み合わせでの、医薬と併せて用いるのに利用可能であるあらゆる通常の手段によって投与することができる。これらは単独で投与することができるが、典型的には、選択される投与経路および標準医薬実務に基づいて選択される医薬担体と共に投与される。例えば、本発明の化合物は、経口で、非経口(皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨下注射または輸液技術を含む。)で、吸入スプレーにより、または直腸で、化合物の有効量並びに通常の非毒性の医薬的に許容し得る担体、補助剤およびビヒクルを含有する医薬組成物の投薬単位の形態で投与することができる。経口投与に適する液体調製品(例えば、懸濁液、シロップ、エリキシルなど)は当分野において公知の技術に従って調製することができ、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の媒体のいずれをも用いることができる。経口投与に適する固体調製品(例えば、粉末、ピル、カプセルおよび錠剤)は当分野において公知の技術に従って調製することができ、デンプン、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固体賦形剤を用いることができる。非経口組成物は当分野において公知の技術に従って調製することができ、典型的には、担体としての無菌水および、場合により、溶解助剤のような他の成分を用いる。注射用溶液は当分野において公知の方法に従って調製することができ、ここで担体は生理食塩水、グルコース溶液または生理食塩水およびグルコースの混合液を含有する溶液を含む。本発明において用いるための医薬組成物の調製における使用に適する方法および前記組成物における使用に適する成分のさらなる説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,edited by A.R.Gennaro,Mack Publishing Co.,1990に記載される。
【0039】
本発明の化合物は、以下に示され、および説明される、例示合成反応スキームに示される様々な方法によって製造することができる。これらの化合物の調製において用いられる出発物質および試薬は,一般には、Aldrich Chemical Co.のような営利供給業者から入手可能であるか、またはFieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons:New York,Volumes 1−21;R.C.LaRock,Comprehensive Organic Transformations,2.sup.nd edition Wiley−VCH,New York 1999;Comprehensive Organic Synthesis,B.Trost and I.Fleming(Eds.)vol.1−9 Pergamon,Oxford,1991;Comprehensive Heterocyclic Chemistry,A.R.Katritzky and C.W.Rees(Eds)Pergamon,Oxford 1984,vol.1−9;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,A.R.Katritzky and C.W.Rees(Eds)Pergamon,Oxford 1996,vol.1−11;およびOrganic Reactions,Wiley & Sons:New York,1991,Volumes 1−40のような参考文献に記載される手順に従い、当業者に公知の方法によって調製される。以下の合成反応スキームおよび実施例は本発明の化合物を合成することができる幾つかの方法を単に例示するものであり、これらの合成反応スキームに対する様々な変更をなすことができ、これらは本出願に含まれる開示を参照している当業者に示唆される。
【0040】
合成反応スキームの出発物質および中間体は,所望であれば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含むがこれらに限定されるものではない、従来の技術を用いて単離および精製することができる。このような物質は、物理定数およびスペクトルデータを含む、従来の手段を用いて特徴付けることができる。
【0041】
他に具体的に述べられない限り、実験手順は以下の条件下で行った。溶媒の蒸留はロータリーエバポレーターを用い、減圧下(600から4000パスカル:4.5から30mmHg)、60℃までの浴温度で行った。反応は、他に言及されないのであれば、典型的には、窒素雰囲気下、周囲温度で行う。THF、DMF、EtO、DMEおよびトルエンのような無水溶媒は商用グレードである。試薬は商用グレードであり、さらに精製することなしに用いた。フラッシュクロマトグラフィーはシリカゲル(230から400メッシュ)で実施する。反応の経過は薄層クロマトグラフィー(TLC)または核磁気共鳴(NMR)分析法のいずれかによって追跡し、示される反応時間は例示のみのためのものである。すべての最終生成物の構造および純度は、TLC、質量分析、H NMRおよび高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって確認した。化学記号はこれらの通常の意味を有する。以下の略語も用いられている:v(体積)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq.(当量)。他に指定されない限り、以下に挙げられるすべての変数は上に示される意味を有する。
【0042】
表1に記載される化合物1−2を具体的に参照する反応スキームIに示されるように、Hantzschピリジン合成(Phillips,A.P.J.Am.Chem.Soc 1949,71,4003−4007)によって本発明の1,4−ジヒドロピリジンを調製することができる。従って、メチルアセトアセテートおよび水酸化アンモニウム水溶液をアルコール中で用いて加熱することで置換芳香族アルデヒドを環化し、1,4−ジヒドロピリジンを得ることができる。
【0043】
【化2】

【実施例1】
【0044】
ジメチル2,6−ジメチル−4−(1−ナフチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート(1−2)
メタノール(50ml)および水酸化アンモニウム水溶液(20ml)中の1−ナフトアルデヒド(1−1)(29g、190mmol、1.0eq)およびメチルアセトアセテート(47g、400mmol、2.2eq)の溶液を室温で1時間静置した後、100℃で16時間加熱した。冷却後、オレンジの沈殿を濾過し、メタノールで洗浄することで黄色結晶が生じた。H NMR(500MHz、DMSO−d)δ 8.89(s,1H)、8.48(d,1H,J=8.5Hz)、7.81(d,1H,J=8.5Hz)、7.67(m,1H)、7.52(m,1H)、7.43−7.39(m,3H)、5.69(s,1H)、3.33(s,6H)、2.28(s,6H)。LRMS m/z(M+H)実測値352.1、必要値352.2。
【0045】
以下の化合物を上記手順の簡単な修正によって調製した。鉱質コルチコイド受容体結合親和性Ki値(nM)およびFLIPRデータを化合物名の後に示す。
【0046】
【表1】



【0047】
以下は本発明の例示のみを果たし、この実施は本発明の範囲または精神に対する制限として解釈されるべきではない。
【0048】
鉱質コルチコイド受容体結合親和性の測定
鉱質コルチコイド受容体に対する化合物の結合親和性を、伝統的なフィルター結合アッセイプロトコルにおいて組換えリーサス鉱質コルチコイド受容体への放射標識アルドステロンの結合を妨げるこれらの能力を測定することによって決定した。
【0049】
リーサス鉱質コルチコイド受容体cDNAをcDNAライブラリーからクローン化し、標準分子生物学的および細胞生物学的方法により、リーサス鉱質コルチコイド受容体コーディング配列をコードする組換えバキュロウイルスの調製に用いた。培養において成長させた昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させたところ、これらの細胞において組換えリーサス鉱質コルチコイド受容体の発現が生じた。細胞を集めて溶解した。これらの溶解物を遠心によって清透化し、放射性リガンド結合アッセイにおいて使用するまで−80Cで保存した。
【0050】
アッセイは20mM Hepes、10mM NaMoO、10mM 2−メルカプトエタノール、157mMスクロースおよび3.7mM CHAPS中で行った。[H]−アルドステロン(1mCi/ml、70から100Ci/mmol)はPerkin Elmer(NET419)から購入した。試験化合物はDMSOに溶解し、3倍連続希釈用量応答曲線用に所望の最終濃度の50倍までDMSOで希釈した。[H]−アルドステロンの作業用原液は商用原液をアッセイバッファ中0.083μMまで希釈することによって調製した。リーサス鉱質コルチコイド受容体を含有する昆虫細胞溶解物を解凍し、0.7mgタンパク質/mLまで希釈した。2mL 96−ウェルポリプロピレン方形ウェルプレート(USA Scientific)において、20℃で、試験化合物溶液20μL、希釈昆虫細胞溶解物920μLおよび[H]−アルドステロン作業溶液60μLを組み合わせることによってアッセイを開始した。この混合物を、プラットホームシェーカーで連続撹拌しながら、3時間インキュベートした。その後、ポリエチレンイミン(Sigma、P−3143)の溶液で事前に処理されている96−ウェルGF/Bフィルタープレート(Packard)を通して混合物を濾過した。このフィルタープレートを50mM Tris−HCl、pH7.4 0.5mlで3回洗浄した後、真空オーブン内、37℃で一晩乾燥させた。プレートの底部を密封し、Microscint−20(Packard、6013621)40μLを各ウェルに添加した後、Topcountプレートリーダーで放射能をカウントした。非特異的放射性リガンド結合は、試験化合物の代わりに非放射標識アルドステロン(DMSO中0.5mM)を10μMの最終濃度までアッセイ混合物に添加することによって決定した。カスタマイズされたアッセイデータアナライザ・ソフトウェアパッケージを用いる4パラメータ・ロジスティックフィッティング(four parameter logistic fit)を用いて、IC50およびKi値を決定した。
【0051】
実施例をこのリガンド結合アッセイにおいて試験したところ、10,000nM未満のIC50が示された。
【0052】
カルシウムチャンネル遮断の測定
L型チャンネルの状態依存遮断のハイスループット蛍光アッセイをN型カルシウムチャンネルの遮断剤のカウンタースクリーニングとして確立した。3つのカルシウムチャンネルサブユニット、Cav1.2(α1C)、α−δ、β2aで構成されるL型カルシウムチャンネルおよび内向き整流性カリウムチャネルKir2.3を発現するHEK293細胞株(Xiaら、2004)をL型カルシウムチャンネルの蛍光ハイスループットアッセイの開発に用いた。これらの細胞におけるKir2.3の発現は、細胞膜電位を外部カリウム濃度によって確実に制御できることを確かなものとする(Xiaら、2004)。これは化合物インキュベーションの最中に細胞膜電位を予め設定することを可能にし、これは状態依存チャンネル遮断のアッセイに用いることができる。高カリウム(25mM)の存在下でのアッセイの実施は、カルシウムチャンネルのほぼ半分が不活性化され、幾らかが開く値(−35mV)に膜電位を設定する。この状態は、ジヒドロピリジン、フェニルアルキルアミンおよびベンゾチアゼピンを含む、血圧を低下させる多くのL型カルシウムチャンネル遮断剤による遮断に有利に働く。
【0053】
最初に、化合物を0.005μMカルシウムおよび25mMカリウム中で30分間インキュベートする。25mMのカリウム濃度を維持しながら、カルシウム濃度を2mMまで上昇させるバッファ添加によってカルシウム流入を誘発した。次に、カルシウム感応性蛍光染料(fluo−4)およびFLIPRTETRAプレートリーダーを用いて細胞内カルシウムの変化を監視した。
【0054】
以下の実験プロトコルを用いた:
1.細胞をポリ−D−リジン被覆384−ウェルプレート(50μl/ウェル)に播種し、10%COの下、37℃で一晩インキュベートした;
2.組織培養培地を除去し、細胞を0.06ml 5.8mM K カリウム予備分極バッファ(Potassium Pre−polarization Buffer)(PPB)(これは146.2mM NaCl、5.8mM KCl、0.005mM CaCl、1.7mM MgCl、10HEPES、pH=7.2である。)で洗浄した;
3.10mLグルコースを補足した5.8mM K PPB中で調製した4μM fluo−4(Molecular Probes;F−14202)0.04mlおよび0.02%プルロン酸(Pluronic acid)(Molecular Probes;P−3000)を細胞に添加した;
4.次に、細胞を、暗所、25℃で30分間インキュベートした;
5.染料を除去し、細胞を25mM K カリウム予備分極バッファ(PPB)(これは127mM NaCl、25mM KCl、0.005mM CaCl、1.7mM MgCl、10HEPES、pH=7.2である。)0.06mlで洗浄した;
6.次いで、試験化合物の存在有りまたは無しで、25mM K PPB 0.025mlを添加した;
7.細胞を、暗所、25℃で30分間インキュベートした:
8.続いて、細胞プレートをFLIPRTETRA機器、励起=480nm、発光=535nmで読み取る;
9.FLIPRTETRAで連続的に読み取りながら、119mM NaCl、25mM KCl、4mM CaCl、1.7mM MgCl、10HEPES、pH=7.2であり、および最終アッセイ濃度の2倍である、Caトリガーバッファ(Ca Trigger Buffer)(CTB)0.025mlを細胞プレートに添加する。
【0055】
説明されるように構成される蛍光L型カルシウムチャンネルアッセイは適切な信号対雑音比を伴う強固なものであり、化合物のミディアム−ハイスループット試験を可能にする384ウェル形式で実施される。本発明の化合物の値を表1に示す。
【0056】
前述の明細書は,例示の目的で提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実施が以下の特許請求の範囲およびこの等価物の範囲内に入るような通常の変形、適応または変更のすべてを包含することは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

(式中、
Xはアルキルカルボキシレート;アリルカルボキシレート;アリールカルボキシレート;アルキルカルボキシアミドおよびアリールカルボキサミドからなる群より選択され;
Yはアルキルおよびチオアルキルからなる群より選択され;
は非置換または置換アリールであり;
はアルキルであり;並びに
Zはシアノまたは置換もしくは非置換脂肪族カルボキシレートのいずれかである。)
およびこれらの医薬的に許容し得る塩またはこれらの光学異性体。
【請求項2】
Xがエチルカルボキシレート;メチルカルボキシレート;ベンジルカルボキシレート;アリルカルボキシレート;メトキシフェニルカルボキサミド;およびエトキシフェニルカルボキサミドからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物またはこれらの医薬的に許容し得る塩。
【請求項3】
Yがメチル;メチルチオレート;エチルチオレート;およびプロピルチオレートからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がクロロフェニル;ジクロロフェニル;ニトロフェニル;ヒドロキシニトロフェニル;ナフチル;ビニルフェニル;ヒドロキシメトキシフェニルおよびヒドロキシエトキシフェニルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Zがカルボキシレート;シアノ;ベンジルカルボキシレート;アリルカルボキシレート;およびイソプロピルカルボキシレートからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
ジエチル2,6−ジメチル−4−(4−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジメチル2,6−ジメチル−4−(1−ナフチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジメチル4−(2,3−ジクロロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジエチル4−(2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジメチル2,6−ジメチル−4−(2−ビニルフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;4−(2−クロロフェニル)−5−シアノ−6−(エチルチオ)−N−(2−メトキシフェニル)−2−メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;4−(2−クロロフェニル)−5−シアノ−N−(2−メトキシフェニル)−2−メチル−6−(メチルチオ)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;ジメチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジエチル2,6−ジメチル−4−(1−ナフチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;ジベンジル4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;4−(2−クロロフェニル)−5−シアノ−N−(2−メトキシフェニル)−2−メチル−6−(プロピルチオ)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;ジアリル2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート;5−シアノ−4−(2−エトキシフェニル)−2−メチル−6−(メチルチオ)−N−フェニル−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;エチル4−(2−クロロフェニル)−5−シアノ−6−(メチルチオ)−2−プロピル−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート;およびエチルイソプロピル2,6−ジメチル−4−(4−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレートからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物またはこれらの医薬的に許容し得る塩。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物またはこれらの医薬的に許容し得る塩の有効量および医薬的に許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
高血圧、鬱血性心不全、肺性高血圧、収縮期高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能不全、心肥大、心線維症、心筋虚血、血管性炎症、血管性認知症、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、腎症、血管障害および神経障害のような糖尿病から生じる合併症、黄斑変性障害,メタボリックシンドローム、緑内障、眼内圧の上昇、アテローム性動脈硬化、血管形成後の再狭窄、血管または心臓手術後の合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安、認知障害、免疫抑制剤での治療の合併症並びにレニン・アンギオテンシン系に関連することが公知である他の疾患に関連する疾患を治療または予防するための医薬の製造への請求項1に記載の化合物または請求項8に記載の組成物の使用であって、この方法がヒトまたは動物に上で定義される化合物を投与することを含む使用。
【請求項10】
高血圧、鬱血性心不全、肺性高血圧、収縮期高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能不全、心肥大、心線維症、心筋虚血、血管性炎症、血管性認知症、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、腎症、血管障害および神経障害のような糖尿病から生じる合併症、黄斑変性障害,メタボリックシンドローム、緑内障、眼内圧の上昇、アテローム性動脈硬化、血管形成後の再狭窄、血管または心臓手術後の合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安、認知障害、免疫抑制剤での治療の合併症並びにレニン・アンギオテンシン系に関連することが公知である他の疾患に関連する疾患を治療または予防するための方法であって、上で定義される化合物をヒトまたは動物に投与することを含み、請求項1に記載の化合物の医薬的に活性の量を患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2011−506440(P2011−506440A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537953(P2010−537953)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/013566
【国際公開番号】WO2009/078934
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】