説明

銀被膜の形成剤及び形成方法

【課題】形成された銀被膜が均一で、銀被膜が形成される温度が400℃以上である銀被膜の形成剤及び銀被膜の形成方法を提供する。
【解決手段】化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体を含有する銀被膜の形成剤を用いる。(1)


(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基またはシクロヘキシル基を表す。但し、R、RおよびRの炭素数の合計は、0〜13である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀被膜の形成に用いられる銀被膜の形成剤及び銀被膜の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀は全金属中で最も導電性が高く、また腐食にも強いことから、配線材料として広く用いられている。例えば、銀粉を樹脂あるいはガラスなどのバインダーに練り込んでペーストとし、配線パターンを印刷して加熱することにより、回路を形成する技術が古くから用いられている。
この時の加熱温度は、基材に対する負荷や省エネルギーの観点から、より低温であることが好ましい。しかしながら、銀の融点は約960℃であり、それ以下の温度では粒子同士が十分に融着しないため接触点が少なく、所望の導電性が得られない場合がある。
そのため、銀の融点より低い温度で焼成する場合には、銀の融点以下の温度で銀を析出し、銀粒子同士の焼結を助ける銀化合物が添加剤として使用されている。このような添加剤としては有機酸銀塩が知られており、特許文献1には、脂肪族カルボン酸銀、脂環式カルボン酸銀や芳香族カルボン酸銀が開示されている。
【0003】
これらの有機酸銀塩は加熱により150℃〜350℃付近で分解して銀粒子を生成し、分解と同時に有機物が脱離することにより銀粒子同士が融合して銀被膜を形成する。しかしながら、銀粒子が生成して銀被膜を形成した後、引き続き400℃以上加熱が行われる場合には、銀粒子同士の融合がさらに進行し、収縮応力が発生してソリや歪みが生じたり、あるいは微細な亀裂が生じたりして所望の効果が得られない場合があった。
そのため、比較的高温の加熱が必要な場合、例えばガラス基材上への導電パターン形成において接合強度を確保するためガラス粉等をバインダーとして用い、ガラス軟化点以上に加熱することが必要とされるような場合には、400℃以上になるまで銀粒子同士が融合しないことが求められていた。
【0004】
また、酢酸銀等の低分子量の脂肪族カルボン酸銀は、加熱すると分解するが、分解前に溶融しないため、不均一な状態から銀粒子が生成し塊状となり、形成される銀被膜の均一性が低かった。そのため、均一性の高い銀被膜を生成するためには、別途バインダーや有機溶剤を加えて脂肪族カルボン酸銀を溶解させておく必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−039379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、形成された銀被膜が均一で、銀被膜が形成される温度が400℃以上である銀被膜の形成剤及び銀被膜の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、化1の化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体を含有することを特徴とする銀被膜の形成剤を用いることにより、所期の目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、第1の発明は、化1の化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体を含有することを特徴とする銀被膜の形成剤である。
第2の発明は、化1の化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体と、銀粉末、酸化銀、酢酸銀、ネオデカン酸銀およびベヘン酸銀から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする銀被膜の形成剤である。
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に記載の銀被膜の形成剤を加熱することを特徴とする銀被膜の形成方法である。
【0008】
【化1】

(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基またはシクロヘキシル基を表す。但し、R、RおよびRの炭素数の合計は、0〜13である。)
【発明の効果】
【0009】
本発明による銀被膜の形成剤は、銀粒子が生成する温度よりも低い温度で溶融することによって、有機溶媒やバインダーを併用することなく均一性の高い膜状の銀被膜を形成させることが可能であり、且つ400℃以上の温度域で生成した銀粒子を融合させることができる。
また、本発明による銀被膜の形成方法によれば、均一性の高い膜状の銀被膜を形成することが可能であり、且つ400℃以上の温度域で銀粒子同士を融合させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施において使用するイミダゾール化合物銀錯体は、前記の化学式(I)で示される。
化学式(I)におけるR、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基またはシクロヘキシル基である。炭素数1〜13のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基等が挙げられる。
【0011】
本発明の実施において使用する化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体としては、
イミダゾール銀錯体、
2−メチルイミダゾール銀錯体、
2,4−ジメチルイミダゾール銀錯体、
2−エチルイミダゾール銀錯体、
2−エチル−4−メチルイミダゾール銀錯体、
2−n−プロピルイミダゾール銀錯体、
2−イソプロピルイミダゾール銀錯体、
2−n−ブチルイミダゾール銀錯体、
2−イソブチルイミダゾール銀錯体、
2−sec−ブチルイミダゾール銀錯体、
2−tert−ブチルイミダゾール銀錯体、
2−n−ペンチルイミダゾール銀錯体、
2−n−ヘキシルイミダゾール銀錯体、
2−シクロヘキシルイミダゾール銀錯体、
2−n−ヘプチルイミダゾール銀錯体、
2−n−オクチルイミダゾール銀錯体、
2−n−ノニルイミダゾール銀錯体、
2−n−デシルイミダゾール銀錯体、
2−n−ウンデシルイミダゾール銀錯体、
2−n−ウンデシル−4−メチルイミダゾール銀錯体、
2−n−ウンデシル−4,5−ジメチルイミダゾール銀錯体、
2−n−ドデシルイミダゾール銀錯体、
2−n−トリデシルイミダゾール銀錯体等が挙げられる。
なお、本発明の実施においては、化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体のうち、適宜の1種類のみを使用する他、種類の異なるイミダゾール化合物銀錯体を組み合わせて使用することも可能である。
【0012】
本発明のイミダゾール化合物銀錯体は、適量の有機溶媒にイミダゾール化合物を溶解させ、これに、銀化合物を溶解した水を添加して、適宜の反応温度および反応時間にて反応させる。続いて、25%アンモニア水でpHを8程度に調整すると反応生成物が析出する。この反応生成物をろ取して、メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより得ることができる。
【0013】
前記の反応温度は、室温で差支えなく、また、同反応時間は、1分〜30分の範囲で適宜設定すればよい。
【0014】
前記のイミダゾール化合物を溶解させる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を好ましく使用することができる。
【0015】
前記の銀化合物としては、特に限定されないが、例えば、硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀、塩化銀等が好適に使用できる。
【0016】
前記のイミダゾール化合物としては、
1H−イミダゾール、
2−メチルイミダゾール、
2,4−ジメチルイミダゾール、
2−エチルイミダゾール、
2−エチル−4−メチルイミダゾール、
2−n−プロピルイミダゾール、
2−イソプロピルイミダゾール、
2−n−ブチルイミダゾール、
2−イソブチルイミダゾール、
2−sec−ブチルイミダゾール、
2−tert−ブチルイミダゾール、
2−n−ペンチルイミダゾール、
2−n−ヘキシルイミダゾール、
2−シクロヘキシルイミダゾール、
2−n−ヘプチルイミダゾール、
2−n−オクチルイミダゾール、
2−n−ノニルイミダゾール、
2−n−デシルイミダゾール、
2−n−ウンデシルイミダゾール、
2−n−ウンデシル−4−メチルイミダゾール、
2−n−ウンデシル−4,5−ジメチルイミダゾール、
2−n−ドデシルイミダゾール、
2−n−トリデシルイミダゾール等が挙げられる。
【0017】
前記のイミダゾール化合物は、Methoden der organischen Chemie(Houben−Weyl),Band E8c,Heterene3−Teil3(1994)に記載された方法に従って合成することができる。
【0018】
本発明による銀被膜の形成剤においては、化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体のみを成分としても良いが、形成される銀被膜の量をさらに増加させるために、銀粉末または銀化合物をイミダゾール化合物銀錯体と併用して使用することができる。前記銀化合物の代表的なものとしては、酸化銀、酢酸銀、ネオデカン酸銀、ベヘン酸銀等が挙げられ、これらを1種または2種以上添加することができる。
【0019】
本発明による銀被膜の形成剤には、有機溶媒を配合することができる。有機溶媒としては、特に制限されないが、例えば、炭化水素系溶媒、中級アルコール類、高級アルコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。これらの配合量は、一般的な量とすることができ、得られる組成物の粘度、印刷性を考慮して適当な比率を決定すればよい。
【0020】
本発明による銀被膜の形成剤には、無機バインダーとしてガラスフリットを配合することができる。ガラスフリットの配合量は、一般的な量とすることができる。
【0021】
また、本発明による銀被膜の形成剤には、安定化剤、分散剤、粘度調整剤等を本発明の効果を損なわない範囲において使用することができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これらにおいて使用した主な原材料は、以下のとおりである。
【0023】
[原材料]
・1H−イミダゾール(和光純薬工業社製)
・2−エチルイミダゾール(商品名「2EZ」、四国化成工業社製)
・2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名「2E4MZ」、四国化成工業社製)
・2−n−プロピルイミダゾール(「Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl),Band E8c,Heterene3-Teil3(1994)」に記載された合成方法に準拠して合成した。)
・2−n−ブチルイミダゾール(「Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl),Band E8c,Heterene3-Teil3(1994)」に記載された合成方法に準拠して合成した。)
・2−tert−ブチルイミダゾール(「Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl),Band E8c,Heterene3-Teil3(1994)」に記載された合成方法に準拠して合成した。)
・2−n−ヘキシルイミダゾール(「Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl),Band E8c,Heterene3-Teil3(1994)」に記載された合成方法に準拠して合成した。)
・2−シクロヘキシルイミダゾール(「Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl),Band E8c,Heterene3-Teil3(1994)」に記載された合成方法に準拠して合成した。)
・2−n−オクチルイミダゾール(「Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl),Band E8c,Heterene3-Teil3(1994)」に記載された合成方法に準拠して合成した。)
・2−n−ウンデシルイミダゾール(商品名「C11Z」、四国化成工業社製)
・2−n−ウンデシル−4−メチルイミダゾール(商品名「C114MZ」、四国化成工業社製)
・ネオデカン酸銀(商品名「銀レジネートMR4704−P」、和光純薬工業社製)
・酸化銀(和光純薬工業社製)
・酢酸銀(小島化学薬品社製)
・硝酸銀(日進化成製)
【0024】
実施例において使用したイミダゾール化合物銀錯体は以下のとおりであり、これらの合成例を参考例1〜11に示す。
[実施例のイミダゾール化合物銀錯体]
・イミダゾール銀錯体:(「SZ−Ag」と略記する)
・2−エチルイミダゾール銀錯体(「2EZ−Ag」と略記する)
・2−エチル−4−メチルイミダゾール銀錯体(「2E4MZ−Ag」と略記する)
・2−n−プロピルイミダゾール銀錯体(「2PrZ−Ag」と略記する)
・2−n−ブチルイミダゾール銀錯体(「2BuZ−Ag」と略記する)
・2−tert−ブチルイミダゾール銀錯体(「2tBuZ−Ag」と略記する)
・2−n−ヘキシルイミダゾール銀錯体(「2nHZ−Ag」と略記する)
・2−シクロヘキシルイミダゾール銀錯体(「2cHZ−Ag」と略記する)
・2−n−オクチルイミダゾール銀錯体(「2nOZ−Ag」と略記する)
・2−n−ウンデシルイミダゾール銀錯体(「2nUZ−Ag」と略記する)
・2−n−ウンデシル−4−メチルイミダゾール銀錯体(「2nU4MZ−Ag」と略記する)
【0025】
〔参考例1〕
<SZ−Agの合成>
1H−イミダゾール0.68g(0.01モル)とメタノール50mlからなる溶液に、室温で撹拌しながら、硝酸銀1.70g(0.01モル)を溶解したイオン交換水50mlを添加した。さらに、この溶液を室温で30分撹拌した後、25%アンモニア水溶液を滴下し、pHを8程度に調整して白色沈殿を得た。これをろ別して、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥してイミダゾール銀錯体1.11gを得た。
【0026】
〔参考例2〕
<2EZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−エチルイミダゾール0.96gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−エチルイミダゾール銀錯体1.38gを得た。
【0027】
〔参考例3〕
<2E4MZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−エチル−4−メチルイミダゾール1.10gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−エチル−4−メチルイミダゾール銀錯体1.42gを得た。
【0028】
〔参考例4〕
<2PrZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−n−プロピルイミダゾール1.10gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−n−プロピルイミダゾール銀錯体1.47gを得た。
【0029】
〔参考例5〕
<2BuZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−n−ブチルイミダゾール1.24gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−n−ブチルイミダゾール銀錯体1.55gを得た。
【0030】
〔参考例6〕
<2tBuZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−tert−ブチルイミダゾール1.24gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−tert−ブチルイミダゾール銀錯体1.58gを得た。
【0031】
〔参考例7〕
<2nHZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−n−ヘキシルイミダゾール1.52gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−n−ヘキシルイミダゾール銀錯体2.01gを得た。
【0032】
〔参考例8〕
<2cHZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−シクロヘキシルイミダゾール1.50gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−シクロヘキシルイミダゾール銀錯体1.98gを得た。
【0033】
〔参考例9〕
<2nOZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−n−オクチルイミダゾール1.80gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−n−オクチルイミダゾール銀錯体2.51gを得た。
【0034】
〔参考例10〕
<2nUZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−n−ウンデシルイミダゾール2.22gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−n−ウンデシルイミダゾール銀錯体3.12gを得た。
【0035】
〔参考例11〕
<2nU4MZ−Agの合成>
参考例1の1H−イミダゾール0.68gを2−n−ウンデシル−4−メチルイミダゾール2.36gに代えて、参考例1の方法に準拠して2−n−ウンデシル−4−メチルイミダゾール銀錯体2.40gを得た。
【0036】
実施例および比較例で採用した評価試験方法は、以下のとおりである。
【0037】
[銀被膜の形成試験]
イミダゾール化合物銀錯体および銀化合物を試料として、TG−DTA測定装置を用いて試料を加熱した。発熱ピーク温度を測定し、形成された銀被膜の外観を確認した。
TG−DTA測定装置の加熱条件は、表1および表2は、大気雰囲気下で20℃/minの昇温速度で600℃まで加熱し、600℃で10分間保持した。
また、表3は、大気雰囲気下で5℃/minの昇温速度で600℃まで加熱し、600℃で10分間保持した。
得られたDTA曲線には、発熱ピークが現れる。この発熱ピーク温度は、銀粒子が生成した後、余分な有機物が分解・脱離し、銀粒子同士が融合する温度を表している。この発熱ピーク温度が400℃以上であれば、良好と判定した。
また、測定終了後に形成された銀被膜の外観様相を目視により確認した。膜状の銀被膜が形成されていれば外観良好であり、塊状であれば外観不良と判定した。
【0038】
〔実施例1〜11〕
表1および表2に記載のイミダゾール化合物銀錯体について銀被膜の形成試験を行った。得られた試験結果は、表1および表2に示したとおりであった。
【0039】
〔比較例1〕
表2に記載の銀化合物について銀被膜の形成試験を行った。得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
【0040】
〔実施例12〜16〕
表3に記載の組成になるようにイミダゾール化合物銀錯体および銀化合物を加えて組成物を調製し、銀被膜の形成試験を行った。得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0041】
〔比較例2〜3〕
表3に記載の組成になるように銀化合物を加えて組成物を調製し、銀被膜の形成試験を行った。得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
表1、表2および表3に示した試験結果によれば、本発明のイミダゾール化合物銀錯体またはイミダゾール化合物銀錯体と銀化合物を用いることにより、均一性の高い膜状の銀被膜を形成することが可能であり、且つ生成した銀粒子を400℃以上の温度域で融合させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明による銀被膜の形成剤および銀被膜の形成方法は、太陽電池電極用ペーストや積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ、多層基板等の積層部品の内部電極用導電ペースト等への利用が期待される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1の化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体を含有することを特徴とする銀被膜の形成剤。
【化1】

(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基もしくはシクロヘキシル基を表す。但し、R、RおよびRの炭素数の合計は、0〜13である。)
【請求項2】
化1の化学式(I)で示されるイミダゾール化合物銀錯体と、銀粉末、酸化銀、酢酸銀、ネオデカン酸銀およびベヘン酸銀から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする銀被膜の形成剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の銀被膜の形成剤を加熱することを特徴とする銀被膜の形成方法。

【公開番号】特開2013−112848(P2013−112848A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259594(P2011−259594)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】