説明

鋼橋の部分複合構造および部分複合構造化工法

【課題】鋼橋における補修・補強必要部位に適用できる、延命効果が高く施工性のよい部分複合構造を提供することであり、このような部分複合構造を形成させる複合構造化工法を提供する。
【解決手段】鋼部材1,2,3の表面を被覆して鋼材とコンクリートを合成化する緩衝材11と、鋼部材の部分的保護領域を直接囲い込むように設置された型枠13と、型枠内の保護領域を埋める高さまで充填され硬化したコンクリート12とにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道橋や道路橋などの鋼構造体における鋼材露出部分を部分的に補強あるいは補修するために利用する鋼・コンクリート複合構造および部分的な複合構造化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの鋼橋において、建設後長時間経過したため、腐食の進行による疲労耐久性や耐荷力の低下あるいは構造に起因する疲労耐久性の低下など、老朽化が問題になっている。
たとえば、鋼橋の支点部には、図10に示すように腐食や応力集中部の疲労による損傷箇所が発生しがちである。
【0003】
老朽化が問題となる鋼橋の補修あるいは補強工法として、腐食損傷による断面欠損(板厚の減肉)を補う鋼板をボルトまたは溶接により鋼部材に直接取り付ける当て板工法や、図11や図12に示すように、損傷した部分を除去した上でボルトまたは溶接により新しい鋼板部材を取り付ける部材修復工法などがある。
【0004】
両工法とも、新規設置部材の搬入が必要であり、溶接、削孔、切断等の施工のため作業空間の確保が必要であることから、狭隘部での施工が困難である。また、溶接時の入熱や削孔による断面欠損が既設の鋼部材に悪影響を与える。さらに、施工後も塗装による防錆を行うことから、周辺環境が改善されない場合には腐食が再発する可能性がある。また、部材修復工法では、損傷部を撤去するときに荷重を負担するジャッキなどの仮受け設備が必要となり、大掛かりである。
【0005】
さらに、鋼トラス橋においても、図13に示すように、トラス斜材が鉄筋コンクリート(RC)床版に埋め込まれた部分などに腐食損傷が見られることが多い。トラス斜材とRC床版の間に縁切り材としてエラスタイトなどを設置した場合にも、トラス斜材の腐食損傷は避けられない。
鋼トラス橋のトラス斜材の補修・補強には、トラス斜材の腐食損傷部分からRC床版を剥がし取り、図14に示すように、腐食損傷部分に新しい当て板を高力ボルトで留めて保護する当て板補修が施されることが多い。
トラス斜材の当て板補修では、数年経過後に再び同じ場所が腐食する場合が多く、保護効果が十分でない。また、腐食損傷部分は狭隘部にあるためボルト孔あけ、ボルト締めなどの施工が困難で施工性が劣る。
【0006】
近年、こうした既設鋼橋の維持管理業務の合理化が求められており、既設鋼橋に対する予防保全が重視されるようになってきた。ここで、予防保全とは、損傷の早期発見・早期対策で国民の安全安心とインフラに対する信頼性を確保すると共に、ライフサイクルコストの最小化と構造物の長寿命化を図る取り組みを指す。こうした予防保全の1手法として、コンクリート材料などを使用した複合構造化工法が開発されている。
さらに、供用中の既設鋼橋の補修・補強工事はできるだけ車や鉄道の通行を妨げないように施工することが求められる。たとえば、都市部の鉄道橋では、最長連続作業時間は夜間の3〜5時間程度となるケースが多く、短時間の作業で分割施工を組み合わせながら実施することが要請され、施工上の制約を満たしうる構造形式を採用する必要がある。
また、複合構造化工法についても、既設鋼橋には溶接に適しない鋼材で製作されたリベット構造の橋梁も多く、補修・補強の工事において溶接が適さない場合もある。
【0007】
特許文献1には、既設鋼橋における主桁の補修・補強必要部位にコンクリートを充填する補修・補強構造が開示されている。特許文献1に開示された補修・補強構造は、主桁の上下フランジと垂直補剛材に囲まれた主桁パネルのうち補修・補強が必要な部位にスタッドを溶着し、そのスタッドに鉄筋を取り付け、さらに型枠パネルを覆って、パネルと型枠の間にコンクリートを充填することにより構成する複合構造である。型枠は、コンクリートが硬化した後に取り外している。
特許文献1に開示された複合構造化工法は、ずれ止めとしてパネル内の腹板にスタッドを溶接する必要があり、施工性が悪く、主桁端部の狭隘部で迅速な補修・補強作業を行う工法として合理的とはいいがたい。また、鋼部材とコンクリートの間に浸入する雨水等の問題は根本的に解決されず、鋼部材の腐食による損傷の進行が抑えられない。さらに、型枠を外した後のコンクリート表面は、モルタルやペンキなどによる塗装を施す必要がある。
【0008】
なお、非特許文献1には、本願発明の発明者らによる鋼鉄道橋の複合構造化に関する研究成果が開示されている。開示された複合構造は、I型鋼で囲まれた床版のない開床式桁枠に対して、I型鋼部分にゴムラテックスモルタル被覆を施し、I型鋼で囲まれた桁枠に繊維強化プラスチック製の底板を当てて、桁枠と底板で仕切られた部分に軽量コンクリートを流し込んで硬化させたものである。開示された複合構造により、コンクリートと鋼部材の境界部における腐食の進行を抑制し、付着力の弱い鋼とコンクリートの間のずれを抑止するように合成化して複合構造化し、既存の鋼鉄道橋を防食し剛性化して延命化すると共に騒音を抑制することができる。
【0009】
開示された複合構造化工法は、溶接や高力ボルトの使用を排除して、ケレン作業、ゴムラテックスモルタル施工、型枠設置、コンクリート施工を、それぞれ昼間作業と夜間作業に適宜振り分けることにより、鉄道の運行を阻害せずに複合構造を形成することを可能にしたものである。
しかし、非特許文献1に開示された複合構造化工法は、床版がない開床式の鋼橋を対象として、鋼桁で囲われた空間に底板を付けてコンクリートを流し込むことにより複合構造化するもので、鋼部材における部分的な損傷に対する補修・補強ではなく、橋梁の全体的な補強を目的とするのであって、鋼橋の支点部など腐食や疲労が見られる任意の部分を直接的に補修・補強することには利用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−266319号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】谷口望、外5名、「施工性を考慮した鋼鉄道橋の複合化に関する研究」、土木学会構造工学論文集、Vol.57A,2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、鋼橋における補修・補強必要部位に直接適用できる、延命効果が高く施工性のよい複合構造を提供することであり、補修・補強が必要な部位に延命効果の高い複合構造を直接的に形成させる複合構造化工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の鋼橋の部分複合構造は、鋼部材の表面を被覆して鋼部材とコンクリートを合成化する緩衝材と、鋼部材の部分的保護領域を直接囲い込むように設置された型枠と、型枠内の保護領域を埋める高さまで充填され硬化したコンクリートとにより構成されることを特徴とする。
【0014】
本発明の鋼橋の部分複合構造は、保護領域の鋼部材を緩衝材で被覆するので、水が鋼部材に浸透して腐食させることを防止することができる。また、緩衝材で被覆した上で、鋼橋における腐食や疲労から保護しようとする部分である部分的保護領域の鋼部材を直接囲い込む型枠を設置し、この型枠に補強用の補強コンクリートを充填し硬化させるので、硬化した補強コンクリートが緩衝材を介して鋼部材と接して、保護領域の鋼部材と補強コンクリートが高度に合成化して鋼・コンクリート複合構造を形成する。
したがって、本発明の部分複合構造を形成することにより、保護領域の鋼部材を腐食や疲労から保護して長寿命化させることができ、かつ、既存の鋼橋の耐荷力および耐久性を向上させ、騒音と振動を低減させることができる。
【0015】
緩衝材は、鋼部材と補強コンクリートを容易に合成化するため、鋼部材と補強コンクリートのいずれにも接着性が高くかつ両者の間に生じるずれを吸収できるだけの弾性があるものであることが好ましい。またさらに、緩衝材が鋼部材の表面を被覆したときに、緩衝材中に水が染み込みにくく鋼部材に水が付着することを防止するものであることが好ましい。なお、緩衝材が鋼材に対して吹き付け施工が可能であれば、狭隘部における施工性が向上するので好ましい。
緩衝材は、鋼部材と補強コンクリートに対する接着性の観点から、ポリマーセメントモルタル、ポリマーモルタル、ポリマーのいずれかであることが好ましく、特に性能の高さから、ゴムラテックスモルタルであることが好ましい。
【0016】
さらに、型枠は補強コンクリートが硬化した後もそのまま残置して、側面におけるコンクリート地肌が露出しないようにすることにより、補強コンクリートの剥落を防止すると共に、モルタル塗装やペイント塗装の省略や簡易化を図ることができる。
なお、型枠は、軽く頑丈で表面美観を備えた繊維強化プラスチックス(FRP)で形成したものであることが好ましく、特に軽量で強度が高いガラス繊維強化プラスチック(GFRP)で形成することがより好ましい。
【0017】
さらに、補強コンクリートは、速硬軽量コンクリートであることが好ましい。速硬であることにより、連続して施工できる時間が短くてもコンクリート施工することができ、また軽量であることにより、死荷重増分量を低減することができる。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明の鋼橋の部分複合構造化工法は、鋼部材の表面を整備する素地調整作業と、鋼部材の表面に、鋼材とコンクリートを合成化するための緩衝材を被覆する緩衝材施工作業と、鋼部材の保護領域を部分的に囲い込むように型枠を配置して固定する型枠設置作業と、型枠内にコンクリートを流し込んで硬化させるコンクリート施工作業とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の部分複合構造化工法において、素地調整作業は、保護対象領域における鋼部材の劣化部分をケレンやバキュームブラストなどにより削ぎ落として健全な部分を残す作業である。緩衝材施工作業では、たとえばゴムラテックスモルタルなどの緩衝材を鋼部材の保護部分に吹き付け施工する作業である。型枠設置作業は、たとえばGFRP型枠を保護部分を囲うように設置する作業で、予め準備した組立部品を現場合わせして鋼部材に固定し、型枠の外側から支保工を施してコンクリート打設を可能にする作業である。また、コンクリート施工作業は、型枠に補強用の補強コンクリートを充填して硬化させる作業である。硬化した補強コンクリートは緩衝材を介して保護領域の鋼部材に接することになり、鋼部材と補強コンクリートの複合構造が形成される。支保工は、複合構造が強固に形成されたことが確認された後に除去する。
【0020】
本発明の部分複合構造化工法によれば、ケレン作業と、緩衝材施工作業と、型枠設置作業と、コンクリート施工作業のそれぞれを、順次、適宜な間隔で、比較的短時間で実施することができる。したがって、それぞれ夜間や昼間の列車運行の空き時間を使って、運行を妨げることなく施工することができる。
特に、コンクリート施工作業においては、打ち込んだ補強コンクリートが適当な強度になる前に施工中の鋼橋上を列車が走行すると、補強コンクリートがしっかりと付着せず、堅固な複合構造化が形成できなくなるので、補強コンクリートの硬化に必要な時間を確保してしっかり合成化させる必要がある。
したがって、列車運行休止期間の短い鉄道橋などに適用する場合は、打設後3時間程度で受容可能な圧縮強度を備えるようになる速硬軽量コンクリートを使用することが好ましい。
【0021】
また、型枠の底をゴム板で塞ぐことで、型枠内で硬化させた複合構造の補強コンクリートに作用する力と既設のコンクリート支持台に作用する力の相互作用を低減して、補強コンクリートの損壊を防止し、複合構造の寿命を保持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の鋼橋の部分複合構造および部分複合構造化工法は、既設の鋼橋の鋼部材に腐食や疲労による損傷が懸念される場合および実際に損傷が生じた場合に、従来手法より簡易に保護対象部分に鋼材と補強コンクリートの複合構造を形成して、損傷部分を直接補修したり補強したりすることができる。特に、本発明の複合構造および複合構造化工法は、列車等の運行の合間を縫って施工することができるので、供用中の鋼橋に発生した損傷部分に適用して既設鋼橋の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例に係る鋼橋の部分複合構造を示す斜視図である。
【図2】第1実施例に係る部分複合構造に用いる型枠の分解図である。
【図3】第1実施例の部分複合構造の断面図である。
【図4】第1実施例の部分複合構造の補強コンクリートを充填する前の状態を示す平面図である。
【図5】第1実施例に係る鋼橋の部分複合構造化工法例の手順を説明する流れ図である。
【図6】第1実施例に係る部分複合構造化工法例における型枠設置の手順例を説明する流れ図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る鋼橋の部分複合構造を示す側面断面図である。
【図8】第2実施例に係る部分複合構造を示す平面断面図である。
【図9】第2実施例に係る鋼橋の部分複合構造化工法の手順を説明する流れ図である。
【図10】鋼橋の支点部における損傷発生状況を説明する斜視図である。
【図11】従来の鋼橋の修復方法の1例を示す斜視図である。
【図12】従来の鋼橋の修復方法の別例を示す斜視図である。
【図13】鋼トラス橋の構成例を示す斜視図である。
【図14】従来の鋼トラス橋の修復方法の1例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0025】
図1から図6は、本発明の第1実施例を説明する図面である。
図1は本実施例に係る鋼橋の部分複合構造を示す斜視図、図2は部分複合構造に用いる型枠の分解図、図3は部分複合構造の断面図、図4は部分複合構造の補強コンクリートを充填する前の状態を示す平面図、図5は鋼橋の部分複合構造化工法の例についてその手順を説明する流れ図、図6は型枠設置の手順例を説明する流れ図である。
【0026】
本実施例の部分複合構造は、コンクリート橋台4上の鋼橋の支点部における損傷部分を補修・補強する場合に適用されるものである。鋼製腹板1と下フランジ2の接合部分や垂直補剛材のリブ3と下フランジ2の接合部分には、水が滞留して腐食損傷が発生したり、応力集中による疲労損傷が発生したりしやすい。これらの損傷部分は鋼橋の寿命を損ねるので、大事に至る前に処置することが求められる。
【0027】
本実施例の部分複合構造は、鋼橋における鋼部材の表面を被覆する緩衝材11と、鋼部材の保護領域を部分的に囲い込むように設置された型枠13と、型枠内に充填され硬化した補強コンクリート12により構成される鋼・コンクリート複合構造である。
【0028】
緩衝材11は、鋼部材1,2,3と補強コンクリート12の間のずれ止め効果を有する材料で形成される。緩衝材11として利用できる材料には、スチレンブタジェンゴム(SBR)、アクリル系を含むスチレンアクリル系ポリマー、エチレン酢酸ビニル系ポリマー、アスファルト乳剤などのポリマーを使ったポリマーセメントモルタル(PCM)や、エポキシモルタルなどの樹脂モルタルや、エポキシ樹脂やウレタン樹脂などの樹脂(ポリマー)や、グースアスファルトなどのアスファルトなどがある。
【0029】
緩衝材11は、特に、SBR系PCMであるゴムラテックスモルタルで形成されることが好ましい。ゴムラテックスモルタルは、優れたずれ止め効果を有すると共に、水の浸透を防いで鋼部材の腐食をよく防止する上、施工性のよい吹き付け施工が可能であり、寸法安定性などの物理特性が優れており、しかも安価に入手できる、などの特長を有する。
【0030】
型枠13は、鋼橋における鋼部材の保護領域を部分的に囲い込むように設置される。型枠13には補強コンクリート12が鋼部材1,2,3の保護領域を埋める高さまで充填され硬化される。型枠13は、施工後にも鋼・コンクリート複合構造に付属して残存させるので、軽量で頑丈かつ腐食等の損傷が生じにくく塗装等の処理を要しない繊維強化プラスチック(FRP)で形成することが好ましい。
【0031】
図2は、型枠の1例について分解した状態で示した斜視図である。型枠13は、幾つかに分離した型枠側壁部材14とL字型部材17,18を使って現場合わせで組み立てることにより形成することができる。
すなわち、型枠13の型枠側壁部材14を、腐食により劣化した鋼部材部分などの保護対象領域を立体的に囲うように立て廻らせて、鋼部材に接する型枠部材の端縁部を鋼部材面に接着するなどして固定する。なお、鋼部材面と型枠部材の端縁部を接合するときはこの部分の接合面積を確保するため、L字型部材18を当て板として使用し、弾性接着剤で留めるようにしてもよい。また、型枠側壁部材14同士を接合する部分にもL字型部材17を当て板として弾性接着剤で留めることが好ましい。なお、弾性接着剤が硬化するまでの仮押さえとして接合部をリベットなどで固定するようにしてもよい。
【0032】
型枠13の下端部などに隙間ができるときは、補強コンクリートが洩れ出ないように、目地材や接着剤で隙間を塞ぐことが好ましい。
また、型枠13を載置する部分と型枠側壁部材14を確実に接合するため、型枠側壁部材14の下端縁に接合面積を確保するためのフランジ19を設けて、弾性接着剤の載せ代とすることが好ましい。フランジ19は、型枠側壁部材14に一体に形成されたものであっても、L字型部材を取り付けたものであってもよい。
【0033】
さらに、図1、図3、図4に示されたように、型枠13の底にゴム製の敷板16を当てるようにしてもよい。たとえば、コンクリート橋台4に固定された支点部に形成された部分複合構造では、型枠13の中で硬化する補強コンクリート12とコンクリート橋台4の間にゴム敷板16を介在させることにより、鋼部材とコンクリート橋台4の間に変位差が発生しても、硬化した補強コンクリート12とコンクリート橋台4の力の伝達がゴム敷板16で遮断されるため、補強コンクリート12の損壊を防ぐことができる。なお、ゴム敷板は樹脂板など腐食耐性があり、補強コンクリート12とコンクリート橋台4の縁切りを行えるものであれば代用できる。
【0034】
型枠13の中に打設された補強コンクリート12は、鋼材と一体となって合成化し鋼・コンクリート複合構造を形成する。鋼橋において、鋼・コンクリート複合構造を形成したことによる死荷重増分量を抑制するため、補強コンクリート12には軽量コンクリートを利用することが好ましい。
【0035】
さらに、補強コンクリート12がある程度硬化する前に荷重が加わるとコンクリート接合力が弱まるので、適当な強度に達するまでは鋼橋の交通を休止させて、振動させないようにする必要がある。そこで、硬化時間が短い速硬軽量コンクリートを使用することが好ましい。都市部の鉄道橋でも夜間の運行停止時間を利用すれば、3〜5時間程度で適度な強度に達するような速硬軽量コンクリートを使って適切に施工することができる。
【0036】
補強コンクリート12は、水はけのため、鋼部材に接する部分が周囲より高くなるように施工することが好ましい。これにより、雨水などが補強コンクリート12の上面にかかっても、水は外側に流れて鋼部材と接する部分に溜まることがなく、鋼部材の腐食を抑制することができる。
また、補強コンクリート12のひび割れを抑止するため、補強コンクリート12の上層部に鉄筋を格子状に組んだ格子状鉄筋15を埋め込むことが好ましい。
【0037】
次に、図5と図6を用いて、鋼橋の部分複合構造化工法の手順を説明する。図5は部分複合構造化工法全体の手順、図6は工法中の型枠設置の手順、を説明する流れ図である。
初めに、部分複合構造化する保護対象領域を確定する(S11)。
対象部分の周辺をプラスチックシートでマスキングして、対象部分の外側に影響を与えないようにする。また、型枠13の寸法を採って、別途、型枠13の組立ユニットを製作することができる。
【0038】
次に、ゴムラテックスモルタルなどの緩衝材を被覆する保護対象領域の鋼部材について、素地調整施工する(S12)。
緩衝材被覆は、下地の鋼部材に塗膜やサビがあると鋼材との付着力が低下し耐久性が低下するため、緩衝材を被覆する部分について、ディスクサンダーなどにより塗膜を除去し、バキュームブラストなどによるケレンで素地調整をする。素地調整には1平米あたり約130分かかるが、人数を掛けたり分割施工したりすることによって、夜間のまとまった運行休止期間ばかりでなく、昼間の列車間合いにおいても施工が可能である。
【0039】
次に、スプレーなどを利用して素地調整した鋼部材表面に緩衝材を吹き付け施工する(S13)。吹き付け施工に代えて、ローラー、刷毛又は鏝による塗布施工を用いることもできる。
緩衝材として、ポリマーを使ったポリマーセメントモルタル(PCM)や、エポキシモルタルなどの樹脂モルタルや、エポキシ樹脂やウレタン樹脂などの樹脂(ポリマー)や、アスファルトなどが利用できる。
【0040】
本実施例では、ゴムラテックスモルタルを緩衝材として使用する場合を示す。ゴムラテックスモルタルは、スチレンブタジエンゴム(SBR)をベースとしたポリマーディスパージョンに水および混和剤を混入した混和液と、セメントと細骨材および混和剤からなるパウダーを混練したポリマーセメントモルタルである。
一般に、鋼とコンクリートは付着力が弱くずれ止めなどの物理的な対策が必要となるが、ゴムラテックスモルタルは、コンクリートとの親和性は勿論、鋼板との付着性能が高く、鋼部材の腐食を防止して長寿命化し、騒音を低減するなど、複合構造化に有効な材料である。
【0041】
本実施例における緩衝材の吹き付け施工は、ゴムラテックスパウダーとゴムラテックス混和液をハンドミキサで練り混ぜた後に、操作性の優れたリシンガンを用いてゴムラテックスモルタルが5mm〜10mmの厚さになるように対象領域に吹き付け施工する。ゴムラテックスモルタルは、リシンガンを使って、5mm厚を1平米あたり約40分で吹き付け施工することが可能である。リシンガンは、練り混ぜたモルタルをガン上部のホッパに受けて吹き付けるもので、モルタル圧送用ホースを使わないので、実施工の比較的狭小な空間においても短時間で施工可能である。
【0042】
緩衝材としてゴムラテックスモルタルを使う場合、比較的短い時間で吹き付け施工できるが、モルタルが硬化する前に振動を与えると鋼板との付着力が低下するため、鉄道橋などでは、硬化時間を考慮して終電車から始発電車までの夜間時間帯に施工することが好ましい。
なお、ゴムラテックスモルタルの硬化時間は80分程度とされるが、凝結調整剤により硬化時間の調整が可能である。また、断面修復工における付着強度は1.3N/mm以上が求められるが、ゴムラテックスモルタルでは材齢3時間で1.9N/mm以上の値を示すので、施工可能な時間が短くても十分な付着強度を得ることができる。
【0043】
次に、補強コンクリート12を打設するための型枠13を設置する(S14)。
なお、型枠13をゴムラテックスモルタルが吹き付けられた鋼部材の表面に接着剤で固定するため、接合面のゴムラテックスモルタルを平坦に成形することが好ましい。
【0044】
本実施例では、たとえば厚さ5mm程度の繊維強化プラスチック(FRP)の板材で形成された型枠13を用いる。特に、ガラス繊維で強化したガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を用いることが好ましい。繊維強化プラスチック製の型枠13は、軽量で人力でも容易に運搬でき、また現地で実態に合わせて裁断する微調整加工も容易である。したがって、昼間の列車間合いにおいても十分設置することができる。ただし、型枠13の形状によっては、接着剤を使って固定する必要があり、この場合には接着剤の硬化時間を考慮して夜間施工を選択することもある。
【0045】
図6は、型枠13の設置手順の例についてより詳しく説明する流れ図で、大きく2つの型枠部材に分割して準備された型枠ユニットを現地で組立設置する場合について例示したものである。1個の部材あるいは3個以上の型枠側壁部材で構成する場合も、橋梁技術者等の専門家が類推できる同様の工程を踏むことで、部分複合構造化することができることは言うまでもない。
【0046】
型枠13は、腐食や疲労で損傷を受けた鋼部材の部分を囲って内に補強コンクリートを充填して硬化させ、鋼・コンクリート複合構造を形成し、部分的に鋼部材の補修・補強をするために設置する。
したがって、初めに、複合構造を形成しようとする領域に合わせて、型枠13の設置位置を決めなければならない(S21)。次に、決められた設置面に適合する型枠13の形状を求めて、型枠13を形成する型枠側壁部材14などの構成部材を製作する。型枠13は保護対象部分を覆うだけの高さがあればよいが、型枠13の容量は鋼・コンクリート複合構造として求められる機能を満たすように設計する必要がある。
【0047】
型枠13を現場で組み立てる場合にも、現場における組み付け作業量を低減させるため、型枠側壁部材14や組立に使うL字型部材17,18などの部材を、専用装置を備えた工場で製作して、現場に搬入するようにしてもよい。また、部材をユニット化して多数の補修・補強対象に適用できるようにしてもよい。
【0048】
作成した型枠側壁部材14を仮に組み上げて完成するはずの型枠13の立体的形状を確認する(S22)。
型枠13を組み上げるために必要な組み付け調整代を確認して、部材に切り落とし部分の寸法・形状を記入する(S23)。
【0049】
さらに、補強コンクリートが硬化する間型枠13の形状を保持するように外側から拘束する支保工の仕掛け状態を確認し、仮に組み上げてみる。支保工はたとえば木枠で構成し、端部に強力な磁石を付けた鎖で鋼橋の鋼部材に固定することにより、型枠13の位置や形状が変化しないようにする。
このようにして、型枠13を所定の位置に配置し、支保工の位置を確認し、必要ならば仮組立して全体の立体的な配置状態を確認する(S24)。
【0050】
こうして、固定されるべき位置と形状が決まった型枠13は取付位置から取り外して、組み付け調整代を切り出し、接着剤が硬化するまで一時的に型枠側壁部材14同士の接合部分を固定するためのリベットを通すリベット孔を形成する(S25)。
また、保護領域を囲繞する型枠13の底がコンクリート橋台4のコンクリート面に曝される場合は、コンクリート面上にゴム敷板16を敷いて、型枠13の底板とする(S26)。
【0051】
第1の型枠側壁部材14の側縁と底縁に弾性接着剤を塗布する(S27)。また同時に、第1の型枠側壁部材14の縁が当たって固定されるゴム敷板16表面と平坦化したゴムラテックスモルタル吹き付け面に弾性接着剤を塗布する。型枠側壁部材14の側縁にはL字型部材18を接合して、鋼部材表面との接合面積を広げて接着性能を向上させるようにすることができる。また、型枠側壁部材14の底縁にはフランジ19を形成して、ゴム敷板16との接合面積を増加させるようにしてもよい。
第1の型枠側壁部材14を所定の位置に配置して接着面同士を接合させる(S28)。
【0052】
第2の型枠側壁部材14の側縁と底縁、また、型枠側壁部材14の縁を固定するゴム敷板16表面とゴムラテックスモルタル吹き付け面に、弾性接着剤を塗布する(S29)。なお、第1の型枠側壁部材と同様、第2の型枠側壁部材14の側縁にL字型部材18を接合し、また、底縁にフランジ19を形成してもよい。
さらに、第1の型枠側壁部材14の端縁と第2の型枠側壁部材14の端縁をL字型部材17を介して接合するため専用接着剤を塗布する(S30)。
第2の型枠側壁部材14を所定の位置に配置して接着面同士を接合させる(S31)。
【0053】
第1の型枠側壁部材14と第2の型枠側壁部材14の接合部分に設けたリベット孔を利用してリベット固定することにより、接着剤が硬化するまで型枠13の形状を固定する(S32)。
型枠13から未硬化の補強コンクリート12が洩れ出ないように、型枠13の底部分にできた隙間をコーキングにより塞ぐ(S33)。
組み上がった型枠13の寸法を測定により確認する(S34)。
【0054】
ここで図5を参照すると、型枠13を組み上げた後、格子状鉄筋15を型枠13の中に仕込んで(S15)、支保工を施し(S16)、最後に補強コンクリート12を打設して(S17)、鋼橋の部分複合構造を形成する。
格子状鉄筋15は、補強コンクリート12がひび割れにより鋼・コンクリート複合構造を崩したり水が浸入したりすることを防止するもので、補強コンクリート12の上層に埋め込んでおくことが好ましい。
【0055】
格子状鉄筋15は、鉄筋を格子状に配置して交点を溶接や針金で止めることにより形成したもので、鉄筋製の脚を付けて型枠13の底面から支えるようにして型枠13の中に配置することができる。なお、鉄筋が補強コンクリートの表面に露出しないようにするため、格子状鉄筋15は型枠13の断面より小さくして側壁に触れないようにすると共に、鉄筋の脚を底面に配置したコンクリートスペーサの上に載せるようにすることが好ましい。
【0056】
支保工は、図示しないが、型枠13の側壁の周りに木枠などを配置して鎖やバンドなどで止めるもので、コンクリート打設による型枠13のたわみの確認とはらみの防止を行うために取り付ける。木枠を押さえる鎖などの端には強力な磁石を付けて、鋼部材の適宜な場所に固定できるようにしている。
【0057】
補強コンクリート12は、速硬性の軽量コンクリートであることが望ましい。速硬軽量コンクリートとして、カルシウムアルミネートを主成分とした速硬性混和材を配合したものがある。本実施例では、速硬性混和材、普通ポルトランドセメント、珪砂で形成された細骨材、人工軽量粗骨材(最大骨材寸法15mm、絶乾密度1.31g/cm、吸水率28.0%)および凝結調整剤からなり、細骨材率が60.0%になる速硬軽量コンクリートを利用している。
なお、使用した速硬軽量コンクリートは、圧縮強度は3時間で約24N/mmとなり、短時間で良好な強度が得られる。また、単位容積質量は、1日で2.09g/cm、28日で2.04g/cmになる。
【0058】
速硬軽量コンクリートは、20℃の環境にて、可傾式ミキサを用いて軽量粗骨材を除く材料を60秒間練り混ぜた後、軽量粗骨材を投入して120秒練り混ぜたもので、スランプが21.5cmと流動性が高く、振動機を用いることで良好な充填性が得られた。硬化時間は60分であり、硬化前に打ち込み面を3%勾配に仕上げることができる。
速硬軽量コンクリートの打設自体はたとえば1時間程度で済むと評価されるが、コンクリートの硬化時間として3時間程度を確保するため、夜間施工で行うことが好ましい。なお、完成後に滞水を防ぐため、コンクリート表面に3%程度の排水勾配を設けている。
【0059】
本実施例の鋼橋の部分複合構造は、補強コンクリートと鋼部材がずれることなく一体化することにより、耐荷力および耐久性が向上し、さらに騒音や振動を低減できる。また、複合構造の鋼部材表面を緩衝材で覆うことにより、鋼部材の腐食の防止と補強コンクリートと鋼部材のずれを防止する。また、補強コンクリートの側面が強度のある型枠で保護され美観の優れたFRP表面で覆われるので、補強コンクリートの剥落を防止すると共に、モルタルやペイントによる保護を必要としなくなる。
【0060】
さらに、本実施例の鋼橋の部分複合構造化工法は、既存の鋼橋において、溶接によるずれ止めや大型建設機械を使用せず、狭隘な場所で、3〜4時間毎の作業分割や部分施工により複合構造化が可能で、都市内の供用中の鉄道橋梁に対しても供用を妨げることなく適用可能である。
【実施例2】
【0061】
図7から図9は、本発明の第2実施例を説明する図面である。
図7は本実施例に係る鋼橋の部分複合構造を示す側面断面図、図8は図7の部分複合構造のA−A断面を表した平面断面図、図9は本実施例に係る部分複合構造化工法の手順を説明する流れ図である。
【0062】
本実施例の部分複合構造は、図13に示したような鋼トラス橋のトラス斜材について、鉄筋コンクリート(RC)床版に埋め込まれた鋼製のトラス斜材における損傷部分を補修・補強する場合に適用されるものである。
本実施例の部分複合構造は、図9に示した手順に従って、図7と図8に示すような損傷部分の周囲だけに部分的に形成された鋼・コンクリート複合構造であるが、鋼部材に施した緩衝材被覆と、鋼部材の対象部分を囲繞する型枠と、型枠内に充填して硬化させた補強コンクリートを備える技術的思想は第1実施例と同じものである。
【0063】
本実施例の部分複合構造化工法は、初めに、トラス斜材21とRC床版22の交わる部分に発生した腐食や疲労による損傷部分を対象として、トラス斜材21を取り囲むRC床版22をハツリにより除去する(S41)。RC床版とトラス斜材の間にエラスタイトなどの目地材を介装した場合は、目地材も一緒に剥ぎ落として、鋼部材表面を露出させる。
エラスタイトは、耐水性・耐腐食性に優れるアスファルト基材に繊維質を配合して圧縮回復率を向上させた目地材で、RC床版とトラス斜材の間に介在させることにより膨張・圧縮の繰り返しでコンクリートと鋼部材の間に隙間が発生することを抑制して、雨水の浸入を防止し、コンクリートの損傷を防止する。
【0064】
トラス斜材21の緩衝材31を被覆しようとする部分における塗膜やサビを、第1実施例と同様の方法をもって除去して素地調整する(S42)。
素地調整施工されたトラス斜材21の表面に緩衝材31を吹き付け塗布する(S43)。緩衝材31には、第1実施例と同じく、補強コンクリートと鋼部材のいずれにも接合性が高く、耐水性がよい、ゴムラテックスモルタルなどの材料が選ばれる。
【0065】
緩衝材31を吹き付けたトラス斜材21の部分に型枠33を設置する(S44)。型枠33は、繊維強化プラスチックで形成することが好ましく、特にガラス繊維強化プラスチックで形成することが好ましい。型枠33は、トラス斜材21の外形を覆う形に形成されたものであって、たとえば、斜材21の傾斜に沿って傾斜し損傷部を囲繞する側壁部材34を備え底板35で底を塞いだ有底の筒形状に形成されたものなどが適用される。
【0066】
筒形状の型枠33は、板状の側壁部材34を4面に配置して互いにL字型部材である接続部材36で止めて形成することができる。
型枠33は、底板など一部をトラス斜材21に接着剤で接合させることにより固設され、支保工により変形しないように固定される。なお、側壁部や底部に補強コンクリートが洩れる隙間があるときは、コーキング材などで目張りすることが好ましい。
【0067】
型枠33の中に補強コンクリート32を打設して、硬化させる(S45)。型枠内に打設される補強コンクリート32は、速硬軽量コンクリートであることが好ましい。補強コンクリート32の内に格子状鉄筋を埋設してもよい。
型枠33の中の補強コンクリート32が硬化した後に、型枠33を固定していた支保工を除去し、型枠33の外側のRC床版22があった部分に新規のコンクリートを打設する(S46)。
型枠33内の補強コンクリート32の上面は、たとえば3%程度の排水勾配を持つように仕上げて、滞水を防ぐようにすることが好ましい。また、鋼・コンクリート複合構造の機能を損ねないように、補強コンクリート32の内部に格子状鉄筋を埋め込んで補強コンクリート32のひび割れを防ぐようにしてもよい。
【0068】
第2実施例の部分複合構造化工法によれば、鋼トラス橋に適用することにより、トラス斜材に生じる腐食や疲労による損傷部を補修・補強して鋼トラス橋の長寿命化をする部分複合構造を、より簡単に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の部分複合構造および部分複合構造化工法によれば、鋼部材の腐食を防止し、損傷部の耐荷力および耐久性が向上し、さらに騒音や振動を低減できる。また、補強コンクリートが型枠で覆われるので、補強コンクリートの剥落を防止すると共に、ペンキ塗装などの保護膜を必要としない。
さらに、本発明の鋼橋の部分複合構造化工法は、既存の鋼橋において、狭隘な箇所についても容易に施工でき、また、都市内の供用中の鉄道橋梁に対しても供用を妨げることなく適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 鋼製腹板
2 下フランジ
3 リブ(垂直補剛材)
4 コンクリート橋台
11 緩衝材
12 補強コンクリート
13 型枠
14 型枠側壁部材
15 格子状鉄筋
16 ゴム敷板
17 L字型部材
18 L字型部材
19 フランジ
21 トラス斜材
22 鉄筋コンクリート(RC)床版
23 コンクリート
31 緩衝材
32 補強コンクリート
33 型枠
34 側壁部材
35 底板
36 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼部材の表面を被覆して鋼部材とコンクリートを合成化する緩衝材と、
該鋼部材の部分的保護領域を直接囲い込むように設置された型枠と、
前記型枠内の前記保護領域を埋める高さまで充填され硬化したコンクリートとにより構成される、
鋼橋の部分複合構造。
【請求項2】
前記緩衝材は、ポリマーセメントモルタル、ポリマーモルタル、ポリマー、アスファルトのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の鋼橋の部分複合構造。
【請求項3】
前記緩衝材は、ゴムラテックスモルタルであることを特徴とする請求項1記載の鋼橋の部分複合構造。
【請求項4】
前記型枠の側壁は、繊維強化プラスチックスで形成したものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の鋼橋の部分複合構造。
【請求項5】
前記コンクリートは、速硬軽量コンクリートであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の鋼橋の部分複合構造。
【請求項6】
鋼部材の表面を整備する素地調整作業と、該鋼部材の表面に鋼材とコンクリートを合成化する緩衝材を被覆する緩衝材施工作業と、型枠を該鋼部材に固定して該型枠が前記鋼部材の部分的保護領域を直接囲い込むように設置する型枠設置作業と、前記型枠内にコンクリートを流し込んで硬化させるコンクリート施工作業とを含むことを特徴とする、鋼橋の部分複合構造化工法。
【請求項7】
前記緩衝材は、ゴムラテックスモルタルであることを特徴とする請求項6記載の鋼橋の部分複合構造化工法。
【請求項8】
前記コンクリートは、速硬軽量コンクリートであることを特徴とする請求項6または7に記載の鋼橋の部分複合構造化工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−32653(P2013−32653A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169615(P2011−169615)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】