説明

防水部材、防水部材を備える携帯電子機器、及び防水方法

【課題】低コストで製造可能で小型化が容易な防水部材、防水部材を備える携帯電子機器、及び低コストで確実に防水することのできる防水方法を提供する。
【解決手段】防水チューブ8において、内部に中空部12を有し、上部筐体1及び下部筐体2の貫通孔15,20同士を柔軟に連結し、一端部には、貫通孔15と気密に接合する防水接続部30が一体形成されている。また、携帯電子機器において、ヒンジ部と、貫通孔15と貫通孔20を通って上部筐体1と下部筐体2の電子回路同士を電気的に接続するケーブルとを有し、防水チューブ8がヒンジ部の内部に設けられ、防水チューブ8の内部にケーブルが挿通される。また、防水方法において、防水チューブ8の一端部に防水接続部30を一体形成し、防水接続部30を貫通孔15に接合することで、貫通孔15と防水チューブ8とを気密に接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水部材、防水部材を備える携帯電子機器、及び防水方法に関し、特に折り畳み型携帯電子機器の筐体連結部分に用いる防水部材、防水方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示部を有する第1ケースと、キー操作部を有する第2ケースと、をヒンジ部によって回転可能に連結した構成の携帯電子機器が実用化されている。このような携帯電子機器は、その使用環境に対応すべく防水性を備えていることが望ましく、第1ケースと第2ケースとを連結するヒンジ部にも、防水性が求められる。
【0003】
防水性を有するヒンジ部として、特許文献1には、ケーブルが挿通され、シールとOリングによって筐体の貫通孔に気密に接続されている防水チューブを備えるヒンジ部が開示されている。特許文献1に記載のヒンジ部では、図12に示すように、防水チューブ101を筐体の貫通孔に気密に接続するため、防水チューブ101の先端に、別部材であるシール102とOリング103が取り付けられている。また、防水チューブ101とシール102との接続部分の密着性を高めるため、防水チューブ101の周囲は熱収縮性チューブ104によって被覆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載された防水構造では、部品点数が増加し、組み立て工程及びコストが増加してしまうという問題点がある。また、防水チューブ101に、シール102を嵌め込むための嵌入部を設ける必要があるため、防水チューブ101の全長が増長し、ヒンジ部全体が大型化してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、低コストで製造可能で小型化が容易な防水部材、防水部材を備える携帯電子機器、及び低コストで確実に防水することのできる防水方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る防水部材は、内部に中空部を有し、第1筐体及び第2筐体の貫通孔同士を柔軟に連結し、少なくとも一端部には、前記第1筐体の前記貫通孔と気密に接合する接続部が一体形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る携帯電子機器は、内部に電子回路を有し、端部に貫通孔を有する第1筐体と、内部に電子回路を有し、端部に貫通孔を有する第2筐体と、第1筐体と第2筐体とを回動可能に連結するヒンジ部と、前記ヒンジ部を介し、前記第1筐体の貫通孔と前記第2筐体の貫通孔を通って第1筐体と第2筐体の電子回路同士を電気的に接続するケーブルとを有し、上記防水部材が前記ヒンジ部の内部に設けられ、該防水部材の内部に前記ケーブルが挿通されることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る防水方法は、内部に中空部を有し、第1筐体及び第2筐体の貫通孔同士を柔軟に連結する防水部材の、少なくとも一端部に接続部を一体形成し、前記接続部を前記第1筐体の前記貫通孔に接合することで、前記第1筐体の前記貫通孔と前記防水部材とを気密に接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低コストで製造可能で小型化が容易な防水部材、及び防水部材を備える携帯電子機器、及び低コストで確実に防水することのできる防水方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1に係る防水部材の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態2に係る防水チューブの一端を示す拡大図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る防水チューブの他端を示す拡大図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る防水チューブの防水構造を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態3に係る携帯電話を示す全体図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る携帯電話のヒンジ部を示す分解図である。
【図7】本発明の実施形態3に係る携帯電話のヒンジ部を示す分解図である。
【図8】本発明の実施形態4に係る携帯電話を示す全体図である。
【図9a】本発明の実施形態4に係る防水チューブを示す概略図である。
【図9b】図9aにおけるA−A断面図である。
【図9c】図9aにおけるB−B断面図である。
【図10】本発明の実施形態5に係る防水チューブの一端を示す拡大図である。
【図11】本発明の実施形態5に係る防水チューブの防水構造を示す断面図である。
【図12】従来の防水チューブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(実施形態1)
実施形態1に係る防水部材について、図1を参照して説明する。
【0014】
防水部材80は、2つの筐体の貫通孔同士を柔軟に連結するものであり、図1に断面で示すように、内部に中空部12を備えている。また、防水部材80の一端には、防水接続部30が設けられている。防水接続部30は、筐体の貫通孔と気密に接合するものであり、防水部材80に一体成型されている。
【0015】
上記実施形態1によると、防水部材80と防水接続部30とが一体成型されているため、防水部材に別部品の防水接続部を取り付けるものに比べ、部品点数、組み立て工程を削減することができ、低コストで製造可能となる。
また、防水部材80にシール用の別部品を嵌め込むための嵌入部を設ける必要がないため、防水部材80の小型化が容易となる。
【0016】
(実施形態2)
実施形態2では、上記実施形態1に係る防水部材80について、防水チューブ8を例にして、図2乃至図4を参照して説明する。なお、実施形態1と対応する各部には同一の番号を付す。
【0017】
防水チューブ8は、シリコーンゴム等の柔軟性および耐水性を有する材料から構成されており、図4に示すように、中空部12を備える。さらに、防水チューブ8は、一端に防水接続部30を備え、他端にテーパ状に形成されたテーパ形状部16を備える。防水接続部30及びテーパ形状部16は、射出成形により防水チューブ8に一体的に形成されている。
【0018】
防水接続部30は、図2に示すように、パッキン形状部9とその外周面に設けられる凸形状の防水リブ10から構成される。パッキン形状部9は、後述する上部筐体1の貫通孔15の形状に対応して、上部筐体1の幅方向に長い長円形状である。その外周面には防水リブ10が一体成型されている。パッキン形状部9の外径は上部筐体1の貫通孔15の内径より小さく、防水リブ10の外径は上部筐体1の貫通孔15の径より大きく形成されている。防水接続部30は、上部筐体1の貫通孔15の内周に防水リブ10の外周が全周にわたって圧縮嵌合されるように、上部筐体1に装着される。貫通孔15の内周面と径方向に圧縮された防水リブ10との接触面により、気密性が確保され防水構造となる。
【0019】
また、パッキン形状部9の中央部には、防水チューブ8の中空部12に連通する中空部26が形成されており、中空部26には、金属管13が挿入されている。図4に示すように、パッキン形状部9の中空部26の内径は、防水チューブ8の中空部12の内径より大きく形成されており、防水チューブ8の中空部12の内径と金属管13の内径とは、ほぼ同じ大きさとなっている。金属管13は、パッキン形状部9と防水リブ10を内側から支持し、貫通孔15の内周へ防水リブ10を付勢する。したがって、貫通孔15の内周と防水リブ10の外周は気密に嵌合される。
【0020】
一方、図3に示すように、防水チューブ8の、テーパ形状部16を有する端部には、防水チューブ8とは別部品のパッキン17が配置されている。パッキン17は、金属管18とリングパッキン19から構成されている。金属管18は、一端が防水チューブ8のテーパ形状部16に圧入される。リングパッキン19は円形状で、インサート成形によって、金属管18の外周に一体的に形成されている。パッキン17は、後述する下部筐体2の貫通孔20の内周にリングパッキン19の外周が全周にわたって圧縮嵌合されるように、下部筐体2に装着される。貫通孔20の内周面と径方向に圧縮されたリングパッキン19との接触面により、気密性が確保され防水構造となる。
【0021】
上記実施形態2によると、実施形態1と同様に、防水チューブ8と防水接続部30とを一体成型により形成するため、防水チューブ8の外周に別部品の防水接続部を取り付けるものに比べ、低コストで製造可能で、小型化が容易となる。また、パッキン形状部9と防水リブ10を内側から支持する金属管13、及び貫通孔15の内周に圧縮嵌合される防水リブ10を備えているため、確実に防水することができる。
【0022】
(実施形態3)
実施形態3では、上記実施形態2に係る防水チューブ8を備えた携帯電子機器について、携帯電話100を例として、図4乃至図7を参照して説明する。防水チューブ8の構成は実施形態2と同一である。したがって、対応する各部には同一の番号を付す。
【0023】
携帯電話100は、図5に示すように、上部筐体1と、下部筐体2と、上部筐体1の端部と下部筐体2の端部とを回動可能に連結するヒンジ部4と、から構成された折り畳み型のものである。
【0024】
上部筐体1は、合成樹脂等から形成され、種々の情報を表示する表示部3を備える。図6に示すように、上部筐体1の、携帯電話100が開状態の時に下部筐体2と対抗する面には、上部筐体1の幅方向に長い長円形状の貫通孔15が設けられている。
【0025】
下部筐体2は、合成樹脂等から形成され、情報や指示を入力するためのキー操作部等を備える。図7に示すように、下部筐体2の、携帯電話100が開状態の時に上部筐体1と対抗する面には、円形状の貫通孔20が設けられている。
【0026】
ヒンジ部4は、互いに直交する回転軸BAと回転軸CAとを有する2軸ヒンジから構成される。回転軸BAを中心として上部筐体1を下部筐体2に対し回動させることで、携帯電話100は開状態及び閉状態(折り畳み状態)となる。また、回転軸CAを中心として上部筐体1を下部筐体2に対し回動させることで、上部筐体1の表裏を反転させることができる。
【0027】
また携帯電話100は内部に、電気信号用ケーブル5、コネクタ6,7、防水チューブ8、パッキン17、開閉ヒンジ21、回転ヒンジユニット22、開閉リング24を備える。
【0028】
電気信号用ケーブル5は、ヒンジ部4を介して、上部筐体1と下部筐体2とを電気的に接続するためのものであり、数十本の細線同軸ケーブルの束から構成されている。電気信号用ケーブル5の、上部筐体1側の端部にはコネクタ6が接続され、下部筐体2側の端部にはコネクタ7が接続されている。また、電気信号用ケーブル5は防水チューブ8内に挿通されている。
【0029】
コネクタ6は、貫通孔15を介して上部筐体1に挿入され、内部の回路基板に接続されている。一方、コネクタ7は、貫通孔20を介して下部筐体2に挿入され、内部の回路基板に接続されている。
【0030】
防水チューブ8の防水接続部30は、上部筐体1の貫通孔15と気密に嵌合している。また、パッキン17は、下部筐体2の貫通孔20と嵌合している。上部筐体1の貫通孔15と下部筐体2の貫通孔20とが、防水チューブ8及びパッキン17と気密に嵌合しているため、携帯電話100は防水構造となっている。
【0031】
開閉ヒンジ21は、ヒンジ部4の内部に配置されており、開閉動作時のクリック感を発生し、回転角度を規制する機構を持つ。これと対になって、ヒンジ部4の内部には、回転軸の中心合わせを維持させる開閉リング24が配置されている。開閉ヒンジ21は、軸線BAを中心として上部筐体1を下部筐体2に対し回動させることができる。
【0032】
回転ヒンジユニット22は、軸線BAに直交する軸線CAを中心として回動可能であり、上部筐体1と下部筐体2とを回動可能に連結している。また、回転ヒンジユニット22は貫通孔25を有しており、貫通孔25には防水チューブ8が挿通される。図4に示すように、回転ヒンジユニット22の一端部は上部筐体1にボルト32によって固定されている。そして防水接続部30は、上部筐体1と回転ヒンジユニット22との間に挟持されている。したがって、上部筐体1の貫通孔15から防水リブ10が抜ける虞がなく、確実にヒンジ部4を防水することができる。
【0033】
次に実施形態3に係る携帯電話100の組み立て工程について説明する。以下の説明では、構成部品は図2乃至7に示すものと同一である。
【0034】
まず、射出成形により形成したパッキン形状部9、防水リブ10、テーパ形状部16を備える防水チューブ8の、パッキン形状部9の中空部26へ金属管13を挿入する。
【0035】
次に、コネクタ6,7が取り付けられていない電気信号用ケーブル5を、金属管13側から防水チューブ8の内側へ通す。そして、電気信号用ケーブル5を内側に通した防水チューブ8を、回転ヒンジユニット22の貫通孔25および開閉リング24の内側に通す。
【0036】
次に、防水チューブ8の下部筐体2側端部から出ている電気信号用ケーブル5を、パッキン17の金属管18に通す。そして、電気信号用ケーブル5が通ったパッキン17の金属管18を防水チューブ8の下部筐体2側のテーパ形状部16端へ挿入する。
【0037】
以上の工程により、電気信号用ケーブル5、防水チューブ8、回転ヒンジユニット22、開閉リング24、パッキン17が連結される。その後、電気通信用ケーブル5の両端部にコネクタ6,7を接続する。
【0038】
次に、コネクタ6を上部筐体1の貫通孔15から上部筐体1内部に挿通させ、防水チューブ8端のパッキン形状部9を上部筐体1の貫通孔15に嵌めこむ。さらに、防水リブ10の全周を表示筐体の貫通孔15内面と接触させ、防水リブ10を圧縮させる。
その後、回転ヒンジユニット22の一端を上部筐体1にボルト32によって固定する。
【0039】
一方、コネクタ7は、下部筐体2の貫通孔20から下部筐体2の内部に挿通させ、パッキン17のリングパッキン19を下部筐体2の貫通孔20に嵌めこむ。さらに、リングパッキン19の全周で下部筐体2の貫通孔20内面と接触させ、リングパッキン19を圧縮させる。
【0040】
以上の工程により、上部筐体1の貫通孔15と防水チューブ8との接続部は、防水リブ10の全周圧縮により、気密性が確保され防水構造となる。一方、下部筐体2の貫通孔20とパッキン17との接続部も、リングパッキン19の全周圧縮により、機密性が確保され防水構造となる。また、防水リブ10と防水チューブ8は一体化されているため、気密性を備えており、パッキン17と防水チューブ8とは金属管18が圧入されることにより気密性が維持される。
【0041】
(実施形態4)
次に、実施形態4について、図8及び図9a乃至9cを参照して説明する。
【0042】
上記実施形態3において、上部筐体1及び下部筐体2は一部品で構成されていたが、筐体の構成は上記実施形態3に限るものではない。実施形態3とは異なり、実施形態4に係る携帯電話200は、図8に示すように、上部筐体50が、2つに分割されたケース27,28から構成されている。そして、そのケース27,28の合わせ面には、破線で示すように筐体用パッキン29が挟持されている。
その他の基本的な構成は実施形態3と同一である。したがって、図8、図9a乃至9cにおいて、図4及び図5の構成部分と対応する各部には同一の番号を付す。
【0043】
筐体用パッキン29は、上部筐体50の内部に水が浸入することを防ぐためのものであり、防水チューブ31とは別部材であってもよい。しかし、実施形態4においては、筐体用パッキン29は、図9aに示すように、防水チューブ31に一体成形されており、防水チューブ31の防水接続部30から上部筐体50の外周に沿うように延びている。また、図9a乃至9cに示すように、防水チューブ31のパッキン形状部9の外周面に一体形成されている防水リブ10は、筐体用パッキン29のケース27,28と当接する面にも延びて一体的に形成されている。
【0044】
携帯電話200の組み立ての工程では、まず、射出成形により形成した筐体用パッキン29を備える防水チューブ31に実施形態2と同様に金属管13や電気信号用ケーブル5を挿通する。その後、ケース28に防水チューブ31の筐体用パッキン29、及び防水接続部30を嵌めこむ。そして上からケース29を被せ、ケース28とケース29とを固定する。
【0045】
上記実施形態4によると、筐体用パッキン29と防水チューブ31とを一体成形により形成するため、筐体用パッキン29と防水チューブ31とを別部品で形成するものに比べ、部品点数を削減することができ、低コストで製造可能となる。また、筐体用パッキン29と防水チューブ31との間に間隙が生じないため、確実に防水することができる。
【0046】
(実施形態5)
上記実施形態3、4において、防水チューブ8、31の防水リブ10は、パッキン形状部9の外周方向に凸となる形状であったが、防水リブの構成は上記実施形態3、4に限るものではない。実施形態3、4とは異なり、実施形態5に係る防水チューブ40の防水リブ41は、図10、図11に示すように、パッキン形状部9の上部方向、つまり上部筐体1の貫通孔15への防水チューブ40の挿入方向に凸となる形状となっている。
その他の基本的な構成は実施形態2と同一である。したがって、図10、図11において、図2、図4の構成部分と対応する各部には同一の番号を付す。
【0047】
実施形態5においては、防水チューブ40のパッキン形状部9の外径は上部筐体1の貫通孔15の径より大きく形成されている。また、防水リブ41は、防水チューブ40の上部筐体1側の端面の周縁部分に、全周にわたって形成されている。上部筐体1には、貫通孔15の周縁部43に、貫通孔15より大きな径を有する溝44が形成されており、防水チューブ40のパッキン形状部9は、溝44内に挿入され、上部筐体1の貫通孔15の周縁部43に防水リブ41を介して当接している。なお、上部筐体1に溝44を形成せず、上部筐体1の貫通孔15の周縁部43に、防水チューブ40のパッキン形状部9を、そのまま当接させてもよい。
【0048】
また、回転ヒンジユニット22は、上部筐体1との間に防水チューブ40を長手方向に圧縮させた状態で溝44内に挟持して、上部筐体1に固定されている。そのため、上部筐体1の貫通孔15の周縁部43と防水チューブ40のパッキン形状部9との間で防水リブ41が全周にわたって圧縮され、貫通孔15の周縁部43と防水リブ41との接触面により、気密性が確保され防水構造となる。
【0049】
上記実施形態2乃至5では、貫通孔15の内周へ防水リブ10,41を付勢するため、金属管13を防水チューブ8,31,40へ挿入した。しかし、パッキン形状部9が、貫通孔15の内周へ防水リブ10,41を付勢することができる程度に剛性を有している場合、金属管13を省略することもできる。
【0050】
また、防水接続部30は、防水チューブ8,31,40の両端部に設けられていてもよい。その場合、下部筐体2の貫通孔20は上部筐体1,50の貫通孔15と同様に、防水リブ10,41によって気密に封止される。
【0051】
また、防水リブ10,41及びリングパッキン19は、円形状、長円形状でなくてもよい。貫通孔15,20を気密に封止することが可能であれば、任意の形状が可能である。
【0052】
また、上記実施形態2乃至5では、防水接続部30側に防水リブ10,41を設けたが、上部筐体1,50側に防水リブを設け、上部筐体1,50と防水接続部30との間を気密に封止してもよい。
【0053】
さらに上記の防水部材が設けられる携帯電子機器は、携帯電話に限定されるものではない。ヒンジ部を有するものであれば、小型パーソナルコンピュータ、ゲーム機、PDA等、その他の携帯電子機器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1,50…上部筐体
2…下部筐体
3…表示部
4…ヒンジ部
5…電気信号用ケーブル
6,7…コネクタ
8,31,40…防水チューブ
9…パッキン形状部
10,41…防水リブ
12…中空部
13…金属管
15…上部筐体の貫通孔
16…テーパ形状部
17…パッキン
18…金属管
19…リングパッキン
20…下部筐体の貫通孔
21…開閉ヒンジ
22…回転ヒンジユニット
24…開閉リング
25…貫通孔
26…中空部
27,28…ケース
29…筐体用パッキン
30…防水接続部
32…ボルト
43…周縁部
44…溝
80…防水部材
100,200…携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空部を有し、第1筐体及び第2筐体の貫通孔同士を柔軟に連結し、少なくとも一端部には、前記第1筐体の前記貫通孔と気密に接合する接続部が一体形成されていることを特徴とする防水部材。
【請求項2】
前記接続部の、前記第1筐体の前記貫通孔と気密に接合する面には、前記貫通孔の内面または入口周縁に気密に接触する凸形状部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の防水部材。
【請求項3】
前記凸形状部は、前記接続部と一体形成されたリブであることを特徴とする請求項2に記載の防水部材。
【請求項4】
前記接続部は、
前記第1筐体の前記貫通孔に挿入されるパッキン形状部と、
該パッキン形状部の外周に設けられ、該貫通孔の内面に気密に接触するリブ部と、から形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防水部材。
【請求項5】
前記接続部は、
前記第1筐体の前記貫通孔の内径より大きい外径を有し、該貫通孔の入口周縁を被覆する、パッキン形状部と、
前記防水部材の端面に設けられ、前記貫通孔の入口周縁に気密に接触するリブ部と、から形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防水部材。
【請求項6】
前記防水部材の前記接続部には、前記中空部に補強部材が挿入されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の防水部材。
【請求項7】
前記補強部材は筒状の管部材であることを特徴とする請求項6に記載の防水部材。
【請求項8】
前記防水部材の中空部の内周と前記補強部材の内周とは、略同じ長さであることを特徴とする請求項7に記載の防水部材。
【請求項9】
前記防水部材の他端部には、テーパ部が設けられており、
該テーパ部には、前記第2筐体の貫通孔と気密に接合する第2接続部が気密に接続していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の防水部材。
【請求項10】
前記第2接続部は、管部材及びパッキン部とから構成され、
前記管部材は、一端部が前記テーパ部に気密に挿入されており、
前記パッキン部は前記管部材の他端部に設けられ、前記第2筐体の貫通孔に挿入され、該貫通孔の内面に気密に接触することを特徴とする請求項9に記載の防水部材。
【請求項11】
前記管部材と前記パッキン部とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の防水部材。
【請求項12】
内部に電子回路を有し、端部に貫通孔を有する第1筐体と、
内部に電子回路を有し、端部に貫通孔を有する第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを回動可能に連結するヒンジ部と、
前記ヒンジ部を介し、前記第1筐体の貫通孔と前記第2筐体の貫通孔を通って前記第1筐体と前記第2筐体の電子回路同士を電気的に接続するケーブルとを有し、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の防水部材が前記ヒンジ部の内部に設けられ、
該防水部材の内部に前記ケーブルが挿通されることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項13】
前記接続部は、前記第1筐体と前記ヒンジ部との間に脱落不能に挟持固定されることを特徴とする請求項12に記載の携帯電子機器。
【請求項14】
内部に中空部を有し、第1筐体及び第2筐体の貫通孔同士を柔軟に連結する防水部材の、少なくとも一端部に接続部を一体形成し、
前記接続部を前記第1筐体の前記貫通孔に接合することで、前記第1筐体の前記貫通孔と前記防水部材とを気密に接合することを特徴とする防水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−167795(P2012−167795A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31392(P2011−31392)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】