説明

防錆剤および表面処理金属材

【課題】防錆効果に優れるとともに、確実に金属表面に塗布されたかどうかを目視により判断できる防錆剤を提供すること。
【解決手段】分子構造中に疎水基とキレート基とを有する化合物と、この化合物の疎水基と相溶可能な色素とを含有する防錆剤とする。配合する色素は、可視光領域での極大吸収波長(λmax)が500〜700nmにある染料や有機顔料、あるいは、表面を疎水性に処理されたカーボンブラックなどであると良い。また、色素の含有量は、0.0001〜10質量%の範囲内にあると良い。上記化合物の疎水基としては、長鎖アルキル基や環状アルキル基などが良い。また、上記化合物のキレート基としては、ポリリン酸塩、アミノカルボン酸、1,3−ジケトン、アセト酢酸(エステル)、ヒドロキシカルボン酸などを好適に示すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防錆剤および表面処理金属材に関し、さらに詳しくは、錆の発生を防止するために各種金属材の金属表面に塗布するものとして好適な防錆剤と、これを用いた表面処理金属材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な分野において金属材料が用いられており、産業上、金属材料は重要な役割を担っている。しかしながら、金属材料は、錆びやすい性質を有しており、長期にわたって安定してその役割を果たすためには、防錆処理を施す必要がある。そのため、従来より、種々の金属材料に対して、その金属種に応じた種々の防錆方法が提案されている。
【0003】
金属材料の防錆方法としては、例えば、金属表面にめっきを施す方法や、金属表面を塗装する方法などが良く知られている。これらの方法は、金属表面に皮膜を形成し、金属表面を物理的に覆うことにより、水や酸素等といった錆びの原因となる因子の侵入を防ぎ、これにより防錆効果を発揮している。しかしながら、めっきや塗装は、大がかりな方法になりやすい。
【0004】
これに対し、比較的簡易な防錆方法としては、防錆剤を金属表面に塗布する方法が知られている。例えば、各種ワセリンやグリース等を金属表面に塗布する方法が知られている。また、特許文献1には、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に防錆剤を塗布する方法であるが、特定のポリアミノ化合物を有機高分子樹脂マトリックスとした高分子キレート化剤による皮膜を金属表面に形成する方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−166151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれの防錆剤も無色の材料であるため、確実に金属表面に塗布されたかどうかは目視では判断できないという問題があった。また、仮に防錆剤を目視判断可能にするために着色するとしても、防錆剤と着色成分との相溶性が新たな問題となる。これらの相溶性が悪いと、塗布表面に乱れが生じる上、防錆効果の低下を招くという問題がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、防錆効果に優れるとともに、確実に金属表面に塗布されたかどうかを目視により判断できる防錆剤と、これを用いた表面処理金属材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る防錆剤は、分子構造中に疎水基とキレート基とを有する化合物と、前記化合物の疎水基と相溶可能な色素とを含有することを要旨とするものである。
【0009】
この際、前記色素としては、可視光領域での極大吸収波長(λmax)が500〜700nmの範囲内にある染料または有機顔料、あるいは、表面を疎水性に処理されたカーボンブラックが望ましい。そして、前記染料はノニオン性染料であることが好ましい。
【0010】
そして、前記色素の含有量は0.0001〜10質量%の範囲内にあることが望ましい。
【0011】
この場合、前記疎水基としては、長鎖アルキル基および環状アルキル基から選択された1種または2種以上の基を好適に示すことができる。
【0012】
また、前記キレート基としては、ポリリン酸塩、アミノカルボン酸、1,3−ジケトン、アセト酢酸(エステル)、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、アミノアルコール、芳香族複素環式塩基類、フェノール類、オキシム類、シッフ塩基、テトラピロール類、イオウ化合物、合成大環状化合物、ホスホン酸、および、ヒドロキシエチリデンホスホン酸から選択された1種または2種以上のキレート配位子に由来するものを好適に示すことができる。
【0013】
この際、前記疎水基とキレート基とは、エステル結合、エーテル結合、チオエステル結合、チオエーテル結合、および、アミド結合から選択された1種または2種以上の結合を介して結合されていると良い。
【0014】
そして、上記防錆剤は、金属表面塗布用の防錆剤に好適である。
【0015】
一方、本発明に係る表面処理金属材は、上記防錆剤を金属材の表面に塗布してなることを要旨とするものである。
【0016】
この際、前記金属材としては、アルミニウム、鉄、銅、アルミニウム合金、鉄合金、および、銅合金から選択された1種または2種以上の金属よりなるものを好適に示すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る防錆剤は、分子構造中に疎水基とキレート基とを有する化合物と、前記化合物の疎水基と相溶可能な色素とを含有する。前記化合物中のキレート基は金属表面と結合することができるため、本発明に係る防錆剤は金属表面との密着性に優れる。そして、このキレート基とつながっている疎水基は、金属表面の外側に向くため、金属表面に撥水性を付与することができる。これにより、水の侵入を防止する。したがって、本発明に係る防錆剤は、長期間にわたって優れた防錆効果を発揮することができる。
【0018】
さらに、上記化合物とともに配合される色素は上記化合物の疎水基と相溶可能であるため、上記化合物のキレート基の金属表面への結合機能を阻害することなく上記化合物と色素とが相溶できる。これにより、色素を配合することによる防錆効果の低下を抑えることができる。そして、このような色素を配合することによって、防錆剤が確実に金属表面に塗布されたかどうかを目視により判断することができる。
【0019】
この際、前記色素が、可視光領域での極大吸収波長(λmax)が500〜700nmの範囲内にある染料または有機顔料、あるいは、表面を疎水性に処理されたカーボンブラックであれば、より視認効果に優れるため、配合量が少量でも色の認識がしやすい。これにより、色素の配合量を抑えることができるため、目視による確認がしやすいだけでなく、色素の配合量が影響すると推察される防錆効果の低下をも抑えることができる。したがって、視認効果が高く、また、防錆効果にもより優れる。
【0020】
そして、前記染料がノニオン性染料であると、特に前記化合物の疎水基と相溶しやすい。また、前記色素の含有量が上記特定範囲内にあると、より優れた防錆効果を有するとともに、確実に目視により判断できる。
【0021】
この際、前記疎水基が、上記各種の基よりなると、確実に金属表面に撥水性を付与することができる。また、前記キレート基が、上記各種の基よりなると、確実に金属表面と結合することができる。この際、前記疎水基とキレート基とが、上記各種の結合を介して結合されているものは、合成が容易であり、広く用いることができる。
【0022】
一方、本発明に係る表面処理金属材によれば、上記防錆剤を金属材の表面に塗布するため、長期間にわたって安定して防錆効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明に係る防錆剤は、分子構造中に疎水基とキレート基とを有する化合物を防錆の有効成分として含有するとともに、この化合物の疎水基と相溶可能な色素を含有している。本発明に係る防錆剤は、例えば、金属材料の金属表面に塗布するものとして好適に用いることができる。金属材料としては、例えば、自動車等の車両における電線、ケーブル、コネクタ、ボディ等や、高圧電力ケーブル、電気・電子機器部品などを好適に示すことができる。また、金属種としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、アルミニウム合金、鉄合金、銅合金などを例示することができる。
【0024】
本発明において、色素とは、可視光の吸収あるいは放出により物体に色を与える物質であり、通常存在する状態で目で色を感じるほどの呈色を示すものである。したがって、色覚上の識別を与えることができる。
【0025】
本発明に係る防錆剤において、色素は、防錆の有効成分となる化合物の疎水基と良好に相溶できるものである。色素としては、具体的には、可視光領域内に極大吸収波長(λmax)を有する染料や、可視光領域内に極大吸収波長(λmax)を有する有機顔料、表面を疎水性に処理されたカーボンブラックなどを挙げることができる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。2種以上を組み合わせる場合には、2種以上の染料どうし、2種以上の有機顔料どうし、2種以上のカーボンブラックどうしを組み合わせることもできるし、染料と有機顔料、染料とカーボンブラック、有機顔料とカーボンブラック、あるいは、染料と有機顔料とカーボンブラックとを組み合わせることもできる。
【0026】
可視光領域とは、通常、低波長領域側は360〜400nmを指し、高波長側は700〜830nmを指すことが多いが、本発明においては、特に、可視光領域での極大吸収波長(λmax)が500〜700nmの範囲内にある染料あるいは有機顔料が好ましい。500nm未満では、色調が黄色味を帯びてくる。また、700nmを超える範囲では、緑色の色調が薄くなる。そのため、目で色を感じにくくなる。すなわち、可視光領域での極大吸収波長(λmax)が上記特定範囲内にある場合には、より一層、目で色を感じることができる。これにより、色素の配合量が少なくできる。そうすると、色素の配合量に起因すると推察される防錆効果の低下も抑えることができる。したがってこの場合には、視認効果が高いだけでなく、防錆効果にもより優れる。
【0027】
可視光領域内に極大吸収波長(λmax)を有する染料のうち、特に可視光領域での極大吸収波長(λmax)が500〜700nmの範囲内にある染料としては、例えば、アゾ系染料、キノン系染料、ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、ポリメチン系染料、スピロ化合物系染料、フルオレン系染料、イミダゾール系染料、ペリレン系染料、フェナジン系染料、フェノチアジン系染料、アクリジン系染料、アクリジノン系染料、カルボスチリル系染料、クマリン系染料、ジフェニルアミン系染料、キナクリドン系染料、キノフタノン系染料、フェノキサジン系染料、フタロペリノン系染料、フタロシアニン系染料などを例示することができる。このうち、防錆の有効成分となる化合物との相溶性により優れるなどの点から、ノニオン性(非イオン性)の染料が好ましい。
【0028】
有機顔料としては、可視光領域内に極大吸収波長(λmax)を有するものであれば、その化合物自体が不溶性の不溶性色素であっても良いし、染料を不溶化させたレーキ顔料であっても良い。このうち、可視光領域での極大吸収波長(λmax)が500〜700nmの範囲内にある有機顔料としては、アゾ顔料、ニトロ系色素、インダンスレン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料などを例示することができる。
【0029】
カーボンブラックは、防錆の有効成分となる化合物の疎水基と相溶可能に、疎水性に表面処理されたものである。カーボンブラックは、一般に無機顔料に分類されるが、炭素原子よりなるものである。そのため、カーボンブラック単独でも、他の無機顔料と比較して防錆の有効成分となる化合物の疎水基との相溶性は高いと考えられる。そして、さらにこれを疎水性に表面処理しているため、より一層、防錆の有効成分となる化合物の疎水基との相溶性に優れる。このようなものとしては、例えば、三菱化学社製の樹脂分散グレードカーボンブラック「♯1000」などが挙げられる。
【0030】
上記色素の含有量は、好ましくは0.0001〜10質量%の範囲内、より好ましくは0.001〜5質量%の範囲内である。色素の含有量が0.0001質量%未満であると、目視による確認がしにくくなる。一方、色素の含有量が5質量%を超えると、防錆効果が低下する傾向があるが、色素の含有量が10質量%以下の場合には、防錆効果は高い。さらに、色素の含有量が5質量%以下の場合には、特に防錆効果に優れる。なお、色素の配合量によって防錆効果が低下しやすい原因については詳細には解明されていないが、単に防錆の有効成分の含有量が低下するためではなく、配合量が多くなると組成物中で色素成分どうしが凝集しやすくなり、その凝集界面を通して水の侵入が起こりやすくなるためと推察される。
【0031】
本発明に係る防錆剤の防錆の有効成分となる化合物において、キレート基は、防錆する金属表面と結合形成する部位である。キレート基が金属表面と結合することにより、防錆剤が熱や溶剤等により容易に揮発や溶出しないようになる。これにより、長期間にわたって安定して防錆効果を発揮することが可能である。キレート基が金属表面と結合形成してキレート結合に変化していることは、例えば多重全反射赤外吸収法(ATR−IR)や顕微IRなどで確認することができる。
【0032】
また、防錆の有効成分となる化合物において、疎水基は、金属表面と結合形成しているキレート基から外側に張り出すように配置される。疎水基は、金属表面への水の侵入を防ぐために、金属表面と結合形成しているキレート基の上に撥水性を持たせるものである。すなわち、単に金属表面を物理的に覆うことにより防錆効果を発揮するだけではなく、疎水基の撥水効果により金属表面への水の侵入を防ぐことによっても防錆効果を発揮する。
【0033】
上記疎水基とキレート基とは、エステル結合、エーテル結合、チオエステル結合、チオエーテル結合、アミド結合などの結合を介して結合されていることが好ましい。これらの結合を介して疎水基とキレート基とが結合されている構造のものは、縮合反応等により容易に合成することができる。
【0034】
上記疎水基としては、例えば、長鎖アルキル基、環状アルキル基等を例示することができる。これらは、1種のみ含有されていても良いし、2種以上が組み合わされて含有されていても良い。この際、長鎖アルキル基や環状アルキル基にフッ素原子が導入されていれば、より撥水効果に優れる。
【0035】
長鎖アルキル基は、直鎖状でも良いし、分岐していても良い。長鎖アルキル基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは、5〜100の範囲内、より好ましくは、8〜50の範囲内である。環状アルキル基は、単環から形成されていても良いし、複数の環から形成されていても良い。環状アルキル基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは、5〜100の範囲内、より好ましくは、8〜50の範囲内である。長鎖アルキル基や環状アルキル基中には、炭素−炭素不飽和結合や、アミド結合、エーテル結合、エステル結合などを含んでいても良い。
【0036】
上記キレート基は、各種キレート配位子を用いて導入可能である。このようなキレート配位子としては、例えば、ポリリン酸塩、アミノカルボン酸、1,3−ジケトン、アセト酢酸(エステル)、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、アミノアルコール、芳香族複素環式塩基類、フェノール類、オキシム類、シッフ塩基、テトラピロール類、イオウ化合物、合成大環状化合物、ホスホン酸、ヒドロキシエチリデンホスホン酸などを例示することができる。これらの化合物は、配位結合可能な非共有電子対を複数有している。これらは、単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。
【0037】
より具体的には、ポリリン酸塩としては、トリポリリン酸ナトリウムやヘキサメタリン酸などを例示することができる。アミノカルボン酸としては、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、エチレンジアミン四酢酸、N−ヒドロキシメチルエチレンジアミン三酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジアミノシクロヘキシル四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸、ヘキサメチレンジアミンN,N,N,N−四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ポリ(p−ビニルベンジルイミノ二酢酸)などを例示することができる。
【0038】
1,3−ジケトンとしては、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、テノイルトリフルオロアセトンなどを例示することができる。また、アセト酢酸(エステル)としては、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸tert−ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸ヒドロキシプロピルなどを例示することができる。ヒドロキシカルボン酸としては、N−ジヒドロキシエチルグリシン、エチレンビス(ヒドロキシフェニルグリシン)、ジアミノプロパノール四酢酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などを例示することができる。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリアミノトリエチルアミン、ポリエチレンイミンなどを例示することができる。アミノアルコールとしては、トリエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ポリメタリロイルアセトンなどを例示することができる。
【0039】
芳香族複素環式塩基としては、ジピリジル、o−フェナントロリン、オキシン、8−ヒドロキシキノリンなどを例示することができる。フェノール類としては、5−スルホサリチル酸、サリチルアルデヒド、ジスルホピロカテコール、クロモトロプ酸、オキシンスルホン酸、ジサリチルアルデヒドなどを例示することができる。オキシム類としては、ジメチルグリオキシム、サリチルアドキシムなどを例示することができる。シッフ塩基としては、ジメチルグリオキシム、サリチルアドキシム、ジサリチルアルデヒド、1,2−プロピレンジミンなどを例示することができる。
【0040】
テトラピロール類としては、フタロシアニン、テトラフェニルポルフィリンなどを例示することができる。イオウ化合物としては、トルエンジチオール、ジメルカプトプロパノール、チオグリコール酸、エチルキサントゲン酸カリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジチゾン、ジエチルジチオリン酸などを例示することができる。合成大環状化合物としては、テトラフェニルポルフィリン、クラウンエーテル類などを例示することができる。ホスホン酸としては、エチレンジアミンN,N−ビスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸などを例示することができる。
【0041】
上記キレート配位子には、適宜ヒドロキシル基やアミノ基などを導入することも可能である。上記キレート配位子は、塩として存在可能なものもある。この場合、塩の形態で用いても良い。また、上記キレート配位子またはその塩の水和物や溶媒和物を用いても良い。さらに、上記キレート配位子には、光学活性体のものも含まれているが、任意の立体異性体、立体異性体の混合物、ラセミ体などを用いても良い。
【0042】
上記長鎖アルキル基は、長鎖アルキル化合物を用いて導入可能である。長鎖アルキル化合物としては、特に限定されないが、例えば、長鎖アルキルカルボン酸や、長鎖アルキルカルボン酸エステル、長鎖アルキルカルボン酸アミドなどの長鎖アルキルカルボン酸誘導体、長鎖アルキルアルコール、長鎖アルキルチオール、長鎖アルキルアルデヒド、長鎖アルキルエーテル、長鎖アルキルアミン、長鎖アルキルアミン誘導体、長鎖アルキルハロゲンなどを例示することができる。これらのうち、キレート基を導入しやすい点などから、長鎖アルキルカルボン酸、長鎖アルキルカルボン酸誘導体、長鎖アルキルアルコール、長鎖アルキルアミンが好ましい。
【0043】
長鎖アルキル化合物としては、より具体的には、例えば、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、テトラドコサン酸、ヘキサドコサン酸、オクタドコサン酸、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラドコサノール、ヘキサドコサノール、オクタドコサノール、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ドデシルカルボン酸クロリド、ヘキサデシルカルボン酸クロリド、オクタデシルカルボン酸クロリドなどを例示することができる。これらのうち、入手が容易である点などにおいては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノール、ドコサノール、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ドデシルカルボン酸クロリド、オクタデシルカルボン酸クロリドが好適である。
【0044】
上記環状アルキル基は、環状アルキル化合物を用いて導入可能である。環状アルキル化合物としては、特に限定されないが、例えば、炭素数が3〜8のシクロアルキル化合物や、ステロイド骨格を有する化合物、アダマンタン骨格を有する化合物などを例示することができる。この際、これら各種化合物には、上記キレート配位子との結合形成が可能であるなどの観点から、カルボン酸基、水酸基、酸アミド基、アミノ基、チオール基などが導入されていることが好ましい。
【0045】
環状アルキル化合物としては、より具体的には、コール酸、デオキシコール酸、アダマンタンカルボン酸、アダマンタン酢酸、シクロヘキシルシクロヘキサノール、シクロペンタデカノール、イソボルネオール、アダマンタノール、メチルアダマンタノール、エチルアダマンタノール、コレステロール、コレスタノール、シクロオクチルアミン、シクロドデシルアミン、アダマンタンメチルアミン、アダマンタンエチルアミンなどを例示することができる。これらのうち、入手が容易である点などにおいては、アダマンタノール、コレステロールが好適である。
【0046】
防錆の有効成分となる化合物は、上記疎水基とキレート基とを有するものであるため、例えば、疎水基を有する化合物と、キレート基を有するキレート配位子とを接触させることにより得ることができる。より具体的には、疎水基を有する化合物と、キレート基を有するキレート配位子とを縮合反応させることにより得ることができる。このとき、溶媒を用いても良いし、撹拌させても良い。また、反応速度を上げるなどの目的で、加熱しても良いし、触媒を添加しても良い。さらに、副生物を除去するなどして、平衡反応を生成系に偏らせて、高収率で目的物が得られるようにしても良い。疎水基を有する化合物としては、上記する長鎖アルキル化合物、環状アルキル化合物などが挙げられる。
【0047】
例えば、上記疎水基を有する化合物がカルボキシル基またはヒドロキシル基を有し、上記キレート配位子がヒドロキシル基またはカルボキシル基を有している場合には、上記疎水基とキレート基とがエステル結合を介して結合されているものを得ることができる。また、例えば、上記疎水基を有する化合物がカルボキシル基またはアミノ基を有し、上記キレート配位子がアミノ基またはカルボキシル基を有している場合には、上記疎水基とキレート基とがアミド結合を介して結合されているものを得ることができる。
【0048】
本発明に係る防錆剤の有効成分となる上記化合物の分子量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、100〜1500の範囲内であり、より好ましくは、200〜800の範囲内である。
【0049】
本発明に係る防錆剤の有効成分となる上記化合物の一例を構造式で表すと、例えば、以下のようになる。
【0050】
【化1】

【0051】
ただし、式(1)において、Rは、上記長鎖アルキル基または上記環状アルキル基を示し、Xは、エステル結合部位、エーテル結合部位、チオエステル結合部位、または、アミド結合部位を示し、Yは、上記キレート基を示している。すなわち、上記長鎖アルキル基または上記環状アルキル基と上記キレート基とが、エステル結合、エーテル結合、チオエステル結合、または、アミド結合を介して結合されている。
【0052】
防錆の有効成分となる化合物の配合量は、0.01質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜99.5質量%の範囲内である。配合量が0.01質量%未満では、防錆効果が低くなりやすい。
【0053】
本発明に係る防錆剤は、防錆の有効成分となる化合物、色素以外に他の成分を含有していても良い。他の成分としては、例えば、有機溶剤や、ワックス、オイル等を挙げることができる。他の成分は、それ自体に防錆効果を有するものであっても良いし、防錆効果を有しないものであっても良い。他の成分は、希釈剤としての機能も有する。すなわち、本発明に係る防錆剤の有効成分である上記化合物や色素の性状(液状である、固体である、粉末である等)に応じて、塗布等しやすくするために防錆剤の性状を調整する役割も担う。
【0054】
他の成分としての有機溶剤としては、例えば、炭素数が1〜8のアルコール類、テトラヒドロフラン、アセトン等の含酸素溶剤、炭素数が6〜18のアルカン類等を示すことができる。また、ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素等を示すことができる。また、オイルとしては、例えば、潤滑油、作動油、熱媒オイル、シリコンオイルなどを示すことができる。
【0055】
本発明に係る防錆剤を、例えば金属表面に塗布して用いる場合には、上述する有効成分となる化合物と色素との混合物、または、有効成分と色素と他の成分との混合物を直接金属表面に塗布する。この際、塗布方法としては、塗布法、浸漬法、スプレー法等の任意の方法を採用できる。また、スクイズコーター等による塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。塗布する場合、密着性、耐食性を向上させるため、必要に応じて加温または圧縮などの処理を施すことができる。
【0056】
次に、本発明に係る表面処理金属材について説明する。本発明に係る表面処理金属材は、上記本発明に係る防錆剤を金属材の表面に塗布したものからなる。金属材は、アルミニウム、鉄、銅、アルミニウム合金、鉄合金、銅合金などの金属よりなるものであることが好ましい。この際、金属材表面には、亜鉛やアルミニウム等の金属によりめっきが施されていても良い。防錆剤の塗布方法としては、上記する塗布方法であれば良い。
【0057】
本発明に係る表面処理金属材としては、例えば、自動車等の車両における電線、ケーブル、コネクタ、ボディ等の金属部分や、高圧電力ケーブル、電気・電子機器部品などの金属部分を好適に示すことができる。
【実施例】
【0058】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0059】
(供試材料および製造元など)
本実施例および比較例において使用した供試材料を製造元、商品名などとともに示す。また、一部のものについては、実験室にて合成したものを用いた。合成品については、以下に、その合成方法と、構造式、および、同定データを示す。また、製造元、商品名の記載がないものは、試薬を用いたものである。
【0060】
<防錆の有効成分となる化合物の合成>
・化合物A(式(2)の化合物)の合成
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸5g(28.2mmol)をDMF200mLに溶解し、水浴にて冷却攪拌しながら、ノナデカン酸クロライド9.0g(28.4mmol)を少しずつ加える。その後、常温にて12時間攪拌を続ける。反応終了後、反応液を氷浴にて冷却攪拌しながら、純水200mLを少しずつ加える。その後常温に戻し1時間攪拌後、1Nの水酸化ナトリウム溶液にてpHを2.0に調整し、それらの混合液を濃縮する。得られた褐色オイルに純水200mLを加え、デカンテーションにて2回洗浄する。洗浄物を熱メタノールに溶解し冷却して再結晶させ、ろ取して淡黄色の粉末を得る。前記メタノール再結晶をもう一回繰り返して淡黄色の目的物を得た(収率70%)。1H−NMR(DMSO)σppm(TMS):0.86(t,3H)、1.25(m,40H)、1.58(t,2H)、2.34(t,2H)、2.44(t,2H)、3.48(m,6H)、4.03(t,2H)。IR(cm−1):2923(C−H伸縮)、1733(エステルのC=O伸縮)、1455(カルボン酸のC−O伸縮)、1220(エステルのC−O伸縮)、1056(C−N伸縮)。
【0061】
【化2】

但し、R2はオクタデシル基である。
【0062】
・化合物B(式(3)の化合物)の合成
tert−ブチルアセトアセテート5g(31.6mmol)とオクタデシルアルコール8.5g(31.4mmol)をトルエン50mLに溶解し、攪拌しながら110℃まで加温し、副生成物のtert−ブタノールをDean−Starkトラップにて除きながら2時間反応させる。反応終了後、減圧濃縮し、白色のワックス状組成物を得る。そこに冷水20mLを加え固化させ、ろ取し目的物を得た(収率75%)。1H−NMR(CDCl)σppm(TMS):0.89(t,3H)、1.26(m,30H)、1.64(m,2H)、2.27(s,3H)、3.44(s,2H)、4.13(t,2H)。IR(cm−1):2924(C−H伸縮)、1745、1720(βジケトン、エノール体)、1642(βジケトン、エノール体)、1420(カルボン酸のC−O伸縮)。
【0063】
【化3】

但し、R3はオクタデシル基である。
【0064】
・化合物C(式(4)の化合物)の合成
オクタデシルアルコールに代えて、下記式(5)に示す構造を有するコレステロール12.1g(31.3mmol)を用いたこと以外、化合物Bと同様にして合成した。(収率48%)。1H−NMR(CDCl)σppm(TMS):0.5〜2.0(m,41H)、2.28(m,2H)、2.26(s,3H)、3.41(s,2H)、3.52(m,1H)、5.35(m,1H)。IR(cm−1):2925(C−H伸縮)、1745、1720(βジケトン、エノール体)、1642(βジケトン、エノール体)、1440(カルボン酸のC−O伸縮)。
【0065】
【化4】

但し、R4はコレステリル基である。
【0066】
【化5】

【0067】
<色素>
・スダンブラックB(アゾ系染料)
・ローダミン6G(ローダミン系染料)
・オイルバイオレット(アゾ系染料)
・ベーシックバイオレット(トリフェニルメタン系染料)
・スダンブルー(ポリメチン系染料)
・ベーシックブルー(フェノキサジン系染料)
・ピグメントバイオレット19(キナクリドン系染料)
・フタロシアニンブルー(フタロシアニン系染料)
・カーボンブラックB(樹脂分散グレード、表面処理品)[三菱化学社製、商品名「♯1000」]
・カーボンブラックA[三菱化学社製、商品名「MCF88」]
・ジンクイエロー(無機顔料)
・チタン白(無機顔料)
・バットイエロー4(キノン系染料)[Yick−Vic Chemicals&Pharmaceuticals社製、商品名「DYE−V0806」]
・ベーシックオレンジ14(アクリジン系染料)
【0068】
<その他の成分(添加剤)>
・オイル[出光興産(株)製、商品名「ダフニーメカニックオイル10」]
【0069】
(防錆剤の調製)
防錆の有効成分となる化合物5gを試験管中で120℃に加熱し、融解させた後、添加成分を加え、120℃加熱条件下で攪拌子を用いて3分間攪拌して各成分を混合した。各実施例および各比較例における配合組成は表1に示す通りである。
【0070】
(金属表面への塗布方法)
上記方法により調製した各防錆剤を、それぞれ、エタノール洗浄済みの各アルミニウム板(10×10×0.5mm)の上に1mgずつ乗せ、5分間100℃に加温し、融解させ流動性を高めることによって均一に塗布した。その後加温を解き、室温まで自然冷却して各サンプル片とした。
【0071】
(視認性評価)
各サンプル片について、防錆剤の塗布部分が目視により確認できるか調べた。目視による確認が容易であったものを「○」とし、目視による確認はできたが容易ではなかったものを「△」とし、目視では確認できなかったものを「×」とした。視認性評価の結果は表1の通りである。
【0072】
(防錆試験方法)
各サンプル片の防錆剤塗布面に中性の5%食塩水を10uL滴下し、5%食塩水が表面にスポットされたものを80℃、95%RH、100時間で高温高湿試験を行い、一定時間試験後、純水にて表面を洗浄して、サンプル片の塩水スポット箇所の表面状態の観察を行ない、白錆発生の有無を調べた。この際、当該箇所表面の写真を撮り、防錆剤塗布面全体に対する白錆発生面積率を求めた。その結果、白錆の発生がなかったものを「◎」とし、白錆の発生があったものの、白錆発生面積率が5%未満である場合を「○+」、白錆発生面積率が5%以上10%未満である場合を「○」、白錆発生面積率が10%以上25%未満である場合を「○−」、白錆発生面積率が25%以上50%未満である場合を「△」、白錆発生面積率が50%以上である場合を「×」とした。防錆試験の結果は表1の通りである。
【0073】
【表1】

【0074】
比較例1より、色素を配合していない場合には、防錆剤の塗布部分が目視により確認できないことが分かった。また、比較例5〜6より、可視光領域での極大吸収波長が500nm未満の染料を配合したものでは、配合量が比較的少ない場合には、防錆剤の塗布部分が目視により確認できないか、あるいは非常に確認しづらいことが分かった。さらに、比較例2〜3より、配合した色素が無機顔料よりなる場合には、防錆性が悪くなることが分かった。これは、配合した色素が無機顔料であるため、有効成分と相溶性が悪くなったことによるものと推察される。また、配合した色素が無機顔料であるため、有効成分となる化合物のキレート基と相互作用しやすくなり、キレート基の金属表面への結合機能を阻害するためと推察される。
【0075】
これに対し、実施例のものは、有効成分の疎水基との相溶性に優れる色素を配合しているため、防錆剤の塗布部分が目視により十分確認できるとともに、防錆効果も維持し続けることが確認できた。この際、実施例13および14を見れば分かるように、オイル成分等を添加することもでき、これによる防錆剤の視認性および防錆性への影響は見られなかった。また、実施例19ではカーボンブラックを用いているが、このものは樹脂に分散しやすいように表面処理されたものであるため、有効成分の疎水基との相溶性に優れる結果、防錆性にも優れることが確認できた。
【0076】
そして、実施例5、15〜18では、色素の含有量(配合量)を変えた実施例を示している。これらから、色素の含有量が5質量%を超えると、防錆効果が低下する傾向があることが分かる。そして、視認性を維持しつつ、色素の含有量が10質量%以下の場合には防錆効果は高く、色素の含有量が5質量%以下の場合には特に防錆効果に優れることが分かる。
【0077】
これは、単に有効成分の含有量が少なくなったことによるものではなく、色素の含有量が多くなったためと推察される。実際、オイルを添加した系である実施例13および14では、実施例18よりも有効成分の含有量が少ないにもかかわらず、防錆性により優れている。そして、このことは、配合量が多くなると組成物中で色素成分どうしが凝集しやすくなり、その凝集界面を通して水の侵入が起こりやすくなったために、防錆効果が低下しやすくなったものと推察される。
【0078】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子構造中に疎水基とキレート基とを有する化合物と、
前記化合物の疎水基と相溶可能な色素とを含有することを特徴とする防錆剤。
【請求項2】
前記色素は、可視光領域での極大吸収波長(λmax)が500〜700nmの範囲内にある染料または有機顔料、あるいは、表面を疎水性に処理されたカーボンブラックであることを特徴とする請求項1に記載の防錆剤。
【請求項3】
前記染料は、ノニオン性染料であることを特徴とする請求項2に記載の防錆剤。
【請求項4】
前記色素の含有量は、0.0001〜10質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防錆剤。
【請求項5】
前記疎水基は、長鎖アルキル基および環状アルキル基から選択された1種または2種以上の基であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防錆剤。
【請求項6】
前記キレート基は、ポリリン酸塩、アミノカルボン酸、1,3−ジケトン、アセト酢酸(エステル)、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、アミノアルコール、芳香族複素環式塩基類、フェノール類、オキシム類、シッフ塩基、テトラピロール類、イオウ化合物、合成大環状化合物、ホスホン酸、および、ヒドロキシエチリデンホスホン酸から選択された1種または2種以上のキレート配位子に由来するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の防錆剤。
【請求項7】
前記疎水基とキレート基とは、エステル結合、エーテル結合、チオエステル結合、チオエーテル結合、および、アミド結合から選択された1種または2種以上の結合を介して結合されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の防錆剤。
【請求項8】
金属表面塗布用であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の防錆剤。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の防錆剤を金属材の表面に塗布してなることを特徴とする表面処理金属材。
【請求項10】
前記金属材は、アルミニウム、鉄、銅、アルミニウム合金、鉄合金、および、銅合金から選択された1種または2種以上の金属よりなることを特徴とする請求項9に記載の表面処理金属材。

【公開番号】特開2010−144205(P2010−144205A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321696(P2008−321696)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】