説明

降糖効果を有する外用薬

【課題】顕著な降糖効果を有し糖尿病等の疾患の予防および治療に有効であり、使用する患者にとって抵抗感の少ない薬を提供する。
【解決手段】ナンバンカラスウリの種子、ケンゴシ、オウギ、キバン、カンゾウ、ゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウを、各々の重量比が28.2:23.5:9.4:7.1:2.4:4.7:4.7:4.7:4.7:4.7:4.7:1.2となるように混合したものを、無精子の鶏卵の卵白と混ぜ合わせて足裏の中央に定着させ15時間湿布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降糖効果を有し、糖尿病等の疾患の予防および治療に有効な外用薬に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、インシュリンの不足もしくはインシュリンがうまく細胞に作用しないことによりブドウ糖、タンパク質および脂質の代謝異常が引き起こされる疾患の一つである。糖尿病の特徴は、血液中のブドウ糖の濃度すなわち血糖値が持続的に上昇した状態にあることである。
【0003】
糖尿病の治療においては、高血糖の改善、すなわち上昇した血糖値を低下させることが重要であることは、良く知られている。
【0004】
糖尿病の治療法には、運動療法、食物療法、薬物療法等がある。この薬物療法に用いられる薬物として、生薬の中にも降糖効果(すなわち、血糖値を下げることができる効果)を有し糖尿病の予防および治療に対して優れた有効性を発揮するものがある。
【0005】
例えば、特許文献1は、ナンバンカラスウリ(南蛮烏瓜)の果肉および種子から抽出したエキスを実験動物に与え、糖吸収阻害効果(抗糖尿病作用)を得られたとしている。また、特許文献2は、カンゾウ(甘草)抽出物を含有する製薬学的調整物が、患者の血液グルコース濃度を低下させたとしている。
【0006】
なお、生薬は、複数のものを組み合わせて用いることでより優れた効果を発揮する場合のあることが知られている。
【0007】
例えば、特許文献3は、ケンゴシ(牽午子)等のエキスからなる生体内物質分布不均一改善剤が、インシュリンの不足に起因する糖尿病等の改善や悪化・発症の予防に効果があるとしている。また、特許文献4は、オウギ(黄耆)を含む9種類の生薬からなる消渇湯が、糖尿病を治し患者の健康を回復させるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−59858号公報
【特許文献2】特開2002−114695号公報
【特許文献3】特開平11−228436号公報
【特許文献4】特開2002−255845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
糖尿病の予防および治療に有効な生薬もしくは生薬の組み合わせについては多数の研究報告がなされているが、それらの効果はまちまちである。
【0010】
また、上述のような生薬もしくは生薬の組み合わせの多くは内服薬であるため、内容物によっては服用に抵抗感を感じる患者も少なくない。
【0011】
本発明は、顕著な降糖効果を有し糖尿病等の疾患の予防および治療に有効であり、使用する患者にとって抵抗感の少ない薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題に鑑み、本発明の発明者は、顕著な降糖効果を有する生薬の組み合わせおよびそれを外用薬として使用する場合の有効性について鋭意検討を行い、新知見を得た。
【0013】
具体的には、本発明は、
ナンバンカラスウリの種子を有効成分として含有する
血糖値を下げるための外用薬を提供する(第1の実施態様)。
【0014】
また、上記の第1の実施態様において、
ケンゴシ、オウギ、キバン、およびカンゾウを有効成分として含有する
構成を採用してもよい(第2の実施態様)。
【0015】
また、上記の第2の実施態様において、
ナンバンカラスウリの種子、ケンゴシ、オウギ、キバン、およびカンゾウの重量比が40:33.4:13.3:10:3.3である
構成を採用してもよい(第3の実施態様)。
【0016】
また、上記の第2の実施態様において、
ゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウを補助成分として含有する
構成を採用してもよい(第4の実施態様)。
【0017】
また、上記の第4の実施態様において、
外用薬全体の重量に対し、ナンバンカラスウリの種子を25重量パーセント以上かつ40重量パーセント以下含有する
構成を採用してもよい(第5の実施態様)。
【0018】
また、上記の第4の実施態様において、
ナンバンカラスウリの種子、ケンゴシ、オウギ、キバン、カンゾウ、ゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウの重量比が28.2:23.5:9.4:7.1:2.4:4.7:4.7:4.7:4.7:4.7:4.7:1.2である
構成を採用してもよい(第6の実施態様)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の実施態様にかかる外用薬によれば、患者は身体の所定位置に外用薬を貼付することにより、顕著な降糖効果を得ることができるとともに、内服薬を使用する場合と比較し、多くの患者にとって抵抗感が少ない。
【0020】
また、本発明の第2の実施態様にかかる外用薬は、有効成分としてナンバンカラスウリの種子とともにケンゴシ、オウギ、キバン、およびカンゾウを含有しているので、降糖作用において各成分の相乗効果を得ることができる。
【0021】
また、本発明の第3の実施態様にかかる外用薬は、有効成分として含有するナンバンカラスウリの種子、ケンゴシ、オウギ、キバン、およびカンゾウの重量比を適切なものとしたので、より大きな降糖効果を有する。
【0022】
また、本発明の第4の実施態様にかかる外用薬によれば、補助成分として含有されるゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウにより、降糖効果の増大およびその持続が期待される。
【0023】
また、本発明の第5の実施態様にかかる外用薬によれば、外用薬全体の重量に対するナンバンカラスウリの種子の重量比を適切なものとしたので、ナンバンカラスウリの有する降糖効果を最大限に引き出すことができる。
【0024】
また、本発明の第6の実施態様にかかる外用薬は、有効成分もしくは補助成分として含有するナンバンカラスウリの種子、ケンゴシ、オウギ、キバン、カンゾウ、ゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウの重量比を適切なものとしたので、これらの生薬の組み合わせにおいて最も優れた相乗効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる外用薬の効果確認試験におけるHbA1cの平均値の変動を示す表および図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる外用薬の効果確認試験におけるグリコアルブミンの平均値の変動を示す表および図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる外用薬の効果確認試験におけるグルコースの平均値の変動を示す表および図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかる外用薬の効果確認試験における一被験者(No.191)の結果を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にかかる外用薬の効果確認試験における一被験者(No.192)の結果を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態にかかる外用薬の効果確認試験における一被験者(No.193)の結果を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態にかかる外用薬の効果確認試験における一被験者(No.195)の結果を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態にかかる外用薬の効果確認試験における一被験者(No.197)の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態)
以下、本発明の具体例である実施形態について説明する。本実施形態は、本発明を糖尿病の予防もしくは治療のための湿布に用いられる粉末状の外用薬として適用したものである。
【0027】
本実施形態にかかる外用薬の1パッケージは、例えば、有効成分としてナンバンカラスウリ(南蛮烏瓜)の種子を60グラム、ケンゴシ(牽午子)を50グラム、オウギ(黄耆)を20グラム、キバン(亀板)を15グラム、およびカンゾウ(甘草)を5グラム含有し、補助成分としてゴミシ(五味子)を10グラム、ジオウ(地黄)を10グラム、オケラ(朮)を10グラム、タイシジン(太子参)を10グラム、ホッコシ(補骨脂)を10グラム、ハクカ(白果)を10グラム、およびシロコショウ(白胡椒)を2.5グラム含有する。
【0028】
この場合、本外用薬に含有されるナンバンカラスウリの種子、ケンゴシ、オウギ、キバン、カンゾウ、ゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウの重量比は、28.2:23.5:9.4:7.1:2.4:4.7:4.7:4.7:4.7:4.7:4.7:1.2となる。
【0029】
ここで、ナンバンカラスウリの種子の量については、60グラムに限られず50グラム以上かつ100グラム以下であればよいが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、ナンバンカラスウリの種子の量が50グラムである場合は、外用薬全体の重量に対するナンバンカラスウリの種子の量の割合は25重量パーセントとなり、ナンバンカラスウリの種子の量が100グラムである場合は、外用薬全体の重量に対するナンバンカラスウリの種子の量の割合は40重量パーセントとなる。
【0030】
次に、本実施形態にかかる外用薬を構成する各成分について簡単に説明する。
【0031】
ナンバンカラスウリは、ウリ科に属する植物である。本発明にかかる外用薬においては、その種子を乾燥して用いる。
【0032】
ケンゴシは、ヒルガオ科に属する植物であるアサガオの種子である。本発明にかかる外用薬においては、乾燥の後、不純物を取り除いたものが用いられる。
【0033】
オウギは、マメ科に属する植物であるモウコオウギもしくはタイツリオウギの根である。オウギは、例えば、採取された後に根が途中で切れてしまわないようにして付着した泥土を洗い流される。その後、オウギは、例えば、半乾きになるまで天日乾燥され、1日か2日ほど積置きした後に再び湿らせて陰干しされる。
【0034】
キバンは、亀の腹甲すなわち亀の腹の甲羅である。キバンは、例えば、亀を死亡させた後に採取され、筋肉を取り除いた後に天日乾燥される。
【0035】
カンゾウは、マメ科に属する植物であるカンゾウの根もしくは根茎である。カンゾウは、例えば、春季および秋季の二季に掘って収穫される。また、カンゾウは、例えば、雑多な小根および不純物を取り除いた後に洗浄して水分を浸透させ、その後に乾燥される。
【0036】
ゴミシは、モクレン科に属する植物であるゴミシの果実である。ゴミシは、例えば、8月下旬から10月にかけて成熟したものから順番に収穫される。また、ゴミシは、例えば、収穫後に天日乾燥もしくは機械乾燥される。
【0037】
ジオウは、ゴマノハグサ科に属する植物であるジオウの塊根である。ジオウは、例えば、秋季に掘って収穫され、雑多な小根および不純物を取り除いた後に乾燥される。
【0038】
オケラは、キク科の植物であるシナオケラの根茎である。オケラは、例えば、秋季に掘って収穫され、泥土を落とし天日乾燥した後に雑多な小根および不純物を取り除かれる。
【0039】
タイシジンは、ナデシコ科に属する植物であるワダソウの塊根である。タイシジンは、例えば、夏季の葉および茎の大部分が枯れ落ちた時期に掘って収穫される。また、タイシジンは、例えば、洗浄して雑多な小根および不純物を取り除いた後に、沸騰したお湯の中で短時間煮てその後陰干しもしくは天日乾燥される。
【0040】
ホッコシは、マメ科に属する植物であるオランダヒユの果実である。ホッコシは、例えば、秋季に成熟したものから順番に収穫される。また、ホッコシは、例えば、穂を取り除いて天日乾燥した後に種子および不純物を取り除かれる。
【0041】
ハクカは、イチョウ科の植物である銀杏の種子である。ハクカは、例えば、秋季の種子成熟期に収穫される。また、ハクカは、例えば、果肉の外種皮を取り除いて短時間蒸すかもしくは煮た後に機械乾燥される。
【0042】
シロコショウは、コショウ科に属する植物であるコショウの果実を完熟させ、果皮を取り除いて乾燥させたものである。シロコショウは、例えば、一般に市販されているものを使用すればよい。
【0043】
次に、本実施形態にかかる外用薬の製法の一例について説明する。
【0044】
ナンバンカラスウリの種子を酢に30分間浸した後に、それを乾燥させて粉砕する。このようにしてできた粉砕物を酢鼈という。
【0045】
砂を鍋に入れて熱した後にキバンを投入し、絶えず鍋を揺らしながらキバンの表面が淡黄色になるまで火を通す。キバンに火が通ったら取り出して、砂を払い酒に30分間浸した後に、それを乾燥させて粉砕する。このようにしてできた粉砕物を酒亀という。
【0046】
蜂蜜に適量の沸騰した湯を加えて希釈した後に、乾燥させたフレーク状のカンゾウを投入する。それを、均一になるように攪拌した後にろ過する。そのろ過液をさらに、鍋に移して弱火で黄色になるまで炒めて粘りが消えたら取り出して冷ます。それを乾燥させて粉砕する。このようにしてできた粉砕物をシャカンゾウという。
【0047】
上述の酢鼈と、酒亀と、シャカンゾウと、その他の主要成分および補助成分とを適量混合させて細かく粉砕する。その結果できた粉末をよく混ぜて成分が均一になるようにする。そのようにして製造されたものが、本実施形態にかかる外用薬である。なお、生薬の各成分の重量比は上述の通りである。
【0048】
粉末状の本外用薬は、例えば、ビニール袋等で包装し光や湿気を避けて保存することが望ましい。なお、このようにして保存した場合の本外用薬の使用期限は2年程度である。
【0049】
次に、本実施形態にかかる外用薬の使用法の一例について説明する。
【0050】
上述のように、本外用薬の1パッケージは、有効成分および補助成分として合計212.5グラムの生薬を含んでいる。なお、本外用薬に含まれるこれらの生薬以外の成分は、無視することができる程度の量である。
【0051】
本外用薬150グラムを無精子の鶏卵4個分の卵白と混ぜ合わせて男性は右足裏、女性は左足裏の中央に定着させ15時間湿布する。この際、例えば、布等の一面に本外用薬を塗布し、その塗布した面を皮膚に貼付して固定すればよい。
【0052】
なお、本外用薬の1回の使用量は150グラムに限られないが、その上限は200グラムとし下限は100グラムとすることが望ましい。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
また、1回の湿布で十分な効果が得られなかった場合には、繰り返し本外用薬を使用することにより効果を上げることが可能である。
【0054】
また、本外用薬を構成する成分全体については、飲み薬としてではなく外用薬として使用することで顕著な降糖効果の得られることが経験的に知得されている。
【0055】
また、本外用薬については、副作用は確認されていない。
【0056】
また、上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形することが可能である。例えば、ナンバンカラスウリの種子のみを有効成分として含有する構成を採用してもよい。また、ナンバンカラスウリの種子を有効成分として含有し、さらに少なくともケンゴシ、オウギ、キバン、およびカンゾウのいずれかを有効成分として含有する構成を採用してもよい。また、そのような構成において、さらに少なくともゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウのいずれかを補助成分として含有する構成を採用してもよい。
【0057】
(効果確認試験)
以下、本実施形態にかかる外用薬の効果確認試験について説明する。
【0058】
本試験の目的は、本外用薬を皮膚に貼付した際の本外用薬の降糖効果を実証することである。
【0059】
本試験の方法について簡単に説明する。5名の被験者(全員男性)にそれぞれ1回右足裏中央に本外用薬を貼付させて、貼付前(検査1)、貼付直後(検査2)、貼付1週間後(検査3)、貼付2週間後(検査4)、貼付3週間後(検査5)、および貼付4週間後(検査6)の計6回の血液検査をそれぞれの被験者に対して実施した。
【0060】
この血液検査においては、HbA1c、グリコアルブミン(以下、「GA」という)、グルコース(以下、「Glu」という)等の血糖関連指標を測定した。
【0061】
なお、本試験は日本国内の医療機関が担当し、試験期間は2009年3月24日から約3か月間であった。
【0062】
試験の結果は、図1乃至8に示す通りである。以下、その内容について説明する。
【0063】
図1は、5名の被験者のHbA1cの平均値の変動を示したものである。HbA1cの値は本外用薬貼付後に徐々に減少し、その減少は貼付3週間後まで続いた。具体的には、HbA1cの値は、貼付前から貼付3週間後までの間に−0.34%、すなわち変動率で4.90%減少している。
【0064】
なお、HbA1cとは、ヘモグロビンA(HbA)にブドウ糖が結合したものである。HbA1cの値は、検査対象となる血液中の総ヘモグロビン量に対するHbA1cの割合(%:パーセント)で示される。
【0065】
一般的には、HbA1cの値は、赤血球が作られた時から現在までの血糖値に比例する。赤血球の寿命は120日とされているから、HbA1cは過去4か月の血糖値の動きを表すことになる。具体的には、HbA1cの50パーセントは過去1か月間に作られ、25パーセントが過去2か月間に作られ、残りの25パーセントが過去3乃至4か月で作られるとされている。つまり、近い過去の血糖値ほどHbA1cの値に大きく影響することとなり、通常HbA1cの値は過去1乃至2か月の平均血糖値の動きを見るために使用されている。
【0066】
図2は、5名の被験者のGAの平均値の変動を示したものである。GAの値は本外用薬貼付後に徐々に減少し、その減少は階段状に貼付3週間後まで続いた。具体的には、GAの値は、貼付前から貼付3週間後までの間に−0.96%、すなわち変動率で5.07%減少している。
【0067】
なお、GAとは、血清中のタンパクの一種アルブミンにブドウ糖が結合したものである。GAの値は、検査対象となる血液中の総アルブミン量に対するGAの割合(%:パーセント)で示される。
【0068】
一般的には、GAの値は、HbA1cの値と同様に過去の血糖値の動きを見るために使用されるが、アルブミンの半減期が17日であるためHbA1cの値とは異なり過去2週間乃至1か月の血糖コントロール状態を反映しているとされる。
【0069】
図3は、5名の被験者のGluの平均値の変動を示したものである。Gluの値は本外用薬貼付後に減少し、その減少は貼付2週間後まで続いた。その後、一旦Gluの値は上昇したが、貼付4週間後にはまた減少に転じた。具体的には、Gluの値は、貼付前から貼付2週間後までの間に−18.6mg/dl、すなわち変動率で13.86%減少している。そして、貼付4週間後には、Gluの値は基準値の110mg/dl以下になった。
【0070】
なお、Gluとは、一般にブドウ糖のことを意味するが、血液検査においては血糖のことを意味する。Gluの値は、mg/dl(ミリグラム/デシリットル)の単位で表わされる。
【0071】
また、一般に、空腹時のGluの値が110mg/dl以下ならば正常、110mg/dl以上かつ126mg/dl未満ならば糖尿病の疑いがあり、126mg/dl以上ならば糖尿病であると言われている。
【0072】
図4は、41歳男性の被験者(No.191)の検査結果を示すものである。
【0073】
HbA1cおよびGAの値には、顕著な変化が見られなかった。しかし、Gluの値は貼付直後から基準値の110mg/dl以下となり、貼付4週間後まで基準値以下で推移した。具体的には、Gluの値は、貼付前から貼付1週間後までの間に変動率で17.1%減少した。
【0074】
図5は、36歳男性の被験者(No.192)の検査結果を示すものである。
【0075】
HbA1cおよびGAの値には、顕著な変化が見られなかった。しかし、Gluの値は貼付1週間後に基準値の110mg/dl以下となり、その後一旦上昇したが、貼付3週間後にはまた減少に転じて貼付4週間後には大きく減少した。具体的には、Gluの値は、貼付前から貼付1週間後までの間に変動率で30.1%減少した。
【0076】
図6は、46歳男性の被験者(No.193)の検査結果を示すものである。
【0077】
HbA1cの値は、貼付から貼付3週間後まで緩やかに減少した。GAの値は、貼付から貼付1週間後まで減少し、その後若干上昇し貼付4週間後までほぼ一定の状態を保った。Gluの値は、貼付直後に減少したが、その後一旦上昇しまた減少に転じて最後はまた上昇した。
【0078】
図7は、47歳男性の被験者(No.195)の検査結果を示すものである。
【0079】
HbA1cの値は、貼付直後に緩やかに上昇したがその後は緩やかな減少を続けた。GAの値は、貼付から貼付1週間後まで緩やかに上昇したがその後は減少に転じた。具体的には、GAの値は、貼付前から貼付後4週間までの間に変動率で12.21%減少した。Gluの値は、貼付から貼付2週間後まで減少し、その後一旦上昇したが最後はまた減少に転じた。具体的には、Gluの値は、貼付前から貼付2週間後までの間に変動率で20.28%減少した。
【0080】
図8は、48歳男性の被験者(No.197)の検査結果を示すものである。
【0081】
HbA1cの値は、貼付から貼付2週間後まで階段状に緩やかに減少した。GAの値は、貼付直後に緩やかに減少し、一旦緩やかに上昇したがその後は減少に転じ貼付4週間後まで緩やかに減少を続けた。Gluの値は、貼付から貼付2週間後まで階段状に減少し、その後一旦上昇したが最後はまた減少に転じた。
【0082】
以上の結果をまとめると、全体としては、血糖関連指標すなわちHbA1c、GAおよびGluの値は共に減少の傾向を示しており、本試験により本外用薬に顕著な降糖効果があることを実証することができた。
【0083】
なお、本外用薬を皮膚に貼付した際にかぶれ等の問題が生じないか、上述の試験と合わせて安全性を検証する試験を行った。具体的には、複数の被験者に対してパッチテストを行い、その結果として本外用薬の安全性を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の外用薬によれば、血糖値を下げることにより糖尿病等の予防および治療を効果的に行うことができる。
以上のことから、本発明の外用薬は、糖尿病のみならずメタボリックシンドローム等の生活習慣病などに広く適用することが可能であり、それらの予防および治療に対して顕著な効果を上げることが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナンバンカラスウリの種子を有効成分として含有する
血糖値を下げるための外用薬。
【請求項2】
ケンゴシ、オウギ、キバン、およびカンゾウを有効成分として含有する
請求項1に記載の外用薬。
【請求項3】
ナンバンカラスウリの種子、ケンゴシ、オウギ、キバン、およびカンゾウの重量比が40:33.4:13.3:10:3.3である
請求項2に記載の外用薬。
【請求項4】
ゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウを補助成分として含有する
請求項2に記載の外用薬。
【請求項5】
外用薬全体の重量に対し、ナンバンカラスウリの種子を25重量パーセント以上かつ40重量パーセント以下含有する
請求項4に記載の外用薬。
【請求項6】
ナンバンカラスウリの種子、ケンゴシ、オウギ、キバン、カンゾウ、ゴミシ、ジオウ、オケラ、タイシジン、ホッコシ、ハクカ、およびシロコショウの重量比が28.2:23.5:9.4:7.1:2.4:4.7:4.7:4.7:4.7:4.7:4.7:1.2である
請求項4に記載の外用薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−20947(P2011−20947A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166372(P2009−166372)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(509161749)株式会社讃健舎 (1)
【Fターム(参考)】