説明

障子用引手

【課題】 ユーザが和風障子の所望の位置に容易に引手を設けることを可能にする。
【解決手段】 引手1は、障子において隣り合った2本の桟の間に納まる程度の長さLの棒状部材10により構成され、該棒状部材10の一側面には人の手指の先を収容する程度の溝11が形成されている。ユーザは、この溝11のある面の左側の面には両面粘着テープ12が貼られている。ユーザは、この両面粘着テープ12の粘着面を和風障子の所望の桟に接着させて仮止めした後、ネジなどにより引手を和風障子の桟に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、和風障子等に好適な障子用引手に関する。
【背景技術】
【0002】
和風障子は、縦框に形成された溝を引手とする構成のものが多い。この種の和風障子は、周知のものであるが、これを開示した文献としては、例えば特許文献1がある。
【特許文献1】特開平10−102934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した和風障子において、引手としての溝は、縦框に形成する関係上、あまり大きなものにするのは困難であり、慣れない人にとっては、手指を差し入れての操作がし辛いという問題がある。また、引手の設けられている位置は、どの和風障子も大体同じであるが、引手の位置に関する要求はユーザによって区々であり、既製品のものよりも高い位置に引手があった方がいいと考えるユーザ、あるいはもっと低い位置に引手があった方がいいと考えるユーザもいると考えられる。しかしながら、和風障子の框の部分を掘って引手を設けるのは、慣れないユーザにとって煩雑な作業である。
【0004】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが和風障子の所望の位置に容易に固定して使用することができる障子用引手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、障子において隣り合った2本の桟の間に納まる程度の長さの棒状部材により構成され、該棒状部材の一側面に人の手指の先を収容する程度の溝が形成されてなることを特徴とする障子用引手を提供する。
かかる発明によれば、ユーザは、障子における所望の箇所に引手を固定して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1(a)はこの発明の第1実施形態である引手1の構成を示す正面図、図1(b)は同引手1を左から見た側面図である。この引手1は、断面が略長方形または正方形である木製の棒状部材10により構成されている。この棒状部材10の長手方向の寸法Lは、現在市場に出回っている和風障子の桟の間隔以下であればよく、一例を示せば10cm程度である。また、棒状部材10の厚さDは、現在市場に出回っている和風障子の縦框の厚さよりも薄ければよく、例えば2.7cmである。図1(a)に示すように、棒状部材10の一側面(図1(a)では正面)の中央には、人の手指を充分に収容し得る大きさを持った縦長の溝11が形成されている。一例として、この溝11の縦方向(図では上下方向)の寸法は約7cm、横方向の寸法は約2cm、深さは約1.5cmである。棒状部材10の幅Wは、この溝11を充分な余裕を持って形成することができる程度の幅であればよく、例えば2.7cmである。なお、棒状部材10において溝11が形成されている面の反対側の面は、緩やかな曲面状に仕上げられている。また、棒状部材10において溝11が形成されている面の左側の側面には、図1(b)に示すように、接着防止用のカバーによって表面が覆われた両面粘着テープ12が貼られている。なお、この両面粘着テープ12は、溝11が形成されている面の右側の側面に貼ってもよい。また、引手1は両面粘着テープ12の貼られていない状態で製造販売し、これを購入したユーザが所望の箇所に両面粘着テープ12を貼って利用してもよい。
【0007】
次に図2(a)および(b)を参照し、本実施形態に係る引手1の使用例を説明する。ここで、図2(a)は引手1が固定された和風障子20を障子紙23の張られている側から見た図、図2(b)は同和風障子20を図2(a)とは反対側から見た図である。これらの図に示すように、本実施形態における引手1は、和風障子20における所望の桟21に側面を固定させて使用することができる。
【0008】
引手1は、障子紙23が張られた状態の和風障子20にも固定することができるが、以下、障子紙23が未だ張られていない状態において和風障子20に引手1を固定する方法を説明する。まず、ユーザは、引手1の両面粘着テープ12のカバーを剥がして粘着面を露出させ、和風障子20の格子の各桟21の中の所望の箇所に粘着面を接着させ、引手1の仮止めを行う。この仮止めの際、その後、和風障子20に障子紙23が張られたときに障子紙23が引手1における溝11のある面と接するように、引手1の位置調整を行う。次に図2(b)に示すように、2本のネジ22により引手1を桟21に固定する。このようにして引手1の和風障子20への固定作業が完了すると、ユーザは、和風障子20の格子と引手1の正面に糊を塗布して障子紙23を張り、その後、引手1の溝11の部分など、不要な障子紙23の除去を行う。以上により図2(a)および(b)に示す和風障子20が完成する。なお、障子紙23の張られた状態の和風障子20に引手1を固定する場合には、引手1において溝11の形成された面に糊を塗布し、この面を障子紙23に接着させるとともに引手1の側面の粘着面を桟21に接着させ、引手1の仮止めを行えばよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザは、簡単な作業により、和風障子20の所望の位置に引手1を設けることができる。
【0009】
<第2実施形態>
図3(a)はこの発明の第2実施形態である引手101の構成を示す正面図、図3(b)は同引手101を左から見た側面図である。なお、この図において上記第1実施形態(図1)と対応する部分には同一の符号が付されている。上記第1実施形態では、棒状部材10に対し、1個の溝11を設けた。これに対し、本実施形態では、棒状部材10に2個の溝11Aおよび11Bを設ける。ここで、溝11Aおよび11Bは、一方が棒状部材10の前面側に他方が背面側に設けられており、両者は上下方向に並んでいる。溝11Aおよび11Bは、上下方向における占有位置が異なっているので、図3(b)に示すように、溝11Aおよび11Bをすれ違わせ、溝11Aの底を棒状部材10の背面に近づけ、かつ、溝11Bを棒状部材10の底を前面に近づけることも可能である。2つの溝11Aおよび11Bを上下方向に並べる必要があるため、棒状部材10の上下方向の寸法Lは、上記第1実施形態のものよりも長くなる。
【0010】
図4は引手101が取り付けられた和風障子20を障子紙23の張られている側から見た図である。引手101は、上記第1実施形態の引手1のよりも上下方向の寸法Lが長くて重いため、和風障子20の桟よりは、図示のように、縦框26に固定するのが好ましい。引手101は、上記第1実施形態と同様の固定方法により、両面粘着テープ12とネジ22を利用して縦框26に固定してもよい。しかし、本実施形態における引手101は上下方向の寸法Lが長く、固定先である縦框26は幅が広いので、引手101と縦框26との接触面積は充分に大きい。従って、引手101を接着剤により縦框26に固定しても充分な強度が得られる。
【0011】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態における引手101は、前面と背面の両側に溝を有しているので、ユーザは、和風障子20の障子紙23の貼られている側にいる場合でもその反対側にいる場合でも、自分の手前にある溝に手指を挿入し、和風障子20の開け閉めをすることができる、という効果がある。
【0012】
以上、この発明の第1実施形態および第2実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)引手は、例えば木材を炭化させたものであってもよい。この態様によれば、空気を清浄化する作用が得られる。
(2)引手は、プラスティック製のものであってもよい。これは量産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1実施形態である引手1の正面図および側面図である。
【図2】同引手1が固定された和風障子20を表裏両側から見た図である。
【図3】この発明の第2実施形態である引手101の正面図および側面図である。
【図4】同引手101が固定された和風障子20を表側から見た図である。
【符号の説明】
【0014】
1,101…引手、10…棒状部材、11,11A,11B…溝、12…粘着テープ、20…和風障子、21…桟、22…ネジ、23…障子紙、26…縦框。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子において隣り合った2本の桟の間に納まる程度の長さの棒状部材により構成され、該棒状部材の一側面に人の手指の先を収容する程度の溝が形成されてなることを特徴とする障子用引手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−77671(P2007−77671A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266863(P2005−266863)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(505291550)
【Fターム(参考)】