説明

難燃剤

式(I)のホスフィンスルフイド誘導体:

S=PR123 (I)

[式(I)中、R1とR2は、同一であるか異なって、C1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキル(無置換であっても、一個以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していてもよい)、C2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、またはC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;R3は、H、SH、SR4、OH、OR5または−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基であり;または、R1とR2とR3の二つの基が、そこに結合した燐原子とともに環系を形成しており;X1とX2は、同一であるか異なって、OまたはSであり;Y1とY2は、同一であるか異なって、OまたはSであり;R4、R5、R6、R7、R8は、同一であるか異なって、相互に独立して、C1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキル(無置換であっても、一個以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していてもよい)、C2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、またはC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;Y1とY2がOの場合、nは1であり、Y1とY2がそれぞれSの場合、nは1、2、3、4、5、6、7、または8であり、mは、0〜100の整数である]は難燃剤として、特にポリマー用難燃剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスフィンスルフイド誘導体の難燃剤としての使用法に関し、また上記難燃剤を含むポリマー、特に発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー、特に発泡体に難燃剤を加えることは、広いいろいろな用途に、例えば発泡ポリスチレン(EPS)製の成型ポリスチレン発泡体、または建築物絶縁用の押出ポリスチレン発泡シート(XPS)に重要である。
【0003】
現在プラスチック内でいられている難燃剤は、主にポリハロゲン化炭化水素であり、適当な場合は適当なシナージスト、例えば有機過酸化物または含窒素化合物と組み合わせて用いられている。これら既存の難燃剤の典型例がヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)であり、これは例えばポリスチレン中で用いられている。生体蓄積性のため、またポリハロゲン化炭化水素のいくつかが難分解性材料であるため、プラスチック業界では、ハロゲン化難燃剤の代替物を見つけるための大きな努力を行っている。
【0004】
理想的には、難燃剤はプラスチック中で低負荷量で高レベルの難燃作用を示すだけでなく、加工のために適度な耐熱性と耐加水分解性を持っている必要がある。また、これらは生体蓄積性や難分解性を示してはならない。
【0005】
WO−A2009/035881とWO−A2008/088487には、硫黄−リン結合を、特にチオリン酸とチオホスホン酸結合をもつハロゲンフリーの難燃剤が記述されている。
【0006】
しかしながら、例えばハロゲン含有難燃剤と同じ難燃効果を示すためには、ハロゲンフリー難燃剤の使用必要量が通常きわめて大きくなるため、まだこのような難燃剤には大きな改良の余地が残されている。ポリマー発泡体の場合、したがって、ポリスチレンなどの熱可塑性ポリマーに使用可能なハロゲンフリー難燃剤は、ポリマー発泡体の機械的性質や熱的性質に悪影響を及ぼすため、使用できないことが多い。また、発泡性ポリスチレンを懸濁重合で製造する場合には、多量の難燃剤がこの懸濁液の安定性を低下させることがある。また、燃焼挙動の差のため、また用いる燃焼試験の差のため、熱可塑性ポリマーに用いた難燃剤がポリマー発泡体にどのような効果をもたらすかを予測することができないことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、第一にハロゲンフリーであり、第二に使用量が少なくてもポリマー中で、特にEPSやXPSなどのポリマー発泡体中で良好な難燃性を示す化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定のホスフィンスルフイド誘導体が、特に特定のジチオホスフィン酸誘導体が、難燃剤としての用途に特に大きな適性を示すことが明らかとなった。
【0009】
したがって、本発明は、式(I)のホスフィンスルフイド誘導体の難燃剤としての使用法、特にポリマー難燃剤としての使用法を提供する。

S=PR123 (I)
【0010】
なお、式(I)中の記号の定義は次の通りである。
1とR2は、同一であるか異なって、C1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキル(無置換であっても、一個以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していてもよい)、C2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、またはC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
3は、H、SH、SR4、OH、OR5または
−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基であり;
または、R1とR2とR3の二つの基が、そこに結合した燐原子とともに環系を形成しており;
1とX2は、同一であるか異なって、OまたはSであり;
1とY2は、同一であるか異なって、OまたはSであり;
4、R5、R6、R7、R8は、同一であるか異なって、相互に独立して、
1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキル(無置換であっても、一個以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していてもよい)、C2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、またはC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
1とY2がOの場合、nは1であり、
1とY2がそれぞれSの場合、nは1、2、3、4、5、6、7、または8であり、
mは、0〜100の整数である。
【0011】
本発明はまた、発泡ポリマーや非発泡ポリマーを難燃化する方法であって、一種以上の式(I)の化合物を含む難燃剤をそのポリマーに添加する方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、一種以上の式(I)の化合物を含む難燃剤を含むポリマー組成物を提供する。
【0013】
本発明はさらに、本発明の難燃剤を含む特定の発泡ポリマー組成物の絶縁材料としての使用法を提供する。
【0014】
式(I)の化合物はハロゲンフリーであり、使用量が少なくても、発泡体中において、今までに知れれているハロゲンフリー難燃剤、例えばジベンズ[c,e][1,2]−オキサホスフォリン6−オキシド(DOP、例えば、EP−A1791896を参照)より効力が大幅に大きい。
【0015】
式(I)中の記号と添字の定義が以下のものであることが好ましい。
1とR2は、好ましくは同一であるか異なって、C1−C8−アルキル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルであり;
3は、好ましくはH、SH、SR4または
−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基である。
1とR2とR3の二つの基が、そこに結合した燐原子とともに環系を形成していることも好ましい。
1とX2は、好ましくはSである。
1とY2は、好ましくは同一であるか異なって、OまたはSである。
4とR6、R7、R8は、好ましくは同一であるか異なって、相互に独立して、C1−C8−アルキル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。
1とY2がそれぞれOの場合、nは好ましくは1であり、
2がSの場合、nは好ましくは1または2である。
mは、好ましくは0〜10の整数である。
記号と添字のすべての定義が上記好ましい定義である式(I)の化合物が好ましい。
式(I)中の記号と添字の定義は次のものであることが特に好ましい。
1とR2がフェニルである。
3は、特に好ましくは、H、SH、S−ベンジル、または(Y1n−P(=S)R78基である。
1は、特に好ましくは同一であるか異なって、OまたはSである。
7とR8は、特に好ましくはフェニルである。
1がOの場合、nは特に好ましくは1であり、
1がSの場合、nは特に好ましくは1または2である。
記号と添字のすべての定義が、上記の特に好ましい定義である式(I)の化合物が特に好ましい。
3が、SH、SR4、OH、OR5、または−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基である式(I)の化合物も好ましい。
3が、SH、SR4、または−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基(ただし、Y1=S)である式(I)の化合物も好ましい。
3が、(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基である式(I)の化合物も好ましく、その場合、Y1がSであることが特に好ましい。
3がSHである式(I)の化合物も好ましい。
さらに、R1とR2とR3の二つの基が環系を形成していない式(I)の化合物もまた好ましい。
1とR2とR3の二つの基がそれぞれ、そこに結合した燐原子とともに三員〜十二員の環系を形成している式(I)の化合物も好ましい。
【0016】
さらに、以下の群の式(I)の化合物が好ましい。
S=PR12−H (Ia);
S=PR12−SH (Ib);
S=PR12−S−ベンジル (Ic);
S=PR12−S−P(=S)R78 (Ida);
S=PR12−S−S−P(=S)R78 (Idb)及び
S=PR12−O−P(=S)R78 (Idc)。
【0017】
なお、記号の定義は、式(I)中で述べたものと同じである。
1とR2が同一である式(I)の化合物も好ましい。
7とR8が同一である式(I)の化合物も好ましい。
1とR2、R7、R8が同一である式(I)の化合物が特に好ましい。
特に好ましい式(I)の化合物は、実施例中に示される化合物FSM1〜FSM6である。
【0018】
式(I)の化合物の一つを難燃剤として使用することが好ましい。
難燃剤としては、式(I)の化合物の2つ以上の混合物が、特に好ましくは2〜4個の、特に二個の混合物が好ましい。
【0019】
式(I)の化合物のいくつかは市販されており、その一例は、ABCR社(カールスルーエ、ドイツ)のジフェニルジチオホスフィン酸(FSM1)である。また、これらは、当業界の熟練者に公知の方法で、例えば、Houben−Weyl、Methoden der Organischen Chemie [有機化学の方法]、第5版、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 2001に記載の方法で製造可能である。化合物FSM2〜FSM6の合成については、実施例に記載の引用文献を引用することができる。
【0020】
WO2008/027536に記載のように、例えばハロリン酸化合物とジアルコールの反応によりオリゴマーやポリマー(m=2〜100)を得ることができる。
【0021】
本発明の式(I)の化合物の使用量は、一般的には0.1〜25質量部の範囲である。特に発泡性ポリスチレン製の発泡体の場合、2〜15質量部、好ましくは2.5〜10質量部の量を使用すると十分な難燃性が保証される。
【0022】
本出願の目的では、特記しない場合、質量部のデータは、常に難燃性を加える化合物、特にポリマーの100質量部に対する値であり、いずれの添加剤も考慮されていない。
【0023】
適当な難燃剤シナージスト、例えば以下の熱的フリーラジカル発生剤:ジクミルパーオキサイド、ジ−過酸化ブチルパーオキシド、またはビスクミル(2,3−ジフェニル−2,3−ジメチルブタン)を加えて、化合物(I)の効力をさらに改善することができる。通常この場合、化合物(I)に加えて0.05〜5質量部の難燃剤シナージストを使用する。
【0024】
シナージストとして元素状硫黄も好ましく、その比率は、好ましくは0.05〜4質量部であり、特に好ましくは0.1〜2.5質量部である。
【0025】
この元素状硫黄は、本プロセスの条件下で分解して元素状硫黄を与える出発化合物の形で使用することもできる。
もう一つの可能性は、元素状硫黄をカプセル化された形で使用することである。
【0026】
カプセル化法に適当な材料の例は、メラミン樹脂(US−A4,440,880と同様)と尿素−ホルムアルデヒド樹脂(US−A4,698,215と同様)である。WO99/10429には、他の材料や引用文献が示されている。
【0027】
他の難燃剤の使用も可能であり、その例としては、メラミンやメラミンシアヌレート、金属酸化物、金属水酸化物があげられ、その他の例としては、リン酸化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、膨張黒鉛、またはニトロキシル基を含むあるいは遊離させる化合物またはSn化合物、またはSb23などのシナージストがあげられる。適当な他のハロゲンフリー難燃剤は、例えばエキソリットOP930やエキソリットOP1312、HCA、HCA−HQ、M−エステルシアガードRF−1241、シアガードRF−1243、フィロールPMP、ホスライトIP−A(次亜リン酸アルミニウム)、メラポア200、メラポアMC、APP(ポリリン酸アンモニウム)、ブディット833として市販されている。
【0028】
完全にハロゲンを除去する必要はなく、本発明の化合物(I)を用い、比較的少量のハロゲンを含有する難燃剤を、特にヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)あるいは臭素化スチレンホモポリマーまたはコポリマー/オリゴマー(例えばWO−A2007/058736に記載のスチレン−ブタジエンコポリマー)などの臭素化難燃剤を添加して低ハロゲン含量の材料を製造することもできる。なお、これらの好ましい量は、0.05〜1質量部、特に0.1〜0.5質量部である。
【0029】
したがって、一つの好ましい実施様態は、式(I)の化合物が一種以上の他の難燃剤化合物類及び/又は一種以上のシナージストと混合して用いられる本発明の使用法である。
【0030】
一つの好ましい実施様態においては、本発明の難燃剤がハロゲンフリーである。
【0031】
ポリマーと難燃剤と他の添加剤とを含む組成物がハロゲンフリーであることが特に好ましい。
【0032】
本発明においては、本発明の難燃剤、即ち式(I)の化合物は、単独で、あるいは相互の混合物として、それぞれシナージストとの混合物中で、あるいはそれぞれ他の難燃性物質との混合物中で、難燃性を持つ材料の製造、好ましくは難燃性の非発泡性または発泡性ポリマー、特に難燃性熱可塑性ポリマーの製造に用いられる。このため、難燃剤を、物理的に溶融状態にある当該ポリマーと混合し、次いでリン含量が0.05質量部〜5質量部であるポリマー混合物の形で、まず製品とし、次いで第二の工程で、さらに同一または異なるポリマーとともに加工することが好ましい。あるいは、スチレンポリマーの場合、懸濁重合による製造前、製造中及び/又は製造後に、本発明の化合物(I)を添加することも好ましい。
【0033】
本発明はまた、一種以上の式(I)の化合物を含む本発明の難燃剤を含む、好ましくは熱可塑性のポリマー組成物を提供する。
【0034】
用いる熱可塑性ポリマーは、例えば、ABSやASA、SAN、AMSANなどのスチレンポリマーの発泡物または非発泡物や、ポリエステル、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフイドであり、これらは、それぞれ、個別にあるいはポリマーブレンドの形の混合物中で使用される。
【0035】
発泡/非発泡スチレンホモポリマーや発泡/非発泡スチレンコポリマーの単独使用、あるいはポリマーブレンドの形の混合物中での使用が好ましい。
【0036】
難燃性ポリマー発泡体、特にスチレンポリマー系、好ましくはEPSとXPS系のものが好ましい。
これらの難燃性ポリマー発泡体の密度は、好ましくは5〜200kg/m3の範囲、特に好ましくは10〜50kg/m3の範囲であり、発泡体中の独立気泡の比率が80%より大きい、特に90〜100%であることが好ましい。
【0037】
本発明の難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)と押出スチレンポリマー発泡体(XPS)は、懸濁重合前、重合中及び/又は重合後に発泡剤と本発明の難燃剤を添加してあるいは発泡剤と本発明の難燃剤をポリマー溶融物に投入して、加圧下での押出・造粒して発泡性ペレット(EPS)としたり、適当な形状の金型を用いて押出と減圧を行って発泡シート(XPS)または発泡ストランドとして製造できる。
【0038】
本発明において。「スチレンポリマー」という表現は、スチレン系、α−メチルスチレン系、またはスチレンとα−メチルスチレンの混合物系のポリマーを含み;これは同様に、SANやAMSAN、ABS、ASA、MBS、MABS中のスチレン含量にも当てはまる(以下を参照)。本発明のスチレンポリマーは、少なくとも50質量%のスチレン及び/又はα−メチルスチレンモノマーからなるものである。
【0039】
ある好ましい実施様態においては、このポリマーが発泡性ポリスチレン(EPS)である。
【0040】
もう一つの好ましい実施様態においては、この発泡体が押出ポリスチレン発泡体(XPS)である。
【0041】
ポリスチレン標準試薬を用い屈折率検出(RI)によって、DIN55672−1法でのゲル浸透クロマトグラフィーで求めた、これら発泡性スチレンポリマーのモル質量は、好ましくは120000〜400000g/molの範囲であり、特に好ましくは180000〜300000g/molの範囲である。剪断及び/又は熱によるモル質量の低下のため、発泡性ポリスチレンのモル質量は通常、用いるポリスチレンのモル質量より10000g/mol程度小さくなる。
【0042】
好ましく用いられるスチレンポリマーには、高透明ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アニオン重合ポリスチレンまたは耐衝撃性ポリスチレン(AIPS)、スチレン−α−メチルスチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンスチレンポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、アクリロニトリル−α−メチルスチレンコポリマー(AMSAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)、メタアクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエンスチレン(MABS)ポリマー、またはこれらの混合物、またはポリフェニレンエーテル(PPE)との混合物が含まれる。
【0043】
機械的性質または温度変化への耐性を改善するため、上記のスチレンポリマーに、熱可塑性ポリマーを、例えばポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリアクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルケトンまたはポリエーテルスルフイド(PES)、またはこれらの混合物を、一般的にはポリマーメルトに対して総量で最大30質量部、好ましくは1〜10質量部の範囲の量で、適当なら相溶化剤を用いて、混合することができる。上記範囲の量で、例えば、疎水的に変性あるいは官能化されたポリマーやオリゴマーとの混合物、ポリアクリレートまたはポリジエンなどのゴム(例えば、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーとの混合物)、あるいは生分解性の脂肪族または脂肪族/芳香族コポリエステルとの混合物を製造することもできる。
【0044】
好適な相溶化剤の例としては、無水マレイン酸変性のスチレンコポリマーとエポキシ基または有機シランを含むポリマーがあげられる。
【0045】
スチレンポリマーメルトは、上記の熱可塑性ポリマーの再生ポリマー(特に、スチレンポリマーの再生ポリマー)と発泡性スチレンポリマー(EPS)の混合物を、ポリマーの性質を大きく変えない量で含むこともでき、その量は、一般的には最大で50質量部、特に1〜20質量部である。
【0046】
この発泡剤含有スチレンポリマーメルトは、通常、均一分布した一種以上の発泡剤を、100質量部のスチレンポリマーメルトに対して、合計で2〜10質量部、好ましくは3〜7質量部で含むことができる。好適な発泡剤は、EPSで通常使用されている物理発泡剤であり、その例としては、2〜7個の炭素原子をもつ脂肪族炭化水素やアルコール、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素があげられる。イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、またはn−ペンタンを用いることが好ましい。XPSには、CO2または、これとアルコール及び/又はC2−C4−カルボニル化合物(特に、ケトン)との混合物を使用することが好ましい。
【0047】
起泡性を改善するため、スチレン高分子マトリックス中に細かく分布した、内部が水の液滴を加えることができる。これは、例えば溶融スチレン高分子マトリックス中に水を加えることで達成することができる。水の添加位置は、発泡剤の供給位置の上流であっても、同じ位置であっても、下流であってもよい。水の均一分布は、ダイナミックミキサーまたはスタチックミキサーで行うことができる。十分な量の水は、一般的には0〜2質量部であり、好ましくは0.05〜1.5質量部である。
【0048】
直径が0.5〜15μmの範囲の内部水液滴状の内部水を少なくとも90%含む発泡性のスチレンポリマー(EPS)が発泡させられると、適当な気孔数をもち、均一な発泡体構造をもつ発泡体を与える。
【0049】
加える発泡剤と水の量は、「発泡成形プロセス前の嵩密度/発泡成形プロセス後の嵩密度」で定義される発泡性スチレンポリマー(EPS)の膨張能力αが、多くても125、好ましくは25〜100となるように選ばれる。
【0050】
本発明の発泡性スチレンポリマーペレット(EPS)の嵩密度は、一般的には大きくても700g/lであり、好ましくは590〜660g/lの範囲である。充填材を用いる場合には、充填材の種類と量により590〜1200g/lの範囲の嵩密度となる。
【0051】
例えばミキサーまたは補助押出機により、共にあるいは空間的に分離させてスチレンポリマーメルトに添加可能な他の材料は、添加剤、核剤、充填材、可塑剤、可溶性及び不溶性の無機及び/又は有機染料や顔料、カーボンブラックやグラファイトなどのIR吸収剤、またはアルミニウム粉末である。染料や顔料の一般的な添加量は0.01〜30質量部の範囲であり、好ましくは1〜5質量部の範囲である。特に高極性顔料の場合には、スチレンポリマー中での顔料の均一で微分散状の分布のために、有機シランやエポキシ化ポリマー、あるいは無水マレイン酸でグラフトしたスチレンポリマーなどの分散剤を使用することが推奨される。好ましい可塑剤は、鉱油やフタール酸化合物であり、その使用可能量は0.05〜10質量部である。同様に、これらの化合物を、本発明のEPSへの懸濁重合の重合前、重合中、及び/又は重合後に添加することができる。
【0052】
粒状化法により本発明の発泡性スチレンポリマーを製造するために、発泡剤をポリマーメルト中に混合して加えることができる。一つの可能なプロセスは、a)溶融製造工程と、b)混合工程、c)冷却工程、d)輸送工程、e)造粒工程を含む。上記の各工程は、プラスチック加工の領域で知れれている装置または装置の組合せで実施可能である。スタチックミキサーまたはダイナミックミキサー、例えば押出機が、混合法での添加に適当である。ポリマーメルトは、重合器から直接取り出すこともできるし、ポリマーペレットを溶融して、混合押出機内で、あるいは別の溶融押出機内で直接生産することができる。このメルトは、これらの混合装置中で冷却してもよいし、別の冷却器中で冷却してもよい。造粒プロセスに使用可能な装置の例としては、高圧水中ペレタイザ、回転翼をもち冷却剤液体を噴霧して冷却するペレタイザ、あるいは噴霧造粒装置があげられる。
【0053】
本方法を実施するのに適当な装置配列は、
a)重合機−スタチックミキサー/冷却器−ペレタイザ
b)重合機−押出機−ペレタイザ
c)押出機−スタチックミキサー−ペレタイザ
d)押出機−ペレタイザ
である。
【0054】
この配列は、さらに添加剤(例えば、固形分または感熱性添加剤)添加用の補助押出機を有していてもよい。
【0055】
発泡剤を含むスチレンポリマーメルトのダイプレート通過中の温度は、一般的には140〜300℃の範囲であり、好ましくは160〜240℃の範囲である。ガラス転移点の温度領域までの冷却は必要でない。
【0056】
このダイプレートは、少なくとも発泡剤を含むポリスチレンメルトの温度にまで加熱される。金型中でのポリマーの付着を防ぎ、問題のない造粒を保証するためには、ダイプレートの温度を、発泡剤を含むポリスチレンメルトの温度より20〜100℃高くすることが好ましい。
【0057】
販売可能なペレットサイズを得るために、金型出口での金型中の穴の直径(D)が0.2〜1.5mmの範囲にある必要があり、好ましくは0.3〜1.2mmの範囲、特に好ましくは0.3〜0.8mmの範囲である。これにより、金型の膨張後であっても、狙い通りペレットサイズを2mm未満に、特に0.4〜1.4mmの範囲に調整することができる。
【0058】
以下の工程を含む、ハロゲンフリーで難燃性の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法が特に好ましい。
【0059】
a)スタチックミキサーまたはダイナミックミキサーにより、少なくとも150℃の温度でポリマーメルト中に有機発泡剤と、好ましくは1〜25質量部の本発明の難燃剤とを投入する工程、
b)該発泡剤含有スチレンポリマーメルトを少なくとも120℃の温度に冷却する工程、
c)金型出口の穴の直径が最大でも1.5mmである有孔ダイプレートから排出する工程、及び
d)該発泡剤含有メルトを、ダイプレートの後で、水中で1〜20barの範囲の圧力下で直接造粒する工程。
【0060】
また、本発明の難燃剤と有機発泡剤の存在下で、水性懸濁液中の懸濁重合により本発明の発泡性スチレンポリマー(EPS)を製造することも好ましい。
【0061】
懸濁重合法の場合、使用モノマーがスチレンのみであることが好ましい。しかしながら、スチレン質量の最大で20%が、他のエチレン性不飽和モノマーで、例えばアルキルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、1,1−ジフェニルエーテル、またはα−メチルスチレンで置き換わっていてもよい。
【0062】
通常の補助剤を懸濁重合プロセス中に添加でき、その例としては、過酸化物開始剤や懸濁安定剤、発泡剤、連鎖剤、発泡助剤、核剤、可塑剤があげられる。重合プロセス中での本発明の難燃剤の添加量は0.5〜25質量%であり、好ましくは5〜15質量%である。発泡剤の添加量は、モノマーに対して2〜10質量%である。これらの量は、懸濁液の重合前、重合中、または重合終了後に添加できる。好適な発泡剤は、4〜6個の炭素原子をもつ脂肪族炭化水素である。懸濁安定剤として無機のピッカリング分散剤を使用することが有利であり、その例としては、ピロリン酸マグネシウムやリン酸カルシウムがあげられる。
【0063】
本懸濁重合プロセスは、実質的に球状で、平均径が0.2〜2mmの範囲にあるビーズ状の粒子を与える。
【0064】
加工性を改善するために、最終の発泡性スチレンポリマーペレットに、グリセロールエステル、静電防止剤、あるいは凝結防止剤を塗布することができる。
【0065】
EPSペレットには、グリセロールモノステアレートGMS(通常、0.25質量部)、グリセロールトリステアレート(通常、0.25質量部)、アエロジルR972微粒子シリカ(通常、0.12質量部)、またはステアリン酸Zn(通常0.15質量部で)、あるいは静電防止剤を塗布することができる。
【0066】
本発明の発泡性スチレンポリマーペレットは、第一の工程で、熱風かスチームにより前発泡させて、密度が5〜200kg/m3、特に10〜50kg/m3の範囲にある発泡ビーズとし、第二の工程で、閉鎖金型中で融着させて成型された成型発泡体とすることができる。
【0067】
この発泡性ポリスチレン粒子を加工して、密度が8〜200kg/m3、好ましくは10〜50kg/m3であるポリスチレン発泡体を得ることができる。このために、発泡性粒子は前発泡される。これは、主にいわゆるプレフォーマー中で、スチームにより粒子を加熱して行われる。次いで、得られた前発泡ビーズを融着させて成型物を得る。このために、前発泡ビーズを気密性の金型に入れてスチームで処理する。成型物は、冷却後に取り外すことができる。
【0068】
もう一つの好ましい実施様態においては、この発泡体が、
(a)ポリマー成分Pを加熱してポリマーメルトを形成し、
(b)発泡剤成分Tをポリマーメルトに加えて発泡性メルトを形成し、
(c)この発泡性メルトを、発泡させながら比較的低圧の領域に押し出して押出発泡体を得、
(d)工程a)及び/又はb)の少なくとも一工程で、本発明の難燃剤と、適当なら他の助剤や添加材料を添加して得ることのできる押出ポリスチレン(XPS)である。
【0069】
本発明のスチレンポリマー系発泡体、特にEPSやXPSは、例えば絶縁材料としての使用に、特に建設業用の絶縁材料としての使用に適している。ハロゲンフリー絶縁材料として使用が、特に建設業でのハロゲンフリー絶縁材料としての使用が好ましい。
【0070】
本発明の発泡体の、特にスチレンポリマー系発泡体、例えばEPSやXPSの火落時間(発泡体密度が15g/lで養生時間が72hであるDIN4102B2の燃焼試験)は、<15sec、特に好ましくは<10secであり、したがって、火焔高さがこの基準に示される極限値を越えない限り、発泡体は上述の燃焼試験を合格するのに必要な条件を満たす。
【0071】
以下の実施例は本発明をさらに説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0072】
使用した難燃剤(FSM)1〜6
【0073】

【0074】
実施例で使用した有機リン化合物は、次の方法で合成した。
【0075】
FSM1は、市販品(ABCR)である。
FSM2: Parsons, Andrew F.; Sharpe, David J.; Taylor, Philip; Synlett; 2005; 19; 2981−2983.
FSM3: K. Goda;R. Okazaki; K. Akiba; N. Inamoto; Bull. Chem. Soc. Japan; 1978; 51;1;260−264.
FSM4: T.R. Hopkins; P.W. Vogel; J. Amer. Chem. Soc; 1956; 78; 4447−4450.
FSM5: M.G. Zimin; N.G. Zabirov; V. Smirnov; Zhoournal Obschei Khimii; 1980; 50; 1;24−30.
FSM6: Maier, Ludwig; Helvetica Chimica Acta; 1964; 157; 1448−1459.
【0076】
発泡性スチレンポリマー(押出法)
混合により7質量部のn−ペンタンを固有粘度IVが83ml/gであるBASF社のPS148Gのポリスチレンメルトに投入した。発泡剤を含むメルトを、まず280℃から190℃の温度にまで冷却した後、補助押出機により、表中に記載の難燃剤を含むポリスチレンメルトを混合して投入した。
【0077】
上記の量(質量部)は、ポリスチレンの全体量(100質量部に相当)に対する値である。
【0078】
このポリスチレンメルトと発泡剤と難燃剤とを含む混合物を、60kg/hの速度で、32個の穴(ダイの直径:0.75mm)を持つダイプレート中を通過させた。加圧下での水中造粒で、狭いサイズ分布をもつ緻密なペレットが得られた。
【0079】
12時間保存後に、スチームを通過させてこのペレットを前発泡させ、閉鎖金型中での更なるスチーム処理で融着させて、密度が15kg/m3のシート状発泡体を得た。
【0080】
72時間養生後、これらの発泡シートの燃焼挙動を、DIN4102により測定した。なお、発泡体の密度は15kg/m3であった。
【0081】
比較例としてヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDと称す)を用いた。
表1に結果を示す。
【0082】
【表1】

【0083】
押出ポリスチレン発泡シート
100質量部の固有粘度が98ml/gであるBASF社製ポリスチレン158Kと、0.1部の気孔径制御用核剤としてのタルクと、難燃剤の表中に記載の部材と、また適当なら、難燃性シナージスト(例えば2,3−ジフェニル−2,4−ジメチルブタン)とを、内スクリュー径が120mmである押出機に連続的に投入した。同時に、3.25質量部のエタノールと3.5質量部のCO2からなる発泡剤混合物を、押出機の導入口より連続的に注入した。押出機中で180℃で均一に混練されたゲルを、緩和ゾーンに通過させ、15分の滞留時間後に、105℃の放出温度で、押出機に連結された成型路中に導き、断面が650mm×50mmで密度が35g/lの発泡シートウェブを得た。
【0084】
この生成物を、複数のシートに分割した。30日間の養生後に、厚みが10mmで、試料の燃焼挙動をDIN4102により試験した。
【0085】
表2に、これら実施例の結果を示す。
【0086】
【表2】

【0087】
これらの実施例から、本発明の難燃剤を使用すると、ハロゲン化難燃剤を使用することなく、ハロゲン化難燃剤を用いて得られたものと同等以上の燃焼挙動を示すEPSやXPS発泡体を製造できることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のホスフィンスルフイド誘導体:

S=PR123 (I)

[式(I)中、
1とR2は、同一であるか異なって、C1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキル(無置換であっても、一個以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していてもよい)、C2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、またはC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
3は、H、SH、SR4、OH、OR5または
−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基であり;
または、R1とR2とR3の二つの基が、そこに結合した燐原子とともに環系を形成しており;
1とX2は、同一であるか異なって、OまたはSであり;
1とY2は、同一であるか異なって、OまたはSであり;
4、R5、R6、R7、R8は、同一であるか異なって、相互に独立して、
1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキル(無置換であっても、一個以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していてもよい)、C2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、またはC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
1とY2がOの場合、nは1であり、
1とY2がそれぞれSの場合、nは1、2、3、4、5、6、7、または8であり、
mは、0〜100の整数である。]
の難燃剤としての使用法。
【請求項2】
請求項1に記載の使用法であって、式(I)中、
1とR2は、同一であるか異なって、C1−C8−アルキル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルであり;
3は、H、SH、SR4または
−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基であり;
または、R1とR2とR3の二つの基が、そこに結合した燐原子とともに環系を形成しており;
1とX2はSであり;
1とY2は、同一であるか異なって、OまたはSであり;
4とR6、R7、R8は、同一であるか異なって、相互に独立して、C1−C8−アルキル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルであり;
1とY2がそれぞれOの場合、nは1であり、
2がSの場合、nは1または2であり、
mは、0〜10の整数である使用法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の使用法であって、式(I)中、
1とR2がフェニルであり;
3は、H、SH、S−ベンジル、または(Y1n−P(=S)R78基であり;
1は、同一であるか異なって、OまたはSであり;
7とR8は、フェニルであり;
1がOの場合、nは1であり、
1がSの場合、nは1または2である使用法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用法であって、式(I)の化合物が以下の群:
S=PR12−H (Ia);
S=PR−SH (Ib);
S=PR12:−S−ベンジル(Ic);
S=PR12−S−P(=S)R78 (Ida);
S=PR12−S−S−P(=S)R78 (Idb)及び
S=PR12−O−P(=S)R78 (Idc)
(なお、これらの記号の定義は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)に述べたものと同じである)
から選択される化合物である使用法。
【請求項5】
式(I)の化合物が、ジフェニルジチオホスフィン酸とジフェニルホスフィンスルフイド、ベンジルホスフィノジチオエート、ジフェニルチオホスフィン酸チオ無水物、ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)ジスルフィド、ジフェニルチオホスフィン酸無水物から選ばれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用法。
【請求項6】
式(I)中のR3基が、SH、SR4、OH、OR5、または−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基である請求項1または2に記載の使用法。
【請求項7】
3が、SH、SR4、または−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基(ただし、Y1=S)である請求項6に記載の使用法。
【請求項8】
3が、SH、または−(Y1n−[P(=X1)R6−(Y2nm−P(=X2)R78基(ただし、Y1=S)である請求項7に記載の使用法。
【請求項9】
式(I)で示される1種類の化合物が用いられる請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用法。
【請求項10】
式(I)で示される少なくとも2種類の化合物が用いられる請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用法。
【請求項11】
式(I)の化合物が、一種以上の他の難燃剤と、またそれぞれ一種以上のシナージストとの混合物として用いられる請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用法。
【請求項12】
発泡または非発泡ポリマーを難燃化する方法であって、請求項1〜11のいずれか一項に記載の難燃剤を前記ポリマーに添加する方法。
【請求項13】
一種以上のポリマーと請求項1〜11のいずれか一項に記載の難燃剤とを含むポリマー組成物。
【請求項14】
0.1〜25質量部(100質量部のポリマーに対して)の難燃剤を含む請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
ハロゲンフリーである請求項13または14に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
スチレンポリマーを含む請求項13〜15のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
上記ポリマーがポリマー発泡体である請求項13〜16のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
発泡性スチレンポリマー(EPS)の形態である請求項16に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
a)スタチックミキサーまたはダイナミックミキサーにより少なくとも150℃の温度で、
有機発泡剤と、また必要なら請求項1〜11のいずれか一項に記載の一種以上の式(I)の化合物の他の添加剤及び/又は助剤を、スチレンポリマーメルト中に導入するために混合する工程と、
b)該発泡剤含有スチレンポリマーメルトを少なくとも120℃の温度に冷却する工程と、
c)金型出口での孔径が1.5mm以下である有孔ダイプレートを通して吐出する工程と、
d)ダイプレート直後の発泡剤含有メルトを、水中で1〜20barの範囲の圧力下で造粒する工程とを含む請求項18に記載の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法。
【請求項20】
a)懸濁液中で一種以上のスチレンモノマーを重合する工程と、
b)重合前、重合中及び/又は重合後に、請求項1〜11のいずれか一項に記載の一種以上の式(I)の化合物と、必要なら他の添加剤及び/又は助剤を添加する工程と、
c)重合前、重合中及び/又は重合後に有機発泡剤を添加する工程と、
d)一種以上の式(I)の化合物を含む発泡性スチレンポリマー粒子を該懸濁液から分離する工程とを含む請求項18に記載の発泡性スチレンポリマー(EPS)の製造方法。
【請求項21】
押出スチレンポリマー発泡体(XPS)の形態である請求項16または17に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
a)少なくとも一種のスチレンポリマーを含むポリマー成分Pを加熱してポリマーメルトを形成する工程と、
b)発泡剤成分Tを該ポリマーメルトに導入して発泡性メルトを形成する工程と、
c)発泡させながら該発泡性メルトを比較的低圧の領域内に押し出して押出発泡体を得る工程と、
d)工程a)及び/又はb)の少なくとも一工程において、少なくとも一種の請求項1に記載の式(I)の化合物と、適当なら他の助剤と添加材料とを添加する工程とを含む請求項21に記載のスチレンポリマー(XPS)の押出発泡体の製造方法。
【請求項23】
発泡した形態の請求項19に記載のハロゲンフリーポリマー組成物と、それぞれ請求項18に記載のハロゲンフリーポリマー組成物の絶縁材料としての使用法。

【公表番号】特表2013−518959(P2013−518959A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551623(P2012−551623)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051575
【国際公開番号】WO2011/095552
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】