説明

電力供給装置

【課題】交流負荷に安定して電力供給できる二次電池を備えた電力供給装置を提供する。
【解決手段】電力系統1に接続され交流電力を直流電力へ変換する二次電池用パワーコンディショナ2と、電力系統1に対する要求電力値を決定し二次電池用パワーコンディショナ2を制御するコントローラ4と、二次電池用パワーコンディショナ2の二次側に接続され直流電力を充放電する二次電池3と、二次電池3と並列に接続され、直流電力を交流電力へ変換し、二次側に接続された住宅負荷6の消費電力に応じて供給する電力を制御する電力調整機能を有する住宅負荷用パワーコンディショナ5とを有する電力供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に安定した電力を供給する電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、系統からの電力供給が事故や災害または計画停電などの要因により、負荷に対して安定的に電力の供給を受けられない事態に備えて、蓄電池(二次電池)および太陽電池、燃料電池などの分散電源を備えた電力供給装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の電力供給装置において、蓄電池を含む分散電源は、蓄電池を充電するための充電装置と、蓄電池から放電される電力を配電路へ送出させるための放電装置と、充電装置の充電動作および放電装置の放電動作を制御するための制御装置とを備えている。そして、制御装置は充電装置を制御して電力系統または太陽電池や燃料電池などの分散電源から給電される電力を蓄電池に充電する一方、必要に応じて放電装置を制御して蓄電池から負荷へ給電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−159730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般住宅における負荷は、いわゆる家電製品が主であって交流電力により駆動するものがほとんどである。しかしながら、特許文献1においては、直流電力に対する負荷にのみ対応しているため一般住宅には不向きである。
【0006】
そこで、本発明は、交流負荷に安定して電力供給できる二次電池を備えた電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電力供給装置は、電力系統と、前記電力系統に接続され交流電力を直流電力へ変換する交流直流変換手段と、前記電力系統に対する要求電力値を決定し前記交流直流変換手段を制御する制御手段と、前記交流直流変換手段の二次側に接続され直流電力を充放電する二次電池と、前記二次電池と並列に接続され、直流電力を交流電力へ変換し、二次側に接続された負荷の消費電力に応じて供給する電力を制御する電力調整機能を有する第一の直流交流変換手段とを有することを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、電力系統がダウンしても交流負荷に対して停電すること無く電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、交流負荷に安定して電力供給できる二次電池を備えた電力供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る電力供給装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
(1.本実施形態の構成と作用)
図1は、本発明の実施形態に係る電力供給装置を示したものである。1は一般住宅等へ交流電力を供給する電力系統である。2は電力系統1から供給される交流電力を二次電池3へ充電等するために直流電力へ変換する二次電池用パワーコンディショナ(交流直流変換手段)である。パワーコンディショナは、交流を直流へ、あるいは直流を交流へ効率よく変換する装置で、内部にマイコン基盤(不図示)を有している。このマイコンにより、パワーコンディショナの入力および出力の電力、電流、電圧、周波数、力率等の各種値を制御する。
【0013】
コントローラ4(制御手段)は、電力系統1からの受入電力W(要求電力値)を決定し、二次電池用パワーコンディショナ2に対して設定する。二次電池用パワーコンディショナ2とコントローラは、例えばRS−232C通信により接続され、二次電池用パワーコンディショナ2に内蔵されたマイコンに対して指令を与えることにより二次電池用パワーコンディショナ2に対して電力系統1からの受入電力Wを設定する。コントローラ4は、例えば各機器との入出力インターフェースを有し、CPUがプログラムに基づいて実施する機能を有するプログラマブルロジックコントローラー(PLC)で実現することができる。あるいは、コントローラ4の機能をマイコン基盤にて実装し、二次電池用パワーコンディショナ2に内蔵するようにしても良い。
【0014】
二次電池3は、二次電池用パワーコンディショナ2の二次側に接続され充放電を行う。二次電池3は、例えばリチウムイオン電池、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケル水素電池等の二次電池で実現できる。
【0015】
5は住宅負荷用パワーコンディショナ(第一の直流交流変換手段)で、二次電池用パワーコンディショナ2の2次側に二次電池3と並列に接続される。住宅負荷用パワーコンディショナ5は、二次電池用パワーコンディショナ2の出力直流電力および二次電池3の放電直流電力を交流電力へ変換し、二次電池用パワーコンディショナ2と同じようにマイコン基盤(不図示)を内蔵している。このマイコンにより住宅負荷用パワーコンディショナ5は住宅負荷6の消費電力に応じた電力を出力するよう制御される(電力調整機能)。このような制御は自立運転機能とも呼ばれる。
【0016】
二次電池用パワーコンディショナ2と住宅負荷用パワーコンディショナ5の相違点は、二次電池用パワーコンディショナ2は交流を直流へ、住宅負荷用パワーコンディショナ5は直流を交流へ、という変換方向の違いの他に、二次電池用パワーコンディショナ2は電力系統1からの受入電力を設定して動作するのに対し、住宅負荷用パワーコンディショナ5は住宅負荷6の消費電力に対応した出力電力を制御して動作するという相違がある。
【0017】
住宅負荷6は、例えば冷蔵庫やテレビ、エアコン、電子レンジ等の交流電力により駆動する所謂、一般家電製品全般が対象となる。
【0018】
次に、電力系統1からの受入電力Wと二次電池充放電電力Wと住宅負荷消費電力Wの関係について説明する。なお、説明を分かり易くするため二次電池用パワーコンディショナ2と住宅負荷用パワーコンディショナ5の変換効率は100%と仮定する。
【0019】
二次電池3に充電をする場合は、電力系統1からの受入電力Wを住宅負荷消費電力Wよりも大きな値になるようにすれば良く、その場合の充電電力は、
=W−W ・・・(1)
となる。つまり、住宅負荷6の消費電力に応じた住宅負荷消費電力Wを、住宅負荷用パワーコンディショナ5は電力調整機能により出力し、そしてWがWより大きければ、その差分のWが二次電池3への充電電力となる。
【0020】
二次電池3が放電をする場合は、住宅負荷消費電力Wが電力系統1からの受入電力Wよりも大きくなる場合で、その差を満たすよう二次電池3は放電し、その放電電力は、
=W−W ・・・(2)
となる。さらに、電力系統1からの受入電力Wを0にした場合は、住宅負荷消費電力Wを二次電池3のみで賄うことになり、
=W ・・・(3)
となる。
【0021】
二次電池3に対し充電するか放電するかは、コントローラ4から二次電池用パワーコンディショナ2に対し受入電力Wを設定することにより任意に行うことができる。受入電力Wの値は、住宅負荷消費電力W、二次電池3の電池残量、時間帯等の種々の要素を考慮して決定すれば良く、例えばコントローラ4にてプログラムを構築し、所定の条件に従って求出することができる。
【0022】
住宅負荷6の消費電力は電力計7にて検出し、二次電池3の電池残量は電池残量計8にて検出し、それをコントローラ4に取り込めば、それぞれの測定値を受入電力Wの求出条件に使用することができる。電池残量は、通常、直接計測することが困難なため、二次電池3の入力電流および出力電流を積算することにより求めることができる。
【0023】
図1の本発明の実施形態によれば、さらに、太陽電池9(発電手段)で発電した電力を太陽電池用パワーコンディショナ10により直流から交流へ変換し、電力系統1へ発電電力を供給している(売電)。太陽電池9の発電電力は電力計12にて測定されコントローラ4へ取り込まれる。これにより、太陽電池9の発電電力も考慮して電力系統1からの受入電力Wを決定でき、前述の住宅負荷消費電力W、二次電池3の電池残量、時間帯に加えて種々の条件で受入電力Wを決定することができる。例えば、天候が晴れで太陽電池9の発電量が多いときは二次電池3への充電および電力系統1に対しての売電量を多くし、夜間の住宅負荷6の消費電力が多くなれば電力系統1からの電力と昼間に充電した二次電池3の放電電力を使用して電力系統1の使用電力を抑え、就寝時の夜中に電力系統1の使用電気代が安価な時間帯を利用して二次電池3を充電するといった運転パターンを実現することができる。また、天気予報に合わせた運転パターンをコントローラ4に設定すればさらに効率良い運転をすることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、発電手段として太陽電池による太陽光発電を例としているが、燃料発電や風力発電などの発電手段でも同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、図1の本発明の実施形態によれば、住宅負荷6と住宅負荷用パワーコンディショナ5との間に切替スイッチ(切替手段)13を設け、電力系統1から直接給電できるようにしている。これは、例えば住宅負荷用パワーコンディショナ5が故障した場合にも住宅負荷6へ電力供給することができるようにするためである。切替スイッチ13の切替は手動でも良いし、住宅負荷用パワーコンディショナ5等の故障信号を検出することにより、所定の条件によって自動で切替えても良い。
【0026】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
【0027】
(2.本実施形態の効果)
以上述べた実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0028】
(1)電力系統1がダウンしても、二次電池3により住宅負荷6に対して電力供給ができるため、住宅負荷6が停電することなく安定した電力を供給することができる。
【0029】
(2)住宅負荷消費電力W、二次電池3の電池残量、時間帯、天候などを要素とした運転パターンを設定することにより、効率良い電力供給が可能となる。
【0030】
(3)二次電池用パワーコンディショナ2は電力系統1から供給される一方向のみを扱えば良いので、電力系統1への逆潮流を考慮しなくても良い。
【0031】
(4)切替スイッチ13を設けることにより、住宅負荷用パワーコンディショナ5等が故障したときであっても電力系統1から直接、住宅負荷6へ電力供給できるため、安定した電力供給が可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 電力系統
2 二次電池用パワーコンディショナ
3 二次電池
4 コントローラ
5 住宅負荷用パワーコンディショナ
6 住宅負荷
7 電力計
8 電池残量計
9 太陽電池
10 太陽電池用パワーコンディショナ
12 電力計
13 切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と、
前記電力系統に接続され交流電力を直流電力へ変換する交流直流変換手段と、
前記電力系統に対する要求電力値を決定し前記交流直流変換手段を制御する制御手段と、
前記交流直流変換手段の二次側に接続され直流電力を充放電する二次電池と、
前記二次電池と並列に接続され、直流電力を交流電力へ変換し、二次側に接続された負荷の消費電力に応じて供給する電力を制御する電力調整機能を有する第一の直流交流変換手段とを有することを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
直流電力を発電する発電手段と、
前記発電手段で発電された直流電力を交流電力へ変換する第二の直流交流変換手段と、
前記第二の直流交流変換手段の二次側を前記電力系統へ接続した請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記負荷の消費電力と前記発電手段の発電電力とを基に前記電力系統に対する要求電力値を決定する請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記第一の直流交流変換手段と前記負荷との間に切替手段を有し、
前記切替手段は、前記第一の直流交流変換手段または前記電力系統から前記負荷への電力供給を切替える請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電力供給装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−116033(P2013−116033A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275033(P2011−275033)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】