説明

電力測定装置、電力測定システム、及び電力測定方法

【課題】従来よりも低い設置コストで設備機器に設置できる電力測定装置、並びに従来よりも低い設置コストで設備機器の電力を測定できる電力測定システム及び電力測定方法を提供する。
【解決手段】電力測定装置112は、設備機器に電力を供給するライン11に接続されるライン接続部112sと、接続されたライン11により設備機器へ印加される電圧と電流とを測定する測定回路1122aと、を備える。また、電力測定装置112は、測定された電圧と電流とに基づいて設備機器で消費される電力を算出する算出部1129と、設備機器の監視に用いられるデータが伝送される伝送線21に接続される伝送線接続部Ptと、を備える。さらに、電力測定装置112は、算出された電力を表すデータを伝送線21に伝送する伝送部1126を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力測定装置、電力測定システム、及び電力測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空調機の制御スケジュールを記憶する手段と、当該空調機に設置された電力量計で測定された当該空調機の使用電力を取得する手段と、当該使用電力と当該制御スケジュールとに基づいて当該空調機の使用電力を予測する手段と、を備え、予測された使用電力が所定の電力以下となるように空調機を制御する空調省エネ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−065960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電力計等の電力測定装置は、通常、空調機等の設備機器に搭載された金属製の分電盤や制御盤に設置されるため、電力測定装置は、空調省エネ制御装置と無線通信することが難しい。このため、特許文献1に開示されたシステムでは、既存の設備機器に電力測定装置を設置すると、当該電力測定装置から空調省エネ制御装置まで通信線を新たに敷設する必要があり、設置コストが高いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来よりも低い設置コストで設備機器に設置できる電力測定装置、並びに従来よりも低い設置コストで設備機器の電力を測定できる電力測定システム及び電力測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力測定装置は、
設備機器に電力を供給するラインに接続されるライン接続手段と、
前記接続されたラインにより前記設備機器へ印加される電圧と電流とを測定する測定手段と、
前記測定された電圧と電流とに基づいて前記設備機器で消費される電力を算出する算出手段と、
前記設備機器の監視に用いられるデータが伝送される監視用伝送線に接続される伝送線接続手段と、
前記算出された電力を表すデータを前記監視用伝送線に伝送する伝送手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電力測定装置によれば、従来よりも低い設置コストで設備機器に設置できる。また、本発明に係る電力測定システム及び電力測定方法によれば、従来よりも低い設置コストで設備機器の電力を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1に係る電力測定システムの一構成例を表す構成図である。
【図2】設備機器の一構成例を表す構成図である。
【図3】電力測定装置の一構成例を表す構成図である。
【図4】算出部のハードウェア構成の一例を表すハードウェア構成図である。
【図5】実施形態1に係る電力測定装置が実行する電力測定処理の一例を表すフローチャートである。
【図6】実施形態1に係る電力測定装置が有する機能の一例を表す機能ブロック図である。
【図7】電力測定装置が実行するサンプリング処理の一例を表すフローチャートである。
【図8】コントローラが実行する消費電力監視処理の一例を表すフローチャートである。
【図9】実施形態2に係る電力測定装置が実行する電力測定処理の一例を表すフローチャートである。
【図10】実施形態2に係る電力測定装置が有する機能の一例を表す機能ブロック図である。
【図11】実施形態2に係る電力測定装置が実行する通信アドレス検出処理の一例を表すフローチャートである。
【図12】実施形態3に係る設備機器の一構成例を表す構成図である。
【図13】実施形態3に係る電力測定装置の第1本体部一構成例を表す構成図である。
【図14】実施形態3に係る電力測定装置の第2本体部一構成例を表す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る電力測定システム1について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0010】
電力測定システム1は、図1に示すように、三相交流電源10、監視制御用伝送線20、通信網30、設備機器110及び120、コントローラ200、並びに監視サーバ300で構成されている。
【0011】
三相交流電源10は、電源ライン11を介して設備機器110に接続され、かつ電源ライン12を介して設備機器120に接続される。三相交流電源10は、設備機器110及び設備機器120の動力源であり、互いに電流若しくは電圧の位相が互いにずれた第一相(以下、R相という)、第二相(以下、S相という)、及び第三相(以下、T相という)で構成される。
【0012】
監視制御用伝送線20は、伝送線21を介して設備機器110と接続され、かつ伝送線22を介して設備機器120と接続されている。監視制御用伝送線20は、設備機器110若しくは設備機器120の監視に用いられる監視信号又は設備機器110若しくは設備機器120の制御に用いられる制御信号の通信に用いられる。監視制御用伝送線20を介して通信される監視信号及び制御信号は、直流電源に重畳されて設備機器110及び120並びにコントローラ200へ送信される。
【0013】
通信網30は、インターネットで構成され、コントローラ200と監視サーバ300とに接続されている。通信網30は、LAN(Local Area Network)又は公衆回線網であっても良い。
【0014】
設備機器110及び設備機器120は、室内機若しくは室外機などの空調機器で構成される。設備機器110と設備機器120とは、同様の構成を有するため、以下主に、設備機器110について説明し、設備機器120の説明を適宜省略する。
【0015】
設備機器110は、例えば、ユーザによって設定された温度、風量、若しくは運転モードを表す制御信号をコントローラ200から受信し、受信した制御信号に従って動作する。また、設備機器110は、コントローラ200を介して監視サーバ300から監視信号を受信すると、例えば、設備機器110の消費電力を含む運転状態を表す状態信号を、コントローラ200を介して監視サーバ300へ送信する。
【0016】
コントローラ200は、管理サーバ300に通信網30を介して接続可能なモデム装置で構成される。コントローラ200は、例えば、温度、風量、若しくは運転モードの設定に用いられるボタンを有し、当該ボタンの操作によりユーザが設定した温度、風量、若しくは運転モードを表す制御信号を設備機器110及び120へ送信する。また、コントローラ200は、設備機器110及び120から状態信号を受信し、受信した状態信号を監視サーバ300へ送信すると共に、状態信号に応じた表示を行う。
【0017】
監視サーバ300は、コントローラ200から設備機器110及び120の状態信号を受信し、受信した信号に基づいて設備機器110及び120の運転状態を監視する。
【0018】
次に、図2を参照して、設備機器110の構成について詳細に説明する。
設備機器110は、図2に示すように、制御基盤(以下、制御盤という)111と電力測定装置112とで構成される。
【0019】
制御盤111は、主に金属で構成され、電源ライン11を介して三相交流電源10に接続し、伝送線21を介して監視制御用伝送線20に接続されている。制御盤111は、三相交流電源10から供給される電源を用いて動作し、監視制御用伝送線20から制御信号を受信すると、受信した制御信号に従って、例えば、アクチュエータを動作させることで、設備機器110の動作を制御する。また、制御盤111は、監視制御用伝送線20を介してコントローラ200から監視信号を受信すると、設備機器110の状態信号を、監視制御用伝送線20を介してコントローラ200へ送信する。
【0020】
電力測定装置112は、電源ライン11に接続するライン接続部112sと、伝送線21に接続する伝送線接続部Ptと、ライン接続部112s及び伝送線接続部Ptに接続された本体部112bと、で構成される。
【0021】
ライン接続部112sは、電源ライン11のR相11rに接続されるポイントPr、電源ライン11のS相11sに接続されるポイントPs、及び電源ライン11のT相11tに接続されるポイントPtと、電源ライン11のR相11rに設置される変流器CTr及び電源ライン11のT相11tに設置される変流器CTtと、で構成される。ポイントPr、Pr、及びPs、並びに変流器CTr及びCTtには、それぞれ本体部112bに接続されたライン112vr、112vs、及び112vt、並びにライン112ir及びライン112itが接続されている。また、伝送線接続部Ptには、本体部112bに接続された伝送線112tが接続されている。
【0022】
ポイントPr、Ps、及びPtは、例えば、クリップ形状を有し、それぞれ電源ライン11のR相11r、S相11s、及びT相11tに対して着脱可能に接続する。
【0023】
変流器CTr及びCTtは、それぞれポイントPr及びPtと同様に、電源ライン11のR相11r及びT相11tに対して着脱可能に接続する。変流器CTr及びCTtとは、それぞれR相11rの電流及びT相11tの電流を測定するためのカレントトランスであり、例えば工事性の高いクランプ式のカレントトランスである。
【0024】
電力測定装置112の本体部112bは、図3に示すように、電源回路1121、電圧測定回路1122a及び電流測定回路1122bで構成される測定回路1122、A/D(analog/digital)変換器1124、給電回路1125、伝送部1126、絶縁回路1127、並びにアドレス設定スイッチ1128を内蔵している。
【0025】
電源回路1121は、例えば、ダイオードなどの整流回路と、チョッパ方式のDC(Direct Current)/DCコンバータと、で構成される。電源回路1121は、ライン112vrと、本体部112bの金属製の筐体に接続することでグランドされたライン112vsと、に接続されていており、三相交流電源10のR−S相間電圧が印加される。電源回路1121は、印加されたR−S相間電圧を用いて直流電源を生成し、生成した直流電源をA/D変換器1124及び算出部1126へ提供する。
【0026】
電圧測定回路1122aは、例えば、抵抗分圧回路で構成され、ライン112vr、112vs、及び112vtに接続されている。電圧測定回路1122aは、三相交流電源10のR−S相間電圧と、S−T相間電圧と、をA/D変換器1124に入力可能なレベルまで分圧し、分圧したR−S相間電圧(以下、分圧R−S相間電圧という)と、分圧したS−T相間電圧(以下、分圧S−T相間電圧という)と、をA/D変換器1124に入力する。
【0027】
電流測定回路1122bは、変流器CTrの負荷抵抗で構成され、変流器CTrから出力された電流をライン112ir介して入力され、入力された電流に応じた電圧(以下、R相電流に応じた電圧という)をA/D変換器1124へ印加する。同様に、電流測定回路1122bは、変流器CTtの負荷抵抗でさらに構成され、変流器CTtから出力された電流をライン112it介して入力され、入力された電流に応じた電圧(以下、T相電流に応じた電圧という)をA/D変換器1124へ印加する。
【0028】
A/D変換器1124は、例えばΔΣA/D変換器等の高分解能のA/D変換器で構成される。A/D変換器1124は、電源回路1121から供給される直流電源を用いて動作する。具体的には、A/D変換器1124は、算出部1126からトリガ信号を入力されると、分圧R−S相間電圧の瞬時値及び分圧S−T相間電圧の瞬時値と、R相電流に応じた電圧の瞬時値及びT相電流に応じた電圧の瞬時値と、を同一のタイミングでそれぞれサンプリングする。次に、A/D変換器1124は、分圧R−S相間電圧の瞬時値を表すデジタル信号SVrs(以下、電圧値信号SVrsという)及び分圧S−T相間電圧の瞬時値を表すデジタル信号SVst(以下、電圧値信号SVstという)と、R相電流に応じた電圧の瞬時値を表すデジタル信号SIr(以下、電流値信号SIrという)及びT相電流に応じた電圧の瞬時値を表すデジタル信号SIt(以下、電流値信号SItという)と、を算出部1126へ出力する。
【0029】
伝送線接続部Ptは、例えば、クリップ形状を有し、伝送線21に対して着脱可能に接続される。
【0030】
給電回路1125は、例えば、チョッパ方式のDC/DCコンバータにより構成される。給電回路1125は、伝送線112t及び伝送線接続部Ptを介して接続する伝送線21から供給される直流電源を用いて、伝送部1126の動作に用いられる電源を生成する。
【0031】
伝送部1126は、例えば、通信ドライバといった通信回路で構成される。伝送部1126は、給電回路1125から供給された電源を用いて動作する。具体的には、伝送部1126は、算出部1126から出力されたデータを表す信号を、予め定められたプロトコルに従って、伝送線112tを介してコントローラ200へ送信する。逆に、伝送部1126は、コントローラ200から伝送線112tを介して送信された信号を受信し、受信した信号を、絶縁回路1127を介して算出部1126へ出力する。
【0032】
絶縁回路1127は、例えば、フォトカプラで構成され、伝送部1126を三相交流電源10から絶縁する。
【0033】
アドレス設定スイッチ1128は、例えば、DIP(Dual In-line Package)スイッチやロータリースイッチで構成される。アドレス設定スイッチ1125は、設備機器110を保守及び点検するサービススタッフによって行われた設定操作に応じて、算出部1126に読み込むように指定するアドレスを表す信号(以下、設定アドレス信号という)を出力する。
【0034】
算出部1129は、図4に示すようなバス1129zを介して互いに接続するCPU(Central Processing Unit)1129a、ROM(Read Only Memory)1129b、RAM(Random Access Memory)1129c、入力回路1129e、出力回路1129f、及びタイマ回路1129gと、を有するマイクロコントローラで構成される。
【0035】
CPU1129aは、ROM1129bに保存されたプログラムに従ってソフトウェア処理を実行することで、電力測定装置112の全体制御を行う。RAM1129cは、CPU1129aによるプログラムの実行時において、処理対象とされるデータを一時的に記憶する。
【0036】
入力回路1129eは、アドレス設定スイッチ1128、A/D変換器1124、及び絶縁回路1127からそれぞれ出力された各種信号を入力し、入力された各種信号をCPU1126aへ出力する。出力回路1129fは、A/D変換器1124及び伝送部1126へ、CPU1126aから出力された信号を出力する。タイマ回路1129gは、CPU1126aから計時の開始を指示する信号(以下、スタート信号という)を入力されると計時を開始し、予め設定された時間経過すると計時を停止し、割込信号をCPU1126aへ入力するハードウェアタイマである。
【0037】
CPU1129aは、電源回路1121から電源が供給されると、図5に示す電力測定処理の実行を開始することで、図6に示す取得部291、サンプリング部292、消費電力算出部293、異常判定部294、及び信号出力部295として機能する。また、ROM1129aは、情報記憶部299として機能する。
【0038】
電力測定処理を開始すると、取得部291は、入力回路1129eからアドレス設定信号を取得する(ステップS01)。
【0039】
次に、取得部291は、アドレス設定信号で表されるアドレスから所定バイトのデータを情報記憶部299から取得する。次に、取得部291は、取得したデータから、監視制御用伝送線20及びこれに接続された伝送線21及び22において電力測定装置112を識別するアドレス(以下、通信アドレスという)を表すデータと、当該設備機器110が正常に動作する場合に消費される電力の上限値である閾値Thを表すデータと、を取得する(ステップS02)。尚、好適な閾値Thは、当業者が実験により定めることができる。
【0040】
次に、信号出力部295は、タイマ回路1129gが保持するタイマ値を初期化してから計時を開始するように命じる信号(つまり、スタート信号)をタイマ回路1129gへ出力する(ステップS03)。
【0041】
次に、取得部291は、設備機器110に印加されたR−S相間電圧、S−T相間電圧、R相電流、及びT相電流のサンプリング数Nを表す変数を値「0」で初期化する。また、取得部291は、サンプリングされたR−S相間電圧、S−T相間電圧、R相電流、及びT相電流を用いて算出された設備機器110の瞬時消費電力値Wの総和(以下、総和消費電力値という)SWを表す変数を値「0」で初期化する(ステップS04)。
【0042】
その後、取得部291は、タイマ回路1129gが保持するタイマ値を参照する(ステップS05)。次に、CPU1129aは、タイマ値で表される時刻が予め定められた設備機器110の消費電力を測定する時刻(以下、消費電力測定時刻という)を経過した時刻であるか否かを判別する(ステップS06)。尚、消費電力測定時刻を表すデータは、予め情報記憶部299に保存されていている。
【0043】
ステップS06において、取得部291は、タイマ値で表される時刻が消費電力測定時刻を経過した時刻でない(つまり、タイマ値で表される時刻が消費電力測定時刻を経過する前の時刻である)と判別すると(ステップS06;No)、測定された消費電力の値(以下、測定消費電力値という)を送信するように求めるリクエスト(以下、電力値送信リクエストという)を伝送部1126がコントローラ200から受信したか否かを判別する(ステップS07)。
【0044】
具体的には、入力回路1129eが伝送部1126から信号を入力すると、取得部291は、入力回路1129eから当該信号を取得する。取得部291は、上記プロトコルによって定められたデータフォーマットに基づいて、当該信号で表されるデータ(以下、送信データという)の宛先フィールドを参照する。次に、取得部291は、参照したフィールドに格納されたアドレス(以下、宛先アドレスという)が、ステップS02で読み出した通信アドレスと一致しているか否かを判別する。取得部291は、宛先アドレスが通信アドレスと一致してないと判別した場合には、送信されたデータは他の機器を宛先とするデータであると判断し、当該データを破棄する。これに対して、取得部291は、宛先アドレスが通信アドレスと一致していると判別した場合には、上記データフォーマットに基づいて当該データの種別フィールドを参照し、参照したデータが電力値送信リクエストを表す種別であるか否かを判別する。このとき、取得部291は、参照したデータが電力値送信リクエストを表す種別であると判別すると、電力値送信リクエストを伝送部1126が受信したと判別する。
【0045】
ステップS07において、取得部291が電力値送信リクエストを伝送部1126が受信しなかったと判別すると(ステップS07;No)、設備機器110が消費する瞬時電力値(以下、瞬時消費電力値という)Wをサンプリングする、図7に示すサンプリング処理が実行された後に(ステップS08)、ステップS05から上記処理が繰り返される。
【0046】
サンプリング処理を開始すると、信号出力部295は、トリガ信号を出力回路1129fへ出力する(ステップS21)。その後、出力回路1129fは、トリガ信号をA/D変換器1124へ出力する。その後、入力回路1129eが電圧値信号SVrs及び電圧値信号SVstと、電流値信号SIr及び電流値信号SItと、をA/D変換器1124から入力すると、取得部291は、入力回路1129eからこれらの信号を取得する(ステップS22)。
【0047】
次に、サンプリング部292は、電圧値信号SVrsで表される電圧値Vrs及び電圧値信号SVstで表される電圧値Vstと、電流値信号SIrで表される電流値Ir及び電流値信号SItで表される電流値Itと、を以下の式(1)に用いて瞬時消費電力値Wを算出する(ステップS23)。
【0048】
瞬時消費電力値W=電圧値Vrs×電流値Ir+電圧値Vst×電流値It・・・(1)
【0049】
その後、サンプリング部292は、以下の式(2)を用いて、総和消費電力値SWを表す変数を、当該変数が表す電力値SWに対してステップS23で算出された瞬時消費電力値Wを加算した値で更新した後に(ステップS24)、サンプリング処理の実行を終了する。
【0050】
総和消費電力値SW=SW+瞬時消費電力値W・・・(2)
【0051】
ステップS06において、取得部291がタイマ値で表される時刻が消費電力測定時刻を経過した時刻であると判別すると(ステップS06;Yes)、消費電力算出部293は、以下の式(3)を用いて平均消費電力値を算出し、算出した値を測定電力値AWとする(ステップS09)。
【0052】
測定電力値AW=総和消費電力値SW÷サンプリング数N・・・(3)
【0053】
その後、異常判定部294は、算出した測定電力値AWがステップS02で読み出した閾値Thより大きいか否かを判別し、判別結果に基づいて設備機器110に異常が生じたか否かを判定する(ステップS10)。このとき、異常判定部294が、測定電力値AWが閾値Thより大きくない(測定電力値AWが閾値Th以下である)と判別したために、設備機器110に異常が生じていないと判定すると(ステップS10;No)、ステップS03から上記処理が繰り返される。
【0054】
これに対して、異常判定部294が、測定電力値AWが閾値Thより大きいと判別したために、設備機器110に異常が生じたと判別すると(ステップS10;Yes)、信号出力部295は、異常の通知に用いられるデータフォーマットを情報記憶部299から参照する。次に、信号出力部295は、情報記憶部299からコントローラ200の通信アドレスを読み出し、参照したデータフォーマットに従って、コントローラ200の通信アドレスを通信データの宛先フィールドに格納する。次に、信号出力部295は、ステップS02で読み出した電力測定装置112の通信アドレスと、設備機器110に異常が発生した旨を通知する異常通知と、測定電力値AWと、を表すデータを、参照したデータフォーマットに従って、通信データのデータフィールドに格納する。その後、信号出力部295は、通信データを出力回路1129fへ出力し、出力回路1129fは、当該通信データを伝送部1126へ出力する。また、信号出力部295は、当該通信データを表す信号をコントローラ200へ送信するように伝送部1126を制御する(ステップS11)。尚、ステップS11の処理において、信号出力部295は、例えば、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)といったアクセス制御を実施する。その後、ステップS03から上記処理が繰り返えされる。
【0055】
ステップS07において、取得部291が、電力値送信リクエストを伝送部1126が受信したと判別すると(ステップS07;Yes)、信号出力部295は、情報記憶部299から測定電力値AWの送信に用いられるデータフォーマットを参照する。尚、このデータフォーマットは、設備機器110及び120の監視及び制御に用いられるデータフォーマットとは異なる。
【0056】
次に、信号出力部295は、参照したデータフォーマットに従って、コントローラ200の通信アドレスを通信データの宛先フィールドに格納する。また、信号出力部295は、ステップS02で読み出した通信アドレスと、ステップS09で算出された測定電力値AWと、を表すデータを、参照したデータフォーマットに従って、通信データのデータフィールドに格納する。その後、信号出力部295は、通信データを出力回路1129fへ出力し、出力回路1129fは、当該通信データを伝送部1126へ出力する。また、信号出力部295は、当該通信データを表す信号をコントローラ200へ送信するように伝送部1126を制御する(ステップS12)。その後、ステップS03から上記処理が繰り返えされる。
【0057】
次に、コントローラ200の動作について、図8を参照して説明する。
コントローラ200は、設備機器110及び120の消費電力を監視する消費電力監視処理を開始すると、例えば、OS(Operating System)が管理するシステム日時を参照する(ステップS31)。
【0058】
次に、コントローラ200は、参照したシステム日時に基づいて、設備機器110に設置された電力測定装置112及び設備機器120に設置された電力測定装置から、前回に測定電力値AWを表すデータを受信してから(但し、消費電力監視処理を開始してから一度も測定電力値AWを表すデータを受信していない場合には当該消費電力監視処理の実行を開始してから)、予め定められた受信間隔(以下、データ受信間隔という)だけ時間が経過したか否かを判別する(ステップS32)。尚、データ受信間隔は、例えば、上記サービススタッフによって予め設定され、設定されたデータ受信間隔を表すデータは、コントローラ200に予め保存されている。
【0059】
このとき、コントローラ200は、データ受信間隔時間が経過した判別すると(ステップS32;Yes)、設備機器110に設置された電力測定装置112及び設備機器120に設置された電力測定装置へ電力値送信リクエストを送信する(ステップS33)。
【0060】
次に、コントローラ200は、設備機器110の電力測定装置112から、電力測定装置112の通信アドレスと測定電力値AWとを表すデータを受信し、かつ設備機器120の電力測定装置から、当該電力測定装置の通信アドレスと測定電力値AWとを表すデータを受信する(ステップS34)。
【0061】
次に、コントローラ200は、再度システム日時を参照する(ステップS35)。その後、コントローラ200は、システム日時を電力が測定された日時(以下、測定日時という)とし、通信アドレスを表すデータと、測定日時を表すデータと、測定電力値AWを表すデータと、未だ測定電力値AWを表すデータを監視サーバ300へ送信していないことを表すフラグ(以下、未送信フラグという)と、を対応付けたデータをデータベースへ保存した後に、ステップS31から上記処理を繰り返す。
【0062】
ステップS32において、コントローラ200は、データ受信間隔時間が経過していないと判別すると(ステップS32;No)、ステップS31で参照したシステム日時に基づいて、前回に監視サーバ300へ測定電力値AWを表すデータを送信してから(但し、消費電力監視処理を開始してから一度も測定電力値AWを表すデータを送信していない場合には当該消費電力監視処理の実行を開始してから)、予め定められた間隔(以下、データ送信間隔という)だけ時間が経過したか否かを判別する(ステップS37)。尚、データ送信間隔は、例えば、上記サービススタッフによって予め設定され、設定されたデータ送信間隔を表すデータは、コントローラ200に予め保存されている。
【0063】
ステップS37において、コントローラ200は、データ送信間隔時間が経過したと判別すると(ステップS37;Yes)、未送信フラグを表すデータに対応付けられた通信アドレスを表すデータと、測定日時を表すデータと、測定電力値AWを表すデータと、を対応付けた1又は複数のデータをデータベースから検索する(ステップS38)。その後、コントローラ200は、検索された1又は複数のデータを監視サーバ300へ送信する(ステップS39)。
【0064】
また、コントローラ200は、送信した通信アドレスを表すデータと、測定日時を表すデータと、測定電力値AWを表すデータと、に対応付けられたフラグを、測定電力値AWを表すデータを監視サーバ300へ既に送信したことを表すフラグ(以下、送信済フラグという)に更新した後に、ステップS31に戻り上記処理を繰り返す。
【0065】
尚、監視サーバ300は、通信アドレスを表すデータと、測定日時を表すデータと、測定電力値AWを表すデータと、を対応付けた複数のデータに基づいて(つまり、過去の消費電力の推移に基づいて)、各設備機器について将来の消費電力の推移を予測する。また、監視サーバ300は、将来の消費電力の推移に基づいて、例えば、1日の総電力消費が所定の閾値よりも少なくなるような設備機器の運転スケジュールを作成し、作成したスケジュールに沿って動作するように各設備機器へ制御信号を送信する。すなわち、監視サーバ300は、省エネを実現し、設備機器で消費される電力のピークを低減させる。
【0066】
ステップS37において、コントローラ200は、データ送信間隔時間が経過していないと判別すると(ステップS37;No)、設備機器110の電力測定装置112若しくは設備機器120の電力測定装置から、異常通知を表す通信データを受信したか否かを判別する(ステップS40)。このとき、コントローラ200は、異常通知を表す通信データを受信していないと判別すると(ステップS40;No)、ステップS31に戻り上記処理を繰り返す。
【0067】
これに対して、コントローラ200は、異常通知を表す通信データを受信したと判別すると(ステップS40;Yes)、通信データを監視サーバ300へ送信する。
【0068】
ここで、コントローラ200若しくは監視サーバ300には、設備機器110の通信アドレスを表すデータと、設備機器110の消費電力を測定する電力測定装置112の通信アドレスを表すデータと、が対応付けられて予め保存されている。同様に、コントローラ200若しくは監視サーバ300には、設備機器120の通信アドレスを表すデータと、設備機器120の消費電力を測定する電力測定装置の通信アドレスを表すデータと、が対応付けられて予め保存されている。
【0069】
このため、コントローラ200若しくは監視サーバ300は、異常通知と通信アドレスとを表すデータを受信すると、異常通知を表すデータを送信した電力測定装置の通信アドレスと、当該電力測定装置が異常と判定した設備機器の通信アドレスと、当該設備機器に異常が生じた旨と、当該設備機器の測定電力値AWと、を表示部に表示する(ステップS41)。
【0070】
コントローラ200若しくは監視サーバ300の表示を視認したサービススタッフは、異常若しくは故障が生じた可能性のある設備機器を特定し、例えば、運転を停止させる制御信号、又は運転モードが暖房の場合は設定温度を下げた運転、運転モードが冷房の場合は設定温度を上げた運転、若しくは風量を低下させた運転といった異常通知に応じた運転をさせる制御信号を、特定した設備機器へ送信するようにコントローラ200若しくは監視サーバ300を操作する。
【0071】
その後、コントローラ200は、当該操作に従って当該制御信号を設備機器へ送信した後に、ステップS31に戻り上記処理を繰り返す。
【0072】
これらの構成によれば、電力測定装置112は、設備機器110若しくは120の監視に用いられるデータが伝送される監視用伝送線20に、当該設備機器110若しくは120が消費する電力を表すデータを伝送する。このため、既存の設備機器110若しくは120に電力測定装置112を設置しても、当該電力測定装置112から設備機器110若しくは120を制御するコントローラ200まで伝送線を新たに敷設する必要がなく、従来よりも小さい設置コストで電力測定装置112を設備機器110若しくは120に設置できる。
【0073】
本実施形態では、A/D変換器1124は、算出部1126からトリガ信号を入力されると、分圧R−S相間電圧の瞬時値及び分圧S−T相間電圧の瞬時値と、R相電流に応じた電圧の瞬時値及びT相電流に応じた電圧の瞬時値と、を同一のタイミングでそれぞれサンプリングするとして説明した。しかし、これに限定される訳ではなく、A/D変換器1124は、変流器CTr及び変流器CTtによる電流側の位相進みを補正するために、電流側のサンプリングタイミング(つまり、R相電流に応じた電圧の瞬時値及びT相電流に応じた電圧の瞬時値のサンプリングタイミング)を、電圧側のサンプリングタイミング(つまり、分圧R−S相間電圧の瞬時値及び分圧S−T相間電圧の瞬時値のサンプリングタイミング)時間よりも、変流器CTr及び変流器CTtの特性により定まる位相進み分だけ早いタイミングで行っても良い。尚、電流側の位相進みは、当業者が実験などにより定めることができる。この構成によれば、設備機器110で消費される電力をより精度良く測定できる。
【0074】
本実施形態では、電力測定装置112は、設備機器110の制御盤111と接続するライン11から設備機器110に印加される電圧及び電流を測定するとして説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、電力測定装置112は、主に金属で構成される分電盤をさらに備え、電力測定装置112は、当該分電盤と接続するラインから設備機器110に印加される電圧及び電流を測定するとしても良い。
【0075】
本実施形態では、設備機器110及び120は、空調機で構成されるとして説明したが、これに限定される訳ではなく、設備機器は、例えば、照明、換気扇、エアーコンディショナー、IH(Induction Heating)クッキングヒーター、炊飯器、電子レンジ、ドライヤー、掃除機、洗濯機、若しくはテレビで構成されても良い。
【0076】
本実施形態では、コントローラ200は、管理サーバ300に接続可能なモデム装置であるとして説明したが、これに限定される訳ではなく、管理サーバ300に接続可能なサーバであっても良い。
【0077】
また、本実施形態では、コントローラ200は、電力測定装置112などから受信したデータで表される測定電力AWを表示する表示部を備えるとして説明したが、表示部を有した端末に接続し、測定電力AWを表示するように当該端末を制御しても良い。
【0078】
<実施形態1の変形例>
実施形態1において、電力測定装置112は、図5のステップS10において、設備機器110に異常が生じたと判別すると(ステップS10;Yes)、異常通知を表す信号をコントローラ200へ送信する(ステップS11)として説明したが、これに限定される訳ではない。電力測定装置112は、サービススタッフによりアドレス設定スイッチを操作され、設備機器110の通信アドレスを指定され、設備機器110に異常が生じたと判別すると(ステップS10;Yes)、当該指定された通信アドレスへ異常通知を表す信号を送信する構成を採用できる。この構成において、設備機器110は、異常通知を表す信号を受信すると、例えば、運転の停止、又は運転モードが暖房の場合は設定温度を下げた運転、運転モードが冷房の場合は設定温度を上げた運転、若しくは風量を低下させた運転といった異常通知に応じた運転をする構成を採用できる。
【0079】
これらの構成によれば、電力測定装置112は、設備機器110に異常が生じたと判別されると、当該設備機器110へ異常通知を送信する。このため、例えば、設備機器110の運転を制御するコントローラ200が異常通知に応じて設備機器110の運転を制御できない場合であっても、設備機器110が異常通知を受信すると運転を停止若しくは異常通知に応じた運転を行うので、設備機器110の故障若しくは事故を迅速かつ確実に防止できる。
【0080】
<実施形態2>
実施形態2に係る電力測定装置112は、設備機器110に電源が投入されてから所定時間内において監視用伝送線20に伝送されるデータから設備機器110に指定される通信アドレスを特定する。実施形態2に係る電力測定装置112は、実施形態1に係る電力測定装置112と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電力測定装置112との相違点について主に説明する。
【0081】
実施形態2に係る監視サーバ300は、DNS(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバとしてさらに機能し、設備機器110に電源が投入されると、設備機器110から送信されるリクエストに応じて、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスなどの通信アドレスを設備機器110に指定する。
【0082】
実施形態2に係る電力測定装置112は、設備機器110で消費される電力に基づいて設備機器110に電源が投入されたと判定すると、監視サーバ300から設備機器110へ送信されるデータであって、設備機器110に通信アドレスを指定するデータ(以下、通信アドレス指定データという)を検出する。
【0083】
上記機能を発揮するため、図4に示した電力測定装置112の算出部1129は、図9に示す電力測定処理を実行する。これにより、算出部1129のCPU1129aは、図9に示すような取得部291、サンプリング部292、消費電力算出部293、異常判定部294、及び信号出力部295の他に、電源投入判定部296及び通信アドレス検出部297として機能する。
【0084】
図9の電力測定処理を開始すると、取得部291は、入力回路1129eからアドレス設定信号を取得する(ステップS51)。次に、取得部291は、アドレス設定信号で表されるアドレスから所定バイトのデータを情報記憶部299から取得する。次に、取得部291は、取得したデータから電力測定装置112の通信アドレスを表すデータと、閾値Thを表すデータと、を取得する(ステップS52)。その後、設備機器110に指定された通信アドレスを検出する、図10に示すような通信アドレス検出処理が実行される(ステップS53)。
【0085】
図9に示した通信アドレス検出処理が開始されると、図7に示したステップS21からステップS23と同様の処理が実行される(ステップS71からステップS73)。
【0086】
次に、電源投入判定部296は、前回に算出された設備機器110の瞬間消費電力値(以下、前回消費電力値という)Wbを格納する変数に、今回に算出された設備機器110の瞬間消費電力値(以下、今回消費電力値という)Wnを格納する(ステップS74)。
【0087】
その後、ステップS71からステップS73と同様の処理が再度実行される(ステップS75からステップS77)。次に、電源投入判定部296は、今回消費電力値Wnから前回消費電力値Wbを減算することで、消費電力値の変化量ΔWを算出する(ステップS78)。その後、電源投入判定部296は、ステップS74と同様の処理を実行する(ステップS79)。
【0088】
次に、取得部291は、設備機器110に対する電源の投入前後における消費電力の変化量の下限を表す閾値Tonを表すデータを、情報記憶部299から取得し、電源投入判定部296は、ステップS78で算出された変化量ΔWが閾値Tonよりも大きいか否か判別する。また、電源投入判定部296は、変化量ΔWが閾値Tonよりも大きいか否かの判別結果に基づいて設備機器110に電源が投入されたか否かを判定する(ステップS80)。
【0089】
電源投入判定部296が、変化量ΔWが閾値Tonよりも大きいために、設備機器110に電源が投入されたと判定すると(ステップS80;Yes)、通信アドレス検出部297は、図3に示した伝送部1126が監視サーバ300から通信アドレス指定データを受信したか否かを判別する(ステップS81)。
【0090】
このとき、通信アドレス検出部297は、通信アドレス指定データが受信されたと判別すると(ステップS81;No)、設備機器110に電源が投入されたと判定されてから、監視サーバ300が通信アドレスを指定するのに要する時間(以下、通信アドレス指定時間という)経過したか否かを、図4に示したタイマ回路のタイマ値に基づいて判別する(ステップS82)。
【0091】
このとき、通信アドレス検出部297は、通信アドレス指定時間経過していないと判別すると(ステップS82;No)、ステップS81から上記処理を繰り返す。
【0092】
ステップS81において、通信アドレス検出部297は、通信アドレス指定データが受信されたと判別すると(ステップS81;Yes)、通信アドレス指定データから設備機器110に指定された通信アドレスを表すデータを検出した後に(ステップS83)、通信アドレス検出処理の実行を終了する。
【0093】
ステップS82において、通信アドレス検出部297は、通信アドレス指定時間経過したと判別すると(ステップS82;Yes)、サービススタッフに操作されたコントローラ200若しくは監視サーバから通信コマンドを伝送部1126が受信するまで待ち、受信された通信コマンドから設備機器110に指定された通信アドレスを表すデータを検出した後に(ステップS84)、通信アドレス検出処理の実行を終了する。
【0094】
図9に示したステップS52bの実行が終了すると、図5に示したステップS03からステップS10と同様の処理が実行される(ステップS53からステップS60)。
【0095】
ステップS60において、異常判定部294が、設備機器110に異常が生じたと判別すると(ステップS60;Yes)、信号出力部295は、ステップS52で取得された電力測定装置112の通信アドレスと、図11に示したステップS83若しくはステップS84で検出された設備機器110の通信アドレスと、設備機器110に異常が発生した旨を通知する異常通知と、を表す通信データを表す信号をコントローラ200へ送信するように伝送部1126を制御する(ステップS61a)。
【0096】
尚、コントローラ200若しくはコントローラ200から通信データを受信する監視サーバ300は、それぞれが有する表示部へ、電力測定装置112の通信アドレスと、設備機器110の通信アドレスと、設備機器110に異常が発生した旨と、を表示する。
【0097】
ステップS61aの後に、信号出力部295は、ステップS84で検出された設備機器110の通信アドレスに基づいて、運転を停止させる制御信号若しくは異常通知に応じた運転をさせる制御信号を設備機器110へ送信するように伝送部1126を制御する(ステップS61b)。その後、ステップS53から上記処理が繰り返えされる。
【0098】
ステップS57において、取得部291が、電力値送信リクエストを伝送部1126が受信したと判別すると(ステップS57;Yes)、信号出力部295は、ステップS52で取得された電力測定装置112の通信アドレスと、図11に示したステップS83若しくはステップS84で検出された設備機器110の通信アドレスと、ステップS59で算出された測定電力値AWと、を表す通信データを表す信号をコントローラ200へ送信するように伝送部1126を制御する(ステップS62)。その後、ステップS53から上記処理が繰り返えされる。
【0099】
これらの構成によれば、設備機器110を識別する通信アドレスを監視用伝送線20に伝送されるデータから検出するため、設備機器110に電力測定装置112を設置するサービススタッフが設備機器110の通信アドレスを知らなくとも、設備機器110に電力測定装置112を設置するだけで、設備機器110を識別する通信アドレスと、設備機器110の消費電力と、を監視用伝送線20に伝送できる。
【0100】
<実施形態3>
実施形態3に係る電力測定装置112の本体部112bは、図12に示すように、ライン11に接続される第1本体部12b1、伝送線21に接続される第2本体部12b2、及び第1本体部12b1と第2本体部12b2とを通信可能に接続する伝送線12b3で構成される。実施形態3に係る電力測定装置112は、実施形態1に係る電力測定装置112と同様の構成を有するため、以下、主に相違点について説明する。
【0101】
第1本体部12b1は、図13に示すように、電源回路1121、測定回路1122、A/D変換器1124、アドレス設定スイッチ1128、及び算出部1129の他にデータ通信部1127aで構成される。
【0102】
電源回路1121は、A/D変換器1124及び算出部1129の他にデータ通信部1127aへ電源を供給する。算出部1129は、図14に示す伝送部1126との間で、データ通信部1127aを介してデータの入出力を行う。データ通信部1127aは、図14に示す第2本体部12b2に搭載されたデータ通信部1127bとの間で有線通信を行う。
【0103】
第2本体部12b2は、図14に示すように、給電回路1125及び伝送部1126の他にデータ通信部1127bで構成される。
【0104】
給電回路1125は、伝送部1126の他にデータ通信部1127bへ電源を供給する。伝送部1126は、伝送線112tから受信するデータを、データ通信部1127bを介して、図13に示した算出部1129へ出力する。逆に、伝送部1126は、算出部1129から出力されたデータを、データ通信部1127bを介して入力し、入力したデータを表す信号を伝送線112tへ伝送する。
【0105】
これらの構成によれば、電力測定装置112は、電源ライン10に接続され、当該ライン10により設備機器110へ印加される電圧と電流とに基づいて当該設備機器110の消費電力を算出する第1本体部12b1と、監視用伝送線20に接続され、消費電力を表すデータを当該監視用伝送線20に伝送する第2本体部12b2と、で構成される。このため、第1本体部12b1と第2本体部12b2とが通信できさえすれば、電源ライン10と監視用伝送線20とが離れても、設備機器110の消費電力を測定し、測定された電力を表すデータを監視用伝送線20に伝送できる。すなわち、設備機器110において電力測定装置112を設置する位置の自由度が向上する。
【0106】
本実施形態において、第1本体部12b1のデータ通信部1127aと第2本体部12b2のデータ通信部1127bとは、伝送線12b3を介してデータを通信するとして説明したが、これに限定される訳でない。例えば、第1本体部12b1と、第2本体部12b2とが、金属製の制御盤111から十分に離れている場合には、第1本体部12b1のデータ通信部1127aと第2本体部12b2のデータ通信部1127bとは、無線でデータを通信しても良い。
【0107】
この構成によれば、第1本体部12b1は電源ライン10に接続され、第2本体部12b2は監視用伝送線20に接続されていれば、設備機器110の金属製の分電盤や制御盤111に設置される必要がないので、第1本体部12b1と第2本体部12b2とは、無線によりデータを通信できる。このため、第1本体部12b1と第2本体部12b2とが有線通信する場合と比べて、設備機器110における電力測定装置120の設置位置の自由度が向上する。
【0108】
尚、本発明の実施形態1、実施形態1の変形例、実施形態2、若しくは実施形態3に係る機能を実現するための構成を予め備えた電力測定装置112として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の電力測定装置を実施形態1、実施形態1の変形例、実施形態2、若しくは実施形態3に係る電力測定装置112として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態1、実施形態1の変形例、実施形態2、若しくは実施形態3で例示した電力測定装置112による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の電力測定装置を制御するコンピューター(CPUなど)が実行できるように適用することで、実施形態1、実施形態1の変形例、実施形態2、若しくは実施形態3に係る電力測定装置112として機能させることができる。
【0109】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD−ROM、又はDVD−ROMなどの記録媒体に格納して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。尚、本発明の電力測定方法は、電力測定システム1を用いて実施できる。
【0110】
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0111】
Pr,Ps,Pt ポイント
Pt 伝送線接続部
CTr,CTt 変流器
10 三相交流電源
11,12 電源ライン
11r 電源ライン11のR相
11s 電源ライン11のS相
11t 電源ライン11のT相
20 監視制御用伝送線
21,22 伝送線
30 通信網
110,120 設備機器
111 制御盤
112 電力測定装置
112b 本体部
112ir,112it,112vr,112vs,112vt ライン
112s ライン接続部
112t 伝送線
200 コントローラ
300 監視サーバ
1121 電源回路
1122 測定回路
1122a 電圧測定回路
1122b 電流測定回路
1124 A/D変換器
1125 給電回路
1126 伝送部
1127 絶縁回路
1127a,1127b データ通信部
1128 アドレス設定スイッチ
1129 算出部
1129a CPU
1129b ROM
1129c RAM
1129e 入力回路
1129f 出力回路
1129g タイマ回路
1129z バス
291 取得部
292 サンプリング部
293 消費電力算出部
294 異常判定部
295 信号出力部
296 電源投入判定部
297 通信アドレス検出部
299 情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器に電力を供給するラインに接続されるライン接続手段と、
前記接続されたラインにより前記設備機器へ印加される電圧と電流とを測定する測定手段と、
前記測定された電圧と電流とに基づいて前記設備機器で消費される電力を算出する算出手段と、
前記設備機器の監視に用いられるデータが伝送される監視用伝送線に接続される伝送線接続手段と、
前記算出された電力を表すデータを前記監視用伝送線に伝送する伝送手段と、を備える、
ことを特徴とする電力測定装置。
【請求項2】
前記算出された電力に基づいて前記設備機器に電源が投入されたか否かを判定する電源投入判定手段と、
前記設備機器に電源が投入されたと判定されてから所定時間内において、前記監視用伝送線に伝送されるデータから前記設備機器に指定される通信アドレスを表すデータを検出するアドレス検出手段と、をさらに備え、
前記伝送手段は、前記検出されたデータで指定された前記設備機器の通信アドレスを表すデータと、前記算出された前記設備機器で消費される電力を表すデータと、を対応付けて前記監視用伝送線に伝送する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力測定装置。
【請求項3】
前記ライン接続手段と前記測定手段と前記算出手段とで構成され、前記算出手段で算出された電力を表すデータを送信する第1部分と、
前記伝送線接続手段と前記伝送手段とで構成され、前記電力を表すデータを受信する第2部分と、を有し、
前記伝送手段は、前記受信された電力を表すデータを前記監視用伝送線に伝送する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力測定装置。
【請求項4】
前記第1部分と前記第2部分とは、無線により電力を表すデータを通信する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電力測定装置。
【請求項5】
設備機器に電力を供給するラインと、前記設備機器の監視に用いられるデータが伝送される監視用伝送線と、に接続され、前記ラインにより前記設備機器へ印加される電圧と電流との測定値に基づいて算出された前記設備機器の消費電力を表すデータを前記監視用伝送線に伝送する電力測定装置と、
前記伝送されたデータで表される消費電力に基づいて前記設備機器の運転を制御するコントローラと、を備える、
ことを特徴とする電力測定システム。
【請求項6】
前記電力測定装置は、前記設備機器が正常に運転する場合に消費される電力の上限を表す閾値と、前記算出された前記設備機器の消費電力と、に基づいて、前記設備機器に異常が生じたと判別すると、前記設備機器に異常が生じたことを表す異常通知を前記設備機器へ送信し、
前記設備機器は、前記異常通知を受信すると運転を停止する若しくは前記異常通知に応じた運転を行う、
ことを特徴とする請求項5に記載の電力測定システム。
【請求項7】
設備機器に電力を供給するラインにより前記設備機器へ印加される電圧と電流とを測定する測定ステップと、
前記測定された電圧と電流とに基づいて前記設備機器で消費される電力を算出する算出ステップと、
前記設備機器の監視に用いられるデータが伝送される監視用伝送線に、前記算出された電力を表すデータを伝送する伝送ステップと、を有する、
ことを特徴とする電力測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−96825(P2013−96825A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239565(P2011−239565)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】