説明

電動機

【課題】ステーターを共用する2個のローターを有する電動機において、それぞれのローターを独立して制御すること。
【解決手段】電動機1は、回転軸Zrを中心として回転する第1ローター10及び第2ローター20と、第1ローター10と第2ローター20との間に配置されるとともに回転軸Zrの周囲を取り囲み、かつ3×n個のスロットを有するステーター30と、それぞれのスロットに配置される複数の巻線33と、を含む。数式2×m+6×n×(k−1)のm及びnを固定し、kを変更することにより得られる偶数の群であって、3×n/2の倍数かつ最小の偶数及びその倍数を含む群を除外した群の中から選択された2つの偶数が、それぞれ第1ローター10及び第2ローター20の磁極の数となる。ここで、m、n、kは1以上の整数、mの最大値は3×n−1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のローターを有する電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
ステーターを共用する2個のローターを有する電動機がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−320187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明は、それぞれのローターを独立して制御することはできない。本発明は、ステーターを共用する2個のローターを有する電動機において、それぞれのローターを独立して制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、回転軸を中心として回転する第1ローター及び第2ローターと、前記第1ローターと前記第2ローターとの間に配置されるとともに前記回転軸の周囲を取り囲む環状の構造体であり、3×n個のスロットを有するステーターと、それぞれの前記スロットに配置される複数の巻線と、を含み、数式2×m+6×n×(k−1)のm及びnを固定し、kを変更することにより得られる偶数の群であって、3×n/2の倍数かつ最小の偶数及びその倍数を含む群を除外した群の中から選択された2つの偶数が、それぞれ前記第1ローター及び前記第2ローターの磁極の数となることを特徴とする電動機である。ここで、m、n、kは1以上の整数、mの最大値は3×n−1である。
【0006】
本発明において、前記ステーターの巻線には、前記第1ローターを駆動するための電流と、前記第2ローターを駆動するための電流とを重畳して合成した電流が与えられることが好ましい。
【0007】
本発明において、前記第1ローターを駆動するための電流と、前記第2ローターを駆動するための電流とは、互いに異なる周波数及び振幅をもった電流であることが好ましい。
【0008】
本発明において、前記巻線は、前記ステーターの周方向に向かって巻き回されているトロイダルコイルであることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記第1ローターは、径方向外側に前記第1ローターの磁極を作るための磁石と係合する部分を有し、前記第2ローターは、径方向外側に前記第2ローターの磁極を作るための磁石と係合する部分を有することが好ましい。
【0010】
本発明において、前記第1ローターと前記第2ローターとは、前記ステーターを挟んで前記回転軸の手前から奥に向かって互いに平行に配列されていることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記ステーターは、径方向外側と径方向内側との間で前記スロットの部分の外周円弧の長さと内周円弧の長さとが同一であることが好ましい。
【0012】
本発明は、回転軸を中心として回転するとともに、磁極を作る磁石及び前記磁石と係合する部分を径方向外側に有する第1ローター及び第2ローターと、前記第1ローターと前記第2ローターとの間に配置されるとともに前記回転軸の周囲を取り囲む環状の構造体であり、3×n個のスロットを有するステーターと、それぞれの前記スロットに配置されるとともに、前記ステーターの周方向に向かって巻き回されているトロイダルコイルとなる複数の巻線と、を含み、前記第1ローターと前記第2ローターとは、前記ステーターを挟んで前記回転軸の手前から奥に向かって互いに平行に配列され、さらに、数式2×m+6×n×(k−1)のm及びnを固定し、kを変更することにより得られる偶数の群であって、3×n/2の倍数かつ最小の偶数及び前記最小の偶数の倍数を含む群を除外した群の中から選択された2つの偶数が、それぞれ前記第1ローター及び前記第2ローターの磁極の数となることを特徴とする電動機である。ここで、m、n、kは1以上の整数、mの最大値は3×n−1である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ステーターを共用する2個のローターを有する電動機において、それぞれのローターを独立して制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施形態に係る電動機を、その回転軸を通りかつ回転軸を含む平面で切った断面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る電動機の内部構造の斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る電動機が有する第1ローターの平面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る電動機が有する第2ローターの平面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る電動機が有するステーターの平面図である。
【図6】図6は、本実施形態の変形例に係る電動機を、その回転軸を通りかつ回転軸を含む平面で切った断面図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る電動機を、その回転軸と直交する平面で切った一部断面図である。
【図8】図8は、三相電動機の電気角と相との関係を示す模式図である。
【図9】図9は、比較例の相順を示す模式図である。
【図10】図10は、本実施形態の相順を示す模式図である。
【図11】図11は、ステーターの変形例を示す斜視図である。
【図12】図12は、ステーターの変形例を示す一部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
<電動機の構造>
図1は、本実施形態に係る電動機を、その回転軸を通りかつ回転軸を含む平面で切った断面図である。図2は、本実施形態に係る電動機の内部構造の斜視図である。図3は、本実施形態に係る電動機が有する第1ローターの平面図である。図4は、本実施形態に係る電動機が有する第2ローターの平面図である。図5は、本実施形態に係る電動機が有するステーターの平面図である。図1、図6は、回転軸Zrを基準としたそれぞれの図の上側と下側とで電動機1、1aの異なる断面を示している。
【0017】
電動機1は、第1ローター10と、第2ローター20と、ステーター30とを含んでいる。電動機1は、三相電動機であり、共通のステーター30によって、第1ローター10と第2ローター20とが駆動されるものである。第1ローター10と、第2ローター20と、ステーター30とは、筐体2内に格納される。筐体2は、筒状の構造体であり、両端部の貫通孔5、6からそれぞれ動力伝達シャフト12、22が突出している。
【0018】
第1ローター10及び第2ローター20の回転中心と回転軸Zrとは同一である。また、第1ローター10及び第2ローター20の径方向と回転軸Zrとは直交する。第1ローター10及び第2ローター20は、回転軸Zrを中心として回転する。このように、第1ローター10及び第2ローター20は、共通の回転軸Zrの周りを回転する。ステーター30は、第1ローター10と第2ローター20との間に配置される。したがって、第1ローター10と第2ローター20とは、回転軸Zrが伸びる方向に向かって異なる位置であって、間にステーター30を挟んで配置されている。このように、第1ローター10と第2ローター20とは、ステーター30を挟んで回転軸Zrの手前(一方側)から奥(他方側)に向かって互いに平行に配列されている。
【0019】
第1ローター10は、回転軸Zrと直交する2個の端面のうち一方が、回転軸Zrと直交するステーター30の一方の端面と対向する。第2ローター20は、回転軸Zrと直交する2個の端面のうち一方が、回転軸Zrと直交するステーター30の他方の端面と対向する。電動機1の形式は、回転軸Zrと平行な方向に第1ローター10及び第2ローター20とステーター30とのギャップが存在するアキシャルギャップ型である。
【0020】
第1ローター10及び第2ローター20は、いずれも円板形状の構造体としてのローター本体(ヨーク)11、21と、ローター本体11、21に取り付けられる動力伝達シャフト12、22と、ローター本体11、21に取り付けられる複数の磁石(永久磁石)13、23と、を有している。動力伝達シャフト12、22は、ローター本体11、21の両方の端面から回転軸Zrの方向に向かってそれぞれ延在している。動力伝達シャフト12、22の中心軸は、ローター本体11、21の中心軸と共通する。これらは、電動機1の回転軸Zrとも共通する。
【0021】
第1ローター10は、径方向外側に第1ローター10の磁極を作るための磁石13と係合する部分(第1磁石係合部)10Tを有し、第2ローター20は、径方向外側に第2ローター20の磁極を作るための磁石23と係合する部分(第2磁石係合部)20Tを有する。第1磁石係合部10Tは、ローター本体11の径方向外側における外縁部から回転軸Zrと平行な方向に向かって突出している。同様に、第2磁石係合部20Tは、ローター本体21の径方向外側における外縁部から回転軸Zrと平行な方向に向かって突出している。
【0022】
第1ローター10の磁石13は、第1磁石係合部10Tと係り合う。また、第2ローター20の磁石23は、第1磁石係合部20Tと係り合う。このようにすることで、第1磁石係合部10T及び第2磁石係合部20Tは、第1ローター10及び第2ローター20が回転することによって磁石13、23に作用する遠心力を受ける。その結果、第1ローター10及び第2ローター20の回転中に磁石13、23が外れるおそれを低減できるので、安全性が向上する。
【0023】
ステーター30は、環状の構造体である。ステーター30は、筐体2の内部に配置されている。ステーター30は、ステーターコア31と、ステーターコア31に設けられているティース32と、ステーターコア31に巻き回されている巻線(コイル)33とを有している。巻線33は、導体であり、本実施形態では銅線である。巻線33は銅線に限られず、例えば、アルミニウム線であってもよい。ステーター30は、ステーターコア31の外周部31Sが筐体2の内周部2Iに固定されている。ステーターコア31は、中心部に貫通孔31Hを有している。ステーター30の構造については、後述する。
【0024】
第1ローター10の動力伝達シャフト12は、軸受3A、3Bに支持されている。より具体的には、動力伝達シャフト12は、ローター本体11の一方の端面側(磁石13が配置されている側)が軸受3Aに、他方の端面側(磁石13とは反対側)が軸受3Bに支持されている。第2ローター20の動力伝達シャフト22は、軸受3C、3Dに支持されている。より具体的には、動力伝達シャフト22は、ローター本体21の一方の端面側(磁石23が配置されている側)が軸受3Cに、他方の端面側(磁石23とは反対側)が軸受3Dに支持されている。
【0025】
軸受3A、3Cは、ステーターコア31の貫通孔31Hに取り付けられている。このため、軸受3A、3Cは、ステーターコア31を介して筐体2に支持されている。軸受3Bは筐体2の貫通孔5に取り付けられ、軸受3Dは筐体2の貫通孔6に取り付けられる。このような構造により、第1ローター10は、軸受3A、3B及び動力伝達シャフト12を介して筐体2に支持され、第2ローター20は、軸受3C、3D及び動力伝達シャフト22を介して筐体2に支持される。第1ローター10と第2ローター20とは、筐体2に対してそれぞれ独立に回転できるようになっている。
【0026】
図2、図3に示すように、第1ローター10が有する複数の磁石13は、ローター本体11の一方の端面であって動力伝達シャフト12の周囲に、ローター本体11の周方向に向かってN極、S極が交互に配列される。図2、図4に示すように、第2ローター20が有する複数の磁石23も、ローター本体21の一方の端面であって動力伝達シャフト22の周囲に、ローター本体21の周方向に向かってN極、S極が交互に配列される。本実施形態では、磁石13N、23NがN極を表し、磁石13S、23SがS極を表す。磁石13、23は、磁極を作る。
【0027】
磁石13、23は、ローター本体11、21の表面に取り付けられる構造(SPM:Surface Permanent Magnet)であってもよいし、ローター本体11、21に埋め込まれる構造(IPM:Interior Permanent Magnet)であってもよい。以下の例においても同様である。また、磁石13、23は、リング磁石又はセグメント磁石いずれであってもよい。
【0028】
第1ローター10が有する磁石13の数及び第2ローター20が有する磁石23の数は、いずれも偶数である。第1ローター10が有する磁石13の数及び第2ローター20が有する磁石23の数が、それぞれ第1ローター10の磁極の数及び第2ローター20の磁極の数になる。磁極の数を極数という。本実施形態において、第1ローター10が有する磁石13の数と、第2ローター20が有する磁石23の数とは異なっている。図1、図2に示すように、第1ローター10及び第2ローター20は、磁石13、23がステーター30のティース32と対向している。
【0029】
図2、図5に示すように、ステーター30が有するステーターコア31は、環状のヨーク34と、ヨーク34の両方の端面にそれぞれが取り付けられる複数のティース32とを有している。ステーターコア31は、例えば、電磁鋼板を積層してもよいし、磁性体の粉末を加圧して成形してもよい。後者のようにすると、複雑な形状のステーターコア31であっても比較的容易に製造できるという利点がある。
【0030】
ヨーク34の一方の端面側と他方の端面側とにおいて、ティース32は、ヨーク34の周方向に対して同じ位置に配置されている。ティース32は、第1ローター10の磁石13及び第2ローター20の磁石23と対向する平板部32Pと、平板部32Pとヨーク34とを連結する軸部32Sとを有している。ヨーク34の両方の端面に複数のティース32が配置されて、それぞれの端面側のティース32が第1ローター10及び第2ローター20と対向している。
【0031】
ヨーク34の周方向に向かって隣接するティース32の間がスロット35である。本実施形態では、ヨーク34の両方の端面に複数のティース32が配置されているため、スロット35も、一方の端面側と他方の端面側とに形成される。本実施形態において、スロット35の数は、ヨーク34の両方の端面側に形成される2個のスロット35を1個として数える。スロット35の数は、一方の端面側又は他方の端面側に設けられているティース32の数に等しい。本実施形態において、ステーター30が有するスロット35の数を3×n個とする。
【0032】
それぞれのスロット35には、巻線33が配置されている。巻線33uはU相、巻線33vはV相、巻線33wはW相を示す。巻線33は、スロット35の部分のヨーク34に、ヨーク34の周方向に向かって巻き回されている。このように、本実施形態では、巻線33がヨーク34にトロイダル状に巻き回されて、トロイダルコイルとなっている。このようにすることで、第1ローター10側と第2ローター20側とにそれぞれ独立して磁気回路を形成することができる。その結果、第1ローター10と第2ローター20とを独立して駆動できるとともに、出力低下を抑制することができる。
【0033】
ステーターコア31は、例えば、磁性体の粉末を型に入れた後、圧縮成形することによって製造することができるが、ステーターコア31の製造方法はこれに限定されるものではない。ステーター30は、巻線33をヨーク34に巻回したステーターコア31を、樹脂でモールドしてもよい。このようにすることで、ステーターコア31と巻線33とを一体にすることができるので、ステーター30の取り扱いが容易になる。
【0034】
<電動機の変形例>
図6は、本実施形態の変形例に係る電動機を、その回転軸を通りかつ回転軸を含む平面で切った断面図である。図7は、本実施形態に係る電動機を、その回転軸と直交する平面で切った一部断面図である。電動機1aは、共通のステーター30aによって、第1ローター10aと第2ローター20aとが駆動される点では上述した電動機1(図1等参照)と共通する。上述した電動機1の形式がアキシャルギャップ型であるのに対し、電動機1aの形式は、回転軸Zrと直交する方向、すなわち、径方向に第1ローター10及び第2ローター20とステーター30とのギャップが存在するラジアルギャップ型である点が異なる。すなわち、電動機1aは、第1ローター10の径方向外側にステーター30aが配置され、ステーター30aの径方向外側に第2ローター20aが配置される。
【0035】
電動機1aは、第1ローター10aと、第2ローター20aと、ステーター30aとを含んでいる。電動機1は、三相電動機であり、共通のステーター30によって、第1ローター10と第2ローター20とが駆動されるものである。電動機1aは、ステーター30aが有するステーターコア31aの、回転軸Zr方向における端部31Tが取付対象4に固定される。第1ローター10a及び第2ローター20aは、共通の回転軸Zrを中心として回転する。第2ローター20aは、第1ローター10aの径方向外側かつステーター30aの径方向外側に配置されている。このような構造により、ステーター30aは、第1ローター10aと第2ローター20aとの間に配置される。したがって、第1ローター10aとステーター30aと第2ローター20aとは、回転軸Zrを中心として直径が異なる3個の同心円上に配置される。
【0036】
第1ローター10aは、円柱形状の構造体としてのローター本体(ヨーク)11aと、ローター本体11aに取り付けられる動力伝達シャフト12aと、ローター本体11aに取り付けられる複数の磁石(永久磁石)13aと、を有している。第2ローター20aは、円筒形状の構造体としてのローター本体(ヨーク)21aと、ローター本体21aに取り付けられる動力伝達シャフト22aと、ローター本体21aに取り付けられる複数の磁石(永久磁石)23aと、を有している。動力伝達シャフト12a、22aは、ローター本体11a、21aの一方の端面から回転軸Zrの方向に向かってそれぞれ延出している。第1ローター10aの動力伝達シャフト12aと第2ローター20aの動力伝達シャフト22aとは、延出する方向がそれぞれ反対方向である。動力伝達シャフト12a、22aの中心軸は、ローター本体11a、21aの中心軸と共通する。これらは、電動機1aの回転軸Zrとも共通する。
【0037】
ステーター30aは、環状の構造体である。ステーター30aは、ステーターコア31aと、ステーターコア31aに設けられているティース32ao、32aiと、ステーターコア31aに巻き回されている巻線(コイル)33aとを有している。巻線33aは、導体であり、上述した電動機1と同様である。図7中の点線が、巻線33aの巻き方を示している。ステーターコア31aは、中心部に貫通孔31HA、31HBを有している。
【0038】
図7に示すように、ステーター30aが有するステーターコア31aは、環状のヨーク34aと、ヨーク34aの外周面と内周面とにそれぞれが設けられる複数のティース32ao、32aiとを有している。ステーターコア31aの材料は、上述したステーターコア31と同様である。ヨーク34aの外周面と内周面とにおいて、ティース32ao、32aiは、ヨーク34aの周方向に対して同じ位置に配置されている。ヨーク34aの外周面に配置されたティース(第2ティース)32aoは、第2ローター20a、より具体的には第2ローター20aの内周面に設けられた磁石23aと対向している。ヨーク34aの内周面に配置されたティース(第1ティース)32aiは、第1ローター10a、より具体的には第1ローター10aの外周面に設けられた磁石13aと対向している。
【0039】
ヨーク34aの周方向に向かって隣接するティース32ao、32ioの間がスロット35aである。本実施形態では、ヨーク34aの内周面と外周面とに複数のティース32ai、32aoが配置されているため、スロット35aも、内周面側と外周面側とに形成される。本変形例において、スロット35aの数は、ヨーク34aの内周面及び外周面に形成される2個のスロット35aを1個として数える。スロット35aの数は、ヨーク34aの内周面及び外周面にそれぞれが設けられているティース32ai、32aoの数に等しい。本変形例においても、ステーター30aが有するスロット35aの数を3×n個とする。それぞれのスロット35aには、巻線33aが配置されている。巻線33auはU相、巻線33avはV相、巻線33awはW相を示す。巻線33aは、スロット35aの部分のヨーク34aに、ヨーク34aの周方向に向かって巻き回されている。このように、本変形例でも、巻線33aがヨーク34aにトロイダル状に巻き回されて、トロイダルコイルとなっている。
【0040】
第1ローター10aの動力伝達シャフト12aは、軸受3Aa、3Baに支持されている。第2ローター20aは、回転軸Zr方向における両端部の内周面に、軸受3Ca、3Daが取り付けられている。第1ローター10aを支持する軸受3Aa、3Baは、ステーター30aが有するステーターコア31aの2つの貫通孔31HA、31HBに取り付けられている。また、第2ローター20aを支持する軸受3Ca、3Daは、回転軸Zr方向におけるステーター30aの両端部の外周部に取り付けられている。このような構造により、第1ローター10aと第2ローター20aとは、軸受3Aa、3Ba、3Ca、3Daを介して、ステーター30aによって回転可能に支持されている。また、第1ローター10aと第2ローター20aとは、ステーター30aに対してそれぞれ独立に回転できるようになっている。
【0041】
第1ローター10aの動力伝達シャフト12aは、ステーターコア31aの2つの貫通孔31HBから電動機1aの外部に取り出される。第2ローター20aの動力伝達シャフト22aは、第1ローター10aの動力伝達シャフト12aとは反対側における第2ローター20aの端面に取り付けられる。ステーター30aは、取付対象4に取り付けられているので静止している。電動機1aは、ステーター30aが生成する回転磁界によって、第1ローター10aがステーター30aの内側を、第2ローター20aがステーター30aの外側をそれぞれ独立に回転する。
【0042】
図6、図7に示すように、第1ローター10aが有する複数の磁石13aは、ローター本体11aの外周面に設けられるか、ローター本体11aの外周面側に埋め込まれる。複数の磁石13aは、ローター本体11aの周方向に向かってN極、S極が交互に配列される。第2ローター20が有する複数の磁石23aは、ローター本体21aの内周面に設けられるか、ローター本体21aの内周面側に埋め込まれる。複数の磁石23aは、ローター本体21aの周方向に向かってN極、S極が交互に配列される。本実施形態では、磁石13Na、23NaがN極を表し、磁石13Sa、23SaがS極を表す。磁石13a、23aは、磁極を作る。磁石13a、23aの数については、電動機1と同様である。
【0043】
<極数の設定>
図8は、三相電動機の電気角と相との関係を示す模式図である。図9は、比較例の相順を示す模式図である。図10は、本実施形態の相順を示す模式図である。次においては、図1等に示すアキシャル型の電動機1を例とするが、図6等に示すラジアル型の電動機1aであっても同様である。三相電動機である電動機1において、電気角θe(°)は、磁極の数(極数)をP、スロットの数(スロット数)をSとすると、式(1)で表される。
θe=180×P/S・・・(1)
【0044】
電動機1が有する巻線33は、U相、V相、W相がある。U相の巻線33u、V相の巻線33v及びW相の巻線33wは、それぞれ位相が異なる電圧が印加される。それに応じて位相が異なる電流がそれぞれの巻線33u、33v、33wに流れる。図8に示すように、電気角θeが0°以上60°未満である場合は+U相、電気角θeが60°以上120°未満である場合は−W相、電気角θeが120°以上180°未満である場合は+V相、電気角θeが180°以上240°未満である場合は−U相、電気角θeが240°以上300°未満である場合は+W相、電気角θeが300°以上360°未満である場合は−V相となる。それぞれの相を示す符号に付く+、−は、U相、V相、W相を流れる電流の向きを示す。上記相順に3相交流を与えることによって、電動機1の回転に必要な回転磁界が得られる。
【0045】
比較例として、電動機1のステーター30が12個のスロット35A〜35Lを有し(スロット数S=12)、第1ローター10がN極の磁石13NとS極の磁石13Sとをそれぞれ4個ずつ有し(極数P=8)、第2ローター20がN極の磁石23NとS極の磁石23Sとをそれぞれ5個ずつ有する(極数P=10)場合を考える。この場合、第1ローター10は、隣接するスロット35A、35B間等において電気角θeは120°変化し、第2ローター20は、隣接するスロット35A、35B間等において電気角θeは150°変化する。
【0046】
図9に示すように、比較例は、スロット35Aにおいて第1ローター10の電気角θe及び第2ローター20の電気角θeはいずれも0°なので、巻線33の相はいずれも+U相であり同一の相である。スロット35Bにおいて第1ローター10の電気角θeは120度で+V相、第2ローター20の電気角θeは150°なので、巻線33の相はいずれも+V相であり同一の相である。しかし、スロット35Cにおいて第1ローター10の電気角θeは240°なので巻線33の相は+W相であるのに対し、第2ローター20の電気角θeは300°なので巻線33の相は−V相となり、異なる相になる。スロット35D〜スロット35Lについても第1ローター10における巻線33の相と第2ローター20における巻線33の相とは異なる。このため、比較例のような極数P及びスロット数Sの関係では、第1ローター10と第2ローター20とを独立して駆動することはできない。
【0047】
本実施形態として、電動機1のステーター30が12個のスロット35A〜35Lを有し(スロット数S=12)、第1ローター10がN極の磁石13NとS極の磁石13Sとをそれぞれ4個ずつ有し(極数P=8)、第2ローター20がN極の磁石23NとS極の磁石23Sとをそれぞれ16個ずつ有する(極数P=32)場合を考える。この場合、第1ローター10及び第2ローター20は、隣接するスロット35A、35B間等において電気角θeは120°変化する。
【0048】
図10に示すように、本実施形態は、スロット35Aにおいて第1ローター10の電気角θe及び第2ローター20の電気角θeはいずれも0°なので、巻線33の相はいずれも+U相であり同じ相である。スロット35B〜スロット35Lについても、第1ローター10の電気角θeと第2ローター20の電気角θeとは等しいため、巻線33の相は同相になる。すなわち、本実施形態は、第1ローター10と第2ローター20とを共通のステーター30で駆動するにあたり、第1ローター10と第2ローター20との間で巻線33の相順が同一になる。このため、本実施形態のような極数P及びスロット数Sの関係とすることにより、第1ローター10と第2ローター20とを独立して駆動することができる。より具体的には、隣接するスロット35A、35B間等における電気角θeが、第1ローター10及び第2ローター20の両方で同じ大きさとなるように極数P及びスロット数Sを設定すればよい。
【0049】
このため、本実施形態では、数式2×m+6×n×(k−1)のm及びnを固定し、kを変更することにより得られる偶数の群の中から選択された2つの偶数を、それぞれ第1ローター10及び第2ローター20の磁極の数、すなわち極数とする。ここで、スロット数Sは3×nである。m、n、kは1以上の整数である。また、mの最大値は3×n−1である。さらに、3×n/2の倍数かつ最小の偶数及びその倍数を含む群は除外する。これは、巻線33の相がU相、V相及びW相の少なくとも一つを欠く偶数を含む群を作る数は除くということである。このように極数Pとスロット数S(=3×n)とを設定することで、隣接するスロット35A、35B間等における電気角θeを、第1ローター10及び第2ローター20の両方で同じ大きさとすることができる。その結果、第1ローター10と第2ローター20とを独立して駆動することができる。
【0050】
n=1の場合、スロット数S=3×n=3になる。2×m+6×n×(k−1)から求められる数の群は、下記のようになる。mの最大値は、3×n−1=2となる。3×n/2の倍数かつ最小の偶数は6であるが、n=1の場合、mが3以上の群は存在しないので、6以上の偶数から始まる群は存在しない。
m=1:(2、8、14、20・・・)
m=2:(4、10、16、22・・・)
第1ローター10の極数P1及び第2ローター20の極数P2として選択可能な組み合わせは、m=1の場合、2及び8、8及び14、8及び20等があり、m=2の場合、4及び10、10及び16、10及び22等がある。mが異なる2個の群にまたがって極数P1、P2を選択することはできないので、8及び16、20及び4等はP1、P2として選択することができない。
【0051】
n=2の場合、スロット数S=3×n=6になる。2×m+6×n×(k−1)から求められる数の群は、下記のようになる。mの最大値は、3×n−1=5となる。3×n/2の倍数かつ最小の偶数は6である。m=3のときの群は、(6、18、30、42・・・)となり、最小の数に6を含んでいる。このため、m=3の群は極数P1、P2の選択から除外される。n=2の場合、m=3とすると、巻線33の相がU相、V相及びW相の少なくとも一つを欠く偶数を含む群を作るからである。このため、n=2の場合、m=3は除かれる。
m=1:(2、14、26、38・・・)
m=2:(4、16、28、40・・・)
m=4:(8、20、32、44・・・)
m=5:(10、22、36、46・・・)
第1ローター10の極数P1及び第2ローター20の極数P2として選択可能な組み合わせは、m=1の場合、2及び14、14及び26、26及び38等がある。mが異なる2個の群にまたがって極数P1、P2を選択することはできないので、14及び16、16及び20等はP1、P2として選択することができない。
【0052】
n=3の場合、スロット数S=3×n=9になる。2×m+6×n×(k−1)から求められる数の群は、下記のようになる。mの最大値は、3×n−1=8となる。3×n/2の倍数かつ最小の偶数は18であるが、n=3の場合、mが9以上の群は存在しないので、18以上の偶数から始まる群は存在しない。
m=1:(2、20、38、56、74・・・)
m=2:(4、22、40、58、76・・・)
m=3:(6、24、42、60、78・・・)
m=4:(8、26、44、62、80・・・)
m=5:(10、28、46、64、82・・・)
m=6:(12、30、48、66、84・・・)
m=7:(14、32、50、68、86・・・)
m=8:(16、34、52、70、88・・・)
第1ローター10の極数P1及び第2ローター20の極数P2として選択可能な組み合わせは、m=1の場合、2及び20、38及び56等があり、m=2の場合、22及び40等、m=3の場合、42及び60等がある。mが異なる2個の群にまたがって極数P1、P2を選択することはできないので、20及び22、40及び60等はP1、P2として選択することができない。
【0053】
n=4の場合、スロット数S=3×n=12になる。2×m+6×n×(k−1)から求められる数の群は、下記のようになる。mの最大値は、3×n−1=11となる。3×n/2の倍数かつ最小の偶数は6であり、その倍数は、12、18である。m=3のときの群は、(6、30、54、78、102・・・)となり、最小の数に6を含んでいる。m=6のときの群は、(12、36、60、84、108・・・)となり、最小の数に12を含んでいる。m=9のときの群は、(18、42、66、90、114・・・)となり、最小の数に18を含んでいる。このため、m=3、6、9の群は極数P1、P2の選択から除外される。n=4の場合、m=3、6、9とすると、巻線33の相がU相、V相及びW相の少なくとも一つを欠く偶数を含む群を作るからである。
m=1:(2、26、50、74、98・・・)
m=2:(4、28、52、76、100・・・)
m=4:(8、32、56、80、104・・・)
m=5:(10、34、58、82、106・・・)
m=7:(14、38、62、86、110・・・)
m=8:(16、40、64、88、112・・・)
m=10:(20、44、68、92、116・・・)
m=11:(22、46、70、94、118・・・)
第1ローター10の極数P1及び第2ローター20の極数P2として選択可能な組み合わせは、m=1の場合、2及び26、50及び74等、m=2の場合、28及び52等、m=4の場合、32及び56等、m=5の場合、34、58等、m=7の場合、38、62等、m=8の場合、40、64等、m=10の場合、44、68等、m=11の場合、46、70等がある。mが異なる2個の群にまたがって極数P1、P2を選択することはできないので、26及び28、50及び52等はP1、P2として選択することができない。次に、本実施形態に係る電動機1の制御を説明する。
【0054】
<電動機の制御>
電動機1は、第1ローター10と第2ローター20とが共通のステーター30で駆動される。このため、ステーター30の巻線33u、33v、33wに与える電流(駆動電流)は、第1ローター10を駆動するための電流(又は電圧、以下同様)と、第2ローター20を駆動するための電流とを重畳して(重ね合わせて)合成した電流(合成電流)となる。第1ローター10の回転速度をω1/π×30rpm、第1ローター10を駆動するための電流の最大値をI1(アンペア)、第2ローター20の回転速度をω2/π×30rpm、第2ローター20を駆動するための電流の最大値をI2(アンペア)とし、それぞれのU相、V相、W相の電流をsin波で変化させるとする。第1ローター10と第2ローター20とを同方向に回転させる場合、第1ローター10のU相、V相、W相の駆動電流U1、V1、W1は、式(2)〜式(4)のようになり、第2ローター10のU相、V相、W相の駆動電流U2、V2、W2は、式(5)〜式(7)のようになる。ω1、ω2は、それぞれ第1ローター10、第2ローター20の角周波数、tは時間である。
【0055】
U1=I1×sin(ω1×t)・・・(2)
V1=I1×sin(ω1×t+π/3)・・・(3)
W1=I1×sin(ω1×t+2×π/3)・・・(4)
U2=I2×sin(ω2×t)・・・(5)
V2=I2×sin(ω2×t+π/3)・・・(6)
W2=I2×sin(ω2×t+2×π/3)・・・(7)
【0056】
U相、V相及びW相の駆動電流は、第1ローター10の各相の電流と第2ローター20の各相の電流とを、それぞれ加算した値になる。すなわち、U相の駆動電流U、すなわち、巻線33uの駆動電流は式(8)、V相の駆動電流V、すなわち、巻線33vの駆動電流は式(9)、W相の駆動電流W、すなわち、巻線33wの駆動電流は式(10)のようになる。電動機1の制御装置は、式(8)〜(10)で表される駆動電流U、V、Wを生成し、電動機1が有するステーター30の巻線33u、33v、33wに与えることにより、電動機1の第1ローター10と第2ローター20とを独立して駆動することができる。例えば、角周波数ω1、ω2を異ならせることにより、第1ローター10の回転速度と第2ローター20の回線速度とを異ならせることができる。また、第1ローター10を駆動するための電流の最大値E1又は第2ローター20を駆動するための電流の最大値E2(又は駆動電流の最大値)を異ならせることにより、第1ローター10の出力と第2ローター20の出力とを異ならせることができる。
U=U1+U2・・・(8)
V=V1+V2・・・(9)
W=W1+W2・・・(10)
【0057】
第1ローター10と第2ローター20とを反対方向に回転させる場合、両者を同方向に回転させる場合に対して、逆回転させる方のV相とW相とを入れ替えるとともに、各相に流す電流の位相を180°進ませる。この例では、第1ローター10と第2ローター20とを同方向に回転させる場合に対して、第2ローター20の回転方向を反対にする。第1ローター10のU相、V相、W相の駆動電流U1、V1、W1は、上述した式(2)〜式(4)のようになり、第2ローター10のU相、V相、W相の駆動電流U2、V2、W2は、式(11)〜式(13)のようになる。第2ローター20のU相は、式(5)に180°、すなわちπを加算したものである。第2ローター20のV相は、式(7)、すなわち、同方向の場合のW相にπを加算したものであり、U相は、式(6)、すなわち同方向の場合のV相にπを加算したものである。式(2)〜式(3)のU1、V1、W1及び式(11)〜式(13)のU2、V2、W2を式(8)〜式(10)に与えることにより、逆回転させる場合のU相、V相及びW相の駆動電流U、V、Wを求めることができる。
U2=I2×sin(ω2×t+π)・・・(11)
V2=I2×sin(ω2×t+2×π/3+π)=I1×sin(ωt1+5×π/3)・・・(12)
W2=I2×sin(ω2×t+π/3+π)=I1×sin(ωt1+4×π/3)・・・(13)
【0058】
このように、電動機1(電動機1aも同様)は、隣接するスロット間における電気角θeが、第1ローター10と第2ローター20との両方で同じ大きさとなるように極数P及びスロット数Sを設定する。その上で、第1ローター10を駆動するための電流と第2ローター20を駆動するための電流とを重畳して合成した合成電流をステーター30の巻線33に与える。このようにすることで、電動機1は、第1ローター10と第2ローター20とが独立に制御できるようになる。具体的には、電動機1は、第1ローター10及び第2ローター20の回転方向、回転速度及びトルクをそれぞれ独立に制御することが可能になる。このため、第1ローター10と第2ローター20とは、互いに同方向又は逆方向に回転できる。
【0059】
第1ローター10を駆動するための電流及び第2ローター20を駆動するための電流は、周波数が回転速度に、振幅がトルクに対応する。第1ローター10及び第2ローター20の回転速度及びトルクをそれぞれ独立に制御する場合、第1ローター10を駆動するための電流と、前記第2ローター20を駆動するための電流とは、互いに異なる周波数及び振幅をもった電流になる。
【0060】
電動機1は、第1ローター10と第2ローター20とが独立に制御できるので、起動してから一定の回転速度になるまでの過渡的な時間も個別に設定し、制御することが可能になる。すなわち、電動機1は、起動してから一定の回転速度に到達するまでの時間も、第1ローター10と第2ローター20との間で任意に設定して互いに異ならせることができる。
【0061】
<ステーターの変形例>
図11は、ステーターの変形例を示す斜視図である。図12は、ステーターの変形例を示す一部平面図である。電動機1がアキシャルギャップ型である場合、第1ローター10と第2ローター20とは、回転軸Zrと平行な方向に向かって配列されている。電動機1がアキシャルギャップ型である場合、図12に示すように、ステーター、より具体的にはステーターコア31Dは、径方向外側と径方向内側との間でスロット35が同様の形状となることが好ましい。
【0062】
本変形例では、ステーターコア31Dは、スロット35の部分の径方向外側における円弧部分(外周円弧)の長さ、すなわち、隣接するティース32Dの軸部32DS間における外周円弧の長さLoutと、スロット35の部分の径方向内側における円弧部分(内周円弧)の長さ、すなわち、隣接するティース32Dの軸部32DS間における内周円弧の長さLinとが同程度の大きさ、好ましくは同一になっている。このようにするために、ティース32の軸部32DSの径方向外側における円弧部分の長さtoutは、ティース32の軸部32DSの径方向内側における円弧部分の長さtinよりも大きくなっている。
【0063】
このようにすることで、隣接するティース32の軸部32DS間に形成されるスロット35は、ステーターコア31Dの周方向における寸法を、ステーターコア31Dの径方向に向かって略一定とすることができる。その結果、より多くの巻線33をスロット35に巻き回すことができるとともに、巻線33をステーターコア31Dに巻き回す作業も容易になる。
【符号の説明】
【0064】
1、1a 電動機
2 筐体
2I 内周部
3A、3B、3C、3D、3Aa、3Ba、3Ca、3Da 軸受
4 取付対象
5、6 貫通孔
10、10a、10I 第1ローター
10T 第1磁石係合部
11、11a、11b、11c、11I、21、21a、21b、21c、21I ローター本体
12、12a、22、22a 動力伝達シャフト
13、13a、13I、23、23a、23I 磁石
20、20a、20I 第2ローター
20T 第2磁石係合部
30、30a ステーター
31、31a、31A、31B、31C、31D、31E、31F ステーターコア
31H、31HA、31HB 貫通孔
31T 端部
32、32ao、32ai、32C、32D、32E、32F、32G、32H ティース
32S、32DS 軸部
32P、32EP、32Pg 平板部
33、33u、33v、33w、33a、33au、33av、33aw 巻線
34、34a、34C ヨーク
35、35a、35A〜35L スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心として回転する第1ローター及び第2ローターと、
前記第1ローターと前記第2ローターとの間に配置されるとともに前記回転軸の周囲を取り囲む環状の構造体であり、3×n個のスロットを有するステーターと、
それぞれの前記スロットに配置される複数の巻線と、を含み、
数式2×m+6×n×(k−1)のm及びnを固定し、kを変更することにより得られる偶数の群であって、3×n/2の倍数かつ最小の偶数及び前記最小の偶数の倍数を含む群を除外した群の中から選択された2つの偶数が、それぞれ前記第1ローター及び前記第2ローターの磁極の数となることを特徴とする電動機。
ここで、m、n、kは1以上の整数、mの最大値は3×n−1。
【請求項2】
前記ステーターの巻線には、前記第1ローターを駆動するための電流と、前記第2ローターを駆動するための電流とを重畳して合成した電流が与えられる請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記第1ローターを駆動するための電流と、前記第2ローターを駆動するための電流とは、互いに異なる周波数及び振幅をもった電流であることを特徴とする請求項2に記載の電動機。
【請求項4】
前記巻線は、前記ステーターの周方向に向かって巻き回されているトロイダルコイルである請求項1から3のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項5】
前記第1ローターは、径方向外側に前記第1ローターの磁極を作るための磁石と係合する部分を有し、前記第2ローターは、径方向外側に前記第2ローターの磁極を作るための磁石と係合する部分を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項6】
前記第1ローターと前記第2ローターとは、前記ステーターを挟んで前記回転軸の手前から奥に向かって互いに平行に配列されている請求項1から5のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項7】
前記ステーターは、径方向外側と径方向内側との間で前記スロットの部分の外周円弧の長さと内周円弧の長さとが同一である請求項6に記載の電動機。
【請求項8】
回転軸を中心として回転するとともに、磁極を作る磁石及び前記磁石と係合する部分を径方向外側に有する第1ローター及び第2ローターと、
前記第1ローターと前記第2ローターとの間に配置されるとともに前記回転軸の周囲を取り囲む環状の構造体であり、3×n個のスロットを有するステーターと、
それぞれの前記スロットに配置されるとともに、前記ステーターの周方向に向かって巻き回されているトロイダルコイルとなる複数の巻線と、を含み、
前記第1ローターと前記第2ローターとは、前記ステーターを挟んで前記回転軸の手前から奥に向かって互いに平行に配列され、
さらに、数式2×m+6×n×(k−1)のm及びnを固定し、kを変更することにより得られる偶数の群であって、3×n/2の倍数かつ最小の偶数及び前記最小の偶数の倍数を含む群を除外した群の中から選択された2つの偶数が、それぞれ前記第1ローター及び前記第2ローターの磁極の数となることを特徴とする電動機。
ここで、m、n、kは1以上の整数、mの最大値は3×n−1。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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