説明

電動駆動車両

【課題】運転者が目標走行時間を設定した場合に、安心して走行させることができるようにする。
【解決手段】蓄電装置と、発電装置と、エンジンと、駆動モータと、走行抵抗及び補機によって消費されるパワーに基づいて、電動駆動車両を走行させるのに必要な消費パワーを推定する消費パワー推定処理手段と、消費パワー及び平均車速に基づいて距離当たり消費エネルギーを算出する距離当たり消費エネルギー算出処理手段と、前記発電装置の距離当たり発電エネルギーを算出する発電エネルギー算出処理手段と、距離当たり消費エネルギー、距離当たり発電エネルギー、バッテリ残量及び燃料の残量に基づいて、走行可能時間を算出する走行可能時間算出処理手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動駆動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車等の電動駆動車両、例えば、電気自動車は、車両駆動装置を備え、該車両駆動装置において、駆動モータをバッテリから供給される電力によって駆動し、駆動モータのトルク、すなわち、駆動モータトルクを発生させ、該駆動モータトルクを駆動輪に伝達することによって走行させられるようになっている。
【0003】
ところが、前記バッテリにおいては、単位重量当たりの容量を表すエネルギー密度を十分に高くすることができないので、バッテリから供給される電力を利用して電気自動車を走行させた場合、走行可能な距離を表す走行可能距離、走行可能な時間を表す走行可能時間等を長くすることができない。走行可能距離、走行可能時間等を長くするためにはバッテリの容量を大きくする必要があるが、その場合、バッテリが大型化するだけでなく、バッテリの重量が大きくなる。その結果、電気自動車が大型化し、電気自動車の重量が大きくなってしまう。
【0004】
そこで、走行可能距離、走行可能時間等を長くすることができるように、バッテリのほかに発電機を配設し、エンジンによって発電機を駆動して電流を発生させ、バッテリに供給するようにした電動駆動車両として、ハイブリッド型車両が提供されている。
【0005】
そして、該ハイブリッド型車両においては、バッテリの充電度合い(蓄電量)を表すバッテリ残量、エンジンを駆動するための燃料の残量、すなわち、燃料残量、及びハイブリッド型車両の過去の走行状況に基づいて走行可能距離が算出され、表示部に形成された画面に表示されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−231103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のハイブリッド型車両においては、発電機の出力をハイブリッド型車両に加わる走行負荷に対応させて調整する必要があるので、制御部における制御が複雑になるとともに、発電効率が低くなってしまう。
【0008】
そこで、発電機を発電効率が高い一定の出力で駆動するようにしたハイブリッド型車両が考えられるが、その場合、発電機を一定の出力で駆動するのに必要な時間、すなわち、必要発電時間がバッテリ残量によって異なるので、バッテリ残量及び発電による発電エネルギーに基づいて、走行可能距離を正確に算出することができない。
【0009】
したがって、運転者がハイブリッド型車両を走行させようとする目標の時間、すなわち、目標走行時間を設定した場合に、安心してハイブリッド型車両を走行させることができない。
【0010】
本発明は、前記従来のハイブリッド型車両の問題点を解決して、運転者が、目標走行時間を設定した場合に、目標走行時間の間安心して走行させることができる電動駆動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明の電動駆動車両においては、蓄電装置と、発電装置と、該発電装置を駆動するエンジンと、前記蓄電装置及び発電装置と接続され、蓄電装置及び発電装置から供給される電力によって駆動される駆動モータと、走行抵抗によって消費されるパワー及び補機によって消費されるパワーに基づいて、電動駆動車両を目標走行時間の間走行させるのに必要な消費パワーを推定する消費パワー推定処理手段と、該消費パワー推定処理手段によって推定された消費パワー及び平均車速に基づいて、距離当たり消費エネルギーを算出する距離当たり消費エネルギー算出処理手段と、前記発電装置の出力及び平均車速に基づいて距離当たり発電エネルギーを算出する発電エネルギー算出処理手段と、前記距離当たり消費エネルギー、距離当たり発電エネルギー、蓄電装置のバッテリ残量及びエンジンに供給される燃料の残量に基づいて、電動駆動車両を走行させることができる走行可能時間を算出する走行可能時間算出処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電動駆動車両においては、蓄電装置と、発電装置と、該発電装置を駆動するエンジンと、前記蓄電装置及び発電装置と接続され、蓄電装置及び発電装置から供給される電力によって駆動される駆動モータと、走行抵抗によって消費されるパワー及び補機によって消費されるパワーに基づいて、電動駆動車両を目標走行時間の間走行させるのに必要な消費パワーを推定する消費パワー推定処理手段と、該消費パワー推定処理手段によって推定された消費パワー及び平均車速に基づいて、距離当たり消費エネルギーを算出する距離当たり消費エネルギー算出処理手段と、前記発電装置の出力及び平均車速に基づいて距離当たり発電エネルギーを算出する発電エネルギー算出処理手段と、前記距離当たり消費エネルギー、距離当たり発電エネルギー、蓄電装置のバッテリ残量及びエンジンに供給される燃料の残量に基づいて、電動駆動車両を走行させることができる走行可能時間を算出する走行可能時間算出処理手段とを有する。
【0013】
この場合、電動駆動車両を目標走行時間の間走行させるのに必要な消費パワーが推定され、推定された消費パワー及び平均車速に基づいて距離当たり消費エネルギーが算出され、該距離当たり消費エネルギー、距離当たり発電エネルギー、蓄電装置のバッテリ残量及びエンジンに供給される燃料の残量に基づいて、電動駆動車両を走行させることができる走行可能時間が算出されるので、運転者は、目標走行時間を設定した場合に、電動駆動車両を目標走行時間の間走行させることができるかどうかを容易に知ることができる。
【0014】
したがって、運転者は安心して電動駆動車両を走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車両駆動装置を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示す第1のメインフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示す第2のメインフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における消費パワー推定処理のサブルーチンを示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における第2の消費パワー算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における走行可能時間算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における発電設定処理のサブルーチンを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における走行パターン記録部の記録状態を示す第1の図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における走行パターン記録部の記録状態を示す第2の図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における表示部の案内画面に形成される走行モードの表示例を示す第1の図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態における表示部の案内画面に形成される走行モードの表示例を示す第2の図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態における表示部の案内画面に形成される走行モードの表示例を示す第3の図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態における消費パワー推定処理のサブルーチンを示す図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態における消費パワー推定処理のサブルーチンを示す図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態における走行パターン記録部の記録状態を示す第1の図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態における走行パターン記録部の記録状態を示す第2の図ある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、電動駆動車両としてのハイブリッド型車両について説明する。
【0017】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。
【0018】
図において、WL、WRは駆動輪として機能する車輪、11は該車輪WL、WRと接続された駆動源としての、かつ、第1の電動機械としての駆動モータ(M)である。該駆動モータ11を駆動することによって発生させられた駆動モータトルクを前記車輪WL、WRに伝達することによってハイブリッド型車両を走行させることができる。
【0019】
なお、ハイブリッド型車両が前輪駆動方式の場合、前記車輪WL、WRは前輪にされ、後輪が従動輪となり、ハイブリッド型車両が後輪駆動方式の場合、前記車輪WL、WRは後輪にされ、前輪が従動輪となる。また、ハイブリッド型車両が四輪駆動方式の場合、前記駆動モータ11は前輪及び後輪の各車輪と接続される。本実施の形態においては、駆動モータ11と車輪WL、WRとが接続され、駆動モータ11を駆動することによって車輪WL、WRが回転させられるようになっているが、前輪及び後輪の各車輪に駆動モータを一体に組み込み、各駆動モータを独立に駆動してそれぞれ車輪を回転させることができる。
【0020】
また、13は駆動モータ11と接続され、駆動モータ11を駆動したり、回生したりするための駆動回路としてのインバータ、14は第1の電源としての、かつ、蓄電装置としてのバッテリ、15は第2の電源としての、第2の電動機械としての、かつ、発電装置としての発電機(G)である。前記バッテリ14及び発電機15から供給される電力によって駆動モータ11が駆動される。
【0021】
そして、16は前記バッテリ14と接続された接続要素としての差込プラグ、17は、前記発電機15と接続され、発電機15を駆動する駆動回路としてのインバータ、18は前記発電機15を駆動するための駆動源としてのエンジン(E/G)、19は該エンジン18に燃料(駆動媒体)としてのガソリンを供給する燃料供給源としての燃料タンクである。
【0022】
前記各インバータ13、17は、それぞれ、電圧変換部としての図示されないDC/DCコンバータ、及び複数の、例えば、6個のスイッチング素子としての図示されないトランジスタを備える。前記DC/DCコンバータは、駆動モータ11及び発電機15とバッテリ14との間で電圧を変更する。また、前記各トランジスタは、一対ずつユニット化されて各相のトランジスタモジュール(IGBT)を構成し、図示されない制御部から送られる駆動信号によってオン・オフさせられ、インバータ13において、バッテリ14から供給された直流の電流を3相の交流の電流に変換し、駆動モータ11に供給して駆動モータ11を駆動したり、駆動モータ11の回生に伴って発生させられた3相の交流の電流を直流の電流に変換し、バッテリ14に供給してバッテリ14を充電したり、インバータ17において、発電機15の発電に伴って発生させられた3相の交流の電流を直流の電流に変換し、バッテリ14に供給してバッテリ14を充電したりすることができる。そして、前記差込プラグ16を、家庭の商用電源のコンセント、充電スタンド(充電施設)の充電装置のコンセント等に差し込むことによって、バッテリ14を充電することができる。
【0023】
なお、本実施の形態において、DC/DCコンバータはインバータ13に内蔵されるようになっているが、インバータ13と独立させて配設することができる。
【0024】
本実施の形態においては、バッテリ14としてリチウムイオン電池が使用される。また、本実施の形態においては、蓄電装置としてバッテリ14が使用されるが、バッテリ14に代えてキャパシタを使用することができる。
【0025】
なお、本実施の形態においては、駆動モータ11に電流を供給することによってハイブリッド型車両を目的地まで走行させることができ、ハイブリッド型車両の平坦(たん)路、登坂路等における走行性能、及びハイブリッド型車両の加速時における加速性能を十分に高くすることができるように、バッテリ14は十分な電力を保持し、バッテリ14のエネルギー密度が0.1〔kWh/kg〕以上に、出力密度が1〔kW/kg〕以上にされる。
【0026】
また、バッテリ14の重量は、ハイブリッド型車両の動力性能を確保するために必要とされる最大出力及びバッテリ14の性能に基づいて、バッテリ14の許容範囲内で設定される。なお、最大出力は、車両重量、及び走行に伴ってハイブリッド型車両に加わる走行抵抗(空気抵抗、転がり抵抗、登坂抵抗、加速抵抗等)に基づいて算出される。
【0027】
例えば、車両重量が1000〔kg〕程度のハイブリッド型車両の場合、ハイブリッド型車両の最大出力は40〜60〔kW〕であり、バッテリ14の重量は40〜60〔kg〕にされる。従来の電気自動車において、走行可能距離を300〜500〔km〕とすると、電気自動車を走行させる際に距離当たり消費されるエネルギーは、約0.1〔kWh/km〕であるので、バッテリ14の重量は300〜500〔kg〕になる。これに対して、本実施の形態においては、発電機15によってバッテリ14を充電することにより走行に必要なエネルギーを補うことができるので、バッテリ14の重量を従来の電気自動車の1/8〜1/5にすることができる。
【0028】
本実施の形態においては、エンジン18として、ガソリンを燃料とする内燃式のエンジンが使用されるが、ガソリンに代えて水素等を燃料とする内燃式のエンジンを使用することができる。また、本実施の形態においては、発電機15を駆動するために内燃式のエンジンが使用されるが、エンジンとして、高圧の燃料タンクから供給される炭酸ガス、メタンガス等を燃料とする往復ピストン型の膨張式エンジンとしての、かつ、気化式エンジンとしての炭酸ガスエンジン、メタンガスエンジン等を使用することができる。
【0029】
さらに、発電装置として燃料電池を使用し、燃料電池として、固体高分子型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、ヒドラジン型燃料電池、直接メタノール型燃料電池(DMFC)等を使用することができる。
【0030】
ところで、バッテリ14の充電度合い(蓄電量)を表すために蓄電残量としてのバッテリ残量SOC〔%〕が使用される。該バッテリ残量SOC〔%〕は、それ以上バッテリ14が放電すると、過放電により、バッテリ14が急激に劣化するとされる残存最小容量がX0〔%〕とされ、それ以上バッテリ14が充電されると、過充電により、バッテリ14が急激に劣化するとされる残存最大容量がXmax〔%〕とされる。なお、バッテリ14の残存最小容量X0〔%〕及び残存最大容量Xmax〔%〕はバッテリ14の仕様によって決まる。
【0031】
この場合、例えば、バッテリ残量SOC〔%〕が残存最小容量X0〔%〕に到達するのに伴って発電機15による発電を開始すると、発電機15の出力をハイブリッド型車両に加わる走行負荷に対応させて調整する必要があるので、制御部における制御が複雑になるだけでなく、発電機15が大型化し、発電効率が低くなってしまう。
【0032】
そこで、本実施の形態においては、発電機15を発電効率が高い状態で駆動することができるように、ハイブリッド型車両の走行に伴って消費されるエネルギー、すなわち、消費エネルギーとバッテリ残量SOC〔%〕との差に基づいて、発電機15による発電が行われるようになっている。
【0033】
この場合、発電機15を発電効率が高い状態で駆動するために、発電機15は、発電効率の最大値又はその近傍の値を維持するように一定の出力Pg〔N〕が設定され、エンジン18によって駆動される。なお、エンジンとして炭酸ガスエンジン、メタンガスエンジン等を使用する場合においても、発電機を発電効率が高い状態で駆動するために、発電機は、最大値又はその近傍の値を維持するように一定の出力が設定され、エンジンによって駆動される。
【0034】
また、発電装置として燃料電池を使用する場合は、電流と電圧との関係を表す特性曲線、すなわち、電流対電圧特性曲線上で燃料電池が通常の駆動状態で駆動され、電流が所定値以下にされるか、又は電圧が所定値以上にされる。例えば、燃料電池の単位電極で、電流が0.2〔A〕以下にされるか、又は電圧が0.8〔V〕以上にされる。
【0035】
そして、本実施の形態においては、前記発電機15を発電効率の高い状態で駆動する時間が発電時間とされる。
【0036】
次に、ハイブリッド型車両において発電機15による発電を行うための車両駆動装置について説明する。
【0037】
図1は本発明の第1の実施の形態における車両駆動装置を示す図である。
【0038】
図において、21はハイブリッド型車両の全体の制御を行う第1の制御ユニットとしての制御部、27はナビゲーション装置である。
【0039】
前記制御部21は、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほかに、各種のデータが記録されたROM33等を備える。
【0040】
また、前記ナビゲーション装置27は、ナビゲーション装置27の全体の制御を行う第2の制御ユニットとしてのナビゲーション制御部34を備え、該ナビゲーション制御部34は、制御部21と同様に、演算装置としてのCPU、RAM、ROM等を備える。
【0041】
そして、前記ナビゲーション制御部34に、ハイブリッド型車両の現在位置、ハイブリッド型車両の方位、時刻等を検出する現在地検出部としての、かつ、時刻検出部としてのGPSセンサ35、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部36、通信端末として機能する送受信部としての通信部38等が接続される。
【0042】
前記地図データには、交差点(分岐点を含む。)に関する交差点データ、各交差点間を結ぶ道路及び該道路を構成する道路リンクに関する道路状況を表す道路情報(道路データ)、各種の施設に関する施設データ、経路を探索するために加工された探索データ等が含まれる。
【0043】
また、前記通信部38は、第1の情報提供者としてのVICS(登録商標)センタ等の図示されない道路交通情報センタ等から送られる交通情報、一般情報等の各種の情報を受信する。なお、前記交通情報には、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等が含まれ、一般情報には、ニュース、周囲環境状況を表す周囲環境情報(例えば、天気予報のほか、気温、湿度、天候等の実際の天気状況等)等が含まれる。また、前記通信部38は、第2の情報提供者としての情報センタから交通情報、一般情報等の各種の情報を受信することもできる。前記ナビゲーション装置27、道路交通情報センタ、情報センタ等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0044】
そして、前記制御部21に、前記インバータ13、17のほかに、図示されない画面によって各種の表示を行い、操作者である運転者に対して通知を行うための第1の出力部としての表示部43、運転者が音声によって所定の入力を行うための音声入力部44a、音声を出力することによって運転者に対して通知を行うための第2の出力部としての音声出力部44b、運転者が操作することによって所定の入力を行うための操作部45、ハイブリッド型車両の車速v〔km/h〕を検出する車速検出部としての車速センサ51、バッテリ14の電圧、すなわち、バッテリ電圧Vb〔V〕を検出する電圧検出部としてバッテリ電圧センサ52、バッテリ14に供給され、又はバッテリ14から供給される電流、すなわち、バッテリ電流Ib〔A〕を検出する電流検出部としてのバッテリ電流センサ53、バッテリ14の温度、すなわち、バッテリ温度tb〔℃〕を検出する温度検出部としてのバッテリ温度センサ54、燃料タンク19からエンジン18に供給されるガソリンの残量、すなわち、燃料残量F〔L〕こを検出する燃料残量検出部としての燃料残量センサ55等が接続される。なお、該燃料残量センサ55によって燃料の種類を検出することもできる。また、前記表示部43は、前記画面がタッチパネルによって形成される場合、運転者が操作することによって所定の入力を行うための操作部としても機能する。
【0045】
そして、制御部21、ナビゲーション制御部34、CPU31等によってコンピュータが構成され、データ記録部36、RAM32、ROM33等によって記憶装置又は記録媒体が構成される。また、演算装置として、CPU31に代えてMPU等を使用することができる。
【0046】
次に、前記ナビゲーション装置27の基本動作について説明する。
【0047】
まず、運転者による操作部45の操作によってナビゲーション装置27が起動されると、ナビゲーション制御部34のCPU(以下、「ナビCPU」という。)のナビ情報取得処理手段は、ナビ情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部36から取得する(読み出す)か、又は通信部38を介して情報センタ等から取得(受信)する。
【0048】
次に、前記ナビCPUのマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、GPSセンサ35から現在位置及び方位を読み込み、地図データから道路データを読み込み、現在位置、方位及び道路データに基づいて、現在位置がいずれの道路リンク上に位置するかを判断することによって、現在位置を特定する。そして、前記ナビCPUの表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部43に地図画面を形成し、該地図画面に現在位置、現在位置の周辺の地図及び方位を表示する。
【0049】
また、運転者が操作部45を操作して所定の地点を目的地として入力すると、前記ナビCPUの目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。
【0050】
そして、運転者が操作部45を操作して、経路を探索するための条件、すなわち、探索条件を入力すると、前記ナビCPUの経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記現在位置、目的地、探索条件等を読み込むとともに、地図データのうちの探索データを読み込み、現在位置、目的地及び探索データに基づいて、現在位置で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。なお、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【0051】
続いて、前記ナビCPUの案内処理手段は、案内処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示し、必要に応じて、探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【0052】
次に、前記制御部21の動作について説明する。
【0053】
図3は本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示す第1のメインフローチャート、図4は本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示す第2のメインフローチャート、図5は本発明の第1の実施の形態における消費パワー推定処理のサブルーチンを示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における第2の消費パワー算出処理のサブルーチンを示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における走行可能時間算出処理のサブルーチンを示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における発電設定処理のサブルーチンを示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における走行パターン記録部の記録状態を示す第1の図、図10は本発明の第1の実施の形態における走行パターン記録部の記録状態を示す第2の図、図11は本発明の第1の実施の形態における表示部の案内画面に形成される走行モードの表示例を示す第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態における表示部の案内画面に形成される走行モードの表示例を示す第2の図、図13は本発明の第1の実施の形態における表示部の案内画面に形成される走行モードの表示例を示す第3の図である。
【0054】
本実施の形態において、まず、CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、表示部43に目標走行距離設定画面を形成し、該目標走行距離設定画面に、運転者にハイブリッド型車両を走行させようとする目標走行時間T1〔h〕を入力するように促すメッセージを表示する。運転者が任意に選択し、操作部45を操作することによって目標走行時間T1〔h〕を入力すると、CPU31の図示されない目標走行時間設定処理手段は、目標走行時間設定処理を行い、入力された目標走行時間T1〔h〕を取得し(読み込み)、設定する(ステップS1)。
【0055】
目標走行時間T1〔h〕が設定されると、CPU31の図示されない消費パワー推定処理手段は、消費パワー推定処理を行い、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させるのに必要な消費パワーPw〔kW〕を推定する(ステップS2)。この場合、目標走行時間T1〔h〕が設定されると、所定の時間△τが経過するごとに前記消費パワー推定処理が行われ、消費パワーPw〔kW〕が推定される。
【0056】
そのために、消費パワー推定処理手段の推定値有無判断処理手段は、推定値有無判断処理を行い、前回の消費パワー推定処理において既に推定された消費パワーPo〔kW〕があるかどうかを判断する(ステップS2−1)。
【0057】
既に推定された消費パワーPo〔kW〕がある場合、前記消費パワー推定処理手段の第1の消費パワー算出処理手段は、第1の消費パワー算出処理を行い、前記消費パワーPo〔kW〕に基づいて消費パワーPw〔kW〕を算出する。
【0058】
そのために、前記第1の消費パワー算出処理手段の実走行距離判断処理手段は、実走行距離判断処理を行い、第1の消費パワー算出処理が開始されてから現在に至るまでに、すなわち、前記所定の時間△τが経過する間にハイブリッド型車両が走行した距離を表す走行距離を実走行距離Lr〔km〕として取得し、該実走行距離Lr〔km〕が閾値Lth1より長いかどうかを判断する(ステップS2−2)。なお、前記走行距離は、前記制御部21に接続された図示されない距離計から取得される。
【0059】
実走行距離Lr〔km〕が閾値Lth1より長い場合、第1の消費パワー算出処理手段の実消費パワー算出処理手段は、実消費パワー算出処理を行い、ハイブリッド型車両の現在の走行状況を取得し、該走行状況に基づいて、RAM32に形成され、消費パワー情報が記録されたマップ、すなわち、消費パワーマップを参照し、走行状況に対応する消費パワー、すなわち、実消費パワーPr〔kW〕を算出する(ステップS2−3)。
【0060】
本実施の形態において、前記走行状況は、前記走行距離、ハイブリッド型車両が走行する時間を表す走行時間、運転者がハイブリッド型車両を加速させたり、減速させたりする状況を表す加減速状況等の走行状況指標であり、CPU31の図示されない情報取得処理手段は、情報取得処理を行い、ハイブリッド型車両が走行させられている間、前記走行状況を制御タイミングごとに取得する。前記加減速状況は、加速地点における加速度αm(m=1、2、…)及び減速地点における減速度βn(n=1、2、…)から成る。なお、前記走行距離は前記距離計によって、走行時間は制御部21に接続された図示されないタイマによって、加減速状況は制御部21に接続された図示されないアクセルセンサ及びブレーキセンサによって検出され、制御部21に送られる。
【0061】
そして、前記消費パワーマップには、走行距離、走行時間、加減速状況等と実消費パワーPr〔kW〕とが対応させて記録される。
【0062】
なお、前記閾値Lth1をあらかじめ小さく設定すると、第1の消費パワー算出処理を頻繁に行うことができるので、消費パワーPw〔kW〕を精度良く推定することができる。実際の走行状況にばらつきがない場合には、前記閾値Lth1を大きく設定することができる。
【0063】
続いて、前記第1の消費パワー算出処理手段の差分判断処理手段は、差分判断処理を行い、実消費パワーPr〔kW〕と、既に推定された消費パワーPo〔kW〕との差分ΔP〔kW〕
ΔP=Pr−Po
を算出し(ステップS2−4)、該差分ΔP〔kW〕が閾値Pth1より小さいかどうかを判断する(ステップS2−5)。
【0064】
前記差分ΔP〔kW〕が閾値Pth1より小さい場合、前記第1の消費パワー算出処理手段の差分調整処理手段としての推定値決定処理手段は、差分調整処理としての推定値決定処理を行い、実消費パワーPr〔kW〕に差分ΔP〔kW〕を加算することによって実消費パワーPr〔kW〕を補正し、補正された消費パワーPw〔kW〕の推定値として決定する(ステップS2−6)。
【0065】
また、前記推定値有無判断処理において、既に推定された消費パワーPo〔kW〕がない場合、及び前記差分判断処理において、差分ΔP〔kW〕が閾値Pth1以上である場合、前記消費パワー推定処理手段の第2の消費パワー算出処理手段は、第2の消費パワー算出処理を行い、ハイブリッド型車両の走行履歴に基づいて消費パワーPw〔kW〕を算出する(ステップS2−7)。
【0066】
そのために、第2の消費パワー算出処理手段の情報取得処理手段は、情報取得処理を行い、走行状況、周囲環境状況、目標走行時間T1〔h〕等の情報を、消費パワー算出情報として取得する(ステップS2−7−1)。
【0067】
なお、周囲環境状況は、ハイブリッド型車両を走行させる際の、気温、天候、時刻を表す走行時刻等の周囲環境指標であり、前記情報取得処理手段は、周囲環境状況をナビゲーション装置27から取得する。
【0068】
続いて、前記第2の消費パワー算出処理手段の走行パターン取得処理手段は、走行パターン取得処理を行い、前記走行状況及び周囲環境状況の走行履歴に基づいて、前記RAM32に形成された図示されない走行パターン記録部を参照し、該走行パターン記録部に記録された走行パターンのうちの前記走行履歴と類似する走行パターン、すなわち、類似走行パターンを取得する(ステップS2−7−2)。
【0069】
そのために、前記CPU31の図示されない走行パターン設定処理手段は、走行パターン設定処理を行い、ハイブリッド型車両の走行中に収集された情報、すなわち、収集情報にインデックスを付与して、図9に示されるような走行パターンPti(i=1、2、…)をあらかじめ設定し、前記走行パターン記録部に記録する。
【0070】
前記走行パターンPtiは、前記走行状況を表す走行距離、走行時間、加減速状況等、及び周囲環境状況を表す気温、天候、走行時刻等の、ハイブリッド型車両の走行模様を表す各情報から成り、該各情報は、走行状況及び周囲環境状況のインデックス、並びに走行距離、走行時間、加減速状況、気温、天候、走行時刻等のインデックスが付与され、分類されて前記走行パターン記録部に記録される。なお、前記気温、天候、走行時刻等は、ナビゲーション装置27から取得される。
【0071】
また、本実施の形態においては、同じ経路に沿ってハイブリッド型車両を走行させるたびに、後述される距離当たり消費エネルギーEu〔kWh/km〕が算出され、前回ハイブリッド型車両を走行させたときに算出された距離当たり消費エネルギーと、今回ハイブリッド型車両を走行させたときに算出された距離当たり消費エネルギーとの差が、次回ハイブリッド型車両を走行パターンPtiで走行させるときに加算されるエネルギー加算値として前記走行パターン記録部に記録される。
【0072】
なお、前記走行パターン取得処理において、前記走行パターン記録部に類似走行パターンがない場合、前記走行パターン取得処理手段は、学習機能によって類似走行パターンを作成することにより取得する。
【0073】
そのために、前記走行パターン取得処理手段は、前記走行パターン記録部を参照し、走行パターンPtiのうちの走行状況及び周囲環境状況のインデックスごとに走行履歴と類似するパターン情報を備えた走行パターンを検索し、各インデックスごとのパターン情報を組み合わせることによって、新たな走行パターンを類似走行パターンPtnとする。この場合、例えば、図10に示されるように、類似走行パターンPtnは、走行パターンPt1の走行状況及び走行パターンPt2の周囲環境状況の各走行パターン情報から成る。
【0074】
続いて、第2の消費パワー算出処理手段の推定値決定処理手段は、推定値決定処理を行い、取得された類似走行パターンPtnに基づいて、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させるのに必要な消費パワーPw〔kW〕を算出し、算出した消費パワーPw〔kW〕を推定値として決定する(ステップS2−7−3)。
【0075】
ここで、類似走行パターンPtnから走行距離Lp〔km〕及び走行時間Tp〔h〕を取得することができるので、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させる際の平均車速av〔km/h〕を、
av=Lp/Tp
によって算出することができる。なお、本実施の形態においては、平均車速av〔km/h〕を、走行距離Lp及び走行時間Tpに基づいて算出するようになっているが、あらかじめ走行距離Lp〔km〕及び走行時間Tp〔h〕に基づいて算出し、走行パターンPtiにおけるインデックスとして記録することができる。また、ハイブリッド型車両の現在の走行状況に基づいて、RAM32に記録された過去の走行履歴を参照し、平均車速av〔km/h〕を推定することができる。
【0076】
ところで、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させる際にハイブリッド型車両が受ける走行抵抗をR〔N〕とすると、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させる際に走行抵抗R〔N〕によって消費されるパワー、すなわち、走行抵抗消費パワーPd〔kW〕は、
Pd=R・av
で表される。
【0077】
また、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させる際にエアコン、ライト、ナビゲーション装置27等の補機によって消費されるパワー(電力)、すなわち、補機消費パワーをPh〔kW〕とし、ハイブリッド型車両の制動に伴って駆動モータ11で回生されるパワー(電力)、すなわち、回生電力をPk〔kW〕とすると、ハイブリッド型車両を走行させるのに必要な消費パワーPw〔kW〕は、
Pw=Pd+Ph−Pk
=R・av+Ph−Pk
になる。
【0078】
なお、前記走行抵抗R〔N〕は、類似走行パターンPtnに従ってハイブリッド型車両を走行させる間の空気抵抗をRa〔N〕とし、転がり抵抗をRr〔N〕とし、登坂抵抗をRs〔N〕とし、加速抵抗をRg〔N〕としたとき、
R=Ra+Rr+Rs+Rg
で表され、類似走行パターンPtnの情報に基づいて算出される。
【0079】
なお、前記空気抵抗Ra〔N〕は、ハイブリッド型車両を走行させるときに空気から受ける抵抗であり、空気密度をρとし、空気抵抗係数をCdとし、ハイブリッド型車両を前面から見たときの投影面積をAとしたとき、
Ra=(1/2)ρ・Cd・A・(av)2
で表される。また、前記転がり抵抗Rr〔N〕は、ハイブリッド型車両を走行させるときにタイヤと路面との摩擦によって路面から受ける抵抗であり、タイヤと路面との摩擦係数をμrとし、ハイブリッド型車両の質量をmとし、重力加速度をgとしたとき、
Rr=μr・m・g
で表される。そして、前記登坂抵抗Rs〔N〕は、ハイブリッド型車両を登坂路を走行させるのに伴って発生する抵抗であり、勾配をθjとしたとき、
Rs=m・g・Σsinθj
で表される。また、加速抵抗Rg〔N〕は、ハイブリッド型車両を加速させるのに伴って発生する抵抗であり、加速度をαmとしたとき、
Rg=m・g・Σαm
で表される。
【0080】
そして、補機消費パワーPh〔kW〕は気温、天候、走行時刻等に基づいて、回生電力Pk〔kW〕は減速度等に基づいて算出することができる。
【0081】
このように、前記消費パワー推定処理において消費パワーPw〔kW〕が推定されると、前記情報取得処理手段は、バッテリ14(図1)のバッテリ残量SOC〔%〕、及び燃料残量センサ55によって検出された燃料残量〔L〕を取得する(ステップS3)。なお、バッテリ残量SOC〔%〕は、バッテリ電圧センサ52によって検出されたバッテリ電圧Vb〔V〕、バッテリ電流センサ53によって検出されたバッテリ電流Ib〔A〕、及びバッテリ温度センサ54によって検出されたバッテリ温度tb〔℃〕に基づいて、あらかじめ算出される。
【0082】
続いて、前記CPU31の図示されない走行可能時間算出処理手段は、走行可能時間算出処理を行い、バッテリ残量SOC〔%〕、燃料残量F〔L〕、及び距離当たり消費エネルギーEu〔kWh/km〕に基づいて、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させる際の走行可能時間T2〔h〕を算出する(ステップS4)。
【0083】
この場合、バッテリ残量SOC〔%〕は、走行可能時間T2〔h〕を制限する第1の制限要素となり、燃料残量F〔L〕は、走行可能時間T2〔h〕を制限する第2の制限要素となる。
【0084】
まず、前記走行可能時間算出処理手段の残存エネルギー算出処理手段は、残存エネルギー算出処理を行い、バッテリ14(図1)に残存するエネルギーを表す残存エネルギーB〔kWh〕を算出する(ステップS4−1)。
【0085】
そのために、前記残存エネルギー算出処理手段は、前記バッテリ残量SOC〔%〕、バッテリ14の仕様によって決まる総バッテリ容量Qb、残存最小容量X0〔%〕、残存最大容量Xmax〔%〕及びバッテリ14の劣化に伴う補正係数γに基づいて、残存エネルギーB〔kWh〕
B=γ・((SOC−X0)/(Xmax−X0))・Qb
を算出する。
【0086】
次に、前記走行可能時間算出処理手段の距離当たり消費エネルギー算出処理手段は、距離当たり消費エネルギー算出処理を行い、前記消費パワー推定処理において推定された消費パワーPw〔kW〕及び算出された平均車速av〔km/h〕を取得し、距離当たり消費エネルギーEu〔kWh/km〕
Eu=Pw/av
を算出する(ステップS4−2)。
【0087】
続いて、前記走行可能時間算出処理手段の発電エネルギー算出処理手段は、発電エネルギー算出処理を行い、発電機15の出力Pg〔N〕及び平均車速av〔km/h〕を取得し、距離当たり発電エネルギーGu〔kWh/km〕
Gu=Pg/av
を算出する(ステップS4−3)。
【0088】
次に、前記走行可能時間算出処理手段の発電可能時間算出処理手段は、発電可能時間算出処理を行い、エンジン18を駆動したときのガソリンの単位量当たりの発熱量(熱エネルギー)をHf〔kWh/L〕とし、発電機15の発電効率をηとしたときに、発電機15を一定の出力Pg〔N〕で駆動して発電を行った場合の、燃料残量F〔L〕が0(零)になるまでの、燃料残量F〔L〕によって制限される第1の発電可能時間Tf〔h〕
Tf=F・Hf・η/Pg
を算出する(ステップS4−4)。
【0089】
続いて、前記発電可能時間算出処理手段は、発電機15を出力Pg〔N〕で駆動し、ハイブリッド型車両を平均車速av〔km/h〕で走行させて発電を行った場合の、残存エネルギーB〔kWh〕が0になるまでの、バッテリ残量SOC〔%〕によって制限される第2の発電可能時間Tb〔h〕
Tb=(B/(Eu−Gu))/av
を算出する(ステップS4−5)。
【0090】
そして、走行可能時間算出処理手段の走行可能時間決定処理手段は、走行可能時間決定処理を行い、前記第1、第2の発電可能時間Tf、Tb〔h〕のうちの短い方の発電可能時間を走行可能時間T2〔h〕として決定する(ステップS4−6)。
【0091】
このようにして、走行可能時間T2〔h〕が算出されると、CPU31の図示されない目標達成判断処理手段としての時間比較処理手段は、目標達成判断処理としての時間比較処理を行い、目標走行時間T1〔h〕及び走行可能時間T2〔h〕を取得し、発電機15による発電を行いながらハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させることができるかどうかを、走行可能時間T2〔h〕が目標走行時間T1〔h〕以上であるかどうかによって判断する(ステップS5)。
【0092】
走行可能時間T2〔h〕が目標走行時間T1〔h〕以上であり、発電機15による発電を行いながらハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させることができる場合、CPU31の図示されないEV走行可能時間算出処理手段は、EV走行可能時間算出処理を行い、残存エネルギーB〔kWh〕、距離当たり消費エネルギーEu〔kWh/km〕及び平均車速av〔km/h〕を取得し、発電機15による発電を行うことなくハイブリッド型車両を走行させることが可能な時間、すなわち、EV走行可能時間T3〔h〕
T3=B/(Eu・av)
を算出する(ステップS6)。
【0093】
続いて、CPU31の図示されないEV走行判断処理手段は、EV走行判断処理を行い、目標走行時間T1〔h〕が経過する間、発電機15による発電を行うことなくハイブリッド型車両を走行させることができるかどうかを、EV走行可能時間T3〔h〕が目標走行時間T1〔h〕以上であるかどうかによって判断する(ステップS7)。
【0094】
EV走行可能時間T3〔h〕が目標走行時間T1〔h〕以上であり、目標走行時間T1〔h〕が経過する間、発電機15による発電を行うことなくハイブリッド型車両を走行させることができる場合、CPU31の図示されないEV走行処理手段は、EV走行処理を行い、発電機15を駆動することなく、駆動モータ11を駆動してハイブリッド型車両を走行させる(ステップS8)。このとき、前記EV走行処理手段は、表示部43に案内画面を形成し、該案内画面において、図11に示されるような画像を表示し、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間、発電機15による発電を行うことなく、EV走行モードで走行させることができる旨を運転者に通知する。
【0095】
続いて、CPU31の図示されない目標走行時間残存判断処理手段は、目標走行時間残存判断処理を行い、残りの目標走行時間T1’〔h〕があるかどうかを判断し、残りの目標走行時間T1’〔h〕がある場合、該残りの目標走行時間T1’〔h〕に基づいて再び消費パワー推定処理を行い、残りの目標走行時間T1’〔h〕がない場合、処理を終了する。
【0096】
また、前記EV走行判断処理において、EV走行可能時間T3〔h〕が目標走行時間T1〔h〕より短く、発電機15による発電を行うことなくハイブリッド型車両を走行させることができない場合、CPU31の図示されない発電設定処理手段は、発電設定処理を行い、ハイブリッド型車両による目標走行時間T1〔h〕の間の走行を終了するタイミング(時刻)でバッテリ14を使い切る(バッテリ残量SOC〔%〕が残存最小容量X0〔%〕に、残存エネルギーB〔kWh〕が0になる。)ように、発電機15による発電を開始するタイミング(以下「発電開始タイミング」という。)ts、及び発電を終了するタイミング(以下「発電終了タイミング」という。)teを設定することによって、発電開始タイミングtsから発電終了タイミングteまでの発電実行時間を設定する(ステップS10)。
【0097】
そのために、前記発電設定処理手段の発電設定情報取得処理手段は、発電設定情報取得処理を行い、前記目標走行時間T1〔h〕及び必要発電時間Tg〔h〕を発電設定情報として取得し(ステップS10−1)、前記発電設定処理手段の第1の発電開始・終了時刻設定処理手段は、第1の発電開始・終了時刻設定処理を行い、発電終了タイミングteに値T1(目標走行時間T1〔h〕)をセット(設定)し、発電開始タイミングtsに値(te−Tg)(発電終了タイミングteから必要発電時間Tg〔h〕を減算した値)をセットすることによって、発電開始タイミングtsを算出する(ステップS10−2)。
【0098】
続いて、前記発電設定処理手段の設定モード判断処理手段は、設定モード判断処理を行い、運転者が、操作部45(図1)を操作して、又は音声入力部44aに対して音声入力を行うことによって、発電開始タイミングts及び発電終了タイミングteを手動で設定するモード、すなわち、手動設定モードを選択したかどうかを判断する(ステップS10−3)。
【0099】
運転者が手動設定モードを選択した場合、前記発電設定処理手段の入力案内処理手段は、入力案内処理を行い、表示部43において、運転者に、発電開始タイミングtsとは別の手動設定モード用の発電開始タイミングts* を入力するように案内する(ステップS10−4)。
【0100】
そして、運転者が、操作部45を操作して、又は音声入力部44aに対して音声入力を行うことによって、前記発電開始タイミングts* を入力すると、前記発電設定処理手段の第2の発電開始・終了時刻設定処理手段は、第2の発電開始・終了時刻設定処理を行い、発電開始タイミングts* に値ts* (発電開始タイミングts* )をセットし、別の手動設定モード用の発電終了タイミングte* に値(ts* +Tg)(発電開始タイミングts* と必要発電時間Tg〔h〕とを加算した値)をセットすることによって発電終了タイミングte* を算出する(ステップS10−5)。
【0101】
なお、必要発電時間Tg〔h〕は、残存エネルギーB〔kWh〕、距離当たり消費エネルギーEu〔kWh/km〕、平均車速av〔km/h〕及び発電機15の出力Pg〔N〕に基づいて、次の式で算出される。
【0102】
Tg= (Pg・T1−B)/(av・Eu)
続いて、前記発電設定処理手段の発電開始・終了時刻決定処理手段は、発電開始・終了時刻決定処理を行い、発電開始タイミングts* と発電開始タイミングtsとを比較することによって、発電開始タイミングts* が発電開始タイミングtsより前であるかどうか(ts* <ts)を判断し(ステップS10−6)、発電開始タイミングts* が発電開始タイミングtsより前である場合、前記第2の発電開始・終了時刻設定処理において設定された発電開始タイミングts* を発電開始タイミングtsとして決定し、前記第2の発電開始・終了時刻設定処理において設定された発電終了タイミングte* を発電終了タイミングteとして決定する(ステップS10−7)。
【0103】
前記設定モード判断処理において、運転者が手動設定モードを選択しない場合、及び前記発電開始・終了時刻決定処理において発電開始タイミングts* が発電開始タイミングtsより前でない(以降である。)場合、前記発電開始・終了時刻決定処理手段は、前記第1の発電開始・終了時刻設定処理において設定された発電開始タイミングtsを発電開始タイミングtsとして決定し、前記第1の発電開始・終了時刻設定処理において設定された発電終了タイミングteを発電終了タイミングteとして決定する(ステップS10−8)。
【0104】
このように、本実施の形態においては、発電開始タイミングts及び発電終了タイミングteを手動で設定することができるようになっていて、手動で設定された発電開始タイミングts* が発電開始タイミングtsより前である場合に、発電開始タイミングts* が発電開始タイミングtsとして決定されるので、発電機15による発電を早く開始し、早く終了することができる。
【0105】
このようにして、発電設定処理が行われると、CPU31の図示されない発電実行時間判断処理手段は、発電実行時間判断処理を行い、現在の時刻が発電開始タイミングtsから発電終了タイミングteまでの発電実行時間内であるかどうかを判断(ステップS11)し、現在の時刻が発電実行時間内である場合、CPU31の図示されない図示されない発電処理手段は、発電処理を行い、発電機15による発電を行う(ステップS12)。すなわち、前記発電処理手段は、発電開始タイミングtsになると発電機15による発電を開始し、発電終了タイミングteになると発電機15による発電を終了する。このとき、前記発電処理手段は、表示部43に案内画面を形成し、該案内画面において、図12に示されるような画像を表示し、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間、発電機15による発電を行うことなくEV走行モードで、及び発電機15による発電を行いながらHV走行モードで走行させることができる旨を運転者に通知する。
【0106】
前記発電実行時間判断処理において、現在の時刻が発電実行時間内でない場合、前記EV走行処理手段は、発電機15を駆動することなく、駆動モータ11を駆動してハイブリッド型車両を走行させる。
【0107】
また、前記時間比較処理において、走行可能時間T2〔h〕が目標走行時間T1〔h〕より短い場合、CPU31の図示されない走行継続判断処理手段は、走行継続判断処理を行い、表示部43において、運転者に、発電機15による発電を行っても、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させることができない旨を通知し、ハイブリッド型車両を停止させることなく走行を継続する意思があるかどうかを判断する(ステップS13)。この場合、表示部43による通知のほかに、音声出力部44bにおいて音声出力を行うことによって運転者に通知することができる。
【0108】
運転者に走行を継続する意思がある場合、前記CPU31の図示されない走行方法案内処理手段は、走行方法案内処理を行い、ハイブリッド型車両を確実に目標走行時間T1〔h〕の間走行することができるように走行方法を案内する(ステップS14)。
【0109】
例えば、前記走行方法案内処理手段は、ハイブリッド型車両に加わる走行負荷を小さくし、距離当たり消費エネルギーEu〔kWh/km〕を小さくするために、車速v〔km/h〕を低くして走行することができる道路、回生効率が高い道路、ハイブリッド型車両が受ける走行抵抗R〔N〕が小さい道路等を走行するように案内する。また、前記走行方法案内処理手段は、ハイブリッド型車両がエコ走行を行うことができるように、道路上の車両の流れを妨げない範囲で車速v〔km/h〕を低くしたり、急加速、急減速等を抑制したり、エアコンの設定温度を低くしたりする。さらに、前記走行方法案内処理手段は、ナビゲーション装置27によって充電スタンドを検索し、表示部43に表示して運転者にバッテリ14の充電を行うように案内する。
【0110】
また、前記走行継続判断処理において、運転者に走行を継続する意思がない場合、CPU31の図示されない意思確認処理手段としての充電可否判断処理手段は、意思確認処理としての充電可否判断処理を行い、現在位置で充電可能(ハイブリッド型車両が停止させられているか、又はハイブリッド型車両の走行が開始されていない。)であり、かつ、運転者にバッテリ14を充電する意思があるかどうかを判断する(ステップS15)。
【0111】
そのために、前記充電可否判断処理手段は、表示部43において、運転者に、バッテリ14を充電する意思があるかどうかを問い合わせる。この場合、前記充電可否判断処理手段は、表示部43による問合せのほかに、音声出力部44b(図1)において、音声出力を行うことによってバッテリ14を充電する意思があるかどうかを問い合わせることができる。
【0112】
現在位置で充電可能であり、運転者にバッテリ14を充電する意思がある場合、CPU31の図示されない充電案内処理手段は、充電案内処理を行い、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させるのに必要なバッテリ残量SOC〔%〕を算出し、充電設備の能力(急速充電か、又は通常充電か)に基づいて、必要な最低バッテリ残量SOCmin〔%〕及びバッテリ14の満受電までの充電時間Tch〔h〕を算出し、表示部43において案内する(ステップS16)。
【0113】
なお、前記最低バッテリ残量SOCmin〔%〕は、発電機15の出力Pg〔N〕、目標走行時間T1〔h〕、走行可能時間T2〔h〕、残存最小容量X0〔%〕、残存最大容量Xmax〔%〕、現在のバッテリ残量SOC〔%〕及び総バッテリ容量Qbによって
SOCmin=(Pg・(T2−T1)・(Xmax−X0)/Qb)+SOC
で表される。
【0114】
続いて、前記CPU31の図示されない充電処理手段は、充電処理を行い、バッテリ14の充電を開始し、充電が行われている間、表示部43において充電状況を運転者に通知する(ステップS17)。すなわち、前記充電処理手段は、例えば、バッテリ残量SOC〔%〕が最低バッテリ残量SOCmin〔%〕になると、表示部43において、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させることができる旨を通知し、バッテリ14が満充電になると、表示部43において、満充電になり、充電が終了した旨を通知する。
【0115】
次に、前記CPU31の図示されない計時調整処理手段は、計時調整処理を行い、充電が終了した後、走行時間の計時に当たり充電時間の分を削除する(ステップS18)。
【0116】
また、前記充電可否判断処理において、現在位置で充電可能でないか、又は運転者にバッテリ14を充電する意思がない場合、CPU31の目標走行時間変更処理手段は、目標走行時間変更処理を行い、表示部43において、運転者に問い合わせることによって、目標走行時間T1〔h〕を変更するかどうかを判断する(ステップS19)。目標走行時間T1〔h〕を変更する場合、CPU31の図示されない目標走行時間設定処理手段は、目標走行時間設定処理を行い、変更された目標走行時間T1〔h〕を再び設定する(ステップS20)。
【0117】
そして、前記目標走行時間変更処理において、目標走行時間T1〔h〕を変更しない場合、CPU31の図示されない通知処理手段は、通知処理を行い、運転者に、目標を達成することができない旨、すなわち、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させることができない旨を通知する(ステップS21)。このとき、前記通知処理手段は、表示部43に案内画面を形成し、該案内画面において、図13に示されるような画像を表示し、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間HV走行モードで走行させることができない旨を運転者に通知する。
【0118】
このように、本実施の形態においては、運転者が目標走行時間T1〔h〕を入力すると、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させるのに必要な消費パワーPw〔kW〕が推定され、推定された消費パワーPw〔kW〕に基づいて、ハイブリッド型車両を走行させることができる走行可能時間T2〔h〕、及び発電機15による発電を行うことなくハイブリッド型車両を走行させることができるEV走行可能時間T3〔h〕が算出されるので、運転者は、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させることができるかどうかを容易に知ることができる。
【0119】
したがって、運転者は安心してハイブリッド型車両を走行させることができる。
【0120】
次に、ナビゲーション装置27において取得することができる情報、すなわち、ナビゲーション情報に基づいて、運転者が、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させることができるかどうかを知ることができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0121】
図14は本発明の第2の実施の形態における消費パワー推定処理のサブルーチンを示す図である。
【0122】
この場合、CPU31の前記消費パワー推定処理手段は、ナビゲーション装置27からナビゲーション情報を取得し、消費パワーPw〔kW〕を推定する。
【0123】
そのために、前記消費パワー推定処理手段の情報取得処理手段は、情報取得処理を行い、ナビゲーション装置27から消費パワー算出情報を取得する。すなわち、前記情報取得処理手段は、情報記録部としてのデータ記録部36に記録された道路情報(勾配、路面情報等)、並びに送受信部としての通信部38によって取得された交通情報(渋滞情報、車の流れ、車速等)、及び周囲環境情報(気温、天候等)を取得する(ステップS2−7−11)。
【0124】
次に、前記消費パワー推定処理手段の消費パワー算出処理手段は、消費パワー算出処理を行い、道路情報及び交通情報に基づいて平均車速av〔km/h〕及び走行抵抗R〔N〕を算出し、ハイブリッド型車両を走行させる際に走行抵抗R〔N〕によって消費される走行抵抗消費パワーPd〔kW〕
Pd=R・av
を算出する(ステップS2−7−12)。
【0125】
この場合、前記走行抵抗R〔N〕は、空気抵抗をRa〔N〕とし、転がり抵抗をRr〔N〕とし、登坂抵抗をRs〔N〕とし、加速抵抗をRg〔N〕としたとき、
R=Ra+Rr+Rs+Rg
で表され、道路情報、交通情報等に基づいて算出される。
【0126】
続いて、前記消費パワー算出処理手段は、周囲環境情報に基づいて補機消費パワーPh〔kW〕を、道路情報及び交通情報に基づいて回生パワーPk〔kW〕を算出する(ステップS2−7−13)。
【0127】
次に、前記消費パワー算出処理手段は、前記走行抵抗消費パワーPd〔kW〕、補機消費パワーPh〔kW〕及び回生パワーPk〔kW〕に基づいて、消費パワーPw〔kW〕を算出する(ステップS2−7−14)。このようにして、ナビゲーション情報に基づいて消費パワーPw〔kW〕を推定することができる。
【0128】
次に、ナビゲーション装置27から取得されたナビゲーション情報に基づいて類似走行パターンを作成し、該類似走行パターンに基づいて、運転者がハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させることができるかどうかを知ることができるようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0129】
図15は本発明の第3の実施の形態における消費パワー推定処理のサブルーチンを示す図、図16は本発明の第3の実施の形態における走行パターン記録部の記録状態を示す第1の図、図17は本発明の第3の実施の形態における走行パターン記録部の記録状態を示す第2の図ある。
【0130】
この場合、CPU31の前記消費パワー推定処理手段は、ナビゲーション装置27からナビゲーション情報を取得し、該ナビゲーション情報に基づいて類似走行パターンを取得し、該類似走行パターンに基づいて消費パワーPw〔kW〕を推定する。
【0131】
そのために、前記消費パワー推定処理手段のナビゲーション情報取得処理手段は、ナビゲーション情報取得処理を行い、情報記録部としてのデータ記録部36に記録された道路情報(勾配、路面情報等)、並びに送受信部としての通信部38から受信された交通情報(渋滞情報、車の流れ、車速等)、及び周囲環境情報(気温、天候等)を取得する(ステップS2−7−21)。
【0132】
続いて、前記消費パワー推定処理手段の前記走行パターン取得処理手段は、前記道路情報、交通情報及び周囲環境情報の走行履歴に基づいて、RAM32に形成された走行パターン記録部を参照し、前記走行履歴と類似する走行パターンである類似走行パターンを取得する(ステップS2−7−22)。
【0133】
そのために、前記CPU31の前記走行パターン設定処理手段は、ハイブリッド型車両の走行中に収集された収集情報にインデックスを付与して、図16に示されるような走行パターンPtj(j=11、12、…)をあらかじめ設定し、前記走行パターン記録部に記録する。
【0134】
前記走行パターンPtjは、道路状況を表す勾配、渋滞状況等、走行状況を表す走行距離、走行時間、加減速状況等、及び周囲環境状況を表す気温、天候、走行時刻等の各情報から成り、該各情報は、道路状況、走行状況及び周囲環境状況のインデックス、並びに勾配、渋滞状況、走行距離、走行時間、加減速状況、気温、天候、走行時刻等のインデックスが付与され、分類されて前記走行パターン記録部に記録される。
【0135】
また、本実施の形態においては、同じ経路に沿ってハイブリッド型車両を走行させるたびに、距離当たり消費エネルギーEu〔kWh/km〕が算出され、前回ハイブリッド型車両を走行させたときに算出された距離当たり消費エネルギーと、今回ハイブリッド型車両を走行させたときに算出された距離当たり消費エネルギーとの差が、次回ハイブリッド型車両を走行パターンPtiで走行させるときに加算されるエネルギー加算値として記録される。
【0136】
なお、前記走行パターン取得処理において、走行パターン記録部に類似走行パターンがない場合、前記走行パターン取得処理手段は、学習機能によって類似走行パターンを作成することにより取得する。
【0137】
そのために、前記走行パターン取得処理手段は、前記走行パターン記録部を参照し、走行パターンPtjのうちの、道路状況、走行状況及び周囲環境状況のインデックスごとに走行履歴と類似するパターン情報を備えた走行パターンを検索し、各インデックスごとのパターン情報を組み合わせることによって、新たな走行パターンを類似走行パターンPtnとする。この場合、例えば、図17に示されるように、類似走行パターンPtnは、走行パターンPt11の道路状況、走行パターンPt12の走行状況及び走行パターンPt13の周囲環境状況の各走行パターン情報から成る。
【0138】
続いて、前記消費パワー推定処理手段の前記消費パワー算出処理手段は、推定された類似走行パターンPtnに基づいて、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させるのに必要な消費パワーPw〔kW〕を算出する(ステップS2−7−23)。
【0139】
そのために、前記消費パワー算出処理手段は、第1の実施の形態と同様に、類似走行パターンPtnから走行距離Lp〔km〕及び走行時間Tp〔h〕を取得し、ハイブリッド型車両を目標走行時間T1〔h〕の間走行させる間の平均車速av〔km/h〕
av=Lp/Tp
を算出する。続いて、前記消費パワー算出処理手段は、類似走行パターンPtnに基づいて走行抵抗R〔N〕を算出し、ハイブリッド型車両を走行させる際に走行抵抗R〔N〕によって消費される走行抵抗消費パワーPd〔kW〕
Pd=R・av
を算出する。
【0140】
続いて、前記消費パワー算出処理手段は、類似走行パターンPtnに基づいて補機消費パワーPh〔kW〕及び回生電力Pk〔kW〕を算出し、前記走行抵抗消費パワーPd〔kW〕、補機消費パワーPh〔kW〕及び回生電力Pk〔kW〕に基づいて、ハイブリッド型車両を走行させるのに必要な消費パワーPw〔kW〕を算出する。このようにして、消費パワーPw〔kW〕を推定することができる。
【0141】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0142】
11 駆動モータ
14 バッテリ
15 発電機
18 エンジン
31 CPU
av 平均車速
Eu 距離当たり消費エネルギー
F 燃料残量
Gu 距離当たり発電エネルギー
Pw 消費パワー
SOC バッテリ残量
T1 目標走行時間
T2 走行可能時間
Pg 出力
R 走行抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、
発電装置と、
該発電装置を駆動するエンジンと、
前記蓄電装置及び発電装置と接続され、蓄電装置及び発電装置から供給される電力によって駆動される駆動モータと、
走行抵抗によって消費されるパワー及び補機によって消費されるパワーに基づいて、電動駆動車両を目標走行時間の間走行させるのに必要な消費パワーを推定する消費パワー推定処理手段と、
該消費パワー推定処理手段によって推定された消費パワー及び平均車速に基づいて、距離当たり消費エネルギーを算出する距離当たり消費エネルギー算出処理手段と、
前記発電装置の出力及び平均車速に基づいて距離当たり発電エネルギーを算出する発電エネルギー算出処理手段と、
前記距離当たり消費エネルギー、距離当たり発電エネルギー、蓄電装置のバッテリ残量及びエンジンに供給される燃料の残量に基づいて、電動駆動車両を走行させることができる走行可能時間を算出する走行可能時間算出処理手段とを有することを特徴とする電動駆動車両。
【請求項2】
前記走行可能時間は、前記燃料の残量によって制限される第1の発電可能時間、及び前記バッテリ残量によって制限される第2の発電可能時間のうちの短い方の発電可能時間である請求項1に記載の電動駆動車両。
【請求項3】
前記第1の発電可能時間は、前記発電装置を一定の出力で駆動して発電を行った場合の、前記燃料の残量によって制限される時間である請求項2に記載の電動駆動車両。
【請求項4】
前記蓄電装置の残存エネルギー、前記距離当たり消費エネルギー及び平均車速に基づいて、発電装置による発電を行うことなく電動駆動車両を走行させることができるEV走行可能時間を算出するEV走行可能時間算出処理手段を有する請求項1に記載の電動駆動車両。
【請求項5】
前記走行可能時間が目標走行時間より短い場合に、電動駆動車両を目標走行時間の間走行することができるように走行方法を案内する走行方法案内処理手段を有する請求項1に記載の電動駆動車両。
【請求項6】
前記EV走行可能時間が目標走行時間より短い場合に、前記発電装置による発電を行う発電処理手段を有する請求項4に記載の電動駆動車両。
【請求項7】
既に推定された消費パワーがある場合に、前記消費パワー推定処理手段は、既に推定された消費パワー、及び実際の走行状況に対応する実消費パワーに基づいて消費パワーを推定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動駆動車両。
【請求項8】
複数の走行パターンが記録された走行パターン記録部から走行履歴と類似する類似走行パターンを取得する走行パターン取得処理手段を有するとともに、
前記走行抵抗によって消費されるパワー、補機によって消費されるパワー及び平均車速は、類似走行パターンに基づいて算出される請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動駆動車両。
【請求項9】
道路情報、交通情報及び周囲環境情報をナビゲーション装置から取得する情報取得処理手段を有するとともに、
前記走行抵抗によって消費されるパワー、補機によって消費されるパワー及び平均車速は、前記道路情報、交通情報及び周囲環境情報に基づいて算出される請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動駆動車両。
【請求項10】
前記走行パターンは走行履歴に基づいて作成される請求項8に記載の電動駆動車両。
【請求項11】
前記走行パターンはナビゲーション情報に基づいて作成される請求項8に記載の電動駆動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−75561(P2013−75561A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215428(P2011−215428)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】