説明

電子工学の製造分野での錫−銀ハンダ・バンプ

Sn2+イオン源、Agイオン源、チオ尿素化合物及び/或いは第4級アンモニウム塩の界面活性剤を含む電解メッキ浴にバンプ下冶金構造を曝し、Sn−Ag合金をバンプ下冶金構造に沈着させるため、外部から電子を電解浴に供給することからなる、マイクロ電子デバイス製造におけるバンプ下冶金構造上にハンダ・バンプを形成するためのプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錫をベ−スとした合金をメッキするための電気メッキ浴及び方法に関するが、とりわけマイクロ電子デバイスの製造における、錫−銀(Sn−Ag)合金ハンダ・ウエハバンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンダ・ウエハバンプは、従来のものは、錫−鉛(Sn−Pb)合金グループのハンダを構成している。錫−鉛ハンダは、63%の錫と37%の鉛の構成からなる低融点共融物を含む多くの組成で形成される。高錫合金は、良いハンダと呼ばれ、電気用途で広く使用されている。多くの錫−鉛合金組成はそれらの仕事の可能性を高める幅広い糊状温度範囲を示す。
【0003】
最近の法規制や環境的展開は、鉛のないハンダへの興味が増している。従って、純粋な錫、錫−銅、錫−ビスマス、錫−銀、及び、三元錫合金が、錫−鉛合金に対する潜在的代替品としてずっと研究されてきている。低い抵抗値、安定性、融点を広い範囲に亘って変えられる能力や、純粋な錫資源を用いることによるアルファ粒子放出の除去といった性能上の利点を多く持っているので、特に興味は、錫−銀合金に集まっている。
【0004】
錫−銀合金ハンダ・ウエハバンプにおける銀の使用と結びついた特別な問題は、電気メッキ浴から銀イオンが自然発生的に還元する事と結びついている。例えば、銀イオンは、非常に貴重で、ある種のUBM層、特に銅層に曝すと浸濆/置き換えメッキに向かう傾向がある。従って電気メッキ溶液中の銀イオン濃度の正確な制御とそれ故に、銀金属含量の制御と、錫−銀ハンダ・ウエハバンプの均一性を与えることは難しい。溶液中の銀イオン含量の制御と、合金ハンダ・ウエハバンプの銀金属含量の制御を可能にするメッキ法の要求がある。
【0005】
錫−銀合金ハンダ・ウエハバンプを用いるマイクロ電子デバイス製造業者が直面する他の問題は、従来の電解メッキ浴を用いて達成された限られた電流密度に起因する低い効率にある。例えば、アメリカ特許、USP 6,638,847には、錫−銀を含む錫主体の合金の電解メッキに有用な電流密度が3〜5ASD(適正電流密度)であると報告されている。キム等は、チオ尿素を錯化剤として用いて、錫―銀ハンダのメッキの電流密度を1〜3ASDと報告している。錫−銀ハンダ組成についての電解メッキの効果を見て欲しい(J. Electronic Materials, Dec. 2004)。従って、高い電流密度で、より高い効率でメッキが達成できるメッキ組成に対する要求が有る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の様々な面で、電解メッキ浴の準備や、錫−銀合金ハンダ・ウエハバンプの方法が報告され、溶液中の銀イオンの安定性を高める添加剤の入った浴は、高電流密度でのメッキを可能にし、バンプと銅バンプ下冶金(Cu UBM)の間の空孔を大幅に減らすか、完全に除去した錫−銀ウエハバンプをメッキする事にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、錫の2価イオン(Sn2+)源、銀の1価イオン(Ag)源、及びN−アリルーチオ尿素化合物を含む電気分解浴にUBM構造を曝し、そして外部から電子源を電気分解浴に供給して、錫−銀合金をUBM構造に沈着させる事を含むハンダ・バンプを形成するプロセスに関する。
【0008】
本発明は、また錫の2価イオン(Sn2+)源、銀の1価イオン(Ag)源、及び第4級アンモニウム塩の界面活性剤を含む電気分解浴にUBM構造を曝し、そして外部から電子源を電気分解浴に供給して、錫−銀合金をUBM構造に沈着させる事を含むハンダ・バンプを形成するプロセスに関する。
【0009】
発明は、また錫の2価イオン(Sn2+)源、銀の1価イオン(Ag)源、及びアミディノチオ尿素(Amidinothiourea)を含む電気分解浴にUBM構造を曝し、そして外部から電子源を電気分解浴に供給して、錫−銀合金をUBM構造に沈着させる事を含むハンダ・バンプを形成するプロセスに関する。
【0010】
他の面で、本発明はハンダ・バンプの沈着の為、錫−銀電気分解浴を形成する為のプロセスに関するものであり、このプロセスは、Agイオン源をAgイオン用複合体と水とを結びつけて、浴の前駆物質を形成することを含むプロセスである。浴の前駆物質は、Sn+2源が完全に存在しないAg複合体で、Sn+2イオン源をAg複合体を含む浴前駆物質に添加して形成する。
【0011】
他の面で、本発明は、Sn+2イオン源、Agイオン源、N−アリルチオ尿素、及び第4級アンモニウム塩の界面活性剤から構成される錫−銀ハンダ・バンプをメッキする為の電気メッキ組成に関する。そして又、Sn+2イオン源、Agイオン源、アミディノチオ尿素化合物から構成される錫−銀ハンダ・バンプをメッキする為の電気メッキ組成にも関するものである。
【0012】
発明の他の目的及び特徴は、一部は明白であり、一部は以下に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
現在の発明と同じで、Sn−Ag合金ハンダ・バンプは、マイクロ電子部品の製造に使用される金属層でメッキされたシリコン・ウエハ基板のようなUBM上に、電解メッキ浴で沈着される。例えば、Sn−Ag合金ハンダ・バンプは、均一なバンプ高さ、バンプ内の均一なAg含量、分布と良いリフロ−特徴を持って沈着されうる。有利な点としては、電解メッキ浴は、Ag液浸のCu UBMの置き換え、或いは可溶性Sn陽極に関して良い安定性を示し、Sn−Ag合金を高い電流密度でメッキする事が出来る。例えば、実際に、メッキ浴は、Cu UBMのAg置き換えなしで、或いは可溶性Sn陽極で、Sn−Ag合金をデシメーター当たり20アンペア(Amp/dm、以下ASD)迄の高電流密度でメッキする事が出来る。驚くべき事に、メッキ浴は、バンプとCu−UBMの間の空孔を大幅に減らすか取り除いて、Sn−Ag合金バンプをメッキする。此処に本発明は、例えば、図1A,1B,1Cに示す沈着したハンダ・バンプパターンのマイクロ電子部品基板上のSn−Ag合金ハンダ・バンプについて記述する。これらのバンプは、リフローして、図2A,2B,2Cに示すリフローバンプパターンを生ずる。しかしながら、電子部品基板としての基板の性質は、発明の応用に対して重要ではない。
【0014】
本発明は、Sn−Ag電解メッキ浴へのある種の添加物が、Agの安定性を増し、高い電流密度でのメッキを可能にするという発見から生じている。発見した添加物は、先に述べたAgイオンの意図しない表面への自然な還元を大幅に減らす。このことは浴の安定性と予定のめっきのSn−Ag割合の均一性を損なう。一つの態様は、Agイオンの安定性を高め、使用可能な電流密度を広げてこれらの利点を達成するには、強くAgイオンを複合体とするN−アリルチオ尿素化合物が浴に含まれることである。そのような化合物の一つは、N−アリル−N‘−ヒドロキシアルキル−チオ尿素化合物である。一つの態様は、アルキルグル−プはエチルで、ヒドロキシグル−プは、エチルグル−プのβ位置にある。この化合物、N−アリル−N‘−β−ヒドロキシエチル−チオ尿素は、以下にHEATと言及する。強くAgイオンを複合化するN−アリルチオ尿素化合物は、AgイオンのCu UBM及び可溶性Sn陽極への置き換え大幅に阻止する。一つの態様は、Agイオンの安定性は、Agイオンを強く複合化するアミディノチオ尿素化合物を浴中に含むことによって高められる。一つの好ましい態様は、アミディノチオ尿素化合物の中の、アミディノチオ尿素である。
【0015】
安定した銀の複合体の形成は、電流密度が別の急速なAgイオン拡散速度による制限を受けることなく、Sn+2イオンのそれにより近い還元電位を減らす。その代り、電流密度は、Sn+2イオンの拡散速度によって制限を受ける。Sn+2イオンは、非常に高い電流密度が用いられ、典型的には、凡そ50g/Lから凡そ60g/Lあるいはそれ以上の高濃度で、存在する。
【0016】
選ばれたN−アリルチオ尿素化合物は、酸性のpHでAgイオンと複合体を形成することで、浴中のAgイオンの溶解度を増加するように働き、そしてAgイオンおよびCu−UBMまたは、可溶性Sn陽極の間の置き換え反応を阻害する。その上、これらN−アリルチオ尿素化合物は、Agの還元した電位をSn+2の還元した電位により近くなるように動かして、高い電流密度でメッキを可能にする。代表的には、N−アリルチオ尿素化合物は、N−アリルチオ尿素とHEATが有る。適当なN−アリルチオ尿素化合物を選んで、酸性pHでAgイオンを持った水可溶性の複合体を生じないか、または有毒である化合物は避けられる。HSAB(hard−soft−acid−base)概念と硫黄を含む化合物のPi結合(π結合)に基づいて、HEATと言ったN−アリルチオ尿素化合物が、Ag−S−Ag間に橋掛け2e−3中心結合を持った4面体複合体を生成し、Agイオンと複合体を形成する有用な添加剤と考えられている。一般に、適したN−アリルチオ尿素化合物は、以下の一般構造で下記に示される。(1)

ここで、R,R,R,R,R,及びRは、おのおの独立したH、OH、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビル、ヘテロシクロアルキル,置換ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである。
【0017】
,R,R,R,R及びRの何れもが、ヘテロシクロアルキル或いはヘテロアリールの場合、リング置換基は酸素、硫黄及び窒素原子を含む。代表的には、置換Rグループの置換基は、ハライド、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ニトロ、シアノ及びメルカプタンである。一つの好ましい態様は、R,R,R,R及びRが、水素である。他の好ましい態様は、R,R,R,R,R及びRがH(水素)であり、化合物がN−アリルチオ尿素である。特に好ましい態様は、R,R,R,R及びRがH(水素)で、Rが−CHCHOH、そして、以下の構造を持つN−アリルチオ尿素化合物がHEATである。(2)

【0018】
選ばれたアミディノチオ尿素(Amidinothiourea)化合物は、酸性のpHでAgイオンと複合体を形成することで浴中のAgイオンの溶解度を増加するように働き、そしてAgイオンおよびCu−UBMまたは、可溶性Sn陽極の間の置き換え反応を阻害する。適当なN−アリルチオ尿素化合物を選んで、酸性pHでAgイオンを持った水可溶性の複合体を生じないか、または有毒である化合物は避けられる。適したアミディノチオ尿素化合物の一般式は、以下の式で下記に示される。(3)

ここで、
とRは、硫黄と窒素のいずれかで、Rが硫黄の時、Rは窒素、Rが窒素の時、Rが硫黄である。
10,R11,R12,R13は、おのおの独立したH、OH、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである。
【0019】
代表的には、置換R10,R11,R12,R13の置換基は、ハライド、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ニトロ、シアノ及びメルカプタンである。一つの好ましい態様は、R10,R11,R12,R13が、全部水素であり、アミディノチオ尿素化合物はアミディノチオ尿素で有り、以下の構造を持つ。(4)

【0020】
本発明中の浴中のN−アリルチオ尿素化合物或いはアミディノチオ尿素化合物の濃度は、凡そ0.5g/Lから凡そ24g/Lの間である。化合物の大量の使用は、分解を引き起こして遊離のチオ尿素誘導体を生ずる。化合物の少量の使用は、不十分な銀複合体を生ずる。一つの態様で、濃度は、凡そ1.4g/L、凡そ1.5g/L、凡そ1.7g/L、或いは凡そ2.2g/Lの例にあるように、少なくとも凡そ1g/L必要である。一つの態様では、濃度は、凡そ8g/L、凡そ6g/L、凡そ4g/L、或いは凡そ3g/Lの例にあるように、凡そ8g/L以上で有る必要はない。一つの態様で、凡そ0.5g/Lと、凡そ16g/Lの間の濃度のHEATが、Agイオン複合体に添加され、その溶解度を高める。一方、AgイオンおよびCu−UBMまたは、可溶性Sn陽極の間の置き換え反応もまた阻害する。一つの態様で、凡そ1g/Lと凡そ8g/Lの間のアミディノチオ尿素の例にあるように、凡そ0.5g/Lと、凡そ16g/Lの間の濃度のアミディノチオ尿素がAgイオン複合体に添加され、その溶解度を高める。
【0021】
銀浸漬メッキ(または置換メッキとして知られている)は、Agイオンの高い移動性によって電解メッキ浴中で自発的に起こる。Agの還元は以下の反応で記述される。
1) Ag + e− → Ag E = +0.80V (対 標準水素電極)
反応に対するE が正の値を取ることは、Agの酸化還元電位も正を取ると示している。Cu2+ Sn4+ は、以下の還元反応のより低い還元電位で示される様に、Agより動きにくい。
2)Cu2+ + 2e− → Cu E = +0.34V (対 標準水素電極)
3)Sn4+ + 2e− → Sn2+ = +0.15V (対 標準水素電極)
従って、水溶性Agイオンを水溶性Sn2+イオン及び/或いはCu UBMに曝すと、Agイオンは自発的にSn2+イオンをSn4+イオンに、そしてCu金属をCu2+イオンに酸化する。同時に、Agイオンは、還元されてAg金属にな、る。このAg金属は、溶液中に浮遊する細かく分離した金属になり、或いは自然と基板、メッキタンクの壁、或いは可溶性Sn陽極に沈着する。自発的Agイオン置換メッキは、電解メッキ浴中で、Agイオンの濃度制御の難しさを与えたメッキ浴は、Sn基板のハンダ・ウエハ等の電解メッキ合金中のAgの使用に厳しい制約が有る。従って、HEATやアミディノチオ尿素等のチオ尿素化合物が、Sn−Ag電解メッキ浴に添加されてAgイオンと複合体を形成し、それにより、メッキ浴中のAgイオンの溶解性と安定性の両者を制御する。HEATおよびアミディノチオ尿素は、有利にも、Agイオンの還元電位を低くして、Sn2+イオンの還元電位に近い電位にして、Sn−Ag合金ハンダ・ウエハバンプのAg金属の濃度や均一性のより良い制御を可能にし、高電流密度でメッキが可能である。
【0022】
使用可能な電流密度範囲を広げて、チオ尿素化合物の効果を更に高めるには、現在の好ましい態様では、ある種の第4級アンモニウム塩の界面活性剤が添加されることである。本発明のメッキ浴に添加して有用性が見いだされている第4級アンモニウム塩の界面活性剤は、アルキル ジメチル ベンジル アンモニウム塩である。この時、アルキル基が、炭素数が10〜18で、好ましくは、炭素数が12〜14で有ることが良い。アルキル基は、置換されたり、されなかったりである。特に好ましい第4級アンモニウム塩の界面活性剤は、C12/C14のジメチル ベンジル 塩化アンモニウム塩は取引名ドデイゲン226の名前で知られている。ドデイゲン226は、ラウリル ジメチル ベンジル 塩化アンモニウム塩を含み、ミリスチル ジメチル ベンジル 塩化アンモニウムを含む。有利な事に、この化合物は、更に付け加えて、穀物の品種改良用として働き、節の成長を妨げる。第4級アンモニウム塩の界面活性剤は更に、有用な電流密度範囲を広げ、穀物の品種改良用として働き、節の成長を妨げる。特定の理論に縛られることなく、第4級アンモニウム塩の界面活性剤は更に、塩が、Sn2+及びAgイオンの両者を結びつける事が出来て、電流密度範囲を広げると考えられている。かくして、これら金属イオンの拡散を妨げ、メッキ電流密度範囲を拡大させることが可能となる。
【0023】
本発明の浴において、第4級アンモニウム塩の界面活性剤の濃度は、凡そ0.1g/Lと凡そ20g/Lの間、好ましくは、凡そ0.8g/L、凡そ1.6g/L、あるいは、凡そ2.0g/Lと有るように、凡そ0.8g/Lと凡そ15g/Lの間が好ましい。例えば、ドディゲン226(Dodigen 226)を、凡そ0.5g/Lと凡そ10g/Lの間で添加されると、使用可能な電流密度範囲を広げ、穀物の大きさを品種改良し、そして、Sn−Agハンダ・ウエハバンプにおける節の成長を妨げる。余りにも大量の化合物の使用は、浴の不安定性を引き起こし、ウエハの中心で、節の生成が増加する。あまりに少ない化合物の使用は、高電流密度メッキの不十分な抑制を生じ、そしてそれ故、高い電流密度領域で、節の成長のリスクは増加する。
【0024】
従来のSn−Ag電解メッキ浴においてメッキは、低い電流密度に限定される。典型的に、従来のメッキ浴で実際に行われる電流密度は、凡そ1ASDより大きくない。限定された電流密度が不利にメッキ効率に影響を及ぼす。浴中のAgイオンの急速な拡散速度のために、従来の浴はそのような低い電流密度に限定される。HEATやアミディノチオ尿素等のチオ尿素化合物、及びドディゲン226等の第4級アンモニウム塩の界面活性剤を構成とする本発明の電解メッキ浴は、電流密度が、凡そ20ASDまでの電流密度でメッキされる。これら添加剤を組み込むことで、浴中のAgイオンの増加した溶解度や安定性は、全面的にAgイオンの拡散率を抑え、そしてそのことは、全面的にSn2+拡散率も抑えることになる。何故ならSn2+イオン濃度は、凡そ50g/Lから凡そ60g/Lの範囲に有るから、限定された電流値での拡散率は、ずっと高い。この発見を利用して、発明のプロセスは、凡そ4ASDより大きい電流密度採用する。一つの好ましい態様は、8ASDよりも大きい電流密度を採用することである。他の好ましい高い効率の態様は、電流密度10ASD以上を採用することである。
【0025】
浴の他の成分として、Sn2+イオン源、Agイオン源、酸化防止剤及び界面活性剤等が添加される。
【0026】
Sn2+イオン源は、Sn2+塩から成る可溶性陽極であるか、或いは、不溶性の陽極が用いられる場合は、可溶性のSn2+塩である。両者の場合、一つの好ましい態様は、Sn2+イオン塩がSn(CHSO(錫メタンスルフォン酸である。以後Sn(MSA))とする。Sn(MSA)は、その高い溶解性の故に、好ましいSn2+イオン源である。その上、メタンスルフォン酸を用いることで、本発明のSn−Agメッキ浴のpHは、下げられるかもしれない。そして、例えば、Sn(X)よりはむしろ、Sn源としてSn(MSA)を使用すると、
2−等の不必要な追加陰イオンを、特にAgを大幅に不溶性にするメッキ浴に導入することを避ける事が出来る。典型的には、Sn2+イオン源の濃度は、浴中に凡そ10g/Lから凡そ100g/Lの間で、好ましくは、凡そ15g/Lから95g/Lの間で、最も好ましくは、凡そ40g/Lから凡そ60g/Lの間のメッキ浴にすることで、十分で有る。例えば、Sn(MSA)は、凡そ30g/Lから凡そ60g/LのSn2+イオンをメッキ浴に添加される。
【0027】
Agイオンは控えめに言っても大抵の陰イオンに可溶性である。それ故、Agイオン源は、硝酸塩、アセテート塩そして、最も好ましくは、スルフォン酸メタン塩といったものに限定される。典型的には、Agイオン源の濃度は、浴中に凡そ0.1g/Lから凡そ1.5g/Lの間で、好ましくは、凡そ0.3g/Lから凡そ0.7g/Lの間で、最も好ましくは、凡そ0.4g/Lから凡そ0.6g/Lの間にすることで、十分で有る。例えば、Ag(MSA)は、凡そ0.2g/Lおよび1.0g/Lの間のAgイオンをメッキ浴に添加する。
【0028】
酸化防止剤を本発明の浴に添加して、溶液中のSn2+イオンの酸化に対して浴を安定化出来る。Sn−Ag合金をハンダ・ウエハバンプをメッキするための電解メッキ浴で、Agイオンは、Sn2+より貴金属であるが、上記で説明したように、Sn2+からSn4+に自然酸化する。この自然酸化還元反応は、Ag金属をCu UBMやメッキタンクの内壁の上、あるいは可溶性Sn陽極に沈着できる。そして溶液中に、細かく分割したAgメタル粒子を形成する。加えて、安定な水酸化物や酸化物を形成するSn4+の、4電子付与プロセスであるSnへの還元は、反応をゆっくりしたものにする。HEATや他のチオ尿素化合物は浴に添加して、自然なAgの還元やSn2+の酸化を妨げるが、好ましくは、このレドックス反応に対して、浴を安定化するために、浴のさらなる安定化のため酸化防止剤を添加するのが好ましい。したがって、ハイドロキノン、カテコール、およびヒドロシル、ジヒドロキシル或いはトリヒドロキシル安息香酸といった好ましい酸化防止剤が、凡そ0.1g/Lから凡そ1.0g/Lの間で、より好ましくは、凡そ0.5g/Lから凡そ3g/Lの間で添加される。例えば、ハイドロキノンは、浴に凡そ2g/Lの濃度で添加される。
【0029】
界面活性剤は、バンプ下の金属構造やレジストマテリアルの濡れ性を促進するため加えられる。そして、ウエハ・バンプの沈着を高める。界面活性剤は、おだやかな沈着禁止剤として役に立つように見える。この沈着禁止剤は、フイルムの形態を改善しながら、或程度3次元成長を抑制する。このことは、より均一なバンプを生じて、結晶粒度の欠点を除く事を助ける事が出来る。模範的アニオン界面活性剤は、アルキルフォスフォネイト、アルキルエーテルフォスフェイト、アルキルサルフェイト、アルキルエーテルサルフェイト、アルキルスルフォネイト、アルキルエーテルスルフォネイト、カルボキシル酸エーテル、カルボキシル酸エステル、アルキルアリールスルフォネイト、アリールアルキルエーテルスルフォネイト、アリールスルフォネイト、そしてコハク酸スルフォンを含む。特に好ましいアニオン界面活性剤は、Ralufon NAPE 14−90(Raschig GmbH,Ludwigshahafen,Germanyから利用できる)で、これはβ−ナフトール ヒドロキシル グループに結合したプロピレン オキサイドユニットのブロックと、プロピレン オキサイドのブロックに結合したエチレン オキサイドユニットを有するスルフォネイト化β−ナフトール プロポキシレート/エトキシレートで、末端は、プロパンスルフォネイトである。模範的には、陽イオン表面活性剤は、ドデシル トリメチル 塩化アンモニウム、セチール トリメチル 塩化アンモニウム及び類似物である第4級アンモニウム塩を含む。模範的には、非イオン界面活性剤は、グリコール及びグリセロール エステル、ポリエチレン グリコール、そしてポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールを含む。好ましい非イオン界面活性剤は、β−ナフトール ヒドロキシル グループに結合した1から凡そ24の間のエチレンレオキサイド モノマーユニットを有するナフトールエトキシレイトのようなβ−ナフトール誘導体を含む。より好ましくは凡そ8から凡そ16の間のエチレンレオキサイド モノマーユニットである。特に好ましい非イオン系界面活性剤は、ナフトールヒドロキシル グループに結合した12のエチレンオキサイド モノマーユニットを有するβ−ナフトールエトキシレートで、Lugalvan BNO12である。界面活性剤は、電解メッキ浴に濃度が凡そ0.1g/Lから50g/L、好ましくは、凡そ5g/Lから凡そ20g/Lの間で存在する。
【0030】
本発明の電解メッキ浴は、好ましくは酸性のpHを持って、陽極の不動態化を禁じて、より良い陰極の効率を達成して、そして、より延びのある沈殿物を達成する。従って、浴のpHは、好ましくは、凡そ0から凡そ3である。好ましい態様で、浴のpHは、0である。酸の選択は、低い溶解度、或いは大抵の銀塩の不溶性で限定される。従って、好ましい酸のpHは、硝酸、酢酸、メタンスルフォン酸(メチルスルフォン酸)を用いて達成できる。一つの好ましい態様は、酸がメタンスルフォン酸である。酸の濃度は好ましくは、凡そ50g/Lから凡そ200g/L、より好ましくは、凡そ70g/Lから凡そ120g/L、である。例えば、凡そ50g/Lから凡そ160g/L、で、メタンスルフォン酸を電解メッキ浴に入れて、浴のpHを0にすると、伝導性電解質として働く。
【0031】
本発明の電解メッキ浴は、好ましくは、プリント基板(printed wiring boards ;PWB)等のマイクロ電子部品の製造において、銅バンプ下冶金(Cu UBM)上のSn−Ag合金ハンダ・ウエハバンプにメッキするのに用いられる。しかしながら、メッキ浴は、錫を主体にしたハンダ・ウエハバンプを必要とする何れの応用にも使用される。使用される浴の安定性と高い電流密度のために、有利に高速度でメッキされる。
【0032】
発明の一つの応用は、個々のハンダ・バンプをその上に載せた電子部品である図1及び図2の製品を産むことが、プロセスのゴールである。特定のプロセスに関して、最初のステップは、基板の準備である。基板の準備は本発明では、厳密な関係がない。しかし、発明が基板の準備から点検に進む次の全面的な過程に移行した時に、注意されるべきである。
1) スパッターしたCuの種層或いはCu UBM(この層の厚みは300Åと3000Åの間)を持ったパターン化したウエハの光硬化性樹脂の入手
2) Sn−Ag(この層の厚みは普通1〜3ミクロン)等のハンダ・バンプへのCuの拡散を防ぐための第二のUBM層の沈着
3) 普通マッシュルーム型(バンプ高さは50ミクロンから100ミクロンと変わる)のSn−Ag等のハンダ・バンプの沈着
4) 光硬化性樹脂の除去
5) Cu UBMのエッチング
6) Sn−Agバンプのリフロー
7) バンプ高さ、銀合金均一性測定、気泡分析等の検査やキャラクタリゼーション
【0033】
本発明のバンプのための電解メッキ操作の間中、メッキ溶液は好ましくは、凡そ15℃と凡そ50℃の間の温度で保たれるのが良い。一つの好ましい態様は、温度が凡そ25℃と凡そ35℃の間である。基板はメッキ浴に浸されるか、または別の方法で曝される。使用される電流密度は、上に記述したように、凡そ1A/dmから凡そ20A/dm、好ましくは凡そ1A/dmから凡そ16A/dmである。これらの電流密度で、メッキ速度は、凡そ1μm/分と凡そ10μm/分の間にある。典型的には、電気分解によって沈着したSn−Ag合金ハンダ・ウエハバンプは、凡そ10μmと100μmの間にある。このことは、先のメッキ速度の観点から、凡そ10分と凡そ30分の間、基板を溶液中に浸した事に相当する。
【0034】
陽極は可溶性陽極か不溶性陽極である。もし可溶性陽極が用いられるなら、陽極はできれば、メッキ浴中のSn2+イオン源が可溶性陽極であるようなSn(MSA)で構成されると良い。可溶性陽極の使用は、Sn2+イオン濃度が低い濃度或いは高い濃度のいずれにも成らないで、Sn2+イオン濃度の注意深い制御を可能にするという利点がある。不溶性陽極は、錫主体の可溶性陽極の替わりに用いられる。好ましい不溶性陽極としてはPt/Ti、Pt/NbやDSAs(寸法的に安定な陽極)を含む。不溶性陽極が使用されれば、Sn2+イオンが可溶性のSn2+の塩として導入される。
【0035】
メッキ操作の間、Sn2+イオン及びAgイオンは、電解メッキ溶液から減る。急速な減少は、特に、本発明のメッキ浴で達成可能な高電流密度で起こる。それ故、Sn2+イオン及びAgイオンは、多くの方法に従って補充される。もし錫を主体にした可溶性陽極が使用される場合、Sn2+イオンはメッキ操作の間中、陽極の溶解によって補充される。もし不溶性陽極が使用される場合、電解メッキ溶液が連続型メッキ法か或いは、使い捨て型(use−and−dispose)メッキ法に従って補充される。この方式では、反応物は周期的に補充されなければならない。そしてメッキ浴の周期的濾過を必要としながら、反応生成物は集める。代わりに、本発明による電解メッキの組成は、いわゆる使い捨て型沈着プロセスに適している。使い捨て型方式では、メッキ組成は基板処理に用いられ浴の容積は無駄な流れに向けられる。後者の方法はずっと高価であるかも知れないが、使い捨て型方式は度量衡学を必要とはしない。すなわち、浴の安定性を維持するため、液の溶液組成の測定と調整は必要とされない。
【0036】
SnAgハンダ・バンプの電解メッキ終了後、全ウエハを塗布するため、スプレイでフラックスをゆっくりとつける。好ましくは十分なフラックスを、全てのバンプに十分に浸透させてつける。フラックスをつけた後、技術として知られている方法に従って、リフローされる。
【0037】
本発明の電解メッキ浴は、Agイオンの自然な還元に対し有利に安定であり、従来のメッキ浴で行われるよりも高い電流密度でメッキが出来る。電解メッキ浴は、Ag金属含量が凡そ1wt%から凡そ4wt%の間、好ましくは、凡そ2wt%から凡そ3wt%の間を持ってSn−Ag合金のメッキに使用され、そのプロセスはそれ故、凡そ221℃と凡そ226℃の間の広い範囲の融点を持つSn−Ag合金をメッキする機能を提供するプロセスに使用される。Sn−Agハンダ・ウエハバンプは、バンプとCu UBMの間の空孔を大幅に減らすか除去するかしてメッキされる。更に、本発明の浴のAgイオン安定化成分のために、Ag金属はSn−Ag合金中に、均一に分布する。この均一性は、リフローを上手くする事が重要である。バンプ特性及び機械的強度がウエハ或いは他の基板にわたって、均一であることを保証する。
【0038】
以下の例で、更に、本発明を説明する。
【実施例1】
【0039】
Sn−Agバンプ・ウエハバンプ電解メッキ浴及び準備の方法
電解メッキSn−Ag合金ハンダ・ウエハバンプは以下の成分のものを準備された:
2.22g/L HEAT
60g/L Sn2+{156g/LSn(MSA)として}
0.5g/L Ag{0.94g/LAg(MSA)として}
100ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
7.0g/L Lugalvan BN012
1.6g/L Dodigen 226
pH0
【0040】
浴は、0.5g/Lの消泡剤SFを任意に含ませてもよい。
【0041】
この浴の1リッター以下の処方箋で準備される。
1)水(約400mL)を1Lフラスコに加える。
2)MSA(70%溶液の100mL)を加えて溶液を攪拌する。
3)HEAT(2.22g)を加えて、溶液を凡そ5分間攪拌する。
4)Ag(MSA)(0.84g)を加えて、溶液を凡そ5分間攪拌する。
5)ハイドロキノン(2g)を加えて、溶液を凡そ5分間攪拌する。
6)Sn(MSA)(156g)を加えて、溶液を凡そ5分間攪拌する。
7)Lugalvan BNO12(7.0g)を加えて、溶液を5分間攪拌する。
8)激しく攪拌しながらDodigen226(水溶液に1.6g)を滴下する。
9)水を加えて1Lにする。
【0042】
この混合順序は増加した安定性を有利に生じるとして発見されたものである。特に、これらの多くの部分からなる剤とAg源を一緒に混合して、Sn源の添加に先行して混合の期間を与えて、安定性が増加することを見出したものである。ある種の他の成分の導入に先行して、混合体とAgイオンの間で接触させて混ぜ合わせることで前もって利点を与えるように見える。従って、この好ましいプロセスは、Agイオン源を、Agイオン用複合体と水とを結びつけて、Sn+2イオン源が完全に存在しないAg複合体からなる浴の前駆物質を形成する事を含む。“完全に存在しない”とは、全Sn+2イオン源の90%かそれ以上が、複合体及びAgイオン源の直接的混練までは加えられない事を意味する。この好ましい態様において、浴の前駆体は大幅に界面活性剤がなく、そしてプロセスはAg複合体を形成した後、浴前駆体に界面活性剤を添加することを意味するものであることが理解される。
【実施例2】
【0043】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
1.75g/L HEAT
60g/L Sn2+{156g/L Sn(MSA)として}
0.5g/L Ag{0.94g/L Ag(MSA)として}
100ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
7.0g/L Lugalvan BN012
1.6g/L Dodigen 226
【実施例3】
【0044】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
2.22g/L HEAT
60g/L Sn2+{156g/L Sn(MSA)として}
0.5g/L Ag{0.94g/L Ag(MSA)として}
100ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
7.0g/L Lugalvan BN012
1.6g/L Dodigen 226
0.5g/L 消泡剤 SF
【実施例4】
【0045】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
1.4g/L HEAT
60g/L Sn2+{156g/L Sn(MSA)として}
0.5g/L Ag{0.94g/L Ag(MSA)として}
140ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
6.7g/L Lugalvan BN012
0.8g/L Dodigen 226
【実施例5】
【0046】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
8g/L HEAT
60g/L Sn2+{156g/L Sn(MSA)として}
0.5g/L Ag{0.94g/L Ag(MSA)として}
160ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
8g/L Ralufon NAPE 1490
【実施例6】
【0047】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
6g/L HEAT
40g/L Sn2+{104g/L Sn(MSA)として}
0.4g/L Ag{0.75g/L Ag(MSA)として}
300ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
8g/L Ralufon NAPE 1490
【実施例7】
【0048】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
3g/L N,N’−ジエチルチオ尿素(DETU)
60g/L Sn2+{156g/L Sn (MSA)として}
0.5g/L Ag{0.94g/L Ag(MSA)として}
180ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
7g/L Lugalvan BN012
2g/L Dodigen 226
【実施例8】
【0049】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
1.5g/L アミジノチオ尿素
60g/L Sn2+{156g/L Sn(MSA)として}
1g/L Ag{1.88g/L Ag(MSA)として}
180 ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
【実施例9】
【0050】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
3g/L N,N’−ジメチルチオ尿素
30g/L Sn2+{78g/L Sn(MSA)として}
0.3g/L Ag{0.56g/L Ag(MSA)として}
150ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
8g/L Ralufon NAPE 1490
【実施例10】
【0051】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ電解メッキ浴
他のSn−Agメッキ浴は以下の成分のものを準備した:
4g/L N−アリルチオ尿素
60g/L Sn2+{156g/L Sn(MSA)として}
0.5g/L Ag{0.94g/L Ag(MSA)として}
100ml/L MSA(70%溶液)
2g/L ハイドロキノン
7g/L Lugalvan BN012
2g/L Dodigen 226
【実施例11】
【0052】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ沈着
実施例1の浴を用いて、Cu UBMの上にSn−Agウエハバンプをメッキした。シリコンウエハ及びCu UBM には、上述したようにダイパターンが作製される。未架橋の光硬化性物質は、30分から60分の間、メチレンクロライドと超音波攪拌を用いてウエハから除去する。Cuの金属膜は、脱イオン水(60ml)、水酸化アンモニウム(60ml,20〜24%溶液)及び過酸化水素(10ml,3%溶液)からなる溶液でエッチングした。
【0053】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプは、実施例1の浴で、パターン化されたシリコンウエハ上のダイにメッキした。ウエハ上のダイの位置と各々のダイ内のバンプの位置は図3Aと3Bに示されている。バンプは、12ASD(適正電流密度)でメッキした。バンプ高さ分布は、表面プロフィル測定装置(DEKTAK8000)で測定された。表Iは、プロフィル測定装置で得られたバンプ高さ分布のデータを示す。バンプ組成は、SEM/EDS(20KV)で測定された。表IIは、SEM/EDSで得られたAg含量(重量%)データを示す。ウエハバンプ地形図は、SEM(20KV、角度45度)を用いて測定されたものである。図1A,1B,1Cは、沈着したSn−Agハンダ・ウエハバンプを示し、倍率がそれぞれ200倍、800倍、及び3000倍のSEM写真である。各々の測定手順は、5個のバンプ(図3Bで示されるバンプパターンで、下の表I、表IIの横軸にある1,2,3,4,5で明示)は、3個のダイの位置(図3Aに示されるダイパターンで、下の表I、表IIの縦軸にある3,6,7で明示)の各々で分析した。
【実施例12】
【0054】
Sn−Agハンダ・ウエハバンプ リフロー
実施例3のSn−Agハンダウエハバンプは、グローブボックス内のホットプレートを用いてリフローした。
ステップ
1.溶融の応用実験:Lonco 3355−11
2.前加熱:揮発成分を蒸発して、溶融を活性化するようにして表面に結合する
3.リフロー:ホットプレート温度260℃で窒素雰囲気下
4.冷却:空気冷却
【0055】
リフローウエハバンプはSEM(走査型電子顕微鏡、20KV,75°傾斜)を用いて写真を撮った。図2A,2B,2Cは、沈着したリフローSn−Agハンダ・ウエハバンプの倍率がそれぞれ200倍、800倍、及び3000倍のSEM写真である。リフローバンプは、滑らかで、均一なボール形で、孔がないものを示している。
【0056】
上記に関し、発明のいくつかの目的を達成し、他の有利な結果をも成し遂げたと理解されよう。
【0057】
本発明の要素や、或いは好ましい態様を導入した時に、a,an,the及びsaidという冠詞は、一個或いはそれ以上の要素が有ることを意味するように意図されている。例えば、先の記述とそれに続く特許請求項は、一個のウエハバンプに対して、一個あるいはそれ以上のバンプがあることを意味する。“comprising”,“including”や“having”は、取り上げられた要素以外の更に付け加えられる要素があるかもしれないことを意味し、含まれると意図されている。
【0058】
発明の観点から出発しないで、上記に示したいろいろな変更がなされたので、上記記述に含まれる多くの事とそれに付随する図に示されるすべての事は実例であり、これらに限定される物ではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1A】実施例11に記述された方法に従って撮られたハンダ・バンプのSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
【図1B】実施例11に記述された方法に従って撮られたハンダ・バンプのSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
【図1C】実施例11に記述された方法に従って撮られたハンダ・バンプのSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
【図2A】実施例12に記述された方法に従って撮られたリフロ−ハンダ・バンプのSEM写真である。
【図2B】実施例12に記述された方法に従って撮られたリフロ−ハンダ・バンプのSEM写真である。
【図2C】実施例12に記述された方法に従って撮られたリフロ−ハンダ・バンプのSEM写真である。
【図3A】模造した分布状態のダイスのウエハを示す。
【図3B】各ダイス内の5つのウエハ・バンプの測定位置を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Sn−Agハンダ・メッキバンプをメッキするため、Sn2+イオン源、Agイオン源そしてN−アリル−チオ尿素化合物からなる組成物を含むことを特徴とする電解メッキ組成物。
【請求項2】
N−アリル−チオ尿素化合物が式(I)であることを特徴とする特許請求項1に記載の電解メッキ組成物。

ここで、
,R,R,R,R及びRは、おのおの独立したH、OH、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである。
【請求項3】
,R,R,R,R及びRがHであることを特徴とする特許請求項2に記載の電解メッキ組成物。
【請求項4】
,R,R,R及びRがHで、Rが−CHCHOHであることを特徴とする特許請求項2に記載の電解メッキ組成物。
【請求項5】
電解メッキ組成物が更に第4級アンモニウム塩の界面活性剤を含むものであることを特徴とする特許請求項1から4のいずれかに記載の電解メッキ組成物。
【請求項6】
第4級アンモニウム塩の界面活性剤が、アルキル ジメチル ベンジル アンモニウム塩の界面活性剤を含むものであることを特徴とする特許請求項5に記載の電解メッキ組成物。
【請求項7】
第4級アンモニウム塩の界面活性剤が、ラウリル ベンジル ジメチル 塩化アンモニウム及びミリスチル ベンジル ジメチル 塩化アンモニウムを含むものであることを特徴とする特許請求項6に記載の電解メッキ組成物。
【請求項8】
電解メッキ組成物が更にβ−ナフトール誘導体を含むものであることを特徴とする特許請求項1から4のいずれかに記載の電解メッキ組成物。
【請求項9】
β−ナフトール誘導体がβ−ナフトールエトキシレ−ト、スルフォネイト化β−ナフトール プロポキシレート/エトキシレート,或いはそれらの組み合わせを含むものであることを特徴とする特許請求項8に記載の電解メッキ組成物。
【請求項10】
電解メッキ組成物が更にハイドロキノンを含むものであることを特徴とする特許請求項1から4のいずれかに記載の電解メッキ組成物。
【請求項11】
Sn2+イオン源、Agイオン源及びN−アリルチオ尿素化合物を含む電解メッキ浴にバンプ下冶金構造を曝し、外部から電子を電解浴に供給して、Sn−Ag合金をバンプ下冶金構造に沈着させるプロセスからなる、マイクロ電子デバイス製造におけるバンプ下冶金構造上にハンダ・バンプを形成するプロセス。
【請求項12】
N−アリル−チオ尿素化合物が式(I)であることを特徴とする特許請求項11に記載のプロセス。

ここで、
,R,R,R,R及びRは、おのおの独立したH、OH、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである。
【請求項13】
,R,R,R,R及びRがHであることを特徴とする特許請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
,R,R,R及びRがHで、Rが−CHCHOHであることを特徴とする特許請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
N−アリル−チオ尿素化合物の濃度が凡そ0.5g/Lから凡そ24g/Lの間の濃度を持つことを特徴とする特許請求項11から14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
外部から電子源を供給して、少なくとも凡そ8A/dmの電流密度を使用することを特徴とする特許請求項11から14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項17】
電解メッキ組成物が更に第4級アンモニウム塩の界面活性剤を含むものであることを特徴とする特許請求項11から14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項18】
第4級アンモニウム塩の界面活性剤がアルキル ジメチル ベンジル アンモニウム塩の界面活性剤を含むものであることを特徴とする特許請求項18に記載のプロセス。
【請求項19】
第4級アンモニウム塩の界面活性剤がラウリル ベンジル ジメチル 塩化アンモニウム及びミリスチル ベンジル ジメチル 塩化アンモニウムを含むものであることを特徴とする特許請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
電解メッキ組成物が更にβ−ナフトール誘導体を含むものであることを特徴とする特許請求項11から14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
電解メッキ組成物が更にハイドロキノンを含むものであることを特徴とする特許請求項11から14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
Sn−Ag ハンダ・メッキバンプをメッキするため、Sn2+イオン源、Agイオン源そして第4級アンモニウム塩の界面活性剤からなる組成物を含むことを特徴とする電解メッキ組成物。
【請求項23】
第4級アンモニウム塩の界面活性剤がアルキル ジメチル ベンジル アンモニウム塩を含むことを特徴とする特許請求項22に記載の電解メッキ組成物。
【請求項24】
第4級アンモニウム塩の界面活性剤がラウリル ベンジル ジメチル 塩化アンモニウム及びミリスチル ベンジル ジメチル 塩化アンモニウムを含むものであることを特徴とする特許請求項22に記載の電解メッキ組成物。
【請求項25】
電解メッキ組成物がN−アリル−チオ尿素を更に含むものであることを特徴とする特許請求項22から24のいずれかに記載の電解メッキ組成物。
【請求項26】
N−アリル−チオ尿素化合物がN−アリル−チオ尿素を含むものであることを特徴とする特許請求項25に記載の電解メッキ組成物。
【請求項27】
N−アリル−チオ尿素化合物がN−アリル−N‘−β−ヒドロキシエチル−チオ尿素を含むものであることを特徴とする特許請求項25に記載の電解メッキ組成物。
【請求項28】
電解メッキ組成物がβ−ナフトール誘導体を更に含むものであることを特徴とする特許請求項22から24のいずれかに記載の電解メッキ組成物。
【請求項29】
電解メッキ組成物がハイドロキノンを更に含むものであることを特徴とする特許請求項22から24のいずれかに記載の電解メッキ組成物。
【請求項30】
Sn2+イオン源、Agイオン源及び第4級アンモニウム塩の界面活性剤を含む電解メッキ浴にバンプ下冶金構造を曝し、外部から電子源を電解浴に供給して、Sn−Ag合金をバンプ下冶金構造に沈着させるプロセスからなる、マイクロ電子デバイス製造におけるバンプ下冶金構造上にハンダ・バンプを形成するプロセス。
【請求項31】
第4級アンモニウム塩の界面活性剤がアルキル ジメチル ベンジル アンモニウム塩を含むものであることを特徴とする特許請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
第4級アンモニウム塩の界面活性剤がラウリル ベンジル ジメチル 塩化アンモニウム及びミリスチル ベンジル ジメチル 塩化アンモニウムを含むものであることを特徴とする特許請求項30に記載のプロセス。
【請求項33】
電解メッキ組成物が、更にN−アリル−チオ尿素化合物を含むものであることを特徴とする特許請求項30から32のいずれかに記載のプロセス。
【請求項34】
N−アリル−チオ尿素化合物が、N−アリル−チオ尿素を含むものであることを特徴とする特許請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
N−アリル−チオ尿素化合物が、N−アリル−N‘−β−ヒドロキシエチル−チオ尿素を含むものであることを特徴とする特許請求項33に記載のプロセス。
【請求項36】
外部から電子源を供給して、少なくとも凡そ8A/dmの電流密度を使用することを特徴とする特許請求項30から32のいずれかに記載のプロセス。
【請求項37】
電解メッキ組成物が更にβ−ナフトール誘導体を含むものであることを特徴とする特許請求項30から32のいずれかに記載のプロセス。
【請求項38】
電解メッキ組成物が更にハイドロキノンを含むものであることを特徴とする特許請求項30から32のいずれかに記載のプロセス。
【請求項39】
Sn−Agハンダ・メッキバンプをメッキするため、Sn2+イオン源、Agイオン源、そしてアミジノチオ尿素化合物からなる組成物を含むことを特徴とする電解メッキ組成物。
【請求項40】
アミジノチオ尿素化合物が式(II)であることを特徴とする特許請求項39に記載の電解メッキ組成物。

ここで、
,Rは硫黄か、窒素のいずれかで、Rが硫黄の時は、Rは窒素、Rが窒素の時は、R硫黄である;そして
10,R11,R12,及びR13は、おのおの独立したH、OH、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである。
【請求項41】
アミジノチオ尿素化合物が式(III)であることを特徴とする特許請求項39に記載の電解メッキ組成物。

【請求項42】
電解メッキ組成物が更に第4級アンモニウム塩の界面活性剤を含むものであることを特徴とする特許請求項39から41のいずれかに記載の電解メッキ組成物。
【請求項43】
Sn2+イオン源、Agイオン源及びアミジノチオ尿素化合物からなる組成物を含む電解メッキ浴にバンプ下冶金構造を曝し、外部から電子源を電解浴に供給して、Sn−Ag合金をバンプ下冶金構造に沈着させるプロセスからなる、マイクロ電子デバイス製造におけるバンプ下冶金構造上にハンダ・バンプを形成するプロセス。
【請求項44】
アミジノチオ尿素化合物が式(II)であることを特徴とする特許請求項43に記載のプロセス。

ここで、
,Rは硫黄か、窒素のいずれかで、Rが硫黄の時は、Rは窒素、Rが窒素の時は、R硫黄である;そして
10、11,R12,及びR13は、おのおの独立したH、OH、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである。
【請求項45】
アミジノチオ尿素化合物が式(III)であることを特徴とする特許請求項43に記載のプロセス。

【請求項46】
電解メッキ組成物が更に第4級アンモニウム塩の界面活性剤を含むものであることを特徴とする特許請求項43から45のいずれかに記載のプロセス。
【請求項47】
Agイオン源、Sn2+イオン源およびAgイオン用複合体を含む電解浴で、Agイオン源を、Agイオン用複合体と水とを結びつけて、浴の前駆物質を形成し、浴の前駆物質は、Sn+2源が実質的に存在しないAg複合体で、Sn+2イオン源をAg複合体を含む浴前駆物質に添加して形成するマイクロ電子デバイス製造におけるバンプ下冶金構造上にハンダ・バンプの沈着のためのSn−Ag電解メッキ浴を形成するプロセス。
【請求項48】
Agイオン源を、Agイオン用複合体と水とを結びつけて製造された浴前駆体は、実質的に界面活性剤がなく、プロセスは、当該浴前駆体に界面活性剤を、添加する事を更に含むものであることを特徴とする特許請求項47に記載の電解メッキ組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2009−510255(P2009−510255A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527028(P2008−527028)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/031618
【国際公開番号】WO2007/022075
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(501407311)エントン インコーポレイテッド (36)
【Fターム(参考)】