説明

電子情報配送システム

【課題】電子私書箱を利用したサービスの利便性を向上させる。
【解決手段】情報提供者が提供する電子情報を配送先の利用者の属性に応じて配送する電子情報配送システムであって、利用者毎に設けられ、当該利用者の電子情報を保存する電子私書箱を備える。そして、所定の利用者の電子私書箱に保存される電子情報を当該利用者に関連する属性を有する他の利用者の電子私書箱に配送するための配送要求を情報提供者から受け取り、当該配送要求に合致する配送元となる所定の利用者の電子私書箱に保存される電子情報を配送要求に合致する配送先となる他の利用者の前記電子私書箱へ配送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子情報配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大容量ストレージデバイスとコンピュータネットワークを利用して、自治体などの情報保有機関が提供する電子情報を配送先の利用者のアカウント情報と属性情報に応じて配送する電子情報配送システムや、当該システムを用いて利用者の電子情報を蓄積・保存する電子私書箱の構想が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−330172号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】電子私書箱(仮称)構想の実現に向けた基盤整備に関する検討会報告書、[online]、[平成22年5月27日検索]、インターネット<URL:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/epo-box2/houkoku1.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、現在は、電子情報配送システムから利用者に対するサービスとしては、電子私書箱への電子情報の登録、認証、登録済みの電子情報の閲覧といった基本的なサービスしか提案されていない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電子私書箱を利用したサービスの利便性を向上させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報提供者が提供する電子情報を配送先の利用者の属性に応じて配送する電子情報配送システムであって、前記電子情報配送システムは、前記利用者毎に設けられ、当該利用者の電子情報を保存する電子私書箱をもつ。また、所定の利用者の前記電子私書箱に保存される電子情報を当該利用者に関連する属性を有する他の利用者の電子私書箱に配送するための配送要求を前記情報提供者から受け取り、当該配送要求に合致する配送元となる前記所定の利用者の前記電子私書箱に保存される電子情報を前記配送要求に合致する配送先となる前記他の利用者の前記電子私書箱へ配送する電子情報配送制御手段をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態における電子情報配送システムの構成例を示す図。
【図2】第1の実施形態における電子情報配送システムによる一般的な電子情報配送処理と利用者の電子情報取得処理の一例を示すシーケンス図。
【図3】第1の実施形態における電子情報配送システムによる処理動作の流れの一例を示すシーケンス図。
【図4】第1の実施形態における電子情報配送システムによる母子手帳データの母子の電子私書箱間における移動・複写の手順を説明する図。
【図5】第2の実施形態における電子情報配送システムによる処理動作の流れの一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態における電子情報配送システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態における電子情報配送システムは、情報配送プラットフォーム1、情報配送ポータル2、Idp(identity provider)3、証明書発行システム4および情報保有機関5を有する。
情報保有機関5は、利用者への提供対象の情報を保有する機関、例えば、国、地方自治体、各種保険機関、医療機関などであり、情報配送プラットフォーム1や情報配送ポータル2との間での情報通信のための情報処理装置を有する。
【0010】
情報配送ポータル2は、情報保有機関5が保有する情報を利用者がインターネット等を通じて入手して利用するための電子私書箱サービスを提供する情報処理システムであり、利用者インタフェース21、サービス制御部22、データ管理部23、ログ管理部24、第1電子私書箱25、第2電子私書箱26を有する。本実施形態では、情報配送ポータル2は公的機関により運用される。
【0011】
前述した利用者とは、電子私書箱サービスの利用者であり、個人利用者、代理人、医療従事者等が挙げられる。個人利用者とは、電子私書箱サービスを利用する個人を指し、全国民を対象となる。代理人とは、特定の個人利用者の代理として、電子私書箱サービスを利用する利用者のことを指し、事前に当該個人利用者の代理人となることがおよび確認、登録されていることを前提とする。医療従事者とは、医療従事者等の属性(資格等)を有し、かつ医療従事者専用のサービス(資格確認サービス)を享受する利用者のことを指す。
【0012】
第1電子私書箱25は、利用者Aに割り当てられて、当該利用者Aに関する電子情報を受けるためのデータファイルを有する電子私書箱である。第2電子私書箱26は、利用者B割り当てられて、当該利用者Bに関する電子情報を受けるためのデータファイルを有する電子私書箱である。電子私書箱の数は、複数の利用者のそれぞれに割り当ててられるものであれば特に限定されない。
【0013】
利用者インタフェース21は、利用者からの多様なアクセス手段に対応して、情報配送ポータル2の利用のために必要になる画面などを生成したり、利用者からの指示や各種入力を受け付けたりするものであり、例えばキーボード、マウス、液晶ディスプレイなどで構成される。
【0014】
サービス制御部22は、情報配送プラットフォーム1のポリシー制御/管理部13による判定結果に従い、利用者の情報の閲覧などの基本的なサービスを実現する。
データ管理部23は、第1電子私書箱25、第2電子私書箱26内の情報の蓄積、管理を行なう。
ログ管理部24は、利用者の利用者インタフェース21の操作に関する証跡となるログを蓄積、管理する。
【0015】
また、情報配送プラットフォーム1は、情報保有機関5における利用者識別情報と情報配送ポータル2における電子私書箱アドレスとを適切に関連付けて、情報の送受信を安全に行なう機能を有する情報処理システムであり、送受信制御部11、データ変換部12、ポリシー制御/管理部13、ID/アカウント管理部14、ログ管理部15、ポータル管理部16を有する。
【0016】
利用者識別情報とは、各利用者を一意に識別するための識別情報である。また、電子私書箱アドレスとは、各利用者に割り当てられる電子私書箱を一意に識別するための識別情報である。
【0017】
送受信制御部11は、情報保有機関5とのデータ送受信を制御する。
ポリシー制御/管理部13は、情報保有機関5との送受信にかかる利用者情報の取扱いに関する各種ポリシー情報を管理し、当該各種ポリシー情報を評価(調整)して、送受信に関する可否を判定する。
【0018】
ポリシー情報は、情報の取扱いルールを指し、例えば、セキュリティポリシー、プライバシーポリシー、プライバシープリファレンスが挙げられる。
セキュリティポリシーとは、広くシステムを保護するポリシー情報であり、通信、コンテンツ、認証/認可等に関するセキュリティルールを定めたポリシー情報である。
プライバシーポリシーとは、個人に関連する秘匿性をもつ情報の取扱い、例えば利用目的、利用期限、配布範囲等に関する要件、方針を定めたポリシー情報である。
プライバシープリファレンスとは、利用者がサービス提供者に求める情報の取扱いに対する条件を定めたポリシー情報である。
【0019】
ID/アカウント管理部14は、Idp3と連携して利用者のID/アカウント情報管理を行なう。ID/アカウント情報とは、利用者のID情報、氏名、メールアドレス等、電子私書箱サービスを提供する利用者に関する情報である。
【0020】
ポータル管理部16は、情報配送ポータル2の登録、削除、状態管理を行なう。
ログ管理部15は、利用者に係わる情報の送受信に関する証跡となるログを蓄積管理する。
データ変換部12は、情報保有機関5と情報配送ポータル2内の第1電子私書箱25、第2電子私書箱26との間で送受信される情報について、必要に応じてデータフォーマットの変換を行なう。
【0021】
Idp3は、公的機関が運用するシステムであって、別途発行された公開鍵証明書(クレデンシャル)をもとに、情報配送プラットフォーム1と情報配送ポータル2とを利用する利用者の識別及び認証を行い、認証結果をこれら情報配送プラットフォーム1と情報配送ポータル2に送信する情報処理システムである。
【0022】
証明書発行システム4は、Idp3における利用者の認証に使用する公開鍵証明書を、例えばHPKI(Healthcare Public Key Infrastructure(保健医療福祉分野における資格を証明可能な公開鍵基盤))やJPKI(公的個人認証サービス)などを用いて発行する情報処理システムである。
また、Idp3は、前述した公開鍵証明書を用いる代わりにパスワードを用いて前述した利用者の識別及び認証を行ってもよい。
【0023】
次に、図1に示した構成の電子情報配送システムの動作について説明する。図2は、第1の実施形態における電子情報配送システムによる一般的な電子情報配送処理と利用者の電子情報取得処理の一例を示すシーケンス図である。
まず、電子情報配送のために、情報保有機関5内の情報処理装置は、所定の利用者にかかる電子情報、つまり当該利用者の電子私書箱への蓄積対象の電子情報を生成して、情報配送プラットフォーム1へ送信する(ステップS1)。
【0024】
情報配送プラットフォーム1の送受信制御部11は、情報保有機関5内の情報処理装置から送信された電子情報を受信する。情報配送プラットフォーム1は、配送対象の電子私書箱を有する情報配送ポータル2のアカウントを特定し(ステップS2)、この特定したアカウントに対応する情報配送ポータル2内の前述した利用者の電子私書箱に当該利用者宛の電子情報を蓄積する(ステップS3)。情報配送ポータル2は、この情報が電子私書箱に蓄積された旨を、利用者インタフェース21を介して当該電子私書箱の利用者へ通知する(ステップS4)。
【0025】
利用者本人は、当該利用者の電子私書箱への電子情報の蓄積の通知を確認すると、この蓄積されている電子情報の取得のために、情報配送ポータル2の利用者インタフェース21を操作することで情報配送プラットフォーム1にログインする(ステップS5)。情報配送プラットフォーム1のID/アカウント管理部14は、Idp3と連携してログインの認証を行い、この認証結果を情報配送ポータル2へ送信する(ステップS6)。情報配送ポータル2は、この送信された認証結果を利用者インタフェース21を介して利用者に通知する。
【0026】
そして、認証結果が通知された利用者が情報配送ポータル2の利用者インタフェース21を操作することで、情報配送ポータル2への情報取得要求が行われる(ステップS7)。
【0027】
情報配送ポータル2は、この情報取得要求に基づき、要求元の利用者の電子私書箱に蓄積される情報を取得して(ステップS8)、この取得した情報を、利用者インタフェース21を介して利用者に提示する(ステップS9)。
【0028】
図3は、第1の実施形態における電子情報配送システムによる処理動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
ここでは、情報保有機関5からの要求による、情報の移動・複写処理やリンク付け処理について説明する。
【0029】
情報保有機関5からの要求による情報の移動・複写処理とは、ある利用者の電子私書箱と、当該利用者に関連する属性、例えば親子といった属性を有する他の利用者の電子私書箱との間で情報の移動・複写を行なう処理である。
【0030】
また、情報保有機関5からの要求による情報のリンク付け処理とは、所定の利用者の電子私書箱内の所定の情報と、当該利用者に関連する属性、例えば近親者といった属性を有する他の利用者の電子私書箱とをリンク付けする処理である。
【0031】
まず、情報保有機関5内の情報処理装置は、電子私書箱間の情報の移動・複写処理、または情報のリンク付け処理の要求を情報配送プラットフォーム1に送信する(ステップS11)。この要求には、当該要求された処理のための各種情報が含まれる。
【0032】
具体的には、要求された処理が移動・複写処理である場合には、この処理のための情報は、移動・複写元の電子私書箱の電子私書箱ID、当該電子私書箱内の移動・複写対象のデータID、移動・複写先である他の電子私書箱の電子私書箱IDである。
【0033】
また、要求された処理がリンク付け処理である場合には、この処理のための情報は、リンク元の所定の利用者の電子私書箱の電子私書箱ID、リンク元のデータのデータID、当該データのリンク先の他の利用者の電子私書箱の電子私書箱IDである。
【0034】
情報配送プラットフォーム1の送受信制御部11は、情報保有機関5からの、情報の移動・複写処理、または情報のリンク付け処理の要求を受信する。すると、ポリシー制御/管理部13は、この要求をもとに、移動・複写処理またはリンク付け処理のうち要求された処理の対象の情報配送ポータル2の電子私書箱や利用者のID/アカウント情報を特定し(ステップS12)、ポリシー制御/管理部13は、このID/アカウント情報から得られた利用者情報の操作である、移動・複写処理またはリンク付け処理のうち要求された処理の可否を、管理しているポリシー情報に従って判定する(ステップS13)。
【0035】
ポリシー制御/管理部13は、要求された処理である移動・複写処理またはリンク付け処理が不可であると判定した場合は、その判定結果を送受信制御部11を介して要求元である情報保有機関5に提示して、処理を終了する。
【0036】
一方、ポリシー制御/管理部13は、要求された処理である移動・複写処理またはリンク付け処理が可能と判断した場合は、要求された処理のための各種情報及び当該処理の実行指示を、特定済みのID/アカウント情報に対応する情報配送ポータル2へ送信する(ステップS14)。
【0037】
具体的には、要求された処理が移動・複写処理である場合には、移動・複写元の電子私書箱の電子私書箱ID、当該電子私書箱内の移動・複写対象の情報のデータID、移動・複写先である他の電子私書箱の電子私書箱ID、及び要求された処理の実行指示が送信される。
【0038】
また、要求された処理がリンク付け処理である場合には、リンク元の電子私書箱の電子私書箱ID、リンク元のデータのデータID、当該データのリンク先の他の利用者の電子私書箱の電子私書箱ID、及び要求された処理の実行指示が送信される。
【0039】
情報配送ポータル2のサービス制御部22は、これらの送信結果を受信すると、当該送信結果をもとに、要求された処理である、電子私書箱間の情報の移動・複写処理またはリンク付け処理を行なう(ステップS15)。
【0040】
ポリシー制御/管理部13は、要求された処理である移動・複写処理またはリンク付け処理が可能と判断した後において、サービス制御部22は、要求された処理である、情報の移動・複写処理またはリンク付け処理を実行した場合、あるいは何らかのエラーにより情報の移動・複写処理またはリンク付け処理を実行出来なかった場合には、処理の実行可否の結果を要求元である情報保有機関5に送信する(ステップS16)。
【0041】
ログ管理部24は、サービス制御部22が実行した一連の操作履歴情報を取得及び管理する。データ管理部23は、移動・複写されたデータの蓄積管理を行ったり、リンク付け処理が行われたデータIDの管理を行ったりする。
【0042】
前述したリンク付け処理後、前述したリンク先であった電子私書箱の利用者が、必要に応じて情報配送ポータル2の利用者インタフェース21に対する所定の操作を行なうことで、情報配送ポータル2への、当該リンク先であった利用者の電子私書箱にリンク付けされる、前述したリンク元であった利用者の電子私書箱内の所定の情報の参照要求が行なわれる。
【0043】
情報配送ポータル2は、この情報参照要求に基づき、参照要求元の利用者の電子私書箱にリンク付けされる、前述したリンク元であった利用者の電子私書箱内の所定の情報を取得して、この取得した情報を、利用者インタフェース21を介して参照要求元の利用者に提示する。これにより、要求元の利用者は、自身の電子私書箱にリンク付けされる、別の利用者の電子私書箱内の所定の情報を参照できる。
【0044】
情報の移動・複写処理の適用事例としては、母子手帳のデータの母子間移動・複写が挙げられる。図4は、第1の実施形態における電子情報配送システムによる母子手帳データの母子の電子私書箱間における移動・複写の手順を説明する図である。
母子手帳は、妊娠中は母親の健康管理手帳として用いられる。また、子の出生後は、母子手帳には、子の発育、健康記録、予防接種履歴として重要な情報が記載される。母子手帳が冊子の場合、母親が公的機関に母子手帳の申請を行なうと(ステップA1)、当該母子手帳は、情報保有機関5である自治体から母親に交付される(ステップA2)。
【0045】
母子手帳の冊子には母子双方の情報が記載されている。母子手帳の冊子は主に母親が管理するものだが、国民1人につき1つの電子私書箱が割り当てられる場合、母親の電子私書箱と子の電子私書箱とのそれぞれについて母子手帳のデータが必要である。
【0046】
このため、母親の電子私書箱に母子手帳データが格納される(ステップA3)。ここで、母子手帳の冊子の記載事項の更新がなされた場合には(ステップA4)、この更新内容に合わせて母親の電子私書箱内の母子手帳データも更新される(ステップA5)。
【0047】
子の出生後の出生届に伴い、子の電子私書箱が発行されると(ステップA6)、情報保有機関5である自治体からの要求により、母親の電子私書箱から子の電子私書箱への母子手帳データの移動・複写処理がなされる(ステップA7)。
【0048】
この処理後、母子手帳の冊子の記載事項の更新がなされた場合には(ステップA8)、この更新内容に合わせて、自治体からの要求により、母親の電子私書箱内の母子手帳データが更新される(ステップA9)、さらに、この更新内容に合わせて、自治体からの要求により、子の電子私書箱内の母子手帳データも更新される(ステップA10)。
【0049】
母子手帳データの移動・複写に関する操作履歴情報は情報配送ポータル2のこくログ管理部15が取得し、この情報をポリシー制御/管理部13が引き継ぎ、情報保有機関5としての医療機関が、子の予防接種記録の電子情報を情報配送ポータル2に配送して、この情報配送ポータル2内の母子それぞれの電子私書箱内の母子手帳データに記録するように制御することが可能である。
【0050】
また、情報のリンク付け処理の適用事例としては、家族間の既往歴、遺伝子情報といった健康情報が挙げられる。家族のそれぞれの電子私書箱の電子私書箱IDに、前述した家族のそれぞれの健康情報を一意に識別するためのデータIDをリンク付けすれば、家族内の一個人の健康情報を家族間で参照することが可能になり、家族間での病気の治療や予防に役立てる事ができるようになる。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態における電子情報配送システムの構成は図1に示したものと基本的にほぼ同様であるので同一部分の説明は省略する。
図5は、第2の実施形態における電子情報配送システムによる処理動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
本実施形態では、利用者からの要求による情報の移動・複写処理やリンク付け処理について説明する。
利用者からの要求による情報の移動・複写処理とは、要求元利用者の電子私書箱と、当該利用者に関連する属性、例えば親子といった属性を有する他の利用者の電子私書箱との間で情報の移動・複写を行なう処理である。
【0052】
また、利用者からの要求による情報のリンク付け処理とは、システムが認可した他の複数の利用者の電子私書箱内に蓄積されている情報と、要求元利用者の電子私書箱内に蓄積されている情報とをリンク付けする処理である。
【0053】
まず、利用者が、情報配送ポータル2の利用者インタフェース21を用いてログイン操作を行なう事で、情報配送プラットフォーム1へのログインがなされる(ステップS21)。利用者は、ログイン完了後に利用者インタフェース21を用いて所定の操作を行なうことで、情報の移動・複写処理または情報のリンク付け処理の要求を情報配送プラットフォーム1に送信する(ステップS22)。
【0054】
情報配送プラットフォーム1の送受信制御部11は、利用者からの、情報の移動・複写処理、または情報のリンク付け処理の要求を受信する。すると、ポリシー制御/管理部13は、前述したログインの結果および受信済みの要求をもとに、移動・複写処理またはリンク付け処理のうち要求された処理の対象の情報配送ポータル2の電子私書箱や利用者のID/アカウント情報を特定し(ステップS23)、ポリシー制御/管理部13は、この特定したID/アカウント情報から得られた利用者情報の操作である、移動・複写処理またはリンク付け処理のうち要求された処理の可否を、管理しているポリシー情報に従って判定する(ステップS24)。
【0055】
ポリシー制御/管理部13は、要求された処理である移動・複写処理またはリンク付け処理が不可であると判定した場合は、その判定結果を送受信制御部11を介して、要求元である利用者が操作した利用者インタフェース21に出力して要求時の画面に表示させることで当該利用者に提示して、処理を終了する。
【0056】
一方、ポリシー制御/管理部13は、要求された処理である移動・複写処理またはリンク付け処理が可能と判断した場合は、要求された処理のための各種情報及び当該処理の実行指示を、特定済みのID/アカウント情報に対応する情報配送ポータル2へ送信する(ステップS25)。
【0057】
情報配送ポータル2のサービス制御部22は、これらの送信結果を受信すると、当該送信結果をもとに、要求された処理である、電子私書箱間の情報の移動・複写処理または電子私書箱IDとデータIDとのリンク付け処理を行なう(ステップS26)。
【0058】
ポリシー制御/管理部13は、要求された処理である移動・複写処理またはリンク付け処理が可能と判断した後において、サービス制御部22は、要求された処理である、情報の移動・複写処理またはリンク付け処理を実行した場合、あるいは何らかのエラーにより情報の移動・複写処理またはリンク付け処理を実行出来なかった場合には、処理の実行可否の結果を利用者が操作した利用者インタフェース21に出力して要求時の画面に表示させることで当該利用者に提示する(ステップS27)。
【0059】
また、ログ管理部24は、サービス制御部22が実行した一連の操作履歴情報を取得及び管理する。データ管理部23は、移動・複写されたデータの蓄積管理を行ったり、リンク付け処理が行われたデータIDの管理を行ったりする。
【0060】
前述したリンク付け処理後、当該リンク付け処理の要求元であった利用者が、必要に応じて情報配送ポータル2の利用者インタフェース21に対する所定の操作を行なうことで、情報配送ポータル2への、自分の電子私書箱内の情報にリンク付けされる、他の利用者の電子私書箱内の情報の参照要求が行なわれる。
【0061】
情報配送ポータル2は、この参照要求に基づき、前述したリンク付けされる、他の利用者の電子私書箱内の情報を取得して、この取得した情報を、利用者インタフェース21を介して要求元の利用者に提示する。これにより、要求元の利用者は、自分の電子私書箱内の情報にリンク付けされる、他の利用者の電子私書箱内の情報を参照できる。
【0062】
以上のように、各実施形態における電子情報配送システムでは、利用者のアカウント情報と属性情報を元に利用者の電子私書箱間の情報の移動・複写や情報のリンク付け処理を行なうことができる。
これらの各実施形態によれば、電子私書箱を利用したサービスの利便性を向上させることが可能になる電子情報配送システムを提供することができる。
なお、この発明は前記の各実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜に組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…情報配送プラットフォーム、2…情報配送ポータル、3…Idp、4…証明書発行システム、5…情報保有機関、11…送受信制御部、12…データ変換部、13…ポリシー制御/管理部、14…ID/アカウント管理部、15,24…ログ管理部、16…ポータル管理部、21…利用者インタフェース、22…サービス制御部、23…データ管理部、25…第1電子私書箱、26…第2電子私書箱。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供者が提供する電子情報を配送先の利用者の属性に応じて配送する電子情報配送システムであって、
前記電子情報配送システムは、
前記利用者毎に設けられ、当該利用者の電子情報を保存する電子私書箱と、
所定の利用者の前記電子私書箱に保存される電子情報を当該利用者に関連する属性を有する他の利用者の電子私書箱に配送するための配送要求を前記情報提供者から受け取り、当該配送要求に合致する配送元となる前記所定の利用者の前記電子私書箱に保存される電子情報を前記配送要求に合致する配送先となる前記他の利用者の前記電子私書箱へ配送する電子情報配送制御手段と
を備えたことを特徴とする電子情報配送システム。
【請求項2】
情報提供者が提供する電子情報を配送先の利用者の属性に応じて配送する電子情報配送システムであって、
前記電子情報配送システムは、
前記利用者毎に設けられ、当該利用者の電子情報を保存する電子私書箱と、
所定の利用者の前記電子私書箱に保存される所定の電子情報を第1の関連付け要素とし、当該利用者に関連する属性を有する他の利用者の前記電子私書箱を第2の関連付け要素とする、前記第1の関連要素および前記第2の関連付け要素の関連設定要求を前記情報提供者から受け取り、当該関連設定要求に合致する前記第1の関連付け要素および前記第2の関連付け要素の関連設定処理を行なう電子情報関連設定手段と、
前記電子情報関連設定手段による関連設定処理後、前記第1の関連付け要素である、前記所定の利用者の前記電子私書箱に保存される所定の電子情報の参照要求を前記他の利用者から受け取り、当該参照要求に合致する前記所定の電子情報を前記参照要求元の利用者に提示する電子情報提供手段と
を備えたことを特徴とする電子情報配送システム。
【請求項3】
情報提供者が提供する電子情報を配送先の利用者の属性に応じて配送する電子情報配送システムであって、
前記電子情報配送システムは、
前記利用者毎に設けられ、当該利用者の電子情報を保存する電子私書箱と、
所定の利用者の前記電子私書箱に保存される電子情報を当該利用者に関連する属性を有する他の利用者の電子私書箱に配送するための配送要求を前記所定の利用者から受け取り、当該配送要求に合致する配送元となる前記所定の利用者の前記電子私書箱に保存される電子情報を前記配送要求に合致する配送先となる前記他の利用者の前記電子私書箱へ配送する電子情報配送制御手段と
を備えたことを特徴とする電子情報配送システム。
【請求項4】
情報提供者が提供する電子情報を配送先の利用者の属性に応じて配送する電子情報配送システムであって、
前記電子情報配送システムは、
前記利用者毎に設けられ、当該利用者の電子情報を保存する電子私書箱と、
所定の利用者の前記電子私書箱に保存される所定の電子情報を第1の関連付け要素とし、当該利用者に関連する属性を有する他の利用者の前記電子私書箱に保存される所定の電子情報を第2の関連付け要素とする、前記第1の関連要素および前記第2の関連付け要素の関連設定要求を前記所定の利用者から受け取り、
当該関連設定要求に合致する前記第1の関連付け要素および前記第2の関連付け要素の関連設定処理を行なう電子情報関連設定手段と、
前記電子情報関連設定手段による関連設定処理後、前記第2の関連付け要素である、前記他の利用者の前記電子私書箱に保存される前記所定の電子情報の参照要求を前記所定の利用者から受け取り、当該参照要求に合致する前記所定の電子情報を前記参照要求元の利用者に提示する電子情報提供手段と
を備えたことを特徴とする電子情報配送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77203(P2013−77203A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217285(P2011−217285)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】