説明

電子機器

【課題】セキュリティを確保しつつ利便性を向上させることができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器としての複合機1は、着脱自在なUSBメモリ2が装着されてUSBメモリ2に対するデータの授受が可能なUSBポート21と、USBポート21に装着されるUSBメモリ2のうち、データの授受を許可するUSBメモリ2を特定する情報を複数登録することが可能なUSBメモリ登録部22と、USBメモリ登録部22に登録された情報を用いてUSBポート21に装着されたUSBメモリ2に対するデータの授受を許可するか否かを制御するCPU11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、その他の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、複写機及び複合機等の画像形成装置は付加価値を高めるために多機能化が図られており、その機能の1つとしてUSB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード等の記憶媒体が着脱可能であり、装着された記録媒体との間で各種データの授受を可能とする機能を備える画像形成装置が開発されている。具体的に、この画像形成装置では、記憶媒体に記憶された画像ファイル、ドキュメントファイル等の電子ファイルのプリントアウトや、画像形成装置が備えるスキャン機能によって読み取られた原稿画像等の画像ファイルを記憶媒体に記録することが可能である。
【0003】
しかしながら、このような画像形成装置では、記憶媒体の不正使用によって第三者への開示が制限される情報(機密情報)が漏洩する可能性がある。例えば、機密情報が記憶された記憶媒体を画像形成装置に装着して機密情報の内容がプリントアウト又はコピーされる可能性がある。
【0004】
以下の特許文献1には、ソフトウェアの不正使用や機密情報の漏洩・改竄を防止するために、複数の情報処理装置に対する同一記憶媒体の使用を禁止する技術が開示されている。具体的には、記憶媒体又は情報処理装置本体内のROMに予め固有情報を記憶させておき、記憶媒体への最初のアクセス時に固有情報を情報処理装置本体内のSRAM又は記憶媒体中の特定領域に書き込み、2回目以降のアクセス時には記憶媒体の固有情報と情報処理装置本体の固有情報とを比較し、両者が一致しなかった場合にはアクセスを禁止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−287655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に開示された技術を用いれば記憶媒体の使用が特定の情報処理装置での使用に制限されるため、特許文献1に開示された技術は機密情報の漏洩等の防止の観点からは有用であると考えられる。しかしながら、現在の記憶媒体の普及率を考慮すると、記憶媒体の使用が特定の情報処理装置での使用に制限されることはユーザにとって極めて不便であり、利便性に欠けるという問題がある。
【0007】
また、上述した特許文献1では、記憶媒体の使用が特定の情報処理装置での使用に制限されるものの、記憶媒体をその情報処理装置で用いる限りにおいては、その情報処理装置が備える機能についての使用制限はなくあらゆる機能を使用することができる。このため、例えば情報処理装置に記録されている機密情報が記憶媒体に記憶されて外部に出される可能性が考えられ、セキュリティの面からの問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、セキュリティを確保しつつ利便性を向上させることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、着脱自在な記憶媒体が装着される装着部を備えており、当該装着部に装着された前記媒体に対するデータの授受が可能な電子機器において、前記装着部に装着される記憶媒体のうち、データの授受を許可する記憶媒体を特定する情報を複数登録することが可能な登録手段と、前記登録手段に登録された情報を用いて前記装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を許可するか否かを制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、前記記憶媒体には一意に定まる識別情報が割り当てられており、前記登録手段が、前記記憶媒体割り当てられた前記識別情報を、前記データの授受を許可する記憶媒体を特定する情報として登録することを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、前記制御手段が、前記装着部に装着された記憶媒体に割り当てられた識別情報と前記登録手段に登録された識別情報との照合結果に基づいて、前記装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を許可するか否かを制御することを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、前記特録手段が、データの授受を無制限に許可する記憶媒体に割り当てられた識別情報を第1識別情報として登録し、特定のユーザが使用する場合にデータの授受を許可する記憶媒体に割り当てられた識別情報を第2識別情報として登録することを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、前記制御手段が、前記装着部に装着された記憶媒体に割り当てられた識別情報が前記第1識別情報に含まれる場合には、前記装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を無制限に許可する制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、前記制御手段が、前記装着部に装着された記憶媒体に割り当てられた識別情報が前記第2識別情報に含まれる場合には、ユーザが前記特定のユーザであると認証されたときのみ前記装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を許可する制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、前記登録手段が、データの授受を許可する記憶媒体に割り当てられた識別情報と、電子機器が備える複数の機能のうち使用を許可する機能を規定する許可情報とを対応付けて登録し、前記制御手段が、前記装着部に装着された記憶媒体に割り当てられた識別情報が前記登録手段に登録された識別情報に含まれる場合には、当該識別情報に対応する許可情報で規定される機能以外の機能で、前記装着部に装着された記憶媒体で授受されるデータの使用を制限する制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子機器が備える装着部に装着される記憶媒体のうち、データの授受を許可する記憶媒体を特定する情報を複数登録手段に登録し、登録手段に登録された情報を用いて装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を許可するか否かを制御している。このため、ユーザが使用したいと考えている記憶媒体を特定する情報が登録手段に登録されている電子機器であれば使用することができるため、従来のように記憶媒体の使用が特定の情報処理装置での使用に制限されることはなく、セキュリティを確保しつつ利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態による電子機器の外観の概要を示す正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による電子機器の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるUSBメモリ登録部22の登録内容の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態による電子機器の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態におけるUSBメモリ登録部22の登録内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による電子機器について詳細に説明する。尚、以下では、電子機器が画像形成装置の一種である複合機である場合を例に挙げて説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による電子機器の外観の概要を示す正面図である。図1に示す通り、本実施形態の電子機器である複合機1は、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ送信/受信機能を併せ持っており、不揮発性メモリの一種であるUSB(Universal Serial Bus)メモリ2(記憶媒体)が装着されてUSBメモリ2に対する各種データの授受が可能である。尚、複合機1に対するUSBメモリ2の着脱は、複合機1を使用するユーザに行われる。
【0014】
図2は、本発明の第1実施形態による電子機器の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態の電子機器である複合機1は、CPU(Central Processing Unit)11(制御手段)、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、各種センサ群14、用紙搬送部15、画像読取部16、画像データ記憶部17、画像形成部18、通信I/F部19、操作表示部20、USBポート21(装着部)、及びUSBメモリ登録部22(登録手段)を備える。
【0015】
CPU11は、ROM12に記憶されている制御プログラムに基づき、各種センサ群14から出力される各種検出信号を参照しつつ、操作表示部20から入力される操作指示、又は通信I/F部19を介してクライアントコンピュータ(図示省略)から入力される各種指示に応じて複合機1の動作を制御する。例えば画像読取部16による画像データの読み取り制御、或いは、画像データ記憶部17に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データ、及びファクシミリ画像データ等の各種画像データのプリント制御や送信制御を行う。
【0016】
また、CPU11は、USBメモリ登録部22の登録内容に基づいて、USBポート21に装着されるUSBメモリ2に対するデータの授受(読み出し及び書き込み)を許可するか否かを制御する。かかる制御を行うのは、セキュリティを確保しつつユーザによるUSBメモリ2の利便性を高めるためである。尚、CPU11で行われる制御の詳細については後述する。
【0017】
ROM12は、CPU11で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。RAM13は、CPU11が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。各種センサ群14は、用紙切れ検出センサ、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU11に出力する。
【0018】
用紙搬送部15は、搬送ローラ、搬送ローラ駆動用のモータ等を備えており、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部18に搬送するとともに、画像形成部18で画像形成処理後が行われた印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送する。画像読取部16は、ADF(自動原稿送り装置)及びCCD(Charge Coupled Device)センサ等を備えており、ADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサに読み取らせ、原稿画像に基づく原稿画像データを出力する。尚、画像読取部16から出力された原稿画像データはCPU11を介して画像データ記憶部17に記憶される。
【0019】
画像データ記憶部17は、フラッシュメモリ等のメモリを備えており、CPU11の制御の下で、原稿画像データ、通信I/F部19がクライアントコンピュータ(図示省略)から受信するプリント画像データ、及び通信I/F部19が公衆網(図示省略)から受信するファクシミリ画像データを記憶する。また、USBメモリ2からUSBポート21を介して読み出される各種の画像データも記憶する。
【0020】
画像形成部18は、CPU11の制御の下で、画像データ記憶部17に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データ、又はファクシミリ画像データを用いて画像形成処理を行う。具体的には、上記の各種画像データに応じた画像形成画像を用紙搬送部15から搬送される印刷用紙にトナーを用いて転写し、定着ローラによってその画像形成画像の定着処理を行う。通信I/F部19は、クライアントコンピュータ(図示省略)や公衆網(図示省略)に接続され、このクライアントコンピュータや公衆網との間で各種信号の送受信を行う。
【0021】
操作表示部20は、タッチパネル20a及び各種操作キーを備えており、操作キーの操作内容をCPU11に出力するとともに、CPU11の制御の下でタッチパネル20aへ種々の情報を表示する。操作表示部20が備える各種操作キーは、例えばコピー機能切替キー、プリント機能切替キー、スキャン機能切替キー、ファクシミリ機能切替キー、スタートキー、ストップ/クリアキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)が挙げられる。尚、コピー機能切替キー、プリント機能切替キー、スキャン機能切替キー、及びファクシミリ機能切替キーは、それぞれの機能をユーザが使用する場合に、各機能の動作モードへ複合機1を切り替える為のキーである。
【0022】
USBポート21は、USB規格に対応したシリアルインターフェイスであり、USBメモリ2が装着されることによってUSBメモリ2と電気的に接続される。このUSBポート21は、USBメモリ2と接続されている場合に、CPU11の制御の下で、USBメモリ2との間で各種データを授受する。尚、詳細は後述するが、USBメモリ2からのデータの読み出し及びUSBメモリ2に対するデータの書き込みは、USBメモリ登録部22の登録内容に基づいてCPU11によって制限される。
【0023】
USBメモリ登録部22は、USBポート21に装着されるUSBメモリ2のうち、データの授受(読み出し及び書き込み)を許可するUSBメモリを特定する情報を登録する。具体的に、上記のUSBメモリを特定する情報はUBSメモリに一意に割り当てられているシリアル番号(識別情報)であり、ユーザが複合機1で使用したいと考えるUSBメモリのシリアル番号がユーザによってUSBメモリ登録部22に登録される。
【0024】
ここで、USBメモリ登録部22には、管理者登録用のUSBメモリのシリアル番号(第1識別情報)と、一般ユーザ登録用のUSBメモリのシリアル番号(第2識別情報)との2種類のシリアル番号が登録可能である。ここで、管理者登録用のUSBメモリとは、複合機1の管理者によって使用され、複合機1に装着されたときのデータの授受が無制限に許可されるUSBメモリである。これに対し、一般ユーザ登録用のUSBメモリとは、複合機1の管理者以外の一般ユーザによって使用され、そのUSBメモリの使用者が予め登録されているユーザであると認証された場合にのみデータの授受が許可されるUSBメモリである。このように、2種類のシリアル番号を登録可能としたのは、セキュリティを確保するためである。
【0025】
図3は、本発明の第1実施形態におけるUSBメモリ登録部22の登録内容の一例を示す図である。図3に示す通り、USBメモリ登録部22には、管理者登録用のUSBメモリのシリアル番号を登録する登録領域R1と、一般ユーザ登録用のUSBメモリのシリアル番号を登録する登録領域R2とが設けられており、複合機1のユーザ(管理者を含む)の指示によってUSBメモリ毎のシリアル番号が登録領域R1,R2の何れか一方に登録される。
【0026】
尚、図3に示す通り、USBメモリ登録部22の登録領域R1,R2にはUSBメモリのシリアル番号が記憶されるが、個々のシリアル番号に対応付けてユーザID(複合機1を使用するユーザの各々に割り当てられたユーザを識別するためのID)を記憶しても良い。本実施形態では、個々のシリアル番号に対応付けてユーザIDが対応付けられているとする。尚、USBメモリのシリアル番号は、ユーザが操作表示部20に設けられる各種操作キーを操作し、或いは不図示のクライアントコンピュータを操作することでUSBメモリ登録部22に登録することができる。
【0027】
次に、上記構成における複合機1の動作について詳細に説明する。図4は、本発明の第1実施形態による電子機器の動作を示すフローチャートである。図4に示す処理は、複合機1のユーザがUSBメモリ2を複合機1のUSBポート21に装着すると開始される。処理が開始されると、まずUSBポート21に装着されたUSBメモリ2のシリアル番号がCPU11によって読み出される(ステップS11)。
【0028】
次いで、CPU11によってUSBメモリ登録部22が検索され、USBメモリ2から読み出したシリアル番号がUSBメモリ登録部22に設けられた登録領域R1(図2参照)に登録されているか否かが判断される(ステップS12)。登録されていると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、CPU11の制御によってUSBポート21に装着されたUSBメモリが使用可能な状態に設定される(ステップS13)。これにより、USBポート21に装着されたUSBメモリ2に対するデータの読み出し及び書き込みが可能になる。
【0029】
一方、USBメモリ2から読み出したシリアル番号が登録領域R1に登録されていないと判断した場合(ステップS12の判断結果が「NO」の場合)には、そのシリアル番号がUSBメモリ登録部22に設けられた登録領域R2(図2参照)に登録されているか否かが判断される(ステップS14)。登録されていると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、CPU11によって、ユーザの認証が行われる(ステップS15)。
【0030】
具体的には、複合機1にログインしているユーザのID(ログインID)が、複合機1の管理者に割り当てられた管理者IDと一致するか否かが照合される。また、ユーザIDが、USBポート21に装着されているUSBメモリ2のシリアル番号と同一の番号であって、USBメモリ登録部22の登録領域R2に登録されているシリアル番号に対応付けられているユーザIDと一致するか否かの照合が行われる。
【0031】
次に、CPU11によって、以上の認証が成功したか否かが判断される(ステップS16)。具体的には、ログインIDが管理者IDと一致している場合、又はログインIDが上記のユーザID(USBメモリ登録部22の登録領域R2において、USBポート21に装着されているUSBメモリ2のシリアル番号と同一の番号の対応付けられたユーザID)と一致している場合(判断結果が「YES」の場合)には認証に成功したため、CPU11の制御によってUSBポート21に装着されたUSBメモリが使用可能な状態に設定される(ステップS13)。これにより、USBポート21に装着されたUSBメモリ2に対するデータの読み出し及び書き込みが可能になる。
【0032】
これに対し、ログインIDが管理者IDと一致せず、且つログインIDが上記のユーザIDと一致しない場合(判断結果が「NO」の場合)には認証に失敗したため、CPU11の制御によって操作表示部20にパスワード(複合機1にログインするためのパスワード)の入力を要求する表示がなされる(ステップS17)。ユーザによってパスワードが入力されると、複合機1に対するログインが実行される。尚、ユーザによって入力されたパスワードによってログインしたユーザのユーザIDは特定される。
【0033】
次に、前述したステップS15と同様の認証処理がCPU11行われて、認証が成功したか否かが判断される(ステップS18)。認証が成功したと判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、CPU11の制御によってUSBポート21に装着されたUSBメモリが使用可能な状態に設定される(ステップS13)。これによって、USBポート21に装着されたUSBメモリ2に対するデータの読み出し及び書き込みが可能になる。
【0034】
これに対し、認証に失敗したと判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、CPU11の制御によってUSBポート21に装着されたUSBメモリ2の使用が不可である旨の表示が操作表示部20になされ(ステップS19)、その後に一連の処理が終了する。尚、ステップS14の判断結果が「NO」である場合も、ステップS19の処理が行われる。
【0035】
以上の通り、本実施形態では、複合機1で使用可能なUSBメモリのシリアル番号を複数登録可能なUSBメモリ登録部22を設け、USBメモリ登録部22の登録内容に基づいてUSBポート21に装着されたUSBメモリ2に対するデータの読み出し及び書き込みを許可するか否かを制御している。このため、USBメモリ登録部22にシリアル番号が予め登録された複数のUSBメモリ2のみを複合機1で使用することができ、USBメモリの管理を容易に行うことができ、且つ利便性を向上させることができる。
【0036】
また、複合機1の管理者によって使用される管理者登録用のUSBメモリのシリアル番号と、複合機1の一般ユーザによって使用される一般ユーザ登録用のUSBメモリのシリアル番号とが分けてUSBメモリ登録部22に登録されており、USBポート21に装着されたUSBメモリが一般ユーザ登録用のUSBメモリである場合には、特定のユーザであると認証された場合にのみデータの読み出し及び書き込みを許可するか否かを制御している。このため、第三者によるUSBメモリの不正使用を防止することができ、セキュリティの向上を図ることができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による電子機器について説明する。本実施形態の電子機器としての複合機の外観及び内部構成は、図1,図2に示す電子機器1とほぼ同様である。上述した第1実施形態の複合機1は、USBポート21に装着されたUSBメモリに対するデータの読み出し及び書き込みを許可するか否かのみを制御するものであった。これに対し、本実施形態の複合機は、複合機が備える複数の機能のうち、予め登録された機能以外の機能でのデータの使用(USBメモリで授受されるデータの使用)を制限するものである。
【0038】
図5は、本発明の第2実施形態におけるUSBメモリ登録部22の登録内容の一例を示す図である。図5に示す通り、本実施形態においては、3つのフィールドF1〜F3が設けられている。フィールドF1は、USBポート21に装着されるUSBメモリ2のうち、データの授受(読み出し及び書き込み)を許可するUSBメモリのシリアル番号が登録されるフィールドである。フィールドF2は、複合機が備える機能の使用が許可されるか否かを示す使用可否情報が登録されるフィールドである。フィールドF3は、複合機が備える複数の機能のうち、使用を許可する個々の機能を規定する許可情報が格納されるフィールドである。フィールドF2,F3に格納される情報はフィールドF1に格納されるシリアル番号に対応付けて登録される。尚、USBメモリ登録部22の登録内容の変更(追加、削除等)は複合機の管理者のみが行えるものとする。
【0039】
図5に示す例において、フィールドF2には、使用可否情報として「全て可」、「選択可」、「不可」が格納されている。「全て可」はUSBポート21に装着されたUSBメモリ2で授受されるデータが複合機の全ての機能で使用可能であることを意味し、「選択可」はUSBメモリ2で授受されるデータが複合機の一部の機能で使用可能であることを意味する。「不可」はUSBポート21に装着されたUSBメモリ2で授受されるデータが複合機の全ての機能で使用不可であることを意味する。
【0040】
また、図5に示す例において、フィールドF3には、許可情報として「USB to PRINT」、「SCAN to USB」、「USB to BOX」、「BOX to USB」なるサブフィールドが設けられている。サブフィールド「USB to PRINT」には、UBSメモリ2に記憶された情報の読み出し印刷が許可されるか否か(画像形成部18での使用が許可されるか否か)を示す情報が格納される。サブフィールド「SCAN to USB」には、画像読み取り部16を用いて読み取られた画像データのUSBメモリ2への書き込みが許可されるか否かを示す情報が格納される。
【0041】
サブフィールド「USB to BOX」には、UBSメモリ2に記憶された情報の読み出し及び画像データ記憶部17への保存が許可されるか否かを示す情報が格納される。また、サブフィールド「BOX to USB」には、画像データ記憶部17に保存された情報のUBSメモリ2への書き込みが許可されるか否かを示す情報が格納される。つまり、これらのサブフィールドには、USBメモリ2に対するデータの授受に関し、画像データ記憶部17の使用が許可されるか否かを示す情報が格納される。
【0042】
図5に示す例において、シリアル番号が「E8F00097XXXX」であるUSBメモリ2がUSBポート21に装着されている場合には、UBSメモリ2に記憶された情報の読み出し印刷、UBSメモリ2に記憶された情報の読み出し及び画像データ記憶部17への保存、並びに画像データ記憶部17に保存された情報のUBSメモリ2への書き込みが許可される。また、シリアル番号がUSBメモリ登録部22に登録されていないUSBメモリ2がUSBポート21に装着されている場合(「登録外」)には、画像読み取り部16で読み取られた画像データのUSBメモリ2への書き込みのみが許可される。
【0043】
次に、本実施形態の複合機の動作について簡単に説明する。複合機のユーザがUSBメモリ2を複合機のUSBポート21に装着すると、まずUSBポート21に装着されたUSBメモリ2のシリアル番号がCPU11によって読み出される。次いで、CPU11によってUSBメモリ登録部22が検索され、USBメモリ2から読み出したシリアル番号がUSBメモリ登録部22のフィールドF1に登録されているか否かが判断される。
【0044】
登録されていると判断した場合には、CPU11はUSBメモリ登録部22の登録内容に基づいて操作表示部20を制御し、複合機で使用可能な機能と使用不可能な機能とが分かるような表示をさせる。尚、この表示フォーマットは任意であり、使用可能な機能のみを表示しても良く、或いは使用可能な機能を濃く表示するとともに使用不可能な機能を薄く表示しても良い。この表示を参照することによって、ユーザは複合機で使用可能な機能及び使用不可能な機能を把握することができる。
【0045】
その後、ユーザがタッチパネル20aを操作して使用可能な機能の1つを特定すると、CPU11はフィールドF3の内容を参照してユーザによって特定された機能が使用可能か否かを確認した上で、ユーザに特定された機能を実行させる。尚、使用不可能とされている機能がユーザに特定された場合には、CPU11の制御によって、その機能を使用することは制限される。
【0046】
以上説明した通り、本実施形態では、複合機で使用可能なUSBメモリのシリアル番号と複合機が備える複数の機能のうち使用を許可する機能を規定する許可情報とを対応付けてUSBメモリ登録部22に登録している。そして、USBポート21に装着されたUSBメモリ2のシリアル番号がUSBメモリ登録部22に登録されている場合には、そのシリアル番号に対応付けられている許可情報に基づいて複合機が備える機能を制限している。このため、複合機で使用することができるUSBメモリ2を限定できることからUSBメモリ2の管理が容易であるとともに、USBメモリ2毎に使用可能な複合機の機能を限定することができるため、セキュリティを確保しつつ利便性を向上させることができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態による電子機器について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、本発明で使用可能な記憶媒体はUSBメモリ2に限定されることなく、SDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、スマートメディア、フレキシブルディスク、CD‐R、CD‐RW、DVD(登録商標)‐R、DVD‐RW、MOディスク等のあらゆる記憶媒体を使用することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、本発明に係る電子機器が画像形成装置の一つである複合機である場合を例に挙げて説明したが、本発明は、記憶媒体が装着される装着部を備えていれば、パーソナルコンピュータ等のあらゆる電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 複合機
2 USBメモリ
11 CPU
21 USBポート
22 USBメモリ登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在な記憶媒体が装着される装着部を備えており、当該装着部に装着された前記媒体に対するデータの授受が可能な電子機器において、
前記装着部に装着される記憶媒体のうち、データの授受を許可する記憶媒体を特定する情報を複数登録することが可能な登録手段と、
前記登録手段に登録された情報を用いて前記装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を許可するか否かを制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記記憶媒体には一意に定まる識別情報が割り当てられており、
前記登録手段は、前記記憶媒体割り当てられた前記識別情報を、前記データの授受を許可する記憶媒体を特定する情報として登録する
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記装着部に装着された記憶媒体に割り当てられた識別情報と前記登録手段に登録された識別情報との照合結果に基づいて、前記装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を許可するか否かを制御することを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記特録手段は、データの授受を無制限に許可する記憶媒体に割り当てられた識別情報を第1識別情報として登録し、特定のユーザが使用する場合にデータの授受を許可する記憶媒体に割り当てられた識別情報を第2識別情報として登録することを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記装着部に装着された記憶媒体に割り当てられた識別情報が前記第1識別情報に含まれる場合には、前記装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を無制限に許可する制御を行うことを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御手段は、前記装着部に装着された記憶媒体に割り当てられた識別情報が前記第2識別情報に含まれる場合には、ユーザが前記特定のユーザであると認証されたときのみ前記装着部に装着された記憶媒体に対するデータの授受を許可する制御を行うことを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項7】
前記登録手段は、データの授受を許可する記憶媒体に割り当てられた識別情報と、電子機器が備える複数の機能のうち使用を許可する機能を規定する許可情報とを対応付けて登録し、
前記制御手段は、前記装着部に装着された記憶媒体に割り当てられた識別情報が前記登録手段に登録された識別情報に含まれる場合には、当該識別情報に対応する許可情報で規定される機能以外の機能で、前記装着部に装着された記憶媒体で授受されるデータの使用を制限する制御を行う
ことを特徴とする請求項3記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−268063(P2010−268063A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115751(P2009−115751)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】