説明

電気スイッチおよび回路遮断器

【課題】アークレス電気スイッチギアを提供する。
【解決手段】電気スイッチは、第1の電気抵抗率を有する第1の端部112および第1の電気抵抗率より大きい電気抵抗率を有する第2の端部114を備えた段階的抵抗ブロック110を含む。電気スイッチは、段階的抵抗ブロックの第1の端部に電気的に結合された固定接触子120および、段階的抵抗ブロックの上でスライドするように構成されたスライド接触子130をさらに含む。電気スイッチの構成要素に加えて、回路遮断器はまた、スライド接触子を段階的抵抗ブロックの上で第1の端部から第2の端部までスライドさせるための強制機構を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に提示されている諸実施形態は、一般に電気スイッチギアに関し、より具体的にはアークレス電気スイッチギアに関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、回路内の電流が予め定義された限度を超えたときに回路を遮断するために使用される装置である。従来の回路遮断器は、電気接点が障害状態に反応して開いたときに電気アークを生じさせる可能性がある。電気アーキングは、特に火災の危険がある危険な環境では望ましくない。
【0003】
アーキングを消すためのいくつかの知られている解決策は、アークランナ、アークシュート、アブレーティブ冷却などを利用する。アークを消すのにかかる時間は非常に大きく、接点が開いている時間よりも大きい。さらに、アークは、AC回路遮断器において発生する自然電流ゼロの場合に除去される。DC回路遮断器は、自然電流ゼロの場合を表示しない。したがって、電流ゼロの場合を強制するために追加の回路および構成が必要とされる。
【0004】
1つの知られている解決策は、2つの金属接点間の可撓管に入れられた導電性液体混合物を利用する。正常な動作状態中は、導電性液体混合物は低抵抗率を提供する。しかし、障害状態が発生したときは、可撓管は絞られて管の横断面面積を低減し、したがって2つの金属接点間の抵抗率を高める。そのような抵抗率の増大は、開回路状態を効果的に生成する。しかし、そのようなスイッチギアは、導電性液体混合物の定常状態抵抗率によって限定される可能性がある。例えば、導電性液体混合物の高い導電性のために、電流伝導面積が10e−6平方メートルに低減される必要があり得る。そのような締付けは、達成するのが非常に難しい可能性がある。さらに、そのような締付けの必要は、高いスイッチング速度と相まって、耐久力のある可撓管を生産するために外国産の材料の使用を正当化する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、当技術分野では、知られている解決策に関連するこれらおよび他の欠点を克服するスイッチギアが必要である。
【0006】
一実施形態によれば、電気スイッチが開示される。電気スイッチは、第1の電気抵抗率を有する第1の端部および第1の電気抵抗率より大きい電気抵抗率を有する第2の端部を備えた段階的抵抗ブロックを含む。電気スイッチは、段階的抵抗ブロックの第1の端部に電気的に結合された固定接触子、および段階的抵抗ブロックの上でスライドするように構成されたスライド接触子をさらに含む。回路遮断器はまた、スライド接触子を段階的抵抗ブロックの上で第1の端部から第2の端部までスライドさせるための強制機構を含む。
【0007】
一実施形態によれば、電気スイッチが開示される。電気スイッチは、第1の電気抵抗率を有する第1の端部および第1の電気抵抗率より大きい電気抵抗率を有する第2の端部を備えた段階的抵抗ブロックを含む。段階的抵抗ブロックは、第1の接触子にスライド可能に結合される。回路遮断器は、段階的抵抗ブロックの第1の端部に電気的に結合された第2の接触子をさらに含む。電気スイッチはまた、第1の接触子と第2の接触子との間の電流経路が伝導状態から非伝導状態に移行するように段階的抵抗ブロックを第1の接触子を横切ってスライドさせるための強制機構を含む。
【0008】
一実施形態によれば、電気スイッチが開示される。電気スイッチは、第1の電気抵抗率を有する第1の端部および第1の電気抵抗率より大きい電気抵抗率を有する第2の端部を備えた段階的抵抗ブロックを含む。電気スイッチは、段階的抵抗ブロックの上でスライドするように構成された第1のスライド接触子、および段階的抵抗ブロックの上でスライドするように構成された第2のスライド接触子をさらに含む。第1のスライド接触子および第2のスライド接触子は予め決められた離隔距離において段階的抵抗ブロックに接触するように構成されてよく、予め決められた離隔距離は、第1のスライド接触子および第2のスライド接触子の移動の方向で測定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態による電気スイッチの簡略化された概略図である。
【図2】他の実施形態による電気スイッチの簡略化された概略図である。
【図3A】一実施形態による例示的回路遮断器アセンブリを示す図である。
【図3B】一実施形態による例示的回路遮断器アセンブリを示す図である。
【図4】他の実施形態による例示的回路遮断器アセンブリを示す図である。
【図5】他の実施形態による例示的回路遮断器アセンブリを示す図である。
【図6】他の実施形態による電気スイッチの簡略化された概略図である。
【図7】他の実施形態による電気スイッチの簡略化された概略図である。
【図8】一実施形態による電気パラメータ対スイッチング時間のグラフである。
【図9】一実施形態による電気スイッチを通る電流の流れ対スイッチング時間のグラフである。
【図10】他の実施形態による電気スイッチを通る電流の流れ対スイッチング時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に提示されている諸実施形態は、電気スイッチおよび回路遮断器を示す。従来の電気スイッチおよび回路遮断器では、通常、閉回路位置から開回路位置への移行は急激であり、接点間の電流の流れは突然停止する。そのような急激な遮断は、スイッチング動作中に電気アーキングを生じさせる可能性がある。本明細書に提示されている諸実施形態は、段階的抵抗ブロックを利用して、閉回路(ゼロ抵抗)から開回路(無限抵抗)への切り換え中に抵抗の滑らかな増大を提供する電気スイッチおよび回路遮断器を示す。段階的抵抗ブロックは、段階的に一連の抵抗を導入し、したがって、2つの接点間の電流を徐々に低減し、電気アーキングを大幅に低減する。本明細書に提示されている諸実施形態は、特定の電気スイッチおよび回路遮断器に関連して示されているが、そのような教示は、他のタイプの電気スイッチギアにも同様に適用されてよいことに留意するべきである。
【0011】
図1は、一実施形態による例示的電気スイッチ100の簡略化された概略図である。電気スイッチ100は、段階的抵抗ブロック110、固定接触子120、およびスライド接触子130を含む。段階的抵抗ブロック110は、段階的抵抗ブロック110の長さに沿って段階付けられた電気抵抗率を有する。段階的抵抗ブロック110は、それぞれ第1の電気抵抗率および第2の電気抵抗率を有する端部112および114を含む。端部114における電気抵抗率は、端部112における電気抵抗率より大きい12段階までの大きさである。例えば、端部112における電気抵抗率は、100マイクロオームメートルでよく、端部114における電気抵抗率は、1オームメートルでよい。代替として、端部114における電気抵抗率は、端部112における電気抵抗率より大きい12段階を超える大きさでもよい。段階的抵抗ブロック110の電気抵抗率は、どちらかの端部(すなわち、端部112または端部114)からの距離の連続関数として、または個別ステップで、第1の電気抵抗率から第2の電気抵抗率まで段階付けられてよい。
【0012】
一実施形態では、段階的抵抗ブロック110は、個別抵抗カセットの電気抵抗率の順にスタックされた複数の個別抵抗カセットを含む。図1は、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6として示されているそれぞれ異なる電気抵抗率の複数の抵抗カセットのスタック構成を示す。抵抗カセットは、抵抗カセットR1が最低の電気抵抗率を有し、抵抗カセットR6が最高の電気抵抗率を有するように昇順に配列される。抵抗カセットR1の一部分または全体は、端部112を形成してよく、抵抗カセットR6の一部分または全体は、端部114を形成してよい。通常、スタックする前に、抵抗カセットの接触面は、必要とされる粗度に加工されてよい。個別抵抗カセット(R1、R2、R3、R4、R5、およびR6)は、例えば接着剤接着、ろう付け、またははんだ付けなどの適切な技法を使用して相互に接着されてよい。代替として、個別抵抗カセット(R1、R2、R3、R4、R5、およびR6)は、予め定義された締付圧の下で、クランプアセンブリを使用して相互に機械的に締め付けられてよい。1つのそのような締付実施形態では、導電性混合物が抵抗カセット(R1、R2、R3、R4、R5、およびR6)の接触面に貼り付けられてよい。導電性混合物は、例えば電気接合ペーストでよい。導電性混合物は、2つの表面間のいかなるエアギャップをも低減し、抵抗カセット間の必要とされる電気伝導性を維持することができる。一実施形態では、抵抗カセットは、スライド接触子130の厚さに事実上等しい厚さを有する。抵抗カセットのそのような寸法は、スライド接触子130の動きに反応して抵抗率の均一な移行を提供することができる。
【0013】
他の実施形態では、段階的抵抗ブロック110は、一体式カセット構造体でよい。一体式カセットは、連続粒構造体を示してよい。一例示的一体式カセットはサーメット一体式カセットを含む。一体式カセットは、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、酸化インジウムスズ、およびそれらの組合せなどのしかしそれらに限定されないセラミック材料から作られてもよく、銀、銅、金、アルミニウム、インジウム、スズ、ガリウム、ニッケル、チタン、亜鉛、鉛、炭素、鉄、タングステン、モリブデン、それらの合金、およびそれらの混合物などのしかしそれらに限定されない導電性材料から作られてもよい。サーメット一体式カセットは、12段階まで、例えば、10〜100マイクロオームメートルから1〜10オームメートルまでの大きさだけ変わる段階的電気抵抗率を提供することができる。
【0014】
他の実施形態では、段階的抵抗ブロック110は、共役ポリマーから作られたカセットを含む。共役ポリマーは、共役系の導電性ポリマーを含む。導電性ポリマーは、高い電気伝導性を示す有機ポリマーである。金属伝導性および半導性を有するポリマーが使用されてよい。共役ポリマーは、ポリマーの加工性および機械的特性を機能性有機分子のカスタマイズ可能な電気特性と結合することができる。これらの材料の電子特性は、分子共役の性質によって主に支配されるが、分子間相互作用も、巨視的材料特性にかなりの影響を及ぼす。例示的共役ポリマー抵抗ブロック110は、トランス−ポリアセチレン(t−PA)、ポリチオフェノール(PT)、およびポリピロール(PPY)を含む。そのような共役ポリマーの電気伝導性は、ドーピングレベルに応じて様々であり得る。
【0015】
段階的抵抗ブロック110は、段階的抵抗ブロック110が動作環境において化学的に安定しているように選択されてよい。段階的抵抗ブロック110は、スイッチ100の定格寿命の間ずっと耐摩耗性を保証するために、モーススケール上で3より大きい硬度を有するように選択されてよい。他の特性は、300度より高い熱安定性を含んでよい。ブロックユニットの熱安定性が高いほど、より高い温度での分解耐性が高くなる。
【0016】
固定接触子120は、端部112に電気的に結合される。固定接触子120は、端部112において段階的抵抗ブロック110の縦面に結合されてよい。代替として、固定接触子120は、端部112において段階的抵抗ブロック110の1つまたは複数の側面に結合されてもよい。固定接触子120は、銅、真鍮、鋼などのしかしそれらに限定されない金属から作られてよい。固定接触子120のための材料は、電気伝導性、硬度もしくは耐摩耗性、機械的強度、コストなどに基づいて選ばれてよい。段階的抵抗ブロック110の材料に応じて、固定接触子120を段階的抵抗ブロック110の端部112に接着するために、適切な接着処理、例えば接着剤接着、はんだ付け、ろう付けなどが選ばれてよい。いくつかの実施形態では、固定接触子120は、例えばばねアセンブリを使用して端部112と接触して配置されてもよい。ばねアセンブリは、固定接触子120と端部112との間に予め定義された接触圧を維持するように構成されてよい。ばねアセンブリは、限定なしに、コイルばね、板ばね、空気ばねなどを含めて任意の適切なアセンブリでよい。1つのそのような実施形態では、電気接合ペーストなどの電気伝導性混合物が固定接触子120および段階的抵抗ブロック110の端部112の接触面に貼り付けられてよい。電気伝導性混合物は、ペーストが固定接触子120および端部112の亜鉛めっき腐食を大幅に低減またはまとめて除去し、一方、固定接触子120と端部112との間の必要とされる電気伝導性を維持するように選ばれてよい。
【0017】
スライド接触子130は、段階的抵抗ブロック110の上でスライドするように構成される。スライド接触子130は、段階的抵抗ブロック110のスライド面116の上でスライドすることができる。段階的抵抗ブロックのスライド面116は、円弧状の表面でよいが、他の実施形態も考えられる。そのような円弧状の実施形態では、スライド接触子130は、円弧状のスライド面116に沿ってスライド接触子130をスライドさせる回転アセンブリ上に配置されてよい。
【0018】
適切な強制機構(図示せず)がスライド接触子130に結合されてよい。強制機構は、スライド接触子130を、段階的抵抗ブロック110の上でスライド面116を横切ってスライドさせるように構成される。強制機構は、ばね作動機構でよい。代替として、強制機構は、プランジャ機構、てこ機構などのしかしそれらに限定されない手動操作機構でもよい。
【0019】
図2は、他の実施形態による一例示的電気スイッチ200の簡略化された概略図である。電気スイッチ200は、段階的抵抗ブロック210、固定接触子220、およびスライド接触子230を含む。段階的抵抗ブロック210は、段階的抵抗ブロック210の長さに沿って段階付けられた電気抵抗率を有する。段階的抵抗ブロック210は、それぞれ第1の電気抵抗率および第2の電気抵抗率を有する端部212および214を含む。端部214における電気抵抗率は、端部212における電気抵抗率より大きい12段階までの大きさである。例えば、端部212における電気抵抗率は、1マイクロオームメートルでよく、端部214における電気抵抗率は、1オームメートルでよい。代替として、端部214における電気抵抗率は、端部212における電気抵抗率より大きい12段階を超える大きさでもよい。段階的抵抗ブロック210の電気抵抗率は、どちらかの端部(すなわち端部212または端部214)からの距離の連続関数として、または個別ステップで、第1の電気抵抗率から第2の電気抵抗率まで段階付けられてよい。スライド接触子230は、段階的抵抗ブロック210の上でスライドするように構成される。スライド接触子230は、段階的抵抗ブロック210のスライド面216の上でスライドすることができる。段階的抵抗ブロックのスライド面216は、平らな表面でよい。そのような実施形態では、スライド接触子230は、スライド接触子230を平らなスライド面216に沿ってスライドさせるように構成された併進アセンブリ上に配置されてよい。電気スイッチ200の様々な態様の動作および構成は、上記で図1に関連して説明されたものと同様である。
【0020】
適切な強制機構(図示せず)がスライド接触子230に結合されてよい。強制機構は、スライド接触子230を、段階的抵抗ブロック210の上でスライド面216を横切ってスライドさせるように構成される。強制機構は、ばね作動機構でよい。代替として、強制機構は、プランジャ機構、てこ機構などのしかしそれらに限定されない手動操作機構でもよい。
【0021】
図1および図2は、段階的抵抗ブロックを利用する電気スイッチの2つの可能な実施形態を示すが、他の実施形態も考えられる。例えば、段階的抵抗ブロックは、円筒の長さに沿って段階付けられた電気抵抗率を有する円筒などの他の形状で構成されてもよい。スライド接触子は、円筒状の段階的抵抗ブロックの外側曲面上でスライドするように構成されてよい。代替として、段階的抵抗ブロックは、中空円筒の形状でもよく、スライド接触子は、中空円筒の内側曲面に沿ってスライドするように構成されてもよい。円筒の縦端部は、段階的抵抗ブロックの端部を表してよい。スライド接触子は、段階的抵抗ブロックとの予め定義された接触圧を維持するのに適した任意のアセンブリ上に配置されてよい。代替として、円筒の縦断面のような形をして、軸の回りに放射状に配置された複数の段階的抵抗ブロックが使用されてもよい。スライド接触子は、軸に沿って、縦断面の内側に沿ってスライドする円盤でよい。代替として、スライド接触子は、縦断面の外側に沿ってスライドする環状輪でもよい。そのような実施形態では、段階的抵抗ブロック(1つまたは複数)は、スライド接触子との予め定義された接触圧を維持するのに適したばねアセンブリ上に配置されてよい。
【0022】
上記で提示されている諸実施形態は、電気スイッチを例示する。これらの諸実施形態はまた、従来のスイッチギアと直列に配置されてもよい単一使用の電流制限デバイスとして利用されてもよい。そのような単一使用の電流制限デバイスは、例えば、工場、配電網などの重電設備において使用されてよい。電気スイッチはまた、アークレス電流遮断をすることができる回路遮断器の一部分でもよい。障害状態中に回路遮断器をトリップするためには、スライド接触子を段階的抵抗ブロックの上で移動させるために電気スイッチにおいて強制機構が利用される。強制機構は、段階的抵抗ブロックおよび電気スイッチの構成に基づいて段階的抵抗ブロックに関してスライド接触子に回転運動または並進運動のいずれかを提供するように設計されてよい。
【0023】
回転強制機構は、回転アクチュエータ、ラッチ、およびピボット/ヒンジジョイントを含んでよく、スライド接触子に回転運動を提供するように構成されてよい。回転アクチュエータは、ばね作動または空気作動などの機械式でよい。正常な動作状態中は、スライド接触子は、段階的抵抗ブロックの導電性端部(例えば、端部112または212)と接触して保持される。回転アクチュエータは、ラッチによってそのような閉回路位置に保持される。障害状態中には、トリップ機構は、ラッチを外すことができ、したがって、回転アクチュエータを外し、スライド接触子を導電性端部から抵抗端部(例えば、端部114、または214)に押しやり、回路遮断器を開回路位置にトリップする。強制機構は、毎秒1〜10メートル(m/s)の範囲のスライド接触子速度を提供することができる。
【0024】
併進強制機構は、並進アクチュエータ、ラッチ、およびガイド溝を含んでよく、スライド接触子に並進運動を提供するように構成されてよい。並進アクチュエータは、ばね作動または空気作動などの機械式でよい。正常な動作状態中は、スライド接触子は、段階的抵抗ブロックの導電性端部(例えば、端部112または212)と接触して保持される。並進アクチュエータは、ラッチによってそのような閉回路位置に保持されてよい。障害状態中は、トリップ機構がラッチを外すことができ、したがって、並進アクチュエータを外し、スライド接触子を導電性端部から抵抗端部(例えば、端部114または214)に押しやり、回路遮断器を開回路位置にトリップする。強制機構は、毎秒1〜10メートル(m/s)の範囲のスライド接触子速度を提供することができる。
【0025】
本明細書では回転強制機構および並進強制機構が説明されてきたが、回転運動および並進運動の組合せでよい他の強制機構も本開示の範囲内で考えられることが理解されるべきである。
【0026】
図3Aおよび3Bは、一実施形態による例示的回路遮断器300を示す。回路遮断器300は、段階的抵抗ブロック310、固定接触子320、スライド接触子330、および強制機構を含む。強制機構は、プランジャ342、プランジャ342にピボット的に結合された回転スイープアーム344、回転スイープアーム344上に配置されたガイドピン346、およびガイドピン346がその中で移動するガイド348を含む。強制機構はまた、障害状態中回路遮断器300を閉回路位置から開回路位置に押しやるための逆電流ループ350を含む。回路遮断器300はまた、回路遮断器300が障害状態によってトリップされた後に回路遮断器300をリセットするためのリセット棒360を含む。例えば、リセット棒360を段階的抵抗ブロック310から離す方向に引き出すことは、トリップされた回路遮断器300をリセットすることができる。プランジャ342は、強制機構のために高慣性システムを提供することができ、その結果、スライド接触子330と段階的抵抗ブロック310との間のチャタリングまたは接点バウンスが少なくとも事実上低減される。図3Aは、回路遮断器300の開回路位置を示し、一方、図3Bは、回路遮断器の閉回路位置を示す。
【0027】
図4は、一実施形態による例示的回路遮断器400を示す。回路遮断器400は、段階的抵抗ブロック410、固定接触子420、スライド接触子430、および強制機構を含む。強制機構は、減衰ブロック442、減衰ブロック442を閉回路位置に保持するラッチ444、ハウジング上に配置されたガイドピン446、および減衰ブロック442がそれによってガイドピン446に沿って移動する減衰ブロック442上の対応するガイド448を含む。強制機構はまた、回路遮断器400を閉回路位置から開回路位置に押しやるシャットオフばね450を含む。回路遮断器400はまた、回路遮断器400が障害状態によってトリップされた後に回路遮断器400をリセットするためのリセット棒460を含む。リセット棒460を押し下げることで、トリップされた回路遮断器400をリセットすることができる。回路遮断器400はまた、手動トリップアーム462を含んでもよい。手動トリップアーム462に上方向の力をかけることは、回路遮断器400を手動でトリップする。減衰ブロック442は、シャットオフばね450のために高慣性システムを提供することができ、その結果、スライド接触子430と段階的抵抗ブロック410との間のチャタリングまたは接点バウンスが少なくとも事実上低減される。回路遮断器400は、接触圧ばね480をさらに含む。接触圧調整ねじ482もまた、接触圧ばね480の圧縮を調整し、それによってスライド接触子430と段階的抵抗ブロック410との間にかけられる力を制御するために提供されてよい。
【0028】
図5は、一実施形態による例示的回路遮断器500を示す。回路遮断器500は、段階的抵抗ブロック510、固定接触子520、スライド接触子530、および強制機構を含む。強制機構は、減衰ブロック542、減衰ブロック542上に配置されたガイドピン546、およびガイドピン546がその中で移動する減衰ブロック542上のガイド548を含む。強制機構はまた、回路遮断器500を閉回路位置から開回路位置に押しやるためのシャットオフばね550を含む。回路遮断器500はまた、回路遮断器500が障害状態によってトリップされた後に回路遮断器500をリセットするためにリセット棒560を含む。強制調整ねじ552がシャットオフばね550のテンションを調整するために提供される。リセット棒560を引くことは、トリップされた回路遮断器500をリセットすることができる。減衰ブロック542は、シャットオフばね550のために高慣性システムを提供することができ、その結果、スライド接触子530と段階的抵抗ブロック510との間のチャタリングまたは接点バウンスが少なくとも事実上低減される。回路遮断器500は、段階的抵抗ブロック510をスライド接触子530の方に押し進めるための接触圧ばね580をさらに含む。接触圧調整ねじ582がまた接触圧ばね580の圧縮を調整するために提供されてもよい。
【0029】
段階的抵抗ブロック510は、スライド接触子530の運動の平面に関して角度オフセットで回路遮断器500のハウジング内に取り付けられてよい。一実施形態では、角度オフセットは、例えば5度でよい。そのような角度オフセットは、段階的抵抗ブロック510とスライド接触子530との間に一定不変で均一な接触圧を提供する。これは、結果として、回路遮断器500がトリップしている間に接点バウンスまたはチャタリングをさらに低減することになる。
【0030】
したがって、前述の諸実施形態は固定接触子およびスライド接触子をさらに含む。いくつかの実施形態では、電気スイッチは、2つのスライド接触子を含んでよい。図6は、一実施形態による電気スイッチ600の簡略化された概略図を示す。電気スイッチ600は、段階的抵抗ブロック610、第1のスライド接触子620、および第2のスライド接触子630を含む。スライド接触子620および630は、段階的抵抗ブロック610のスライド面616上でスライドするように構成される。
【0031】
スペーサアセンブリ618がスライド接触子620と630との間の予め定義された離隔距離を維持する。図示されているスペーサアセンブリ618は、スライド接触子620および630の移動方向に測定されたスライド接触子620と630との間の固定離隔距離を維持する。段階的抵抗ブロックの抵抗率は、スペーサアセンブリ618が低電気抵抗率端部612に最も近いときにスライド接触子620と630との間の抵抗率が非常に小さいように段階付けられてよい。次いで、抵抗は、スペーサアセンブリ618が端部612から端部612における電気抵抗率より大きい電気抵抗率を示す端部614の方へ離れてゆくにつれて徐々に増大してよい。スライド接触子620と630との間の抵抗は、スペーサアセンブリ618が端部614に最も近いときに最大値に達する。一実施形態では、端部614における電気抵抗率は、端部612における電気抵抗率より大きい12段階までの大きさである。例えば、端部612おける電気抵抗率は、100マイクロオームメートルでよく、端部614における電気抵抗率は、1オームメートルでよい。代替として、端部614における電気抵抗率は、端部612における電気抵抗率より大きい12段階を超える大きさでもよい。
【0032】
他のスペーサアセンブリも考えられる。例えば、1つのスペーサアセンブリは、スイッチオフ中に離隔距離を連続して増大させ、したがって、スライド接触子620と630との間の抵抗を徐々に増大させることができる。スペーサアセンブリは、スイッチオン中に離隔距離を連続して減少させ、したがって、スライド接触子620と630との間の抵抗を徐々に減少させることができる。そのようなスペーサアセンブリは、例えば、支点からの様々な距離においてピンを有するてこを使用して実現されることが可能であり、各ピンは、スライド面616に沿っての並進運動時にスライド接触子を駆動する。
【0033】
図7は、電気スイッチの他の実施形態を示す。図7は、電気スイッチ700の簡略化された概略図である。電気スイッチ700は、段階的抵抗ブロック710を含む。段階的抵抗ブロック710は、低電気抵抗率を有する端部712、および端部712の電気抵抗率より高い電気抵抗率を有する端部714を含む。端部714における電気抵抗率は、端部712における電気抵抗率より大きい12段階までの大きさである。例えば、端部712おける電気抵抗率は、100マイクロオームメートルでよく、端部714における電気抵抗率は、1オームメートルでよい。代替として、端部714における電気抵抗率は、端部712における電気抵抗率より大きい12段階を超える大きさでもよい。段階的抵抗ブロック710はまた、スライド面716を含む。
【0034】
電気スイッチ700は、段階的抵抗ブロック710の端部712に固定して電気的に結合された接触子720をさらに含む。他の接触子730は、電気スイッチ700のハウジング(図示せず)に固定して結合されてよい。段階的抵抗ブロック710および接触子720は、図7に示されている両方向矢印の方向に接触子730に関してスライドするように構成される。言い換えれば、段階的抵抗ブロック710は、接触子730にスライド可能に結合され、接触子720に固定して結合される。閉回路位置では、段階的抵抗ブロック710は、接触子720と接触子730との間の電流経路が最小可能抵抗に出会うように配置されてよい。例えば、接触子730は、接触子720または端部712と直接接触していてもよい。スイッチ開動作中に、段階的抵抗ブロック710は、接触子720と接触子730との間の電流経路が最大抵抗に出会うように下方にスライドすることができる。例えば、接触子730は、端部714と直接接触していてもよい。適切な強制機構(図示せず)は、段階的抵抗ブロック710、または接触子720、あるいはこれら2つが取り付けられているアセンブリに結合されてよい。強制機構は、段階的抵抗ブロック710を接触子730の上でスライドさせるように構成される。強制機構は、ばね作動機構でよい。代替として、強制機構は、プランジャ機構、てこ機構などのしかしそれらに限定されない手動操作機構でもよい。
【0035】
図8は、一実施形態による、抵抗対スイッチング時間のグラフを示す。段階的抵抗ブロックの可変抵抗パラメータが縦軸上にオーム(Ω)単位で示されており、一方、電気スイッチのスイッチング時間が横軸上にミリ秒(msec)単位で示されている。グラフは、スイッチング時間にわたる抵抗のほとんど幾何級数的な増加を示す。一実施形態によれば、段階的抵抗ブロックの抵抗は、スイッチング時間の、結合一次および指数関数である。スイッチング時間(T)にわたる抵抗(R)の数式は、R=a.T+bTとして示されることが可能であり、ここでaおよびbは実数である。スイッチング時間にわたる抵抗のグラフはまた、放物線関数、指数関数、一次関数、および階段関数を含むがそれらに限定されない他の数学的関数を示すことができる。
【0036】
図9は、一実施形態によるスイッチング時間にわたる電気スイッチを通る電流の流れを示す。電気スイッチは、スライド接触子アセンブリの十分な減衰または十分な慣性がない場合、閉じた接触子が開く間にまたは開いた接触子が閉じる間にチャタリングを示す可能性がある。チャタリングは、閉回路から開回路への滑らかな移行ではなく、急速パルス電流である。通常、チャタリングは、接触圧を維持するためにスライド接触子上に配置されたばねの堅さ不足のために発生し、これはスライド接触子のバウンシングを引き起こす。図9では、電流が縦軸上にアンペア(amp)単位でプロットされ、スイッチング時間が横軸上に秒単位でプロットされている。図9に示されているように、従来の電気スイッチは、時間帯0.001秒および0.003秒の間に急速パルス電流を生じさせる。チャタリングの量は、電気スイッチの設計に依存する。電気スイッチシステムにおけるスイッチング接点の開/閉速度、初期接触力、スイッチング接点の質量、および機械的共鳴はすべて、接点の開/閉中に生成されるチャタリングの量に影響を及ぼす。チャタリングは、結果として、過度の接点バウンスのためにスイッチ接点の寿命を縮めることになる。
【0037】
本明細書に提示されている様々な実施形態では、接触圧を維持するためのばねアセンブリは、段階的抵抗ブロック上に配置されよい。そのような構成は、高慣性システムを提供することができ、接点バウンスに対する減衰を改善することができる。減衰をさらに向上させるために、より堅いばねが利用されてもよい。慣性をさらに増大させ減衰を改善するために、スライド接触子に減衰ブロックまたはバラストが固定されてもよい。図10は、一実施形態による電気スイッチを通るスイッチング時間にわたる電流の流れを示す。図10では、電流が縦軸上にアンペア(amp)でプロットされ、スイッチング時間が横軸上に秒でプロットされている。図9と比べると、図10におけるグラフは、スイッチング動作中のより明瞭な電流の流れを表し、大幅に低減されたチャタリングを示す。
【0038】
本明細書に提示されている諸実施形態に関連する様々な技術的および商業的利点がある。例えば、本明細書に記載の電気スイッチおよび回路遮断器は、AC負荷に対してもDC負荷に対しても働く。本明細書に記載の回路遮断器は、従来の設計の15〜20ミリ秒の障害除去時間に比較して10ミリ秒未満のより速い障害除去時間を有する。さらに、電流を徐々に低減するための段階的抵抗ブロックの使用は、スイッチング中に電気アーキングを大幅に低減するまたは完全に除去することができる。回路遮断器の性能測定は、単位kA2秒を有する「レットスルー(let−through)」エネルギーの点から測定されることが可能である。レットスルーエネルギーは、障害状態の場合に回路遮断器から下流で受け取られるエネルギーの量を示す。過剰なレットスルーエネルギーは、望ましくなく、したがって低減される必要がある。本明細書に記載の回路遮断器は、従来の回路遮断器の約3e62に比較して約1e62のレットスルーエネルギーを有する。レットスルーエネルギーのそのような低減は、従来の回路遮断器より回路遮断器のサービス寿命を大幅に改善することができる。
【符号の説明】
【0039】
100 電気スイッチ
110 段階的抵抗ブロック
112 第1の端部
114 第2の端部
116 スライド面
120 固定接触子
130 スライド接触子
200 電気スイッチ
210 段階的抵抗ブロック
212 第1の端部
214 第2の端部
216 スライド面
220 固定接触子
230 スライド接触子
300 回路遮断器
310 段階的抵抗ブロック
320 固定接触子
330 スライド接触子
342 プランジャ
344 回転スイープアーム
346 ガイドピン
348 ガイド
350 逆電流ループ
360 リセット棒
400 回路遮断器
410 段階的抵抗ブロック
420 固定接触子
430 スライド接触子
442 減衰ブロック
444 ラッチ
446 ガイドピン
448 ガイド
450 シャットオフばね
460 リセット棒
480 接触圧ばね
482 接触圧調整ねじ
500 回路遮断器
510 段階的抵抗ブロック
520 固定接触子
530 スライド接触子
542 減衰ブロック
546 ガイドピン
548 ガイド
550 シャットオフばね
552 強制調整ねじ
560 リセット棒
580 接触圧ばね
582 接触圧調整ねじ
600 電気スイッチ
610 段階的抵抗ブロック
612 第1の端部
614 第2の端部
616 スライド面
618 スペーサアセンブリ
620 スライド接触子
630 スライド接触子
700 電気スイッチ
710 段階的抵抗ブロック
712 第1の端部
714 第2の端部
716 スライド面
720 固定接触子
730 スライド接触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電気抵抗率を有する第1の端部(112、212)および前記第1の電気抵抗率より大きい電気抵抗率を有する第2の端部(114、214)を備えた段階的抵抗ブロック(110、210)と、
前記段階的抵抗ブロック(110、210)の前記第1の端部(112、212)に電気的に結合された固定接触子(120、220)と、
前記段階的抵抗ブロック(110、210)の上でスライドするように構成されたスライド接触子(130、230)と、
前記スライド接触子(130、230)を前記段階的抵抗ブロック(110、210)の上で前記第1の端部(112、212)から前記第2の端部(114、214)までスライドさせるための強制機構と
を備えた電気スイッチ(100、200)。
【請求項2】
前記段階的抵抗ブロック(110、210、610、710)の電気抵抗率が前記第1の端部(112、212、612、712)と前記第2の端部(114、214、614、714)との間の12段階までの大きさだけ変わる、請求項1記載の電気スイッチ(100、200、600、700)。
【請求項3】
前記段階的抵抗ブロック(110、210、610、710)が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、銀、モリブデン、またはそれらの組合せを備えるセラミック一体式カセットを備えた請求項1記載の電気スイッチ(100、200、600、700)。
【請求項4】
前記段階的抵抗ブロック(110、210、610、710)が共役ポリマーカセットを備えた請求項1記載の電気スイッチ(100、200、600、700)。
【請求項5】
前記スライド接触子(130、230、630、730)に対して正常な接触力をかけるために前記段階的抵抗ブロック(110、210、610、710)に機械的に結合されたばねアセンブリをさらに備えた請求項1記載の電気スイッチ(100、200、600、700)。
【請求項6】
第1の電気抵抗率を有する第1の端部(612)および前記第1の電気抵抗率より大きい電気抵抗率を有する第2の端部(614)を備えた段階的抵抗ブロック(610)と、
段階的抵抗ブロック(610)の上でスライドするように構成された第1のスライド接触子(620)と、
前記段階的抵抗ブロック(610)の上でスライドするように構成された第2のスライド接触子(630)とを備え、前記第1のスライド接触子(620)および前記第2のスライド接触子(630)が、前記第1のスライド接触子(620)および前記第2のスライド接触子(630)の移動の方向で測定された予め決められた離隔距離で前記段階的抵抗ブロック(610)に接触するように構成された、
電気スイッチ(600)。
【請求項7】
前記予め決められた離隔距離が固定離隔距離である、請求項6記載の電気スイッチ(600)。
【請求項8】
前記予め決められた離隔距離が連続して変わる離隔距離である、請求項6記載の電気スイッチ(600)。
【請求項9】
第1の接触子(730)と、
前記第1の接触子(730)にスライド可能に結合され、第1の電気抵抗率を有する第1の端部(712)および前記第1の電気抵抗率より大きい電気抵抗率を有する第2の端部(714)を備えた段階的抵抗ブロック(710)と、
前記段階的抵抗ブロック(710)の前記第1の端部(712)に電気的に結合された第2の接触子(720)と、
前記第1の接触子(730)と前記第2の接触子(720)との間の電流経路が伝導性状態から非伝導性状態に移行するように前記段階的抵抗ブロック(710)を前記第1の接触子(730)横切ってスライドさせるための強制機構と
を備えた電気スイッチ(700)。
【請求項10】
前記段階的抵抗ブロック(710)に正常な接触力をかけるために前記第1の接触子(730)に機械的に結合されたばねアセンブリをさらに備えた請求項9記載の電気スイッチ(700)。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115045(P2013−115045A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253798(P2012−253798)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】