説明

電気光学装置および電子機器

【課題】右眼用画像および左眼用画像の表示にオーバードライブを適用した構成のもとで各画素に対する直流成分の印加を抑制する。
【解決手段】駆動回路40は、各表示期間P内の単位期間U1と単位期間U2とで各画素PIXの液晶素子CLに対する印加電圧が逆極性となるように、各表示期間P内の単位期間U1および単位期間U2の各々にて指定階調に応じた電圧を各画素PIXに印加する。OD(オーバードライブ)制御部54は、各表示期間Pにおいて、当該表示期間Pでの表示画像と直前の表示期間Pでの表示画像とに応じた補正量のオーバードライブを各表示期間Pの単位期間U1および単位期間U2の各々にて駆動回路40に実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者が立体感を知覚するように相互に視差が付与された右眼用画像と左眼用画像とを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
右眼用画像と左眼用画像とを時分割で交互に表示するフレームシーケンシャル方式の立体視方法が従来から提案されている。例えば特許文献1に開示された技術では、図10に示すように、右眼用画像の表示期間PRと左眼用画像の表示期間PLとが交互に設定される。各表示期間P(PR,PL)は2個の単位期間U(U1,U2)に区分され、表示画像に応じた電圧が単位期間U毎に各画素に印加される。印加電圧の極性を反転させる交流駆動が必要な液晶素子を各画素に利用した構成では、図10に示すように、各画素の印加電圧が、例えば各表示期間Pの単位期間U1にて正極性に設定されるとともに単位期間U2にて負極性に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、指定階調に応じた目標電圧を上回る過電圧を各画素に印加して液晶の応答遅延を補償するオーバードライブ(過電圧駆動)が従来から提案されている。例えば特許文献1の技術では、図10に示すように、各表示期間Pのうち表示画像が直前の画像から更新される単位期間U1にてオーバードライブ(OD)を実行する構成(以下「対比例」という)が想定される。
【0005】
しかし、対比例のもとでは、各表示期間Pのうち単位期間U1内でオーバードライブにより各画素に印加される正極性の電圧と、オーバードライブを実行しない単位期間U2にて画素に印加される負極性の電圧とが相違するから、表示期間内で各画素に直流成分が印加され、直流成分の印加に起因した各画素(液晶素子)の特性劣化が発生し得るという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、右眼用画像および左眼用画像の表示にオーバードライブを適用した構成のもとで各画素に対する直流成分の印加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、右眼用画像と左眼用画像とを表示期間毎に交互に表示する電気光学装置であって、複数の走査線と複数の信号線との各交差に対応して配置された複数の画素と、各表示期間内の第1単位期間と第2単位期間とで各画素の印加電圧が逆極性となるように各表示期間内の第1単位期間および第2単位期間の各々にて指定階調に応じた電圧を各画素に印加する駆動回路と、各表示期間において、当該表示期間での表示画像と直前の表示期間での表示画像とに応じた補正量のオーバードライブを各表示期間の第1単位期間および第2単位期間の各々にて駆動回路に実行させるオーバードライブ制御手段とを具備する。以上の構成では、表示期間内で各画素の印加電圧が逆極性に設定される第1単位期間および第2単位期間の双方において各画素のオーバードライブが実行される。したがって、例えば第1単位期間のみでオーバードライブを実行する対比例と比較して、第1単位期間と第2単位期間とにおける各画素の印加電圧の相違が低減され、直流成分の印加に起因した画素の特性劣化を抑制できるという利点がある。
【0007】
本発明の好適な態様において、駆動回路は、複数の走査線の各々を順次に選択するとともに選択状態の走査線に対応する各画素に指定階調に応じた電圧を印加し、オーバードライブ制御手段は、複数の走査線のうち第1走査線に対応する画素と、第1走査線の選択後に選択される第2走査線に対応する画素とについて、一の表示期間での表示画像における指定階調と一の表示期間の直前の表示期間での表示画像における指定階調とが相等しい場合に、一の表示期間において、第2走査線に対応する画素のオーバードライブの補正量が、第2走査線に対応する画素のオーバードライブの補正量を上回るように、駆動回路による各画素のオーバードライブを制御する。以上の態様では、第2走査線に対応する画素のオーバードライブの補正量が、第2走査線の選択前に選択される第1走査線に対応する画素のオーバードライブの補正量を上回るから、一の表示期間での指定階調と直前の表示期間での指定階調とが相等しい複数の画素についてオーバードライブによる補正量が相等しい電圧に設定される構成と比較して、表示画像のクロストークが観察者に知覚され難いという利点がある。なお、以上の態様の具体例は例えば第2実施形態として後述される。
【0008】
本発明の好適な態様の電気光学装置は、複数の走査線の配列方向の各位置に対応する複数の調整値を記憶する記憶手段と、記憶手段が記憶する複数の調整値の補間により各走査線に対応する調整値を生成する補間手段とを具備し、オーバードライブ制御手段は、補間手段が生成した各調整値に応じて、各走査線に対応する画素のオーバードライブの補正量を調整する。以上の態様では、記憶手段に記憶された複数の調整値の補間により各走査線に対応する調整値が生成されるから、例えば全部の走査線に対応する調整値を記憶手段に保持する構成と比較して記憶手段の容量が削減されるという利点がある。
【0009】
本発明の好適な態様において、オーバードライブ制御手段は、各表示期間の第1単位期間における各画素のオーバードライブの補正量が、当該表示期間のうち第1単位期間の経過後の第2単位期間における当該画素のオーバードライブの補正量を上回るように、駆動回路による各画素のオーバードライブを制御する。以上の態様では、第1単位期間でのオーバードライブの補正量が第2単位期間でのオーバードライブの補正量を上回るから、第1単位期間と第2単位期間とでオーバードライブの補正量を同等に設定した場合と比較して、表示画像のクロストークが観察者に知覚され難いという利点がある。なお、以上の態様の具体例は例えば第3実施形態として後述される。
【0010】
本発明の好適な態様は、右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、各表示期間のうち第1単位期間の少なくとも一部を含む期間にて右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態に制御し、右眼用画像の表示期間のうち第2単位期間の少なくとも一部を含む期間にて右眼用シャッターを開状態に制御するとともに左眼用シャッターを閉状態に制御し、左眼用画像の表示期間のうち第2単位期間の少なくとも一部を含む期間にて左眼用シャッターを開状態に制御するとともに右眼用シャッターを閉状態に制御する眼鏡制御回路を具備する。
【0011】
以上の各態様に係る電気光学装置は表示体として各種の電子機器に採用される。例えば、以上の各態様に係る電気光学装置と、眼鏡制御回路が制御する立体視用眼鏡とを具備する立体視表示装置が、本発明の電子機器として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置のブロック図である。
【図2】画素回路の回路図である。
【図3】第1実施形態の動作の説明図である。
【図4】処理回路のブロック図である。
【図5】第2実施形態における処理回路のブロック図である。
【図6】調整値の補間の説明図である。
【図7】電子機器(投射型表示装置)の斜視図である。
【図8】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図9】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図10】対比例における立体視動動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置100のブロック図である。立体視表示装置100は、観察者に立体感を知覚させる立体視画像をアクティブシャッター方式で表示する電子機器であり、電気光学装置10と立体視用眼鏡20とを具備する。電気光学装置10は、相互に視差が付与された右眼用画像GRと左眼用画像GLとを時分割で交互に表示する。
【0014】
立体視用眼鏡20は、電気光学装置10が表示する立体視画像の視認時に観察者が装着する眼鏡型の器具であり、観察者の右眼の前方に位置する右眼用シャッター22と左眼の前方に位置する左眼用シャッター24とを具備する。右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々は、照射光を透過させる開状態(透過状態)と照射光を遮断する閉状態(遮光状態)とに制御される。例えば印加電圧に応じて液晶の配向方向を変化させることで開状態および閉状態の一方から他方に変化する液晶シャッターが右眼用シャッター22および左眼用シャッター24として採用され得る。
【0015】
図1の電気光学装置10は、電気光学パネル12と制御回路14とを具備する。電気光学パネル12は、複数の画素(画素回路)PIXが配列された画素部30と、各画素PIXを駆動する駆動回路40とを含む。画素部30には、x方向に延在するM本の走査線32と、x方向に交差するy方向に延在するN本の信号線34とが形成される(MおよびNは自然数)。画素部30内の複数の画素PIXは、走査線32と信号線34との各交差に対応して縦M行×横N列の行列状に配列される。
【0016】
図2は、各画素PIXの回路図である。図2に示すように、各画素PIXは、液晶素子CLと選択スイッチSWとを含む。液晶素子CLは、相互に対向する画素電極62および共通電極64と両電極間の液晶66とで構成された電気光学素子である。画素電極62と共通電極64との間の印加電圧に応じて液晶66の透過率(表示階調)が変化する。選択スイッチSWは、走査線32にゲートが接続されたNチャネル型の薄膜トランジスターで構成され、液晶素子CLと信号線34との間に介在して両者の電気的な接続(導通/絶縁)を制御する。したがって、画素PIX(液晶素子CL)は、選択スイッチSWがオン状態に制御されたときの信号線34の電位(後述の階調電位X[n])に応じた階調を表示する。なお、液晶素子CLに並列に補助容量を接続した構成も採用され得る。
【0017】
図1の制御回路14は、電気光学パネル12を制御する表示制御回路142と、立体視用眼鏡20を制御する眼鏡制御回路144とを具備する。表示制御回路142は、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが時分割で交互に画素部30に表示されるように駆動回路40を制御する。例えば表示制御回路142は、画素部30内の各画素PIXの階調を指定する画像信号VIDを生成して駆動回路40に供給する。なお、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを単体の集積回路に搭載した構成や、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを別体の集積回路に分散した構成が採用され得る。
【0018】
図3は、電気光学装置10の動作の説明図である。図3に示すように、電気光学装置10の動作期間は、複数の表示期間P(右眼用表示期間PRおよび左眼用表示期間PL)に区分される。右眼用表示期間PRでは右眼用画像GRが画素部30に表示され、左眼用表示期間PLでは左眼用画像GLが画素部30に表示される。右眼用表示期間PRと左眼用表示期間PLとは時間軸上に交互に配列する。各表示期間P(PR,PL)は、相等しい時間長の2個の単位期間U(U1,U2)に区分される。単位期間U2は単位期間U1に後続する。
【0019】
図1の駆動回路40は、表示制御回路142から供給される画像信号VIDが各画素PIXに指定する階調(以下「指定階調」という)に応じた電圧を各画素PIXの液晶素子CLに印加する回路であり、走査線駆動回路42と信号線駆動回路44とを具備する。
【0020】
走査線駆動回路42は、各走査線32に対応する走査信号Y[1]〜Y[M]の供給でM本の走査線32の各々を所定の順番で順次に選択する。具体的には、第m行(m=1〜M)の走査線32に供給される走査信号Y[m]は、各表示期間P内の単位期間U1および単位期間U2の各々におけるM個の選択期間(水平走査期間)のうち第m番目の選択期間にて選択電位(走査線32の選択を意味する電位)に設定される。走査線32が走査信号Y[m]を選択電位に設定すると、第m行に属するN個の画素PIXの各選択スイッチSWがオン状態に遷移する。
【0021】
図1の信号線駆動回路44は、走査線駆動回路42による各走査線32の選択に同期してN本の信号線34の各々に階調電位X[1]〜X[N]を供給する。右眼用表示期間PRの各単位期間Uのうち第m行の走査線32が選択される選択期間にて第n列目(n=1〜N)の信号線34に供給される階調電位X[n]は、右眼用画像GRのうち第m行の第n列に位置する画素PIXの指定階調に応じた電位に設定される。同様に、左眼用表示期間PLの各単位期間Uのうち第m番目の選択期間では、階調電位X[n]は、左眼用画像GLのうち第m行の第n列に位置する画素PIXの指定階調に応じた電位に設定される。
【0022】
すなわち、右眼用表示期間PRでは、右眼用画像GRに応じた電圧が単位期間U毎に各画素PIXの液晶素子CLに印加されることで各単位期間Uにて右眼用画像GRが画素部30に表示され、左眼用表示期間PLでは、左眼用画像GLに応じた電圧が単位期間U毎に各画素PIXの液晶素子CLに印加されることで各単位期間Uにて左眼用画像GLが画素部30に表示される。
【0023】
また、駆動回路40は、各画素PIXの液晶素子CLの印加電圧の極性を周期的に反転させる。具体的には、図3に示すように、駆動回路40は、液晶素子CLに対する印加電圧の極性(例えば階調電位X[n]の極性)を単位期間U毎に順次に反転させる。すなわち、各表示期間P内の単位期間U1と単位期間U2とで各画素PIXの印加電圧は逆極性に設定される。例えば、液晶素子CLに対する印加電圧の極性は、各表示期間Pの単位期間U1にて正極性(例えば画素電極62の電位が共通電極64の電位を上回る状態)に設定され、各表示期間Pの単位期間U2にて負極性(例えば画素電極62の電位が共通電極64の電位を下回る状態)に設定される。
【0024】
図1の制御回路14の表示制御回路142は、駆動回路40にオーバードライブ(OD)を実行させる処理回路50を具備する。図4は、処理回路50のブロック図である。図4に示すように、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLの各階調を指定する階調データDC[m,n](DC[1,1]〜DC[M,N])が各表示期間Pの単位期間U毎に外部回路(図示略)から処理回路50に順次に供給される。1個の表示期間P(PR,PL)内の単位期間U1および単位期間U2の各々に対応する階調データDC[m,n]は共通する。処理回路50に供給される最新の階調データDC[m,n]に対応する1個の表示期間Pを以下では「着目表示期間P」と表記する。なお、表示制御回路142内の他の回路による処理後の階調データDC[m,n]を処理回路50に供給することも可能である。
【0025】
図4に示すように、処理回路50は、記憶部52とOD(オーバードライブ)制御部54とD/A変換部56とを具備する。記憶部52は、着目表示期間Pの直前の表示期間P(以下「直前表示期間P」という)の単位期間U2に対応する1画面分の階調データDC[m,n]を階調データDP[m,n](DP[1,1]〜DP[M,N])として記憶するフレームメモリである。記憶部52が保持する階調データDP[m,n]は、表示期間P毎に順次に更新される。すなわち、右眼用表示期間PRの各単位期間U(U1,U2)に対応する右眼用画像GRの各階調データDC[m,n]が処理回路50に供給される期間では、直前の左眼用表示期間PLの単位期間U2(または単位期間U1)に対応する左眼用画像GLの各階調データDP[m,n]が記憶部52に保持されている。同様に、左眼用表示期間PLの各単位期間U(U1,U2)に対応する左眼用画像GLの各階調データDC[m,n]が処理回路50に供給される期間では、直前の右眼用表示期間PRの単位期間U2(または単位期間U1)に対応する右眼用画像GRの各階調データDP[m,n]が記憶部52に保持されている。
【0026】
図4のOD制御部54は、着目表示期間Pでの表示画像(右眼用画像GRおよび左眼用画像GLの一方の階調データDC[m,n])と直前表示期間Pでの表示画像(右眼用画像GRおよび左眼用画像GLの他方の階調データDP[m,n])とに応じた補正量のオーバードライブを、各表示期間Pの単位期間U1および単位期間U2の双方にて駆動回路40に実行させる。図4に示すように、第1実施形態のOD制御部54は、補正値設定部542と補正処理部544とを含んで構成される。
【0027】
補正値設定部542は、外部回路から供給される着目表示期間Pの各階調データDC[m,n]と記憶部52に保持された直前表示期間Pの各階調データDP[m,n]とに応じて単位期間U毎に各画素PIXの補正値A[m,n](A[1,1]〜A[M,N])を設定する。補正値A[m,n]は、駆動回路40が実行するオーバードライブによる各画素PIXの印加電圧の増加分を規定する。具体的には、階調データDC[m,n]と階調データDP[m,n]との相違が大きい(すなわち直前表示期間Pと着目表示期間Pとの間で画素PIXの階調変化が大きい)ほど補正値A[m,n]は大きい数値に設定され、階調データDC[m,n]と階調データDP[m,n]とが合致する場合に補正値A[m,n]はゼロ(オーバードライブなし)に設定される。階調データDC[m,n]および階調データDP[m,n]の差分値と補正値A[m,n]の各数値とを対応させたルックアップテーブルが補正値設定部542として好適に採用される。
【0028】
補正処理部544は、外部回路から供給される各画素PIXの各階調データDC[m,n]を、補正値設定部542がその画素PIXについて設定した補正値A[m,n]に応じて補正することで階調データDA[m,n](DA[1,1]〜DA[M,N])を生成する。例えば、階調データDC[m,n]と補正値A[m,n]とを加算して階調データDA[m,n]を生成する加算回路が補正処理部544として採用され得る。以上の説明から理解されるように、階調データDC[m,n]と階調データDP[m,n]とが合致する画素PIXについて補正値A[m,n]を算定しない構成(階調データDC[m,n]を補正なしで階調データDA[m,n]として出力する構成)も採用され得る。D/A変換部56は、補正処理部544が順次に生成する各画素PIXの階調データDA[m,n]をアナログの画像信号VIDに変換して駆動回路40(信号線駆動回路44)に供給する。
【0029】
以上に説明したように、着目表示期間Pの単位期間U1の階調データDC[m,n]と直前表示期間P(単位期間U2)の階調データDP[m,n]とに応じた階調データDA[m,n]が単位期間U1について生成され、かつ、着目表示期間Pの単位期間U2の階調データDC[m,n]と直前表示期間P(単位期間U2)の階調データDP[m,n]とに応じた階調データDA[m,n]が単位期間U2について生成される。したがって、着目表示期間Pの表示画像と直前表示期間Pの表示画像との差異に応じた補正量のオーバードライブが、着目表示期間P内の単位期間U1および単位期間U2の双方で駆動回路40により実行される。
【0030】
すなわち、第1実施形態では、各表示期間P(PR,PL)内で液晶素子CLに逆極性の電圧が印加される単位期間U1および単位期間U2の双方において各画素PIXに対するオーバードライブが実行される。したがって、各表示期間Pの単位期間U1のみでオーバードライブを実行する対比例と比較して、単位期間U1と単位期間U2とにおける液晶素子CLの印加電圧の相違が低減され、直流成分の印加に起因した液晶66の特性劣化を抑制できる(ひいては装置の信頼性が向上する)という利点がある。
【0031】
図1の制御回路14の眼鏡制御回路144は、立体視用眼鏡20の右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々の状態(開状態/閉状態)を電気光学パネル12の動作に同期して制御する。具体的には、眼鏡制御回路144は、図3に示すように、各表示期間P(PR,PL)内の単位期間U1にて右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方を閉状態に制御する。また、眼鏡制御回路144は、右眼用表示期間PR内の単位期間U2にて右眼用シャッター22を開状態に制御するとともに左眼用シャッター24を閉状態に制御し、左眼用表示期間PL内の単位期間U2にて左眼用シャッター24を開状態に制御するとともに右眼用シャッター22を閉状態に制御する。
【0032】
したがって、右眼用表示期間PR内の単位期間U2で画素部30に表示される右眼用画像GRは右眼用シャッター22を透過して観察者の右眼に到達するとともに左眼用シャッター24で遮断される。他方、左眼用表示期間PL内の単位期間U2で画素部30に表示される左眼用画像GLは左眼用シャッター24を透過して観察者の左眼に到達するとともに右眼用シャッター22で遮断される。右眼用シャッター22を透過した右眼用画像GRを右眼で視認するとともに左眼用シャッター24を透過した左眼用画像GLを左眼で視認することで、観察者は表示画像に立体感を知覚する。
【0033】
右眼用表示期間PR内の単位期間U1では、直前の左眼用表示期間PL(単位期間U2)で表示された左眼用画像GLが行単位で順次に右眼用画像GRに更新され、左眼用表示期間PLの単位期間U1では、直前の右眼用表示期間PR(単位期間U2)で表示された右眼用画像GRが行単位で順次に左眼用画像GLに更新される。すなわち、各表示期間P内の単位期間U1では右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する。第1実施形態では、各表示期間Pの単位期間U1では右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に維持されるから、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)は観察者に知覚されない。すなわち、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが確実に右眼および左眼に分離されるから、観察者に明確な立体感を知覚させることが可能である。
【0034】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0035】
図5は、第2実施形態における処理回路50のブロック図である。図5に示すように、第2実施形態の処理回路50は、第1実施形態の処理回路50に調整値設定部58を追加した構成である。なお、各表示期間P(PR,PL)内で液晶素子CLに逆極性の電圧を印加する単位期間U1および単位期間U2の双方にて各画素PIXのオーバードライブを実行する構成は第1実施形態と同様である。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0036】
図5の調整値設定部58は、相異なる走査線32に対応するM個の調整値B[m](B[1]〜B[M])を設定する。第2実施形態の補正処理部544は、補正値設定部542が設定した補正値A[m,n]と調整値設定部58が設定した調整値B[m]とに応じて各画素PIXの各階調データDC[m,n]を補正することで階調データDA[m,n](DA[1,1]〜DA[M,N])を生成する。例えば、補正処理部544は、第m行の各画素PIXの補正値A[m,n]と第m行の調整値B[m]との乗算値を階調データDC[m,n]に加算することで階調データDA[m,n]を生成する(DA[m,n]=DC[m,n]+A[m,n]・B[m])。したがって、階調データDC[m,n]および補正値A[m,n]を固定した場合を想定すると、調整値B[m]が大きい走査線32に対応する画素PIXほど、補正量が大きい(すなわち印加電圧の増加分が大きい)オーバードライブが実行される。
【0037】
ところで、第1実施形態や第2実施形態のように各表示期間P内の単位期間U1および単位期間U2の双方でオーバードライブを実行する構成では、液晶素子CLに対する過剰な電圧の印加を防止する観点から、単位期間U1のみでオーバードライブを実行する対比例と比較して、各単位期間Uでのオーバードライブによる印加電圧の増加分を抑制する必要がある。しかし、オーバードライブによる電圧の増加分を抑制した場合、液晶66の応答速度が充分に確保されない可能性がある。そして、液晶66の応答速度が不足する場合、各表示期間P内の単位期間U2が開始して時点でも各画素PIXの表示階調の変化が完了せず、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)が単位期間U2にて観察者に知覚される可能性がある。単位期間U1内で選択される順番が遅い走査線32(すなわち第M行に近い走査線32)に対応する画素PIXほど、階調電位X[n]の供給(液晶66の駆動開始)から単位期間U2の開始までの時間が短い。したがって、画素部30のうち最後に選択される第M行の走査線32に近い位置ほどクロストークが顕在化し易いという傾向がある。
【0038】
以上の傾向を考慮して、第2実施形態では、階調データDC[m,n]および補正値A[m,n](階調データDC[m,n]と階調データDP[m,n]との差分値)が複数の画素PIXについて共通する場合でも、画素部30のうち第M行に近い画素PIXほど補正量が大きい(すなわち印加電圧の増加分が大きい)オーバードライブが実行されるように、調整値設定部58が各調整値B[m](B[1]〜B[M])を設定する。具体的には、M本の走査線32のうち第M行に近い位置の走査線32に対応する調整値B[m]ほど大きい数値(すなわち、オーバードライブによる電圧の増加分を増加させる数値)に設定される。M本の走査線32のうち任意の1本の走査線(以下「第1走査線」という)32と、第1走査線32の選択後に選択される1本の走査線(以下「第2走査線」という)32とに着目すると、第2走査線32に対応する各画素PIXに対するオーバードライブの補正量が、第1走査線32に対応する各画素PIXに対するオーバードライブの補正量を上回るように、第2走査線32の調整値B[m]が第1走査線32の調整値B[m]よりも大きい数値に設定される、とも表現され得る。また、液晶66の応答速度に着目すると、M本の走査線32のうち最後に選択される第M行に近い位置の液晶66ほど応答速度が高くなるように各調整値B[m]が設定される、と換言することも可能である。
【0039】
図5に示すように、第2実施形態の調整値設定部58は、記憶部582と補間部584とを含んで構成される。記憶部582は、図6に示すように、画素部30内でy方向の相異なる位置(行)Ryに対応するQ個の調整値C[q](C[1]〜C[Q])を記憶する。記憶部582は、例えばROM(Read Only Memory)やEPROM(Erasable Programmable ROM)等の不揮発性メモリで構成される。記憶部582が記憶する調整値C[q]の個数Qは走査線32の本数Mを下回る。例えば画素部30をy方向にQ等分した領域毎に調整値C[q]が用意される。
【0040】
図5の補間部584は、記憶部582が記憶するQ個の調整値C[1]〜C[Q]を補間することで、相異なる走査線32に対応するM個の調整値B[1]〜B[M]を生成する。補間部584による補間には、直線補間等の公知の補間演算が任意に採用される。以上の説明から理解されるように、記憶部582が記憶するQ個の調整値C[1]〜C[Q]のうちy方向の正側にある位置Ry(すなわち第M行に近い位置Ry)に対応する調整値C[q]ほど大きい数値に設定される。補間部584が生成した各調整値B[m]が補正処理部544による階調データDA[m,n]の生成に適用される。
【0041】
以上に説明したように、第2実施形態では、着目表示期間Pでの表示画像における指定階調(階調データDC[m,n])と直前表示期間Pでの表示画像における指定階調(階調データDP[m,n])とが共通する複数の画素PIXに着目した場合に、画素部30のうち走査線駆動回路42による選択が遅い画素PIX(第M行に近い画素PIX)ほどオーバードライブの補正量が大きい電圧に設定される。したがって、液晶素子CLに対する過剰な電圧の印加を抑制する観点から表示期間P内の各単位期間Uでのオーバードライブによる印加電圧の増加分を抑制した場合でも、表示画像のクロストークが観察者に知覚され難いという利点がある。
【0042】
また、記憶部582に保持されたQ個の調整値C[1]〜C[Q]の補間により行毎の調整値B[1]〜B[M]が算定されるから、例えばM個の調整値B[1]〜B[M]を記憶部582に格納する構成と比較して、記憶部582に必要な容量が削減されるという利点がある。もっとも、記憶部582の容量が特段の問題とならない場合には、調整値設定部58がM個の調整値B[1]〜B[M]を予め保持する構成(すなわち補間部584を省略した構成)も採用され得る。
【0043】
<第3実施形態>
第1実施形態では、各表示期間Pの単位期間U1と単位期間U2とでオーバードライブの補正量(強度)を同等に設定した。第3実施形態のOD制御部54は、各単位期間U1でのオーバードライブの補正量が直後の単位期間U2でのオーバードライブの補正量を上回るように駆動回路40を制御する。
【0044】
例えば補正値設定部542は、階調データDC[m,n]および階調データDP[m,n]の差分値と補正値A[m,n]の各数値とを対応させたルックアップテーブルを単位期間U1と単位期間U2とについて個別に保持する。各差分値に対応する補正値A[m,n]の数値は、単位期間U1用のルックアップテーブルのほうが単位期間U2用のルックアップテーブルよりも大きい数値に設定される。補正値設定部542は、単位期間U1に対応する階調データDC[m,n]については単位期間U1用のルックアップテーブルを利用して補正値A[m,n]を設定し、単位期間U2に対応する階調データDC[m,n]については単位期間U2用のルックアップテーブルを利用して補正値A[m,n]を設定する。
【0045】
以上に説明した第3実施形態では、単位期間U1でのオーバードライブの強度(補正量)が単位期間U2でのオーバードライブの強度を上回るから、表示期間P内の単位期間U1では、単位期間U2内と比較して液晶素子CLの液晶66が高速に応答する。したがって、単位期間U1と単位期間U2とで同等のオーバードライブを実行する第1実施形態と比較して、表示画像のクロストークが観察者に知覚され難いという利点がある。
【0046】
なお、第3実施形態では、単位期間U1でのオーバードライブが単位期間U2と比較して強化されるから、液晶素子CLに対する印加電圧は単位期間U1と単位期間U2とで相違する。しかし、各表示期間P内の単位期間U1のみでオーバードライブを実行する構成と比較すれば、液晶素子CLに対する直流成分の印加を抑制するという所期の効果は確かに実現される。以上の説明からも理解されるように、液晶素子CLに対する直流成分の印加を有効に抑制するという観点からは、第1実施形態や第2実施形態のように、単位期間U1と単位期間U2とでオーバードライブの補正量を同等に設定した構成が好適である。
【0047】
<変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
【0048】
(1)OD制御部54の具体的な構成は適宜に変更される。具体的には、第1実施形態では、補正値設定部542と補正処理部544とを具備するOD制御部54を例示したが、例えば、階調データDC[m,n]および階調データDP[m,n]の組合せ(両者間の差分値)と補正後の階調データDA[m,n]とを対応させたルックアップテーブルをOD制御部54として採用した構成(すなわち補正値A[m,n]を省略した構成)も好適である。すなわち、前述の各形態のOD制御部54は、各表示期間Pの単位期間U1および単位期間U2の双方で駆動回路40に各画素PIXのオーバードライブを実行させる要素として包括される。
【0049】
(2)液晶素子CLに対する印加電圧の極性反転の態様は以上の例示に限定されない。例えば、液晶素子CLの印加電圧の極性を、各表示期間Pの単位期間U1にて負極性に設定するとともに単位期間U2にて正極性に設定することも可能である。また、単位期間U1および単位期間U2での液晶素子CLの印加電圧の極性を、所定個(単数または複数)の表示期間Pを周期として反転させる構成も採用され得る。
【0050】
(3)以上の各形態では各表示期間Pを単位期間U1と単位期間U2とに2等分したが、表示期間P内の単位期間Uの個数は任意である。例えば、表示期間Pを4個の単位期間Uに区分するとともに前半の2個の単位期間Uと後半の2個の単位期間Uとで液晶素子CLの印加電圧を逆極性に設定することも可能である。以上の例示から理解されるように、表示期間Pのうち各画素PIXの印加電圧が逆極性に設定される2個の単位期間U1に着目した場合に単位期間U1と単位期間U2の双方でオーバードライブを実行する構成であれば足り、表示期間P内の単位期間Uの個数は任意である。
【0051】
(4)第2実施形態では、選択時期が遅い走査線32に対応する画素PIXほど補正量が大きいオーバードライブを、各表示期間P内の単位期間U1および単位期間U2の双方に適用した。しかし、表示画像のクロストークが特に顕在化するのは、右眼用画像GRおよび左眼用画像GLの一方が他方に更新される単位期間U1であるから、選択時期が遅い走査線32に対応する画素PIXほどオーバードライブの補正量を大きい電圧に設定する動作を、各表示期間P内の単位期間U1のみで実行することも可能である。すなわち、各表示期間Pの単位期間U2では、オーバードライブによる補正量が各画素PIXのy方向の位置(走査線32の選択時期)とは無関係に設定される。
【0052】
(5)前述の各形態では、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点にて右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させたが、右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させる時期は適宜に変更される。例えば、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点以前に右眼用シャッター22を開状態に変化させる構成では、単位期間U1内での右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に若干は知覚されるが、表示画像の明度を向上させることが可能である。他方、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点以降の時点で右眼用シャッター22を開状態に変化させる構成では、表示画像の明度は低下するが、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に知覚されることを確実に防止することが可能である。同様に、右眼用シャッター22を開状態から閉状態に変化させる時期を、右眼用表示期間PRの単位期間U2の終点以前に設定した構成(表示画像の明度は低下するが右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在は防止される)や、右眼用表示期間PRの単位期間U2の終点以降に設定した構成(左眼用表示期間PLの単位期間U1内で右眼用画像GRと左眼用画像GLとの若干の混在は知覚されるが表示画像の明度は向上する)も採用され得る。また、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に知覚され難い開閉の時期は、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の応答特性と電気光学パネル12(液晶素子CL)の応答特性との関係にも依存する。したがって、右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させる時期や開状態から閉状態に変化させる時期は、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在を観察者に知覚されることの防止と表示画像の明度の確保との優先度(バランス)や、立体視用眼鏡20の応答特性と電気光学パネル12の応答特性との関係といった種々の要因を考慮して選定される。なお、以上の説明では右眼用シャッター22に言及したが、左眼用シャッター24の開閉の時期についても同様である。
【0053】
以上の説明から理解されるように、右眼用シャッター22が開状態に維持される期間は、右眼用表示期間PRのうち単位期間U2の少なくとも一部を含む期間(直前の単位期間U1の末尾の一部を含むか否かは不問)として包括される。同様に、左眼用シャッター24が開状態に維持される期間は、左眼用表示期間PLのうち単位期間U2の少なくとも一部を含む期間(直前の単位期間U1の末尾の一部を含むか否かは不問)として包括される。また、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に制御される期間は、各表示期間P(PR,PL)のうち単位期間U1の少なくとも一部を含む期間(直後の単位期間U2の先頭の一部を含むか否かは不問)として包括される。
【0054】
(6)電気光学素子(表示素子)は液晶素子CLに限定されない。例えば、電気泳動素子を電気光学素子として利用することも可能である。すなわち、電位光学素子は、電気的な作用(例えば電圧の印加)に応じて光学的な特性(例えば透過率)が変化する表示素子として包括される。
【0055】
<応用例>
以上の各形態に例示した電気光学装置10は、各種の電子機器に利用され得る。図7から図9には、電気光学装置10を採用した電子機器の具体的な形態が例示されている。
【0056】
図7は、電気光学装置10を適用した投射型表示装置(3板式のプロジェクター)4000の模式図である。投射型表示装置4000は、相異なる表示色(赤色,緑色,青色)に対応する3個の電気光学装置10(10R,10G,10B)を含んで構成される。照明光学系4001は、照明装置(光源)4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置10Rに供給し、緑色成分gを電気光学装置10Gに供給し、青色成分bを電気光学装置10Bに供給する。各電気光学装置10は、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調する光変調器(ライトバルブ)として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置10からの出射光を合成して投射面4004に投射する。観察者は、投射面4004に投射された立体視画像を立体視用眼鏡20(図7では図示略)で視認する。
【0057】
図8は、電気光学装置10を採用した可搬型のパーソナルコンピューターの斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置10と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0058】
図9は、電気光学装置10を適用した携帯電話機の斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する電気光学装置10とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0059】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図7から図9に例示した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,車載用の表示器(インパネ),電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ電話,POS端末,プリンター,スキャナー,複写機,ビデオプレーヤー,タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0060】
100……立体視表示装置、10……電気光学装置、12……電気光学パネル、14……制御回路、142……表示制御回路、144……眼鏡制御回路、20……立体視用眼鏡、22……右眼用シャッター、24……左眼用シャッター、30……画素部、PIX……画素、CL……液晶素子、SW……選択スイッチ、32……走査線、34……信号線、40……駆動回路、42……走査線駆動回路、44……信号線駆動回路、50……処理回路、52……記憶部、54……OD(オーバードライブ)制御部、542……補正値設定部、544……補正処理部、56……D/A変換部、58……調整値設定部、582……記憶部、584……補間部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
右眼用画像と左眼用画像とを表示期間毎に交互に表示する電気光学装置であって、
複数の走査線と複数の信号線との各交差に対応して配置された複数の画素と、
前記各表示期間内の第1単位期間と第2単位期間とで前記各画素の印加電圧が逆極性となるように前記各表示期間内の前記第1単位期間および前記第2単位期間の各々にて指定階調に応じた電圧を前記各画素に印加する駆動回路と、
前記各表示期間において、当該表示期間での表示画像と直前の表示期間での表示画像とに応じた補正量のオーバードライブを前記各表示期間の前記第1単位期間および前記第2単位期間の各々にて前記駆動回路に実行させるオーバードライブ制御手段と
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、前記複数の走査線の各々を順次に選択するとともに選択状態の走査線に対応する各画素に指定階調に応じた電圧を印加し、
前記オーバードライブ制御手段は、前記複数の走査線のうち第1走査線に対応する画素と、前記第1走査線の選択後に選択される第2走査線に対応する画素とについて、一の表示期間での表示画像における指定階調と前記一の表示期間の直前の表示期間での表示画像における指定階調とが相等しい場合に、前記一の表示期間において、前記第2走査線に対応する画素のオーバードライブの補正量が、前記第2走査線に対応する画素のオーバードライブの補正量を上回るように、前記駆動回路による各画素のオーバードライブを制御する
請求項1の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数の走査線の配列方向の各位置に対応する複数の調整値を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶する複数の調整値の補間により前記各走査線に対応する調整値を生成する補間手段とを具備し、
前記オーバードライブ制御手段は、前記補間手段が生成した各調整値に応じて、前記各走査線に対応する画素のオーバードライブの補正量を調整する
請求項2の電気光学装置。
【請求項4】
前記オーバードライブ制御手段は、前記各表示期間の前記第1単位期間における前記各画素のオーバードライブの補正量が、当該表示期間のうち前記第1単位期間の経過後の前記第2単位期間における当該画素のオーバードライブの補正量を上回るように、前記駆動回路による各画素のオーバードライブを制御する
請求項1から請求項3の何れかの電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかの電気光学装置を具備する電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−64920(P2013−64920A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204297(P2011−204297)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】