説明

電気絶縁性樹脂シート

【課題】 耐引裂き性及び耐熱性に優れた電気絶縁性樹脂シートを提供することを課題とする。
【解決手段】 分子中に複数のスルホニル基を有するポリスルホン樹脂と該ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂とを含む電気絶縁性樹脂層を備えた電気絶縁性樹脂シートであって、該電気絶縁性樹脂層は、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂が前記ポリスルホン樹脂中に分散した分散相を有しており、前記電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の294μm2面積範囲では、0.5μm以上の最短径を有する前記分散相の個数が10以下であることを特徴とする電気絶縁性樹脂シートを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁性樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気絶縁性樹脂シートとしては、様々なものが知られており、例えば、モーターにおける発熱体であるコイル線の周囲に配されて用いられるものなどが知られている。
【0003】
この種の電気絶縁性樹脂シートとしては、具体的には例えば、分子中に複数の芳香族炭化水素及び複数のスルフィド結合(−S−)を有するポリフェニレンスルフィド樹脂と、ビニル系共重合体とを含む電気絶縁性樹脂層のみを備えたものが知られている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、斯かる電気絶縁性樹脂シートは、モーターのコイル線とコイル線との間等において要求される電気絶縁性としての耐トラッキング性を有するものの、コイル線などから発生する熱によって引張強度などが低下し得るものであり、耐熱性が必ずしも十分なものではないという問題がある。
また、斯かる電気絶縁性樹脂シートは、引裂き力に対して必ずしも十分な耐性を有するものではないという問題、即ち、樹脂シートに必要とされる力学的特性としての耐引裂き性が必ずしも優れるものではないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−186672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点等に鑑みてなされたものであり、耐引裂き性及び耐熱性に優れた電気絶縁性樹脂シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気絶縁性樹脂シートは、分子中に複数のスルホニル基を有するポリスルホン樹脂と該ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂とを含む電気絶縁性樹脂層を備えた電気絶縁性樹脂シートであって、該電気絶縁性樹脂層は、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂が前記ポリスルホン樹脂中に分散した分散相を有しており、前記電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の294μm2面積範囲では、0.5μm以上の最短径を有する前記分散相の個数が10以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電気絶縁性樹脂シートにおいては、前記ポリスルホン樹脂が、分子中に複数のエーテル結合をさらに含むポリエーテルスルホン樹脂であることが好ましい。また、前記ポリスルホン樹脂が、分子中に複数の芳香族炭化水素をさらに含むポリフェニルスルホン樹脂であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る電気絶縁性樹脂シートにおいては、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であることが好ましい。
前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であることにより、電気絶縁性樹脂シートの耐引裂き性がより優れたものになり得るという利点がある。
【0010】
本発明に係る電気絶縁性樹脂シートにおいては、前記ポリアミド樹脂が、分子中に芳香族炭化水素を含むポリアミド樹脂であることが好ましい。前記ポリアミド樹脂が分子中に芳香族炭化水素を含むポリアミド樹脂であることにより、電気絶縁性樹脂シートの耐熱性がより優れたものになり得るという利点がある。
【0011】
本発明に係る電気絶縁性樹脂シートにおいては、前記電気絶縁性樹脂層が、1〜45重量%の前記ポリアミド樹脂を含むことが好ましい。
【0012】
本発明に係る電気絶縁性樹脂シートは、少なくとも1種のシート材をさらに備え、該シート材が前記電気絶縁性樹脂層の少なくとも片面側に配されていることが好ましい。斯かる構成により、電気絶縁性樹脂シートの耐引裂き性及び耐熱性がより優れたものになるという利点がある。
【0013】
本発明に係る電気絶縁性樹脂シートにおいては、前記シート材が不織布であることが好ましい。前記シート材が不織布であることにより、シート材と電気絶縁性樹脂層との間における層間剥離が抑制されるという利点がある。また、前記シート材が、湿式抄紙法により作製された紙であることが好ましい。
また、前記シート材が全芳香族ポリアミドを含んでいることが好ましく、全芳香族ポリアミド繊維を含む全芳香族ポリアミド紙であることがより好ましい。前記シート材が全芳香族ポリアミドを含んでいることにより、電気絶縁性樹脂シートの耐熱性がより優れたものになり得るという利点がある。
【0014】
本発明に係る電気絶縁性樹脂シートにおいては、前記シート材の少なくとも電気絶縁性樹脂層側にコロナ処理が施されていることが好ましい。コロナ処理が施されていることにより、シート材と電気絶縁性樹脂層との間における層間剥離が抑制されるという利点がある。
【0015】
本発明に係る電気絶縁性樹脂シートは、電気絶縁用途で使用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電気絶縁性樹脂シートは、耐引裂き性及び耐熱性に優れているという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】シート材を含む電気絶縁性樹脂シートを厚み方向に切断した断面を模式的に示した断面図。
【図2】実施例1における電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の電子顕微鏡写真。
【図3】実施例2における電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の電子顕微鏡写真。
【図4】実施例3における電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の電子顕微鏡写真。
【図5】実施例4における電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の電子顕微鏡写真。
【図6】比較例における電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の電子顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る電気絶縁性樹脂シートの一実施形態について説明する。
【0019】
本実施形態の電気絶縁性樹脂シートは、分子中に複数のスルホニル基を有するポリスルホン樹脂と該ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂とを含む電気絶縁性樹脂層を備えた電気絶縁性樹脂シートであって、該電気絶縁性樹脂層は、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂が前記ポリスルホン樹脂中に分散した分散相を有しており、前記電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の294μm2面積範囲では、0.5μm以上の最短径を有する前記分散相の個数が10以下であるものである。
前記電気絶縁性樹脂シートは、耐引裂き性がより優れたものになるという点で、少なくとも1種のシート材をさらに備え、該シート材が前記電気絶縁性樹脂層の少なくとも片面側に配されていることが好ましい。
【0020】
前記電気絶縁性樹脂層においては、前記ポリスルホン樹脂が連続相となっており、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂が、不連続な分散相となって前記ポリスルホン樹脂中に分散して含まれている。
前記分散相は、形状が特に限定されるものではなく、分散相の形状としては、真球状、扁球状、板状、針状等が挙げられる。
【0021】
前記電気絶縁性樹脂層においては、厚み方向切断面の294μm2面積範囲で、0.5μm以上の最短径を有する前記分散相の個数が10以下である。
原則として、上記の294μm2面積範囲は、14μm×21μmの長方形の面積範囲である。なお、前記電気絶縁性樹脂層の厚みが14μm未満であること等により、14μm×21μm範囲の長方形の像が得られない場合は、294μm2面積範囲となるように長辺が21μmを超える長方形を設定し、斯かる長方形における像において、前記分散相の最短径を計測する。
【0022】
前記電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面は、電気絶縁性樹脂層の厚み方向に切断した面であれば特に限定されない。具体的には、例えば、後述する押出成形によって成形された電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面は、押出方向に沿って切断した厚み方向切断面であってもよく、押出方向と直交する方向に沿って切断した厚み方向切断面であってもよい。
【0023】
前記分散相は、所定の大きさの電気絶縁性樹脂層を樹脂包埋した後、研磨法によって前記電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面を作製し、染色処理及び導電処理を施すことにより、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)による像において、様々な形状の不連続物となって見える。
前記分散相は、厚み方向切断面において、断面形状が様々なものになり得る。具体的には、分散相の断面形状としては、例えば、真円状、楕円状、長方形状等が挙げられる。
【0024】
具体的には例えば、ポリスルホン樹脂の連続相中に分散したポリアミド樹脂からなる分散相は、厚み方向切断面を実施例に記載された方法によって作製し、染色処理及び導電処理を施すことにより、電界放射型走査電子顕微鏡による像において、黒色の不連続物となって見える。
【0025】
そして、前記分散相の最短径は、5000倍率における電界放射型走査電子顕微鏡による上記範囲の長方形における像において、様々な形状を有する各不連続物に対して内接する最大円の直径により決定する。
具体的には、例えば、厚み方向切断面において、分散相の切断面形状が短辺に比して長辺が10倍以上あるような長方形である場合、その形状に内接する最大円の直径は、長方形の短辺の長さであることから、分散相の最短径は、この長方形の短辺長さとする。
【0026】
前記電気絶縁性樹脂層においては、厚み方向切断面の294μm2面積範囲で、0.5μm以上の最短径を有する前記分散相の個数が10を超えると、電気絶縁性樹脂層の耐引裂き性及び耐熱性が不十分なものになるおそれがある。
前記電気絶縁性樹脂層においては、厚み方向切断面の294μm2面積範囲で、0.5μm以上の最短径を有する前記分散相の個数が0以上であり5以下であることが好ましく、0.5μm以上の最短径を有する前記分散相の個数が0であることがより好ましい。
【0027】
前記電気絶縁性樹脂層の厚みは、特に限定されるものではなく、通常、1μm〜500μmである。
【0028】
前記ポリスルホン樹脂は、スルホニル基(−SO2−)を複数含む分子構造を有するものである。
該ポリスルホン樹脂としては、分子中に複数のエーテル結合(−O−)をさらに含むポリエーテルスルホン樹脂、又は、分子中に複数の芳香族炭化水素をさらに含むポリフェニルスルホン樹脂などが挙げられる。また、該ポリスルホン樹脂としては、分子中に複数のエーテル結合と複数の芳香族炭化水素とをさらに含むポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂が挙げられる。
【0029】
前記ポリスルホン樹脂としては、前記電気絶縁性樹脂層の成形性が良好なものになるとともに、前記電気絶縁性樹脂層の耐熱性がより優れたものになり得るという点で、ポリエーテルスルホン樹脂又はポリフェニルスルホン樹脂が好ましく、前記ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂がより好ましい。
【0030】
前記ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂としては、下記式(1)の分子構造を有するものが好ましい。
【0031】
【化1】

式(1)中、nは、重合度を表す正の整数であり、通常、10〜5000の範囲内である。
【0032】
前記ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂としては、市販されているものを用いることができ、例えば、BASF社製の「ウルトラゾーンEシリーズ」、ソルベイ社製の「レーデルAシリーズ」、住友化学社製の「スミカエクセルシリーズ」等が挙げられる。
【0033】
前記電気絶縁性樹脂層においては、前記ポリスルホン樹脂の含有割合が50重量%以上であることが好ましく、55重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。また、前記ポリスルホン樹脂の含有割合が99重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましく、85重量%以下であることがさらに好ましく、80重量%以下であることが最も好ましい。
前記ポリスルホン樹脂の含有割合が50重量%以上であることにより、電気絶縁性樹脂層の耐熱性がより優れたものになるという利点がある。また、前記ポリスルホン樹脂の含有割合が90重量%以下であることにより、電気絶縁性樹脂層の耐トラッキング性がより優れたものになり得るという利点がある。
【0034】
前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂;ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとが反応してなるエポキシ基含有のポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂;分子中に複数のオキシメチレン(−CH2O−)基を有するポリアセタール(POM)樹脂;分子中で芳香族炭化水素−エーテル結合の基本構造が繰り返されてなるポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂などのポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂;分子中で芳香族炭化水素−エーテル結合−芳香族炭化水素−ケトン結合の基本構造が繰り返されてなる芳香族ポリエーテルケトン(PEK)樹脂;分子中で芳香族炭化水素−エーテル結合−芳香族炭化水素−エーテル結合−芳香族炭化水素−ケトン結合の基本構造が繰り返されてなる芳香族ポリエーテルケトン(PEEK)樹脂;分子中に複数の芳香族炭化水素及び複数のスルフィド結合(−S−)を有するポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂;分子中に複数の芳香族炭化水素とイミド結合とエーテル結合とを有するポリエーテルイミド(PEI)樹脂;分子中に複数のイミド結合及び複数のアミド結合を有する熱可塑性ポリアミドイミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィンなどのポリオレフィン樹脂;アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合体(ABS樹脂)などの芳香族含有ビニル系樹脂;ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などのポリエステル樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。
【0035】
前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、電気絶縁性樹脂層の耐引裂き性及び耐熱性がより優れたものになるという点で、前記ポリアミド樹脂が好ましい。
【0036】
前記ポリアミド樹脂は、少なくともポリアミン化合物とポリカルボン酸化合物とが脱水縮合により重合されてなるものである。
【0037】
前記ポリアミド樹脂としては、分子中に芳香族炭化水素を有するポリアミド樹脂、分子中に炭化水素として脂肪族炭化水素のみを複数有する脂肪族ポリアミド樹脂が挙げられる。なかでも、前記電気絶縁性樹脂層がより耐熱性に優れたものになり得るという点で、分子中に芳香族炭化水素を有するポリアミド樹脂が好ましい。
【0038】
また、分子中に芳香族炭化水素を有するポリアミド樹脂としては、分子中に炭化水素として芳香族炭化水素のみを複数有する芳香族ポリアミド樹脂、分子中に炭化水素として脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素の両方を有する半芳香族ポリアミド樹脂等が挙げられる。
分子中に芳香族炭化水素を有するポリアミド樹脂としては、電気絶縁性樹脂層の耐熱性に優れつつシート材と電気絶縁性樹脂層との間における層間剥離がより抑制され得るという点で、前記半芳香族ポリアミド樹脂が好ましい。
【0039】
前記ポリアミド樹脂の重合において用いられる前記ポリアミン化合物としては、具体的には、例えば、ジアミン化合物が挙げられる。
該ジアミン化合物としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を含む脂肪族ジアミン、環状の飽和炭化水素基を含む脂環族ジアミン、芳香族炭化水素基を含む芳香族ジアミンなどが挙げられる。
【0040】
前記脂肪族ジアミン、前記脂環族ジアミン、又は前記芳香族ジアミンとしては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。なお、下記式(2)中のR1は、炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基、若しくは環状飽和炭化水素を含む炭素数4〜12の脂環族炭化水素基を表しているか、又は、芳香族環を含む炭化水素基を表している。
2N−R1−NH2 ・・・(2)
【0041】
前記脂肪族ジアミンとしては、電気絶縁性樹脂層の耐熱性に優れつつシート材と電気絶縁性樹脂層との間における層間剥離がより抑制され得るという点で、式(2)においてR1の炭素数が9のノナンジアミンが好ましく、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを混合したものがより好ましい。
前記芳香族ジアミンとしては、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどが挙げられる。
【0042】
前記ポリアミド樹脂の重合において用いられる前記ポリカルボン酸化合物としては、具体的には、例えば、ジカルボン酸化合物が挙げられる。
該ジカルボン酸化合物としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を含む脂肪族ジカルボン酸、環状の飽和炭化水素基を含む脂環族ジカルボン酸、芳香族炭化水素基を含む芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0043】
前記脂肪族ジカルボン酸、前記脂環族ジカルボン酸、又は前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、下記式(3)で表されるものが挙げられる。なお、下記式(3)中のR2は、炭素数4〜25の脂肪族炭化水素基、若しくは環状飽和炭化水素を含む炭素数4〜12の脂環族炭化水素基を表しているか、又は、芳香族環を含む炭化水素基を表している。
HOOC−R2−COOH ・・・(3)
【0044】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、該芳香族ジカルボン酸としては、前記ポリアミド樹脂の耐熱性がより優れたものになり得るという点で、テレフタル酸が好ましい。
【0045】
前記ポリアミド樹脂は、上述したジアミン化合物の1種とジカルボン酸化合物の1種とが重合してなるものであってもよく、それぞれの化合物の複数種を組み合わせて重合してなるものであってもよい。また、要すれば、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物以外のものがさらに重合されてなるものであってもよい。
【0046】
前記ポリアミド樹脂としては、上述したように前記半芳香族ポリアミド樹脂が好ましく、該半芳香族ポリアミド樹脂としては、ジアミン化合物としての脂肪族ジアミンと、ジカルボン酸化合物としての芳香族ジカルボン酸とが重合してなるものがより好ましく、脂肪族ジアミンとしてのノナンジアミンと、芳香族ジカルボン酸としてのテレフタル酸とが重合してなるもの(PA9T)が特に好ましい。
【0047】
前記電気絶縁性樹脂層においては、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有割合が1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましい。また、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有割合が45重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることがさらに好ましい。
前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有割合が1重量%以上であることにより、電気絶縁性樹脂層の耐トラッキング性がより優れたものになり得るという利点がある。また、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有割合が45重量%以下であることにより、電気絶縁性樹脂層の耐熱性がより優れたものになり得るという利点がある。
【0048】
前記電気絶縁性樹脂層には、本発明の効果を損ねない範囲において、種々の添加剤が配合されていても良い。
該添加剤としては、例えば、アルキルフェノール樹脂、アルキルフェノール−アセチレン樹脂、キシレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、ロジンなどの粘着付与剤、ポリブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素系難燃剤、塩素化パラフィン、パークロロシクロデカンなどの塩素系難燃剤、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステルなどのリン系難燃剤、ホウ素系難燃剤、三酸化アンチモンなどの酸化物系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物、フェノール系、リン系、硫黄系の酸化防止剤、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、酸化アルミ、酸化マグネシウム、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウムといった無機フィラー、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などの一般的なプラスチック用配合成分などが挙げられる。また、芳香族ポリアミド繊維、数nm〜数百nmの粒径のモンモリロナイトなどが挙げられる。これら添加剤は、前記ポリスルホン樹脂と前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂とを含む樹脂混合物100重量部に対して、例えば0.1〜5重量部用いることができる。
【0049】
次に、前記電気絶縁性樹脂シートの具体例として、前記電気絶縁性樹脂層の両面側にシート材が配された電気絶縁性樹脂シートを挙げ、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0050】
図1は、前記電気絶縁性樹脂層2の両面側にシート材3が配された電気絶縁性樹脂シートを厚み方向に切断した断面を模式的に示した断面図である。
図1に示すように、斯かる電気絶縁性樹脂シート1は、シート状の電気絶縁性樹脂層2を介して、複数のシート材3が貼り合わされている。
【0051】
前記シート材3は、シート状のものであれば特に限定されない。また、厚みが特に限定されるものではなく、通常、10〜100μmである。また、前記シート材3は、図1に示すように、通常、電気絶縁性樹脂シートに2枚備えられている。
【0052】
前記シート材3としては、例えば、不織布、紙、又はフィルム等が挙げられる。前記シート材3としては、電気絶縁性樹脂シートの耐引裂き性がより優れたものになり得るという点で、不織布又は紙が好ましい。
【0053】
前記シート材3としては、湿式抄紙法により作製されたもの(湿式不織布等)、大気中で乾式法により作製されたもの(乾式不織布等)などが挙げられる。
前記シート材3としては、電気絶縁性樹脂シートの耐引裂き性がより優れたものになり得るという点で、湿式抄紙法により作製された紙が好ましい。
【0054】
前記シート材3の材質としては、ポリアミド、ポリエステルなどの合成高分子化合物、セルロースなどの天然高分子化合物等が挙げられ、電気絶縁性樹脂シートの耐引裂き性がより優れたものになり得るという点で、ポリアミドが好ましい。
【0055】
該ポリアミドとしては、構成モノマーの全てが芳香族炭化水素を有する全芳香族ポリアミド、構成モノマーの全てが脂肪族炭化水素のみを有する脂肪族ポリアミド、構成モノマーの一部が芳香族炭化水素を有する半芳香族ポリアミドなどが挙げられ、電気絶縁性樹脂シートの耐引裂き性がより優れたものになり得るという点で、全芳香族ポリアミドが好ましい。即ち、前記シート材3は、前記全芳香族ポリアミドを含んでいることが好ましい。
【0056】
また、前記シート材3としては、電気絶縁性樹脂シートの耐引裂き性がさらに優れたものになり得るという点で、全芳香族ポリアミド繊維を含む全芳香族ポリアミド紙がさらに好ましい。即ち、全芳香族ポリアミド繊維を用いて湿式抄紙法により作製された全芳香族ポリアミド紙がさらに好ましい。
【0057】
前記全芳香族ポリアミド紙としては、例えば、アミド基以外がベンゼン環で構成された、フェニレンジアミンとフタル酸との縮合重合物(全芳香族ポリアミド)を繊維化し、繊維化した全芳香族ポリアミド繊維を主たる構成材として形成されたものが挙げられる。
前記全芳香族ポリアミド紙は、力学的特性に優れ、電気絶縁性樹脂シートの製造工程におけるハンドリングが良好であるという点で、坪量が5g/m2以上であることが好ましい。坪量が5g/m2以上であることにより、力学的強度の不足が抑制され電気絶縁性樹脂シートの製造中に破断しにくいという利点がある。
なお、前記全芳香族ポリアミド紙には、本発明の効果を損なわない範囲において他の成分を加えることができ、該他の成分としては、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリエステル繊維、アリレート繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの有機繊維、又は、ガラス繊維、ロックウール、アスベスト、ボロン繊維、アルミナ繊維などの無機繊維が挙げられる。
前記全芳香族ポリアミド紙としては、例えば、デュポン社より商品名「ノーメックス」で市販されているもの等を用いることができる。
【0058】
前記シート材3の電気絶縁性樹脂層2側には、コロナ処理が施されていることが好ましい。該コロナ処理が施されていることにより、シート材と電気絶縁性樹脂層との間における層間剥離がより抑制され得るという利点がある。
前記コロナ処理は、電気絶縁性樹脂層2と接するシート材3の一方の面に放電処理を行い、極性を持つカルボキシル基や水酸基を生成させ荒面化する処理である。前記コロナ処理としては、従来公知の一般的な方法を採用することができる。
【0059】
前記電気絶縁性樹脂シートは、電気絶縁性の指標となる耐トラッキング試験のCTI値が175V以上であることが好ましい。なお、耐トラッキング試験は、実施例に記載された方法によって行う。
【0060】
前記電気絶縁性樹脂シートは、耐引裂き性の指標となる端裂抵抗値が100N/20mm以上であることが好ましい。なお、端裂抵抗値の測定は、実施例に記載された方法によって行う。
【0061】
前記電気絶縁性樹脂シートは、220℃で1250時間を経た後の引張強度の強度残率が60%以上であることが好ましい。なお、強度残率は、実施例に記載された方法によって求める。
【0062】
前記電気絶縁性樹脂シートは、前記電気絶縁性樹脂層及び前記シート材の各凝集破壊力より、前記電気絶縁性樹脂層と前記シート材との間の層間接着力が大きいことにより、前記電気絶縁性樹脂層と前記シート材との間で層間剥離しないように構成されていることが好ましい。
【0063】
続いて、前記電気絶縁性樹脂シートの製造方法について説明する。
【0064】
前記電気絶縁性樹脂シートに備えられている前記電気絶縁性樹脂層は、ポリスルホン樹脂と該ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂とを所定温度に加熱しながら混合した樹脂混合物を、従来公知の一般的な方法によってシート状に成形することにより作製することができる。具体的には、例えば、ポリスルホン樹脂と該ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂とを、ニーダー、加圧ニーダー、混練ロール、バンバリーミキサー、二軸押し出し機などの一般的な混合手段によって加熱しながら混合して樹脂混合物とし、該樹脂混合物をT−ダイを取り付けた押出機によってシート状に押し出すこと等により作製することができる。
また、例えば、2枚のシート材を備えた電気絶縁性樹脂シートは、2枚のシート材で電気絶縁性樹脂層を挟み込んだ状態のものを押圧することなどにより製造することができる。
【0065】
詳しくは、前記電気絶縁性樹脂シートの製造においては、ポリスルホン樹脂と該ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂との粘度差がより小さくなる温度でこれらの樹脂を混合し、斯かる温度で混合した樹脂混合物をシート状の電気絶縁性樹脂層に成形することにより、作製された電気絶縁性樹脂層において、上述したポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂の分散相の粒子径を小さくすることができ、従って、最短径が0.5μm以上の分散相の個数を少なくすることができる。
【0066】
例えば、2種の異なる樹脂がそれぞれ分散相及び連続相となって存在する樹脂混合物においては、分散相の大きさと2種の異なる樹脂の粘度との関係に関して、下記に示す関係式(4)が知られている。
【0067】
【数1】

【0068】
上記の関係式(4)からも認識できるように、2種の樹脂の粘度差(ηD/ηm)を小さくするほど分散相の粒子径を小さくすることができる。また、樹脂を混合するときのせん断速度を大きくすることによっても、分散相の粒子径を小さくすることができる。
【0069】
より具体的には、例えば、ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂とポリアミド樹脂(PA9T)とを含む電気絶縁性樹脂層を成形する場合、310℃〜340℃の温度範囲において、高温になるほど、ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂とポリアミド樹脂とのメルトフローレート(MFR)の差が大きくなる。従って、例えば、各樹脂を340℃で混合するよりも310℃で混合する方が、これら2種の樹脂の粘度差を小さくすることができ、ポリアミド樹脂の分散相の粒子径を小さくすることができる。即ち、最短径が0.5μm以上の分散相の個数を少なくすることができる。
【0070】
前記電気絶縁性樹脂シートは、電気絶縁性を有する点を利用して、例えば、自動車などにおけるモーター用の電気絶縁用シート、変圧器(トランス)用の電気絶縁用シート、バスバー用の電気絶縁用シートなどにおいて使用することができる。
【0071】
本実施形態の電気絶縁性樹脂シートは、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の電気絶縁性樹脂シートに限定されるものではない。
また、一般の電気絶縁性樹脂シートにおいて用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
【0072】
例えば、上記実施形態では、図1において、シート状の電気絶縁性樹脂層の両面側にそれぞれ1枚のシート材が配されてなる電気絶縁性樹脂シートについて説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、シート状の電気絶縁性樹脂層の片面側のみに1枚のシート材が配されてなるものであってもよい。また、シート状の電気絶縁性樹脂層のみを備えたものであってもよい。
【実施例】
【0073】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
先ず、下記の原料を用意した。
・ポリスルホン樹脂:ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂(PES)樹脂
(分子中にスルホニル基、エーテル結合、及び芳香族炭化水素を複数含む)
(ソルベイ社製 商品名「レーデルA−300A」)を用いた。
・ポリアミド樹脂:ポリアミド樹脂(PA9T)
(分子中にテレフタル酸単位とノナンジアミン単位とを複数含む)
(クラレ社製 商品名「ジェネスタN1000A」)
次に、PES樹脂及びPA樹脂がPES/PA=80/20の重量比になるように、2軸混練機(テクノベル社製)を用いて310℃で混合し、樹脂混合物を調製した。
続いて、樹脂混合物を押出成形により310℃で100μm厚のシート状に成形して電気絶縁性樹脂層を形成し、シート状の電気絶縁性樹脂層のみからなる電気絶縁性樹脂シートを製造した。
【0075】
(実施例2)
320℃で樹脂混合物を調製し、320℃で押出成形した点以外は、実施例1と同様にして、シート状の電気絶縁性樹脂層のみからなる電気絶縁性樹脂シートを製造した。
【0076】
(実施例3)
330℃で樹脂混合物を調製し、330℃で押出成形した点以外は、実施例1と同様にして、シート状の電気絶縁性樹脂層のみからなる電気絶縁性樹脂シートを製造した。
【0077】
(実施例4)
一方、2枚の全芳香族ポリアミド紙(デュポン社製 商品名「ノーメックスT410」厚み50μm)をシート材として用意した。さらに、それぞれのシート材の電気絶縁性樹脂層と接する側の面には、コロナ処理を施した。コロナ処理は、機器としてPILLAR TECHNOLOGIES社製「500シリーズ」を用いて、大気圧下で、出力500W、処理速度4m/分、試料幅0.4mの条件により行った。
そして、実施例1の電気絶縁性樹脂層の両面側に2枚の全芳香族ポリアミド紙を配置した状態のものを2枚の金属板で挟み、350℃に加熱した熱プレス機を用いて、圧力200N/cm2で60秒間プレスし、電気絶縁性樹脂層の両面側に2枚のシート材を備えた約200μm厚の電気絶縁性樹脂シートを製造した。
【0078】
(比較例)
340℃で樹脂混合物を調製し、340℃で押出成形した点以外は、実施例1と同様にして、シート状の電気絶縁性樹脂層のみからなる電気絶縁性樹脂シートを製造した。
【0079】
<電子顕微鏡観察用試料の作製>
各実施例及び比較例の電気絶縁性樹脂シートの電気絶縁性樹脂層から適当な大きさのサンプルを切り出し、これをエポキシ樹脂によって樹脂包埋し、研磨法によって、押出成形の押出方向に沿って切断した厚み方向切断面を作製した。
さらに、重金属系染色剤によって電子染色を施し、金属蒸着によって導電処理したものを電子顕微鏡観察用試料とした。
【0080】
<ポリアミド樹脂の分散相における最短径の測定>
電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)「日立社製 製品名S−4800」を用いて、加速電圧10kV、倍率5000倍の観察条件により、14μm(厚み方向)×21μm(押出方向MD)の長方形範囲において、作製した電子顕微鏡観察用試料を観察した。
黒色の不連続物となって見えるポリアミド樹脂の分散相のそれぞれについて、上述したように、各不連続物に対して内接する最大円の直径によって分散相の最短径を決定した。なお、斯かる測定においては、目視により各分散相を区別した。
【0081】
各実施例及び比較例の電気絶縁性樹脂層における厚み方向切断面の電子顕微鏡写真を図2〜図6に示す。なお、図2〜図6は、それぞれ順に実施例1〜4及び比較例におけるものを示す。
【0082】
<耐熱性の評価>
製造した電気絶縁性樹脂シートにおける電気絶縁性樹脂層の流れ方向に沿って15mm幅で切断した試験サンプルを作製した。また、作製した試験サンプルを220℃に加熱した恒温槽に1250時間放置した。恒温槽に放置する前と後の試験サンプルについて、JIS C2151における「引張特性」に準じ、23℃において、200mm/分、標線100mmの試験条件で引張試験を行い、引張強度を測定した。そして、下記の式により、強度残率を算出した。
強度残率(%)={(放置後の引張強度)/(放置前の引張強度)}×100
【0083】
<耐引裂き性の評価>
JIS C2151における「端裂抵抗(B法)」に準じて、23℃において、電気絶縁性樹脂シートの縦方向(押出方向 MD)に沿って引裂くときの端裂抵抗値を測定した。
【0084】
<耐トラッキング性の評価>
JIS C2134に準じて、23℃において、CTI(Comparative Tracking Index)値を測定した。
【0085】
各実施例及び各比較例における耐熱性(強度残率)、耐引裂き性(端裂抵抗値)、及び、耐トラッキング性(CTI値)の評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の電気絶縁性樹脂シートは、耐熱性と電気絶縁性とを要する電気絶縁用シートなどとして好適に用いられ得る。具体的には、例えば、モーターのコイル線の周囲に配される電気絶縁用シート材、トランス、バスバー、コンデンサ、ケーブル用の電気絶縁用シート材、又は、電子回路基板の絶縁膜などの用途に好適である。
【符号の説明】
【0088】
1:電気絶縁性樹脂シート、 2:電気絶縁性樹脂層、 3:シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子中に複数のスルホニル基を有するポリスルホン樹脂と該ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂とを含む電気絶縁性樹脂層を備えた電気絶縁性樹脂シートであって、
該電気絶縁性樹脂層は、前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂が前記ポリスルホン樹脂中に分散した分散相を有しており、
前記電気絶縁性樹脂層の厚み方向切断面の294μm2面積範囲では、0.5μm以上の最短径を有する前記分散相の個数が10以下であることを特徴とする電気絶縁性樹脂シート。
【請求項2】
前記ポリスルホン樹脂が、分子中に複数のエーテル結合をさらに含むポリエーテルスルホン樹脂である請求項1記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項3】
前記ポリスルホン樹脂が、分子中に複数の芳香族炭化水素をさらに含むポリフェニルスルホン樹脂である請求項1又は2記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項4】
前記ポリスルホン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項5】
前記ポリアミド樹脂が、分子中に芳香族炭化水素を含むポリアミド樹脂である請求項4記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項6】
前記電気絶縁性樹脂層が、1〜45重量%の前記ポリアミド樹脂を含む請求項4又は5に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項7】
少なくとも1種のシート材をさらに備え、該シート材が前記電気絶縁性樹脂層の少なくとも片面側に配されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項8】
前記シート材が全芳香族ポリアミドを含んでいる請求項7記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項9】
前記シート材が、湿式抄紙法により作製された紙である請求項7又は8記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項10】
前記シート材が、全芳香族ポリアミド繊維を含む全芳香族ポリアミド紙である請求項7〜9のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項11】
前記シート材が不織布である請求項7又は8記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項12】
前記シート材の少なくとも電気絶縁性樹脂層側には、コロナ処理が施されている請求項7〜11のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項13】
前記電気絶縁性樹脂層及び前記シート材の各凝集破壊力より、前記電気絶縁性樹脂層と前記シート材との間の層間接着力が大きいことによって、前記電気絶縁性樹脂層と前記シート材との間で層間剥離しないように構成されている請求項7〜12のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項14】
耐トラッキング試験のCTI値が175V以上である請求項1〜13のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項15】
端裂抵抗値が100N/20mm以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項16】
220℃で1250時間を経た後の引張強度の強度残率が60%以上である請求項1〜15のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。
【請求項17】
電気絶縁用途で使用される請求項1〜16のいずれか1項に記載の電気絶縁性樹脂シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−164605(P2012−164605A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26062(P2011−26062)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(000190611)日東シンコー株式会社 (104)
【Fターム(参考)】