説明

電灯用バリウムフリー電極材料及びその製造方法

バリウムフリー電子放出材料は、励起に応じて電子を放出する作用をなすバリウムフリー金属酸化物組成物を含有する。エンベロープ、バリウムフリー電子放出材料を含有する電極及び放電材料を含むランプも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子放出材料に関し、特にプラズマ放電装置用のバリウムフリー電子放出材料に関する。
【背景技術】
【0002】
低圧金属ハライド放電プラズマは、従来の蛍光ランプに用いられている水銀系放電プラズマに取って代わる可能性をもっている。しかし、従来のランプに用いられている既知の電子放出材料の多くは、金属ハライドプラズマの存在下で化学的に安定でない。水銀放電ランプでは代表的には、酸化バリウムを含有する電子放出混合物が用いられてきた。しかし、金属ハライド放電ランプに酸化バリウムを用いると、いくつかの難問が派生する。酸化バリウムをランプ電極の1成分として用いると、特に低圧金属ハライド放電ランプでは、性能問題を引き起こすと予想される。これは、少なくとも部分的に、金属ハライドが酸化バリウムと反応するためであり、それがバリウムハロゲン化物の形成と金属酸化物の凝縮とにつながる。例えば、臭化インジウムなどの金属ハライド放電材料が酸化バリウムなどの電極材料と反応し、臭化バリウムと酸化インジウムを形成する。このような反応は直接、放電プラズマ内に存在する発光性放電材料の減少につながる。したがって、金属ハライド放出材料を用いる放電ランプにおける有害な反応は、ランプ寿命の短縮につながるので、このような有害な反応を回避するのが有利である。
【0003】
従来の蛍光水銀ランプでは、バリウムのような電子放出材料の成分の反応性問題のため、有効量の水銀が放電媒体から除去されることがあり、したがって放射線放出に貢献できない。例えば、バリウム−ストロンチウム−カルシウム三元酸化物電子放出材料におけるバリウムは放電媒体中の水銀とアマルガム形成し、放射線放出に利用できる水銀の量の低下をもたらす。このような損失を補償するために、より多量の封入量の水銀、場合によっては通常必要な0.1mgの水銀より10倍〜50倍多い封入量の水銀を用いて、ランプの寿命がある間水銀が適切に得られる状態を確保している。
【特許文献1】米国特許第6172453号明細書
【特許文献2】米国特許第5585694号明細書
【特許文献3】米国特許第5138224号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/20116639号明細書
【特許文献5】国際公開第2005/015601号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2004/025687号パンフレット
【特許文献7】欧州特許出願公開第0643416号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0584858号明細書
【特許文献9】欧州特許第0489463号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1観点によるバリウムフリー(バリウムを含有しない)金属酸化物組成物は、熱励起に応じて電子を放出する作用をなすバリウムフリー金属酸化物を含有し、該金属酸化物が酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0005】
本発明の別の観点によるバリウムフリー電子放出材料は、熱励起に応じて電子を放出する作用をなす1種以上のバリウムフリー金属酸化物組成物を含有し、該金属酸化物が酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0006】
本発明の他の観点によるランプは、エンベロープと、電極と、エンベロープ内に収容された放電材料とを備え、前記電極は、バリウムフリー電子放出材料を含有し、前記バリウムフリー電子放出材料が熱励起に応じて電子を放出する作用をなす1種以上のバリウムフリー金属酸化物組成物を含有し、該金属酸化物がカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上である。
【0007】
本発明のさらに他の観点によるバリウムフリー電子放出システムの製造方法は、バリウムフリー金属酸化物組成物を含む電子放出材料前駆体をバインダーと混合してスラリーを形成し、ここで、バリウムフリー金属酸化物組成物はカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のバリウムフリー金属酸化物を含有し、スラリーを熱又は電気励起源上に被覆し、電子放出材料を活性化する工程を含む。
【0008】
本発明のさらに他の観点によるランプの点灯方法は、ランプ内に配置されたバリウムフリー金属酸化物組成物を含有するバリウムフリー電子放出材料を熱励起するにあたり、前記電子放出材料を励起源に作用連結し、熱エネルギーを供給してバリウムフリー電子放出材料から電子を放出させる工程を含み、前記バリウムフリー金属酸化物組成物がカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の金属酸化物を含有し、前記バリウムフリー金属酸化物組成物がバリウムを含有しない。
【0009】
本発明の上記その他の特徴、観点及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことにより十分に理解できるはずである。図面中同じ符号は同じ部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
一般に、熱電子放出物質は、例えば約5eV未満の低い仕事関数と、例えば1000℃超の高い作動温度とを合わせもつのが望ましいと考えられている。酸化バリウムはかねてから、ランプ電極に用いる電子放出物質の第1候補と考えられてきた。アルカリ土類酸化物混合物、例えばアルカリ土類三元酸化物混合物などは、代表的には、ある量以上の酸化バリウムを含有する。本発明の実施形態は、熱励起に応じて電子を放出する作用をなすバリウムフリー金属酸化物組成物を含む、バリウムフリー組成物を包含する。このような熱励起は、外部加熱又は放電プラズマ自体又は両者の組合せにより達成できる。
【0011】
ここで、用語「バリウムフリー金属酸化物組成物」は、1種以上の金属酸化物(例えば酸化カルシウム、酸化ストロンチウム又は酸化マグネシウム又はこれらの任意の組合せ)を含有するが、バリウムの存在を回避するためにあらゆる妥当な手段をとることで、バリウムを含有しない組成物を表す。ここで、用語「金属酸化物」は、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム又は酸化マグネシウム又はこれらの任意の組合せを表す。一実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物は、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)又は酸化マグネシウム(MgO)又はこれらの組合せなどの1種以上の金属酸化物を含有することができる。本発明のバリウムフリー金属酸化物組成物は、種々の励起、例えば熱励起、電気励起などに応答して電子を発生するように構成することができる。
【0012】
図1は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムについて仕事関数2と溶融温度4との関係を示すグラフである。下記の表1に、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムについて仕事関数及び溶融温度の値をまとめて示す。図1及び表1に示すように、酸化カルシウムは、酸化バリウムと比較して、高い溶融温度と同程度の仕事関数を有し、一方酸化ストロンチウムは、酸化バリウムと比較して、高い溶融温度と低い仕事関数を有する。また、ハロゲン蒸気の存在下でのカルシウム、ストロンチウム及びマグネシウムのハロゲン化物の蒸気圧の単純な熱力学的予測値は、ハロゲン蒸気中の酸化バリウムと比較して、酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化ストロンチウムの反応性が低いことを示している。本発明の一実施形態では、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム又は酸化マグネシウム又はこれらの組合せを含有するバリウムフリー金属酸化物組成物が提供され、このバリウムフリー金属酸化物組成物は低い仕事関数を有し、金属ハロゲン化物を含有する放電プラズマの存在下での熱電子放出作用中安定である。
【0013】
【表1】

一実施形態では、本発明のバリウムフリー金属酸化物組成物は式MOで表すことができる。ここで、Mはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)又はストロンチウム(Sr)又はこれらの組合せを示す。以下の説明では、同様に、Mはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)又はストロンチウム(Sr)又はこれらの組合せを示すものとする。1例では、バリウムフリー金属酸化物組成物は、金属MがすべてカルシウムであるCaOとすることができる。別の例では、バリウムフリー金属酸化物組成物は、金属Mが一部カルシウム、一部ストロンチウム、一部マグネシウムであるCa0.5Sr0.4Mg0.1Oとすることができる。本発明はこれらの例に限らない。一実施形態では、本発明のバリウムフリー金属酸化物組成物は化学量論的に電荷バランスがとれている。電荷バランスがとれているとは、バリウムフリー金属酸化物組成物の正味の電荷がゼロであることをいう。他の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物は化学量論的でなくてもよい。例えば、バリウムフリー金属酸化物組成物は若干の酸素欠損を有することがあり、その結果生じる過剰な金属がドーパントとして作用し、増大した導電性を与える。
【0014】
ある実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物は酸化カルシウムを含有する。一実施形態では、酸化カルシウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の20重量%より多い量で存在することができる。別の実施形態では、酸化カルシウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の50重量%より多い量で存在することができる。さらに他の実施形態では、酸化カルシウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の80重量%より多い量で存在することができる。
【0015】
ある実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物は酸化ストロンチウムを含有する。一実施形態では、酸化ストロンチウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の20重量%より多い量で存在することができる。別の実施形態では、酸化ストロンチウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の50重量%より多い量で存在することができる。さらに他の実施形態では、酸化ストロンチウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の80重量%より多い量で存在することができる。
【0016】
ある実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物は酸化マグネシウムを含有する。一実施形態では、酸化マグネシウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の10重量%より多い量で存在することができる。別の実施形態では、酸化マグネシウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の20重量%より多い量で存在することができる。さらに他の実施形態では、酸化マグネシウムが、全バリウムフリー金属酸化物組成物の30重量%より多い量で存在することができる。一実施形態では、酸化マグネシウムを用いてバリウムフリー金属酸化物組成物に安定性と強固さを付与することができる。例えば、ランプ電極に用いる場合、酸化マグネシウムはランプに安定性をもたらす。これは、電子放出材料がまだ有意な熱電子放出が起こる温度より低い状態にあるランプ始動時に特にそうである。酸化マグネシウムはまた高い二次電子放出係数(入射イオン当たりの放出電子の数)を有し、したがって高エネルギー(>20eV)イオンの衝突時に比較的良好な電子発生源である。特定の理論に縛られたくはないが、ランプ点灯の始動期間に、まだ電子放出材料が有意な熱電子放出に十分なほど熱くなく、また放電プラズマが電子放出材料から電子を抽出しようとするとき、酸化マグネシウムは、その二次電子放出係数が高いので、二次電子放出係数が低い材料と比較して、比較的低エネルギーの入射イオンに応答して必要な電子流を供給することができる。したがって、放電陰極降下は小さくなり、到来するイオンの運動エネルギーが低くなり、これにより入射イオンによる電極へのダメージが少なくなる。
【0017】
ある実施形態では、本発明のバリウムフリー金属酸化物組成物は2種以上の金属酸化物の固溶体とすることができる。例えば、バリウムフリー金属酸化物組成物は第1金属酸化物と第2金属酸化物との固溶体とすることができ、ここで第1及び第2金属酸化物は互いに異なり、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物における第1金属酸化物と第2金属酸化物との重量百分率比が約90:10〜約10:90の範囲とすることができる。別の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物における第1金属酸化物と第2金属酸化物との重量百分率比が約70:30〜約30:70の範囲とすることができる。他の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物における第1金属酸化物と第2金属酸化物との重量百分率比が約60:40〜約40:60の範囲とすることができる。固溶体中の各成分の量は、固溶体中の物質の全体的化学活性、特に蒸気圧が適当なレベルとなるように選択すればよい。
【0018】
本発明の種々の観点によるバリウムフリー金属酸化物組成物は、熱及び/又は電気励起に応じて電子を放出する作用をなすことができる。熱電子放出につながる熱励起は、材料が加熱時に電子又はイオンを放出するプロセスである。材料の仕事関数は、所定の熱励起に対する電子放出のレベルを決める上である役割を果たす。一実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物は電界放出が可能とすることもできる。電界放出は、高い電界の存在下で電子がバリヤを通過する形態の量子トンネリングである。別の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物は熱放出及び電界放出を同時に行うことができる。
【0019】
先に示唆したように、バリウムフリー金属酸化物組成物は、ランプに用いる電極上に設けたバリウムフリー電子放出材料の一部分を構成することができる。ここで用いる用語「バリウムフリー電子放出材料」は、少なくとも、金属酸化物が酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム又はこれらの組合せである、ここに記載する通りのバリウムフリー金属酸化物組成物を含むあらゆるバリウムフリー材料を指す。このようなバリウムフリー電子放出材料の使用は、このような材料がシステム内に存在する他の材料、特に放電材料と反応してシステムの特性を劣化することのないシステムに有利である。特に、このようなバリウムフリー電子放出材料は、ランプにおける電子放出材料として特に有用である。バリウムフリー電子放出材料は電極上に、湿式塗布など様々な方法で設けることができる。一実施形態では、バリウムフリー電子放出材料を熱陰極電極上に設けることができる。ランプ作動中、熱陰極は、バリウムフリー電子放出材料の「熱電子放出温度」(例えば、電子が放出される温度)に加熱されて、電子の供給源となり放電アークを支持する。熱陰極電極は、「予熱」、「ラピッドスタート」及び「瞬時始動」型ランプ点灯構成に使用することができる。
【0020】
代表的には、予熱型ランプ点灯構成では、ランプの点灯前に、予熱電流により電極をその放出温度に加熱する。代表的には、ランプの始動回路が大きな電流を電極に送り、フィラメント電極を加熱する。1例では、ヒータ電流を切ると、ランプに電圧のスパイクが起こり、これが電極間に放電アークを点弧するのに役立つ。電子の自由放出に必要な温度は、点灯後に、放電からの入射イオンにより維持される。
【0021】
ラピッドスタート型ランプ点灯構成では、バラスト(安定器)を用いて、ランプに(熱を発生するための)陰極電圧と始動電圧を同時にかけることにより、ランプを点灯(始動)する。陰極が加熱されるにつれて、ランプを点灯(始動)するのに必要な電圧が低くなる。両方の電圧をかけた後間もなく、陰極は、印加電圧がランプを点灯(始動)するのに十分な温度に達する。
【0022】
「瞬時始動」(インスタントスタート)型ランプ点灯構成では、ランプの平常動作電圧より数倍大きく、かつランプの降伏抵抗より大きい初期電圧をかける。始動電圧は、放電材料を降伏させて電流伝導を可能にするのに十分な高さで、時に900Vのように高くなることもある。
【0023】
本発明の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物の導電性は、材料への欠陥の導入、例えばバリウムフリー金属酸化物組成物(MO)を金属M(ここでもMはマグネシウムMg、カルシウムCa、ストロンチウムSr又はこれらの組合せを示す)に還元することなど、また空格子点を生成することによって、高めることができる。ある実施形態では、Mの単層がMOを含むバリウムフリー電子放出材料の表面上に生成する。別の実施形態では、M単層の金属と金属酸化物MOのMとが異なる。その上、このような複合配置の仕事関数は、個別に考えた金属M又はMOいずれかの仕事関数より小さい。他の実施形態では、M単層が支持基体の露出部分上に生成し、このような複合配置の仕事関数は、個別に考えた金属M又は支持基体いずれかより小さい。支持基体は、バリウムフリー電子放出材料と化学的に不活性となるように選択しても、バリウムフリー電子放出材料との望ましい反応を促進するように選択してもよい。普通の基体材料は、耐熱性金属、例えばタングステン、タンタル及び白金などであるが、これらに限らない。一実施形態では、バリウムフリー電子放出材料は基体と反応して金属酸化物MOから金属Mを形成する。
【0024】
ある実施形態では、本発明のバリウムフリー電子放出材料はさらに金属又は金属合金を含有してよい。このような金属の例としては、タンタル、タングステン、トリウム、チタン、ニッケル、白金、バナジウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン及びジルコニウムがあるが、これらに限らない。一実施形態では、基体材料として金属及び金属合金を使用することができる。他の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物を金属、例えば高融点金属とともに使用して、焼結複合材を形成することができる。高融点金属は、熱、磨耗及び腐食に耐える1群の金属であり、通常1800℃より高い融点をもつ。
【0025】
本発明のさらに他の実施形態では、本発明のバリウムフリー電子放出材料は、バリウムフリー金属酸化物組成物及び1種以上の添加材料(以下、「電子放出性添加材料」とも言う)を含有することができる。添加材料は、例えば、バリウムフリー電子放出材料の一部として使用して、より高い作動温度を可能にするか、電子放出を増進するか、材料の安定性を高めるか、或いは端部黒化を少なくすることができる。一実施形態では、添加材料自体が電子放出性であってもよいが、そうである必要はない。
【0026】
他の実施形態では、タンタレート(タンタル酸塩)を電子放出性添加材料として使用することができる。タンタル酸塩の例には、MTa11、MTa、MTa15、MTa、MTa14、MBiTa、MBiNaTa12、M(Mg1/3Ta2/3)O、M(Co1/3Ta2/3)O、MZrTa18、MCaTa及びM(Zn1/3Ta2/3)Oがあるが、これらに限らない。
【0027】
他の実施形態では、強誘電性酸化物を電子放出性添加材料として使用することができる。バリウムフリー電子放出材料中に存在する強誘電性酸化物添加材料は、極面に静電電荷を発生することができるので、強い電子放出を達成することができる。強誘電性酸化物は高い自発分極により特徴付けられ、通常非補償静電電荷を発生することを通して電子放出に顕著な寄与をなす。これらの電荷は、焦電効果、圧電効果又は分極スイッチング効果下で自発分極が平衡状態から外れたときに誘起される。強誘電性酸化物の例としては、ジルコン酸鉛(PT)、ジルコンチタン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛ランタンジルコニウム(PLZT)族の強誘電材料、強誘電性タングステンブロンズ、層状強誘電材料、強誘電性ペロブスカイト、緩和型強誘電材料、強誘電性リン酸塩、酸窒化ペロブスカイト、PbGe11、モリブデン酸ガドリニウム、強誘電性ニオブ酸塩、例えばLiNbO、ニオブチタン酸鉛マグネシウム、ジルコンバナジン酸鉛、ジルコンニオブ酸鉛、ジルコンタンタル酸鉛、ジルコンチタン酸鉛、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、オーリビリウス(Aurivillius)族のビスマス含有層状強誘電材料(例えばチタン酸ビスマス、タンタル酸ビスマスストロンチウム)及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限らない。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物に加えて、他の酸化物組成物を電子放出性添加材料として使用することができる。このような酸化物の例として、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化タングステン、酸化ランタン、酸化トリウム、酸化ジルコニウム、イットリウム−ジルコニウム−ハフニウム三元酸化物、及び酸化亜鉛があるが、これらに限らない。
【0029】
ある実施形態では、本発明のバリウムフリー金属酸化物組成物は、全バリウムフリー電子放出材料の約1重量%〜約100重量%の範囲で存在することができる。別の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物は、全バリウムフリー電子放出材料の約25重量%〜約75重量%の範囲で存在することができる。他の実施形態では、金属酸化物は、全バリウムフリー電子放出材料の約40重量%〜約60重量%の範囲で存在することができる。
【0030】
種々の実施形態の電極を図2〜図6に示す。これらの実施形態は、ここに記載したもののようなバリウムフリー電子放出材料を種々の陰極構造に利用する仕方を具体的に示す。ここに記載したバリウムフリー電子放出材料の用途は、図示の実施形態に限定されるものではない。
【0031】
図2に示すように、陰極10は、バリウムフリー電子放出材料皮膜14を設けた金属ワイヤ又は金属コイル12、例えばタングステンコイルをバラスト16と組み合わせた構成とすることができる。代表的にはバラストを用いて、放電及び電極を介して必要な電流を供給、調整する。或いは、図3に示すように、陰極18は、少なくとも1表面上にバリウムフリー電子放出材料22(例えば皮膜の形態の)を含有するフラット部品20をバラスト24と組み合わせた構成とすることができる。図4に示す実施形態では、陰極26は、カップの中空内部空間にバリウムフリー電子放出材料30が収容されているカップ形構造28を含む。ある実施形態では、カップ形構造28とバリウムフリー電子放出材料30を一緒に焼結することにより、電子放出材料30をカップ形構造28に作動連結することができる。陰極はさらにバラスト32と組み合わすことができる。
【0032】
図5に示す実施形態では、陰極34は、ワイヤ36、例えばタングステンワイヤが、バリウムフリー電子放出材料を含有する固体複合材38内に配置された構成である。陰極はさらにバラスト40と組み合わすことができる。図6に示す実施形態では、陰極42は、ワイヤ44、例えばタングステンワイヤが、バリウムフリー電子放出材料を含有する固体複合材46のまわりにコイル巻きされた構成である。陰極はさらにバラスト48と組み合わすことができる。
【0033】
さらに、バリウムフリー電子放出材料は図7〜図11に示すような異なる形態で利用することができる。ある電極実施形態では、バリウムフリー電子放出材料は、図7に示すように、コア材料52及びシェル材料54からなる粒子50として存在することができる。1例では、コア材料が金属酸化物を含有するが、これに限らない。別の例では、コア材料がバリウムフリー金属酸化物組成物を含有するが、これに限らない。
【0034】
他の電極実施形態では、バリウムフリー電子放出材料が、図8の図示例に示すように、セラミック及び金属の分布型複合構造56として配置される。1例では、複合構造の中心部58に50%超の単位体積当たり金属酸化物濃度を付け、外側端部60に50%超の単位体積当たり金属タングステン濃度を付けることができるが、これに限らない。
【0035】
別の実施形態では、バリウムフリー電子放出材料を、図9に示すように、分布型焼結セラミック構造62として電極上に配置することができる。1例では、焼結セラミック62における単位体積当たりの金属酸化物濃度が外側端部64からコア66に向かって半径方向に増加するが、これに限らない。
【0036】
本発明のさらに他の実施形態では、電極68は図10に示すような多層構造とすることができる。1例では、低金属酸化物含量層70と高金属酸化物含量層72とが交互になるが、これに限らない。
【0037】
本発明のさらに他の実施形態では、図11に示すように、電極74は、バリウムフリー電子放出材料76が多孔質耐火材料78の細孔内に埋設された構成とすることができる。耐火材料には、タングステン及びタンタルがあるが、これらに限らない。
【0038】
本発明の実施形態では、バリウムフリー電子放出材料を含む電極をプラズマ放電装置に用いることができる。プラズマ放電装置の例としては、放電ランプがあるが、これらに限らない。本発明の別の実施形態では、金属酸化物を含有するバリウムフリー電子放出材料を含む電極が、エンベロープ内に放電材料を収容した構成のランプ内に配置される。本発明の教示にしたがって使用するのに適当なランプの例には、直管蛍光ランプ、コンパクト蛍光ランプ、環形蛍光ランプ、高輝度放電ランプ、フラットパネルディスプレイ、無水銀ランプ、キセノンランプなどが挙げられるが、これらに限らない。
【0039】
放電ランプは代表的には、エンベロープにガス放電材料を入れ(この放電材料を介してガス放電が起こる)、また代表的には2つの金属電極をエンベロープ内に封止する構成である。第1電極は放電のための電子を供給し、第2電極はその電子に外部電流回路への通路を提供する。一般に電子放出は熱電子放出を介して生起するが、強い電界での放出(電界放出)により、或いは直接、即ちイオン衝撃(イオン誘起二次放出)を介して、或いはこれらの組合せにより、電子放出を起こさせることもできる。
【0040】
放電材料はバッファガス及びイオン化可能な放電組成物を含むことができる。バッファガスは、希ガス、例えばアルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノンなどの材料を含むが、これらに限らない。一方、イオン化可能な放電組成物は、金属及び金属化合物などの材料を含むが、これらに限らない。ある実施形態では、イオン化可能な放電組成物は希ガスを含むこともできる。バリウムフリー金属酸化物組成物を含有するバリウムフリー電子放出材料を装填したランプに用いるのに適当な放電材料の例には、金属、例えばHg、Na、Zn、Mn、Ni、Cu、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Bi、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、ReもしくはOs、又はこれらの組合せがあるが、これらに限らない。バリウムフリー電子放出材料を装填したランプに用いるのに適当な他の放電材料には、希ガス、例えばネオン及びアルゴンがあるが、これらに限らない。さらに他の放電材料には、ハロゲン化物、酸化物、カルコゲニド、水酸化物、水素化物もしくは有機金属化合物などの化合物もしくはこれらの組合せ、又は金属、例えばHg、Na、Zn、Mn、Ni、Cu、Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Bi、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、ReもしくはOsもしくはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限らない。金属化合物の例には、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化ガリウム及びヨウ化インジウムがあるが、これらに限らない。ある実施形態では、金属ハライド放電ランプにおいて、金属とハロゲンが非化学量論的比で存在してもよい。例えば、ヨウ化ガリウムランプにおいて、ガリウムとハロゲンが約1:3〜約2:1のモル比で存在してもよい。一実施形態では、ランプは水銀ランプである。別の実施形態では、ランプは無水銀ランプである。
【0041】
ある実施形態では、放電材料は定常状態作動(点灯)条件下で約1×10Pa未満の全蒸気圧を生成することができる。ここで用いる用語「定常状態作動条件」は、放電からの放射線の大部分がイオン化可能な放電組成物に由来する、周囲環境と熱平衡状態にあるランプの作動条件を言う。代表的には、定常状態作動中のバッファガス圧力は、ランプが周囲温度にあるときの同圧力より僅かに高い。代表的には、定常状態作動中のイオン化可能放電組成物圧力は、ランプが周囲温度にあるときの同圧力より数桁高い。蒸気圧は温度に指数関数的に依存するからである。一実施形態では、放電材料は定常状態作動条件下で約2×10Pa〜約1×10Paの範囲の全蒸気圧を生成することができる。別の実施形態では、放電材料は定常状態作動条件下で約2×10Pa〜約2×10Paの範囲の全蒸気圧を生成することができる。他の実施形態では、放電材料は定常状態作動条件下で約1×10Paの範囲の全蒸気圧を生成することができる。ある実施形態では、放電材料中のイオン化可能放電組成物の定常状態作動条件下での分圧は約1×10Pa未満とすることができる。別の実施形態では、放電材料中のイオン化可能放電組成物の定常状態作動条件下での分圧は約1×10−1Pa〜約1×10Paの範囲とすることができる。1例では、放電材料はアルゴンをバッファガスとして、ヨウ化ガリウムをイオン化可能な放電組成物として含有することができるが、これに限らない。20℃の周囲温度で、全圧は主としてバッファガスにより約1×10Paとなり、イオン化可能な放電組成物の分圧は約1×10−4Paとなることがある。100℃の定常状態作動条件温度で、全圧は約1.370×10Paとなり、イオン化可能な放電組成物の分圧は約1Paとなることがある。一実施形態では、ランプは水銀ランプである。別の実施形態では、ランプは無水銀ランプである。
【0042】
ある実施形態では、バリウムフリー電子放出材料は、陰極、バラスト、放電材料及び放電材料を収容するエンベロープもしくはカバーを含む蛍光ランプに組み込むことができる。蛍光ランプは、図12に示すような、エンベロープ82及びバリウムフリー電子放出材料を有する電極84を備える直管蛍光ランプ80とするか、図13に示すような、エンベロープ88及びバリウムフリー電子放出材料を有する電極90を備えるコンパクト蛍光ランプ86とすることができる。蛍光ランプは、図14に示すような、エンベロープ94及びバリウムフリー電子放出材料を有する電極96を備える環形蛍光ランプ92とすることもできる。或いはまた、蛍光ランプは、図15に示すような、外管100内に発光管102を有する高圧ランプ又は高輝度放電ランプ98とすることもできる。
【0043】
本発明の一実施形態では、ランプ内に配置されたバリウムフリー電子放出材料を、それが主として熱電子放出により電子を放出するまで、加熱するが、電界増加型放出のような追加のプロセスが電子放出に寄与することもある。加熱はどのような手段でも行うことができ、例えばその上にバリウムフリー電子放出材料が設けられた基体の電気抵抗加熱などにより行うことができる。他の加熱手段としては、イオン衝撃、イオン再結合などのプロセスによるランプ内の放電プラズマに基づく加熱がある。
【0044】
本発明のさらに他の実施形態によれば、バリウムフリー電子放出システムの製造方法が提供される。本方法は、バリウムフリー金属酸化物組成物をバインダと混合してスラリーを形成し、スラリーを熱又は電気励起源又は電極基体、例えばタングステンフィラメントに被覆し、バインダを除去する工程を含む。1例では、適当な雰囲気中高温に最適な加熱速度で焼成することにより、バインダを除去することができるが、これに限らない。
【0045】
バリウムフリー電子放出材料は、セラミック及び冶金の分野で採用されている、一般に粒度及び結晶化度をよく制御できる種々の加工方法により製造できる。このような製造方法の適当な例には、反応性磨砕法、ゾルゲル法、湿式化学沈殿、溶融塩合成及びメカノケミカル合成などがある。
【0046】
バリウムフリー金属酸化物組成物の製造に用いる金属化合物は、ボールミル、ヘンシェルミキサ、ワーリングブレンダ、ロールミルなどの装置にて、剪断力と圧縮力とを併用して、所望の粒度まで粉砕することができる。金属化合物は、約0.4〜約8μmの粒子を生成するのに有効な時間粉砕することができる。一実施形態では、粒度が約0.8μm以上とすることができる。別の実施形態では、粒度が約1μm以上とすることができる。他の実施形態では、粒度が約1.5μm以上とすることができる。別の実施形態では、粒度が約5μm以下の粒子を含有することができる。他の実施形態では、粒度が約5μm以下の粒子を含有することができる。
【0047】
一般に、バリウムフリー電子放出材料前駆体の粉末をまず最初に機械的に粉砕して、所望の粒度の粒子を得る。つぎに粒子をバインダ及び所望に応じて溶剤とブレンドして混合液を形成する。機械的粉砕は混合液の形成中継続することができる。混合液は、スラリー、懸濁液、溶液、ペーストなどとすることができる。つぎに混合液を所望の基体に被覆することができ、その後所望に応じて乾燥させて生コーティングを形成する。一実施形態では、生コーティングは、通常混合液の重量に基づいて約10重量%以下の溶剤を含有するコーティングとすることができる。別の実施形態では、約5重量%以下の溶剤が存在してもよい。他の実施形態では、3重量%未満の溶剤が存在してもよい。さらに他の実施形態では、混合液の全重量に基づいて約2重量%以下の溶剤が存在してもよい。コーティングを設けた基体をアニールして、コーティングの焼結を達成し、バリウムフリー電子放出材料を形成することができる。一実施形態では、バリウムフリー電子放出材料を含有する複合材を、ゾルゲル法又は他の物理的及び/又は化学的薄膜体積法により、タングステン基体上に薄膜もしくは厚膜として設層することができる。
【0048】
混合物の調製に用いるバインダは代表的には、ポリマー樹脂、セラミックバインダ、又はポリマー樹脂とセラミックバインダの組合せである。セラミックバインダの例には、リン酸アルミニウム(AlPO)、シリカ(SiO)及びマグネシア(MgO)があるが、これらに限らない。混合液の調製に用いるポリマー樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の組合せとすることができる。熱可塑性樹脂は、オリゴマー、ポリマー、共重合体(例えばブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、スターブロック共重合体)、デンポリマー、高分子電解質、アイオノマーなど、又はこれらの熱可塑性樹脂の1種以上を含む組合せとすることができる。熱可塑性樹脂の適当な例には、ポリアセタール、ポリアクリル酸、スチレン−アクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ペルフルオロアルコキシポリマー、ポリエーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ニトロセルロース、セルロース、リグニンなど、又はこれらの熱可塑性樹脂の1種以上を含む組合せがある。一実施形態では、熱可塑性樹脂はニトロセルロースとすることができる。
【0049】
通常、数平均分子量が約1000g/モル〜約500,000g/モルである熱可塑性樹脂を用いるのが望ましい。この範囲内で、数平均分子量が約2,000以上である熱可塑性樹脂を用いるのが望ましい。一実施形態では、数平均分子量が約3,000以上とすることができる。別の実施形態では、数平均分子量が約4,000g/モル以上とすることができる。一実施形態では、数平均分子量が約200,000以下とすることができる。別の実施形態では、数平均分子量が約100,000以下とすることができる。他の実施形態では、数平均分子量が約50,000g/モル以下とすることができる。
【0050】
熱可塑性樹脂のブレンドの例には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ナイロン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ナイロン、ポリカーボネート/熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート、スチレン−無水マレイン酸/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエチレン/ナイロン、ポリエチレン/ポリアセタールなど、又はこれらの熱可塑性樹脂ブレンドの1つ以上を含む組合せがある。
【0051】
高分子熱硬化性材料の具体例には、ポリウレタン、エポキシ、フェノール、ポリエステル、ポリアミド、シリコーンなど、又はこれらの熱硬化性樹脂の1種以上を含む組合せがある。
【0052】
混合液の調製にセラミックバインダを使用することもできる。セラミックバインダの例には、リン酸アルミニウム、ジルコニア、リン酸ジルコニウム、シリカ、マグネシアなどがある。一実施形態では、バインダを混合液の全重量に基づいて約5重量%〜約50重量%の量使用することができる。別の実施形態では、バインダが混合液中に通常約8重量%以上の量で存在することができる。他の実施形態では、バインダが約10重量%以上の量で存在することができる。さらに他の実施形態では、バインダが混合液の全重量に基づいて約12重量%以上の量で存在することができる。別の実施形態では、バインダが混合液中に約45重量%以下の量で存在することができる。他の実施形態では、バインダが約40重量%以下の量で存在することができる。さらに他の実施形態では、バインダが混合液の全重量に基づいて約35重量%以下の量で存在することができる。
【0053】
所望に応じて、混合液の調製に溶剤を使用することができる。通常、混合液の調製に、液体非プロトン性極性溶剤、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチロラクトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸ブチル、酢酸アミル、メチルプロパノール又は変性エタノール含有プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど、又はこれらの溶剤の1種以上を含む組合せを使用することができる。混合液の調製に、プロトン性極性溶剤、例えば水、メタノール、アセトニトリル、ニトロメタン、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど、又はこれらのプロトン性極性溶剤の1種以上を含む組合せを使用することもできる。混合液の調製に、他の非極性溶剤、例えばベンゼン、トルエン、塩化メチレン、四塩化炭素、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど、又はこれらの溶剤の1種以上を含む組合せを使用することができる。混合液を調製するのに、1種以上の非プロトン性極性溶剤と1種以上の非極性溶剤とを含む補助溶剤を使用することもできる。混合液の調製に、イオン性液体も使用できる。一実施形態では、溶剤は変性エタノール含有プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとすることができる。1例では、溶剤は約90重量%〜約95重量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び約1重量%〜約2重量%の変性エタノールを含有する。
【0054】
溶剤は通常混合液の全重量に基づいて約5重量%〜約60重量%の量使用する。この範囲内で、溶剤が通常混合液中に約8重量%以上の量で存在する。一実施形態では、溶剤が約10重量%以上の量で存在することができる。他の実施形態では、溶剤が混合液の全重量に基づいて約12重量%以上の量で存在する。この範囲内で、溶剤が通常混合液中に約48重量%以下の量で存在する。一実施形態では、溶剤が約45重量%以下の量で存在することができる。他の実施形態では、溶剤が混合液の全重量に基づいて約40重量%以下の量で存在することができる。
【0055】
通常、混合液を所望の基体、例えばタングステンワイヤ又はシートに塗布し、ついで焼結する。基体のコーティングは、ディップコート、スプレイ被覆、静電塗装、刷毛塗布などの方法により行うことができる。一実施形態では、バリウムフリー電子放出材料の皮膜厚さが、焼結後に、約3μm〜約100μmとすることができる。別の実施形態では、皮膜厚さが約10μm〜約80μmとすることができる。他の実施形態では、皮膜厚さが約15μm〜約60μmとすることができる。
【0056】
通常、被覆基体に焼結工程を施して、溶剤及びバインダを除去し、基体上にバリウムフリー電子放出材料の皮膜を形成する。焼結工程は、加熱、例えば伝導、対流、放射(例えばRF放射もしくはマイクロ波放射)により行うことができる。別の実施形態では、電極を抵抗加熱して混合液を焼結し、バリウムフリー電子放出材料を形成することができる。所望に応じて、焼結を目的とした異なる加熱方法の組合せ、例えば対流加熱と抵抗加熱の組合せを使用してもよい。伝導、対流、放射、抵抗加熱又はこれらの組合せによる焼結工程は、1000℃程度の温度で行うことができる。本発明の一実施形態では、所望に応じて、焼結を2段階プロセスで行うことができる。第1段階で、生コーティングを約300℃〜約400℃の温度に約10〜約60分間加熱することにより、バインダを除去することができる。第2段階で、材料を約1000℃〜約1700℃の温度で焼結することができる。
【0057】
別の実施形態では、バリウムフリー電子放出材料の皮膜を活性化処理する。代表的には、活性化を2工程で行う。第1工程では、炭酸塩などの前駆体を分解工程により酸化物に変換することができる。通常炭酸塩前駆体を使用するのは、アルカリ土類酸化物が空気中の水分と反応するので取り扱いやすいからである。分解工程に続いて活性化工程を行う。活性化工程は代表的には材料を僅かに還元し、半伝導状態を生成する。活性化工程は代表的には、皮膜付き基体を順次高い温度へと加熱する一連の加熱により行われる。1例では(この例に限定されないが)、皮膜付き電極をマウントの上に載せ、マウントをランプチューブの末端に封入し、チューブの内部のガスを真空ポンプによりチューブ封止部を介して排出し、電極を所定の温度−時間スケジュールにて加熱し、この間化学分解の反応生成物を吸引除去し続ける。一実施形態では、温度−時間スケジュールは、半導電状態への活性化もしくは還元を行う追加工程を含んでもよい。つぎに封入材料(希ガス、固体ピル、液滴など)を内部に添加し、チューブ封止部をシールして気密なランプチューブを完成する。この間ずっと、チューブを加熱して管壁から水その他の不純物を除去することができる。分解−活性化工程は真空チューブ内で行うことができる。第2工程で、被覆材料を電子放出に必要な状態に加工することができ、この結果通常、絶縁性金属からの半導体材料の生成、例えばその材料の僅かな還元による半導体材料の生成がもたらされるとともに、初期単層表面の形成がもたらされる。一実施形態では、水銀などの封入材料を含有するカプセルをランプアセンブリの内側に置き、ランプアセンブリ全体を封止した後、RF加熱などの手段でカプセルをランプ内部で破壊して、封入材料を放出する。
【0058】
基体は任意所望の形状とすることができる。基体は一次元、二次元もしくは三次元又は約3までの適当な部分寸法とすることができる。一次元基体の適当な例は、直線フィラメント、非直線フィラメント、例えば環状フィラメント、楕円状フィラメント、コイル巻フィラメントなどである。二次元基体の適当な例は、平坦プレート、平坦もしくは湾曲シートなどである。三次元基体の適当な例は、中空球体、カップ、ビーズなどである。一次元、二次元もしくは三次元幾何形状の組合せを有する基体を用いることも可能である。基体の1例にタングステンフィラメントがあるが、これに限定されない。一実施形態では、基体はランプの電極とすることができる。電極は、ランプの陽極もしくは陰極又は陽極及び陰極両方とすることができる。
【0059】
別の実施形態では、バリウムフリー金属酸化物組成物及びタングステン粉末を高密度に焼結し、複合焼結電極として使用することができる。このような複合焼結電極は、陰極をランプ内に設置する際に良好な可撓性を発揮し有利であり、直径のより小さい蛍光チューブなどランプ設計に融通性を与える。
【0060】
ある実施形態では、バリウムフリー電子放出材料を提供することが、含浸電極を提供することになる。バリウムフリー電子放出材料を、タングステン、タンタルなどの多孔質高融点金属の細孔内に埋設することができる。
【0061】
本発明のさらに他の実施形態は、ランプ内に配置されたバリウムフリー金属酸化物組成物を含むバリウムフリー電子放出材料を熱的にもしくは電気的に励起する方法であり、本方法は、ランプを励起源、例えば電極基体に作用連結し、熱もしくは電気エネルギーを供給してバリウムフリー電子放出材料から電子を放出させる工程を含む。励起源を付勢する例としては、交流(AC)もしくは直流(DC)電源に連結する付勢があるが、これらに限らない。1例では、酸化カルシウム電子放出材料をヨウ化インジウム放電材料ランプに使用することができるが、これに限らない。
【0062】
少なくとも部分的に、ここに記載した種々のバリウムフリー金属酸化物組成物がバリウムを含まないという特徴のおかげで、金属ハライドランプにおける金属ハロゲン化物放電材料の分解(崩壊)が軽減されるか完全に回避できる。バリウムフリー金属酸化物組成物は、ハロゲン蒸気の存在下で安定である他の材料と比較して、低い仕事関数を有する。さらに、バリウムフリー金属酸化物組成物は、やはりハロゲン蒸気中で安定である酸化トリウム(放射性)などの他の組成物と比較して、環境に対して低毒性でもある。
【0063】
本発明のいくつかの特徴だけを具体的に示し説明したが、当業者には多数の変更や改変が明らかである。したがって、特許請求の範囲は、本発明の要旨の範囲内に入るこれらの変更例や改変例のすべてを包含すると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムについての融点温度と仕事関数の関係を示すグラフである。
【図2】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を有するコイル電極の側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を有する平坦部材陰極の側断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を有するカップ形状陰極の側断面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を有する陰極の側断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を有する陰極の側断面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料の断面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を含有する皮膜の側断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を含有する皮膜の側断面図である。
【図10】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料の断面図である。
【図11】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を用いる直管蛍光ランプの側断面図である。
【図12】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を用いるコンパクト蛍光ランプの側断面図である。
【図13】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を用いる環形蛍光ランプの上断面図である。
【図14】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を用いる高圧蛍光ランプの側断面図である。
【図15】本発明の一実施形態によるバリウムフリー電子放出材料を用いる高圧蛍光ランプの側断面図である。
【符号の説明】
【0065】
10 電極
12 金属コイル
14 皮膜
16,24,32,40,48 バラスト
18,26,42 陰極
20 平坦部材
22,30,50 電子放出材料
28 カップ形構造
34 電極
36,44 ワイヤ
38,46 固体複合材
52 コア材料
54 シェル材料
56 分布型複合電極
58 電極中心
60,64 外側端部
62 分布型焼結セラミック電極
66 コア
68,74 電極
70 低アルカリ土類含量層
72 高アルカリ土類含量層
84,90,96 電極
76 電子放出材料
78 耐火材料
80,86,92,98 ランプ
82,88,94 エンベロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱励起に応じて電子を放出する作用をなすバリウムフリー金属酸化物を含有し、該金属酸化物が酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、バリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項2】
前記金属酸化物が酸化カルシウムを含有する、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項3】
酸化カルシウムが全バリウムフリー金属酸化物組成物の約20重量%超の量で存在する、請求項2記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項4】
酸化カルシウムが全バリウムフリー金属酸化物組成物の約50重量%超の量で存在する、請求項2記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項5】
酸化カルシウムが全バリウムフリー金属酸化物組成物の約80重量%超の量で存在する、請求項2記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項6】
前記金属酸化物が酸化ストロンチウムを含有する、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項7】
酸化ストロンチウムが全バリウムフリー金属酸化物組成物の約20重量%超の量で存在する、請求項6記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項8】
酸化ストロンチウムが全バリウムフリー金属酸化物組成物の約50重量%超の量で存在する、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項9】
酸化ストロンチウムが全バリウムフリー金属酸化物組成物の約80重量%超の量で存在する、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項10】
バリウムフリー金属酸化物組成物が2種以上の金属酸化物の固溶体を含有する、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項11】
バリウムフリー金属酸化物組成物が第1金属酸化物と第2金属酸化物の固溶体を含有し、前記第1及び第2金属酸化物が互いに異なり、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項12】
バリウムフリー金属酸化物組成物中の第1金属酸化物対第2金属酸化物の重量百分率比が約90:10〜約10:90の範囲にある、請求項11記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項13】
バリウムフリー金属酸化物組成物中の第1金属酸化物対第2金属酸化物の重量百分率比が約70:30〜約30:70の範囲にある、請求項11記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項14】
バリウムフリー金属酸化物組成物中の第1金属酸化物対第2金属酸化物の重量百分率比が約60:40〜約40:60の範囲にある、請求項11記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項15】
バリウムフリー金属酸化物組成物が基体上に被覆されている、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項16】
バリウムフリー金属酸化物組成物が電極の一部として設置された、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項17】
バリウムフリー金属酸化物組成物がプラズマ放電装置内に設置された、請求項1記載のバリウムフリー金属酸化物組成物。
【請求項18】
バリウムフリー電子放出材料を含有する電極であって、前記バリウムフリー電子放出材料が熱励起に応じて電子を放出する作用をなす1種以上のバリウムフリー金属酸化物組成物を含有し、該金属酸化物が酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、電極。
【請求項19】
前記バリウムフリー電子放出材料がさらに、金属、タンタル酸塩、強誘電性酸化物、ハロゲン化物、酸化物、オキシハロゲン化物、酸窒化物及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の添加材料を含有する、請求項18記載の電極。
【請求項20】
前記バリウムフリー電子放出材料が平坦な金属ホイル又は金属フィラメント上にコーティングとして配置された、請求項18記載の電極。
【請求項21】
さらに、金属コイルが前記バリウムフリー電子放出材料を含むコア構造のまわりに巻き付けられている、請求項18記載の電極。
【請求項22】
エンベロープと、電極と、エンベロープ内に収容された放電材料とを備えるランプであって、
前記電極は、バリウムフリー電子放出材料を含有し、前記バリウムフリー電子放出材料が熱励起に応じて電子を放出する作用をなす1種以上のバリウムフリー金属酸化物組成物を含有し、該金属酸化物がカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上である、
ランプ。
【請求項23】
前記放電材料が定常状態作動条件下で約1×10Pa未満の全蒸気圧を発生する、請求項22記載のランプ。
【請求項24】
前記放電材料が定常状態作動条件下で約2×10Pa〜約1×10Paの全蒸気圧を発生する、請求項22記載のランプ。
【請求項25】
前記放電材料が、金属類、即ちHg、Na、Zn、Mn、Ni、Cu、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Bi、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Re、Os、希ガス類、即ちNe、Ar、He、Kr、Xe及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の材料を含有する、請求項22記載のランプ。
【請求項26】
前記放電材料が、金属化合物、即ち(Na、Znを含む)Mn、Ni、Cu、Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Bi、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Re、Osの化合物及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の材料を含有し、前記化合物がハロゲン化物、酸化物、カルコゲニド、水酸化物、水素化物、有機金属化合物及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項22記載のランプ。
【請求項27】
前記放電媒体がヨウ化ガリウム、ヨウ化亜鉛及びヨウ化インジウムからなる群から選択される1種以上の材料を含有する、請求項22記載のランプ。
【請求項28】
前記ランプが、直管形蛍光ランプ、コンパクト形蛍光ランプ、環形蛍光ランプ、高輝度放電ランプ、フラットパネルディスプレイ、水銀非含有ランプ及びキセノンランプからなる群から選択される、請求項22記載のランプ。
【請求項29】
バリウムフリー金属酸化物組成物を含む電子放出材料前駆体をバインダーと混合してスラリーを形成し、ここで、バリウムフリー金属酸化物組成物はカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のバリウムフリー金属酸化物を含有し、
スラリーを熱又は電気励起源上に被覆し、
バインダー及び溶剤を除去し、
電子放出材料を活性化する
工程を含む、バリウムフリー電子放出システムの製造方法。
【請求項30】
スラリーを熱又は電気励起源上に被覆する工程で、スラリーを電極基体上に被覆する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
ランプ内に配置されたバリウムフリー金属酸化物組成物を含有するバリウムフリー電子放出材料を熱励起するにあたり、前記電子放出材料を励起源に作用連結し、熱エネルギーを供給してバリウムフリー電子放出材料から電子を放出させる工程を含み、
前記バリウムフリー金属酸化物組成物がカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の金属酸化物を含有する、
熱励起方法。
【請求項32】
励起源をAC又はDC電源により付勢し、熱又は電気エネルギーを供給してバリウムフリー電子放出材料から電子を放出させる、請求項31記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−517811(P2009−517811A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542464(P2008−542464)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/045345
【国際公開番号】WO2007/064570
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】