説明

電球被覆体及び発光体

【課題】昼間等の明るい環境下においても点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能を高めることができるようにする。
【解決手段】白色系の色彩を有する透光性の弾性高分子材料により形成されると共に、一端に開口141を有し、他端に底部142を有する筒状体143で構成する。この筒状体143の内周面には、白熱電球の発光部との間にギャップを形成するための線状の突起144と半球状の突起145とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白熱電球の発光部に被覆する電球被覆体及び白熱電球の発光部に電球被覆体を被覆して構成した発光体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に付設されている方向指示器として、銀色等の白色系の色彩を有する反射板の前部に発光部をアンバー色に着色した白熱電球からなる発光体を配設し、この発光体を透明の前面レンズ(クリアレンズ)で覆うことにより構成したものが実用化されている。このように構成された方向指示器では、発光体が点灯したときにアンバー色の光が発光部から直接出力されると共に、このアンバー色の光が前面レンズを介して外部に放出され、この色光が点滅することで方向指示が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−2372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のように発光部をアンバー色に着色した発光体を用いて方向指示器を構成した場合、発光体が非点灯状態にあるときでも発光部がアンバー色を呈しているため、発光体の光度を高めないことには昼間等の明るい環境下では発光体が点灯状態にあるか非点灯状態にあるかの識別が困難になる場合が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能に優れた発光体が得られる電球被覆体及びこの電球被覆体を用いた発光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、点滅することで方向指示を行う自動車の方向指示器に用いる所定の有彩色の光が出力されるようにした白熱電球の発光部に被覆する電球被覆体であって、前記発光部から出力される光とは異なる系統の色彩を有する透光性の弾性高分子材料により形成した筒状体からなることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、電球被覆体が白熱電球の発光部に被覆されることにより発光体が構成され、非点灯状態にあるときには、発光部が見掛け上、電球被覆体の有する色彩であって、発光部から出力される光とは異なる系統の色彩を有するものとなり、点灯状態にあるときには、発光部から出力される有彩色の光がそのまま電球被覆体を透過して外部に出力される。すなわち、点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部の色彩が異なることになるため、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能が高められることになる。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に係るものにおいて、前記筒状体の色彩が白色系であることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、非点灯状態にあるときには、発光部が見掛け上、電球被覆体の白色系の色彩を有するものとなり、点灯状態にあるときには、発光部から出力される有彩色の光がそのまま電球被覆体を透過して外部に出力される。すなわち、点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部の色彩が異なることになるため、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能が高められることになる。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に係るものにおいて、前記筒状体は、一端に開口を有する有底状に形成されてなるものであることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、白熱電球の発光部が筒状体の一端の開口からその内部に挿入されることにより電球被覆体が発光部に被覆され、これにより発光体が容易に構成される。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに係るものにおいて、前記筒状体は、内周面に白熱電球の発光部との間にギャップを形成するための複数の突起が形成されてなるものであることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、白熱電球の発光部に電球被覆体が被覆されてなる発光体が非点灯状態にあるときには、電球被覆体と発光部との間に形成されるギャップの存在により発光部の色彩が電球被覆体の外部に透過しにくくなって発光部が見掛け上、電球被覆体の有する色彩により近づくことになり、点灯状態にあるときには、発光部から出力される有彩色の光がそのまま電球被覆体を透過して外部に出力されることになる。すなわち、点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部の色彩がより明瞭に異なることになるため、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能がより高められることになる。
【0014】
また、白熱電球の発光部に電球被覆体が被覆されたときに形成される電球被覆体と発光部との間のギャップの存在により、発光部から発生する高熱が電球被覆体に直接伝達されないようになる。このため、電球被覆体の高熱による退色やゴム弾性の劣化等が抑制される。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに係るものにおいて、前記筒状体は、白熱電球の発光部に圧接状態で被覆されるように形成されてなるものであることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、電球被覆体を白熱電球の発光部に被せるだけで発光部に弾性的に保持させることができ、電球被覆体の発光部への被覆作業が容易となる。
【0017】
また、請求項6の発明は、点滅することで方向指示を行う自動車の方向指示器に用いる白熱電球の発光部から所定の有彩色の光が出力されるようにした発光体であって、前記発光部に請求項1乃至5のいずれかに記載の電球被覆体を被覆して構成したことを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、非点灯状態にあるときには、発光部が見掛け上、電球被覆体の有する色彩であって、発光部から出力される光とは異なる系統の色彩を有するものとなり、点灯状態にあるときには、発光部から出力される有彩色の光がそのまま電球被覆体を透過して外部に出力される。このため、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能が高められることになる。
【0019】
特に、筒状体の内周面に白熱電球の発光部との間にギャップを形成するための複数の突起が形成された電球被覆体が発光部に被覆されて発光体が構成される場合、その発光体が非点灯状態にあるときには、電球被覆体と発光部との間に形成されるギャップの存在により発光部の色彩が電球被覆体の外部に透過しにくくなって発光部が見掛け上、電球被覆体の有する色彩により近づくことになる。このため、点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部の色彩がより明瞭に異なることになるため、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能がより高められることになる。
【0020】
また、請求項7の発明は、請求項6に係るものにおいて、前記白熱電球は、発光部を構成するガラス被覆体が所定の有彩色に着色されてなるものであることを特徴としている。
【0021】
この構成によれば、非点灯状態にあるときには、発光部が見掛け上、電球被覆体の有する色彩であって、発光部から出力される光とは異なる系統の色彩を有するものとなり、点灯状態にあるときには、着色された発光部から有彩色の光が電球被覆体を透過して外部に出力されることになる。
【0022】
また、請求項8の発明は、請求項6に係るものにおいて、前記白熱電球は、発光部に所定の有彩色を有する透光性の弾性高分子材料により形成した筒状の着色体が被覆されてなるものであることを特徴としている。
【0023】
この構成によれば、非点灯状態にあるときには、発光部が見掛け上、電球被覆体の有する色彩であって、発光部から出力される光とは異なる系統の色彩を有するものとなり、点灯状態にあるときには、着色体の被覆された発光部から有彩色の光が電球被覆体を透過して外部に出力されることになる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、電球被覆体が発光部から出力される光とは異なる系統の色彩を有する透光性の弾性高分子材料により形成した筒状体から構成されているので、この電球被覆体を所定の有彩色の光が出力されるようにした白熱電球の発光部に被覆することにより点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能に優れた発光体を得ることができる。このため、かかる電球被覆体を自動車の方向指示器を構成する白熱電球の発光部に被覆することにより、点滅することで方向指示を行う自動車の方向指示器に好適な発光体を得ることができる。
【0025】
また、請求項2の発明によれば、電球被覆体を構成する筒状体が白色系の色彩を有するので、この電球被覆体を所定の有彩色の光が出力されるようにした白熱電球の発光部に被覆することにより点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能に優れた発光体を得ることができる。
【0026】
また、請求項3の発明によれば、筒状体が一端に開口を有する有底状に形成されてなるものであるので、白熱電球の発光部を筒状体の一端の開口からその内部に挿入することにより発光体を容易に構成することができる。
【0027】
また、請求項4の発明によれば、筒状体の内周面に白熱電球の発光部との間にギャップを形成するための複数の突起が形成されているので、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能をより高めることができると共に、電球被覆体と発光部との間に形成されるギャップにより発光部からの発生熱が電球被覆体に直接伝達されないようになって電球被覆体の退色やゴム弾性の劣化等の特性変化を抑制することができる。
【0028】
また、請求項5の発明によれば、筒状体が白熱電球の発光部に圧接状態で被覆されるように形成されているので、発光部に電球被覆体を被せるだけでよいことから発光部への被覆作業を容易に行うことができる。
【0029】
また、請求項6の発明によれば、所定の有彩色の光が出力されるようにした白熱電球の発光部に請求項1乃至5のいずれかに記載の電球被覆体を被覆して発光体を構成しているので、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能に優れた発光体を得ることができる。このため、点滅することで方向指示を行う自動車の方向指示器に好適なものとなる。特に、筒状体の内周面に白熱電球の発光部との間にギャップを形成するための複数の突起が形成されている場合には、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能をより高めることができると共に、電球被覆体の退色やゴム弾性の劣化等の特性変化を抑制することができる。
【0030】
また、請求項7の発明によれば、白熱電球は発光部を構成するガラス被覆体が所定の有彩色に着色されてなるものであるので、有彩色の光が出力されるようにした白熱電球を容易に得ることができる。
【0031】
また、請求項8の発明によれば、白熱電球は発光部に所定の有彩色を有する透光性の弾性高分子材料により形成した筒状の着色体が被覆されてなるものであるので、種々の有彩色の光が出力されるようにした白熱電球を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一の実施形態に係る電球被覆体が適用された発光体の斜視図である。
【図2】図1に示す発光体の分解斜視図である。
【図3】図2に示す電球被覆体の一部切欠き斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る電球被覆体が適用された発光体の斜視図である。
【図5】図4に示す発光体の分解斜視図である。
【図6】図2に示す白熱電球の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の一の実施形態に係る電球被覆体が適用された発光体の斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。これらの図において、発光体10は、アンバー色の光が出力されるようにした球型の白熱電球12と、この白熱電球12の発光部に被覆された透光性を有するシリコーンゴムからなる電球被覆体14とから構成されている。
【0034】
白熱電球12は、一対のフィラメント支持体121,122に支持されたフィラメント123をアンバー色に着色したガラス被覆体により覆ってなる横断面が円形の長手状の発光部124と、発光部124を構成するガラス被覆体の一端に一体形成されてなるガラス基板にフィラメント支持体121,122の各端部が引き出されて形成された電極部125とを備えている。なお、発光部124を構成するガラス被覆体の内部には、フィラメント123の燃焼を防止するためのアルゴンガス等の不活性気体が封入されている。
【0035】
電球被覆体14は、一端に開口141を有し、他端に底部142をする横断面円形状の筒状体143から構成されたものであり、白色系の色彩を有する透光性のシリコーンゴムにより形成されている。この筒状体143の内周面には、図3の切欠図に詳細に示すように、軸心方向に所定の間隔で複数(本実施形態では8つ)の線状の突起144が開口141面から中間位置にまで跨って形成されており、内底面には中央部に半球状の突起145が形成されている。なお、この内周面における線状の突起144で囲まれた円形空間の径方向寸法は、白熱電球12の発光部124の外径寸法よりも幾分小さな値となるように設定されている。
【0036】
このように構成された電球被覆体14は、白熱電球12の発光部124が開口141から筒状体143の内部に挿入されることにより発光部124の外周面に線状の突起144により僅かに圧接された状態で被覆されて保持されることになる。この状態において、電球被覆体14の内周面と発光部124の外周面との間には、線状の突起144と半球状の突起145とによりギャップが形成される。
【0037】
このため、白熱電球12が非点灯状態にあるときには、発光部124のアンバー色の色彩が電球被覆体14の外部に透過しにくくなって発光部124が見掛け上、電球被覆体14の白色系の色彩に近づくことになり、白熱電球12が点灯状態にあるときには、発光部124から出力される有彩色の光がそのまま電球被覆体14を透過して外部に出力されることになる。すなわち、電球被覆体14の内周面と発光部124の外周面との間にギャップが形成されていない場合に比べ、白熱電球12が点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部124の色彩が明瞭に異なることになるため、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能がより高められることになる。
【0038】
また、電球被覆体14と発光部124との間にギャップが形成されることで、白熱電球12が点灯状態にあるときの発光部124からの高温の発生熱が直接、電球被覆体14に伝達されないようになり、電球被覆体14の退色やゴム弾性の劣化等の特性変化が抑制され、電球被覆体14の長寿命化を図ることができる。また、発光部124と電球被覆体14との間にギャップが存在しないときには、発光部124と電球被覆体14との間に閉じ込められた状態で存在している空気層が発光部124からの発生熱により膨張して電球被覆体14が発光部124から離脱され易い状態となるが、発光部124と電球被覆体14との間にギャップが形成されているときは閉じ込められた状態の空気層が存在しないため、そのような虞が生じないようになる。
【0039】
このように構成された電球被覆体14は、例えば、透明や半透明等の透光性を有する成形原料であるシリコーンゴムに加硫剤や老化防止剤等の各種配合薬品を配合し、乳白色や銀色等の白色系の着色剤を混合して素練りや混練り等を行って可塑性を有するようにした成形材料を雌金型と雄金型とにより圧縮成形し、この圧縮成形した状態で加熱硬化させることにより得ることができる。なお、成形原料であるシリコーンゴムが最初から白色系の半透明状態にある場合には必ずしも着色剤を混合する必要はない。
【0040】
図4は、本発明の他の実施形態に係る電球被覆体が適用された発光体の斜視図であり、図5は、その分解斜視図である。これらの図において、発光体30は、アンバー色の光が出力されるようにした筒型の白熱電球32と、この白熱電球32の発光部に被覆された透光性を有するシリコーンゴムからなる電球被覆体34とから構成されている。
【0041】
白熱電球32は、一対のフィラメント支持体321,322に支持されたフィラメント323をアンバー色に着色したガラス被覆体により覆ってなる横断面円形の筒状の発光部324と、この発光部324の長手方向両端に形成され、フィラメント支持体321,322の各端部が接続された一対の電極部325,326とを備えている。
【0042】
電球被覆体34は、両端に開口341,342を有する横断面円形状の筒状体343から構成されたものであり、白色系の色彩を有する透光性のシリコーンゴムにより形成されている。この筒状体343の内周面には、軸心方向に所定の間隔で複数(本実施形態では6つ)の線状の突起344が両端の開口341,342間に跨って形成されている。なお、この内周面における線状の突起344で囲まれた円形空間の径方向寸法は、白熱電球32の発光部324の外径寸法よりも幾分小さな値となるように設定されている。
【0043】
このように構成された電球被覆体34は、白熱電球32の発光部324が筒状体343の一方の開口341(又は開口342)から内部に挿入されることにより発光部324の外周面に線状の突起344により僅かに圧接された状態で被覆されて保持されることになる。これにより、電球被覆体34と発光部324との間にギャップが形成され、先の電球被覆体14の場合と同様に、視認性能が高められると共に、電球被覆体34の退色やゴム弾性の劣化等の特性変化が抑制されて電球被覆体34の長寿命化を図ることができる。また、先の電球被覆体14の場合と同様に、電球被覆体34が発光部324から離脱され易くなるという虞も生じないようになる。
【0044】
このように構成された電球被覆体34は、先の電球被覆体14の場合と同様の成形材料を用いて雌金型と雄金型とで圧縮成形し、その後に加熱硬化することにより得ることができる。
【0045】
本発明の実施形態に係る電球被覆体14,34は、上記のように、白色系の色彩を有する透光性の弾性高分子材料により形成した筒状体143,343から構成されているので、この電球被覆体14,34を有彩色の光が出力されるようにした白熱電球12,32の発光部124,324に被覆することにより発光体10,30が構成され、発光体10,30が非点灯状態にあるときには白色系の色彩を有するものとなり、点灯状態にあるときには発光部124,324から出力されるアンバー色の光が電球被覆体14,34を透過して外部に出力されることになる。これにより、発光体10,30が点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部124,324の色彩が異なることになるため、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能が高められることになる。
【0046】
また、本発明の実施形態に係る発光体10,30は、白熱電球12,32の発光部124,324に白色系の色彩を有する透光性の弾性高分子材料により形成した電球被覆体14,34を被覆させて構成されているので、発光体10,30が非点灯状態にあるときには白色系の色彩を有するものとなり、点灯状態にあるときには発光部124,324から出力されるアンバー色の光が電球被覆体14,34を透過して外部に出力されることになる。これにより、発光体10,30が点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部124,324の色彩が異なることになるため、点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能が高められることになる。
【0047】
また、このように構成された発光体10,30を銀色等の白色系の色彩を有する反射板の前部に配設し、この発光体10,30を透明の前面レンズで覆って方向指示器を構成するようにした場合、発光体10,30が非点灯状態にあるときには白色系の色彩を呈する発光部124,324が前面レンズの存在により外部から視認しにくくなるのに対し、点灯状態にあるときには発光部124,324から出力されたアンバー色の光が前面レンズを透過して外部に放出される結果、発光部124,324が外部から明瞭に視認できるようになる。
【0048】
このように発光体10,30を用いて方向指示器を構成すると、点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部124,324の視認状態が大きく変化することから発光体10,30の光度を必要以上に高めなくても昼間等の明るい環境下でも視認性能に優れたものとすることができ、この色光の点滅により方向指示が確実に行われることになる。また、発光体10,30が非点灯状態にあるときには発光部124,324が前面レンズの外部から見え難くなることから自動車のデザイン面で従来とは異なる新規なものとすることができる。
【0049】
本発明に係る電球被覆体及び発光体は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、以下に述べるような種々の変形態様を採用することができる。
【0050】
(1)上記実施形態では、白熱電球12,32は、アンバー色に着色したガラス被覆体により発光部124,324が構成されているが、アンバー色以外の他の有彩色に着色することも可能である。また、図6に示すように、白熱電球12の発光部124を、透明のガラス被覆体にアンバー色等の有彩色に着色した透光性のシリコーンゴム等の弾性高分子材料により形成した一端に開口を有する有底筒状の着色体36を被せることにより構成するようにしてもよい。このように着色体36を被せることで発光部124を構成する場合、着色体36を取り替えることで種々の有彩色で発光する白熱電球を容易に構成することができる。なお、白熱電球32についても、発光部324を同様の弾性高分子材料により形成した両端に開口を有する筒状の着色体を被せることにより構成するようにしてもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、電球被覆体14,34は、白色系の色彩を有するものであるが、例えば薄いピンク系や薄いブルー系等の白色系以外の色彩を有するものとすることもできる。すなわち、白熱電球12,32の発光部124,324から出力される有彩色の光とは異なる系統の色彩を有するようにすることが可能である。このようにした場合、白熱電球12,32が非点灯状態にあるときには、発光部124,324が見掛け上、電球被覆体14,34のピンク系やブルー系等の色彩を有するものとなり、白熱電球12,32が点灯状態にあるときには、発光部124,324から出力されるアンバー色の光が電球被覆体14,34を透過して外部に出力されることになる。これにより、点灯状態にあるときと非点灯状態にあるときとで発光部124,324の色彩が異なることになるため、電球被覆体14,34が白色系の色彩を有する場合と同様に点灯状態にあるか非点灯状態にあるかを識別する視認性能が高められることになる。
【0052】
なお、シリコーンゴムに混合する着色剤の粒子を粗くしておくことで、発光部124,324から出力される有彩色の光に与える電球被覆体14,34の色彩の影響を実質的になくすようにしたり、その影響を小さくしたりすることができる。また、電球被覆体14,34の色彩を、例えば、車体の色彩と同一のものとしたり、車体の色彩と特定の関係にある色彩にしたりすることにより自動車のデザイン面での改良を加えることが可能となる。
【0053】
(3)上記実施形態では、電球被覆体14を構成する筒状体143の内周面に線状の突起144及び半球状の突起145が形成され、電球被覆体34を構成する筒状体343の内周面に線状の突起344が形成されているが、電球被覆体14,34の肉厚を厚くする等して電球被覆体14,34が白熱電球12,32の発光部124,324に密着した状態で被覆されたときでも非点灯状態における発光部124,324の色彩が透過しにくくなるようにした場合や、電球被覆体14,34を白熱電球12,32の発光部124,324との間に閉じ込められた空気層が存在しないようにして被覆するようにした場合等には、突起144,145,344は必ずしも必要としない。
【0054】
なお、電球被覆体14を構成する筒状体143の内周面に線状の突起144及び半球状の突起145を形成して発光部124との間にギャップが形成されるようにした場合、及び、電球被覆体34を構成する筒状体343の内周面に線状の突起344を形成して発光部324との間にギャップが形成されるようにした場合には、発光部124,324との間に形成されるギャップの存在により種々の優れた作用効果を奏することは上述のとおりである。
【0055】
(4)上記実施形態では、白熱電球12,32の発光部124,324は横断面が円形に形成されており、これに対応して電球被覆体14,34は円筒状に形成されているが、白熱電球12,32の発光部124,324は横断面が円形のものに限るものではないので、電球被覆体14,34の形状も発光部124,324の形状に対応して変更することができる。
【0056】
(5)上記実施形態では、電球被覆体14,34はシリコーンゴムからなるものであるが、シリコーンゴムに限らず、フッ素ゴム、EDPM(エチレンプロピレンゴム)等の他の合成ゴムや天然ゴムを用いることも可能である。要は、所定の耐熱性を有する弾性高分子材料からなるものであれば使用が可能である。
【0057】
(6)上記実施形態では、白熱電球12,32の発光部124,324に電球被覆体14,34を被覆させて構成した発光体10,30を自動車の方向指示器を構成するランプ(ターンシグナルランプ)に適用するものとして説明しているが、ブレーキランプ等の自動車における他の目的のランプや自動車以外に使用するランプとしても用いることが可能である。なお、発光体10,30をブレーキランプとして使用する場合には、発光部124,324を例えば赤色に着色しておけばよい。
【符号の説明】
【0058】
10,30 発光体
12,32 白熱電球
14,34 電球被覆体
36 着色体
124,324 発光部
144,344 線状の突起
145 半球状の突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滅することで方向指示を行う自動車の方向指示器に用いる所定の有彩色の光が出力されるようにした白熱電球の発光部に被覆する電球被覆体であって、前記発光部から出力される光とは異なる系統の色彩を有する透光性の弾性高分子材料により形成した筒状体からなることを特徴とする電球被覆体。
【請求項2】
前記筒状体の色彩は白色系であることを特徴とする請求項1記載の電球被覆体。
【請求項3】
前記筒状体は、一端に開口を有する有底状に形成されてなるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の電球被覆体。
【請求項4】
前記筒状体は、内周面に白熱電球の発光部との間にギャップを形成するための複数の突起が形成されてなるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電球被覆体。
【請求項5】
前記筒状体は、白熱電球の発光部に圧接状態で被覆されるように形成されてなるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電球被覆体。
【請求項6】
点滅することで方向指示を行う自動車の方向指示器に用いる白熱電球の発光部から所定の有彩色の光が出力されるようにした発光体であって、前記発光部に請求項1乃至5のいずれかに記載の電球被覆体を被覆して構成したことを特徴とする発光体。
【請求項7】
前記白熱電球は、発光部を構成するガラス被覆体が所定の有彩色に着色されてなるものであることを特徴とする請求項6記載の発光体。
【請求項8】
前記白熱電球は、発光部に所定の有彩色を有する透光性の弾性高分子材料により形成した筒状の着色体が被覆されてなるものであることを特徴とする請求項6記載の発光体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−1022(P2010−1022A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227872(P2009−227872)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願平11−210996の分割
【原出願日】平成11年7月26日(1999.7.26)
【出願人】(597096161)株式会社朝日ラバー (74)
【Fターム(参考)】