説明

電界発光デバイス

【課題】溶解度、効率及び安定性が良好である発光材料を用いた電界発光デバイスを提供する。
【解決手段】アノード、カソード及び、アリールアミン部分を有し下記構造式で表される高分子発光材料を含む電界発光デバイス。


上式中、R及びRは、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はシアノ基を表し、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はこれらの組合せを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールアミン系高分子を有する電界発光(EL)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)のような電界発光(EL)デバイスは、電界印加時に光を放出する光電子デバイスである。LEDの製造には、高分子及び小分子の双方を含む有機材料が用いられている。このような材料から製造されるLEDには、製造が簡素化される、動作電圧が低い、大面積フルカラーディスプレイの製造が可能である、等、他の技術よりも有利な点がいくつかある。一般に有機高分子は、特に大面積ELディスプレイを製造する場合、小分子よりもプロセス上顕著に有利な利点を提供する。これは、高分子フィルムが溶液流延により容易に形成できるからである。
【0003】
1990年に初めてポリ(フェニルビニレン)(PPV)のような共役高分子がBurroughesらによってEL材料として導入された(Burroughes, J.H., Nature 1990, 347, 539-41)。他の共役高分子には、ポリジアルキルフルオレン(PF)(Ohmori, Y. et al., Jpn. J. Appl. Phys. Part 2 1991, 20, L1941-L1943)、ポリ(p−フェニレン)(PPP)(Grem, G. et al., Adv. Mater. 1992, 4, 36-7)、及びポリ(チオフェン)がある。しかしながら、PPVとその誘導体が、LED、フォトダイオード、有機トランジスタ、固体レーザー材料をはじめとする各種分野における潜在的応用性が大きいため、最も研究された共役高分子の一種になっている。LED用途において、アルコキシ置換型PPVのような電子供与体は、その未置換型よりも高い効率を示す。アミン基はアルコキシ基よりも強い電子供与体であるため、アミノ置換型PPVを調製してアミノ基のLED効率に与える効果の調査も行われている。しかしながら、PPVの置換基としてはジアルキルアミンしか導入されていない(Stenger-Smith, J.D. et al., Macromolecules, 1998, 31, 7566-7569)。ジアルキルアミノ基は酸化を受けやすいことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高分子ELデバイスに有用な発光高分子材料を提供することにある。
本発明の別の目的は、エネルギーバンドギャップの種類が多く発色範囲が広い発光高分子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、アノード、カソード及び、当該アノードと当該カソードとの間に配置された高分子発光材料を含んで成り、当該高分子発光材料がアリールアミン部分を有し下記構造式で表されることを特徴とする電界発光デバイスにおいて達成される。
【0006】
【化1】

【0007】
上式中、
及びRは、各々独立に、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はシアノ基を表し、そして
Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、各々独立に、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はこれらの組合せを表す。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、溶解度、効率及び安定性が良好であることをはじめとするいくつかの利点を有する発光材料を提供する。当該高分子の発色は、所望のAr基を組み込むことにより、容易に調節することができる。さらに、他の電子光学特性についても、Ar基によって調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるポリマーを使用することができる二層型ELデバイスの横断面図である。
【図2】本発明によるポリマーを使用することができる二層型ELデバイスの改良型の横断面図である。
【図3】本発明によるポリマーを使用することができる単層型ELデバイスの横断面図である。
【図4】ポリマー22の吸収、発光及びフォトルミネセンススペクトル並びにポリマー22から製造した単層型ELデバイスの電界発光スペクトルを示す。
【図5】ポリマー17の吸収、発光及びフォトルミネセンススペクトル並びにポリマー17から製造した単層型ELデバイスの電界発光スペクトルを示す。
【図6】ポリマー22から製造した単層型ELデバイスの電圧−電流密度及び発光特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、溶解度、効率及び安定性が良好であるアリールアミン部分を含む発光性ポリマーを提供する。有機発光デバイスにおける正孔輸送材料としてのアリールアミンは、その正孔輸送移動性、化学的安定性及び電子的安定性が高いことから、集中的に検討されていた。アリールアミン部分は強力な電子供与体であり、発光性ポリマーの正孔注入・輸送移動性を向上させるであろう。さらに、発光性ポリマーにアリールアミン部分を導入することにより、溶解度を高め、ポリマー導電性を向上させ、しかもポリマーの感酸化性を調整することができる。発光性ポリマーにArを導入することにより、以下の特徴が得られる。
1)電子−正孔注入と電荷担体再結合とのバランスを改良することによりEL効率が高くなる。
2)ポリマーの溶解度がさらに高くなる。
3)ポリマーの発光色が調整される。
本発明は、アリールアミン部分を有し下記構造式で表される発光性ポリマーを提供する。
【0011】
【化2】

【0012】
上式中、
及びRは、各々独立に、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜28のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はシアノ基を表す。R及びRは水素又はシアノ基であることが好ましい。
Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、各々独立に、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基を表すか、または
Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、各々独立に、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基を表す。
例えば、Ar、Ar、Ar及びArは、以下を表す。
【0013】
【化3】

【0014】
上式中、Rは置換基であって、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜28のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子であることができる。
また、ArとAr、ArとArが化学結合を介して連結すること、そしてArとArを合わせ、ArとArとを合わせ、12〜40個の炭素原子を含有することも可能である。例えば、ArとArとが化学結合で連結して第一基を形成し、またArとArとが化学結合で連結して第二基を形成し、当該第一基及び第二基が、それぞれ下記式:
【0015】
【化4】

【0016】
が下記のカルバゾール又はカルバゾール誘導体を含むものとして表される。
【0017】
【化5】

【0018】
Arは下記のグループを表す。
【0019】
【化6】

【0020】
上式中、Rは置換基であって、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜28のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子であることができ、そしてmは1〜3の整数である。
下記グループ2〜24中、Rはグループ1における置換基と同一である。
【0021】
【化7】

【0022】
【化8】

式中、XはO原子又はS原子である。
【0023】
【化9】

式中、pは0〜2の整数である。
【0024】
【化10】

式中、XはO原子又はS原子であり、pは0〜2の整数である。
【0025】
【化11】

式中、XはO原子又は2個のシアノ基である。
【0026】
【化12】

式中、Rは置換基であって、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜28のアリールもしくは置換アリール基、又は炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基であることができる。
【0027】
【化13】

式中、Rは上記定義と同一であり、Xは窒素原子又は炭素原子である。
【0028】
【化14】

式中、Rは上記定義と同一であり、pは0〜2の整数である。
【0029】
【化15】

式中、XはO原子又はS原子であり、pは0〜2の整数である。
【0030】
【化16】

式中、Rは上記定義と同一であり、pは0〜2の整数である。
【0031】
下記の分子構造体は、本発明の要件を満たす好適なポリマーの具体例を構成するものである。
【0032】
【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【0033】
式:
【化31】

において、Arは、上記基の一つであっても、二以上の組合せであってもよい。具体的分子構造は、上記構造体のいずれを組み合わせたものであってもよい。
【0034】
本発明で使用される得られたポリマーの合成法及び分子量は例示にすぎない。当該ポリマーは縮重合、例えば、Wittig反応、Horner-Emmons反応、Knoevenagel縮合、Heck反応又は前駆体法(Science, 1995, 269, 376)により合成することができるが、Horner-Emmons反応又はKnoevenagel反応によることが好ましい。本発明により、上記ポリマーは、芳香族ジカルボキシアルデヒドとジホスフェートの間のHorner-Emmons反応によって、又は、芳香族ジカルボキシアルデヒドとジシアノ化合物をカリウムt−ブトキシドもしくはナトリウムヒドリドのような強塩基の存在下で使用するKnoevenagel反応によって合成された。ポリマーの合成経路及びモノマーをスキーム1〜6に示す。
【0035】
図1に、有機ELデバイスの構築に用いられる基本構造を示す。これは正孔輸送層30と電子輸送層40とを含む二層構造である。電子輸送層40は、電界発光が発生する発光層でもある。これらを合わせてEL媒体50が形成される。アノード層20は正孔輸送層30に隣接し、そしてカソード60は電子輸送層40に隣接する。基板は層10である。この図は例示にすぎず、個々の層厚は、実際の厚さに比例して図示したものではない。
【0036】
図2に別のELデバイス構成を示す。これは二層構造の改変型である。EL媒体は、正孔輸送層と電子輸送層との間に発光層を含む。この発光層が、電界発光が発生する層である。このように、層300は正孔輸送層であり、層400は発光層であり、層500は電子輸送層であり、そしてこれらを合わせて電界発光媒体600が形成される。層200はアノードであり、層700はカソードである。基板は層100である。この図は例示にすぎず、個々の層厚は、実際の厚さに比例して図示したものではない。
【0037】
二層型ELデバイスは、高い発光効率と低い動作電圧を提供する基本構造である。デバイス性能を向上した代わりとなるELデバイス構造体が例証されている。これらの代わりとなる構造体には、基本二層構造に加えて、A)譲受人共通の米国特許第4,356,429号に記載されている正孔注入層、B)譲受人共通の米国特許第5,776,622号に記載されているアルカリ又はハロゲン化アルカリによるカソード変性、C)譲受人共通の米国特許出願第09/191,705号に記載されているプラズマ付着フルオロカーボンによるアノード変性、及びD)譲受人共通の米国特許第4,769,292号に記載されている正孔輸送層と電子輸送層との間に挿入されたドープ型発光層、のような特徴が含まれる。
【0038】
図3にELデバイスの代わりとなる別の構成を示す。これは、発光層3000を含む単一層構造をアノード2000とカソード4000との間に挟み込んだものである。発光層3000は電荷運搬層としても作用する。このように、単一層3000は電界発光媒体である。基板は層1000である。この図は例示にすぎず、個々の層厚は、実際の厚さに比例して図示したものではない。
【0039】
本発明の好適なELデバイス構造は、アノードと、カソードと、電界発光媒体の単層とを含む単一層構造である。この電界発光層は発光層であり、そして電子と正孔を輸送することもできる。この層の主機能は、電界発光のための効率的な発光中心を提供することである。この層は、上記ポリマーの一種、もしくは二種以上のポリマーによるブレンド、又は一種以上の蛍光色素(FD)その他の発光材料をドープしたポリマー、を含むことができる。蛍光色素は、通常、ホストポリマーの2〜3モル%以下程度の量で存在し、それで十分にEL発光が蛍光色素主体のものになる。この方法を用いると、高効率ELデバイスを構築することができる。同時に、発光波長の異なる蛍光色素を使用することで、ELデバイスの色を調整することができる。複数の蛍光色素による混合物を使用することにより、個々の蛍光色素によるスペクトルを組み合わせたEL色特性が得られる。このようなドーパント計画については、譲受人共通の米国特許第4,769,292号にELデバイスについて相当詳しく記載されている。ホスト材料中に存在した時に発光色相を変更することができるドーパントとして蛍光色素を選定する場合に重要な基準は、エネルギーバンドギャップの比較である。ホスト材料からドーパント分子へエネルギーを効率よく伝達させるために必要な条件は、ドーパントのエネルギーギャップがホストポリマーのそれよりも小さいことである。発光層におけるドーパントとして使用するのに好適な蛍光色素として、クマリン、スチルベン、ジスチリルスチルベン、アントラセン誘導体、テトラセン、ペリレン、ローダミン及びアリールアミンが挙げられるが、これらに限定はされない。
以下、ELデバイスにおける発光層に好適な蛍光色素の分子構造を示す。
【0040】
【化32】

【化33】

【化34】

【0041】
上記ポリマーは、ポリマー溶液をスピンコーティング又はインクジェット印刷することにより、高品質透明薄膜として付着させることができる。スピンコーティング法で層3000を形成することが好ましく、また電界発光媒体の単一層として一種のみのポリマーを付着させることが好ましい。
【0042】
フルオロカーボンで変性したアノードを形成するのに好適な材料については、譲受人共通の米国特許出願第09/191,705号に記載されている。
本発明のELデバイスのカソードを形成するのに好適な材料は、米国特許第5,429,884号及び譲受人共通の米国特許第5,776,622号に記載されているMg、Li又はこれらの合金である。
【実施例】
【0043】
本発明とその利点を、以下の具体例によってさらに説明する。
モノマーの合成
本発明に用いられるモノマーは例示にすぎない。使用するモノマーは、得られるポリマーが下記一般式を満たす限り、任意のものでよい。
【0044】
【化35】

【0045】
典型的なモノマー及びポリマーの合成をスキーム1〜6に示す。
【0046】
【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【0047】
例1:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラキノン(化合物1)の合成
2,6−ジヒドロキシアントラキノン(100.0g、0.42モル)と2−エチルヘキシルブロミド(165.0g、0.86モル)を1LのDMFに溶かした。この溶液に、無水KCO(120.0g、0.87モル)を添加した。反応を一晩中90℃に加熱した。DMFの大部分を除去し、500mLの水を添加した。反応をエーテルで抽出し(3×400mL)、ブラインで洗浄し(1×200mL)、そしてMgSOで乾燥させた。溶媒を除去し、その粗生成物をメタノールから再結晶したところ、黄色い粉末状生成物125.21g(収率65%)が得られた。
【数1】

【0048】
例2:4−ブロモ−2−t−ブチルジメチルシリルオキシメチルベンゼン(化合物2)の合成
1Lの丸底フラスコに、4−ブロモベンジルアルコール(100.0g、0.53モル)、イミダゾール(91.0g、1.34モル)、t−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMS−Cl)(96.5g、0.64モル)及び100mLのDMFを添加した。反応混合物を窒素下、室温において一晩中攪拌した。反応を水に注ぎ込み、エーテルで3回抽出し、有機相を一緒にして水で3回洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。溶媒を除去した後、生成物を明黄色液体として154g(収率62%)得た。
【数2】

【0049】
例3:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,10−ジ(4−ヒドロキシメチルフェニル)アントラセン(化合物3)の合成
化合物2(67.2g、0.22モル)を300mLの無水THFに溶かし、−78℃に冷却した。この溶液に、n−BuLi(2.5Mヘキサン溶液、86mL、0.22モル)を、温度が−60℃より低く維持されるようにゆっくりと添加した。添加後、その橙黄色溶液を−78℃で1時間攪拌した。化合物1(30.0g、0.065モル)を200mLの無水THFに溶かし、上記冷却溶液に滴下した。TLC分析が反応の完了を示した。反応を徐々に温め、HI溶液(57%水溶液、145g、0.65モル)をゆっくり添加して反応を停止させると共にTBDMS基を脱保護した。濃褐色の反応を10分間加熱還流させ、そして溶媒の大部分を減圧下で除去した。次いで、反応混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機相を一緒にして飽和メタ重亜硫酸溶液、水及びブラインで洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。粗生成物が褐色の粘性油として得られ、これをシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に20:80エーテル:ヘキサンを用いて精製した。純粋な生成物が明緑黄色固体として20.2g(収率48%)得られた。
【数3】

【0050】
例4:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,10−ジ(4−ブロモメチルフェニル)アントラセン(化合物4)の合成
化合物3(4.40g、6.8ミリモル)を25mLの無水THFに溶かし、0℃に冷却した。PBr(1.3mL、17ミリモル)を滴下した。反応を室温で一晩中攪拌した後、水で停止させ、塩化メチレンで抽出した。有機相を一緒にしてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に15:85CHCl:ヘキサンを用いて精製したところ、3.90gの黄色結晶(収率74%)が得られた。
【数4】

【0051】
例5:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,10−ジ(4−メチレンジエチルホスフェートフェニル)アントラセン(化合物5)の合成
化合物4(3.80g、4.9ミリモル)とトリエチルホスファイト(95mL、29ミリモル)とを50mLの丸底フラスコに入れて、100℃に4時間加熱した。室温まで冷却した後、生成物をヘキサンから再結晶化させたところ、3.94gのクリーム色の針状微結晶が得られた(収率90%)。
【数5】

【0052】
例6:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,10−ジ(4−ホルミルフェニル)アントラセン(化合物6)の合成
化合物3(10.0g、0.015モル)を180mLの塩化メチレンに溶かし、そしてピリジニウムクロロクロメート(PCC)(8.0g、0.037モル)を添加した。反応を室温で一晩中攪拌した。反応を100mLの水で停止させ、1時間攪拌した。濃褐色の反応混合物をセライトパッドで濾過し、そして塩化メチレンで3回抽出した。有機相を一緒にして希HCl、水及びブラインで洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に1:1CHCl:ヘキサンを用いて精製したところ、純粋な生成物が明黄色結晶として7.0g(収率70%)得られた。
【数6】

【0053】
例7:2,5−ビス(ジフェニルアミノ)−3,6−ジヒドロテレフタル酸ジメチル(化合物7)の合成
スクシニロコハク酸ジメチル(DMSS、50g、0.22モル)を丸底フラスコに入れた。溶媒としてアニリン(100mL)を過剰量使用し、反応混合物を100℃に2時間加熱したところ、その間に溶液から固形分が析出した。TLC分析(CHCl:ヘキサン/1:1)によりDMSSの存在が示されたので、反応温度を120℃に上昇させ、さらに4時間攪拌した。反応を冷却し、EtOHを添加した。生成物を真空濾過で収集した。粗生成物を別のEtOHで洗液がほぼ無色になるまで洗浄した。生成物を炉で乾燥させたところ、橙色固体82g(定量的収量)が得られた。
【数7】

【0054】
例8:2,5−ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチル(化合物8)の合成
化合物7(80g、0.21モル)をCHClに溶かして穏やかに加熱したところ、溶液の色が暗赤色になった。TLC(CHCl:ヘキサン/1:1)を用いて反応を監視した。出発原料がすべて消失したら、CHClをロータリーエバポレータで部分的に除去し、EtOHで埋め合わせた。CHClのすべてが除去されたら、赤色固体を熱いうちに真空濾過で収集し、そしてEtOHで洗液がほぼ無色になるまで洗浄した。生成物を集めて炉で乾燥させたところ、73gの赤色固体(収率92%)が得られた。
【数8】

【0055】
例9:N,N,N’,N’−テトラフェニル2,5−ジアミノテレフタル酸ジメチル(化合物9)の合成
化合物8(40g、0.11モル)、ヨードベンゼン(200mL、1.79モル)、KCO(20g、0.14モル)及び銅(1.4g、0.022モル)を丸底フラスコにN下で入れた。混合物を185℃に24時間加熱した。TLC(CHCl:ヘキサン/1:1)で反応の完了が示された。反応を冷却し、CHClを添加した。濾過してCHClで洗浄した後、濾液を濃縮し、懸濁液を得た。EtOHを添加して得られた析出物を濾過して集め、EtOHで洗浄した。生成物を炉で乾燥させたところ、黄色固体45g(収率80%)が得られた。
【数9】

【0056】
例10:1,4−ジヒドロキシメチル−2,5−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)ベンゼン(化合物10)の合成
還流凝縮器を具備した丸底フラスコにN下でLiAlH(6.4g、0.17モル)を入れた。そのフラスコに無水THF(400mL)を装填し、懸濁液を0℃に冷却した。化合物9(40g、0.076モル)を少しずつ60分かけて添加した。混合物を15分間で室温まで温め、その後45分間還流させた。TLC(CHCl:ヘキサン/1:1)で反応の完了が示された。反応を0℃に冷却し、水で慎重に停止させた。30分攪拌した後、エーテルを添加した。水層をエーテルで4回抽出した。有機相を一緒にしてNaSOで乾燥させ、そして濃縮したところ褐色固体が得られた。この固体をトルエンから再結晶化させたところ、黄色固体34g(収率95%)が得られた。AA8790−138;4.36(s,4H,ベンジリック)、7.00−7.50(m,22H,芳香族);M.p.208−210℃;FD−MS:m/z472(M
【0057】
例11:2,5−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)テレフタルジカルボキシアルデヒド(化合物11)の合成
ピリジニウムクロロクロメート(PCC、30g、0.064モル)と無水CHCl(350mL)をN下のフラスコに入れた。化合物10を少しずつ添加したところ、その間に混合物が黒色になった。TLC(CHCl:ヘキサン/1:1)は、90分後に出発原料の消失を示し、その間に新規の赤色スポットが出現した。反応混合物の全体をガラス濾過器のセライトパッドで濾過した。濾過器をCHClで洗液がほぼ無色になるまで十分に洗浄した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(CHCl:ヘキサン/1:1)で精製した。カラムの純粋画分を濃縮した後、ヘキサンを添加し、そして生成物を真空濾過で集めて別のヘキサンで洗浄した。生成物を炉で乾燥させたところ、暗赤色の結晶性固体21.5g(収率72%)が得られた。
【数10】

【0058】
例12:1,5−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物12)の合成
500mLの丸底フラスコに1,5−ジヒドロキシナフタレン(15.0g、0.094モル)、炭酸カリウム(27.2g、0.2モル)、臭化n−ヘキシル(32.5g、0.2モル)及び200mLのDMFを添加した。反応を一晩中90℃に加熱し、室温に冷却し、そして700mLの水に注ぎ込んだ。暗褐色の析出物を濾過し、メタノールで洗浄した。粗生成物をメタノールで還流し、次いで濾過したところ、明緑色の固体25.2g(収率80%)が得られた。
【数11】

【0059】
例13:1,5−ビス(ブロモメチル)−4,8−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物13)の合成
化合物12(10.0g、0.030モル)とパラホルムアルデヒド(1.92g、0.064モル)を10mLの酢酸とHBr酢酸溶液(33%酢酸溶液、12.3mL、0.064モル)とに溶かした。反応を50℃に5時間加熱して室温に冷却した。緑がかった析出物を濾過し、水、メタノールで洗浄し、そして乾燥した。粗生成物をヘキサンから再結晶化したところ、オフホワイト色の針状結晶14.7g(収率94%)が得られた。
【数12】

【0060】
例14:4,8−ビスヘキシルオキシ−1,5−ビス(メチレンジエチルホスフェート)ナフタレン(化合物14)の合成
50mLの丸底フラスコに化合物13(9.0g、0.017モル)とトリエチルホスファイト(7.5mL、0.044モル)を添加した。混合物を100℃に4時間加熱した後、室温に冷却した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に10:90アセトン:塩化メチレンを用いて精製したところ明褐色の固体が得られ、これをヘキサンから再結晶化して純粋生成物をオフホワイト色の針状結晶として6.5g(収率59%)得た。
【数13】

【0061】
例15:2,6−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物15)の合成
2,6−ジヒドロキシナフタレン(30.0g、0.19モル)と臭化n−ヘキシル(97.5g、0.59モル)とを、400mLのDMF中、炭酸カリウム(81.6g、0.59モル)の存在下、90℃で一晩中反応させた。反応を700mLの水に注ぎ込み、析出物を濾過し、水及びメタノールで洗浄し、そして乾燥した。粗生成物をメタノールから再結晶化したところ、明灰色の固体41.3g(収率67%)が得られた。
【数14】

【0062】
例16:1,5−ビス(ブロモメチル)−2,6−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物16)の合成
化合物15(9.0g、0.030モル)とパラホルムアルデヒド(1.87g、0.062モル)を40mLの酢酸とHBr酢酸溶液(30%酢酸溶液、12.4mL、0.062モル)とに溶かした。反応を50℃に5時間加熱した後、室温に冷却した。粗生成物をヘキサンから再結晶化し、オフホワイト色の針状結晶9.0g(収率58%)を得た。
【数15】

【0063】
例17:2,6−ビス(ヘキシルオキシ)−1,5−ビス(メチレンジエチルホスフェート)ナフタレン(化合物17)の合成
50mLの丸底フラスコに化合物16(8.0g、0.16モル)とトリエチルホスファイト(13mL、0.078モル)を添加した。混合物を100℃に4時間加熱した。過剰分のトリエチルホスファイトを留去した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に10:90アセトン:塩化メチレンを用いて精製したところ、明橙色の固体が得られ、これをヘキサンから再結晶化させてオフホワイト色の針状結晶5.0g(収率51%)を得た。
【数16】

【0064】
例18:2,6−ジブロモ−1,5−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物18)の合成
1,5−ジヒドロキシナフタレン(20.0g、0.125モル)を400mLの酢酸に溶かし、0℃に冷却した。この溶液に臭素(40.1g、0.250モル)を滴下した。滴下後1時間、反応を室温で攪拌し、そして氷浴で冷却した。結晶を濾過して集め、水で洗浄し、乾燥したところ、明灰色の固体状2,6−ジブロモ−1,5−ジヒドロキシナフタレン36.1g(収率90%)が得られた。生成物(36.0g、0.114モル)を、320mLのメタノール中、ナトリウムメトキシド(13.0g、0.24モル)及びヨードヘキサン(50.0g、0.24モル)と混合した。混合物を一晩中還流した後、室温に冷却した。暗色固体を集め、水及びメタノールで洗浄し、そして乾燥した。粗生成物を塩化メチレンに溶かしてシリカゲルの短パッドを通して暗色の極性不純物を除去した。その後、生成物をメタノールから再結晶化して白色のフレーク状結晶25.5g(収率60%)を得た。
【数17】

【0065】
例19:1,6−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン−2,6−ジカルボキシアルデヒド(化合物19)の合成
化合物18(13.0g、0.027モル)を110mLの無水THFに溶かし、乾燥窒素下で−78℃に冷却した。この溶液に、nBuLi溶液(2.5Mヘキサン溶液、32mL、0.080モル)を温度が−60℃よりも低く維持されるようにゆっくりとシリンジから添加した。添加後、溶液を−78℃で1時間攪拌した。無水DMF(17mL、0.21モル)をシリンジから添加した。反応を室温で一晩中攪拌した。反応を水で停止させ、エーテルで抽出した(3×100mL)。有機相をブラインで洗浄し、そしてMgSOで乾燥した。溶媒を除去した後、粗生成物をヘキサンから再結晶化して6.72gの生成物(収率65%)を明黄色粉末として得た。
【数18】

【0066】
例20:1,5−ビス(ヘキシルオキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン(化合物20)の合成
30mLのメタノールと20mLの塩化メチレンに0℃で水素化ホウ素ナトリウム(1.90g、50ミリモル)を添加した。混合物を10分間攪拌し、そしてジアルデヒド化合物19(3.25g、8.4ミリモル)を10mLの塩化メチレンに溶かしたものを添加漏斗からゆっくりと添加した。反応を室温で一晩中攪拌した後、30mLの1M KOHで停止させ、30分攪拌した。反応を塩化メチレンで3回抽出し、水で洗浄し、そしてMgSOで乾燥した。粗生成物はオフホワイト色の固体であり、次の段階で使用するのに十分な純度であった。収量は2.91g(収率88%)であった。
【数19】

【0067】
例21:2,6−ビス(ブロモメチル)−1,5−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物21)の合成
ジアルコール化合物20(2.90g、7.5ミリモル)を15mLの無水THFに溶かして0℃に冷却した。この溶液に、PBr(1.7mL、18ミリモル)を5mLのTHFに溶かして添加した。反応を室温で一晩中攪拌し、水で停止させ、そしてエーテルで抽出した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に5:95エーテル:ヘキサンを用いて精製したところ、明黄色結晶2.61g(収率68%)が得られた。
【数20】

【0068】
例22:1,5−ビス(ヘキシルオキシ)−2,6−ビス(メチレンジエチルホスフェート)ナフタレン(化合物22)の合成
ジブロモ化合物21(2.50g、4.9ミリモル)とトリエチルホスファイト(2mL、12ミリモル)を混合して100℃に4時間加熱した。粗生成物をヘキサンから再結晶化して白色結晶を得、さらにその母液をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に20:80アセトン:ヘキサンを用いて精製した。全体収量は2.34g(収率76%)であった。
【数21】

【0069】
例23:9,9’−ジヘキシルフルオレン(化合物23)の合成
フルオレン(23.0g、0.14モル)を200mLの無水THFに溶かして−78℃に冷却した。この溶液にn−BuLi(2.5Mヘキサン溶液、65mL、0.16モル)を添加し、その赤色溶液を低温で1時間攪拌した。この溶液に、臭化n−ヘキシル(27.4g、0.17モル)を20mLのTHFに溶かして添加した。反応を低温で2時間攪拌し、そしてまたn−BuLi(2.5Mヘキサン溶液、65mL、0.16モル)を再度添加して反応を1時間攪拌した。その後、臭化n−ヘキシル(27.4g、0.17モル)を添加して反応を一晩中攪拌しておいた。緑色の反応を水で停止させ、黄色溶液をエーテルで抽出した。有機相を一緒にしてMgSOで乾燥した。粗生成物を減圧蒸留で精製したところ、純粋生成物42.3g(収率93%)が透明な粘性油として得られた。
【数22】

【0070】
例24:2,7−ビス(ブロモメチル)−9,9’−ジ(ヘキシル)フルオレン(化合物24)の合成
化合物23(15.0g、0.045モル)とパラホルムアルデヒド(13.5g、0.45モル)を90mLの30%HBr酢酸溶液に溶かした。反応を70℃で一晩中攪拌した。その混合物を200mLの水に注ぎ込み、塩化メチレンで抽出した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液にヘキサンを用いて精製し、11.2gの淡黄色粘性油を得た。
【数23】

【0071】
例25:2,7−ビス(シアノメチル)−9,9’−ジ(ヘキシル)フルオレン(化合物25)の合成
化合物24(6.85g、0.013モル)を50mLのアセトニトリルに溶かした。この溶液に炭酸カリウム(4.55g、0.033モル)、ジメチルシアノヒドリン(3.0mL、0.033モル)及び0.15gのクラウン−18−6を添加した。反応を室温で一晩中攪拌した。反応を水で希釈し、エーテルで抽出した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に10:90酢酸エチル:ヘキサンを用いて精製し、純粋生成物を白色結晶として2.8g(収率51%)得た。
【数24】

【0072】
例26:3−(2−エチルヘキシル)チオフェン(化合物26)の合成
三口丸底フラスコに乾燥したマグネシウム屑(10.2g、0.42モル)と40mLの無水THFを入れた。ヨウ素結晶を添加してGrignard反応を開始させた。次いで、臭化2−エチルヘキシル(79.0g、0.41モル)を100mLの無水THFに溶かしてマグネシウム屑に滴下した。滴下後、反応を1時間加熱還流させ、その後室温に冷却し、そして100mLのTHFで希釈した。別のフラスコに、3−ブロモチオフェン(50.0g、0.31モル)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(1.7g、0.003モル)及び100mLのTHFを添加して、氷浴で冷却した。上記Grignard試薬を上記溶液にカニューレから添加した。室温で一晩中攪拌した後、反応を2N HClで停止させ、エチルエーテルで抽出した。有機相を一緒にしてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液にヘキサンを用いて精製したところ、27.5gの純粋生成物が明黄色液体として得られた(収率46%)。
【数25】

【0073】
例27:2,5−ビス(ブロモメチル)−3−(2−エチルヘキシル)チオフェン(化合物27)の合成
化合物26(7.0g、0.036モル)とパラホルムアルデヒド(2.57g、0.086モル)を3mLの酢酸及びHBr溶液(30%酢酸溶液、0.088モル、18mL)に溶かした。反応を窒素下、室温で一晩中攪拌した。反応を200mLのエチルエーテルで希釈し、水、飽和NaHCO溶液及びブラインで洗浄した。溶媒を除去した後、9.6gの明褐色油状物が得られた(収率70%)。これはほぼ純粋であったため、さらに精製することなく次の段階で使用した。
【数26】

【0074】
例28:2,5−ビス(メチレンジエチルホスフェート)−3−(2−エチルヘキシル)チオフェン(化合物28)の合成
化合物27(9.6g、0.025モル)とトリエチルホスファイト(10.8mL、0.063モル)を100mLの丸底フラスコに入れて100℃に4時間加熱した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に25:75アセトン:ヘキサンを用いて精製したところ、明黄色油状物9.0g(収率72%)が得られた。
【数27】

【0075】
ポリマーの合成
例29:Horner-Emmons反応の一般手順
等モル量のジカルボキシアルデヒドモノマーとジホスフェートモノマーとを窒素下の無水THFに溶解した。この溶液に2.5当量のNaHを添加した。反応を窒素下、室温で一晩中攪拌した。少量のベンズアルデヒドを添加してホスフェート末端基を末端封鎖した。ポリマーをメタノール中で析出させ、濾過し、クロロホルムに再溶解させ、そしてメタノールから2回析出させた。得られたポリマーを45℃で一晩かけて真空乾燥した。
【0076】
例30:Knoevenagel反応の一般手順
等モル量のジカルボキシアルデヒドモノマーとジシアノモノマーとを窒素下の無水THFとt−ブチルアルコールの1:1混合溶媒に溶解した。この溶液に触媒量のカリウムt−ブトキシドを添加した。反応を窒素下、室温で一晩中攪拌した。ポリマーをメタノール中で析出させ、濾過し、クロロホルムに再溶解させ、そしてメタノールから2回析出させた。得られたポリマーを45℃で一晩かけて真空乾燥した。
【0077】
ELデバイスの製造及び性能
例31
本発明の要件を満たすELデバイスを以下のように構築した。有機EL媒体は単層のポリマー薄膜を有する。
a)インジウム錫酸化物(ITO)を被覆したガラス基板を、市販の洗剤中で超音波処理し、脱イオン水でリンスし、トルエン蒸気で脱脂処理し、そして紫外線とオゾンに2〜3分間暴露した。
b)ポリマーのトルエン溶液(溶媒30mLに30mg溶かしたもの)を2μmのテフロン製フィルターで濾過した。次いで、そのポリマー溶液をITO上に回転速度を制御しつつスピンコーティングした。ポリマー薄膜の厚さを500〜700オングストロームとした。
c)当該ポリマー薄膜の上に、MgとAgを原子比10:1で含む厚さ2000オングストロームのカソード層を付着させた。
【0078】
上記序列によりELデバイスの付着を完了した。次いで、デバイスを、周囲環境から保護するため、ドライグローブボックスにおいて気密封止した。
表1に、本発明により製造したポリマーの特性をまとめる。合成したポリマーは高いTg及びTdを示す。希釈溶液から吸収及び発光スペクトルを得、ポリマーの固体薄膜からフォトルミネセンス(PL)を得、そしてITO/ポリマー/Mg:Ag系ELデバイスからELスペクトルを得た。ELデバイスの製作は例31に説明した。図4及び図5に、ポリマー22及び17の吸収、発光、PL及びELスペクトルをそれぞれ示す。図6に、ポリマー22のELデバイスの電圧―電流特性を示す。
【0079】
【表1】

【0080】
a:重量平均分子量(トリクロロベンゼン中ポリスチレン標品を用いたサイズ排除クロマトグラフィーで測定)
b:溶液中で測定
c:測定なし
【符号の説明】
【0081】
10 基板
20 アノード層
30 正孔輸送層
40 電子輸送層
50 EL媒体
60 カソード
100 基板
200 アノード
300 正孔輸送層
400 発光層
500 電子輸送層
600 EL媒体
700 カソード
1000 基板
2000 アノード
3000 発光層
4000 カソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソード及び、当該アノードと当該カソードとの間に配置された高分子発光材料を含んで成り、当該高分子発光材料がアリールアミン部分を有し下記構造式で表されることを特徴とする電界発光デバイス。
【化1】

(上式中、
及びRは、各々独立に、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はシアノ基を表し、そして
Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、各々独立に、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はこれらの組合せを表す。)
【請求項2】
ArとArとが化学結合で連結して第一基を形成し、またArとArとが化学結合で連結して第二基を形成する、請求項1に記載の電界発光デバイス。
【請求項3】
ArとArとが化学結合で連結して第一基を形成し、またArとArとが化学結合で連結して第二基を形成し、当該第一基及び第二基が、それぞれ下記式:
【化2】

が下記のカルバゾール又はカルバゾール誘導体を含むものとして表される、請求項1に記載の電界発光デバイス。
【化3】

【請求項4】
Arは2以上のAr基を含む、請求項1に記載の電界発光デバイス。
【請求項5】
Arは下記の式を含み、各式中のRは置換基であって、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜28のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子であることができ、そしてmは1〜3の整数である、請求項1に記載の電界発光デバイス。
【化4】

【化5】

【化6】

式中、XはO原子又はS原子である。
【化7】

式中、pは0〜2の整数である。
【化8】

式中、XはO原子又はS原子であり、pは0〜2の整数である。
【化9】

式中、XはO原子又は2個のシアノ基である。
【化10】

式中、Rは置換基であって、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜28のアリールもしくは置換アリール基、又は炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基であることができる。
【化11】

式中、Rは上記定義と同一であり、Xは窒素原子又は炭素原子である。
【化12】

式中、Rは上記定義と同一であり、pは0〜2の整数である。
【化13】

式中、XはO原子又はS原子であり、pは0〜2の整数である。
【化14】

式中、Rは上記定義と同一であり、pは0〜2の整数である。
【請求項6】
アノード、カソード及び、当該アノードと当該カソードとの間に配置された高分子発光材料を含んで成り、当該高分子発光材料が一種以上の蛍光色素その他の発光材料でドープされており、当該高分子発光材料がアリールアミン部分を有し下記構造式で表されることを特徴とする電界発光デバイス。
【化15】

(上式中、
及びRは、各々独立に、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はシアノ基を表し、そして
Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、各々独立に、炭素原子数6〜40のアリールもしくは置換アリール基、炭素原子数4〜40のヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール基、又はこれらの組合せを表す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−51427(P2013−51427A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−230439(P2012−230439)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2001−176991(P2001−176991)の分割
【原出願日】平成13年6月12日(2001.6.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】